2000年代後半のMySpaceデスコアを、単なる懐古ではなく「現在進行形のシーン」として蘇らせようとする新世代バンドが登場している。その中でも急速に存在感を高めているのが、カリフォルニアを拠点とするREV3RENTだ。
Suicide Silence、初期Chelsea Grin、初期Bring Me The Horizonなどを思わせる荒々しいデスコア。極端なハイ・スクリームと低音ボーカル。クラブ規模の会場で観客へ真正面からぶつかっていくライブ。そして、2000年代のバンドがMySpaceやYouTubeで行っていたようなスタジオ映像やVlogまで含めたオンラインでの発信。YouTube動画「The Unexpected Rise of REV3RENT」では、REV3RENTがなぜ短期間でMySpaceデスコア・リバイバルの中心的存在へ浮上したのかを分析している。
動画の投稿者が特に注目しているのは、単に「昔のデスコアっぽい音」を作っているから人気になったのではないという点だ。サウンド、ボーカリスト、ライブ、ビジュアル、SNS、ファンとの距離感……。それぞれが一つの方向を向いたことで、REV3RENTというバンドそのものが強いキャラクターを持ち始めている。そして2026年現在、その勢いは動画公開時よりさらに大きくなっている。
始まりは約1分半の「Tormented Fate」
REV3RENTがシーンへ本格的に姿を現したのは2024年になる。初期シングル「Tormented Fate」は約1分半という短い楽曲ながら、2000年代後半のMySpaceデスコアを思わせるサウンドを真正面から打ち出していた。xYanの動画では、この曲を「2007年からそのまま届いたような音」と表現している。
現在のデスコアでは、極端な低音チューニング、巨大なシンフォニック・アレンジ、精密なプロダクションなどが珍しくなくなった。しかしREV3RENTが向かったのは、むしろ逆方向だった。荒々しいリフ、短く凶暴なブレイクダウン、高音と低音を激しく行き来するボーカル。そして、2000年代のデスコアにあった若さと衝動をそのまま再現するような「空気」。
MySpace時代のデスコアに存在した「生々しさ」を求めていたリスナーにとって、REV3RENTは非常に分かりやすい存在だったと動画では分析されている。
初EP『Last Trace』で一気に注目を集める
その後、REV3RENTは複数のシングルを経て、2024年7月に6曲入りEP『Last Trace』を発表した。「Smile! Wait For The Flash」「My Hand, Your Demise」「…Of Blood And Brutality」「If I Die Here First」「Tormented Fate」などを収録した作品で、初期REV3RENTの方向性がまとまった最初の作品となった。
動画の投稿者は、このEPをバンドにとって最初の大きな転換点と評価している。作品そのものの反響だけではなく、ライブ映像がオンラインで広がったことで、「音源が格好いい新しいデスコア・バンド」から「実際にライブを見たいバンド」へ変わっていったという。
MySpaceデスコア・リバイバルでは、2000年代らしい音を作ること自体は珍しくなくなりつつある。その中でREV3RENTが一段抜け始めた理由の一つが、このライブだった。
ボーカリスト交代という大きなリスク
『Last Trace』は、初代ボーカリストGabrielが参加した最後の作品となった。
バンドにとってボーカリスト交代は非常に大きな出来事だ。特にデスコアでは、声そのものがバンドの個性として認識されやすい。ある程度ファンが付き始めたタイミングでフロントマンが変われば、それまで築いてきた勢いを失う可能性もある。動画の投稿者も、当初はこの交代がREV3RENTにとって大きなリスクだったと捉えている。しかし結果的には、その後加入したJosh Bailey Guardがバンドの成長をさらに加速させることになった。
Josh Bailey Guardの加入がREV3RENTを変えた
動画の中でREV3RENT躍進の最大の要因として高く評価されているのが、Joshの存在だ。まず目を引くのがステージ上での動き。じっと立って極端なボーカルを披露するのではなく、ステージ全体を使って動き、観客へ直接圧力をかける。投稿者はその姿を、若き日のSuicide SilenceのMitch Lucker、とりわけ初期ライブ映像で見られたエネルギーと重ねている。
他のメンバーも、初期Chelsea Grinを思わせるような大きなヘッドバンギングを行うのも特徴だ。音だけではなく、ステージ全体が「MySpaceデスコア」というイメージを視覚的に成立させている。現在のREV3RENTが支持される理由を考えるうえで、このライブの見せ方はかなり重要な要素だ。
「格好よく見せようとするのをやめろ」
動画内で紹介されるREV3RENT側の発言も、そのステージに対する考えを象徴している。彼らが意識しているのは、格好よく立つことではない。ステージから強烈なエネルギーを押し出し、観客の目の前まで迫っていくような態度だ。
ブレイクダウンも過剰なほど重くする。
パフォーマンスも抑えない。
「これは少しやりすぎではないか」と感じる地点まで突き抜ける。
その過剰さこそ、観客がREV3RENTに求めているものではないかという考えだ。2000年代のデスコアでは、音楽だけでなくメンバーの動きやファッションまで含めてカルチャーだった。REV3RENTは、その感覚まで現在へ持ち込もうとしている。
17歳とは思えないJoshのボーカル
動画公開時、Joshはまだ17歳だったが、投稿者は、年齢以上に完成度の高いボーカリストとして評価している。特に特徴的なのが、鋭い高音と独特な低音の組み合わせだ。
MySpace時代のデスコアを再現するバンドは増えているが、その中で一度聴いただけでも判別できる声を持つことは大きな武器になる。REV3RENTの場合、単にMitch Luckerや初期デスコアの発声をコピーするのではなく、Josh自身の声として認識できる部分がある。それが、懐古的なデスコアの再現だけで終わらない理由の一つとして挙げられている。
「TikTokからデスコアを知ったっていい」
Joshの発言で特に興味深いのが、デスコアのゲートキーピングに対する考えだ。Lorna Shoreが好きでもいい、MySpaceデスコアが好きでもいい、TikTokで初めてデスコアを知ってもいい。重要なのは、「その人が何をきっかけにシーンへ入ってきたか」ではないという。
Joshは、誰かが大きな成功を収めているのであれば、自分がその音楽を好きではなかったとしても、少なくとも何を達成しているのかは評価できるはずだと考えている。そしてデスコアを小さな閉鎖的コミュニティのまま維持するのではなく、より多くの人へ届けたいという。
新しいリスナーを歓迎し、ヘヴィ・ミュージックが何をできるのかを世界へ見せたい。動画では、まだ10代のJoshがこうしたシーン全体についての視点を持っていることも、REV3RENTの将来性を感じさせる要素として評価されている。
MySpace時代を再現するだけでは足りない
新ボーカル体制で発表された作品が『Decimate』だ。ここでもREV3RENTの基本的な方向は変わっていない。初期Suicide Silence、Chelsea Grin、Bring Me The Horizonなど、MySpaceデスコア黄金期からの影響を感じさせる。しかし動画が重要視しているのは、単なる再現ではないという点だ。過去のバンドと同じリフ、同じブレイクダウン、同じボーカル。それだけなら、ノスタルジーとして一時的に注目されても長くは続かない。REV3RENTはそこへ自分たちなりの音色やキャラクターを加えている。Joshの極端なハイ・スクリームとグロウルも、その代表的な要素だ。
動画では、過去の公式を理解したうえで「REV3RENTの音」として提示できることが、他のリバイバル勢との差につながっていると分析している。
Noah Michelがサウンドの中心を担う
『Decimate』については、ギターのNoah Michelも重要人物として挙げられている。動画では、Noahが作品の多くを書き、プロダクションにも深く関わっていると紹介されている。REV3RENTのサウンドは一見すると非常に粗暴で、2000年代のDIYデスコアのように聞こえる。しかし実際には、その「古く聞こえる感覚」を現代の環境で作り出す必要がある。単純に音質を悪くすれば2007年になるわけではない。ギターの質感、ドラム、サブドロップ、ブレイクダウンの配置、ボーカルの処理。現代のリスナーが聴いても迫力を失わず、それでいて昔の空気を感じさせるバランスが必要になる。
REV3RENTがリバイバル勢の中で強く評価されている背景には、演奏だけでなく、このプロダクション面もある。
スタジオ・アップデートまで「復活」させた
REV3RENTの面白さは音楽だけではない。オンラインでの見せ方も、MySpace~初期YouTube時代を強く意識している。動画では特に、スタジオ・アップデートやVlogの復活を高く評価している。
2000年代には、バンドがスタジオでレコーディングしている様子、メンバー同士でくだらないことをしている映像、ツアー中の日常などを見ることもファン文化の重要な一部だった。完成したミュージックビデオだけではなく、「バンドの中にいるような感覚」をファンへ与えていた。REV3RENTも同じように、作品制作の裏側やメンバーのキャラクターを継続的に見せている。それによって、単にSpotifyで曲を聴くアーティストではなく、「次に何をするのか追いかけたいバンド」になっている。
ファンを「フォロワー」ではなくコミュニティにする
動画ではREV3RENTのファンについて、「cult following」と表現している。
もちろん文字通りのカルトという意味ではなく、バンドへ強い愛着を持ち、積極的に応援する固定ファンが早い段階から形成されているということだ。音源を聴く、ライブへ行く、動画を見る、SNSで拡散する、グッズを買う、新曲が出ればすぐ反応する。バンドが大きくなるうえで、単純な再生回数以上に重要なのが、こうしたコアなファンの存在だと動画では分析している。REV3RENTは若いバンドであることもあり、ファンと同じインターネット文化の中で活動している。その距離の近さも、強いコミュニティ形成につながっているのだろう。
Suicide SilenceのChris Garzaからも支持
REV3RENTがリバイバル・バンドとして信頼を獲得している象徴として、動画ではSuicide SilenceのChris Garzaからの支持も挙げられている。MySpaceデスコアを現在へ持ち帰る若いバンドが、その時代を実際に作った世代から認識される。これは単なるSNS上の数字とは別の意味を持つ。
さらにREV3RENTは、かつてMySpace時代を支えたバンドと同じステージに立つ機会も増えていった。動画では、その状況自体が短期間でバンドが獲得したシーン内での信頼を示していると評価している。
2026年、REV3RENTは次の段階へ
動画で語られていたREV3RENTの「急上昇」は、その時点で終わらなかった。
2026年9月、バンドは「She Let The World Run Rampant」を発表し、同名のデビュー・フルアルバムを10月30日にリリースすることを発表した。それまでのEPをリリースしてきたNUKEPOCALYPSEからさらに大きな環境へ進み、Deep Love Recordings / Atlantic Recordsからのリリースとなる。
つまり、MySpaceデスコア・リバイバルの小さなコミュニティから登場した若いバンドが、結成から数年でメジャー規模の流通へ進んだことになる。しかも彼らは、そのためにMySpaceデスコアらしさを捨てたわけではない。
現在もブレイクダウン、極端なスクリーム、クラブでの荒々しいライブ、crabcoreを思わせる動きなど、自分たちが最初に注目された要素を前面に残している。
REV3RENTの成功は「懐かしいから」だけでは説明できない
REV3RENTが人気になった理由を「2007年のデスコアが流行っているから」とだけ説明することは簡単だ。
確かに、MySpace時代へのノスタルジーは現在のデスコアにおける大きな潮流の一つになっている。しかし動画を通して見えてくるのは、それだけではない。昔の音を理解している、ライブでその世界観を視覚化できる、一度聴けば分かるボーカリストがいる、メンバー自身にキャラクターがある、スタジオ・アップデートやVlogによってファンとの距離を縮める、そして「古参だけのシーン」にするのではなく、新しいファンを積極的に歓迎する。これらが同時に存在している。2000年代のMySpaceデスコアが強かった理由も、音楽だけではなかった。
髪型、Tシャツ、ライブ映像、MySpaceページ、写真、メンバーの日常、ネット上での交流など、全部が一つのカルチャーになっていた。REV3RENTはその本質を理解しているように見える。
「MySpaceデスコアのコピー」から、その次へ
リバイバルには必ず一つの問題がある。最初は懐かしさそのものが魅力になるが、しかし、その先へ進めなければ「昔の方が良かった」で終わってしまう。
REV3RENTが今後さらに大きくなるうえで重要なのは、2007年をどれだけ正確に再現できるかではないだろう。そのサウンドを土台にして、どれだけ2020年代のREV3RENTにしか作れないものへ変えられるか、動画の中で投稿者が彼らを高く評価している最大の理由もそこにある。
OGのMySpaceデスコアから強く影響を受けながら、その公式をそのままコピーせず、自分たちのキャラクターを加えている。しかもメンバーは、その時代をリアルタイムで経験した世代ではない。
かつてMySpaceで生まれたデスコアを、後からインターネットで発見した世代が、今度はTikTok、Instagram、YouTubeを使って新しいシーンとして再構築している。その象徴的な存在の一つがREV3RENTなのかもしれない。
そしてデビュー・アルバムまで辿り着いた現在を見る限り、「The Unexpected Rise of REV3RENT」という動画タイトルにあった“rise”は、まだ途中にある。
参照元動画
「The Unexpected Rise of REV3RENT」
