まだまだデスコアバンドというイメージが残っていたVeil of Mayaの4枚目フルレングス。PeripheryのMisha Mansoorがプロデュースを手掛けるというのも、この頃から次第にあちこちで見かけるようになっていった。全10曲28分というコンパクトな内容ながら、中堅メタルコア/デスコアの中では群を抜いて人気の高さを見せつけた一枚。
I The Breather – Truth And Purpose
2010年にSumerian Recordsからデビューしたメタルコア、I The Breatherのセカンド・アルバム。アンダーグラウンド・メタルコアシーンにおける知名度、そしてミュージシャンからの人気が高く一目置かれていた彼らも本作でBillboard クリスチャン・チャートで15位にランクインを果たした。August Burns Redに次ぐメタルコアバンドとして活躍が期待されることとなった出世作だ。
Upon A Burning Body – Red. White. Green.
Rise Recordsが2012年に多くの新人バンドのデビューアルバムを手掛けたように、Sumerian Recordsは2年早く2010年代後半から新たにシーンを作っていくアーティストの発掘に力を注いでいた。Periphery、I, The Breatherがデビューした2010年に同じくファースト・アルバムをリリースしたUpon A Burning Bodyも本作でオリジナリティあふれるサウンドを確立。デスコアバンドながらBillboard 200で105位にランクインしている。
I See Stars – Digital Renegade
スクリーモ/ポストハードコアの新星として2006年にデビューしたI See Starsの通算3枚目フルレングス。この頃になるとやや人気も落ち着いてきたようであるが、改めて作品を聴き返してみると時代をしっかりと捉えながらもI See Starsらしさを打ち出した素晴らしい作品であるように感じる。Asking AlexandriaのDannyがフィーチャーしているのも2012年ぽい。Billboard 200で45位にランクイン、ポストハードコアの人気がしっかりとアメリカに根付いたことを印象付ける作品。
あまりメタルコアシーンでは語られることはないが、Animals As LeadersのTosin AbasiとJavier Reyes、The Mars VoltaのAdrian Terrazas氏、Suicidal TendenciesのEric MooreによってスタートしたTRAMは、話題のバンドが中堅、ベテランになっていく上でレーベルが仕掛ける「サイド・プロジェクト」としては豪華すぎるラインナップで、当時話題になった。この作品が現代にどのくらい影響を与えたかと言えばはっきりと言えないが、2012年だからこそ成立したプロジェクトであることは間違いない。
Make Me Famous – It’s Now Or Never
後にAsking AlexandriaのボーカルとなるDenis Stoff在籍のMake Me Famousが残した唯一のフルアルバム。このバンドも2010年代前半にだけ注目を集め、その後「ex.Make Me Famous」としてその動向が注目され続けたバンドである。そのサウンドはI See Starsを継承したアメリカ国外を拠点に活動するフォロワーバンドとしては申し分ない。ここからDown & Dirty、Oceans Red、Drag Me Outと名前を変えながら活動していくこととなった。
Stick To Your Guns – Diamond
Sumerian Recordsにもハードコア・バンドがかつては在籍した。それはRise Recordsにも言えるが、メタルコアというジャンル、シーンが明確に確率し未来がある段階にあったからこそ、前時代のユース・シーンにおけるハードコアのベテランを抱えておくことはメタルコアやデスコア、ポップパンクのレーベルにとって当たり前のことだった。メタルコアシーンでも人気があるThe Acacia StrainやStick To Your Gunsが現代においてもその輝きを放ち続けているのは、こうしたレーベルの戦略があったからこそなのかもしれない。
Circle Of Contempt – Entwine The Threads
フィンランドを拠点に活動しているCircle of ContemptのSumerian Records在籍時のラスト作。この後Sumerianを離れ、インディペンデントになり、2020年代前後からプログレッシヴ・メタルコアを聴き始めたリスナーにはあまりピンとこないバンドかもしれないが、当時の彼らの人気は凄まじいものがあり、コアなリスナーからPeriphery以上に崇められていたように感じる。2012年前後を象徴するバンドとして後世に名前が引き継がれていく、そんなバンドだ。
Capture The Crown – ‘Til Death
現在はCaptureとバンド名を変更しているCapture The Crownのデビュー・アルバム。久々に「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオを見てみるかと思ったらなんと削除されていました…。同じく「#OIMATEWTF」などミュージックビデオの類がSumerian Recordsのアカウントからは消されてしまっていました。どういう理由なのかは調べてもよく分からないのですが、Capture The Crownといえば「You Call That A Knife? This Is A Knife!」のミュージックビデオで大ブレイクを果たしたバンド。当時は新世代としてかなり注目を集めました。
01. Unleash The Pwnies Redux
02. Echo Teuffel
03. Breeze Redux
04. Parabolica
05. Two Brothers
06. Far Too High (feat. Axel Mansoor)
07. Füf Redux
08. Press Enter Redux
09. Upload Apathy
10. Download Happiness
11. And Yet, This Man Will Soar