年始企画 : この企画の第1弾Rise Records編では、2000年代後半に登場した次世代メタルコア・ポストハードコアバンド達がキャリアを重ね、シーンを牽引する存在へと成長したことを確信付ける作品が数多くリリースされたと書いた。当時のRise Recordsが次世代のメタルコア・ポストハードコアがどんなものになるか予感させてくれたのに対し、Sumerian Recordsは2000年代に築いてきたSumerian Recordsらしいプログレッシヴ感を守りつつ、しっかりとシーンで活躍できる逸材を発掘し、育てたような雰囲気がある。Periphery、Veil of Maya、The Facelessといったメタル新世代のトップに加え、The Haarp Machine、Make Me Famous、Capture The Crownらがシーンに衝撃を与えた2012年のアルバムを振り返ってみよう。

 


 

The Haarp Machine – Disclosure

イギリス出身のプログレッシヴ・メタルバンドThe Haarp Machineのデビュー・アルバム。ターバンを巻いて華麗にプログレッシヴなリフを弾きこなすプレイスルー動画は今も印象に残っている。Peripheryらによって「Sumerian Recordsはプログレッシヴ/Djentなレーベル」であることが広くシーンに浸透、そしてこうした逸材を発掘し育成していくんだということにワクワクした。バンドは長く活動が止まっていたが、ここ最近動き出している。

 

 

 


Periphery – Periphery II: This Time It’s Personal

2010年にSumerian Recordsからデビューし、「Djent」というトレンドを生み出したPeripheryのセカンド・アルバム。Billboard 200で44位にランクイン。プログレッシヴ・メタルのニューカマーから一気にトップシーンでの知名度を確率した作品。

 

 

 


Veil of Maya – Eclipse

まだまだデスコアバンドというイメージが残っていたVeil of Mayaの4枚目フルレングス。PeripheryのMisha Mansoorがプロデュースを手掛けるというのも、この頃から次第にあちこちで見かけるようになっていった。全10曲28分というコンパクトな内容ながら、中堅メタルコア/デスコアの中では群を抜いて人気の高さを見せつけた一枚。

 

 

 

I The Breather – Truth And Purpose

2010年にSumerian Recordsからデビューしたメタルコア、I The Breatherのセカンド・アルバム。アンダーグラウンド・メタルコアシーンにおける知名度、そしてミュージシャンからの人気が高く一目置かれていた彼らも本作でBillboard クリスチャン・チャートで15位にランクインを果たした。August Burns Redに次ぐメタルコアバンドとして活躍が期待されることとなった出世作だ。

 

 

 


Upon A Burning Body – Red. White. Green.

Rise Recordsが2012年に多くの新人バンドのデビューアルバムを手掛けたように、Sumerian Recordsは2年早く2010年代後半から新たにシーンを作っていくアーティストの発掘に力を注いでいた。Periphery、I, The Breatherがデビューした2010年に同じくファースト・アルバムをリリースしたUpon A Burning Bodyも本作でオリジナリティあふれるサウンドを確立。デスコアバンドながらBillboard 200で105位にランクインしている。

 

 


I See Stars – Digital Renegade

スクリーモ/ポストハードコアの新星として2006年にデビューしたI See Starsの通算3枚目フルレングス。この頃になるとやや人気も落ち着いてきたようであるが、改めて作品を聴き返してみると時代をしっかりと捉えながらもI See Starsらしさを打ち出した素晴らしい作品であるように感じる。Asking AlexandriaのDannyがフィーチャーしているのも2012年ぽい。Billboard 200で45位にランクイン、ポストハードコアの人気がしっかりとアメリカに根付いたことを印象付ける作品。

 

 


The Faceless – Autotheism

2008年にリリースした『Planetary Duality』はプログレッシヴ・メタル、デスコア、メタルコア、テクニカル・デスメタルシーンと幅広いジャンルにおいて革新的なアルバムとして人気を博したThe Faceless。『Planetary Duality』から4年という月日はシーンの進行具合を考えると長すぎたが、その人気は健在。彼らのキャリアを考えれば地味な作品ではあるが、Sumerian Recordsを語る上で彼らの存在は外せないだろう。

 

 


TRAM – Lingua Franca

あまりメタルコアシーンでは語られることはないが、Animals As LeadersのTosin AbasiとJavier Reyes、The Mars VoltaのAdrian Terrazas氏、Suicidal TendenciesのEric MooreによってスタートしたTRAMは、話題のバンドが中堅、ベテランになっていく上でレーベルが仕掛ける「サイド・プロジェクト」としては豪華すぎるラインナップで、当時話題になった。この作品が現代にどのくらい影響を与えたかと言えばはっきりと言えないが、2012年だからこそ成立したプロジェクトであることは間違いない。

 

 


Make Me Famous – It’s Now Or Never ‎

後にAsking AlexandriaのボーカルとなるDenis Stoff在籍のMake Me Famousが残した唯一のフルアルバム。このバンドも2010年代前半にだけ注目を集め、その後「ex.Make Me Famous」としてその動向が注目され続けたバンドである。そのサウンドはI See Starsを継承したアメリカ国外を拠点に活動するフォロワーバンドとしては申し分ない。ここからDown & Dirty、Oceans Red、Drag Me Outと名前を変えながら活動していくこととなった。

 

 


Stick To Your Guns – Diamond

Sumerian Recordsにもハードコア・バンドがかつては在籍した。それはRise Recordsにも言えるが、メタルコアというジャンル、シーンが明確に確率し未来がある段階にあったからこそ、前時代のユース・シーンにおけるハードコアのベテランを抱えておくことはメタルコアやデスコア、ポップパンクのレーベルにとって当たり前のことだった。メタルコアシーンでも人気があるThe Acacia StrainやStick To Your Gunsが現代においてもその輝きを放ち続けているのは、こうしたレーベルの戦略があったからこそなのかもしれない。

 

 

Circle Of Contempt – Entwine The Threads

フィンランドを拠点に活動しているCircle of ContemptのSumerian Records在籍時のラスト作。この後Sumerianを離れ、インディペンデントになり、2020年代前後からプログレッシヴ・メタルコアを聴き始めたリスナーにはあまりピンとこないバンドかもしれないが、当時の彼らの人気は凄まじいものがあり、コアなリスナーからPeriphery以上に崇められていたように感じる。2012年前後を象徴するバンドとして後世に名前が引き継がれていく、そんなバンドだ。

 

 


Capture The Crown – ‘Til Death

現在はCaptureとバンド名を変更しているCapture The Crownのデビュー・アルバム。久々に「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオを見てみるかと思ったらなんと削除されていました…。同じく「#OIMATEWTF」などミュージックビデオの類がSumerian Recordsのアカウントからは消されてしまっていました。どういう理由なのかは調べてもよく分からないのですが、Capture The Crownといえば「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオで大ブレイクを果たしたバンド。当時は新世代としてかなり注目を集めました。

 

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