Enterprise Earth : 2014年からワシントン州スポーカンを拠点に活動するブラッケンド・デスコアバンド、Enterprise Earthが前作『Luciferous』から3年振りとなる通算4枚目のスタジオ・アルバム『The Chosen』をeOneからリリースしました。
ドラム、ボーカル以外は全てギタリストのGabe Mangoldによってレコーディングされ、プロデュース、ミックス、そしてマスタリングまでが行われている。ドラムは2019年から加入したBrandon Zackeyが名プロデューサーJason Suecofと共に録音。2018年に加入したベーシストRob Sairehがクレジットから外れており、実質正式メンバーはオリジナル・メンバーでありボーカリストのDan Watson、ギタリストのGabe、そしてドラマーBrandonの3人だ。
第1弾先行シングル/ミュージックビデオとして発表された「Where Dreams Are Broken」はアルバムのオープニング・トラックを飾る楽曲で、Enterprise Earthの現在地が垣間見える楽曲であると言えるだろう。この楽曲を聴けば、彼らがブラッケンド・デスコアというサブジャンルから更にEnterprise Earthらしさに磨きをかけ、自分たちにしか出来ないスタイルを確立したことがわかるだろう。ハイピッチなシャウトからローの効いたグロウルまでを巧みに歌うDanのテクニックが素晴らしく、クリーン・パートの鮮やかさが楽曲の肝にもなっている。
「Reanimate // Disintegrate」は第2弾先行シングル/ミュージックビデオとして発表され、「Where Dreams Are Broken」から繋がる流れでトラックリストされている。ある意味淀みのないピュアなデスコア・サウンドになっていて、ブラッケンドな要素はほんのエッセンス程度感じられる。非常にキャッチーでメリハリのついた楽曲展開はメインストリームにも食い込んでいけるポテンシャルを持ったデスコアだと言えるだろう。彼らのようなアーティストがメタルコア、そしてもっとメジャーなメタルとフェスなどで共演することで、多くのリスナーがEnterprise Earthを、そしてデスコアにハマるきっかけになり得るだろう。
これまでのEnterprise Earthファンにはたまらないブラッケンドな疾走感とオーケストレーションがたっぷり組み込まれた「Legends Bever Die」もアルバムのキーポイントになっている楽曲と言えるだろう。こうしたスタイルもまだまだやっていくだろうし、彼らを追いかけてきた一ファンとしては今後も続けていってほしい路線。
アルバムリリースと同時に公開された「You Couldn’t Save Me」はアルバムの後半を盛り立てる一曲として存在感を放っている。プログレッシヴなベースラインとしなやかなギターリフが絶妙に転調していく楽曲の中でまるで生き物のような躍動感を見せてくれる。ライブでプレイすればかなりの盛り上がりが期待できる一曲と言えるだろう。
こうしたリードトラックを含む大満足の14曲。必ず期待を超える作品になっているので、最後までそして何度も繰り返し聴いてもらいたい。
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