
Bring Me The Horizonは現在、世界各地の大型フェスティバルでヘッドライナーを任される存在になった。しかし、バンドが約20年かけてその位置へ辿り着いたタイミングで、Oli Sykes自身の人生には大きな変化が起きている。
Nick Nocturnalとの長時間インタビューでOliが語ったのは、父親になったことで変化した価値観、長期間のツアーから家族のもとへ戻れない苦しさ、そしてBring Me The Horizonという「20歳の子供」と、自分自身の子供たちを同時に育てるような現在の葛藤だった。
さらに後半では、かつてバンドの成功と自分自身の価値を強く結び付けていた時期、ロックダウン中に再び精神的に不安定になった経験、そして「音楽は競争ではなく、人へ何かを与えるためのもの」という考えに辿り着くまでを振り返っている。
ブラジルで見つけた、バンドから離れられる生活
Oliにとってブラジルは、Bring Me The Horizonや「Oli Sykes」というパブリックイメージから距離を置き、生活の速度を落とすための場所になっている (*Oliの妻Alissaはブラジル人)。
イングランドにいると仕事を続けてしまい、バンドから精神的に離れることが難しい。一方、ビーチが身近にあり、生活そのものがゆっくり流れるブラジルでは、意識的に仕事から離れやすいという。
そして現在は子供たちもいる。
家族だけに集中し、外部の雑音から距離を置く環境としても、ブラジルでの生活はOliにとって重要になっているそうだ。
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「もう1カ月もツアーしたくない」と感じるようになった
父親になったことで最も大きく変わったものの一つが、ツアーに対する感覚だった。
子供たちがまだ非常に幼かった頃にも家を離れることはつらかったが、成長して笑ったり遊んだり、自分の存在を認識するようになると、その苦しさはさらに大きくなったという。
今回の長期ツアーについてOliは、あまりにつらく「もう二度とこんなことはできないかもしれない」と感じるほどだったと明かしている。しかし、Bring Me The Horizonにとって現在は非常に重要な時期でもある。
20年活動してきた末に、ようやく大型フェスティバルで本格的なヘッドライナーとして信頼され始めた。MetallicaやSystem Of A Downのような長年巨大フェスティバルを支えてきた存在から、新しい世代へヘッドライナーの座を引き継ぐことは簡単ではない。
だからこそ、このタイミングで活動を減らすことにも葛藤がある。
せっかくフェスティバル主催者がBring Me The Horizonをヘッドライナーとして信頼し始めたのであれば、それを一度きりの出来事ではなく、確実なものにしたいという思いもあると話す。
お金を残すことと「そばにいること」は同じではない
Oliは父親として、子供たちの将来を経済的に支えたいという強い気持ちも持っている。
大きな出演オファーが届けば、それを受けることで家族へ経済的な安定を与えることができる。しかし同時に、将来子供たちが父親について振り返ったとき、本当に重要になるものはお金ではないのではないかとも考えるようになった。
20年後に子供たちが感謝するのは「たくさんのお金を残してくれたこと」ではなく、「自分のそばにいてくれたこと」なのではないか。
バンドを大切にする気持ちと、家族と過ごす時間。その両方が重要だからこそ、現在のOliにとって簡単な答えのない問題になっている。
Bring Me The Horizonの成功が「自分の価値」になっていた
インタビュー終盤では、Oliがさらに深い部分について語っている。
コロナ禍のロックダウン以前の彼は、自分が思っていた以上に、Bring Me The Horizonの成功から精神的な満足や自己肯定感を得ていたという。
Spotifyの月間リスナー数を確認し、ライブがソールドアウトしなければ十分ではないと感じる。グラミー賞などにノミネートされても受賞できなければ、「受賞したアーティストと自分たちの違いは何なのか」と考える。
バンドが小さな存在だった頃にはなかった考え方が、「次の巨大なロック・ヘッドライナーになるかもしれない」と言われ始めたことで徐々に入り込んできた。
成功が現実的になればなるほど、「どうすればさらに上へ行けるのか」を考えるようになり、それが自分自身の価値とも結び付いていった。
ロックダウンで「バンドがなければ自分は誰なのか」と気付く
しかしロックダウンによってライブもツアーも止まり、その外部から得ていた評価が突然消えた。Oliは再び薬物に陥り、非常に暗い状態になったという。
そこでセラピーを受けながら、「Bring Me The Horizonがなければ、自分は誰なのか」という問題と向き合うことになる。
バンドはいつか終わるかもしれない。人気が突然なくなる可能性だってある。
もし自分の価値をすべてバンドに預けてしまえば、バンドを失った瞬間に自分自身まで失ってしまう。そこからOliは、Bring Me The Horizonがなくても自分が幸せでいられる人生を作ることを意識するようになったという。
「20,000人でも10人でも同じ」――音楽は人に仕えるもの
その考えを大きく変えた経験の一つが、ブラジルでの時間だった。
Oliは妻の故郷近くにあるアシュラムを訪れ、僧侶や精神的な指導者たちの話を聞いたという。そこで印象に残ったのが、観客数についての考え方だった。
20,000人の前で演奏することに興奮してもいい。しかし10人しかいない場所でも、その10人に向けて同じように演奏する。
重要なのは自分が何人集めたかではなく、その場所にいる人へ自分の持っているものを届けることだという話だった。Oliはそこで、自分の音楽についても「人に仕えるもの」と考えるようになったという。ストリーミング数や他のバンドとの競争ではない。自分たちが巨大なバンドなのかどうかでもない。音楽によって誰かを助け、自分たち自身が本当に興奮できる作品を作る。それが重要なのだと考えるようになった。
Bring Me The Horizonを何で記憶してほしいのか
Oliは、10年後や20年後にBring Me The Horizonについて振り返ったとき、「一番大きなTikTokヒットを持っていたバンド」として記憶されたいわけではないと話している。残したいのは「とんでもない音楽を作ったバンド」という記憶だ。
自分自身がBring Me The Horizonの音楽を好きでいられること。本当に良いと思えるまで曲を完成させ、それを自分自身でも何度も聴きたくなること。現在のOliにとって、それが活動を続ける基準になっている。
20年かけて世界最大級のロック/メタル・バンドの一つへ辿り着いたタイミングで、彼はむしろ「最大になること」そのものから距離を置こうとしている。
父親としての人生を築き、バンドの外側にも自分自身を持ちながら、それでもBring Me The Horizonでは自分が最も興奮できる音楽を作る。
現在のOli Sykesにとって成功とは、以前とは少し違ったものになっているようだ。
## 参照元動画
「OLI SYKES on Count Your Blessings Repented, Sempiternal & Deathcore Era」