El Estepario Siberiano : 人気ドラムYouTuber、El Estepario Siberiano がBring Me The Horizonの人気曲「Kingslayer feat.BABYMETAL」を大胆にアレンジしたドラムカバー動画を公開。
El Estepario Siberianoはこれまでにもメタルをはじめ、ロックの名曲を大胆にアレンジしたドラムカバーを公開してきました。この楽曲も彼の手数の多いプレイによって切れ味を増しています!

The Last Ten Seconds of Life : ペンシルバニア州マンスフィールドのデスコアバンド、The Last Ten Seconds of Lifeがニューアルバム『The Last Ten Seconds of Life』をUnique Leader Recordsからリリースしました。
昨年10月にUnique Leader Recordsとの契約を発表、ブルータルに磨きをかけ、ひたすらにダウンテンポを追求していくのだろうと勝手に予想してましたが、想像の上をいく、これまでバンドが鳴らしてきたニューメタル/メタルコア・サウンドとクロスオーバーした新時代のダウンテンポを聴かせてくれます。
いくつもピックアップしたいタイトルはありますが、「Glory be 2 Misery」は、The Last Ten Seconds of Lifeにしか作れないアメリカン・アンダーグラウンド・メタルコア/デスコアのプライド溢れる仕上がり。非常に面白いですし、普通にメタルとして新しい面白さがあります。いくつもピースをランダムに組み合わせながら一曲になっているというか、とにかく新鮮。
「Zapffe Isn’t Invited to the Party」はシンプルにダウンテンポな切れ味鋭い一曲、チューニングもボーカルもローすぎてアガります。
現在行われているCattle Decapitationとのツアーでも新曲披露してますが、相当かましてますね。ミュージックビデオも最高なのでチェックしてみてください。とにかく聞き込むほどに味わい深くなっていくダウンテンポ・超傑作です。
EmmureやGlass Cloud、The Tony Danza Tapdance Extravaganzaなどで活躍するギタリストJoshua Travisが新曲「Web Of Lies」をSharpTone Recordsからリリースしました。
Darko USなどに通じるニューメタルコア/デスコア・スタイルは、JoshuaがEmmureを通じて最初に鳴らし、ニューメタルコアのパイオニア的な存在です。彼の新曲もまた、後続のアーティストに影響を与えるフレッシュなアイデアがたくさん盛り込まれていて面白いですね。
楽曲には、Andy Cizek (Monuments)とStephen Tarantoが参加している模様。
メタル検証 : メタルYouTuber、Pete Cottrellが最新動画にて「もしもMetallicaがSlipknotのようなサウンドになったら」という動画をアップ。この動画では、SlipknotがSlipknotたる理由であるサウンドを解説し、Metallicaの楽曲をSlipknotらしくアレンジしています。
SlipknotのモダンでブルータルなサウンドについてPeteは、Joeyのアイコニックなビート、キャッチーでグルーヴィなリフ、そしてコーラスについて話しています。こうして整理して理解するとSlipknotが人気な理由が非常によく理解できますね!
First video 2022 is up! What if @Metallica sounded like @slipknot? 🙂
Full vid: https://t.co/uI7Mv5TG81 pic.twitter.com/WLk8xW6oqr
— Pete Cottrell (@peteplaysmusic) January 22, 2022
ENOX : ニュージャージー州ジャージーシティを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコアバンド、ENOXがデビューアルバム『Euphoria』をリリースしました。ボーカリストMichael Guevarez、ギタリストのErnesto GrassiとMikey Luna、ベーシストRoy Beatty、ドラマーJohn Capparelliの5人体制を取るENOXが2018年にシングル「Convulsions」でデビュー。これまで実直にシングルリリースを続け、いよいよアルバムデビューとなりました。
微細にエディットされたリフ、エッジの効いたサウンドスケープ、それでいて耳の残る華麗なクリーン・パートが心地良いENOXサウンド。Notionsのようなニューメタルコア/ラップメタルっぽさもあるので、そういうサウンドが好きな方にもオススメです。
Pridelands : オーストラリア/メルボルンを拠点に活動するオルタナティヴ・メタルバンド、Pridelandsがデビューアルバム『Light Bends』をSharpTone Recordsからリリースしました。バンドは2018年にEP『Any Colour You Desire』をリリース。2012年から活動を続け、本格始動から10周年を迎えた今年、インターナショナル・リリースをSharpTone Records、国内リリースをオーストラリアの名門Resist Recordsから行った。
ボーカリストのMason BuntとJoshua Cory、ギタリストLiam Fowler、ベーシストDaniel Lohrey、ドラマーJoe Lipshamの5人体制で活動するPridelandsの鳴らすサウンドはプログレッシヴ・メタルコアをベースにしながら、ポストハードコアやオルタナティヴ・メタルを飲み込みながらダイナミックに鳴らされる。NorthlaneやThornhillを彷彿とさせるメロディワークは「これぞオーストラリア」とリスナーを唸らせる一級品のクオリティだ。
2021年8月10日にリリースされた「The Walls」はPridelandsのサウンドを象徴するアルバムのリードトラックで、ミュージックビデオにもなっている。同郷のBelle Haven他、やはりオーストラリアはアメリカ、ヨーロッパに次ぐメタルコア/ポストハードコア大国であり、ハイレベルなバンドが次から次へと出てくるので面白い。Pridelandsはそんなオーストラリア勢の中でもUnderoathやThe Devil Wear Pradaといった唯一無二の独創性を持つバンドの世界観に近いものをもっているように感じます。
We’ve been waiting a very long time for this.
Light Bends is out now on all streaming platforms.
From Pridelands, with love, from now until forever. pic.twitter.com/hZMuhsWQiz
— Pridelands. (@pridelandsband) January 14, 2022
間違いなくメタルコアシーンで輝く日が近いと感じるPridelands。しっかりデビューアルバムを聴き込んで彼ららしさを耳に染み込ませておいてほしい。ここから始まる快進撃に注目だ。
Underoath : 1997年からフロリダ州タンパを拠点に活動するメタルコア/ポストハードコアバンド、Underoathが前作『Erase Me』からおよそ3年10ヶ月振りとなる通算9枚目のスタジオ・アルバム『Voyeurist』をFearless Recordsからリリースしました。
2015年に再結成。そこからメンバーチェンジもなくドラム/ボーカリストAaron Gillespie、キーボーディスト/プログラマーChristopher Dudley、ギタリストのTimothy McTagueとSpencer Chamberlain、ベーシストGrant Brandell、リード・ボーカリストSpencer Chamberlainの6人で活動を続けている。
本作はプロデューサーにThe AlmostのドラマーであるJJ Revellを起用。ギタリストのTimothy、キーボーディストChristopher、ドラマーAaronと共にプロダクション、エンジニアリングを行い、ミックスはChad Howatが担当した。
第1弾先行シングルとして発表された「Damn Excuses」は2021年7月14日に公開された。ファンからはこれまでのUnderoathのキャリアを全て詰め込んだ傑作と称され、既に2021年時点で本作が「2022年のベスト・メタルコア/ポストハードコアアルバムだ」との声も上がった。ダイナミックかつヘヴィなリフが独特な空気感の中を漂うように刻まれていく展開美は芸術的と言えるだろう。
第2弾先行シングルとして発表された「Hallelujah」は、2021年8月4日に公開された。彼らの名作『Define the Great Line』を彷彿とさせるという声も多く、個人的にはそれら彼らの代表作で見せたカオスが時を経て整理され、『Erase Me』、『Voyeurist』として形になってきているようにも感じる。現在のメタルコアシーンのひとつの潮流とも言えるオルタナティヴな香りは元々Underoathがもっていてシーンの中で育んできたものであったように思うし、なんだかんだ初期から大きなスタイルチェンジをしないままその時代の音を鳴らしてきたというのは凄いことだと思う。
2021年9月22日に公開された第3弾先行シングル「Pneumonia」は、アルバムの中でも異彩を放つ7分超えの大作で、ギタリストTimothyが父を亡くしたことにインスパイアされ、制作が行われたという。ポストロック、シューゲイズ、オルタナティヴロック、メロディック・ハードコアなど様々な音楽からの影響を感じながらもUnderoathのサウンドデザインで仕上げられた崇高なサウンドは、アルバムのエンディングにふさわしい一曲。ダークでありながら深みのある歌詞も素晴らしい。
2021年10月27日に公開された第4弾先行シングル「Cycle」はミュージックビデオにもなっており、トラップメタル/オルタナティヴラッパーとして活躍するGhostemaneとのコラボ曲。それだけでもキャッチとしては成立してますが、普通に曲が良すぎます。前作『Erase Me』と比べると、こちらの方が古参ファンは嬉しい仕上がりかもしれませんね。
2021年12月9日に最後の先行シングルとして発表された「Numb」は、名作『They’re Only Chasing Safety』のアップデート・バージョンとバンドは話す。ここまで公開されたシングルを聴き返してみれば分かるように、バンドがキャリアを通じて培ったヘヴィネスを再構築したような作品になっている。アルバムリリースと同時に公開された「I’m Pretty Sure I’m Out Of Luck And Have No Friends」をはじめとする他の楽曲も現代的でありながら、どこか懐かしさを感じる。
Times Square. UØ. Wow. @spotify showing all the love and we feel it. Life is wild. pic.twitter.com/dG1kwOzZav
— Underoath (@UnderoathBand) January 15, 2022
タイムズスクエアをジャックした気合の入ったプロモーションもあり、再びシーンにおけるUnderoathの存在感が強まることが期待できる作品だ。ぜひじっくりと聴き込んでもらいたい。
DIVINITIST : 日本を拠点に活動するデスコアバンド、DIVINITISTが新曲「IMITATOR OV DEITIES IN FALSE GENESIS」のリリックビデオをSlam Worldwideから公開しました。自身のサウンドを「Divinity Deathcore」と自称するDIVINITIST、ドゥーミーなガテラルが漆黒のブラッケンド・サウンドを更に黒く染め上げ、緩急の効いた楽曲展開で楽曲をドラマティックに仕立てていきます。
【🔥NEW SINGLE🔥】
DIVINITIST
"IMITATOR OV DEITIES IN FALSE GENESIS"https://t.co/LTXVwhZcy7
Mixed/Mastered by @SamuelDestroyer
via @slam_worldwide #DIVINITIST #SLAMWORLDWIDE pic.twitter.com/LZqHVNqri1— 𝐃𝐈𝐕𝐈𝐍𝐈𝐓𝐈𝐒𝐓 | ディヴィニティスト (@DIVINITIST) January 15, 2022
Darko US : Chelsea Grinで活躍するTom BarberとEmmureで活躍したJosh Millerによるニューメタルコア/ニューデスコア・ユニット、Darko USが新曲「Acid Inject」をリリースしました。これまで鳴らしてきたニューメタルコア/デスコア・サウンドに加え、ダンサブルなアプローチとブルータルなエッセンスを見事に融合させた一曲。2022年も彼らの挑戦から目が離せない。
Music Video : https://www.youtube.com/watch?v=CxDIVaqanSI
多くのメタルYouTuberがリアクションビデオをアップしているので、そちらも合わせてチェックしてみてほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=1VWmGfD9Fng
Worm Shepherd : マサチューセッツ州ブロックトンを拠点に2020年から活動するブラッケンド・デスコアバンドWorm Shepherdのセカンドアルバム『Ritual Hymns』が2022年1月14日にUnique Leader Recordsからリリースされました。
結成から僅か2年ではあるものの、Unique Leader Recordsと契約しセカンドアルバムをリリースしたというのは驚異的なスピード出世と言えるだろう。ボーカリストDevin Duarte、ギタリストのBrandon Cooper、Ryan Ibarra、Tre Purdue、そしてドラマーLeo Worrell McClainというベースレス、トリプルギターの5人体制を取る彼らは、2020年の20月にSlam Worldwideから公開した「ACCURSED」のミュージックビデオで人気に火が付いた。ブラックメタルに振り切った世界観、そしてサウンドからはDrown In Sulphurに近い雰囲気を感じるが、Worm Shepherdの方が洗練されているように感じますね。
アルバムのタイトルトラックでありオープニングを飾る「Ritual Hymns」のミュージックビデオは2021年10月14日に公開され、現在までに7万回再生を記録。Lorna ShoreやMental Crueltyに近いサウンドであることは間違いないが、彼らがブラックメタルのエッセンスを組み込んだデスコアであれば、Worm Shepherdはデスコアのエッセンスを組み込んだブラックメタル、と言いたくなる感性を感じる。
2021年11月16日に公開された「Chalice Ov Rebirth」のリリックビデオからは、彼らがブラックメタルバンドとしても高い魅力を持っていることが感じられるだろう。ちょうど2022年1月14日に同じタイミングでリリースされたShadow of Intent、Enterprise Earth、Fit For An Autopsyと聴き比べてみるとその違いは歴然。ブラッケンド・デスコアもそのクロスオーバーの割合でここまで変化があり、違った可能性を持っているのは面白いことだと思います。
2021年12月24日に公開された「The River Ov Knives」は、最も早いLorna Shoreフォロワー的なサウンドで結構バズるかと思ったのですが、現在までの再生回数は4万回程度。クリスマスイヴの公開というのもあって、他に話題を取られてしまったように感じますが、楽曲の完成度は非常に高く、驚きを感じながら聴くことが出来ると思います。
ブラッケンド・デスコアが想像以上に多様な可能性を持っていることを証明したWorm Shepherdの功績は大きいですし、彼らがさらにステップアップしていくこと、特にブラックメタルからのリスナーを取り込むことに成功すればでかいと思います。
Fit For An Autopsy : ニュージャージー州ジャージーシティを拠点に活動するデスコアバンド、Fit For An Autopsyが、2019年にリリースしたアルバム『The Sea of Tragic Beasts』からおよそ2年2ヶ月振りとなる通算6枚目のニューアルバム『Oh What the Future Holds』をNuclear Blastからリリースしました。
本作もギタリストWill Putneyによってプロデュースされている。前作からメンバーラインナップに変更はなく、Willは制作メンバーとしてのみバンドに在籍している。こうしてコンポーザーがツアーやライブ活動に帯同しないケースは珍しいが、Willは数多くのレコーディング・エンジニアリングをこなしており、物理的にライブ活動に参加することが出来ないのかもしれませんね。それでも柔軟にFit For An Autopsyを動かし、ここまで成長させたのは素晴らしい偉業だと思います。
2021年9月25日に公開された第1弾先行シングル/ミュージックビデオは、アルバムの3曲目に収録されている「Far From Heaven」だ。オルタナティヴなクリーンパートはSlipknotやTriviumといったメインストリームのメタルバンドからの影響が強く感じられ、バンドとしてネクストレベルへ進む為に必要だった要素と言える。それでありながら、キャッチーかつドゥーミーなリフを共存させているところにFit For An Autopsyのセンスを感じます。
第2弾先行シングル/ミュージックビデオとして2021年10月30日に公開された「Pandora」は、高いテンションで繰り広げられるアップテンポなナンバーだ。オルタナティヴ・デスコアとも形容できる彼らのサウンドのベースになっている部分は他の楽曲にも共通しているが、こうして楽曲毎に緩急をつけながらアルバムにフックをつけているところはさすが。
2021年12月4日に公開された第3弾先行シングル/ミュージックビデオ「In Shadows」は、これまでのFit For An Autopsyらしいアプローチで仕上げられたナンバー。ギター、ベースのリフ、ドラミング、ボーカルそれぞれに独創的なフック感が仕込まれているのがなんともFit For An Autopsyらしい。芸術的なサウンドデザインに圧倒されるだろう。
2022年1月7日に公開された第4弾先行シングル/ミュージックビデオ「Two Towers」は、ニューメタルのどろどろとした雰囲気を内包しながらも、しっかりとFit For An Autopsyらしいゴージャスでヘヴィなグルーヴをまとった一曲に仕上がっている。この楽曲の一番の聴きどころはやはりリフで重々しさに中にも繊細さがあり、ドゥーミーな響きが強烈な個性を放っている。
アルバムリリースから公開となった「A Higher Level of Hate」、「Savages」などの楽曲も先行公開された楽曲に引けを取らず一級品の仕上がりとなっており、アルバム後半を彩る内容となっている。ラストを飾る7分近い長尺のエンディング・チューン「The Man That I Was Not」は今のFit For An Autopsyをたっぷりと味わえるドラマティックな楽曲になっている。
オルタナティヴな響き、特にクリーンパートは現行デスコアの中でも洗練されており、後続に強い影響を与えること間違いなしだ。こうしたスタイルで他のメタルシーンで活躍するバンドらと共に世界中のフェスティバルに出演していく流れが出来てほしいと思える。
年始企画 : この企画の第1弾Rise Records編では、2000年代後半に登場した次世代メタルコア・ポストハードコアバンド達がキャリアを重ね、シーンを牽引する存在へと成長したことを確信付ける作品が数多くリリースされたと書いた。当時のRise Recordsが次世代のメタルコア・ポストハードコアがどんなものになるか予感させてくれたのに対し、Sumerian Recordsは2000年代に築いてきたSumerian Recordsらしいプログレッシヴ感を守りつつ、しっかりとシーンで活躍できる逸材を発掘し、育てたような雰囲気がある。Periphery、Veil of Maya、The Facelessといったメタル新世代のトップに加え、The Haarp Machine、Make Me Famous、Capture The Crownらがシーンに衝撃を与えた2012年のアルバムを振り返ってみよう。
The Haarp Machine – Disclosure
イギリス出身のプログレッシヴ・メタルバンドThe Haarp Machineのデビュー・アルバム。ターバンを巻いて華麗にプログレッシヴなリフを弾きこなすプレイスルー動画は今も印象に残っている。Peripheryらによって「Sumerian Recordsはプログレッシヴ/Djentなレーベル」であることが広くシーンに浸透、そしてこうした逸材を発掘し育成していくんだということにワクワクした。バンドは長く活動が止まっていたが、ここ最近動き出している。
Periphery – Periphery II: This Time It’s Personal
2010年にSumerian Recordsからデビューし、「Djent」というトレンドを生み出したPeripheryのセカンド・アルバム。Billboard 200で44位にランクイン。プログレッシヴ・メタルのニューカマーから一気にトップシーンでの知名度を確率した作品。
Veil of Maya – Eclipse
まだまだデスコアバンドというイメージが残っていたVeil of Mayaの4枚目フルレングス。PeripheryのMisha Mansoorがプロデュースを手掛けるというのも、この頃から次第にあちこちで見かけるようになっていった。全10曲28分というコンパクトな内容ながら、中堅メタルコア/デスコアの中では群を抜いて人気の高さを見せつけた一枚。
I The Breather – Truth And Purpose
2010年にSumerian Recordsからデビューしたメタルコア、I The Breatherのセカンド・アルバム。アンダーグラウンド・メタルコアシーンにおける知名度、そしてミュージシャンからの人気が高く一目置かれていた彼らも本作でBillboard クリスチャン・チャートで15位にランクインを果たした。August Burns Redに次ぐメタルコアバンドとして活躍が期待されることとなった出世作だ。
Upon A Burning Body – Red. White. Green.
Rise Recordsが2012年に多くの新人バンドのデビューアルバムを手掛けたように、Sumerian Recordsは2年早く2010年代後半から新たにシーンを作っていくアーティストの発掘に力を注いでいた。Periphery、I, The Breatherがデビューした2010年に同じくファースト・アルバムをリリースしたUpon A Burning Bodyも本作でオリジナリティあふれるサウンドを確立。デスコアバンドながらBillboard 200で105位にランクインしている。
I See Stars – Digital Renegade
スクリーモ/ポストハードコアの新星として2006年にデビューしたI See Starsの通算3枚目フルレングス。この頃になるとやや人気も落ち着いてきたようであるが、改めて作品を聴き返してみると時代をしっかりと捉えながらもI See Starsらしさを打ち出した素晴らしい作品であるように感じる。Asking AlexandriaのDannyがフィーチャーしているのも2012年ぽい。Billboard 200で45位にランクイン、ポストハードコアの人気がしっかりとアメリカに根付いたことを印象付ける作品。
The Faceless – Autotheism
2008年にリリースした『Planetary Duality』はプログレッシヴ・メタル、デスコア、メタルコア、テクニカル・デスメタルシーンと幅広いジャンルにおいて革新的なアルバムとして人気を博したThe Faceless。『Planetary Duality』から4年という月日はシーンの進行具合を考えると長すぎたが、その人気は健在。彼らのキャリアを考えれば地味な作品ではあるが、Sumerian Recordsを語る上で彼らの存在は外せないだろう。
TRAM – Lingua Franca
あまりメタルコアシーンでは語られることはないが、Animals As LeadersのTosin AbasiとJavier Reyes、The Mars VoltaのAdrian Terrazas氏、Suicidal TendenciesのEric MooreによってスタートしたTRAMは、話題のバンドが中堅、ベテランになっていく上でレーベルが仕掛ける「サイド・プロジェクト」としては豪華すぎるラインナップで、当時話題になった。この作品が現代にどのくらい影響を与えたかと言えばはっきりと言えないが、2012年だからこそ成立したプロジェクトであることは間違いない。
Make Me Famous – It’s Now Or Never
後にAsking AlexandriaのボーカルとなるDenis Stoff在籍のMake Me Famousが残した唯一のフルアルバム。このバンドも2010年代前半にだけ注目を集め、その後「ex.Make Me Famous」としてその動向が注目され続けたバンドである。そのサウンドはI See Starsを継承したアメリカ国外を拠点に活動するフォロワーバンドとしては申し分ない。ここからDown & Dirty、Oceans Red、Drag Me Outと名前を変えながら活動していくこととなった。
Stick To Your Guns – Diamond
Sumerian Recordsにもハードコア・バンドがかつては在籍した。それはRise Recordsにも言えるが、メタルコアというジャンル、シーンが明確に確率し未来がある段階にあったからこそ、前時代のユース・シーンにおけるハードコアのベテランを抱えておくことはメタルコアやデスコア、ポップパンクのレーベルにとって当たり前のことだった。メタルコアシーンでも人気があるThe Acacia StrainやStick To Your Gunsが現代においてもその輝きを放ち続けているのは、こうしたレーベルの戦略があったからこそなのかもしれない。
Circle Of Contempt – Entwine The Threads
フィンランドを拠点に活動しているCircle of ContemptのSumerian Records在籍時のラスト作。この後Sumerianを離れ、インディペンデントになり、2020年代前後からプログレッシヴ・メタルコアを聴き始めたリスナーにはあまりピンとこないバンドかもしれないが、当時の彼らの人気は凄まじいものがあり、コアなリスナーからPeriphery以上に崇められていたように感じる。2012年前後を象徴するバンドとして後世に名前が引き継がれていく、そんなバンドだ。
Capture The Crown – ‘Til Death
現在はCaptureとバンド名を変更しているCapture The Crownのデビュー・アルバム。久々に「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオを見てみるかと思ったらなんと削除されていました…。同じく「#OIMATEWTF」などミュージックビデオの類がSumerian Recordsのアカウントからは消されてしまっていました。どういう理由なのかは調べてもよく分からないのですが、Capture The Crownといえば「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオで大ブレイクを果たしたバンド。当時は新世代としてかなり注目を集めました。
年始企画 : 10年前の2012年と言えば、メタルコアやポストハードコアが少しずつ洗練され、世界中から個性的でハイ・クオリティなアーティスト達が続々とデビューした年だ。現在のメタルコア・ポストハードコアの基盤とも言えるサウンドを作り上げ、フォロワーを生み出した多くのバンドがRise Recordsに所属しており、今では名作と呼ばれるような作品をリリースしている。10年という月日を感じながら、改めて現在のメタルコア・ポストハードコアがどのように進化してきたのか、また2032年にどんなバンドが誕生しているかを想像しながら、ぜひ振り返ってみてほしい。
Issues – Black Diamonds
Woe, Is Meを脱退したTyler Carter、Michael Bohn、Cory Ferris、Ben Ferrisによって2012年夏に結成され、すぐにRise Recordsと契約。『Black Diamonds』は彼らのデビューEPで、名曲「Love Sex Riot」収録。
The Acacia Strain – Death Is The Only Mortal
ハードコア・シーンとメタルコア・シーンを繋いた存在として、このころすでに神格化されていたThe Acacia Strainの6枚目となるスタジオ・アルバム。長くThe Acacia Strainのコンポーザーとして活躍したDaniel “DL” Laskiewicz在籍時最後の作品。
Memphis May Fire – Challenger
USメタルコア・シーンを牽引する存在となったMemphis May Fireの3枚目スタジオ・アルバム。Billboard 200で16位にランクイン、現在までのバンドキャリアの中でも最も勢いに乗っていた頃の作品と言えるだろう。「Prove Me Right」は名曲中の名曲。
Secrets – The Ascent
2010年に結成、デモ音源を経てRise Recordsと契約したSecretsのデビューアルバム。ボーカリストAaron Melzerは2020年に死去。現在も活動しており、2010年代のレガシーを後世へと受け継いでいる。
Crown the Empire – The Fallout
テキサス州ダラスを拠点に2010年に結成されたメタルコア・バンドのデビュー・アルバム。Joey Sturgisによってプロデュースされた作品で、この作品から現在まで堅実なキャリアを築いている。
My Ticket Home – To Create A Cure
後にオルタナティヴな方向へと進んでいくMy Ticket Homeのデビュー・アルバムは、アグレッシヴなメタルコア・サウンドを鳴らし、Secrets、Crown The Empireと共にこの年のメタルコアを語る上で重要な作品と言える。
Attack Attack! – This Means War
Joey SturgisによってプロデュースされてきたAttack Attack!が、本作はCaleb Shomoのプロデュースでアルバムを制作。通算3枚目となるスタジオ・アルバムは、Billboard 200で初登場11位にランクイン。Memphis May Fireと共にRise Recordsの顔として存在感を見せつけた。
Bleeding Through – The Great Fire
1999年から活動し、Roadrunner Recordsを牽引してきたメロディック・デスメタル/メタルコア、Bleeding ThroughがRise Recordsへと移籍したことは大きなニュースになった。そんな彼らの6枚目となるフルレングスは、彼ららしい火花飛び散るメロディック・メタルコア。
Woe, Is Me – Genesi[s]
リード・ギタリストKevin Hanson以外のメンバーが脱退したWoe, Is Meが残したファイナル・アルバム。タレント揃いのIssuesが鳴らしたR&Bとメタルコアのクロスオーバー・サウンドとは違い、多彩なコラージュを組み込んだヘヴィなメタルコアを鳴らし、大きな話題となった。翌年に発表したEP『American Dream』で解散。一つの時代が生まれ、消えていく間に生まれた名作。
Miss May I – At Heart
Rise Recordsがシーンにおける存在感を強めていく中で、欠かせない存在となっていたMiss May Iの通算3枚目フルレングス。Memphis May FireやAttack Attack!とはまた違い、メロディアスなメタルコアで独自のファンベースを堅持した一枚。
Palisades – I’m Not Dying Today
Marilyn Is Deadから改名し、再出発となった彼らのデビューEP。2013年にデビューアルバム『Outcasts』をリリースするが、この作品の存在感はそれを超えているように思う。エレクトロニックなアレンジと流麗なクリーン・パートに才能を感じた一枚。
Thick As Blood – Living Proof
Attack Attack!やMemphis May Fireという存在がこの頃のRise Recordsを象徴していると言えるが、The Acacia StrainとThick As Bloodがハードコアとメタルコアの文化をミックスさせ、モッシュコアなどを盛り上げた功績は絶対に忘れてはいけないし、しっかり評価すべきだ。この頃来日も果たし、LOYAL TO THE GRAVEとのスプリット作品も発表したThick As Bloodの快作。
Abandon All Ships – Infamous
エレクトロニック・ポストハードコアとして2000年代後半にデビューし、Rise Records黄金期の第2世代としてブレイクしたAbandon All ShipsのRise Records移籍後初となるセカンド・アルバム。Issuesの影に隠れながらも間違いなく2010年代初頭を象徴するバンドである。
In Fear And Faith – In Fear And Faith
2006年に結成し、2000年代後半のスクリーモ・ムーヴメントを盛り上げた存在として知られるIn Fear And Faithの通算3枚目フルレングスであり、ラスト・アルバム。時代がメタルコア・ポストハードコアへと移行していき、彼らの活動が止まったことは一つ象徴的な出来事だった。
Hands Like Houses – Ground Dweller
オーストラリアのバンドとしてRise RecordsからデビューしたHands Like Housesのファースト・アルバム。前述のIn Fear And Faithらが築いたスクリーモ/ポストハードコアの礎が全世界的に飛び火し、新たなシーンを生み出していく予兆がHands Like Housesの登場によって確信に変わったと言っても過言ではない。
American Me – Ⅲ
Thick As Blood、The Acacia Strainの陰に隠れがちではあるが、モッシュコアとしてハードコアとメタルコアを接続する存在として多大な功績をシーンにもたらしたAmerican Meの通算3枚目となるフルレングス。バンドは本作以降リリースなど目立った活動はないものの、近年復活の兆しがある。間違いなく伝説的な存在になっているバンド。