Bring Me The Horizonの原点となったデスコア・アルバム『Count Your Blessings』。長年、初期ファンから強烈な支持を受け続けてきた一方、Oli Sykes本人にとっては複雑な感情を持つ作品でもあった。
Nick NocturnalとのインタビューでOliは、『Count Your Blessings Repented』として作品を新たに作り直した理由、オリジナル版の制作環境、約20年前の歌詞を現在の自分がどう受け止めたのか、そして現代的なメタル作品へ変えてしまわないために行った細かな調整について語っている。
Bring Me The Horizonが長年『Count Your Blessings』の楽曲をあまり演奏しなかったことから、バンド自身が作品を嫌っている、あるいは恥ずかしがっていると思っていたファンもいた。
しかしOliによれば、本当の理由は作品の内容ではなく「音」だった。
当時のBring Me The Horizonは小さなバンドで、制作予算も少なかった。メンバー自身もクリックトラックやギターのパンニングなど、基本的なレコーディングの知識すらほとんどなかったという。メンバーがそれぞれ自分のパートを録音し、他のメンバーの演奏について確認し合うような制作体制でもなかった。
Oli自身も途中で体調を崩し、さらにバンドは頻繁に酒を飲んでいた。
完成したCDを車で初めてまともに聴いた際、All Shall Perishなどを聴いていた自分のオーディオ環境で『Count Your Blessings』を再生し、「これは音が良くない」と強く感じたという。その後、長年ほとんどアルバムを聴き返さなかったほどだったそうだ。
当時26歳だったRyanは、若くしてPolarisのサウンドを形作る重要人物となっていた。『The Mortal Coil』『The Death Of Me』、そして完成済みだった『Fatalism』に残されたテクニカルかつ感情的なギターワークは、バンドの音楽にとって欠かせないものだった。
『Fatalism』はその後予定通りリリースされ、オーストラリアのARIAチャートで1位を獲得。2024年のAIR AwardsではBest Independent Heavy Albumを受賞するなど、Polarisのキャリアでも大きな成功を収めた。しかし作品を聴けばそこにはRyanの演奏があり、ツアーを続けるバンドにとっても、前へ進むこととRyanの不在を受け入れることは、簡単に切り離せるものではなかった。
オーストラリアの音楽メディアDestroy All Linesもこの曲について、激しいボーカル、重いビートとリフ、伸びやかなメロディック・コーラス、胸を締め付けるギターソロ、そしてPolaris史上でも最もヘヴィな部類に入るアウトロが共存していると紹介している。一方、同じくオーストラリアの音楽メディアWall Of SoundのGeorgia Haskinsは、特に最後の暴力的な展開に注目している。
Suicide Silence、初期Chelsea Grin、初期Bring Me The Horizonなどを思わせる荒々しいデスコア。極端なハイ・スクリームと低音ボーカル。クラブ規模の会場で観客へ真正面からぶつかっていくライブ。そして、2000年代のバンドがMySpaceやYouTubeで行っていたようなスタジオ映像やVlogまで含めたオンラインでの発信。YouTube動画「The Unexpected Rise of REV3RENT」では、REV3RENTがなぜ短期間でMySpaceデスコア・リバイバルの中心的存在へ浮上したのかを分析している。
その後、REV3RENTは複数のシングルを経て、2024年7月に6曲入りEP『Last Trace』を発表した。「Smile! Wait For The Flash」「My Hand, Your Demise」「…Of Blood And Brutality」「If I Die Here First」「Tormented Fate」などを収録した作品で、初期REV3RENTの方向性がまとまった最初の作品となった。
新ボーカル体制で発表された作品が『Decimate』だ。ここでもREV3RENTの基本的な方向は変わっていない。初期Suicide Silence、Chelsea Grin、Bring Me The Horizonなど、MySpaceデスコア黄金期からの影響を感じさせる。しかし動画が重要視しているのは、単なる再現ではないという点だ。過去のバンドと同じリフ、同じブレイクダウン、同じボーカル。それだけなら、ノスタルジーとして一時的に注目されても長くは続かない。REV3RENTはそこへ自分たちなりの音色やキャラクターを加えている。Joshの極端なハイ・スクリームとグロウルも、その代表的な要素だ。
2026年9月、バンドは「She Let The World Run Rampant」を発表し、同名のデビュー・フルアルバムを10月30日にリリースすることを発表した。それまでのEPをリリースしてきたNUKEPOCALYPSEからさらに大きな環境へ進み、Deep Love Recordings / Atlantic Recordsからのリリースとなる。
イギリスのハードコア・シーンでBig Cheeseを立ち上げ、Chubby and the Gangでも活動し、観客としてTurnstileを見ていた時代から、同じステージに出演するバンドへ。そして最終的にはBrendan Yatesから直接連絡を受け、Blink-182との約3カ月に及ぶアメリカ・ツアーへ参加することになった。
Knotfestのポッドキャスト「SHE’S WITH THE BAND」Episode 58では、Meg Millsが自身の音楽的な原点、リーズのハードコア・シーン、DIYツアー生活、Turnstileに参加するまでの経緯、巨大なアリーナへの適応、ハードコアとメインストリームの関係などについて詳しく語っている。
世界各地の大型フェスティバルやアリーナへ活動規模を広げてきたArchitects。フロントマンSam Carterが、Sonic Temple Festival 2026でThe Jesea Lee Showのインタビューに登場し、アメリカでのフェスティバル出演、MetallicaやLinkin Parkとのツアー経験、これから始まるKornとのツアー、ライブでスマートフォンを使用する観客についての考え、楽曲のリミックス、そして自身が愛するニューメタルについて語った。
Welcome to Rockvilleでは悪天候によってArchitectsの出演時間が数時間後ろ倒しになったものの、結果的には暗くなってから演奏できたことで、むしろバンドの雰囲気には合っていたという。SamはArchitectsの音楽について非常にムーディーな側面があると話し、Sleep Tokenを例に挙げながら、明るい昼間よりも暗い時間帯の方が似合うタイプの音楽ではないかと語っている。
Bring Me The Horizon、Parkway Drive、Bad Omens――巨大化するライブ演出
現代の大型ロック/メタル公演では、音楽だけではなくステージ演出も年々巨大になっている。
インタビューでは巨大ビデオウォールなどの演出についても話題になり、SamはBring Me The Horizon、Parkway Drive、Bad Omensなどのプロダクションを高く評価している。
もしKornのステージで一曲歌えるとしたら何を選ぶかという質問には、「Blind」や「Here to Stay」を候補として挙げている。「Freak on a Leash」ももちろん好きだが、観客としてJonathan Davis本人のパフォーマンスを見たいというファン心理も語っており、SamにとってKornが単なるツアー相手ではなく、長年聴き続けてきた憧れのバンドであることがうかがえる。
Limp Bizkit、Slipknot、Korn、Mudvayne、Drowning Pool、Disturbedなどが次々と候補に登場するものの、Samはほとんど迷うことなくDeftonesを選び続ける。「Deftonesは自分にとってエリート」と表現し、ツアーが終われば『White Pony』のタトゥーを入れる予定だと話すほど強い思い入れを明らかにしている。
しかし、最後にDeftonesとLinkin Parkの二択になると大きく迷う。
両方を非常に愛していると話しながら、最終的にはLinkin Parkを選択。その後はEvanescence、Papa Roach、P.O.D.、Staind、Sevendust、Kittie、System Of A Downなどを相手にしてもLinkin Parkを選び続け、最終勝者となった。
Welcome to Rockvilleでヨーロッパと同じほど巨大な観客を前にし、MetallicaやLinkin Parkとのツアーを経験し、次は少年時代から愛してきたKornと長期ツアーへ向かうArchitects。その現在地は、長年メタルコアの中で歩んできた彼らが、新たな段階へ入っていることを感じさせる。
参照元動画
The Jesea Lee Show「Architects Interview – Touring With Korn, Linkin Park & Metallica (Sonic Temple Festival 2026)」
しかし、Attack Attack!が物議を醸していたのはステージアクションだけではなかった。アルバム『Someday Came Suddenly』では、ハイトーンのスクリーム、パニックコード、チャグを主体としたブレイクダウンへ、派手なシンセサイザー、エレクトロニック・パート、オートチューンを強く使用したクリーンボーカルを組み合わせた。
Crabcoreでは同規模のリバイバルはまだ少ないものの、動画ではAshes At Lastを一例として紹介している。過去のElectronicore/Crabcore的な要素を再び取り入れる新しいバンドが存在し、実際に支持を伸ばしていることは、このサウンドに再び需要が生まれている証拠ではないかと捉えている。
現在の彼らは『Someday Came Suddenly』をそのまま再現するのではなく、現代的なメタルコア、EDM、ポップ、Electric Callboy以降のパーティー・メタル的な要素を取り入れている。同時に、かつては嘲笑の対象だったCrabcoreという言葉から逃げることをやめ、ユーモアやエレクトロニクスを再び自分たちのアイデンティティとして利用するようになった。
Electric Callboyや現在のAttack Attack!はCrabcoreの「進化した形」を提示し、Ashes At Lastのような新しいバンドはオリジナルに近いサウンドそのものの復活を試みている。
2026年、オーストラリアのデスコアを代表するThy Art Is Murderに新たなフロントマンが加わった。名前はJerry Grimefeld。Honest Crooks、Vengeanceでの活動歴を持ち、メタルだけでなくラッパーとしても音楽活動を続けてきた人物だ。
Thy Art Is Murderは7月29日にルーマニアで開催されたRockstadt Extreme FestでGrimefeldを新ボーカリストとしてステージに迎え、その後、本人が正式な新ボーカリストであることも明らかになった。
YouTubeに公開された「Who the F**k Is Jerry Grimefeld!? Interview With the New Thy Art Is Murder Vocalist」では、まだ多くのメタルファンにとって謎の多いGrimefeld本人にインタビュー。11歳頃から始めたスクリーム、Parkway Driveから受けた影響、ラップとの関係、突然数万人規模のステージに立つことになった現在、ボーカルコンディションの管理、そしてThy Art Is Murderのフロントマンとして今後改善していきたい部分について語っている。
「Jerry Grimefeldって一体誰なんだ?」
Thy Art Is Murderの新体制がスタートすると、Grimefeldはステージ上で「WHO THE F**K IS JERRY GRIMEFELD?」と書かれたシャツを着用していた。
実際、それは多くのファンが抱いていた疑問でもあった。長年世界的なデスコア・バンドとして活動してきたThy Art Is Murderの新たなフロントマンでありながら、これまで彼の名前を知らなかったリスナーも少なくなかった。
Thy Art Is Murder加入以前、GrimefeldはオーストラリアでHonest CrooksやVengeanceのフロントマンとして活動していた。しかし、Thy Art Is Murderで経験するライブの規模はそれまでとは大きく異なる。本人によれば、それ以前に経験した最大規模のライブは2,000人程度だった。それが今回のヨーロッパ・フェスティバル・ツアーでは、数万人規模の会場へ一気に飛び出すことになった。
それでも数時間後にはThy Art Is Murderとして巨大なフェスティバルのステージへ立たなければならない。Grimefeld自身、この日の自分が理想とするパフォーマンスをできる状態ではないことは理解していた。しかし、バスの故障や気温、前日の砂埃は自分ではコントロールできない。「こういうことは起こる。これがツアーだ」と受け止め、与えられた状態の中でステージへ立とうとしている。
新しい環境で自分らしさを消すのではなく、そのエネルギーを維持したまま、Thy Art Is Murderの要求する高いレベルのボーカルを毎晩安定して届ける。それが現在のGrimefeldにとって大きな課題になっているようだ。
Thy Art Is Murderの新時代を担うJerry Grimefeld
Jerry Grimefeldは、突然何万人もの観客の前へ現れた「謎の新ボーカリスト」のように見える。
しかし、その背景をたどれば、11歳頃から約18年間スクリームを続け、15歳からバンド活動を経験し、Honest CrooksやVengeanceでオーストラリアのヘヴィ・ミュージック・シーンを歩いてきた人物だ。同時にラッパーとしてのバックグラウンドを持っていることも、従来のThy Art Is Murderのボーカリストとは異なる要素になる可能性がある。
2026年7月にThy Art Is Murderの新ボーカリストとして姿を現した時点では、その正体すら多くのファンに知られていなかった。しかし8月には、Grimefeldが正式にバンドの新たなフロントマンであることが確認されている。
それまでのBrendanにとって「ツアー」といえば、父親の車で近隣の州へライブをしに行ったり、自分たちが運転免許を取得してから東海岸を移動したりする程度だった。地元ではコミュニティセンターやVFWホールなどでライブを行っていたが、Trapped Under Iceへの加入によって、その世界は一気に広がった。
姉から渡されたミックステープ。祖父のピアノとジャズ・レコード。10歳頃にもらったドラムセット。友人たちと音を鳴らした地下室。観客がほとんどいないライブにも機材を積んで連れていってくれた父親。MySpaceを通じて届いたライブの誘い。そしてTrapped Under Iceで経験した初めての本格的なツアー。
YouTubeに公開された「How FOR TODAY changed metalcore forever (Myspace to Mainstream)」では、For TodayがどのようにMySpace時代から人気を拡大し、メタルコア・シーンを代表する存在の一つへ成長していったのか、その歴史を振り返っている。
For Todayの始まりは2005年まで遡る。後に広く知られることになる姿とはまだ異なっていたものの、初期EP『Your Moment, Your Life, Your Time』を発表し、この作品をきっかけにFacedown Recordsとの契約へとつながった。当時のクリスチャン・メタルコアで広がっていたパニックコード、メロディックなリフ、荒々しいプロダクションなどを備えた作品であり、動画では当時のシーンを象徴するようなサウンドだったと振り返っている。
For Todayの初期を象徴する作品の一つとして動画で取り上げられるのが『Ekklesia』だ。強烈なブレイクダウン、メロディックなリフ、ブルータルなボーカル、そして感情的なパートを組み合わせたサウンドは、当時のメタルコアの空気と強く結び付いていた。動画では、彼らのブレイクダウンだけを集めたコンピレーション動画がYouTube上で作られるほど、その強烈さがファンに支持されていたことにも触れている。
For Todayのキャリアにおいて大きな成功を収めた作品として、動画で重要視されているのが『Immortal』だ。
同作はBillboard 200で15位を記録し、初週で約15,000枚を売り上げ、Hard Rock AlbumsとTop Christian Albumsでは1位を記録したと紹介されている。動画では、これまでのFor Todayが築いてきた音楽性に、より現代的で聴きやすいアプローチを加えたことが成功につながったと分析している。
その後、Reynoldsはバンドを離れ、新たなメンバーが加入。Sam PennerとDavid Puckettを迎えた新体制へ移行し、レーベルもRazor & Tie Recordsへと移った。2013年には新曲や「Fearless」のアコースティック版などを収めたEP『Prevailer』を発表し、大きな騒動を経験しながらもバンドは活動の勢いを維持していった。
「Break the Cycle」と『Fight the Silence』で再び頂点へ
その後のFor Todayを代表する楽曲となったのが「Break the Cycle」だった。動画では現在まで続く彼ら最大級の楽曲として取り上げられ、印象的なビデオ、コールアウト、ブレイクダウン、ゲストボーカルなど、For Todayの魅力が凝縮された曲として評価されている。
同曲を収録した『Fight the Silence』も、バンドのソングライティングがさらに進化した作品として紹介されている。チャートやセールスでも結果を残し、レビューでも高い評価を受けたと動画では振り返る。Yan自身が2014年にFor Todayのライブを観た経験も語っており、当時は「世界の頂点にいるように感じた」と表現するほど、バンドに大きな勢いがあったという。
『Fight the Silence』に続いて発表された『Wake』について、Yanは決して悪いアルバムではないと評価している。一方で、『Immortal』や『Fight the Silence』ほど強いインパクトを持った作品ではなく、多くのファンも以前と同じようには反応しなかったと振り返っている。動画では、過去2作で確立されたサウンドと比べると少し抑えられた印象があり、「For Todayが『Immortal』や『Fight the Silence』の音楽性を見つける前に作っていそうなアルバム」という個人的な感想も語られている。
現在のエクストリーム・メタルを代表する存在の一つへと成長したSlaughter To Prevail。そのフロントマンAlex Terribleが、イギリスのBloodstock Open Air 2026でBloodstock TVのインタビューに登場し、バンドの急速な成長、現代のデスコア・シーン、自身に対して世間が抱いているイメージ、そして人生そのものについて語った。
Slaughter To Prevailは8月8日、Bloodstock Open Airの25周年を記念する2026年大会でRonnie James Dio Stageのヘッドライナーを担当。Lamb Of God、Judas Priest、Saxonとともに同フェスティバルのヘッドライナーに名を連ねた。
インタビューでは、14歳頃からエクストリーム・ボーカルに取り組み、Oliver Sykes(Bring Me The Horizon)や故Mitch Lucker(Suicide Silence)に憧れていた少年時代から、巨大なフェスティバルのヘッドライナーを務める現在までを振り返る一方、「Demolisher」とLorna Shoreの「To the Hellfire」が現代のヘヴィ・ミュージックに変化をもたらしたという自負も明かしている。そして後半では、Alex Terribleという強烈なパブリックイメージの裏側にある、自身のアイデンティティや死生観についても踏み込んでいる。
「ロックスターになる」と信じていた14歳の少年
Bloodstockへの出演は今回が初めてであり、さらにイギリスのフェスティバルでヘッドライナーを務めることについてAlex Terribleは緊張していると話した。Slaughter To Prevailは以前Download Festivalにも出演しており、その際にも大きな観客から激しい反応を受けたが、今回はさらに上の立場でステージへ立つことになる。現在の状況についてAlexは、時折「マトリックスの中に生きているような感覚になる」と語っている。
彼がエクストリーム・ボーカルを始めたのは14歳頃。当時はBring Me The HorizonのOliver SykesやSuicide SilenceのMitch Luckerを見て、彼らのスタイルや生き方そのものに憧れていた。14~15歳頃には手首や指など目立つ場所にもタトゥーを入れ始め、母親から「普通の仕事に就けなくなる」と怒られたという。
インタビュアーは、現在のヘヴィ/エクストリーム・ミュージックでは世代交代が進み、新しいバンドがより大きな観客を獲得するようになっていると指摘。その中でもSlaughter To Prevailは、新世代を象徴する重要なバンドの一つではないかと質問している。
これに対するAlexの答えは明確だった。
彼は、Slaughter To Prevailが「Demolisher」を発表し、Lorna Shoreが「To the Hellfire」を発表したことで「ゲームを変えた」と考えている。そして自分自身やLorna ShoreのWill Ramosをはじめ、現在エクストリーム・ボーカルを追求している新世代のボーカリストたちが、ジャンルへ新たなリスナーを呼び込んでいるという。
AlexはSuicide Silence、Whitechapel、Carnifexといった先人への敬意も強調している。自身も彼らを聴いて育った一人であり、伝説的なバンドだと認識している。そのうえで、現在のSlaughter To Prevailが販売できるチケット数や集めている観客の規模を考えれば、新世代がエクストリーム・ミュージックの市場そのものを広げることに貢献していると考えている。
2020年に公開された「Demolisher」は、Slaughter To Prevailの人気を大きく押し上げた重要曲として知られ、その後バンドは世界的な規模へと成長していった。さまざまな雑誌、メディアも2025年のアルバム『Grizzly』発売時、Slaughter To Prevailが100万を大きく超えるSpotify月間リスナーを獲得し、大型会場やフェスティバルで大規模な観客を集める存在になったことを紹介している。
もちろん、結果的に自分自身がデスコア・カルチャーの一員であることは認めている。しかし「このジャンルだから、こうしなければならない」という発想ではなく、音楽的にやりたいことが変われば、それに合わせてSlaughter To Prevailも変化していく。
実際、最新アルバム『Grizzly』では従来の圧倒的なヘヴィネスを軸としながら、楽曲によって異なるアプローチも取り入れている。多くのメディアは同作について、Slaughter To Prevailが現代のヘヴィ・ミュージックを代表する存在へ成長した作品として紹介している。ジャンルの伝統を引き継ぎながら、その境界線には縛られない。この考え方も、Slaughter To Prevailが従来のデスコアより広いリスナー層へ届き始めている理由の一つなのかもしれない。
この考え方は、Slaughter To Prevailの近年の作品にも通じる部分がある。2026年に公開された「Koschei」のミュージックビデオについてAlexは、肉体が消滅したあとにも残る魂や精神、本質とは何なのかというテーマを説明していた。物質的なものに執着しても、それを死後へ持っていくことはできないという考えも語っている。ステージ上では圧倒的な力を誇示するAlex Terribleだが、今回のインタビューでは、その裏側で死や自己の存在について考え続けている一面が強く表れている。
Bloodstockのヘッドラインも「まだ始まりにすぎない」
25周年を迎えたBloodstockでヘッドライナーを務めることは、Slaughter To Prevailにとってキャリア上の大きな到達点である。Bloodstock公式でも、2026年8月8日にSlaughter To PrevailがRonnie James Dio Stageへ出演することが発表され、同年の主要ヘッドライナーの一組として位置付けられている。しかし、この巨大な舞台を「マイルストーンだと感じるか」と聞かれたAlexは、「これはただの始まりだと思っている」と答えた。
最初に登場するのがBleeding Verseだ。プロフィールには「心からの歌詞、AI-assisted instrumentation and vocals」と記載されており、AIによって楽器やボーカルを制作していることを明らかにしている。動画収録時点で代表曲「If You Loved Me Then」はSpotifyで310万回以上再生されており、さらに短期間のうちにアルバム、EP、アコースティック版など複数の作品を公開していた。
さらにBeyond Disdainの「Everything We Gave」では、Selene Calderという人物をフィーチャリングした作品が紹介される。しかし、その人物について独立したInstagramアカウントなどを確認できず、METALBIRBはアーティストそのものの実在性を疑問視している。
The Velvet Sundownについては、AIによって制作された音楽プロジェクトとして広く認識されるようになった一方、動画では当初AIであることを否定していた時期もあったとして紹介される。
METALBIRBは「Dust on the Wind」を実際に再生し、他の作品と同様に非常に厳しい評価を下している。動画全体を通して評価基準そのものが「AIで制作された音楽を支持しない」という立場に立っているため、通常の音楽レビューというより、AIアーティストの急増に対する批判的なリアクション動画として見る方が近い。
YouTubeチャンネルHeavy Metal Philosophyが公開した「Do We Still Need Journalists In Metal?」では、近年相次いでいるメタル/ロック系メディアの人員削減を出発点に、音楽ジャーナリズムを取り巻く現在の状況について考察している。動画で語られているのは単なるメタルメディアの衰退ではない。ゲーム、スポーツ、格闘技、政治などを含め、従来型メディアそのものが縮小しているという、より大きな変化だ。
メタルメディアで相次ぐ大量解雇
動画では、BrooklynVegan、Alternative Press、Revolverなど、ロック、メタル、パンクを扱ってきたメディアで大規模な人員削減が起きたことから話が始まる。さらに、それ以前にもMetal Injection、MetalSucks、Blast Beat Networkなどで大量解雇が行われていた。こうした状況からHeavy Metal PhilosophyのJohn Barbisは、今回の出来事を一つの企業の経営判断や一時的な問題ではなく、メディア業界全体で起きている構造的な変化として捉えている。
John Barbis自身も、この違いを明確にしている。過去にMetal Digestで働いていた時期には自分をジャーナリストだと考えていたが、現在は「メディアの人間ではあるが、ジャーナリストではない」と位置付けている。現在の活動はニュースについてコメントしたり、PR会社から届いた情報を紹介したりすることが中心であり、本格的な調査報道を行っているわけではないからだ。
John Barbisは自分自身の番組で行ったブランド案件を例として取り上げている。実際に使用して良いと思った商品だけを紹介しているとしても、その企業から金銭的な利益を得ている以上、発信内容に何らかの影響が生まれる可能性は完全には否定できない。規模は異なっても、大手メディアと広告主の関係にも同じ問題が存在するのではないかと問いかけている。
オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するニュー・メタルコア・バンド、Alpha Wolfのサード・アルバム。大ブレイクのきっかけとなった前作『A Quiet Place to Die』から4年、「ニューメタルコア」というサブジャンルの草分け的存在としてシーンのトップを走り続けてきた彼らが、どれだけ驚異的なスピードで成長してきたかは日本のメタルコア・ファンが良く知っているのではないだろうか。セカンド・アルバム前、Emmureの『Look at Yourself (2017年)』を発端に本格的にニューメタルとメタルコアのクロスオーバー・ジャンルが立ち上がり、その後リリースされたEP『Fault』でAlpha Wolfはニューメタルコアを確立。リリースを記念したアジアツアーは2019年に行われ、Suggestionsが帯同し、ニューメタルコア・シーンの影響を国内で最も早く取り入れたPROMPTSやPaleduskなどが出演、ヘッドライナーツアーを盛り上げた。200-300キャパで行われたこの日本ツアーから4年が経ち、再来日を果たしたAlpha WolfはPaleduskの「INTO THE PALE HELL TOUR FINAL SERIES」に出演し、SiMやFear, and Loathing in Las Vegas、coldrain、PROMPTSと共演を果たしている。この飛躍的な人気の拡大は決しては日本だけでは起こったものではなく、母国オーストラリアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパでも同様に起こった。
本作はニューメタルコアとしてシーンのトップを牽引し、後続に道筋を作り続けてきたAlpha Wolfが、更に独自性を拡大することにチャレンジした作品だと言えるだろう。いくつかの挑戦は、刺激を求めるメタルコア・リスナーにとっては受け入れられないものであったかもしれないが、ニューメタルコアというジャンルの成熟にとっても、Alpha Wolfが次のフェーズに進むためにも必要な挑戦であったと言えるだろう。中でもミュージックビデオになり、ヒップホップ・シーンの重鎮Ice-Tをフィーチャーした「Sucks 2 Suck」は、ニューメタルという音楽の核を見つめ直し、SlipknotやLimp Bizkitといったクラシックなスタイルからの影響をバランスよく配合しつつも革新的なメタルコアを鳴らしている。同じくミュージックビデオにもなっている「Whenever You’re Ready」では、オーストラリアのメタルコア、Northlaneや初期Void of Visionの影響が色濃く反映された楽曲でニューメタルコアとは言えない楽曲にも挑戦している。
Emmureを始祖とし、Alpha WolfやDealerをニューメタルコアの第1世代と捉えるのであれば、彼らは第3世代のトップに躍り出るポテンシャルを持ったバンドではないだろうか。Darko USやAlpha Wolf直系とも言えるDiamond Constructなどに比べれば、まだまだデビューしたばかりの新人だが、やってることはそれらのバンドに匹敵する才能溢れたものだと感じる。デスコアにも接近するヘヴィネス&ビートダウン、ほとんどハーシュノイズウォールにも聞こえる歪んだワーミー、Slipknotが下地にあることがほんのりと感じられるフレーズ、HAILROSEを彷彿とさせるハードコアテクノやガバ、ブレイクビーツといったエクストリームなエレクトロ・ミュージックからの影響など、ここ最近のニューメタルコアとタグ付けされるバンドの中では頭一つ抜きん出た才能溢れるアレンジが随所に施されている (やや一辺倒な感じがしなくもないが)。The Hate Projectのサポートとしてライブが決まっているなど、まだまだライブ・シーンにおいては始まったばかり。今後の成長が楽しみなバンドだ。今からチェックすべし。
▶︎Darko US 『Starfire』
Chelsea GrinのボーカリストTom BarberとドラマーJosh Millerによるユニット、Darko US。有観客のライブをしない音源制作メインの活動方針をとり、2020年のデビューから毎月のように音源リリースを続けてきた彼らのサード・アルバムとなる本作は、驚異の19曲入り、トータルタイムが71分と濃密過ぎる内容となっている。
2014年にテキサス州ダラスで結成され、ボーカリストJay Webster、ギタリストAlberto Vazquez、ベーシストAustin Elliott、ドラマーMiguel Angelという不動のメンバーで活動を続けている。彼らはThe Story So Farなどが在籍するPure Noise Recordsに所属しており、「ニューメタルコア」というよりは「ラップメタル」とか「ラップコア」と呼ばれることが多い。
本作はシングル「Playing Favorites」と他3曲収録のEP (昔はこのくらいのボリュームならシングルだったかもしれない) で、プロデュースはA Day To Rememberの『Homesick』や『Common Courtesy』、そのほかThe Ghost InsideやWage Warを手掛けるAndrew Wadeが担当している。Andrewが手がけたことでも分かるように、ハードコアのパッション溢れるフックが彼らのヒップホップのDNAと化学反応を起こしている。「Playing Favorites」で言えば、ブルータル・デスコア・バンド、PeelingFleshをも彷彿とさせるヘヴィなリフとスクラッチ、クラシックなニューメタル・ワーミーを交えたシンプルでありながらブルータルなトラックの上でJayがラップする、極上のラップメタルに仕上がっている。ニューメタルコア・リスナーも見逃せないUnityTXから、ラップメタルも掘り下げてみると面白いだろう。
▶︎cohen_noise 『Some Things Aren’t Forever, But For A Reason: Vol. 1』 EP
2019年ドイツ・アーレンを拠点にスタートしたDefocus、2021年の『In the Eye of Death We Are All the Same』以来、3年振りとなるセカンド・アルバム。本作はArising Empireからリリースされ、AvianaやAbbie Fallsといったヨーロッパのヘヴィ・メタルコア・バンドを多数手掛けるVojta Pacesnyによってプロデュースされた。10曲32分とコンパクトな仕上がりながら、その内容は非常に充実しており、想像以上の満足感が得られるはずだ。けばけばしいワーミーやベースドロップを削ぎ落とし、現行ユーロ・メタルコアのヘヴィネスを下地としたサウンドを展開している。だからこそ映えるブレイクビーツやエレクトロニック・パートがDefocusを特別なニューメタルコアたらしめる魅力を放っている。After the BurialやCurrents、そしてPROMPTSといったバンドの系譜にあるようなヘヴィさがあり、多方面のメタルコア・リスナー、さらにはデスコア・リスナーにも引っかかるようなブレイクダウンを搭載した楽曲もいくつか収録されている。中でも「flatlines」のエンディングはブルータルだ。
『New Order Of Mind』は、2019年の『Soul Burn』や翌年の『Saint』 (*いずれもEP) のスタイルとほとんど一緒の楽曲構成、フックで満たされており、大きなサウンドプロダクションの変化などはない。「HYPERREAL DEATH SCENE」「THE HATE YOU TRY TO HIDE」といったリードシングルも2019年〜2020年のDealerからほとんど変わっていない。それだけ先進的なサウンドをコロナ禍前に作り出していたということも凄いが、ほとんど変わっていないにも関わらずやはり細やかなところにDealerのソングライティングの良さが感じられる。「THE HATE YOU TRY TO HIDE」は2分強の短い楽曲であるが、イントロの狂気じみたインダストリアル・サウンドからニューメタルへと自然に繋がっていくところや簡単にビートダウンしない、ひねくれたところは評価出来る。不安的な精神状況を描写するミュージックビデオの数々は見る人を選ぶが、やはり2024年、ニューメタルコア・シーンにとってDealerは無視できないと思う。
▶︎Bite Down 『Decolorized』 EP
2019年、スウェーデンのヨンショーピングで結成されたBite DownのサードEP。これまでアルバムリリースはなく、2020年に『Trial // Error』、2022年に『Damage Control』とコンスタントにEP (またはシングル) をリリースし続けている。常にシーンにおいて存在感があり、じわじわとその名を浸透させてきた彼らの最新作は、We Are Triumphantからのリリースされたこともあり、ヨーロッパのみならず、アメリカのアンダーグラウンド・メタルコア・シーンでも注目を集めた。
ミュージックビデオにもなっており、EPのオープニングを飾る「Ynoga」は、ファストで切れ味鋭いチャギングリフをハンマーのように打ち続けていく。そしてほとんどゼロを刻み、転調も全くしないスタイルは、同郷のHumanity’s Last BreathのようなThallっぽさがあるように感じる。「Beautiful Gloom」ではDrop Eのうねるリフに吸い込まれていくような錯覚さえ感じるが、ニューメタルコアとは言い難い、プログレッシヴメタルコアを鳴らしている。良い意味でスウェーデンらしいメタルコアであり、ニューメタルコア・フレーバーを程良くブレンドしているタイプと言えるだろう。