Djent 入門 vol.01 (音楽的な特徴と代表曲)

 

▶︎Djent って何?

メタルという音楽は、誕生してから今まで一度もその進化を止める事なく、今も日々変化が繰り返され、新たなサウンドが生まれている。 RIFF CULT 脇田涼平の著書『Djentガイドブック』では、プログレッシヴ・メタルが進化していく過程で生まれた Djent(ジェント)という音楽について紹介しており、これから Djent を知りたいという方の入門書として知られている。本記事では『Djentガイドブック』で紹介した、「Djentを代表する6曲」についてピックアップしてみたいと思う。

 

 

さて、まずは Djent という音楽がどんなものなのかを把握していこう。Djent を知る上で最初に聴くべき楽曲は、この音楽の代表的なバンドである Periphery の「Make Total Destroy」だ。このバンドの中心人物であるギタリスト、Misha Mansoor という人物は Djent という音楽の概念について、このように話している。

 

 

Djent ( ジェント ) とは、拍の位置に変化を加えたリズム (シンコペーション) や、複数の異なるリズムが同時進行するポリリズムを用いた、グルーヴィでヘヴィなプログレッシヴ・メタルサウンドを意味し、ブリッジミュートされたブルータルなリフ、不協和音を組み込んだ機械的なメロディや音像も特徴だ。

 

より噛み砕いて表現すると、「ズンズンと刻まれるギターのリズムが複雑であり、ノリが良いメタル」とでも言えるだろう。Djent であるかどうかを判断する材料として、ギターサウンドがどうであるかに注目して聴いてみると分りやすい。

ここでいくつか疑問が生まれると思う。ギターがグルーヴィで複雑であればそれは Djent なのか?Metallica だって、Slayer だって複雑だと感じる人もいるかもしれない。もう少し詳しく Djent であるか否かを判断するのに必要な事を知ってみよう。 Djent は基本的にベースになっている音楽がメタルコアであり、そこにプログレッシヴなグルーヴを加えたものを指す。これは Djent を広めたのが、プログレッシヴ・メタルコア・バンド Periphery である事が一番の理由であると言える。Periphery がシーンに登場した事によって、Djent 要素を強く打ち出すプログレッシヴ・メタルコアが盛り上がりを見せるようになっていく。

 

さあ、Djent がなんであるかを理解する為に、最初に知っておきたい以上の事を踏まえ、Djent 代表曲を聴いてみよう。難しい事は考えず、耳や目で感じて欲しい。「これは絶対に Djent だ」とか、「これがDjent というのは間違いだ」という事は誰にも言えない。この言葉はとても曖昧だからだ。(引用 : 脇田涼平著『Djentガイドブック』)

 

 

Haunted Shores : メタルコアの未来を変えてきた彼らの意欲作『Void』リリース!

 

Haunted Shores : ワシントンD.C.を拠点に活動する、PeripheryのMisha MansoorとMark Holcombによるサイド・プロジェクト、Haunted Shoresがニューアルバム『Void』を3 DOT Recordingsからリリースしました。

 

 

先行シングルとしてリリースされた「OnlyFangs」のギター・プレイスルーがとにかく凄くて、何度も見返している方も多いはず。確かに、Peripheryとしては昇華出来ないフレーズなのですが、だからといって「B-Side」的な楽曲ではなく、しっかりとHaunted Shoresの世界観があるように感じます。MarkがEmperorのシャツを着ていますが、ブラックメタル的なアプローチもありますし、4:50あたりのダウンチューンの仕方も凄い。トップ・プレイヤーだからこそ出来るラフプレーというか、とにかく衝撃的なビデオです。

 

 

「Nocturnal Hours」のプレイスルーも見応えがあります。ロン毛のMishaが高そうな腕時計しているのもポイント。というのは冗談で、こういうブルータル感も彼のプレイするリフのアイデアにあるのかと思うと面白いです。アルバム通して、本当に驚きの連続なので、刺激的なメタルが聴きたい方、ぜひチェックしてみて下さい。

 

【年始企画】今年リリース10周年を迎える作品たち (Sumerian Records編)

年始企画 : この企画の第1弾Rise Records編では、2000年代後半に登場した次世代メタルコア・ポストハードコアバンド達がキャリアを重ね、シーンを牽引する存在へと成長したことを確信付ける作品が数多くリリースされたと書いた。当時のRise Recordsが次世代のメタルコア・ポストハードコアがどんなものになるか予感させてくれたのに対し、Sumerian Recordsは2000年代に築いてきたSumerian Recordsらしいプログレッシヴ感を守りつつ、しっかりとシーンで活躍できる逸材を発掘し、育てたような雰囲気がある。Periphery、Veil of Maya、The Facelessといったメタル新世代のトップに加え、The Haarp Machine、Make Me Famous、Capture The Crownらがシーンに衝撃を与えた2012年のアルバムを振り返ってみよう。

 


 

The Haarp Machine – Disclosure

イギリス出身のプログレッシヴ・メタルバンドThe Haarp Machineのデビュー・アルバム。ターバンを巻いて華麗にプログレッシヴなリフを弾きこなすプレイスルー動画は今も印象に残っている。Peripheryらによって「Sumerian Recordsはプログレッシヴ/Djentなレーベル」であることが広くシーンに浸透、そしてこうした逸材を発掘し育成していくんだということにワクワクした。バンドは長く活動が止まっていたが、ここ最近動き出している。

 

 

 


Periphery – Periphery II: This Time It’s Personal

2010年にSumerian Recordsからデビューし、「Djent」というトレンドを生み出したPeripheryのセカンド・アルバム。Billboard 200で44位にランクイン。プログレッシヴ・メタルのニューカマーから一気にトップシーンでの知名度を確率した作品。

 

 

 


Veil of Maya – Eclipse

まだまだデスコアバンドというイメージが残っていたVeil of Mayaの4枚目フルレングス。PeripheryのMisha Mansoorがプロデュースを手掛けるというのも、この頃から次第にあちこちで見かけるようになっていった。全10曲28分というコンパクトな内容ながら、中堅メタルコア/デスコアの中では群を抜いて人気の高さを見せつけた一枚。

 

 

 

I The Breather – Truth And Purpose

2010年にSumerian Recordsからデビューしたメタルコア、I The Breatherのセカンド・アルバム。アンダーグラウンド・メタルコアシーンにおける知名度、そしてミュージシャンからの人気が高く一目置かれていた彼らも本作でBillboard クリスチャン・チャートで15位にランクインを果たした。August Burns Redに次ぐメタルコアバンドとして活躍が期待されることとなった出世作だ。

 

 

 


Upon A Burning Body – Red. White. Green.

Rise Recordsが2012年に多くの新人バンドのデビューアルバムを手掛けたように、Sumerian Recordsは2年早く2010年代後半から新たにシーンを作っていくアーティストの発掘に力を注いでいた。Periphery、I, The Breatherがデビューした2010年に同じくファースト・アルバムをリリースしたUpon A Burning Bodyも本作でオリジナリティあふれるサウンドを確立。デスコアバンドながらBillboard 200で105位にランクインしている。

 

 


I See Stars – Digital Renegade

スクリーモ/ポストハードコアの新星として2006年にデビューしたI See Starsの通算3枚目フルレングス。この頃になるとやや人気も落ち着いてきたようであるが、改めて作品を聴き返してみると時代をしっかりと捉えながらもI See Starsらしさを打ち出した素晴らしい作品であるように感じる。Asking AlexandriaのDannyがフィーチャーしているのも2012年ぽい。Billboard 200で45位にランクイン、ポストハードコアの人気がしっかりとアメリカに根付いたことを印象付ける作品。

 

 


The Faceless – Autotheism

2008年にリリースした『Planetary Duality』はプログレッシヴ・メタル、デスコア、メタルコア、テクニカル・デスメタルシーンと幅広いジャンルにおいて革新的なアルバムとして人気を博したThe Faceless。『Planetary Duality』から4年という月日はシーンの進行具合を考えると長すぎたが、その人気は健在。彼らのキャリアを考えれば地味な作品ではあるが、Sumerian Recordsを語る上で彼らの存在は外せないだろう。

 

 


TRAM – Lingua Franca

あまりメタルコアシーンでは語られることはないが、Animals As LeadersのTosin AbasiとJavier Reyes、The Mars VoltaのAdrian Terrazas氏、Suicidal TendenciesのEric MooreによってスタートしたTRAMは、話題のバンドが中堅、ベテランになっていく上でレーベルが仕掛ける「サイド・プロジェクト」としては豪華すぎるラインナップで、当時話題になった。この作品が現代にどのくらい影響を与えたかと言えばはっきりと言えないが、2012年だからこそ成立したプロジェクトであることは間違いない。

 

 


Make Me Famous – It’s Now Or Never ‎

後にAsking AlexandriaのボーカルとなるDenis Stoff在籍のMake Me Famousが残した唯一のフルアルバム。このバンドも2010年代前半にだけ注目を集め、その後「ex.Make Me Famous」としてその動向が注目され続けたバンドである。そのサウンドはI See Starsを継承したアメリカ国外を拠点に活動するフォロワーバンドとしては申し分ない。ここからDown & Dirty、Oceans Red、Drag Me Outと名前を変えながら活動していくこととなった。

 

 


Stick To Your Guns – Diamond

Sumerian Recordsにもハードコア・バンドがかつては在籍した。それはRise Recordsにも言えるが、メタルコアというジャンル、シーンが明確に確率し未来がある段階にあったからこそ、前時代のユース・シーンにおけるハードコアのベテランを抱えておくことはメタルコアやデスコア、ポップパンクのレーベルにとって当たり前のことだった。メタルコアシーンでも人気があるThe Acacia StrainやStick To Your Gunsが現代においてもその輝きを放ち続けているのは、こうしたレーベルの戦略があったからこそなのかもしれない。

 

 

Circle Of Contempt – Entwine The Threads

フィンランドを拠点に活動しているCircle of ContemptのSumerian Records在籍時のラスト作。この後Sumerianを離れ、インディペンデントになり、2020年代前後からプログレッシヴ・メタルコアを聴き始めたリスナーにはあまりピンとこないバンドかもしれないが、当時の彼らの人気は凄まじいものがあり、コアなリスナーからPeriphery以上に崇められていたように感じる。2012年前後を象徴するバンドとして後世に名前が引き継がれていく、そんなバンドだ。

 

 


Capture The Crown – ‘Til Death

現在はCaptureとバンド名を変更しているCapture The Crownのデビュー・アルバム。久々に「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオを見てみるかと思ったらなんと削除されていました…。同じく「#OIMATEWTF」などミュージックビデオの類がSumerian Recordsのアカウントからは消されてしまっていました。どういう理由なのかは調べてもよく分からないのですが、Capture The Crownといえば「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオで大ブレイクを果たしたバンド。当時は新世代としてかなり注目を集めました。

 

PeripheryのMisha Mansoorが、Bulbとして「Parabolica」のミュージックビデオを公開!

Peripheryのギタリスト、Misha Mansoorがソロ名義であるBulbとして、「Parabolica」のミュージックビデオを公開しました。

 

Mishaは、7月16日にニューアルバム『Moderately Fast, Adequately Furious』を3 DOT Recordingsからリリースする予定です。

 

Moderately Fast, Adequately Furious track listing:

01. Unleash The Pwnies Redux
02. Echo Teuffel
03. Breeze Redux
04. Parabolica
05. Two Brothers
06. Far Too High (feat. Axel Mansoor)
07. Füf Redux
08. Press Enter Redux
09. Upload Apathy
10. Download Happiness
11. And Yet, This Man Will Soar

 

 

August Burns Redが、PeripheryのMishaをゲストに再録した楽曲「Pangaea」を公開!

5月21日にリリースされる彼らの名作アルバム『Leveler』発売10周年記念エディションから、「Pangaea」が公開されました。ゲストにPeripheryのMishaが参加しているのですが、彼のクレジット名が、「Misha “Bulb” Mansoor」となっているのが、隠れた胸熱ポイント! 原曲も合わせてチェックしてみて下さい。