【2024年上半期】ニューメタルコアの名盤10選 アルバムレビュー

2024年の上半期にリリースされたアルバム (EPを含む) を中心に、素晴らしかった作品を10枚ピックアップし、アルバムレビューしました。「ニューメタルコア」というメタルコアのサブジャンルの中心的存在であるAlpha WolfやDarko US、Diamond ConstructやDefocusといった新たなトップバンド達の待望の新作に加え、デビューしたばかりの新しいバンドのEPなど、良質なリリースが盛りだくさんでした。ぜひ新しいお気に入りを見つけてください。

RIFF CULTでは、ウィークリーで更新しているSpotifyプレイリストで毎週新しい楽曲をまとめたプレイリストを更新しています。この機会にぜひフォローして下さい。このプレイリストをフォローすれば、トレンドが必ず掴めます!

 


▶︎Alpha Wolf 『Half Living Things』

オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するニュー・メタルコア・バンド、Alpha Wolfのサード・アルバム。大ブレイクのきっかけとなった前作『A Quiet Place to Die』から4年、「ニューメタルコア」というサブジャンルの草分け的存在としてシーンのトップを走り続けてきた彼らが、どれだけ驚異的なスピードで成長してきたかは日本のメタルコア・ファンが良く知っているのではないだろうか。セカンド・アルバム前、Emmureの『Look at Yourself (2017年)』を発端に本格的にニューメタルとメタルコアのクロスオーバー・ジャンルが立ち上がり、その後リリースされたEP『Fault』でAlpha Wolfはニューメタルコアを確立。リリースを記念したアジアツアーは2019年に行われ、Suggestionsが帯同し、ニューメタルコア・シーンの影響を国内で最も早く取り入れたPROMPTSやPaleduskなどが出演、ヘッドライナーツアーを盛り上げた。200-300キャパで行われたこの日本ツアーから4年が経ち、再来日を果たしたAlpha WolfはPaleduskの「INTO THE PALE HELL TOUR FINAL SERIES」に出演し、SiMFear, and Loathing in Las Vegas、coldrain、PROMPTSと共演を果たしている。この飛躍的な人気の拡大は決しては日本だけでは起こったものではなく、母国オーストラリアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパでも同様に起こった。

本作はニューメタルコアとしてシーンのトップを牽引し、後続に道筋を作り続けてきたAlpha Wolfが、更に独自性を拡大することにチャレンジした作品だと言えるだろう。いくつかの挑戦は、刺激を求めるメタルコア・リスナーにとっては受け入れられないものであったかもしれないが、ニューメタルコアというジャンルの成熟にとっても、Alpha Wolfが次のフェーズに進むためにも必要な挑戦であったと言えるだろう。中でもミュージックビデオになり、ヒップホップ・シーンの重鎮Ice-Tをフィーチャーした「Sucks 2 Suck」は、ニューメタルという音楽の核を見つめ直し、SlipknotLimp Bizkitといったクラシックなスタイルからの影響をバランスよく配合しつつも革新的なメタルコアを鳴らしている。同じくミュージックビデオにもなっている「Whenever You’re Ready」では、オーストラリアのメタルコア、Northlane初期Void of Visionの影響が色濃く反映された楽曲でニューメタルコアとは言えない楽曲にも挑戦している。

「Sub Zero」でAlpha Wolfを知り、ヘヴィでバウンシーなメタルコアを望むリスナーにとってはマイルドすぎる作品かもしれないが、彼らの現在地を考えれば、チューニングの重さとか、いかにワーミーを詰め込むかを追求かと、そういう立場にはない。このアルバムは、バンドにとって次のアルバムまでにこれまで以上の成長を遂げる、簡単に言えばスタジアムや大きなフェスティバルに出演出来る可能性を高めるものであるべきだ。そしてバンドの目的は達成されているように感じる素晴らしいフィードバックを得ているのはソーシャルメディアからも伝わってくる。どこへ辿り着くのか、彼らの初来日を企画させてもらったものとしても興味深いし応援したい。個人的な思いも含めて2024年上半期の印象的な作品。

 

▶︎Diamond Construct 『Angel Killer Zero』

2014年オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で結成された4人組。2019年のバンド名を冠したサード・アルバム『Diamond Construct』から5年振りとなる本作は、間違いなく2024年のトップ・ニューメタルコア・アルバムに違いないだろう。2019年、Alpha Wolfが「Sub Zero」でやったこと、Dealerが「Grotesque」でやったことを、2024年にDiamond Constructが『Angel Killer Zero』でやっている。このアルバムの圧倒的な完成度、確立されたコンセプトとヴィジュアルイメージ、そして「これが2024年のニューメタルコア」だと誇示するような存在感は圧倒的だ。

アートワークは日本の漫画のようで、アルバムタイトルのロゴもカタカナでふりがながふってある。ガンダム、AKIRAなどは彼らの楽曲、ヴィジュアルイメージの重要な要素として「Switchblade OST」のミュージックビデオでも確認することが出来る。驚くべきはそれらのインプットをニューメタルコア/デスコアの感覚を非常に上手く融合出来ていることで、多彩な音楽からの影響をDiamond Construstらしく散りばめている。

もっとも優れた楽曲、といってもほとんどの楽曲がリードトラックと言っても過言でないほどのインパクトを放っているが、「I Don’t」はすべてのメタル・リスナーが聴くべき革新的な楽曲だ。エレクトロニックな装飾はもちろん、ほとんどダンス・ミュージックと言えるビートが次々と繰り出されていく。もっとも驚いたのはヘヴィ過ぎて完全にノイズとなったリフだ。Code OrangeCrystal Lakeの挑戦的なサウンド・プロダクションでさえ、ここまでノイズ化したリフは鳴らしてこなかったと思う。ずっと、メタルにとってノイズが重要になってくると思っていたが、「I Don’t」で証明されたと言っていいかもしれない。本当にこの曲を聴いた時は驚いた。アルバムすべて聴かなくても、この曲だけでもまずは聴いてほしい。そして私と同じように衝撃を受けたのであれば、今のDiamond Constructに夢中になるはずだ。

 

▶︎silverlake murder 『Still Unknown』 EP

スウェーデンの首都ストックホルムを拠点に活動する5人組、silverlake murderのデビュー作。わずか12分という短いトータルタイムの中に5曲のヘヴィなニューメタルコアが詰まっており、silverlake murderの魅力を端的に把握出来る名刺代わりの作品として100点の仕上がりだと思う。良い意味での物足りなさ、余白を感じるEPになっており、こうした作品でデビューするバンドはかなりの確率で優れたレーベルとの契約し、ステップアップしていくように感じている。先のAlpha Wolfがそうであったように。

Emmureを始祖とし、Alpha WolfやDealerをニューメタルコアの第1世代と捉えるのであれば、彼らは第3世代のトップに躍り出るポテンシャルを持ったバンドではないだろうか。Darko USやAlpha Wolf直系とも言えるDiamond Constructなどに比べれば、まだまだデビューしたばかりの新人だが、やってることはそれらのバンドに匹敵する才能溢れたものだと感じる。デスコアにも接近するヘヴィネス&ビートダウン、ほとんどハーシュノイズウォールにも聞こえる歪んだワーミー、Slipknotが下地にあることがほんのりと感じられるフレーズ、HAILROSEを彷彿とさせるハードコアテクノやガバ、ブレイクビーツといったエクストリームなエレクトロ・ミュージックからの影響など、ここ最近のニューメタルコアとタグ付けされるバンドの中では頭一つ抜きん出た才能溢れるアレンジが随所に施されている (やや一辺倒な感じがしなくもないが)。The Hate Projectのサポートとしてライブが決まっているなど、まだまだライブ・シーンにおいては始まったばかり。今後の成長が楽しみなバンドだ。今からチェックすべし。

 

▶︎Darko US 『Starfire』

Chelsea GrinのボーカリストTom BarberとドラマーJosh Millerによるユニット、Darko US。有観客のライブをしない音源制作メインの活動方針をとり、2020年のデビューから毎月のように音源リリースを続けてきた彼らのサード・アルバムとなる本作は、驚異の19曲入り、トータルタイムが71分と濃密過ぎる内容となっている。

Silent PlanetのGarrett Russellをフィーチャーした「Atomic Origin」やNorthlaneのMarcus Bridgeをフィーチャーした「Sora」、VolumesのMichael Barrやトラップメタル・シーンの代表格Scarlxrdなど、ゲストリストだけみてもニューメタルコアを軸に、さらに多くのジャンルからの影響をクロスオーバーさせていくエクスペリメンタルな側面が強いので、アルバムとしてのまとまり、ドラマ性はほとんどない。言い方を変えれば、19曲それぞれに違った魅力があり、ドラマ性がある。Darko USは度々、持ち前のヘヴィネスから完全に離れ、スローなバラードをやったりしてきた経験がある。彼らは自由であり、バンドという共同体では決して作り出せない楽曲をやるために存在している。Chelsea GrinでDarko USのような挑戦、または実験とも言うべき創作は出来ない。本作にも「Cry Baby」などといったアコースティック曲が収録されており、これはこれで素晴らしい。そうしてメタルとバラードを境なしに味わえるリスナーが2024年にはたくさんいる。Darko USが『Starfire』でやっていることが、もっとありふれたものになっていくだろう。

彼らに実験的な面白さを求めているのであれば、「Chrone Moon」をチェックしてみるのがいいだろう。微細にエディットされたチャギングリフとインダストリアルな装飾が生み出す不気味なアトモスフィアは、ミュージシャンには大きなインスピレーションを与えるはずだ。そしてScarlxrdをフィーチャーした「Virtual Function」は、メタルコアとダークなヒップホップの可能性が無限大であることを感じさせる印象的なトラックと言えるだろう。一気に全部聴くのもいいし、2,3曲ずつ聴いても楽しいアルバムだ。

 

▶︎UnityTX 『Playing Favorites』 EP

2014年にテキサス州ダラスで結成され、ボーカリストJay Webster、ギタリストAlberto Vazquez、ベーシストAustin Elliott、ドラマーMiguel Angelという不動のメンバーで活動を続けている。彼らはThe Story So Farなどが在籍するPure Noise Recordsに所属しており、「ニューメタルコア」というよりは「ラップメタル」とか「ラップコア」と呼ばれることが多い。

本作はシングル「Playing Favorites」と他3曲収録のEP (昔はこのくらいのボリュームならシングルだったかもしれない) で、プロデュースはA Day To Rememberの『Homesick』や『Common Courtesy』、そのほかThe Ghost InsideやWage Warを手掛けるAndrew Wadeが担当している。Andrewが手がけたことでも分かるように、ハードコアのパッション溢れるフックが彼らのヒップホップのDNAと化学反応を起こしている。「Playing Favorites」で言えば、ブルータル・デスコア・バンド、PeelingFleshをも彷彿とさせるヘヴィなリフとスクラッチ、クラシックなニューメタル・ワーミーを交えたシンプルでありながらブルータルなトラックの上でJayがラップする、極上のラップメタルに仕上がっている。ニューメタルコア・リスナーも見逃せないUnityTXから、ラップメタルも掘り下げてみると面白いだろう。

 

▶︎cohen_noise 『Some Things Aren’t Forever, But For A Reason: Vol. 1』 EP

アメリカ・ケンタッキー州の4人組、cohen_noise。2022年のデビュー・アルバム『HAPPY.wav』は耳の早いメタルコア・リスナーの間では話題となったが、まだまだアンダーグラウンドな存在と言えるだろう。この作品もさらっとすごいことをやってしまっていること、ソーシャルメディアでの神秘性を大事に”し過ぎている”ことから、ミュージックビデオの再生回数が公開から1ヶ月で1000回にも到達していないのは勿体無い。こうしたバンドはRIFF CULTのような小さなメディアでなく、大手メタルメディアこそ取り上げて評価するなりしなくてはいけない。しかしイメージを大切にし過ぎる昨今のソーシャルメディア戦略ではそこに届くには大金を払うかよっぽど刺激的でないと無理だ。

cohen_noiseはいわゆるニューメタルとメタルコアをクロスオーバーさせたニューメタルコアに加えて、LoatheIce Sealed Eyesといったオルタナティヴ・メタルコアの影響も感じさせてくれる。彼らのプレイスルー映像を見れば、音からだけでなく、ヴィジュアルや使用機材からもそれが感じられるだろう。「オルタナ」はずっとメタルコア・シーン全体を底上げするのに重要なキーワードであり続けているが、先にも使った神秘性を守り過ぎると、誰にも聴かれないまま終わってしまう。cohen_noiseにはその壁を打ち破れるポテンシャルがあるし、「Fantasy」のような楽曲はRise Records黄金期を感じさせるキャッチなクリーンパートがあり、とっかかりとしてキーと言える楽曲だ。次々登場する新しい、刺激的なバンドの勢いに押しつぶされないよう頑張ってほしい。かなり未来があるバンドだとこの作品で確信した。

 

▶︎Defocus 『there is a place for me on earth』

2019年ドイツ・アーレンを拠点にスタートしたDefocus、2021年の『In the Eye of Death We Are All the Same』以来、3年振りとなるセカンド・アルバム。本作はArising Empireからリリースされ、AvianaやAbbie Fallsといったヨーロッパのヘヴィ・メタルコア・バンドを多数手掛けるVojta Pacesnyによってプロデュースされた。10曲32分とコンパクトな仕上がりながら、その内容は非常に充実しており、想像以上の満足感が得られるはずだ。けばけばしいワーミーやベースドロップを削ぎ落とし、現行ユーロ・メタルコアのヘヴィネスを下地としたサウンドを展開している。だからこそ映えるブレイクビーツやエレクトロニック・パートがDefocusを特別なニューメタルコアたらしめる魅力を放っている。After the BurialCurrents、そしてPROMPTSといったバンドの系譜にあるようなヘヴィさがあり、多方面のメタルコア・リスナー、さらにはデスコア・リスナーにも引っかかるようなブレイクダウンを搭載した楽曲もいくつか収録されている。中でも「flatlines」のエンディングはブルータルだ。

シンプルでスタイリッシュな彼らのヴィジュアルが映える「crooked mind」は「flatlines」などと併せてDefocusとは一体どんなバンドかを把握するのにピッタリな入門的楽曲に仕上がっている。ドイツらしいメタルコアの伝統も感じさせつつ、何よりも新しさがある。確立したDefocusのスタイルがこれからどのように進化していくのか楽しみである。

 

▶︎SPLEEN 『It Can(‘t) Be Worse』 EP

2023年にデビューしたフランス出身の5人組。およそ1年掛けてじっくりと制作され、途中メンバーチェンジもありながら完成させたデビューEPとなる本作は、ニューメタルコアの中にプログレッシヴ/Djentな香りも忍ばせた、興味深い仕上がりで注目を集めた。

フランスでこの手のサウンドと言うと真っ先に思い浮かぶのはten 56.だろうか。ヨーロッパまで拡大すれば、thrownなどが思い浮かぶが、SPLEENは彼らよりもシンプルに「ニューメタルコア+プログレッシヴ・メタルコア/Djent」と言うクロスオーバー・サウンドを鳴らしている。本作リリース直前に公開された最後の先行シングル「Natra」は、本作の中でもプログレッシヴ感の強い楽曲で、クロスオーバーのバランス感覚も優れている。まだまだSpotifyのフォロワーやミュージックビデオの再生回数は少ないものの、オリジナリティがあるし、毎日のようにリリースされていくメタルコア・シングルの中でも印象に残ってリリースを楽しみにしていたくらい印象に残ったバンドなので、これから更なる進化が期待出来ると思う。

 

▶︎Dealer 『New Order Of Mind』

2018年にオーストラリア・メルボルンで結成され、Alpha Wolfと共にニューメタルコアのトップバンドとして注目を集めたDealerであったが、度重なるメンバーチェンジによって安定しない活動が続いた。彼らの諸問題については度々指摘されてきたものの、2024年にギタリストJack Leggett、ベーシストMatthew Brida、ドラマーBrad Lipsettが加わり遂にデビューアルバムとなる本作を発表した (これまでに11名のメンバーが脱退、再加入を繰り返していた) 。

『New Order Of Mind』は、2019年の『Soul Burn』や翌年の『Saint』 (*いずれもEP) のスタイルとほとんど一緒の楽曲構成、フックで満たされており、大きなサウンドプロダクションの変化などはない。「HYPERREAL DEATH SCENE」「THE HATE YOU TRY TO HIDE」といったリードシングルも2019年〜2020年のDealerからほとんど変わっていない。それだけ先進的なサウンドをコロナ禍前に作り出していたということも凄いが、ほとんど変わっていないにも関わらずやはり細やかなところにDealerのソングライティングの良さが感じられる。「THE HATE YOU TRY TO HIDE」は2分強の短い楽曲であるが、イントロの狂気じみたインダストリアル・サウンドからニューメタルへと自然に繋がっていくところや簡単にビートダウンしない、ひねくれたところは評価出来る。不安的な精神状況を描写するミュージックビデオの数々は見る人を選ぶが、やはり2024年、ニューメタルコア・シーンにとってDealerは無視できないと思う。

 

▶︎Bite Down 『Decolorized』 EP

2019年、スウェーデンのヨンショーピングで結成されたBite DownのサードEP。これまでアルバムリリースはなく、2020年に『Trial // Error』、2022年に『Damage Control』とコンスタントにEP (またはシングル) をリリースし続けている。常にシーンにおいて存在感があり、じわじわとその名を浸透させてきた彼らの最新作は、We Are Triumphantからのリリースされたこともあり、ヨーロッパのみならず、アメリカのアンダーグラウンド・メタルコア・シーンでも注目を集めた。

ミュージックビデオにもなっており、EPのオープニングを飾る「Ynoga」は、ファストで切れ味鋭いチャギングリフをハンマーのように打ち続けていく。そしてほとんどゼロを刻み、転調も全くしないスタイルは、同郷のHumanity’s Last BreathのようなThallっぽさがあるように感じる。「Beautiful Gloom」ではDrop Eのうねるリフに吸い込まれていくような錯覚さえ感じるが、ニューメタルコアとは言い難い、プログレッシヴメタルコアを鳴らしている。良い意味でスウェーデンらしいメタルコアであり、ニューメタルコア・フレーバーを程良くブレンドしているタイプと言えるだろう。

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : Wataru (Sable Hills)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするイベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎WATARU : BEST ALBUMS OF 2023

For the Fallen Dreams 『For the Fallen Dreams』
Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』
Gideon 『MORE POWER. MORE PAIN.』
Wolves At The Gate 『Lost In Translation』
Bury Tomorrow 『The Seventh Sun』
 
▶︎For the Fallen Dreams 『For the Fallen Dreams』
 

Stream & Download : https://arisingempire.com/forthefallendreams
Official Site : https://www.forthefallendreams.com/
 
For the Fallen Dreamsは大きな変化を遂げ、セルフ・タイトル作でカムバックしましたね。WataruさんはこれまでのFor the Fallen Dreamsもフォローしてきていると思いますが、彼らのようなベテラン・バンドが、スタイルチェンジしながら進化していることを一人のミュージシャンとしてどのように見ていますか?またこのアルバムの素晴らしいポイントはどこだと思いますか?
 
バンドメンバーそれぞれの意志を感じて素晴らしいと思います。全くスタイルを変えないアーティストも多く居ますが、それも美しいスタイルだと思っています。まずアルバムタイトル名から熱量が伝わってきますね。”For The Fallen Dreams/For The Fallen Dreams”。かつてのモダンさを残しつつ、最新の音楽性を取り入れていて、よりキャッチーに感じ取れると思います。特にTr.8の”No Heaven”が痺れました。
 

 
▶︎Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』
 

Stream & Download : https://hollowfront.lnk.to/TFOLG
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/hollow-front/
 
Hollow Frontは常に時代の先をいくサウンド・プロダクションで耳の早いメタルコア・リスナーを魅了し続けてきていますよね。ギタリストであるWataruさんがこのアルバムを「ギタリスト目線」で聴いたとき、驚くべきような楽曲、またはフレーズはありましたか?
 
Tr.7の”Breaking Teeth”ですね。かなり衝撃を受けました。始まりから分かりやすい縦ノリの漢リフ、1:29からのパートが特に良かったです。
 

 
▶︎Gideon 『MORE POWER. MORE PAIN.』


Stream & Download : https://gideon.lnk.to/MOREPOWERMOREPAIN
Official Site : https://gideonal.com/
 
Gideonをフェイバリットに挙げる日本のメタルコア・ミュージシャンは多いと思います。特に『MORE POWER. MORE PAIN.』は過去最高傑作と名高いアルバムですが、このアルバムはどんなところが特筆すべき良さだと思いますか?
 
タイトル名の直球感に、彼等のプライドを感じます。Gideonの様なジャンルだからこそ出来る真っ向勝負。このアルバムで彼等の魂からの叫びを感じ取れました。
 

 
▶︎Wolves At The Gate 『Lost In Translation』
 

Stream & Download : https://watg.ffm.to/lostintranslation
Official Site : https://www.wolvesatthegate.com/
 
近年のWolves At The Gateの創作意欲は凄まじく、また多くのミュージシャンからの評価が高いバンドであると思います。日本ではまだその実力が浸透していないようなバンドですが、WataruさんにとってWolves At The Gate最大の魅力はなんだと思いますか?またアルバムの中でお気に入りの曲はありますか?
 
やはりボーカルの圧ですね。太い声質のままハイトーンのメロディを歌い上げる技術を彼は持っていますね。
Tr.6 “Stupid Deep”がお気に入りの曲です。
 

 
▶︎Bury Tomorrow 『The Seventh Sun』


Stream & Download : https://BuryTomorrow.lnk.to/p2FxDc8M
Official Site : https://www.bury-tomorrow.com/
 
Bury TomorrowとSable Hillsは非常に親和性が高いと感じます。メタルコアという音楽の中でもBury Tomorrowは特に長年のキャリアと実力があるバンドだと思いますが、ベテランならでは凄みを感じるアルバム収録曲は何ですか?またBury Tomorrowの本作に限らず、好きな曲やアルバムはありますか?
 
ありがとうございます。本作ではリード曲であるTr.1 “The Seventh Sun”ですね。曲に長年のプライドと貫禄を感じます。過去作では2012年リリースの”The Union of Crowns”の”An Honourable Reign”です。メンバーは変わってますが、渋さを感じるメロディが刺さりました。
 

 

▶︎WATARU : BEST SONGS OF 2023

▶︎Within Temptation 「Wireless」

▶︎Polaris「Fault Line」

▶︎Texas In July「False Divinty」

▶︎Woe,Is Me「Ghost」

▶︎Breakdown of Sanity「Collapse」

Woe, Is MeやBreakdown of Sanityといったメタルコア・ファンにとって耳馴染みのあるバンドからPolaris、Texas in Julyといったトップ・シーンのバンドの新曲がリストインする中、Within Temptationの「Wireless」が入っているのは面白いと感じました。楽曲単体、またはバンドについてでも構いませんので、それぞれの楽曲について感想を聞かせてください。
 
Polarisの「Fault Line」とTexas In Julyの「False Divinty」はライブ前日と当日に必ず聴く曲です。闘志に火をつけてくれます。Woe,Is Meの「Ghost」は、何かの帰り道に必ず聴きます。この曲を初めて聴いたのが、道中の夕方でした。lyricからもどこか寂しさを感じました。Breakdown of Sanityの「Collapse」も闘争心を燃やしてくれます。BoSのリフとビート感、ボーカルワークはかなり中毒性が高く、聴き狂ってしまいます。過去作と比べても本作は気に入っています。Within Temptationの「Wireless」は、女性ボーカルのメタルバンドの中でも1番刺さりました。男性では出せない声質のオーラ、感無量です。僕自身、クリーンボーカルのメロディが映える曲が好きなので、この曲はど真ん中を突いてきましたね。出来る事ならこんな美しい声が僕にも欲しいです笑
 

▶︎Wataru : Social

https://x.com/wataruyuasa
https://www.instagram.com/wataru_yuasa/
 

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : Keita (Sable Hills)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするイベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎KEITA : BEST ALBUMS OF 2023

・Chamber 『A Love To Kill For』
・Gideon 『MORE POWER. MORE PAIN.』
・Dying Wish 『Symptoms of Survival』
・Silent Planet 『SUPERBLOOM』
・Mouth for War 『Bleed Yourself』
 
▶︎Chamber 『A Love To Kill For』

Stream & Download : https://lnk.to/ChamberTN
Official Site : https://chamber615.com/
 
他のSable Hillsのメンバーとは一味違ったアルバムをピックアップしていただけたことは興味深いことです。特にChamberはカオティック〜マスコアを通過したメタルコアでありながらオールドスクールな側面も持ち合わせたアルバムでサウンド・プロダクションも興味深いです。ドラマーとして、このアルバムの良さ、味わい深さはどんなところにあると思いますか?
 
本作もサウンド・プロダクションを手掛けたのが Randy Leboeuf ということもあり、ドライでヘヴィ、そしてモッシーな作品になっていると感じました。元々Chamberの作り出すサウンドが好きなのですが、本作はカオティックな側面とオールドスクールな側面の整合性が更に取れていて、そのバランスが素晴らしいと思いました。ブレイクダウン中のうねるような連続的なテンポチェンジは特筆すべきアプローチだと思います。

 

▶︎Dying Wish 『Symptoms of Survival』

Stream & Download : https://bfan.link/symptoms-of-survival
Official Site : https://dyingwishhc.com/
 
現在の国内メタルコア・シーンでも言えますが、Dying Wishのようなメロディック・スタイルは世界のメタルコア/ハードコアのトレンドになりつつあると感じています。Dying Withは現在の日本のメタルコア・シーンに与えている影響は非常に強いと感じていますので、KeitaさんなりにこのDying Wishの魅力は何か書いてみて欲しいです。
 
Dying Withは、90’s原点回帰の波が世界的に高まるきっかけを作った一つのバンドだと思っています。『Symptoms of Survival』に関して言うと、透き通るようなクリーンパートから血生臭いモッシュパートへの振り幅が大きくそこがとても好きなポイントです。ニュースクール・ハードコア好きであれば唸らないはずはないリフしかない点も素晴らしいと思います。

 

▶︎Gideon 『MORE POWER. MORE PAIN.』

Stream & Download : https://gideon.lnk.to/MOREPOWERMOREPAIN
Official Site : https://gideonal.com/
 
ドラマーとしてGideonのようなタフでヘヴィなグルーヴを持ち味とするサウンドを持つバンドが刺激的なのはとても良く理解出来ます。Sable HillsでのKeitaさんのプレイ・スタイルも確かな技術によって生み出される「グルーヴ」がキーだと思いますが、Gideonの『MORE POWER. MORE PAIN.』におけるグルーヴの心地良さがドラムにあるとして、どんなテクニックやフレーズにしびれましたか?
 
GideonのJakeは自分が最もリスペクトするドラマーの中の1人です。彼の持ち味として特徴的なポイントは、ビートの中に3連符と6連符をアクセントとして入れた上でゴーストノートを多用することで、シンプルなビートでも抑揚を最大限に生み出していくところにあると思っています。そこがGideonのグルーヴの根源になっていると感じますね。特に「Too Much is Never Enough」の0:19~のTrap-Hihat的アプローチは痺れました。

 

▶︎Silent Planet 『SUPERBLOOM』

Stream & Download : https://silentplanet.ffm.to/superbloom
Official Site : https://www.solidstaterecords.com/silent-planet
 
Silent Planetをピックアップされたことは、クラシカルなメタルをルーツに持つSable Hillsにとってあまり繋がりを感じませんが、どうしてこのアルバムをピックアップしたのでしょうか?彼らのほかにプログレッシヴ・メタルコア系のアーティスト聞きますか?加えて、ドラマー目線でこのアルバムを聴いた時、どんな魅力を感じますか?
 
確かにSABLE HILLSはエレクトロ的なアプローチをあまりしませんが、根幹にあるヘヴィネスに対しては親和性があると思っています。ドラマー的観点ですと、音の配置や音色のセンスがとにかく綺麗だと思いますね。音を入れすぎない抜きの美学を感じます。

Silent Planetを筆頭にメタルコアというカテゴリーから超越していく個性派が「エレクトロニック」をキーワードに発展しています。『SUPERBLOOM』も彼らの独自性のキーとも言えるアトモスフィアを、本作でエレクトロニックなものに大胆に置き換えていて、それはリズム、グルーヴにおいても顕著です。ほかにも多くのエレクトロニックなメタルコアを聴かれていると思いますが、Silent Planetの新作の中で衝撃を受けた楽曲などを挙げつつ、エレクトロニックなビートの中で「ドラム」はどんなアプローチが魅力であると思いますか?
 
「Antimatter」に一番衝撃を受けました。まず、バンドの曲なのにバンドのビートから始まらないんだってなりました。エレクトロでよくあるリフレイン的な曲展開の仕方をSilent Planet流に昇華しているのも印象的でしたね。エレクトロニックなビートの中でのドラムの立ち位置は他の音をどれだけ目立たせられるかにあると思っています。あえて叩かないのがイイってことですね。

 

▶︎Mouth for War 『Bleed Yourself』


 
Stream & Download : https://mouthforwarco.bandcamp.com/album/bleed-yourself-2
Official Site : https://www.instagram.com/mouthforwarco/
 
RictさんもMouth for Warの新作をピックアップしていました。バンド内で好きな音楽や最近聴いている音楽を共有したりしていますか?Mouth for Warの魅力と共に、普段のソングライティングでこうした他のバンドからの影響を参考にしていくとき、Sable Hillsらしさとどのようにしてクロスオーバーさせることを心がけていますか?
 
Mouth for Warの魅力はあくまでもメタルコア/ハードコアの枠から外れずともその暴力性がとても高いところにあると思います。ドラムアレンジメントをしていく際にアプローチ方法として参考にすることはありますが、自分がモッシュコア / ハードコアから受けている影響の方が大きいので、その曲に対して自分なりにアレンジしていった結果気づいたらクロスオーバーしているケースの方が多いかもしれません。


 

▶︎KEITA : BEST SONGS OF 2023

 
▶︎Boundaries 「Armageddon」


 
▶︎Dying Wish 「Torn From Your Silhouette」


 
▶︎Foreign Hands 「Conditioned for a Head-On Collision」


 
▶︎Mouth for War 「Saturate Me」


 
▶︎The Ghost Inside 「Death Grip」


 
Foreign HandsやMouth for WarなどのフレッシュなバンドからThe Ghost Insideまで幅広くタフなグルーヴを持つ楽曲がリストインしました。この中でドラマーとして最も驚くべきテクニックを持っていると感じた楽曲はありますか?
 
他パートとのユニゾンなどがあるので前提としてメタルコアやハードコアはドラムのフレージング的にある程度の型があるものなのですが、上記のドラマーは+α自分の色を出しているというか、何か新しいアプローチを試みてるのが感じられるのが素晴らしいと思いました。自分もその1人なので。
 

▶︎Keita : Social

https://x.com/KeitaSableHills
https://www.instagram.com/keita_sablehills/
 

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : Liku (Sailing Before The Wind)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするメタルコア・イベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎LIKU : BEST ALBUMS OF 2023

Invent Animate 『Heavener』
nothing,nowhere. 『VOID ETERNAL』
Void Of Vision 『CHRONICLES』
Hopes Die Last 『Once and for all』
Silent Planet 『SUPERBLOOM』
 
▶︎Invent Animate 『Heavener』


 
Stream & Download : https://inventanimate.komi.io
Official Site : https://www.instagram.com/invent_animate/
 
Invent Animateは現代メタルコア・シーンの中でも特にコアなリスナーを常に驚かせてくれる存在として地位を確立しています。そして『Heavener』はこれまでInvent Animateが追求してきたものをダイナミックに表現することに成功した、名作だと思います。Likuさんはこのアルバムの中で好きな曲はありますか?また、Invent Animateの魅力についてSailing Before The Windのファンの皆さんに教えていただけると嬉しいです。
 
特に好きな曲は”Shade Astray”です、あのブレイクダウンを初めて聴いた時は喰らいすぎましたね。メロもキャッチーですし、正にこのアルバムを象徴する曲だと思います。Invent Animateの魅力は聴いていると宇宙空間にいるかと錯覚してしまうような浮遊感と壮大感。それとギターフレーズの完成度の高さだと思います、本当に全曲の全セクションギターがかっこいい。

 

▶︎nothing,nowhere. 『VOID ETERNAL』


 
Stream & Download : https://nothingnowhere.lnk.to/VOIDETERNAL
Official Site : https://www.instagram.com/nothingnowhere/
 
nothing,nowhere.がリストインしているのは驚きでした。エモラップを出発し、エモ・リヴァイバルの先頭に立つnothing,nowhere.ですが、このアルバムを選んだ理由があれば教えて下さい。また多くのコラボレーターとの共作が収録されていますが、お気に入りの楽曲はありますか?
 
このアルバムを選んだ理由は楽曲のバリエーションの多さです。正直30分越えのアルバムを聴いていると途中で飽きてスキップしながら聞いたり、6曲目ぐらいで辞めてあとの曲は次の日に聴いたりするんですけど…このアルバムは通しでノンストップで聴きましたね。飽きずに聴ける事ってアルバムという作品においてとても大事だと思っています。
 
“TRAG3DY(feat. WILL RAMOS)”がお気に入りです、フィーチャリングパートがきた途端に厳つすぎて最高です。

 

▶︎Void Of Vision 『CHRONICLES』


 
Stream & Download : https://www.angelofdarkness.co/
Official Site : https://www.instagram.com/voidofvision/
 
Void Of Visionは既にメタルコアという言葉では表現することのできない領域へと足を踏み入れ、誰にも真似できないスタイルを『CHRONICLES』で完全に確立しました。ミュージシャンとして、このアルバムの全体的な魅力について教えていただきたいのと、ギタリストとしてこのアプローチの仕方には驚いたなどというフレーズがありましたら、教えて下さい。
 
メタルコア× エレクトロニックというクロスオーバーの一つの完成形がこのアルバムにあたると思っています。ギターに関しては静と動のバランスが絶妙で、所謂メタルコア的なセクションではしっかりとリフで押し出して、それ以外のセクションではバックで土台を支える事に徹してる。これって意外に難しい部分なんですよね。

 

▶︎Hopes Die Last 『Once and for all』
 

 
Stream & Download : https://spoti.fi/41Sjt9O
Official Site : https://www.instagram.com/hopesdielastofficial
 
Hopes Die Lastは日本でも多くのファンを持つベテラン・メタルコア/ポスト・ハードコア・バンドです。彼らの復活は世界中で話題になりましたし、ソーシャル・メディアでは来日を望む声も多く聞こえてきました。そのスタイルは決して最先端のものではないですが、非常に完成度の高いアルバムだと思います。Likuさんはいつ頃からメタルコアを聴いていましたか?Hopes Die Lastを聴き始めた頃の思い出や、今回のバンド復活について何か思うことがあれば教えて下さい。
 
メタルコアを聴き始めたのは17歳の時です。高校の軽音部でバンドをやっていてその時の顧問にDream TheaterやEPICAを聞かされて、そこからヘヴィミュージックを色々ディグってメタルコアに辿り着きました。最初は日本のメタルコアバンドを聴いていて徐々に海外のバンドを聴くようになってましたね、Hopes Die Lastを知った時もその頃でした。
 
一度活動が止まったバンドがまた息を吹き返すのって本当に奇跡的な事だと思うので(しかも最高の新譜を引っ提げて)ただひたすらに嬉しかったですね。

 

▶︎Silent Planet 『SUPERBLOOM』


 
Official Site, Stream & Download : https://silentplanet.ffm.to/superbloom
 
Silent PlanetはInvent Animateなどと共に、メタルコアが持つ可能性を拡大しているクリエイティヴなバンドとしてミュージシャンからの評価が非常に高いバンドだと思います。本作のサウンド・プロダクションもメタルコアという言葉だけでは表現できない多様性に富んでいますが、このアルバムの良さについて思うことがあれば教えて下さい。
 
Silent Planet節を爆発させつつもしっかりと新しい要素を入れた、正しく正統進化なアルバムになっていると思います。最後の2曲のドラマチックな展開も聴きどころです。
 

▶︎LIKU : BEST SONGS OF 2023

▶︎The Plot In You「Left Behind」

▶︎Hollow Front「Letting Go」

▶︎Soulkeeper「Holy Design」

▶︎Miss Fortune「Black Pixie(On The Edge)」

▶︎Falling In Reverse「Watch The World Burn」

SoulkeeperやHollow FrontといったバンドがThe Plot In Youと共にリストインしているのは非常に納得がいくというか、Likuさんのメタルコア趣味が感じられる選出であると感じました。Miss FortuneやFalling In Reverseといった一見、Sailing Before The Windとはまた違ったスタイルのバンドもリストに入っていますが、これらの楽曲を選んだ理由についてそれぞれの楽曲の良さ、ポイントについて触れながら感想を教えてください。
The Plot In Youの”Left Behind”は確実に2023年の名作でした、本当に一度聴いただけで次に聴くときには思わず口ずさんでしまう。かなり叙情的で内省的な歌なので歌詞にも注目するとより楽しめると思います。アルバムの期待感MAX。
Hollow Frontの”Letting Go”は2022年に”Comatose”がリリースされた時以来の衝撃でした。前作からかなり色々な出来事があったバンドですが、これからも素晴らしいものを生み出していって欲しいと思っています。
Soulkeeperの”Holy Design”を初めて聴いた時は「えぇ…」って普通に引きましたね笑、「こんな曲作り出す人間いるのか」ってなったのを覚えています。でもちゃんとかっこいいんですよね、ボーカルも曲に負けてないですし。
Miss Fortuneは今まで曲を聴いたことがなかったんですがこの曲で完全にファンになりましたね、やっぱりハイトーンボーカルは大好きです。あとギターリフが物凄くシンプルでしっかり耳に残るけどまったくくどくないのも最高ですね。
Falling In Reverseはもう確実に彼等にしかできない音楽性にたどり着きつつあると思います。YouTubeにこの曲のライブ映像があるので是非そちらもチェックしてみて下さい、ライブアレンジが最高すぎるので。

 

▶︎Liku : Social

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : UEDA (Sable Hills)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするイベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎UEDA : BEST ALBUMS OF 2023

The Word Alive 『Hard Reset』
Crown The Empire 『DOGMA』
Bury Tomorrow 『The Seventh Sun』
Of Mice & Men 『Tether』
Void Of Vision 『CHRONICLES』
 
▶︎The Word Alive 『Hard Reset』
 

 
Stream & Download : https://orcd.co/hardreset
Official Site : https://www.wearethewordalive.com/
 
The Word Aliveは長年のキャリアを通じて一貫した魅力を持った実力派ですね。これまでリリースされてきたThe Word Aliveのアルバムに比べてこの『Hard Reset』にはどんな特筆すべき魅力があると思いますか?
 
『Hard Reset』は、The Word Alive is Dead…」から始まるとてもメッセージが強い作品ですよね。古くからのファンはもちろん、新しい世代のメタルコアファンにも確実に刺さる一枚になっていると思います。個人的にはアルバムラストを締めくくる「War With You (feat. From First To Last)」にかなり胸を打たれました。

 
▶︎Crown The Empire 『DOGMA』
 

 
Stream & Download : https://riserecords.lnk.to/DOGMA
Official Site : https://www.crowntheempire.net/
 
『DOGMA』はCrown The Empireの歴史において、またメタルコアの歴史においても非常に刺激的でチャレンジングなサウンド・プロダクションが注目され、ヒットしましたね。このアルバムの魅力は何だと思いますか?またお気に入りの楽曲などはありますか?

どの曲もかなりパンチが効いているのですが、アルバムを通して聴いても最後まで飽きずに聴けちゃうところですかね。胃もたれしそうだけどしない感じというか。Crown The Empireというバンドの良いところをより凝縮した一枚かと思います。中でも「Someone Else」が特にお気に入りです。他の楽曲と比べてシンプルかつ軽快なリズムワークが際立ってフックになり印象に残っています。

 
▶︎Bury Tomorrow 『The Seventh Sun』
 

 
Stream & Download : https://BuryTomorrow.lnk.to/p2FxDc8M
Official Site : https://www.bury-tomorrow.com/
 
Wataruさんがピックアップされていたのと同様、Bury Tomorrowは世界中のメタルコア・ミュージシャンにとって多くのヒントを与えてくれるようなクリエイティヴなダイナミズムに溢れた快作です。ベーシストとして、特に衝撃的だったフレーズや楽曲は何かありますか?
 
メタルコア・バンドにおいてベーシストの立ち位置に関して、実は難しいものじゃないかと考えています。というのも、ベースを弾く事以外に求められるものって実は多いのかなと。自分の場合はそれがシャウトでのコーラスだったりパフォーマンスだったりするのかな。Davydのベースプレイはとてもダイナミクスがはっきりしていて休符と音を伸ばすところの使い分けが上手いなと。特に今回のアルバムの中だと「The Carcass King (feat. Cody Frost)」ではそのメリハリがあるベースプレイが楽しめると思います。ライブでのパフォーマンスもカッコよくて目がいってしまいますね。

 

▶︎Of Mice & Men 『Tether』
 

 
Stream & Download : https://ofmicemen.bfan.link/tether-1
Official Site : https://www.ofmiceandmenofficial.com/
 
Of Mice & MenはUEDAさんがSable Hillsに加入する前 (Ocean From The Dead Screamメイン時代) の2000年代後期からトップシーンで活躍し、スタイルチェンジを遂げてきたベテランですよね。このバンドはUedaさんにとっても思い入れのあるバンドであると思いますが、他の作品と比べて『Tether』で聴くことが出来る特筆すべきポイントなどはありますか?
 
もともとその時代のトレンドを取り入れるのが得意なバンドだと思っています。ボーカルがAaronに代わり、しばらくの間ベース/ボーカルだったのも印象に残っています。全体を通してモダンに仕上がった作品ではあり、Of Mice & Menというバンドの良さを詰め込んだ一枚だと思います。ボーカルワークは特に侘び寂びを感じます。

 
▶︎Void Of Vision 『CHRONICLES』
 

Stream & Download : https://vov.lnk.to/angelofdarkness
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/void-of-vision/
 
Void Of Visionは言うならば、メタルコア・シーンの革命児とも言うべきフレッシュでクリエイティヴな存在でこの『CHRONICLES』シリーズもジャンルの枠にとらわれない作品でした。ミュージシャンとして、確立してきたスタイルを変化させる怖さや葛藤は常に抱えていると思います。そうした背景も考えつつ、Sable Hillsで挑戦してみたいスタイルや参考にしたいバンドはいますか?
 
SABLE HILLSの印象って、ギターリフが主体のメタルバンドという印象を持たれることがかなり多いと思います。例えば、その中でアルバムをリリースした際に、『CHRONICLES』の楽曲のような電子音やローチューニングのヘヴィなリフやブレイクダウンを中心に進行して楽曲があっても面白いのかなと。『INTO THE DARK』のようなメロディーもありつつしっかりヘヴィに落とし込むような楽曲があっても面白いのかなって。ライブ映えもしそうですしね。

 

▶︎UEDA : BEST SONGS OF 2023

▶︎Attila 「Handshakes with Snakes」

 

▶︎If I Were You 「Downfall」

 

▶︎The Devil Wears Prada 「Salt」

 

▶︎Annisokay 「Human」

 

▶︎thrown. 「Guilt」

Attilaがリストインしたことは、Ocean From The Dead ScreamからのUEDAさんのファンとして、とても嬉しいことです! ほかにもthrownといったニュー・メタルコアと呼ばれる新鋭バンドなども入っていますが、これらの楽曲について、またはバンドについて教えて下さい。
 
Attilaは特に生き様が強く感じられるバンドかなと。今回挙げさせてもらった「Handshakes with Snakes」はインロトのヘヴィなリフに対してガッツリラップを載せていくFronzのボーカルスタイルが炸裂している作品ですよね。歌詞なんかも多分リアルなんだろうなと。笑
 
If I Were You、The Devil Wears Prada、Annisokayに関しては割と初期の頃からよく聴いていました。どのバンドも一貫して表現方法は変われど、自分たちのスタイルを貫いているバンドだなと印象を受けます。原点を大切にしているというか、初期衝動というか。そういったものを強く感じさせられました。
 
thrown関してはちょっと特殊で、自分がタトゥーが好きで、それをディグっている時にVoのMarcusのアカウントを見つけて、そこから彼の前バンドGrievedを聴き始めるって流れでした。ちょうどその時ピンボーカルでのライブがあったりでスタイルを参考にさせてもらったりとか。しばらくしてthrown.を知った時に「あれ、こののボーカルって…」って思ったくらい印象に残ってました。thrown.でも力強い声を聴けて嬉しく思います。
 
どんなバンドでもその人のライフスタイルだったり、初期衝動が強く滲み出るようなバンドやプレイヤーってすごくかっこいいなと思って、特にライブを見る時はその人がどういうものを持って演奏に望んでいるんだろうかというのは気にしています。特に印象に残るプレイヤーってどんな形であれ自分のスタイルや信念を持っている人が多いと思っていて、そういう人って年齢や性別、国籍問わずかっこいいんですよね。とにかく何かが滲み出てるプレイヤーは無意識にチェックしてしまいます。僕自身もそれを感じさせるプレイヤーになりたいなと思います。
 

▶︎UEDA : Social

https://twitter.com/ueda__sh
https://www.instagram.com/ueda_sh/

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : Kosuke (Sailing Before The Wind)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするメタルコア・イベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎KOSUKE : BEST ALBUMS OF 2023

Veil Of Maya 『[m]other』
Bleed From Within 『Shrine』
Auraborn 『Incandescent』
Cliffside 『Deeper Water』
Rise to Fall 『The Fifth Dimension』
 
▶︎Veil Of Maya 『[m]other』
 

 
Stream & Download : https://sumerian.lnk.to/Mother
Official Site : https://www.instagram.com/veilofmayaofficial
 
Veil Of Mayaの『[m]other』がリストインしているのは非常にKosukeさんらしいと感じました。Sailing Before The Windだけでなく、Kosukeさんの音楽活動の中でもVeil Of Mavaの影響を感じる瞬間が多いと感じます。ギタリストとしてこのアルバムの素晴らしさについて教えて下さい。また、この曲のこのフレーズに衝撃を受けたなどあれば教えて下さい。
 
このアルバムは、ここまでVeil of Mayaが試行錯誤してきたものを咀嚼して作り上げた総集編的な内容にも感じます。ギター弾きの目線では一聴してMarc Okuboだと分かるフレーズの音遣いに強い説得力を感じていて、今作でも独特なメロディラインのフレーズに効果音的なフレーズまで必殺技のオンパレード。Tr.3 2:19~、Tr.7、0:57~、Tr10 2:48~に代表されるような、弦を一本チョーキングアップ/ダウンして鳴らすのをリフに混ぜる、というシンプルな方法ですら「Veil of Mayaらしさ」にしてしまうあたりにヒーローたる所以を感じます。

衝撃感で一つ挙げるとTr.6 「Disco Kill Party」の2:22~のセクション、比較的ポップな曲にこういうギミックが入っていると上がりますね。前作のTr.2 「Fracture」でも思いましたけどライブで弾くときどうしているのだろうと思ってしまうメリハリ具合に打ちのめされます。

 

 

▶︎Bleed From Within 『Shrine』
 

 
Stream & Download : https://bleedfromwithin.bfan.link/shrine-deluxe.yde
Official Site : https://www.bleedfromwithin.com/
 
Bleed From Withinは2023年にLOUD PARK で来日も果たし、『Shrine』の素晴らしさをライブでも体感し衝撃を受けた日本のメタル・ファンも多いはずです。彼らはメタルコアを出発して、今ではその枠に留まることのない存在へと成長していますが、長年彼らを見つめてきて、このアルバムはBleedFromWithinにとって、どのようなアルバムであると感じましたか?
 
メタルコアバンドがルーツである広いメタルのシーンで評価されることは文脈的には自然に聞こえる反面、得体の知れないハードルの高さを感じることがあります。そんな中で”Shrine”はBFWが「メタルにルーツのあるメタルバンド」であるということをより明確に訴求するものになったのかなと。でも決してこれまでやってきたことをかなぐり捨ててやっているわけではなくて、1stアルバムのHumanityから陸続きの音楽でそれを成し遂げているように感じられることにファンとして嬉しさも感じます。ほかのメタルコアバンドがあまり持ってない独特なダークさが魅力で、そこがメタル/メタルコアファン双方に一層刺さったように思います。

 

▶︎Auraborn 『Incandescent』
 

 
Stream & Download : https://linktr.ee/auraborn
Official Site : https://www.facebook.com/aurabornUS/
 
読者の中にはAuraborn というアーティスト、そして『Incandescent」という作品をKosukeさんのリストをきっかけに聴かれる方がほとんどだと思います。プログレッシヴ・メタルコア、いわゆるDjent的なバンドですが、このバンド、そしてアルバムの魅力を教えて下さい。
 
ベースはDjentなメタルコアサウンドですが、要所で2000年代近辺にいたプログレメタルっぽさを感じる瞬間があり、そのバランス感覚にグッときました。Regrowthの中盤のボコーダー風アレンジとかが非常に分かりやすいですけど、それ以外に単音系のギターフレーズも時折プログレメタル由来に感じるものが含まれているのを聞くたび発見していて、引き続きチェックしていきたいですね。

 

▶︎Cliffside 『Deeper Water』
 

 
Stream & Download : https://td.cliffsideofficial.com/DW
Official Site : https://www.instagram.com/cliffsideofficial
 
Cliffside の「Deeper Water』は、古典的なメタルコアが下地にありながらも、非常に挑戦的なギターのフレーズ、サウンド・プロダクションが印象的なバンドです。彼らの個々の技術の素晴らしさはもちろん、一聴することで感じられると思いますが、ミュージシャン目線でこのアルバムの素晴らしさ、Cliffsideの素晴らしさについて教えてください。
 
メタルコア好きな方なら「あの時期」のERRA的なバイブスを強く堪能できると思います。それでいて単なる模倣にならず12曲のアルバム尺に纏める探求力が半端ないと感じました。ギターソロの雰囲気とかツボを完全に抑えていて思わずニヤけるレベル。技量にも富んでいますし、今後何を作るのか期待感が高まります。

 

 

▶︎Rise to Fall 『The Fifth Dimension』
 

 
Official Site, Stream & Download : https://risetofall.bandcamp.com/album/the-fifth-dimension
 
Rise to Fallの『The Fifth Dimension』がリストインしたのには”らしさ”を感じましたし、Sailing Before The Windにも通ずるメロディック・デスメタル〜メタルコアのブレンド感が素晴らしい作品だと思います。多くの素晴らしい楽曲が収録されていますが、特に好きな楽曲はありますか?またその理由があれば教えて下さい。
 
一層ギターのメロディで訴えるスタイルの楽曲が映えているのを感じています。その中でもTr.2HierophantやTr.3 Intruderのような曲が好みで、アルバムの顔として機能しているのかなと。ブレイクダウンを入れるところがないぐらいメロディとリフに重きを置いた「Theメタル」然とした作風で、ギターソロもバチっと決める姿勢に原初のメタルコアを感じてただリスペクトです。
アルバム通してSABLE HILLSのメタル性にもリンクする瞬間が多いように思うので、このインタビューを読んでいる方にはストライクなアルバムじゃないかと思います。

 

▶︎KOSUKE : BEST SONGS OF 2023

想像していたリストとは違い、それぞれが革新的な魅力を追求しているクリエイティヴな多くリストインしています。普段、どのように新しい音楽を見つけていますか?また、これらの楽曲についてそれぞれ良かったポイントやこんなバンドが好きな人におすすめなバンドなど、教えてもらえたら嬉しいです。
 
Spotifyなどストリーミングサイト+インターネット検索の2本柱です。
ストリーミングサイトの発達で特に意識しなくても新たなリリースを簡単にチェックできるようになったのは大きく、反面浮いた時間をRedditなり流れの海外サイト徘徊に割り当てています。検索は海外のGoogleから例えばラフに”Metalcore New release”程度のワードで探し始めることが多くて。特にサイトを決めず探すことも多く正直効率は良くはないですけど、ジャケ買い的なイレギュラー感を楽しむ感じがいいのかなと。頻度も月~回~時間なりに時間を絞って、惰性で探さずメリハリをつけます。
 
▶︎Monuments 「Nafarious」

近年徐々に作風を聞きやすい方向性にシフトしてきたMonumentsでしたが、その流れの一つの到着点のように感じました。Aメロ~サビまで最小構成の展開が終始キャッチーで非常に驚きつつも、Monumentsらしいバウンシーなギターワークは初期から不変。今のバンドの強みが何で、そのうえで何を変えて何を保持するかの棲み分けがとても明確になされているのかなと。その観点で行くとfeatボーカル常連となったAndy Cizekの貢献が著しいように思います。近年ではMick Gordonが制作に関わったり、衣装の雰囲気を揃えたりと新しい要素も取り入れているあたりに勝負に来ているような感じを受けていて、今後が一層楽しみです。
 
▶︎Texas In July 「Put To Die」

Bloodworks以来の冒頭オクターブフレーズに復活を強く意識させます。近年増えてきた復活バンドの中には曲調をダーク路線に寄せるなど方向変換する一方、そのままパワーアップして復活してくれたことがファンとして何より嬉しいですね。EP全編通してリフで攻めるメタルコアとして最高ですが、ヘヴィ過ぎるブレイクダウン一発で有無を言わさない説得力に食らったためこの曲を加えました。
 
▶︎Decolorize 「Moths」

アリゾナ発プログレッシブメタルコアなんですが、妙に日本人の琴線に響きそうなピアノワークがツボに刺さり聞いていました。SpotifyのバイオによるとJ-Rockやゲームに影響を受けているらしいので納得。成立するかギリギリラインのメロディを積むプログレッシブな展開で流れを変えて、初期Invent Animate的な情緒のあるラストで締める展開も心地よいです。実はIAフォロワー的なバンドの候補をいくつか用意していたのですけれど、曲の中で必要性があってそこに帰着しているのはDecolorizeだけに感じたので選びました。
 
▶︎SEEING THINGS 「Soulkiller feat. Grapefruit Astronauts」

同郷チェコ同士でタッグを組んでの1曲。以前からどちらも好きで聴いていたのですが音楽性が違うので予想外なfeatでした。SEEING THINGSのヘヴィグルーブ+キャッチーさにfeatのリードプレイが抜け目なく絡み合っていて攻守最強な仕上がり。1:43~のクリーンギターアレンジも普段のSEEING THINGSにはなさそうな手法ですね。自分のようなニューメタルコア系に若干の苦手意識を感じる人にこそ薦めたいですし、Grapefruit Astronautsの同年リリース”RAMEN62”もAALライクなインスト曲がお好みであれば要チェックです。
 
▶︎SAVE US 「Drift」

DreamboundのYouTubeチャンネルでたまたま見たのがきっかけです。曲のド頭でボーカルからシーケンスまで持っている全要素を出し切って引き込んで、世界観で最後まで聞かせるスタイルに面白さを感じました。ストリーミング対策的な側面もあってそういう構成なのかもしれないです。ちなみに不思議なのが曲を出すたびに過去リリース曲と合わせてEPの形式でリリースしていて。何かしら戦略的なものを感じていて意図が気になります。
 

▶︎KOSUKE : Social

https://solo.to/kosuke3002

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : RICT (Sable Hills)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするイベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎RICT : BEST ALBUMS OF 2023

Fallen Joy 『The Reborn』
Svalbard 『The Weight of The Mask』
Currents 『The Death We Seek』
Orbit Culture 『Descent』
Mouth For War 『Bleed Yourself』
 
▶︎Fallen Joy 『The Reborn』


Stream & Download : https://fallenjoy.bandcamp.com/album/the-reborn-lp
Official Site : https://fallenjoy.com/en/
 
リストのトップに挙げられているのは、フランスのメロディック・デスメタル・バンド、Fallen Joyでした。2008年に結成された、比較的新しいバンドですね。正統派メロデスとも言うべきツインリードの壮大さが際立ったアルバムですが、このバンドはどのように発見したのでしょうか?またギタリストとしてこのアルバムの聴きどころなどがあれば教えてください。
 
ちょっと前にSpotifyでマイナーメロデスをやたらディグってる時に見つけたバンドで、その時にはもう活動していなかったんですが、今年復活作としてアルバムをリリースしていて、その出来が信じられないくらい良かったので選びました。聴きどころとしては、痛快なまでのリフとメロディのオンパレード。フランス出身だからか、いわゆるスウェーデン、フィンランドなどの北欧出身のメロデスよりも雰囲気がだいぶ明るいことも特徴です。このアルバムを聴いていると、自分はこのままメタルギターを聴き続けて生涯を終えるのだとワカラされます。令和に出るはずのなかった時代錯誤の大名盤だと思います。

▶︎Svalbard 『The Weight of The Mask』


Stream & Download : https://svalbard.bandcamp.com/album/the-weight-of-the-mask
Official Site : https://linktr.ee/Svalbardhc
 
Svalbardの新作は幅広いメタル・シーンでとても高い評価を得たアルバムとして、様々な2023年の年間ベスト・アルバムでもピックアップされているのを見かけます。シューゲイズやクラスト/ハードコアの影響もあるバンドですが、メタルコア意外にもこのようなバンドをチェックしているのですか?また、Svalbardを知らないSable Hillsリスナーに入門曲としておすすめしたい楽曲があれば教えてください。
 
正直その手のジャンルはあまり聴いてこなかったんですが、このアルバムに関してはその枠だけに収まらず広くメタルとして見ても素晴らしいもので、自分にはとても刺さりました。哀愁の中に、時折疾走する箇所やヘヴィな箇所があり、Convergeっぽさを感じつつも、オリジナリティに溢れた楽曲ばかりで最高です。まずは先行シングルで出ていた「Eternal Spirits」、「Faking It」が聴きやすいと思います。

▶︎Currents 『The Death We Seek』

Stream & Download : https://bfan.link/remember-me-2
Official Site : https://currentsofficial.com/
 
Currentsが現代メタルコアにおいて非常に重要な立ち位置にあるバンドであり、『The Death We Seek』はこれまでのCurrentsが培ってきたスタイルに加え、多くのクリエイティヴな挑戦、変化の見える革新的なアルバムです。ギタリストとして驚くべきフレーズやリフなどはありましたか?そのほかに特別な思いがあればお聞かせ下さい。
 
ギタリストであるChris Wisemanの作るフレーズにはいつも驚かされてばかりです。初期からずっと聴いているバンドですが、スタイルを崩さずにプログレッシブ・メタルコアを貫き通して、でもその中に新しさを見出そうとしている姿が素晴らしいと思います。歴が長くなるにつれて尖りがなくなっていくバンドが多い中で、彼らはずっとテクニカルなリフを弾き続けています。トゥルー。

▶︎Orbit Culture 『Descent』
 Stream & Download : https://orbitculture.bandcamp.com/album/descent
Official Site : https://www.orbitculture.com/
 
Orbit CultureはおそらくSable Hillsのメンバーの誰か必ずピックアップしてくれると想像していました。非常に古典的なメロディやスケールを持ったサウンドが印象的ですが、Sable Hillsと重なるところが多いと思います。世代的には同世代だと思いますが、Orbit Cultureの魅力的なところはなんだと思いますか?
 
彼らの魅力はオーセンティックなメタルなのに新鮮な雰囲気を持っているところだと思います。クリーンボーカルのメロディはもはやMetallicaを感じる箇所もあったり、楽曲からはメロデスやヴァイキングメタルなどの影響も伺えます。色んなメタルのエッセンスを全て混ぜ合わせて、新しいスタイルを確立していると感じます。メタルコアではなく、メタルで新しい風を感じたのがグッと来ました。

▶︎Mouth For War 『Bleed Yourself』


Stream & Download : https://mouthforwarco.bandcamp.com/album/bleed-yourself-2
Official Site : https://www.instagram.com/mouthforwarco/
 
Mouth For Warの『Bleed Yourself』がリストインしてくるとは驚きでした。普段はどのように新しいバンドをチェックしたり、次のお気に入りを探していますか?彼らのようなタフなスタイルを今後Sable Hillsにも取り入れる可能性はあったりするのでしょうか?
 
最近は基本Spotifyでしか新しいバンドを探していないですね。気に入ったバンドの関連アーティストやプレイリストをサーフィンしています。近年は彼らのようなタフなハードコア・メタルコアが非常に増えてきて、個人的にもはや流行りと言っても良いのかなと思っています。ただ飽和しつつある中でも、彼らのリフからはメタルからのバイブスを感じられて少し特徴的です。バンド名がPantera由来なことからもそれが伺えます。自分はメタルのハートを持って別のジャンルをやっているバンドがアティテュード的にすごく好きです。一周回ったメタラーが1番かっこいいんですよね。Sable Hillsがここまでタフなスタイルに移行することはないですが、スポットでリフやブレイクダウンにそのエッセンスを感じることは今後あるかも知れません。

 

▶︎RICT : BEST SONGS OF 2023

▶︎Texas In July 「Put To Death」

 

▶︎Boundaries 「Bedlum」

 

▶︎Any Given Day 「Get That Done」

 

▶︎Dead Icarus 「Sellout」

 

▶︎Downswing 「Bound To Misery」

バラエティに富んだ選曲でありながらも一貫性が感じられるリストだと感じます。そしてどれもギタリスト目線から聴くと、一味違った聴こえ方が出来るような楽曲であるように思います。楽曲単体についてでも、またはバンドについてでも構いませんので、それぞれの楽曲について教えて下さい。
 
Texas In Julyは、自分の人生において非常に重要なバンドで、解散してからもずっと聴き続けていたので、思い出補正も兼ねて復活作から1番お気に入りの曲を選びました。
 
Boundariesは先ほど言及したタフなハードコア・メタルコアの筆頭だと思いますが、この曲はその中でも秀でて良かったなと思いました。
 
Any Given Dayはオーセンティックなメタルコアをそのままやっていて目新しさはあまりないんですが、Killswitch EngageのHoward Jonesを彷彿とさせるクリーンボーカルが本当に良いです。みんなAny Given Day舐めすぎです。
 
Dead Icarusはex-Atreyu のAlexが今年始めたバンドですが、デビューシングルの曲名がSelloutで、曲もトゥルーなメタルコアで、現在のAtreyuへのアンチテーゼになっているのが痛快で良かったです。楽曲そのものの良さというより舐達磨のビーフ曲的な良さですね。
 
Downswingは誰が聴いてもブチ上がれるIQを必要としない感じが良くて選びました。前作のEPはもっとメタルコアしてて個人的にはそっちの方がより好みでしたが、今作も今作で良いです。FeaturingがAVOIDなのもニューエイジ感あって良いですね。
 
アルバムの方であまりメタルコア挙げなかったのでこっちは意図的に増やしています。またリストを送った後に思い出しましたが、Sentinelsの新EPから最初に出してたGlitchという曲は今年一レベルで良かったです。

▶︎RICT : Social

https://x.com/metalwarmachine
https://www.instagram.com/metalwarmachine/

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : RYOICHI (Sailing Before The Wind)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするメタルコア・イベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎RYOICHI : BEST ALBUMS OF 2023

August Burns Red 『Death Below』
A Mourning Star 『A Reminder of the Wound Unhealed』
Dying Wish 『Symptoms of Survival』
Currents 『The Death We Seek』
Graphic Nature 『A Mind Waiting to Die』

▶︎August Burns Red 『Death Below』


 
Stream & Download : https://found.ee/DeathBelow
Official Site : https://augustburnsred.com/
 
August Burns Redの『Death Below』は、多くのメタル・メディアでも絶賛されています。長年に渡り世界のメタルコアを牽引する存在として、大きくスタイルを変えることなく活動を続けているところは、Sailing Before The Windの活動スタイルにも重なる部分があります。このアルバムで特に「August Burns Redらしい」と感じた楽曲、またはフレーズはありましたか?
 
文句無しの傑作だと感じました。楽曲というよりアルバム全体を通して彼らの矜持を感じます。August Burns Redはメロディックメタルコア+αでいう「+α」の塩梅を楽しむのがミソだと思うんですが(そこもうちのスタイルと重なりますし)、今回はその塩梅がアルバム全体で聞くとバランスがいい感じになってるのが面白いです。
 
序盤からプログレばりの長さの曲があったり、曲単位で存在する”ABRらしさ”は変わってないのに、もちろんクリーンボーカルの導入も大きいとは思いますが、どこかスルスル聞けてしまうキャッチーさも兼ね備えてるというか。結果August Burns Redらしさを損なう事なく、ちゃんと進歩進化してる感触があるのが単純に凄い。

 

▶︎A Mourning Star 『A Reminder of the Wound Unhealed』


 
Stream & Download : https://dazestyle.bandcamp.com/album/a-reminder-of-the-wound-unhealed
Official Site : https://www.instagram.com/amourningstar.vhs/
 
A Mourning Starの『A Reminder of the Wound Unhealed』からはSailing Before The Windが活動をスタートさせた2010年代初頭のころによく聴いた、懐かしいスタイルのメタルコアです。ボーカルのスタイルはRyoichiさんのスタイルにも重なるところがあるように感じます。ボーカリストとして、A Mourning Starの特筆すべきポイントなどはありますか?また、おすすめの楽曲などあれば併せて教えてください。
 
単細胞メタル小僧だった10代の時期に、地元・沖縄の諸先輩方に00年代初頭のニュースクール/メタルコアや90年代ミリタント系の音源を「メタラーならきっと気に入るよ」と沢山ピックアップしてもらって、そこでメタルとハードコアの補助線が引けて本格的に音楽を聞くのが楽しくなったので、今でもピンポイントで好物ですし、国内含めて昨今のリバイバルの雰囲気も嬉しいです。
 
ボーカルスタイルは特に意識した事はなかったんですが、言われてみたら自分の中のアングラ的原点なので、無意識の中で出てるのかもしれないですね。今作は前作のEPより更にメタルコア感と叙情派ニュースクール味が増してて、まさに”ジャンルのマップ作り途中”みたいな人にうってつけのアルバムだと思いました。と、それっぽく御託を並べましたが正直ほんとにただ好きなだけですね。トラック2の「Corruption」がお気に入りです。

 

▶︎Dying Wish 『Symptoms of Survival』


 
Stream & Download : https://bfan.link/symptoms-of-survival
Official Site : https://www.instagram.com/dyingwishhc/
 
Dying Wishの『Symptoms of Survival』はここ日本でも大きな話題となり、メロディック・メタルコア/ハードコアのムーヴメントのキーとも言える作品であると思います。実際に日本のメタルコアの中心で活動を続けている中で、Dying Wishの影響を感じる日本のバンドがいたりしますか?また、特に好きな曲などあれば教えてください。
 
いい意味でいいとこ取りのようなバンドで、ヘヴィーパートオンリーの曲、メロデスライク、もしくはフューリーエッジスタイルの単音リフで攻め攻め系の曲もあれば、不協和音リフワークにキャッチー過ぎないクリーンボーカルで初期Solid State Records系の雰囲気も醸したり、と思ったらブレイクダウンがモダンでソリッドになったりと、ごった煮系ってともすればダサかったり、あざとくなりやすいと思うんですけど、奇跡的にかっこよくまとまってるなと感じました。
 
こっからいい意味でも悪い意味でも垢抜けていくバンド多いと思うんですけど、このまま突き抜けて昇華してほしい感じです。見当違いだったら申し訳ないんですが、Graupelとか曲によっては近い事してる時たまにありませんでしたかね?もっとファストでメロディックだし、時期的に影響とかではないとは思いますが。モダンな部分と往年のスタイルをセンスよく行き来するバンドが日本でも更に増えてくれたら楽しいですね。「Watch My Promise Die」が特に好きな曲です。

 

▶︎Currents 『The Death We Seek』


 
Stream & Download : https://bfan.link/remember-me-2
Official Site : https://www.instagram.com/currents/
 
Currentsの『The Death We Seek』はSable Hillsのメンバー達もフェイヴァリットに挙げており、このアルバムは世界のメタルコア・リスナーを虜にしました。一概に「メタルコア」という言葉では形容できないほど、多様なアレンジや工夫が感じられる作品ですが、ミュージシャンとして彼らのサウンド・プロダクションなどで驚いたこと、学びがあったと思うところはありますか?
 
こういうヘヴィーシットメリハリ系モダンメタルコアは珍しくはなくなりましたけど、おっしゃるとおりその他大勢のワナビーバンドから頭抜けた感じがありまね。全体に薄っすらと鳴り続けてるエレクトロ、シンセエフェクトも何だか独特で、個人的にはむしろメリハリを希釈する方向に持っていってるように感じました。
 
この手のバンド特有のブルータリティーと綺麗なクリーンボーカルの極端さをあまり強調しないというか、そのお陰で独自の荘厳感も出ててかっこいいですね。ボーカルのスクリームも非常に乾いたテイストで好みです。流行ってて沢山似たタイプのバンドがいるのもあって飽きるのも早いバンドが多かったですが、このアルバムは長く聞けそうです。

 

▶︎Graphic Nature 『A Mind Waiting to Die』

Official Site, Stream & Download : https://music.ruderecords.com/amindwaitingtodie
 
Graphic Natureは発展し続けるニュー・メタルコア・シーンの中でも、正統派として高く評価されています。Ryoichiさんはヒップホップなどもお好きだと思いますが、メタルコアにないグルーヴを取り入れているバンドも近年は多く、Graphic Natureの『A Mind Waiting to Die』にもそういったパートが組み込まれています。この作品に惹かれた理由は何かありますか?
 
ニューメタルコアって超絶ざっくりLinkin Park系かSlipknot系に分けられると思うんですけど、彼らはもちろんSlipknot系で”初期Slipknotのブチギレ感をそのままに、UKっ子らしくインダストリアルデジタルバイブス濃いめにしてモダンメタルコアで割りました!”みたいな完全に開き直ったスタイルがとても好ましくて好きですね。申し訳程度に入ってるワーミーリフとかDJスクラッチ、ドラムンベースも素直というか、衝動とやってみたい事がまんま音に出てるので、小賢しいことは抜き!熱けりゃオッケー!という気持ちに。
 
もしかしたらこの中で1番自然と手が伸びる回数が多かったアルバムかもしれないです。とりあえず聞きながら家を出る、みたいな。

 

▶︎RYOICHI : BEST SONGS OF 2023

▶︎Texas In July 「False Divinity」

 

▶︎Balmora 「Under the Weight of a Blackened Sky」

 

▶︎Beartooth 「Riptide」

 

▶︎Morning Again 「Resignation」

 

▶︎Unearth 「The Wretched;The Ruinous」

Texas In July、UnearthといったSailing Before The Windにも通ずるメロディアスなメタルコアからBalmora、Morning Againといったクラシックなスタイルを鳴らすバンドの中にBeartoothといったバンドの楽曲がリストインしているのは非常に面白いと思いました。これらの楽曲について (またはリスト全体について) 、それぞれ感想を教えてください。
 
Texas In Julyはもはや聞く前から良かったですね。良かったというか嬉しかったというか。新曲出たのがとにかく嬉しいです。
 
Balmoraは前述のA Mourning Starがニュースクールリバイバルの優等生系なら、こっちはいい意味でドタドタしてて特にこの曲はリフがかなり臭メロデスで好きです。
 
ご指摘の通り毛色の違う選出ですが、Beartoothはずっと好きなバンドなので入れました。
ハードロックのバイブスを醸すポストハードコアバンドにAsking Alexandriaがいますけど、こっちはよりアメリカンなテイストで、チューニングは低いのに陽性味の強いスケールワークでテキサスいノリ
(テキサス出身じゃないしこんな言葉存在しないですが)思い切りのいいシンプルなブレイクダウンはそのままに、キャッチーでフックのある歌メロが更に進化しててやばいです。
 
Morning Againは復活して以降割とヘヴィーハードコアに傾倒してる感じある中、この曲が特別フューリー感強めで即やられました。ニヤニヤ系です。
 
Unearthに関して僕が今更何か言う事なんてホントはないんですが、デスラッシュ成分とメタルコア成分の塩梅がアルバムによって変わるのはAILDと似てますけど、彼らは一貫してハードコア成分強めの展開で必ず割り算してくるので毎度安心して聞けます。
 

▶︎RYOICHI : Social

https://linktr.ee/ryoichisuemori

メタルコア 2023年下半期の名盤TOP10

2023年上半期のメタルコア名盤TOP10を読む

2023年の下半期にリリースされたメタルコアのアルバム、EPの中から優れた作品をピックアップし、アルバムレビューしました。下半期は、2024年以降のメタルコアがどのように進化していくかを少し読み取れるような作品がたくさんリリースされましたので、それを意識しながら有名無名問わず印象に残った作品が中心になっています。

上半期はAugust Burns RedやFor I Am Kingといったメロディック・メタルコアに加え、その流れにありながらもハードコア/デスコアともリンクしてくるCurrentsやC-GATE、そしてGraphic NatureやSoul Keeper、from joyといったモダン・メタルの可能性を拡大してくれるクリエイティヴなバンドをリストアップしました。下半期も基本的にはそういった全体のバランスを見つつ、「エレクトロニック」をキーワードに重要な作品を意識的にリストに組み込みました。順位はそこまで重要ではないですので、第1位から第10位まで (余裕があれば、文末の次点の10枚まで) チェックしてみてください。

 


▶︎第10位 : Dying Wish 『Symptoms of Survival』

Stream & Download : https://bfan.link/symptoms-of-survival
Official Site : https://dyingwishhc.com/

アメリカ・オレゴンの女性ボーカル・メタリック・ハードコア・バンド、Dying Wish (ダイイング・ウィッシュ)。2021年にSharpTone Recordsと契約し『Fragments of a Bitter Memory』をリリースしてから、本作までに彼/彼女らの状況は劇的に変化した。グローバルな人気を獲得、ライブは毎度カオスな盛り上がりを見せ、急激な人気の高まりを遠く離れた日本からも見てとれた。

あえてDying Wishに関してはメタルコアではなく、メタリック・ハードコアと言いたい。ハードコア成分が非常に高く、Knocked Looseといった2020年代最高峰のフックを効かせたキーリング・スタイルを取り込んでいるのも面白いし、ScowlやGelといった女性フロントマン擁するハードコアの系譜として見ても、最近のミュージックビデオに見られる、ファッショナブルなフロントマンをメインに据えたヴィジュアルに通ずるものを感じる。メタルコアから見れば、こうしたバンドはハードコアのモッシュやマイクジャック、ステージダイブといった盛り上がりをライブで見られることから、”急激にブレイク中”であるというイメージをシーンに植え付けることが出来ている。

彼/彼女らがハードコア成分について前作以上に精密な構築を施していることからもその狙いは明らかだ。もちろん、これは悪いことではなく、SharpTone Recordsという現代メタルコア中心の所属アーティスト・ラインナップの中で目立ち、自分たちに目を向けさせる為に最大の努力している証拠であり、現代をサバイヴするアーティストとして間違っていない。Knockled Looseも、そのサウンドはもちろん、日々アップされるカオスなライブ・パフォーマンスビデオの影響で、とんでもないところまで行ってしまったのだから、フロアの熱気、活気というのも実力以上に大事というのが2023年だったと思う。この手のサウンドを復興させ、日本でもView from the Soyuzに見られるライブの盛り上がりを見れば、このスタイルのバンドが今、どこでどう勝負すべきかは自ずと導かれていくだろう。ミュージックビデオにもなっている「Watch My Promise Die」は新しいDying Wishが2024年以降に作っていく道筋を感じられる1曲に仕上がっていると言えるだろう。

 

▶︎第9位 : Avalanche Effect 『Of Wired Hearts And Artificial Prophecies』

Stream & Download : https://open.spotify.com/intl-ja/artist/1lhzMZn54qAGcj8hdoMCCb
Official Site : https://www.instagram.com/avalancheeffect

ドイツ・ミュンスターの7人組プログレッシヴ・メタルコア・バンド、待望のEPは、2023年上半期の個人的大ヒット・メタルコア曲「Manipulating Sky」で幕を開ける。メンバーに不幸があったものの、新体制として動き出した彼らのAvalanche Effectというバンドにかける強い覚悟は随所に伝わってくる。シーンにおけるバンドのポジションはまだまだこれからという具合であるが、じわりと盛り上がってきたエレクトロニック・メタルコアのカテゴリーに分類出来るようなアレンジも随所にある。ただ、このバンドの最も優れたところはツイン・ボーカルの巧みな掛け合いによって楽曲を通して貫かれる光と影のコントラスト、それを美しく色彩豊かに表現するプログレッシヴなクリーントーンのメロディだ。プログレッシヴ・メタルコアとしては、特筆して個性的なところはないものの、この個性を伸ばしていけるような楽曲構成を固め、ドラマ性を高め続けていけば、間違いなくその名はドイツだけでなく、グローバルなものへと成長していくに違いない。そして意外とヘヴィなのも良い。大半の楽曲の後半にはデスコアにも接近していくようなヘヴィ・パートがあり、クリーン・パートの力強さを浮き彫りにしてくれる。2024年、更なる活躍を期待したい、隠れた逸材と言えるだろう。今からチェックしておいてほしい。

 

▶︎第8位 : Resolve 『Human』

Stream & Download : https://arisingempire.com/humanalbum

Official Site : https://resolveofficial.co

フランス・リヨン出身のメタルコア・バンド、Resolveのセカンド・アルバム。世界がパンデミックに見舞われた2020年は、Resolveにとって勝負の年になるはずであった。しかし彼らはあえて派手な動きはせず、静かに『Human』に繋がる世界観をイメージし、デビュー・アルバム、そして本作を完成させるまでストイックに創造を続けてきた。そのメンタリティは非常に評価出来るし、コロナ禍で立ち止まったまま動けなくなった多くのメタルコア・バンドがいたからこそ、Resolveの劇的な進化には驚き感激した。

「New Colors」はシンプルにResolveとして打ち出し続けてきたスタイルの結晶であり、アルバムの中でもキーと言える楽曲だ。そして印象的な収録曲「Older Days」には、同郷のten56.からAaron Matts、そしてPaleface SwissのZelliがゲスト・ボーカリストとして参加しており、ユーロ・メタルコア/ポスト・ハードコア全体が育んできたドラマ性の高いメロディとスタイリッシュなメタルコア、そしてヒップホップのエレメンツも交え、また少し違ったResolveの魅力が垣間見えるもの面白い。この曲はミュージックビデオのディレクションも素晴らしく、モダンでミニマルなヴィジュアルが非常にスタイリッシュだ。これはアメリカのバンドには無い。Holding Absence、LANDMVRKSに次いでグローバル・ブレイクするのは、Resolveだろう。

 

▶︎第7位 : Beartooth 『The Surface』

Stream & Download : https://beartooth.ffm.to/surface
Official Site : http://beartoothband.com

Beartoothも気付けば結成から10年を超え、ベテランの域に差し掛かってきました。メタルコア・バンドには珍しくRed Bull Recordsからアルバムをリリースし続け、本作が通算5枚目のフル・アルバム。Caleb Shomoのカリスマ性をサウンド面、そしてヴィジュアル面でもこれでもかと味わえる作品に仕上がっており、プロデュースもCalebが担当しています。

Calebの雰囲気がだいぶ変わってきたというか、明らかにキャラクターが変わってきている。鍛え抜かれた肉体美を誇示するかのようなパフォーマンスはライブでもミュージックビデオでも貫かれていて、ソーシャル・メディアの投稿もCaleb単体のライブ・フォト、セッション・フォトが散見されます。フロントマンの強烈な個性はバンドにとって非常に重要で、特にBeartoothのようなCalebのカリスマ性を際立たせることにフォーカスしたバンドは、これくらいド派手にやってしっくりくるなと思います。

もちろんOshie BicharやConnor Denisというバッキング・ボーカルを務める存在が随所に輝きを放っており、HARDYをフィーチャーした「The Better Me」や「Sunshine!」といった楽曲はBeartoothというバンドの良さが全て詰め込まれた新しいライブ・アンセムになっています。Issuesがバンドとして終わりを迎え、Woe, is Meが復活したものの全盛期のような輝きまでは届かず、無論Attack Attack!はトップ・シーンにいない今、Beartoothは2010年代、メタルコアがヘヴィにそしてダークに変わりつつあったトレンドを個性として残しながら、ここまでキャッチーなスタイルへと成長。この『The Surface』の構想から完成まで、本当に多くの苦労、挑戦があっただろうし、Calebも今が一番ノリにノってるぞと言わんばかりのエネルギーを発奮しているのを見るともう一つ上のステージへと階段を登るきっかけになる作品ではないかと思う。これから続くBeartoothの歴史においても、この作品は一つ分岐点になるものとして印象に残り続けるに違いない。

 

▶︎第6位 : Artemis Rising 『Vibe Sampler』

Stream & Download : http://fanlink.to/VIBE-SAMPLER-EP
Official Site : http://artemisrising.de/

元Death of an EraのDanielがフロントマンを務めている事で話題となったArtemis Risingですが、革新的なエレクトロニック・メタルコアは時代の先を行き過ぎていたのが、デビュー・シングルで大きなブレイクとまでは行きませんでした。しかし2022年代から次第に増え始めた”エレクトロニック・メタルコア”は、例えばAttack Attack!やElectric Callboy、とは違い、本格的なクロスオーバーを始めています。これは、Attack Attack!の登場以降、メタルコア+キーボディストというバンド編成によってシーンに植え付けられたエレクトロニック・メタルコアとは根底が違い、マシーン・ドラム/エレクトロニック・ビートとドラマーの鳴らすビートが交互に展開されたり、時に交わっていくなど、メロディだけでないことが印象的だと思います。

例えば、本作収録の「Scales of Justice」では、ハードコア・テクノ、ガバといったタイプのエレクトロニック・ビートが楽曲の大黒柱となり、プログレッシヴなギターのリフやタイトなドラミングというものが交わるように展開されていくというスタイルへエレクトロニック・メタルコアを進化させています。この作品のヴィジュアライザーがマーブル模様の色彩と電子基盤のレイヤーで構成されているのも、視覚的にArtemis Risingを表現するのに重要な役割を担っていると言えるでしょう。2020年代以降のエレクトロニック・メタルコアについては、独立した音楽ジャンルとして意識しておくと、ダンス・ミュージック・シーンとの関わりなどへもその魅力を波及させられるきっかけに繋がるかもしれません。Sullivan Kingのようなアーティストがとんでもないブレイクを果たして、Artemis Risingなどといったバンドをビッグ・ステージへ引っ張り出して欲しいですね。

 

▶︎第5位 : Spiritbox 『The Fear of Fear』

Stream & Download : https://spiritbox.lnk.to/TFOF
Official Site : https://spiritbox.com/

カナダの女性ボーカル・メタルコア・バンド、SpiritboxのEP『The Fear of Fear』は、昨年のEP『Rotoscope』でエレクトロニックなビートを踏んだんに盛り込みつつ、革新的なデビュー・アルバム『Perfect Blue』を見事にアップデート。現代メタルコアのキーパーソンと言えるプロデューサーDaniel BraunsteinとSpiritboxの世界観を司るコンポーザーであるMike Stringerによる共同プロデュースとなった本作は、『Perfect Blue』と『Rotoscope』の間に位置する。

特筆すべき楽曲は「Angel Eyes」であろう。デスコアへも接近しようかというヘヴィネスへの探究心、Courtney LaPlanteのカリスマ性溢れるボーカル、そして不気味に漂う『Rotoscope』で見せた深いエレクトロニック・ダーク・アンビエントのアトモスフィア。次曲「The Void」のメロディアスさも相まって、EP中盤に絶頂を迎える『The Fear of Fear』の作品としての驚くべきコンパクトなクリエイティヴィティには感心させられる。この二つのEPを経てドロップされるセカンド・アルバムでどのようなチャレンジを見せてくれるのか、高く期待している。

 

▶︎第4位 : Silent Planet 『SUPERBLOOM』

Stream & Download : https://silentplanet.ffm.to/superbloom
Official Site : https://www.solidstaterecords.com/silent-planet

カリフォルニアを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Silent Planetの通算5枚目となるフル・アルバム。プロデューサーには前作に引き続きSpiritboxやDayseeker、Invent Animateといったアーティストを手がけるDaniel Braunsteinを起用し、ミックス/マスタリングはBuster Odeholmが担当している。アルバム・タイトルの『SUPERBLOOM』は、アメリカの乾燥地帯で野草がいっせいに開花する伝説的な現象のことを指し、その言葉の持つ神秘性は、Silent Planetがこれまで、そして本作で打ち出すサウンド、そしてアートワークからも感じ取ることが出来るだろう。

アルバムの中でキーとなっている楽曲は「Anunnaki」と「Antimatter」だろうか。「Anunnaki (アヌンナキ)」という不思議なタイトル、これは古代シュメール神話の中に登場するパンテオン (ある人々によって信じられている神々をひとまとめにして呼ぶための言葉) の中で最も強力な神々の名前で、人間の運命を司ったとされる。この古代シュメール神話の物語をコンセプトとしたリリック、そしてミュージックビデオのヴィジュアル・イメージは、『SUPERBLOOM』におけるSilent Planetの最もヘヴィで、抑えることのできない狂気性を見事に現している。カリスマ・ボーカリストGarrett Russellが上裸で赤く燃える森の中を歩くミュージックビデオのワンシーンはいささか映画のようである。何度も注意深くこの楽曲を聴きながらふと頭をよぎったのは、先日Grayscale Recordsとのグローバル契約を発表した日本のメタルコア・バンド、Promptsの存在だ。彼らの楽曲のうねりにはどこかプログレッシヴという言葉だけでは形容の出来ないものがあるが、「Anunnaki」におけるSilent Planetのヘヴィネスもこれと似たものが渦巻いているように感じる。

そして「Antimatter」では、今年多くのバンドが挑戦したエレクトロニックなビートに乗せて幕を開けていく。こうしたスタイルはヨーロッパ、個人的にはデンマークのSiameseが先駆者であると思うが、楽曲がエンディングに向かうにつれ、彼ららしく昇華していく。一聴しただけではこのアルバムの全体像は掴めないかもしれない。上記に挙げたキー曲の前後にも、神秘性の高い雰囲気が漂い続けている。掴もうとすればそれは霞となって消えていく。Silent Planetの元来大切にしてきた魅力は、音楽的な野心に消し去られることなく、現在も漂い続けリスナーを虜にしていく。

 

▶︎第3位 : Ice Sealed Eyes 『Vol.2: Fragments』

Stream & Download : https://open.spotify.com/intl-ja/artist/0eVDo1w1SoyNP0xswwFYi7?si=gasq05qAQ7u5vMGFH2kNWQ
Official Site : https://www.instagram.com/icesealedeyes/

2023年上半期に書いた「超個性派! メタルコア 2023年上半期のベスト・シングル」という記事の中でも彼らをピックアップしていますが、EPという形で新しい作品が出ました。LoatheやThornhillが起こしたオルタナティヴ・メタルコアという概念を捉えアップデートさせるベルギー出身の彼らは、本作でシューゲイズやオルタナ、アンビエントのアトモスフィアをまとったオルタナティヴ・メタルコアの奥深い世界観をまた一つ先に進めたと言えるでしょう。

5曲入りの作品ですが、作品のおける間奏として挿入される「Forlorn」ではサッド・ラップ/サッド・ローファイとも捉えられるIce Sealed Eyesの新たな一面を垣間見ることが出来ます。この楽曲を分岐点とし、後半の冒頭を飾る「Deadweight」では、Humanity’s Last Breathを彷彿とさせるThallなリフが限りなくノイズに近い形状へと変形しビートダウンを続けていきます。打ちつけるリフ、キックの波動が波打ちながら、霧のようなシンセと溶け合っていくこのスタイルは、Invent Animate、Silent Planetといったこの手のサウンドの先駆者よりも刺激的なダイナミズムに溢れています。Deftones影響下のメタルコアが好きなら彼らはフォローしておくべきでしょう。

 

▶︎第2位 : Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』

Stream & Download : https://hollowfront.lnk.to/TFOLG
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/hollow-front/

アメリカ・ミシガンのメタルコア・バンド、Hollow Frontのサード・アルバム。2021年にUNFDと契約後、毎年アルバムをリリースするという多作っぷりでありながら、作品毎に確実にレベルアップし、アメリカを中心にグローバルな人気を誇る彼ら。RIFF CULTで行った国内メタルコア・バンドらへの年間ベスト・インタビューにも『The Fear Of Letting Go』は数多くリストインされていたのが印象的だった。

彼らと比較されるバンドといえば、ErraやPolaris、Northlaneといったところであろうが、Hollow Frontが本作で打ち出した”Hollow Frontらしさ”は、ミュージックビデオにもなっておりアルバムのキー曲である「Over The Cradle」にある。リリックやビデオのコンセプトになっているのは、Hollow Frontのソングライター自身が経験したネグレクトであり、育児放棄、感情の混乱を鮮明に表現している。この歌は、母親への赦し (*ゆるし)の歌であるが、現在も続く痛みが入り混じった言葉がリリックの中で巨大なインパクトを放っている。母親は自分たちに命を与えてくれたが、生き方を教えることができなかった……。母親を許したとはいえ、過去の経験の傷跡がまだ残っていることを表現している。自身が経験した辛い思い出を非常に分かりやすく、そしてメタルコアという音楽の怒りの塊のようなエネルギーを巧みにストーリーに落とし込んだ本楽曲は、Hollow Frontの知的な芸術性が爆発したキラーチューンと言えるだろう。細かなパートについても、エレクトロニックなビートをさらりと組み込んだり、ブレイクダウン・パートの切れ味と歌詞の鋭さがリンクしながら展開していくところも、意図的に作られているのであれば、これはもう、非常に優れた高等芸術であり、メタルコア文化遺産にしたいくらいだ。

優れているのは先行シングルとして発表されたものだけでなく、「Stay With Me」というバラードもHollow Frontの魅力を解き放つ印象的な楽曲だ。メロディック・ハードコアをルーツに感じさせながらも、彼らの直接的な影響源であるだろうErraやNorthlaneといったバンドの楽曲構築の典例を参考に、力強いスクリームと張り裂けるようなクリーン・ボーカルを交互に展開させていく。実はこの曲がアルバムの中で一番凄いかもしれない。確実にトップ・シーンへと躍り出たHollow Front。このアルバムをライブ・パフォーマンスでどこまで繊細にドラマティックに表現できるかが2024年代ブレイクの鍵になってくるだろう。持ってるセンスは一級品。

 

▶︎第1位 : Polaris 『Fatalism』

Stream & Download : https://bfan.link/fatalism
Official Site : https://www.polarisaus.com/

2023年はPolarisにとって、激動の年となった。すでに『Fatalism』を完成させ、キャリア最大のヘッドライン・ツアーとリリースを控えていた彼らであったが、バンド創設期から中心メンバーの一人であったギタリストのRyan Siewが26歳と若さでこの世を去った。この訃報は世界のメタルコア・シーンを深い悲しみに包み、奇しくもアルバムの全体的なコンセプトとしてテーマになっている数年間に世界を巻き込んだ絶望とディストピアの感覚、そしてそれに付随する圧倒的な「自分たちは道を変えることができない」という感覚が、このアルバムのメッセージをより現実的なものにしている。

いくつもアルバムを象徴する楽曲はあるが、”In loving memory of Ryan Siew”という追悼の意を込め、生前のRyanも撮影に参加している楽曲「Overflow」は、ドラマーDanielによって書かれたものだ。Danielはこの楽曲の歌詞について、自身のパニック発作と闘うことの葛藤と、その葛藤が他人に与えることの影響について歌っていると説明している。悲しみと絶望に満ちた歌詞、「The earth is spinning much too fast for me」という詩的なフレーズのインパクトが強烈であったし、その中からもわずかながら、希望の光を感じさせてくれるところも、世界に多くのファンを持つ彼らの優しさであり、トップ・シーンを走るバンドが歌うことの責任であると感じる。

とても暗いアルバムだと思う。サウンドだけで言えば、オーストラリアン・メタルコアらしさもしっかりと根底にありつつ、Jamie HailsとJake Steinhauserのシャウト、クリーンのコンビネーションの織りなすドラマ性豊かでプロダクションも一級品。加えて、やはり、詩的な魅力というのも、しっかりと捉えていく必要がありそうだ。歌詞の一つ一つ、言葉の選び方も壮絶な時代を生きる若者の代弁者として優れた才能を見せてくれている。

 

上半期&下半期それぞれのTOP 10には入れなかったものの、本当に毎年メタルコアの素晴らしい作品がリリースされている。もし下記のリストに聴いていない作品があれば、ぜひチェックしてみてください。

Atreyu – The Beautiful Dark of Life
Texas In July – Without Reason
Prospective – Reasons to Leave
Of Virtue – Omen
The Callous Daoboys – God Smiles Upon The Callous Daoboys
Of Mice & Men – Tether
Wolves At The Gate – Lost In Translation
Heart Of A Coward – This place only brings death
Johnny Booth – Moments Elsewhere
Soul Despair – Crimson

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : BITOKU (Sailing Before The Wind)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするメタルコア・イベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎BITOKU : BEST ALBUMS OF 2023

From Ashes to New 『Blackout』
Hollow Front 『The Fear of Letting Go』
Revision the Dream 『Transparency』
Arrival Of Autumn 『Kingdom Undone』
Night Rider 『Night Rider』
 
▶︎From Ashes to New 『Blackout』
 

 
Stream & Download : https://fatn.ffm.to/blackoutalbum
Official Site : https://www.fromashestonew.com
 
From Ashes to Newの『Blackout』はそれぞれの楽曲の完成度の高さはさることながら、サウンド・プロダクションが非常に優れていると感じた作品でした。Better Noise Musicからのリリースということで、メタルコアだけでなく、幅広くメタル・リスナーに届けられることがイメージされているのはもちろんですが、彼らのクリエイティヴな魅力について教えて欲しいです。
 
まさにその通りで、ちゃんと「商品」としてパッケージングされた点において、この作品がずば抜けて最高でした。プロデュースは(ABRなどを手掛ける)Grant McFarlandとCarson Slovakのタッグ。彼らがまぶしたメタルコア視点でのアプローチが、自分の耳に刺さったのかなと。ギターリフをハモらせるタイミングとか、細かいエフェクト音とか、ボーカルワーク以外も全てが洗練されていて痺れる名盤。

 
▶︎Hollow Front 『The Fear of Letting Go』
 

 
Stream & Download : https://hollowfront.lnk.to/TFOLG
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/hollow-front/
 
Hollow FrontはSailing Before The Windのメンバーだけでなく、「One Bullet Left」でタッグを組むSable Hillsのメンバーらもフェイバリットにピックアップしていました。このアルバムも細部へのこだわり、メタルコア、さらにはデスコアなどにも通ずるようなタフなグルーヴが魅力だと思いますが、彼らのこれまでの歩みを踏まえつつ、このアルバムの良さについて教えて下さい。
 
ツアー中の事故とそれに起因する保険会社とのトラブルで、製作が遅れ、メンバーが脱退し、2人だけになってリリースされた本作。ただ僕は、”ドラマがあったから”この作品を選んだわけではなくて。私的感情を抜きに作品単体で見ても、壮絶な完成度。9曲目の”Good Things Never Last”で聴けるような4つ打ちビートとメタルコアサウンドの融合は、非常に先進的だなと。もちろん方法論としてやっていたバンドは他にもいるでしょうが、パワーバランスがメタルコア優位のままで、こうしたアプローチを融合しているのがスゴいです。曲単位でも作品単位で見ても、音楽的な実験と継承のバランスがとても良いアルバム。
 
今回ベストアルバムで選んだ作品からはベストトラックを挙げないようにしましたが、それを抜きにすれば、間違いなく本作から”Letting Go”は選んでました。トラブルの過程で疲弊し脱退してしまったメンバーに思いを馳せると、涙が出てきます(アナウンス文がとてつもなく悲しい)。

 

 
▶︎Revision the Dream 『Transparency』
 

 
Stream & Download : https://fanlink.to/jiRg
Official Site : https://www.facebook.com/revisionthedream/
 
Revision the Dreamの『Transparency』という作品については、おそらくこのリストをきっかけにこれから聴いてみようという人がほとんどだと思います。「One Bullet Left」で来日するAcross The White Water Towerにも通ずる、2000年代後期以降のメタルコア/ポスト・ハードコアを下地に現代的なアプローチも組み込んだサウンドを鳴らすバンドですが、このバンド、またはアルバムの魅力について教えて下さい。
 
Revision the Dreamはイスラエルのメタルコアバンド。イスラエルと言えばHer Last SightやDream Escapeが有名で、まさにその界隈のバンドですね。Revision the DreamのギターはDream Escapeのギターで、Dream Escapeのもう片方のギターはHer Last Sightのドラマー。推測ですが、Dream Escapeが改名/分裂した(?) ようにも見えます。サウンドの軸は、2010年代初期のプログレッシブメタルコアサウンド。当時ElitistやERRA、Forevermoreにのめり込んだリスナーは完全ノックアウトされるはず。こういう作品は「リバイバル」の一言で片付けられがちではありますが、今作はとにかくクオリティが高いので、さすがにスルーできなかったです。あの頃のメタルコアを発展させたバンドは数あれど、Revison the Dreamみたいに”継承”したバンドは少ないわけで、そこに価値を置いた結果の評価です。

 
▶︎Arrival Of Autumn 『Kingdom Undone』
 

 
Stream & Download : https://bfan.link/AOA-KingdomUndone.ypo
Official Site : https://www.arrivalofautumn.com/
 
Arrival Of Autumnの『Kingdom Undone』は2020年代のメロディック・デスメタルのスタンダードとして次の何年かに渡って影響を及ぼしそうな、そんな可能性とエネルギーに満ちた作品だと思います。もちろんNuclear Blast Recordsからのリリースというのも大きく影響していますが、彼らはどんなバンドで、こんなところが他のバンドにはない魅力だというような楽曲、またはフレーズはありますか?
 
Mark Lewis手掛ける生感あふれるプロダクションも相まって、2000年代のモダンメタル好きにオススメしたい内容。あまり話題になっていないのが残念なくらい、一聴の価値ある作品です。
 
各サブジャンルの良いとこどりをした結果、逆にカテゴライズが難しくなり、プロモーション的には大変だったのかもしれません。Nuclear Blastからのリリースですが、Roadrunner好きに刺さるかなと。ボーカルの声質ゆえか、自分的には”Roadrunner化したMychildren Mybride”的な解釈で、楽しめました。(Arrival Of Autumnにデジタル感はないですが)Mnemicとの共通項があるので、ああいうグルーヴメタルが好きな人もぜひ。まさしく可能性に満ちた1枚。

 
▶︎Night Rider 『Night Rider』
 

 
Official Site, Stream & Download : https://linktr.ee/nightridertheband
 
Night Riderのセルフ・タイトル・デビュー作は、いろんな意味で驚かされました。親しみやすいシンセの音色と現代メタルコアが、ネオンのヴィジュアル・イメージと良くあってますし、もしかしたらメタルよりもハードロックなどを聴いているリスナーにもアプローチできるようなポテンシャルがあるのではと感じるほどです。このアルバムの魅力について教えて下さい。
 
本作で提示されたSynthwave/Retrowave+メタルコアのパターンは、そういえば未開拓ゾーンだったので、「あぁまだそこの陣地取れたか!」という感覚で聴けました。メンバーはex-Affianceなど手練の集合体なので、安定感抜群の仕上がり。メタルコアパートのフレージングはもうちょっとバリエーションがほしかったですが、その分シンセパートにリソースを振り分けた感もありますね。最近のKingdom of Giantsが楽しめる方は結構刺さるはず。

 

▶︎BITOKU : BEST SONGS OF 2023

▶︎Solence 「Rain Down」

 

▶︎All Faces Down 「Done Hiding」

 

▶︎Traveller 「Homesick」

 

▶︎ENOX 「Fallout」

 

▶︎Sail’s End 「The Sound of Silence 3: Three」


 
やはり、長年に渡ってメタルコアを聴き続けているだけあり、ニューカマーの中でも未来派とも言えるバンドのキラーチューンがリストインしています。これらのバンド、または楽曲についてそれぞれ感想を教えて下さい。
 
Solenceは、正直メタルコアではありませんが、フォーマットの共通点はあるので。ヘヴィパートとメロディパートの対比力、シンセトラックの混ぜ具合、全てがハイクオリティ。何よりも、曲が電子音に飲まれてない点を評価しました。サビメロの透明度は今年1番刺さりましたね(※シングルで2022年に出てますが、アルバムとしては2023年作)。
 
All Faces Downはニューアルバムからの選出。まさにAFD節が詰まった独特の清涼感、最高です。もちろん今回のような議題において「新しさ」は大事な尺度です。が、「普遍性のある名曲」もこぼしたくないなと。AFDはちゃんと自分達の音楽的領土を深堀りしている感じがして、好感が持てます。
 
Travellerが今年出したEPはかなり名作で、初期Invent好きはマストチェック。プログメタルコアの美学に沿いつつ、ジャーマン特有の憂いあるメロディがプラスされていてグっときました。
 
ENOXは前作までHAWKのRickyと制作していましたが、今作からセルフプロデュースに。とはいえ、ボーカルワークからはRickyからの影響を感じますね。表現手段としてのワーミーの流通価値が落ち続ける中で、新鮮に聴けた1曲。
 
Sail’s Endは、BERRIED ALIVEを彷彿とさせるロボティックなギターワークが秀逸。Glass CrownのDannyが在籍しており、ブルータルパートの説得力も納得。ローチューニングコア系は終始スローテンポでダレがちなのが懸念点ですが、この曲はテンポの緩急がよく考えられており素晴らしいです。
 

▶︎BITOKU : Social

https://linktr.ee/Bitoku_Bass

【年間ベスト】ONE BULLET LEFT開催記念企画 : TAKUYA (Sable Hills)’s Best Albums & Songs of 2023


 
日本のメタルコアを牽引する存在として、2023年も精力的な活動でファンを楽しませてくれたSailing Before The WindとSable Hills。彼らがキュレーションするメタルコア・イベント「ONE BULLET LEFT」の開催を記念し、RIFF CULTでは、両バンドのメンバーに2023年の年間ベスト・アルバム、そして楽曲をピックアップしていただきました。
 
シーンの最先端にいるミュージシャンは、どのようなメタルを聴いていたのでしょうか。リストをチェックすれば、彼らの驚くべき音楽への探究心に驚くだけではなく、新しいお気に入りが見つかるかもしれません。
 
2024年1月28日 (日曜日) 東京・渋谷 club asiaで行われる「ONE BULLET LEFT」は、日本のメタルコアの現在地を体感できるイベントになるはずだ。これらのリストをチェックして、より深くイベントを楽しみましょう。
 

 
▶︎Sable Hills x Sailing Before The Wind presents “ONE BULLET LEFT”
 
開催日時 : 2024年1月28日 (日曜日)
場所 : 東京・渋谷 club asia
OPEN/START : 14:00/14:30
TICKET : 3,800yen (+1D) / DOOR : 4,800yen (+1D) / 20歳以下 : 2,000yen (+1D – *枚数限定)
 
チケットはこちらから : https://eplus.jp/sf/detail/4003190001


▶︎TAKUYA : BEST ALBUMS OF 2023

In Flames 『Foregone』
Spiritbox 『The Fear of Fear』
Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』
Sylosis 『A Sign of Things to Come』
Currents 『The Death We Seek』
 
▶︎In Flames 『Foregone』
 

 
Stream & Download : https://inflames.bfan.link/foregone-newalbum.yde
Official Site : https://www.inflames.com/
 
近年のIn Flamesの創作意欲の爆発っぷりには驚かされますし、衰えないシーンのトップ・バンドたちの活動にはSable Hillsも多くの刺激を受けていると思います。In Flamesの過去の作品などの思い出、出会いなどを挟みながら、このアルバムのキラートラックや聴きどころ、個人的なツボなリフなどあれば教えて下さい。
 
初めて聴いた作品は『Colony』(1999)で、当時はメタルコアという言葉も知らない時期だったし、彼らはメロディック・デス・メタルというイメージでした。そこから他のアルバムも掘ったりしていく内に『Reroute To Remain』(2002)と出会い、その概念も覆されました。彼らをジャンル分けするのは不可能だとは思いつつも、この作品が後続のメタルコア・バンドに与えた影響は計り知れないものだし、メロデスをルーツに持ったメタルコア」という一つのスタイルを確立した金字塔となったと言えます。
 
そんな音楽性の定義不可能な彼らが、自身の肉体がそう長くないと知りながらも、紆余曲折の末にリリースした『Foregone』が原点回帰を感じる一枚だったことは、複雑化しすぎたメタルシーンに一石を投じる様な、確かにそこにある漢気に感動させられました。Tr.3 Meet Your MakerやTr.2 State of Slow Decayを聴けば、私の言っている事が理解してもらえると思います。

 

▶︎Spiritbox 『The Fear of Fear』
 

 
Stream & Download : https://spiritbox.lnk.to/TFOF
Official Site : https://spiritbox.com/
 
Spiritboxの存在は、オルタナティヴへと系統していくメタルコア・シーンの象徴のようなもので、世界を舞台に活動するSable Hillsにとっても、彼らの佇まい、存在感といったところからの影響はもちろんあるだろうと感じています。サウンド・プロダクションの素晴らしさはさることながら、やはりボーカリスト、コートニーのフロント・ウーマンとしてのカリスマ性が大きな魅力です。Sable Hillsのフロントマンとしてコートニーの魅力に何か影響を受けたりしていますか?また、この作品はどれもキラーチューンですが、特にお気に入りの楽曲はありますか?
 
メタルコアに限らず、女性ボーカルにはあまり惹かれない傾向があるのですが、Spiritboxは久々に魂が揺さぶられました。
 
コートニーのスクリームは心からカッコいいと感じるし、更に特にクリーンパートの楽曲リリックの繊細な想いが相まって熱い気持ちになれます。また、歌の合いの手で綺麗に入ってくる強烈なギターリフやクリーントーンのエモーショナルさも決め手の大きな要素だと思います。落としパートはただのモッシュパートには留まらないDjentな心地良さも感じられます。Tr.2 JadedとTr.1 Cellar Doorが何だかんだ好きです。

 

▶︎Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』
 

 
Stream & Download : https://hollowfront.lnk.to/TFOLG
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/hollow-front/
 
Hollow Frontは、例えばConvictionsのようにシャウトからポスト・ハードコアばりのクリーン、そしてメロディック・ハードコアにあるような感傷的なスクリームが大きな魅力であると思います。ボーカリストとして参考になる部分も多いかと思いますが、ボーカリストとしてこの作品の中で特筆すべき楽曲はありますか?また、彼らの魅力や彼らが好きならもっとこんなバンドがオススメだよ、というようなレコメンドがあれば教えて下さい。
 
比較的ヤングなバンドで自分好みのスタイルのメタルコアに久々に出会えて滾りました。ボーカルがスクリームとクリーン両刀使いなのですが、どちらも最高レベルで上手いしめちゃめちゃ歌が前に出てきます。『Will I Run?』のサビはリードギターと相まってエモーショナル極めてるので、メタルコアクリーンパート好きな全人類必聴です。レコメンドはLANDMARKS と Our Hollow, Our Home です。

 

▶︎Sylosis 『A Sign of Things to Come』
 

 
Stream & Download : https://sylosis.bfan.link/a-sign-of-things-to-come.yde
Official Site : http://sylosis-band.com
 
Sylosisにとって、そしてArchitectsにとっても2023年は大きな分岐点であり、特にSylosisはこのアルバムで熱心なメタルコア/メロディック・デスメタル・ファンからの注目を一身に集めました。Sable Hillsにも通ずる部分が多くあるスタイルだと思いますが、Sylosisのサウンドで特に素晴らしいと思うポイントは何だと思いますか?また、このアルバムをどんな時に聴いていましたか?
 
この楽曲をギター弾きながら歌ってるのが一番素晴らしいと思う点です。笑
 
Architectsを脱退してまでメタル貫こうとした漢が作る楽曲なんてもう良いに決まってますから、あとは自分の耳に合うかどうかだと思います。実際耳の肥えた玄人向けの楽曲ではありますので。「Crystal Lake Ankh Japan Winter Tour 2023」に参加していた時に、移動中このアルバムを聴いてましたが、「俺もずっとメタル貫こう」と思わされざるを得ませんでしたね。

 

▶︎Currents 『The Death We Seek』
 

 
Stream & Download : https://bfan.link/the-death-we-seek
Official Site : https://currentsofficial.com/
 
CurrentsはRictさんもピックアップされており、Sable Hillsのソングライティング面においても影響を与えていそうですね。お二人でこのアルバムについて何か話されたりしましたか?また、Currentsの本作の魅力はどのようなものだと思いますか?
 
次世代メタルコアの中でも10倍リスナーの多い「メタル」ワールドに進出している数少ないバンドなので、いつか一緒にやりたいし俺らはやるべきだとずっと話してます。
 
楽曲がちゃんとヘヴィで良いクリーンボーカルも有り、サウンドがクリア且つアートワークもメタル愛感じつつどこかモダンでスタイリッシュと、逆にマイナスな理由が見当たりません。

 

▶︎TAKUYA : BEST SONGS OF 2023

▶︎Make Them Suffer 「Ghost of Me」

 

▶︎Texas In July 「Put To Death」

 

▶︎Bleeding Through 「On Wings of Lead (2023 Re-Recording)」

 

▶︎It Dies Today 「Buried By Black Clouds」

 

▶︎Unearth 「Into The Abyss」

 
熱いメタルコア・スピリットが伝わってくるリストで、非常にTAKUYAさんらしいものだと思います。Bleeding Throughは再録のものをピックアップされていますが、オリジナルと比べてよかったポイントなどはありますか?そのほか、Unearthとは今年日本で公演されましたが、その時の思い出などはありますでしょうか?全体の感想も合わせて教えてください。
 
最近、映画やゲーム業界ではリバイバルの波がきていますが、音楽シーンにも徐々にそれが近付いてると感じていて。その中でもBleeding Throughというバンドが20年経った今この楽曲を再録したという事実だけでご飯何杯でもいけます。音質がめちゃくちゃ聴きやすく、こもった感じが無くなりました。Texas In JulyやIt Dies Todayが復活して新曲をリリースしたりしてるのも、その流れがきてるなと感じざるを得ません。
 
そんな昔のリバイバルが大好きな私ですが、Make Them Sufferの新曲はモダンでもヘッドバンギング不可避でした。ヘヴィすぎます。
 
Unearthは初めて自分達が日本に招聘したバンドで、でも一番記憶に残ってるのは彼らが激ロックを気に入りすぎて三日連続で渋谷のあそこのバーに行ったことですかね。最終日は会場が代官山だったのにも関わらずわざわざ渋谷行きましたから。それと、これがコロナ明けを最も感じた公演だったのも確実です。自分よりも歳上の大人が本気でモッシュしてる光景を数年振りに観れた記念すべきツアーでした。
 
2024年は、ワンバレが日本のメタルコア・リバイバルの幕を切って落としたいと思っています。もう、流れはすぐそこまで来ていますよ。
 

▶︎TAKUYA : Social

https://x.com/saunaking_
https://www.instagram.com/saunaking_/

超個性派! メタルコア 2023年上半期のベスト・シングル

RIFF CULTでは、Spotifyを利用して最新のメタルコアの楽曲をまとめた「All New Metalcore 2023」というプレイリストを作成し運営しているのですが、2023年の上半期だけで1,000曲以上がリストインしており、デイリーチェックしないと全ての楽曲、ましてやアルバムやEPなどをチェックするというのは難しい。そして、どれだけ優れたテクニックやメロディがあったとしても、聴かれなければ意味がない。聴いてもらうために、そして見つけてもらうためにも現代メタルコアには、唯一無二の個性が必要だ。

メタルコアに限って見ても、トップシーンで活躍するバンドたちは「メタルコア」というジャンルだけでは表現できない個性を持っている。誰でもない自分たちだけの個性は、多くのリスナーにリーチするためにとても重要な要素だ。今回、他の誰にも真似できないようなオリジナリティでファンを魅了した2023年上半期のメタルコアで印象的なシングルをまとめてみた。主にプログレッシヴ・メタルコア・バンドを中心に構成されているが、中には全く違ったシーンで活躍するアーティストもいる。それでも「プログレッシヴ」であり「メタルコア」であることを前提条件にリストを作成しているので、通して聴くと意外とジャンルの違いを感じないと思う。

 

 

 

Earthists. 「HYPERHELL」

藤井風など現行シーン〜シティポップ、アニソンまでを一括りにした「J-POPに取って代わる新しいワード」として「Gacha Pop」というキーワードが誕生したのは記憶に新しい。J-POPというカテゴリーは日本の多様な音楽を一括りにまとめるには窮屈だし、世界のトレンドと別で発展する日本の音楽を表現する言葉として「Gacha Pop」はアリなのかもしれない。ガチャガチャした感じというのは日本のポップスだけに言えることではなく、メタル〜メタルコアにも当てはまるだろう。Fear, and Loathing in Las VegasからBABYMETALまで、多様な音楽の影響を混ぜ合わせる、というか“ガチャガチャと詰め込んだ“ものが刺激的で面白いとメタル・シーンでも評価されてきた。今では世界を飛び回るPaleduskも「Gacha Metal」と言えば腑に落ちる感じがする。

Earthists.もこの「HYPERHELL」で他にない刺激的なサウンドを作り上げ、2023年上半期にシーンで注目を集めた。ハイトーンでメロディアスなサビ、全編に施された軽やかなピアノの旋律、それでいてグローバル・スタンダードなレベルにあるプログレッシヴ・メタルコアのグルーヴ。これらが見事に「HYPERHELL」として形に出来るクリエイティヴさはEarthists.にあって他にないものだ。こうした個性がしっかり受け入れられ、評価される日本は音楽家含む芸術家にとって良い土壌だ。誰もやったことがないことをEarthists.がどんどん挑戦して、ファンが楽しみ続けていったら最終的にどこに辿り着くのか、今はまだ想像も出来ない。7月14日にはニュー・シングル「GODBLAST」のリリースが控えている。

 

BABYMETAL 「Mirror Mirror」

メタルコア、中でもプログレッシヴ・メタルコアの記事になぜ BABYMETAL が?と思うでしょう。この曲聴いたら、「確かに」と頷けると思います。今年リリースされたアルバム『THE OTHER ONE』の収録曲である「Mirror Mirror」は、本格的なプログレッシヴ・メタルコアな楽曲で、PeripheryErraPolyphiaなど本格派と呼べるプログメタル・クオリティに仕上がっています。スペーシーに広がっていくメロディにはArch Echoも感じますね。そして、本当にこの歌詞が素晴らしい!

「鏡の中で生きる 君は何を見ている リアルな自分なんて 存在しないんだから 幻想を超えて 自分さえも飛び越えて 新しい世界 いまここに」とまさに、BABYMETALが歌うべき、歌ってこそ説得力を増すフレーズと言うか。自分が生きている世界とは別の世界から聞こえてくる囁きのような響きがあって、そしてそれを、この未来派プログレッシヴ・メタルに乗せてくるんだから凄まじい。本当に最高のアルバムで全人類必聴。

 

 

SHREZZERS 「Tabidachi feat. Kaito from PALEDUSK」

個性派と言えばPaleduskで間違い無いですよね。東欧が誇るプログレッシヴ・ポストハードコア/メタルコア SHREZZERS はセカンド・アルバム『SEX & SAX』を2023年2月にリリース。ここ日本でもその人気は絶大で、国内向けのクラウドファウンディングでセカンド・アルバム『SEX & SAX』の日本限定盤を発売するほどだ。この楽曲には、PaleduskのボーカルKaitoが完全に憑依しており冒頭からサビパート&サックスが導入されるまで、SHREZZERSとは分からないほど。「Tabidachi」での個性のぶつかり合いは互いの魅力を上手く引き出しており、アルバムでもキーになるトラックと言える。10年前くらいだとこうして日本人ボーカリストが海外アーティストの楽曲にゲスト・ボーカルで参加すると言うのはほとんどなかったと思うのですが、Ryo Kinoshita以降は本当に良いフィーチャリングが続いていて面白いですし、これをきっかけに海外アーティストに引き込まれるリスナーがいたら良いなと思います。

 

Paledusk 「I’m ready to die for my friends feat. VIGORMAN」

その人気はとどまることを知らず、この夏、海外へと飛び出し大規模フェスで熱狂の渦を巻き起こしているPaledusk。そんなライブ映像を眺めていると、彼らがメタルコア・バンドの枠に収まっていたのが遠い昔のことのように感じる。ギタリストDAIDAIのクリエイティヴィティはBring Me The Horizonをも刺激して、最新曲「AmEN!」の編曲に参加するなど、もうメタル/ヘヴィ・ミュージックのトップ・クリエイターと言っても過言ではない存在へと成長した。

「I’m ready to die for my friends」はアメリカンロック/ポップスの軽快なギターフレーズから雪崩のようにヘヴィリフが炸裂するパートへと突入したかと思えば、VIGORMANをフィーチャーしたキャッチーなラップパートへと接続。最終的にA Day To Rememberばりのヘヴィ・ポップパンク・ブレイクダウンで全てを爆発させてしまう……これを形容する音楽ジャンルなんてない。聴き終えた後は、奇想天外な結末を迎えた映画を見終わった後の、なんとも言えない胸のざわめきというか、「この結末って何なんだろう」と、誰かと話したくなるあの感じがふつふつと湧いてくる。人は皆、なんだか分からないもの、理解出来ないものに興味関心を掻き立てられる。Paleduskの音楽が一体なんなのか、聴き終えた後のこの満足感はなんなのか、これからも誰にも分からない。それがPaleduskが人々を惹きつける大きなエネルギーになっている。これからもみんなを驚かせ続けて欲しい。

 

 

Anima Tempo 「Saeger Equation」

メキシコを拠点に活動するエクスペリメンタル・プログレッシヴ・デスメタル・バンド、Anima Tempoは上半期の最後の最後、6月30日にニュー・アルバム『Chaos Paradox』をリリースしました。これが本当に素晴らしい。先行シングルとして公開された「Saeger Equation」はオリエンタルなイントロで幕開け、これは少しフォルクローレの香りもします。フォルクローレは南米(特にコロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ)のアンデス山脈地方でインディヘナ達によって歌い継がれる民族音楽で、南米メキシコ出身の彼らにどのくらい影響があるのかは分かりませんが、影響がなきにしもあらずなのかと (完全な憶測ですいません)。

民族音楽の音色とPeriphery、Animals As Leadersを通過したプログレッシヴ・メタルコア/Djentのグルーヴを見事に展開させ、特にシャープなリフワークは聴きごたえがあります。アルバム通じてこの作風ではないのですが、日本でも話題沸騰中のBloodywoodやThe HU辺りハマってる方におすすめです。余談ですが、2018年にRNR TOURSでドイツのTensideというバンドのツアーを手がけた時、同時期に彼らもジャパンツアーを行っていて、1公演一緒にやる予定だったんですが、台風で公演中止に……。結局彼らとは合流できずだったので本当に残念でしたね。次来日する時はビッグになってやってきてくれるはず!

 

Chris Turner – Psycho (ft. Lauren Babic x Mitchell Rogers)

唯一無二のプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Oceans Ate Alaskaの超個性派ドラマーとして知られるChris Turnerのソロ・プロジェクトが活発。ポップ・シンガーAnne Marieの人気曲「Psycho」のカバーをRed Handed Denialの女性シンガーLauren BabicとVarialsのMitchell Rogersと共に制作。Chrisはこのドラム録音でサンプルもトリガーも使ってないらしく、本当にオーガニックなテクニックでここまでやっちゃうのは凄まじいとしか言いようがないですね……。Djentなブラッシング・リフとChris独特のドラミングの組み合わせが織りなすグルーヴがポップな楽曲でも、ここまでタイトにアレンジ出来るのはChris Turnerだけ。Oceans Ate Alaskaだけでなく、彼のクリエイティヴな姿をソロでも楽しめるのは最高です。

 

 

Voyager 「Prince Of Fire」

グローバルな人気を持つオーストラリア出身のプログレッシヴ・メタル・バンド、Voyager。99年から活動を続けるベテランで、がっつり”プログレッシヴ・メタルコア”ではないですが、Djentな香りの中に80年代シンセポップを組み合わせたノスタルジックなサウンドで幅広い人気を持っています。今年に入り「Prince of Fire」と「Promise」の2曲のシングルを発表していますが、この「Prince of Fire」ではブレイクダウンもあり、メタルコア・リスナーにもハマる要素あり。ボーカリストDanny Estrinのカリスマ性も高く、実力以上にその雰囲気で圧倒している感じ。クラシックなプログメタルの美的感覚たっぷりでありながら、現代メタルコアに通ずる創造性も兼ね備えたVoyager、次の新曲も楽しみです。

 

Ice Sealed Eyes 「There Is No Safety In The Dark」

ベルギーから現れたモダン・メタルコア・バンド、Ice Sealed Eyes。2022年のアルバム『Solitude』で衝撃を受けた方も多いはず。彼らの登場には、どこかLoatheやSleep Tokenが登場した時の感動を思い起こさせられます。メタルコアってダンス・ミュージックだと思っているんですが、そこから離れてロックに向かっていくバンドもいて、Loatheがシューゲイズを用いてオルタナティヴ・メタルコアの可能性を拡大したのは時が経つにつれてかなり重要になってくると思います。Ice Sealed Eyesは更に奥深く、ノイズやアンビエントのエレメンツを用いてオルタナティヴ・メタルコアをやっている感じがします。全体的に引き締まったサウンド・プロダクションからはVildhjarta的なThallの影響も見え隠れしているのですが、個人的にはもっと巨大なギターリフ、裸のラリーズ、Borisとかにまで通ずるノイズが欲しい。アンプを天高く積み上げてノイズの銀河まで逝って欲しい。

 

Their Dogs Were Astronauts 「Replica」

オーストリアの多弦プログレッシヴ・インスト・ユニット、THeir Dogs Were Astronauntsが2023年5月にニュー・アルバム『Momentum』を発表。「Replica」は先行シングルとして発表されたアルバムのキーリングで、ユニットらしくプログレッシヴでエクスペリメンタルな魅力がたっぷりと詰め込まれた1曲に仕上がっている。ベテラン・プログメタル・バンドがPolyphiaをカバーしたような、懐かしさを新しさが同居する謎めいた雰囲気が全編に渡って味わえる。

 

いかがでしたでしょうか。新しいお気に入りは見つかりましたでしょうか?本当に素晴らしい音楽が多く、全てを聴くことはできないかも知れないですが、こんな世界が始まっていることだけでも知って、バンドを応援して欲しいです。

メタルコア 2023年上半期の名盤TOP10

2023年の上半期にリリースされたメタルコアのアルバム、EPの中から優れた作品をピックアップし、アルバムレビューしました。年々、こうしてメタルコア全体の雰囲気も変わり、トータルで見てもプログレッシヴだったり、ニューメタルだったり、そうした影響を上手く捉えて表現した作品を入れ込まないと納得できない状況になってきていると思います。決してクラシックなメタルコアが廃れてきている、という訳ではなく、幅広い可能性を持っていたバンド、サブジャンルが花開いているという良い状況だと思います。プログレッシヴ・メタルコアやニューメタルコアとしてアルバムレビューすべき作品もありますが、全体の状況も把握できるように入れ込んでみました。ぜひ新しいお気に入りを見つけてください。

 

 

 

10位 : Currents 『The Death We Seek』

Amazonで購入する / Spotify / Apple Music

コネチカット州フェアフィールドを拠点に2011年から活動するメタルコア・バンド、Currents (カレンツ)。『The Death We Seek』は、2020年のアルバム『The Way It Ends』に続く作品で、プロデューサーRyan LeitruとギタリストであるChris Wisemanによる共同プロデュースで制作され、Wage WarやIce Nine Kills、Make Them Sufferなどを手掛けてきたJeff Dunneがミックスを担当している。

本作で最も注意深く感じてもらいたいのは、彼らの表現の幅が大きく広がったことだ。「メタルコア・バンドのCurrents」として聴くのは前作まで。このアルバムから彼らのサウンドは深みを増すと共に、サウンド面においても挑戦的なフレーズやアイデアが散見されるようになった。

特にChrisのギター、そしてそれを際立たせるようなベースラインやアトモスフィア。現代メタルコアにおいては珍しいものではなくなった、このようなプロダクションにおける創意工夫がCurrentsの思想を、そしてスタイルの規模を何倍にも拡大させている。前作から大きく進化を遂げた『The Death We Seek』、聴けば聴くほど味が出てくるだろう。「Remember Me」は本当に言葉にならない感情が込み上げてくる。楽曲に込めたバンドからのコメントはこちらから。

 

 

9位 : Soulkeeper 『Holy Design』

Bandcampで購入する / Spotify / Apple Music

ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動するニュー・メタルコア・バンド、Soulkeeperのデビュー・アルバム。新型コロナウイルスが本格的に全世界で流行し始めた2020年4月にシングル「Heavy Glow」をリリース、そのミュージックビデオを観て、かなり衝撃を受けたのを覚えている。しかし3年もの間、彼らから何か作品がリリースされるというような情報もなく、ニューメタルコアの盛り上がりに取り残されてしまったかと思っていたが、遂にアルバムを発表。そしてこれが非常に素晴らしかった。

同じタイプのGraphic Nature同様、ニューメタルとメタルコアのブレンド具合が優れており、エクスペリメンタルな要素は残しつつも、切れ味鋭くエディットされたリフが織りなすイーヴィルなバウンスは一級品。ミュージックビデオになっているタイトル曲「Holy Design」で言えば、タイトなサウンドのバックになっているエレクトロニックなアレンジが素晴らしく、ワーミーだけが炸裂し続けるB級ニューメタルコアとは比べ物にならないほど、NUな世界観を作り出す才能を感じる。

まだまだ地味な存在ではあるものの、Mathcore Indexでのスタジオ・セッションで見せた演奏技術の高さからライブ・シーンでの活躍へ期待も高まる。決して無視できない存在へと成長するのも時間の問題だろう。

 

 

8位 : C-GATE 『NO FUTURE』

配信はこちら

東京を拠点に活動するハードコア/メタルコア・バンド、C-GATE の通算3枚目フルレングス。2019年に新ボーカリストとしてNaShunを迎えてから初のアルバムであり、この数年大きく成長を遂げたC-GATEの持てるポテンシャルを余すことなく詰め込んだ全13曲入りの大作だ。

ミュージックビデオとしても公開されている「Hypocrisy」は、USアンダーグラウンド・モッシュコアと比較しても大差ないダウンチューン・リフをキャッチーに刻みながら、変幻自在にアクセルとブレーキを踏みかえる展開の妙が実に素晴らしい。こうしたアイデアは現代ハードコアのトレンドをキャッチし、日夜日本全国のライブハウスで体現し続けてきた実力があって正しく作られるものであり、メタルコア、ハードコア、いずれのリスナーも勝手に頭に血が上るような高揚感が味わえるはずだ。

メロディック・ハードコアの美的感覚を取り入れた「THE WAY I AM」は頭の中でリフレインする「Carry on, nobody can change the way I am」というリリックが印象的な楽曲でアルバムをバラエティ豊かなものへとアップデートしてくれる。花冷え。、CrowsAlive、Good Grief、Matt Fourman、UNMASK aLIVEといった盟友らとのフィーチャーも彼らにしか出来ない人選であり、それぞれの旨みを正確に表現している。

ライブでカオスな盛り上がりを作り出す「NO FUTURE」、「KILL YOU」といったバンガーチューンは国内だけでなく、グローバルなメタルコア、ハードコア、そしてデスコア・シーンでも容易く受け入れられるクオリティ。彼らが主戦場を日本だけでなく、世界へ変えていくのも時間の問題だ。

 

 

7位 : For I Am King 『Crown』

配信はこちら

オランダのメロディック・メタルコア・バンド、For I Am King の5年振りとなるサード・アルバムは、Prime Collectiveからのリリース。このPrime Colleciveはデンマークを拠点に置くレーベルで、SiameseのMirzaらが運営するレーベルだ。ここ数年、デンマークからは多くのバンドがグローバルな人気を獲得し、世界への門戸を遂に開けた解放感から動きが活発だ。For I Am KingはRNR TOURSで来日ツアーも手掛けたバンドで、レーベル、バンドからのプッシュもあり、2023年上半期によく聴いていた作品だ。

昨年ミュージックビデオとして公開された先行シングル「Liars」はメロディック・メタルコアという音楽の魅力を余すことなく詰め込んだ快作で、4万回しか再生されていないというのが信じられない。これは他のどんなメタルコアよりもメタルコアであり、個人的にはAugust Burns Redよりも聴いたしハマった曲だ。ボーカリストAlmaのメロディック・シャウトはイーヴィルな魅力もあり、来日時よりも格段に進化している。同じくリードシングルになっている「Trojans」もシンフォニックなエレメンツを取り入れ、スケールアップしたFor I Am Kingの世界観に聴くもの全てを引き込んでいく。

このレベルのバンドが埋もれるヨーロッパのメタルコア・シーンも凄いのだが、ワールドワイド、特に日本での人気はもっと高まってもいいと思う。ぜひ彼らのSNSなどに応援コメントを書き込むなどしてもらいたい。

 

 

6位 : Graphic Nature 『A Mind Waiting to Die』

Amazonで購入する / Bandcampで購入する / Spotify / Apple Music

イングランドを拠点に活動するニューメタルコア・バンド、Graphic Natureのデビュー・アルバム『A Mind Waiting to Die』。メタルコア・リスナーにはあまり馴染みのないRude Recordsというところからリリースされたこのアルバム、RIFF CULTでも頻繁に彼らのことは取り上げ続けてきたが、毎日のように変化し成長続けるニュー・メタルコアというジャンルにおいて、Graphic Natureが”基本のスタイル”をこのアルバムで確立したことはシーンにとって大きいだろう。

刺激を求め続けるのであれば、未だ交わったことのないジャンルからのエレメンツを組み込んだり、ヘヴィを極めたり、誰もやったことのない何かを探し昇華する必要がある。ただ、一瞬のBUZZを狙ったものであるなら、それは消費されて終わってしまう。デスコアがダウンテンポと結びつきトレンドになった時、ダウンテンポ・デスコアへとスタイルチェンジして注目を集められず死んでいったバンドがどれだけいたか。その時から生き残っているバンドに共通しているのは、デスコアとしての本来の魅力を残したまま微細なアップデートを繰り返しているバンドばかりだ。

ニューメタルコアはEmmureによって世界のメタルコア・シーンに浸透し、Alpha Wolfらによって形作られ、昨今のメタルコアのトレンドとも言える存在になった。飽和し始めている2023年に、純粋にニューメタルとメタルコアのクロスオーバーでピュアなバンガーを探し求めた時、Graphic Natureがやっている事が理想のスタイルだと思う。

Slipknotを思わせるスクラッチやスネア、複雑すぎない程度のキャッチーなバウンス、フックとして絶妙な役割を担うワーミーのブレンド感覚。ミュージックビデオになっている「Killing Floor」や「Into The Dark (+Bad Blood)」は気付けばスピンしているし、耳に残るフレーズがたっぷり詰め込まれている。このバランス感覚のまま、イングランドを代表する存在へと成長して行って欲しい。

 

 

5位 : Crown The Empire 『DOGMA』

Amazonで購入する / Spotify / Apple Music

2010年テキサス州ダラスを拠点に結成されたCrown The Empireの4年振り通算5枚目のフルアルバム。10年間ドラマーを務めたBrent Taddieが脱退、新たに加入したJeeves Avalosと共に、Fever 333やPoorstacy、Nova Twinsらを手がけたZach JonesとJosh Strockがプロデュースを務めた本作は、長きに辺り彼らをサポートし続けるRise Recordsからのリリースとなった。

彼らがスタートした2010年ごろのメタルコアの主要レーベルと言えば、Rise Recordsだった。現代メタルコアに繋がる盛り上がりの最も最初の段階からRise Recordsはカリスマ・レーベルで、発掘するアーティストが皆ヒットしていた。Rise Recordsも時の流れと共に所属アーティストのテイストが変容して行ったが、現在もblessthefallやThe Acasia Strain、Dance Gavin Dance、Kublai Khan TX、Memphis May Fire、Polyphia、Spite、Spiritbox、Herperが籍を置き、メタルコアの主要レーベルであり続けている。

彼らは結成からメタルコアとポストハードコアの間を行くスタイルでトップを走り続けてきたバンドで、新体制となってもそのスタイルは変わらない。SpiritboxのCourtney LaPlanteをフィーチャーした「In Another Life」は彼らのクラシック・アルバム『The Fallout』にも通ずる懐かしさがあると感じるのは私だけだろうか。

タイトルトラック「DOGMA」は呪術的なミュージックビデオのディレクションとも相まって、神経を侵略するようなエレクトロニックなビートがヘヴィなブレイクダウンへと向かっていく様が異様な不気味さを放っている。Beartoothを彷彿とさせるヘヴィなメタルコア・ブレイクダウンは非常にヘヴィで驚く。気づけば彼らのキャリアも13年。大きなスタイルチェンジもなく、正統派であり続けるストイックさに感服。

 

 

4位 : Veil of Maya 『[m]other』

Amazonで購入する / Spotify / Apple Music

2004年からイリノイ州シカゴを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Veil of Maya の通算7枚目フルレングス。前作『False Idol』のリリースが2017年、およそ6年振りのニュー・アルバムは長年のパートナーであるSumerian Recordsからリリースされた。

2019年にTaylor Larsonとスタジオ入りし、新作の制作をスタートさせたことをSNSで発表していたものの、それらの多くを破棄した事が6年というブランクが開いてしまった理由だ。2014年にボーカルLukas Magyarが加入し、2枚のアルバムをコンスタントにリリースしてきた彼らにとって、こういった経験は初めてだろうし、元々ブルータル・デスコアからスタートし、次第にプログレッシヴ・メタルコアへと移行してきた彼らがファンの期待に応えられるような作品を生み出すには、完全に納得できるものでないと発表しないというスタンスを取ったことは納得が出来る。かつてSuicide Silenceが大きくニューメタルへと舵を切った時、ファンの失望は凄まじいものがあった。あれからしばらく経ち、2枚の素晴らしいOGデスコアのアルバムを発表しても尚、引きずり続けているのを見ると、本当にシングル一曲でもファンを失望させるようなスタイルチェンジは許されない状況である。諦めて別のバンドを聴くことなんて、本当に簡単だからだ。

ミュージックビデオにもなっている「Red Fur」はメタルコアの伝統に沿ったクリーン・パートとエレクトロニックなアレンジを施したリード・トラックで、2015年のVeil of Mayaをほんの少しアップデートしたような楽曲だ。同じく先行シングルとしてミュージックビデオになっている「Synthwave Vegan」はプログレッシヴな彼らの魅力を引き出しながら、ニューメタルコアの影響も感じられるヘヴィなキーリングに溢れた一曲で、決してファンを失望させることはない。

「Disco Kill Party」は一聴するとVeil of Mayaには聴こえないような楽曲だが、アルバムにおいて強烈な個性を放ち、他と違ったバンガー・チューンとして再生回数も高い。「Mother Pt.4」でも大胆なエレクトロニックなイントロからしっとりと幕開けていき、ヘヴィなパートとのコントラストを描いていくさまなどを聴いていると、もしかしたらこうしたスタイリッシュなプログレッシヴ/Djentに舵を切ろうとしていたのかもしれない。ただこの『[m]other』は紛れもないVeil of Mayaのアルバムで傑作だ。最終的にどういったサウンドへ辿り着くのか興味深いが、まだまだ続く彼らの長旅の中で様々な挑戦を聴かせて欲しいと願う。

 

 

第3位 : Invent Animate 『Heavener』

Amazonで購入する / Spotify / Apple Music

テキサス州ポート・ネチズを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Invent Animate が、Tragic Hero Recordsを離れUNFDと契約してから初となるアルバム『Heavener』をリリース。元AvianaのMarcus Vikは加入してから2作目ということもあり、Invent Animate仕様に鍛え上げられたボーカルでアルバムにおいてキーとなる存在のひとつにまで成長している。ドラマーのTrey CelayaはFit For A Kingとの仕事により、Invent Animateのライブ活動には参加していないが、このアルバムにおいてはセッション・ドラマーとしてその実力を発揮している。Landon Tewersによるプロデュースは彼らのメロディが持つ悲哀を多角的に研ぎ澄まし、時に水面を漂うように、時に刺々しく突き刺さるようにエディットしている。

彼らがこのアルバムで鳴らす音楽性は、決してメタルコアのトレンドであるとは言えないが、Crystal Lakeからの直接的な影響を感じさせる先行シングル「Shade Astray」やHolding Absenceを筆頭に主にユーロ・ポストハードコアでひとつシーンとして確立されているオルタナティヴなメロディワークを驚きのクリーン・ボイスで表現した「Without A Whisper」などプログレッシヴ・メタルコア・バンドとしては挑戦的な楽曲がキーリングになっている。最も彼ららしい音楽的表現と言えば、”静と動”のコントラストだ。「Void Surfacing」は特にカオティックにメロディとリズムがグルーヴを生み出しつつ、それらを継ぎ接ぎしたような構成で電子音楽的な要素を見せる。後半に導入される彼らの伝統的なブレイクダウンの美しさはこうしたカオスなエナジーがピタッとシャットダウンされるようなブレイクダウンにある。そこはこれまでと全く変わっていない。

コアなメタルコア・リスナーと話をすれば、彼らの名前が頻出するほど、かなり現代メタルコアにおいて影響力が強いバンドだ。大きな変化はなくともこれだけ挑戦的と思わせる孤高の存在感はカリスマ的と言っていいだろう。

 

 

第2位 : fromjoy 『fromjoy』

Bandcampで購入する / Spotify / Apple Music

テキサス州ヒューストンを拠点に活動するメタルコア・バンド fromjoy の2021年作『It Lingers』に次ぐセカンド・アルバム。地元のレーベルdontstress//flowerpressからのリリースということもあり、まだまだ知名度としては低いバンドであるが、革新的なサウンド・プロダクションや青色で統一されたスタイリッシュなヴィジュアルからミュージシャンらの評価が高い。

以前彼らを紹介したとき、ニューメタルコアならぬニューハードコアなどと紹介したが、その時点で彼らのサウンドがどこへ向かっているのか分からなかった。昨今、バンドがどこを拠点としているのか、メンバー構成はどうなのかなどをあえて公開しない、ミステリアスな雰囲気を出しているバンドが多いが、彼らもそんなバンドの一つだった。結局、このアルバムだけでは彼らが目指すサウンドが何なのかを掴むことが出来なかった。繰り返し聴いても、計り知れない魅力が放射状に放たれ続けるアルバムを聴き終えるころには、メタルコアが何なのかさえ分からなくなってしまう。

基本は現代メタルコアの中でも盛り上がりを見せるニューメタルコアに分類されるようなスタイルがベースになっているが、Loatheの元ギタリストConnorが「morbidly perfect」でフィーチャーされているように、オルタナティヴな方面への挑戦も多く見受けられる。「morbidly perfect」のサビへの導入部分はまさにLoatheの影響が感じられるし、「of the shapes of hearts and humans」もシューゲイズっぽい。

ミュージックビデオになっているバンド名を冠した「fromjoy」が彼らが目指すサウンドであるとしたら、2024年、とてつもなく巨大なバンドに成長している姿しか想像出来ない。波打つリフがビートダウンしながらもロックなフックを差し込んだり、印象的なシンセのメロディと女性ボーカルのクリーン。後半はただのビートダウン・デスコア。「docility」でPeeling Fleshがゲスト参加しているのは、彼らがヘヴィ方面への挑戦を忘れていないことをリスナーに訴えているように感じる。

最後に、このアルバムで最も衝撃だった楽曲「Icarus」について話したい。アルバムのエンディングを飾るこの曲が、fromjoyの未来の鍵を握っている。Loatheらオルタナティヴ/シューゲイズ・メタルコアからの影響、メロディック・ハードコア的なシリアスなメロディの感覚、バランス感覚の優れたブレイクダウン。驚くべきことに、それらに加えてアウトロにヴェイパーウェーヴが組み込まれている。思い返せば、彼らの活動の至る所にヴェイパーウェーヴ的なヴィジュアルがあった。青で統一された世界観も、もしかしたらそうした影響なのだろうか。本当にこの楽曲でアルバムを聴き終えた時の感覚が、難解な長編映画の結末を完璧に理解できないまま噛み締めているかのような、混乱にも近いものがあった。

彼らのポテンシャルは計り知れない。これまで使ってきた「計り知れない」という言葉の中で最も計り知れない…。

 

 

1位 : August Burns Red 「Death Below」

Amazonで購入する / Spotify / Apple Music

USメタルコア・レジェンド、August Burns Redの通算10枚目となるフル・アルバム『Death Below』。 Fearless Recordsを離れ、自身の周年を祝った企画盤を経て、SharpTone Recordsとの契約を果たしている。Carson SlovakとGrant McFarlandによってプロデュースされた本作には、Killswitch EngageのボーカリストJesse Leachをはじめ、All That RemainsのJason RichardsonやErraのJ.T. Cavey、UnderoathのSpencer Chamberlainがゲストとしてそれぞれ楽曲に参加している。

2003年の結成から20年。そして記念すべき10枚目のアルバムということもあり、これまでAugust Burns Redが一切ブレることなく貫いてきたメロディック・メタルコアのプライドが感じられる仕上がりとなっていて、ゲストが参加した楽曲やアルバム全体の中でブレイクと言える部分に多少の変化があれど、後続のメタルコア・バンドたちに与えてきた影響がどんなものであるかが浮き彫りとなった、「August Burns Redの真の魅力」がたっぷりと詰め込まれている。

Killswitch EngageのJesseをフィーチャーした「Ancestry」はミュージックビデオとしてアルバムの先行シングルにもなっているキートラックで、火花を散らしながら駆け抜けていくメロディックなフレーズ。ABRブレイクダウンと形容したくなる、トレードマークのグルーヴ、Jesseというトップ・メタルコア・バンドのフロントマンの個性さえも凌駕するAugust Burns Redサウンドのオリジナリティの偉大さを感じることが出来る楽曲として、2023年メタルコア・トップトラックのひとつと言えるだろう。

「Dark Divide」やJason Richardsonをフィーチャーした「Tightrope」など他にもアルバムのキーリングと言える楽曲がトラックリストの中にひしめき合っているが、ErraのJT Caveyが参加した「The Abyss」は若干Erra寄りでありながら紛れもないAugust Burns Redなのが興味深い。彼らをAugust Burns Redたらしめている要素はもちろん、全てのパートであるが、ドラムの凄まじさは改めて評価したい。

彼らの地元を拠点とするレーベルで、Texas in Julyなどを手がけたCI Recordsのオーナーが、RNR TOURSでCarousel Kingsが来日する度に帯同してくれてAugust Burns Redの話を聞かせてくれるのですが、そのミュージシャンとしての繋がり以上に友人同士であることのつながりの強さが長年続けられる秘訣なのかもしれない、と語ってくれた。ちょうど、RNR TOURSが3年振りに海外アーティストの招聘活動を再開して、オーストラリアからNo Quarterというバンドのツアーを終えたところだが、彼らも2003年結成、今年20周年を迎えたバンドだった。バンドの大きさに差はあれど、20年バンドを続けるということの凄み、そして続けられてこれた理由をツアーを通じて感じることが出来た。互いへのリスペクトはもちろん、メンバーそれぞれ、5人の大人の集合体であるバランス感覚など、本当に長くバンドを続けるということは奇跡であると思う。

August Burns Redのようにトップ・シーンで戦い続ける重圧が加われば更に困難なことであるだろう。キャリア通算10枚目の本作から感じられることは、単にメロディック・メタルコアの素晴らしさだけではない。

Crown The Empire、クラシックなスタイルを取り戻したニュー・アルバム『DOGMA』をリリース!

 

テキサス州ダラスを拠点に活動するメタルコア・バンド、Crown The Empire が、2019年にリリースしたアルバム『Sudden Sky』以来、およそ3年振りとなるニュー・アルバム『DOGMA』をRise Recordsからリリースしました。

 

Fever 333やPoorstacy、Nova Twinsらを手がけた Zach Jones がプロデュースとミックスを担当した『DOGMA』は、怒り、実存的アイデンティティ、孤立、そして並々ならぬ決意を燃料とし制作された、非常にバラエティに富んだアルバムに仕上がっている。この3年間、バンドは人生におけるプライベートやチームなどにおける優先順位を振り返ることに時間をかけてきました。この時間は、『DOGMA』の歌詞に大きく反映されている。

 

 

「歌詞は、言葉足らずで俗っぽくなく、程度の高いものではありません。超常現象との遭遇、躁うつ状態の夢などについて、正直で直接的な歌詞だ」とボーカルのAndy Leoは語る。また、長年のメンバーであるベーシスト/ボーカリストのHayden Treeは、「Crown The Empireのクラシックなスタイルを取り戻した」とこのアルバムの完成度に自信を持っている。「ハイエナジーでアップテンポなソリッドリフと、メロディックな側面がマッシュアップされて、これまで以上にアップデートされたサウンドになったよ」と続けている。

 

 

 

『DOGMA』には、SpiritboxのCourtney LaPlanteをフィーチャーした「Immortalize」や先行シングルとして公開されている「In Another Life」、「Dancing With The Dead」といったキラーチューンが収録され、アルバムリリースに合わせてPalaye RoyaleのRemington Leithをフィーチャーした「Superstar」のミュージックビデオも公開されている。

 

▶︎Crown The Empire 『DOGMA』

1.DOGMA
2.Black Sheep
3.Modified
4.Paranoid
5.In Another Life (feat. Courtney LaPlante)
6.Superstar (feat. Remington Leith)
7.Dancing with the Dead
8.Immortalize
9.Someone Else
10.Labyrinth

 

配信URL : https://riserecords.lnk.to/DOGMA

 

メタルコア 2022年下半期のベスト・アルバム (後編)

2022年にリリースされたメタルコアの作品の中からRIFF CULTが気に入ったものを年間ベスト・アルバムとしてアルバムレビューしました。素晴らしい作品が多く、前編、後編に分けて記事を書いていますので、上半期のレビューと合わせてチェックしてください (リンクは記事の最後に掲載しています)。今回は後編!

 

RIFF CULT Spotify プレイリスト : https://open.spotify.com/playlist/280unJx37YbHbRvPDlZxPi?si=3d0db24716c648cb

RIFF CULT YouTube プレイリスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLLijetcgxQ4PZZMlhlpExxiNrr5wSYBjj

 

 

The Devil Wears Prada – Color Decay

メタルコアとスクリーモが混ざり合い、新しいスタイルを形成し始めた2000年代中期から後期にかけて、The Devil Wears Pradaはシーンの代表的な存在であった。通算8枚目のアルバムとなる『Color Decay』まで次第にダークな世界観を推し進め、それはメタルコア・シーンの発展、トレンドとは全く別の路線として独自性を失うことなくそのサウンドに磨きをかけてきた。『Color Decay』は緊張感こそピンと張り詰めているものの、「Salt」や「Sacrifice」といった初期The Devil Wears Pradaの面影が見え隠れするキャッチーなキラー・チューンを中心に、メロディックな楽曲で構成されている。この手のサウンドのオリジネイターでありながら、簡単にフォロワーを生み出さない創造力は神々しいMike Hranicaの存在感が放つ圧倒的なパワー故。

 

 

 

Parkway Drive – Darker Still

過去6作品全てゴールド・アルバムを獲得し、最大級のメタルの祭典「WACKEN」でヘッドライナーを務めるなど、シーンの頂点へと昇り詰めたParkway Drive。そんな彼らが7作目にして「これがバンドが20年間目指してきたパークウェイ・ドライヴだ」と言い切る本作は2022年を象徴するメタル・アルバムとなった。

 

アルバム発売前にリリースされたアルバムのタイトルトラック「Darker Still」は、これまでのパークウェイ・ドライヴとは一線を画すもので、キャリアを象徴するようなパフォーマンスが随所に見られる、壮大なスケール感のある曲に仕上がっている。口笛とアコースティック・ギターで始ま李、ギターソロ、幽玄なコーラスとストリングス、そしてマッコールの驚異的なヴォーカルを通して、リスナーを圧倒的な旅へと誘う。マッコールはこの曲について次のようにコメントしている。

 

「愛。時間。死。我々の存在を構成する偉大な決定的要素。この曲は最もシンプルな人間の音から始まり、これらの要素を表現しながら音楽の旅が成長し、クレッシェンドに達した後、避けられない旅の結末に直面する。夜は暗くなる…さらに暗くなる。」ウィンストン・マッコールの家のキッチンには冷蔵庫があり、その片面にはトム・ウェイツの言葉が飾られている。「美しい旋律が恐怖を語る。」マッコールはこの言葉は自分自身をよく表していると言う…… 続きはこちら (https://riffcult.net/2022/09/09/parkway_drive-darker_still/)

 

 

 

Boundaries – Burying Brightness

Peripheryが運営する3DOT Recordingsへ移籍しリリースされたセカンド・アルバム。鬱屈したメンタルヘルスをテーマに混沌とした頭の中のモヤモヤを描くようにして、予測不可能なグルーヴを鋭いハードコア・リフで切り開いていく。モダン・メタルコアの輝きを放つ「This Is What It’s Like」、デスコアに接近する「My Body Is A Cage」、エンディングを飾る「The Tower」ではDeftonesばりの瞑想ポストメタルを奏で、メタルコア/ハードコアに留まらない魅力を醸し出している。

 

 

 

Orthodox – Learning To Dissolve

テネシー州ナッシュビルを拠点に活動するメタルコア・バンド、OrthodoxのCentury Media Recordsとの契約後、初となるアルバム。本作『Learning To Dissolve』は、2017年のファースト・アルバム『Sounds of Loss」から始まった流れに句読点を打つような作品。結成当初からORTHODOXは、ボーカリストAdam Easterlingの鈍重でKornのジョナサン・デイビス風のシャウトSlipknotを彷彿とさせるリフを混ぜ合わせ存在感を見せつけてきた。しかし、Knocked LooseやVein.FMのサウンド同胞のように、90年代/00年代の影響がある一方で、ORTHODOXは単に影響を受けたものに敬意を表しているのではなく、それを超えてくる。

 

「俺たちはハードコアを聴いて育ったわけじゃない。俺たちはLinkin ParkSystem of a Downのようなバンドを聴いて育ったんだ」。とAdamは話す。『Learning to Dissolve』では、それらの影響が、アルバムのオープニング・トラックである「Feel It Linger」から、クローズの「Voice in The Choir」のパーソナルでオーラルなメルトダウンまでたっぷりと練り込まれてある。

 

 

 

Architects – the classic symptoms of a broken spirit

格式高いRoyal Albert HallでのライブやAbbey Road Studiosでの録音音源のリリースなど多忙を極めていたArchitectsであったが、同年、通算10枚目となる本作をリリースした。前作『For Those That Wish To Exist』を足掛かりとし、メタルコアからヘヴィロックへと変貌を遂げたことには賛否両論あるものの、バンドのトレードマークとも言えるメロディックなシャウトは健在。大舞台での熱演が目に浮かぶ「deep fake」や「when we were young」といった新時代のアンセムは少し先のロックの未来を見るようだ。

 

 

 

 

Electric Callboy – TEKKNO

本作は2019年にリリースしたアルバム『Rehab』以来の新作で、Eskimo Callboyから改名後、初のアルバムとなる。「Hypa Hypa」「Pump It」が大ヒット、Eskimo Callboyは瞬く間にメタル・シーンを飛び出しグローバルなバンドへと成長した。2021年12月、彼らの名が広く知れ渡るようになったことをきっかけに、バンドは不快な歌詞を持つ過去曲をプラットフォームから削除、さらに「Eskimo」という単語がアラスカのイヌイットやユピックの人々に対する蔑称と捉えられるため、「Electric Callboy」へと改名することを発表した。ここに至るまで、バンドはイヌイットやユピックに関する歴史をファンと共に学ぶようYouTubeで動画を発信するなどした……。 続きはこちら (https://riffcult.net/2022/09/09/electric_callboy-tekkno/)

 

 

 

Fire From The Gods – Soul Revolution

Better Noiseへと移籍。ニューメタルコアの盛り上がりとは別にFire from the Godsは古き良きニューメタル/ラップメタルの攻撃性を現代的にアップデートさせた。自由で無駄がなく、それでいて豊かに洗練されたクリーン・ヴォイス、Rage Against the Machineを彷彿とさせるひりついた緊張感のあるフロウが醸し出す伸縮性のあるAJのボーカルラインは唯一無二。「Soul Revolution」といったアグレッシヴなキラーチューンから「Be Free」、「Love is Dangerous」といったニューメタル・バラードまでバンドの持てる全てを注ぎ込んだ一枚。

 

 

 

HOSTAGE – MEMENTO MORI

2018年ドイツ・アーヘンで結成。ボーカリストNoah、ギター/ボーカルDavid、ギタリストNico、ドラマーMarvinの4人編成で本作がデビュー・アルバムとなる。ALAZKAを筆頭にメロディック・ハードコアやポストハードコアの風合いがさりげない存在感を放ち、しなやかに弾むメロディックなリフと伸びやかなクリーン・ヴォイスが印象的。ソリッドなヘヴィチューン「Fantasy」やANNISOKAYのChristophをフィーチャーした「Game Over」といったコラボトラックもモダンさと素朴さのバランス感覚に優れており、アルバムに充実した印象を与える。

 

 

 

 

Love Is Noise – Euphoria, Where Were You?

FEVER333Nova Twinsが所属する333 Wreckordsのニューカマーとして表せたLove Is Noise。Loathe以降、イングランドのメタルコアの新潮流となったシューゲイズ・メタルコアの新鋭としてこの作品の芸術性は後続のバンドに幾つものヒントを与えている。まるで目に見えない電波に触れたかのようにしびれ、めまいを起こすほどのうねりを見せるリフがノイズに飲み込まれていくかのような「Movement」はシューゲイズの幻惑的な光も落とし込んでいく。

 

 

 

2022年の年間ベスト・アルバム記事

メタルコア (全期 前編)

メタルコア (全期 後編)

デスコア (上半期)

デスコア (下半期)

スラミング・ブルータル・デスメタル (上半期)

スラミング・ブルータル・デスメタル (下半期)

ゴアグラインド

ブルータル・デスメタル (上半期)

ブルータル・デスメタル (下半期 前編)

ブルータル・デスメタル (下半期 後編)

テクニカル・デスメタル (全期 前編)

テクニカル・デスメタル (全期 後編)

 

メタルコア 2022年下半期のベスト・アルバム (前編)

2022年にリリースされたメタルコアの作品の中からRIFF CULTが気に入ったものを年間ベスト・アルバムとしてアルバムレビューしました。素晴らしい作品が多く、前編、後編に分けて記事を書いていますので、上半期のレビューと合わせてチェックしてください (リンクは記事の最後に掲載しています)

 

RIFF CULT Spotify プレイリスト : https://open.spotify.com/playlist/280unJx37YbHbRvPDlZxPi?si=3d0db24716c648cb

RIFF CULT YouTube プレイリスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLLijetcgxQ4PZZMlhlpExxiNrr5wSYBjj

 

 

We Came As Romans – Darkbloom

5年振り通算6枚目フル。2018年にWe Came As Romansのクリーンボーカルを務めたKyle Pavoneが急逝。新たなシンガーを迎えることはなく、これまでスクリームを担当してきたDaveがクリーンパートを兼任する形で制作が行われた。Kyleへのトリビュート・アルバムであるものの、そのサウンドに悲壮感はなく、むしろ現代的なエディットを施し、攻撃的なリフのうねるようなグルーヴが明暗表現を加速させている。Caleb Shomoをフィーチャーした「Black Hole」ほか暗い色彩の中に輝きを映し出す楽曲がひしめき、歩みを止めないバンドの真摯な気持ちを表している。

 

 

 

Miss May I – Curse Of Existence

Miss May Iは名作『Monument』以降、メタルコア史に自ら打ち立てた金字塔を越えられていないというコアなファンからの声もちらほらあった (といってもセールス的にはずっと成功してきた)。個人的にはそうは思わないが、『Monument』が今後数十年に渡り語り継がれていくアルバムであること、そして彼らがシーンに与えたインパクトが強烈だったことは間違いない。そんな『Monument』に匹敵する凄まじいサウンドで、2022年にMiss May Iは再びシーンに戻り、そして今バンド史上最高傑作と言える『Curse Of Existence』を発表した。

 

Miss May I にファンが求めるのは、ソリッド&メロディックなリフアンセム的なコーラス、そして強烈なブレイクダウンといったところだろうか。オープニングを飾る「A Smile That Does Not Exist」を聴けば、すぐにこのアルバムの力強さに圧倒されるはずだ。ブラストビートにシュレッダーリフ、Leviのスクリームが炸裂していく。続く先行シングルとしてリリースされた「Earth Shaker」や「Bleed Together」とファストなキラーチューンが立て続けに繰り広げられていく。特にこの2曲のブレイクダウンがアルバムのハイライトとも言えるパワーがある。シュレッドなギターと印象的なコーラスのハーモニー、クラシックなメタルコア・ブレイクダウンを搭載した「Into Oblivion」は、個人的にアルバムのベスト・トラックで、Bring Me The HorizonArchitectsなどに匹敵するスタジアム・ロック的なスケールがたまらない。思わず「INTOOO OBLIVIOOON!!!」と叫ばずにはいられないはず。

 

 

正直言って、全曲キラーチューン過ぎる。ミュージックビデオとして先に公開されている「Free Fall」、「Unconquered」は余裕があれば歌詞にも注目して欲しい。「Free Fall」はインポスター症候群について歌った曲であり、恐怖心を押し殺し飛躍を遂げた人たちのアンセムだ。インポスター症候群とは、自分の能力や実績を認められない状態を指し、仕事やプライベートを問わず成功していても、「これは自分の能力や実力ではなく、運が良かっただけ」「周囲のサポートがあったからにすぎない」と思い込んでしまい、自分の力を信じられない状態に陥っている心理傾向のこと。フレーズがまるで会話のように掛け合いながら展開していく。完璧なエンディングを聴き終えた後、『Curse of Existence』がMiss May Iの過去最高傑作だ!と思うリスナーは多いはずだ。久々にモダンなメタルコア・アルバムでガツンとくる作品だったと思う。彼らは「あの頃のバンド」ではなく、永遠のメタルコア・ヒーローだ。

 

 

Varials – Scars For You To Remember

3年振りとなるサード・アルバム。これまでアルバム毎に異なるスタイルを提示してきたVarials、本作はニューメタル/インダストリアル・メタルのエレメンツをスタイリッシュにメタルコア/ハードコアに注入している。ミュージックビデオになっている「.50」はSlipknotから細胞分裂したかのような強靭なグルーヴを見せ、ほとんどマシンガンとも言える鋭利なドラミングが「Phantom Power」ではドラムンベースに置き換わる瞬間も。鋭さを追求しメタルコアの造形表現を極めつつも、これまでの実験的なアイデアもVarialsらしさの強いアクセントとなっている。

 

 

 

I Prevail – TRUE POWER

3年振りとなるサード・アルバム。前作『Trauma』はグラミー賞2部門にノミネートされ、シーンを牽引するアリーナ・バンドへと成長を遂げた。I Prevailの基本的スタイルとも言えるエレガントに装飾されたシンセサイザー/オーケストレーションとハードロックに接近しながらソリッドに刻み込まれるリフ、そしてBrianとEricによるツインボーカルの圧倒的な存在感は本作でも聴くことが出来、Beartoothに代表されるようなロックンロールのフックが何より素晴らしい。「Body Bag」といったヘヴィに振り切った楽曲からスタジアム級のスケールを誇る「Bad Things」ほか、彼らの現在地が分かる一枚。

 

 

 

Oceans Ate Alaska – Disparity

前作『Hikari』から5年、2016年に脱退したオリジナル・ボーカリストJames Harrisonが2020年に復帰し制作された通算3枚目フルレングス。シングル「Metamorph」、「New Dawn」、「Nova」はもちろん、I, PrevailのEric Vanlerbergheをフィーチャーした楽曲「Dead Behind The Eyes」など、期待を裏切らない楽曲がたっぷりと収録されている。正直、Oceans Ate Alaskaにとっても、我々リスナーにとっても、『Hikari』から5年という時間はとても長かった。それは単純な長さに加えて、パンデミックなどによるダメージも大きい。センセーショナルなFearless Recordsからデビューであったからこそ、「次、いったいどんな作品を仕上げてくるのか」という高まった期待が一度落ち着いてしまうと、なかなかそれを超えてくる作品は出てこない。

 

しかしどうだろう、今このレビューを読みながら『Disparity』を聴いている方は、オープニング・トラックの「Paradigm」を再生した瞬間、Oceans Ate Alaskaに期待するものを得られた喜びを噛み締めていることだろう。5年をかけて作り上げたと言われれば納得 (おそらくそれよりももっと短期間で完成させられている) の作品で、個人的には楽曲「Sol」の完成度の高さには驚いた。アルバム収録曲の総時間は30分。そこに詰め込まれたOceans Ate Alaskaらしいアイデア、ドラマーChrisの卓越されたドラムプレイ。たとえ次のアルバムがさらに5年後だとしても、5年間聴き続けても飽きないような作品になっているように思う。じっくりじっくりと聴き返したい作品。

 

 

 

He Is Legend – Endless Hallway

通算7枚目となるフル・アルバム、先行シングルとして発表された「THE PROWLER」や「LIFELESS LEMONADE」といった楽曲は現代的なメタルコアのエッジ、ヘヴィネスと言う部分に溢れており、これまでのHe is Legendファンは驚いたことだろう。そして「He is Legendってこんなに凄いのか」と名前だけ知っていたようなリスナーの興味も引いたはずだ。彼らは日本において、そして世界的においてもその実力が高く評価されてこなかった。いわゆる過小評価バンドだった。ポテンシャルは十分で芸術的な存在感が「キャッチー」と言うキーとはやや離れていたからではないかと考える。このアルバムは彼らが長いキャリアの中で培ってきた芸術的なカオスも見せる快作、コアなファンにこそ聴いてほしい一枚。

 

 

 

Fit For A King – The Hell We Create

通算7枚目フル。ドラムにTrey Celayaが加入してから初となる作品は、プロデューサーにDrew Fulkを起用してレコーディングされた。コロナウイルスによるパンデミックにより生じた精神的な葛藤を描いた「Falling Through the Sky」など、アーティスティックな歌詞世界も魅力だ。オープニングを飾るタイトルトラック「The Hell We Create」に代表されるように、バウンシーなグルーヴはそのままにメロディックメタルコアへとそのスタイルを微細に変化。更なる高みを目指すFit For A Kingの野心溢れる仕上がり。

 

 

 

Stray From The Path – Euthanasia

2019年にリリースした前作『Internal Atomics』から3年振りとなる本作は、話題となった先行シングル「Guillotine」を含む強烈な全10曲入りだ。Stray From The Pathのメンバーは、「バンドは常に、抑圧に対して発言する場として自分たちの歌を使ってきた」と言う。アメリカの公安にまつわる多くの問題、特に警察活動への疑問や怒りをメッセージに長年ソングライティングを続けてきたバンドは、こうした問題が解決される兆しの見えない混沌とした現世への怒りの高まりに呼応するように、その勢いを加速させている。

 

ギロチンをバックにプレイするStray From The Pathが印象的な「Guillotine」のミュージックビデオ。結成から20年以上が経過し、積み上げてきたバンド・アンサンブルはまるで生き物のようにグルーヴィだ。ニューメタルとハードコア、そしてラップが巧みにクロスオーバー、音楽的にも現代のメタルコア・シーンにおいて彼らの存在は重要だ。同じくミュージックビデオになっている「III」では警察に扮したメンバーが皮肉めいたアクションでアメリカ警察を口撃する。まるでマシンガンのようにして放たれるラップのフロウがノイズに塗れたニューメタル/メタルコアによって何十にも攻撃力を増していく。

 

アメリカでの彼らの絶大な人気を見れば、市民の代弁者とでもいうべきスタイルを取るバンドであると言える。もちろん、音楽的にもニューメタルコアに非直接的ではあるが影響を与えており無視できないレジェンドだ。アルバムに込められたメッセージを紐解くことは、アメリカに生きるということの現実的な困難や不安を感じることだ。それは日本に住む僕らも共感できるものなのかもしれない。

 

 

 

The Callous Daoboys – Celebrity Therapist

The Callous Daoboysは、キーボーディスト、ヴァイオリニストを含む7人組、ライブによってはDJやサックスもいたりとそのメンバー・ラインナップはこれまで流動的だったが、現在は7人組とのこと。そのアーティスト写真からは一体どんなサウンドを鳴らすのか想像も出来ないが、2000年代中期から大きなムーヴメントとなったカオティック・ハードコア/マスコアのリバイバル的なサウンドを鳴らす。The Callous Daoboysは、The Dillinger Escape Plan、Norma Jean以降のiwrestledabearonceやArsonists Get All The Girls辺りのリバイバルを加速させる存在と言えるだろう。最も彼らに近いのがiwrestledabearonceで、特にベースラインのうねり、コーラスワークからは強い影響を感じる。

 

「What Is Delicious? Who Swarms?」はぜひミュージックビデオを見て欲しい。アルバムのキートラックでバンドの代表曲でありライブでもフロアの着火剤的な役割を担う楽曲。このビデオのディレクション、どこかで見たことがあるなと思ったのですが、Arshonists Get All The Girlsの「Shoeshine For Neptune」を若干意識しているのかもしれない。この「Shoeshine For Neptune」も15年前の名曲。マスコアも一周回ってリバイバルしてもおかしくないし、彼らがSeeYouSpaceCowboyやIf I Die First辺りと共にブレイクすれば十分盛り上がるだろう。彼らのブレイク次第では2023年のシーンの状況は大きく変わってくるかもしれない。

 

 

 

Crooked Royals – Quarter Life Daydream

ツイン・ボーカル有するニュージーランド・オークランド出身のプログレッシヴ・メタルコア、Crooked Royalsのデビュー作はPeripheryが運営する3DOT Recordingsからのリリース。「Glass Hands」や「Ill Manor」といった楽曲に代表されるAfter The BurialとPeripheryをクロスオーバーさせつつ、NorthlaneやErraの持つアトモスフィリックなエレメンツを燻らせたサウンドは、シャウトとクリーン・ヴォイスが鮮やかに交差、ハリと透明感に満ち溢れたサウンドに思わず聴き惚れてしまう。

 

 

メタルコア名盤 TOP10 (2022年上半期)