亡きメンバーRyan Siewへ捧げた Polaris の新曲「Without You」は、なぜこれほど胸を打つのか? 5つのリアクションから見る楽曲の背景に迫る

オーストラリアを代表するメタルコア・バンドの一つ、Polarisが3年ぶりとなる新曲「Without You」を発表した。しかし、これは単純に「待望の新曲」と呼ぶには、あまりにも大きなものを背負った一曲だ。

2023年6月19日、PolarisのギタリストRyan Siewが26歳で亡くなった。バンドは彼を、10年間を共に過ごした親友であり、音楽におけるかけがえのないパートナーとして追悼。その約2カ月後に発表された3rdアルバム『Fatalism』はRyanが生前に制作へ参加した最後のアルバムとなり、結果的に彼がPolarisへ残した音楽的な足跡を刻む作品にもなった。それから約3年。2026年9月3日に届けられた「Without You」は、Ryanを失った後のPolarisが初めて世に送り出した新曲だ。

Jamie Hails、Rick Schneider、Jake Steinhauser、Daniel Furnariの4人が作曲者としてクレジットされており、Ryanが残した演奏を世に送り出すのではなく、彼のいない現在を生きる4人が新しく生み出した楽曲であることにも、この曲の大きな意味がある。

Polaris自身は「Without You」について、3年が経った今も大きな喪失と、その後に残されたものを理解しようとしている途中だと説明している。彼らがこの曲に込めたのは、喪失、ショック、悲嘆、心の痛み。そして、それを初めて外の世界と共有しようとする行為そのものだった。

今回、海外で公開された複数のリアクション動画を追ってみると、興味深い共通点が見えてくる。誰もがこの曲の背景に胸を痛めているが、同時に、単に「悲しい曲」「Ryanへの追悼曲」として評価しているわけではない。むしろ多くのリアクターが驚いていたのは、これほど個人的な悲しみを扱いながら、Polarisがバンドとして持っている攻撃性、グルーヴ、メロディ、演奏の緻密さを一切失っていないことだった。

「Without You」は悲しみを説明するための曲ではない。悲しみそのものを、Polarisの音楽へ変換した曲なのだ。

 

Ryan Siewを失ってからの3年間

Ryanの死が発表されたのは2023年6月28日。Polarisは、彼が同月19日の朝に亡くなったことを明らかにした。

当時26歳だったRyanは、若くしてPolarisのサウンドを形作る重要人物となっていた。『The Mortal Coil』『The Death Of Me』、そして完成済みだった『Fatalism』に残されたテクニカルかつ感情的なギターワークは、バンドの音楽にとって欠かせないものだった。

『Fatalism』はその後予定通りリリースされ、オーストラリアのARIAチャートで1位を獲得。2024年のAIR AwardsではBest Independent Heavy Albumを受賞するなど、Polarisのキャリアでも大きな成功を収めた。しかし作品を聴けばそこにはRyanの演奏があり、ツアーを続けるバンドにとっても、前へ進むこととRyanの不在を受け入れることは、簡単に切り離せるものではなかった。

そして「Without You」が生まれた。

公式発表では、この曲を「喪失から生まれた作品」と明確に位置付けている。公開されたミュージックビデオも、空虚な大聖堂で演奏する現在のメンバーの姿と、バンドの過去を想起させるイメージを交錯させ、Ryanがいた時間と、その後に続いていくPolarisを同時に映している。

重要なのは、Polarisがこの3年間を「乗り越えた」とは表現していないことだろう。悲しみが消えたから新曲を出したわけではない。まだ理解できないものを抱えたまま、それを音楽として誰かと共有できる地点まで来た。「Without You」は、そうした曲として始まっている。

 

悲しみをバラードにはしなかった

「Without You」の最も強い魅力は、このテーマを静かなバラードへ置き換えなかったことにある。

冒頭からPolarisらしい鋭いリフとドラムが前へ出る。浮遊するような不穏な空気の中へグルーヴが入り、Jamie Hailsの叫びとJake Steinhauserのメロディが交差する。そこから感情を大きく開くコーラスへ進み、ギターソロを経て、最後には楽曲そのものが崩壊していくような強烈なヘヴィ・パートへ突入する。

オーストラリアの音楽メディアDestroy All Linesもこの曲について、激しいボーカル、重いビートとリフ、伸びやかなメロディック・コーラス、胸を締め付けるギターソロ、そしてPolaris史上でも最もヘヴィな部類に入るアウトロが共存していると紹介している。一方、同じくオーストラリアの音楽メディアWall Of SoundのGeorgia Haskinsは、特に最後の暴力的な展開に注目している。

悲しみについて誰かに話したからといって、痛みがその瞬間に消えるわけではない。前へ進む準備ができたことは、過去を忘れたことを、ここでは意味していない。穏やかに収束せず、最後に再び感情が噴き出す「Without You」の構成を、悲嘆が一直線には進まないことを表したものとして捉えている。

この見方は、曲を聴いたときの感覚ともよく重なるだろう。Ryanを思い出し、悲しみを言葉へ変え、少し光が差し込んだように感じても、感情は突然また襲ってくる。その不安定さを、Polarisは曲のダイナミクスそのものにしているように聴かせている。

 

ギターソロが持つ特別な意味

そして当然、この曲で最も意識せずにはいられないのは、ギターだ。

RyanはPolarisにおけるリードギタリストであり、複雑なリフだけではなく、旋律そのものに感情を持たせるプレイヤーだった。「Without You」にも明確なギターソロが置かれており、それは単に「Ryanがギタリストだったからソロを入れた」と説明できるほど単純なものではない。曲全体が重い感情に沈む中で、ギターだけが少し上の方へ抜けていくような瞬間を作り、そこから再び激しい終盤へと向かっていく。暗い楽曲の中へ一瞬の光を持ち込んでいるようにも聴こえ、多くのリスナーもそれを感じているとビデオにコメントが書き込まれている。

Ryan本人の演奏ではないことに、このフレーズに別の意味が生まれている。彼から大きな影響を受け、一緒に音楽を作ってきた人間たちが、Ryanの不在を意識しながら鳴らしている音。Polarisがその部分を避けず、むしろ曲の大きな感情的ポイントとして使ったことに、バンドの創造性が表れているのではないだろうか。

 

歌詞にある「残された側」の感情

歌詞もまた、亡くなった人物を美しく思い出すだけの追悼文とはかなり違っている。そこにあるのは、喪失だけではなく、生き残った側に残る罪悪感、信じていたものを失う感覚、繰り返し思い出してしまう記憶、誰にも見えない場所で抱える痛みなど、残された側の感情について綴られたフレーズが盛り込まれている。特に「Your echo never fades (あなたの残響 (または影響?、そのままエコーと受け取っても良い)は決して消え去らない」という短い言葉は、この曲の中心にある感情を強く表している。

いなくなった人の声や存在は消えない。それは温かな記憶であると同時に、何度もその不在を認識させるものでもある。「Without You」はRyanの人生や死について外側から説明するのではなく、「残された自分たちは今どのような状態なのか」を曝け出している。そのため、個人的な背景を知らないリスナーにも、誰かを失った経験そのものと結びつく余地が残されているのではないだろうか。

さて、ここからは、実際にこの曲を初めて聴いた海外のリアクターたちが何を感じたのかを見ていきたい。今回は、否定的な評価を取り上げるのではなく、この曲がどの部分で人の感情を動かし、Polarisの音楽的な強みがどのように受け止められているかに焦点を当てていく。

 

METALBIRB――「Ryanがいなくても、まだPolarisの音がする」

METALBIRBは、曲が始まった直後からPolaris特有のバウンス感に反応し、チャグ、グルーヴ、リフ、ボーカル、ドラムが噛み合っている点を評価している。しかし聴き進めるにつれ、意識は自然と歌詞へ移っていく。

特に彼が感じ取ったのは、Ryanを失った悲しみだけではなく、若くして大切な人物を失ったことで信じていたものまで揺らいでいく感情だった。そして、バンドがその悲しみを抱えながら活動を続けなければならないという複雑さにも触れている。

興味深いのは、ArchitectsとTom Searleの喪失を思い出したと話している点だ。

音楽性が同じという単純な比較ではなく、大切なギタリスト/ソングライターを失ったバンドが、その後の音楽で悲しみを表現するという部分に共通するものを感じたのだろう。そのうえでMETALBIRBは、「Without You」が背景を知らなくても成立する曲であることも高く評価している。

Polarisのファンにとって歌詞は非常に重い。一方で、初めてPolarisを聴く人であっても、グルーヴのあるリフ、歌えるコーラス、暗さを増していく後半、強烈なブレイクダウンを持つメタルコアとして楽しめる。「追悼曲だから評価される」のではなく、まず一曲のPolarisとして強い。そこが重要なのだと話す。

そしてMETALBIRBにはRyanに対する個人的な記憶もあった。

RyanがPolaris以前からYouTubeへギターカバーを投稿していた頃、その映像を見ていたという。当時自身もギターカバーを投稿していたことから、Ryanは「有名バンドのギタリスト」になる以前から、自分にとってインターネット上の音楽コミュニティに存在していた人物だった。最後にはこの曲を美しいトリビュートでありながら強烈な一曲と評価し、8.5/10を付けた。

 

「A+」と即答したリアクター――Dan Furnariのドラムに宿る感情

こちらのリアクターは、再生前から「これはつらいものになる」と覚悟を決めている。しかし実際に曲を聴き終えた直後に出た評価は、「悲しい」だけではなかった。「オーストラリア最高峰のバンドが、どうやってさらに良くなるんだ?」という驚きとともに、即座にA+と評価している。

特に注目していたのがDan Furnariのドラムだ。一度曲を最後まで聴いたあと、わざわざ冒頭へ戻り、「一発一発に全身をぶつけているように聞こえる」とドラムへ耳を向けている。Ryanへのトリビュートと聞けば、どうしてもギターや歌詞に注意が集まりやすい。しかし「Without You」の感情を作っているのは、特定の楽器だけではない。ドラムの一打にも、曲を前へ押し進める切迫感がある。

このリアクターはギターワーク、ソロ、ボーカルも絶賛しているが、中でも楽曲全体から「メンバーが身体ごと感情を叩き込んでいる」ような印象を受けていたことが面白い。終盤の急激な変化にも強く反応し、この曲をPolarisの「powerful return」と表現している。

大きな喪失を経験したバンドが、慎重に小さな一歩を踏み出したというより、「自分たちはここにいる」と全力で示した曲として受け取っていた。

 

Ohrion Reacts――「悲しみと怒りが低音そのものから聞こえる」

Ohrion Reactsも、Ryanへの曲であることを理解した状態で再生を始めている。現在公開されている動画情報からも、Ryanを失って以降初の新曲として「Without You」を取り上げていることが確認できる。リアクション中にはブレイクダウン、リフ、ギターソロへ素直に興奮しながらも、聴き終わる頃にはかなり言葉を選びながら感想を話している。

彼自身Polarisを以前から追いかけており、Jamie Hailsと話した経験もある。Ryanが亡くなった直後にもJamieと接する機会があったものの、そのときはあえてRyanの話題には触れなかったという。だからこそ、3年後にバンド自身が音楽としてその感情を外へ出してきたことへ、特別な重みを感じている。

音楽面で強く評価しているのはJamieのボーカルだ。

近年さらに表現力が増したと感じており、叫びと低音が単純な「ヘヴィさ」のためではなく、悲しみと怒りを直接引き出していると捉えている。特に最後のブレイクダウンでは、低くチューニングされたギターとJamieのローが重なり、喪失によって生まれた怒りまでが音になっていると評価した。一方、ギターソロについてはRyanを想起させるショーケースのように感じたと話している。

彼にとってPolarisは、パンデミック期を支えてくれた個人的にも重要なバンドだった。そのため「Without You」を新しいスタートとして喜びながらも、手放しに「復活だ」と騒ぐのではなく、Ryanの家族、友人、メンバーへ思いを寄せながら話を終えている。

 

「Polaris Have Done It」――“音が重い”ことと“感情が重い”ことは違う

このリアクションでは、曲の作曲とプロダクションにかなり細かく耳を向けている。

最初に気にしていたのは、Ryanという重要なソングライターを失った後もPolarisらしさが残るのか、それとも大きく方向を変えるのかという点だった。答えは、どちらか一方ではなかった。

Jamieの声、Danのドラム、鋭いリフなど、確実にPolarisの核は残っている。そのうえで、楽器が一度引き、ボーカルを前へ出す瞬間や、空間を大きく取った音像、静寂を効果的に使う展開など、細かなダイナミクスによって感情を引き出していると評価している。そして、このリアクターが非常に的確な指摘をしている。

低いチューニングのギターを使うこともでき、ブレイクダウンを入れることもできる。それだけでも音楽を「ヘヴィ」にすることはできる。しかし、本当に伝えなければならない感情を持っている人間が、心の底から曲を作ったときの重さは、それとは違う。「Without You」にはその違いがあると感じている。

今回集めたリアクションの中でも、この評価は「Without You」の魅力をかなり正確に表しているように思う。この曲が重いのは、チューニングが低いからだけでもなく、ブレイクダウンが激しいからでもない。音を鳴らしている理由そのものに重みがある。だから、同じギター、同じドラム、同じスクリームでも、いつもとは違う切迫感が生まれているのではないか。非常に意味深い考察である。

 

「HEARTBREAKING song」――最後の爆発を“悲嘆の形”として受け止める

このリアクターは、冒頭から楽曲の猛烈なエネルギーに驚き、歌詞の悲痛さ、リフ、2番で増していく攻撃性、穏やかになるコーラス、そして終盤へ向かうにつれて何度も感情を揺さぶられている。

特に強く反応したのが最後だ。

ギターソロを終えた後、そのまま静かに曲が終わるのではないかと予想していた。しかしPolarisはそこで終わらない。もう一度すべてを爆発させている。映像と音が一体になったその部分を、このリアクターはトリビュートとして非常に強い瞬間だと捉えている。

聴き終えた後には、バンドが仲間を失った後、どうやって「次の音楽を作る」と決断するのかという問題についても考えている。もちろんRyan本人が何を望んでいたかを外部の人間が決めることはできない。その点には本人も注意しながら、それでも「アーティストが残したものは生き続ける」という考えを語った。

PolarisがRyanの代わりを作るのではなく、Ryanが作ってきた歴史を抱えたまま次の作品を生み出す。そのこと自体に意味を感じている。

音楽的には、今回のボーカルを特に高く評価しており、カタルシスのように感じられたという。暗く、悲痛で、非常にヘヴィ。それでも明確にPolarisの曲であることに驚きを込めて評価した。その両立について、このリアクターは「quintessential Polaris」と捉えている。

 

5つのリアクションに共通していたもの

今回参照した5本のリアクション動画には、それぞれ着目する場所に違いがあった。ドラムに心を奪われた人がいたし、Jamieのボーカルに悲しみと怒りを感じた人もいる。ギターソロをRyanへの献辞のように受け取った人もいれば、最後のブレイクダウンこそが悲嘆の不安定さを最も表していると感じた人もいた。

しかし根底にある評価はほぼ同じだ。これはRyanへのトリビュートであると同時に、非常に優れたPolarisの新曲でもある。そこが「Without You」の重要なところだろう。もしこの曲が背景だけに依存していたなら、Ryanのことをよく知るファンにしか届かない作品になっていたかもしれない。

しかし実際には、曲として、RyanのいないPolarisのこれからに続いていく曲として、非常に優れていることへのリアクションが強かったようにも感じる。

背景を知らない人がSpotifyで偶然出会っても、一曲のメタルコアとして楽しめる。背景を知ったあとにもう一度聴けば、同じ音がまったく違って聞こえる。それだけの奥行きが「Without You」にはある。

 

Ryanの代わりを作るのではなく、RyanがいたPolarisの続きを作る

メンバーを失ったバンドについて語るとき、「代わり」という言葉が使われることがある。しかし、Ryan Siewについて考えるなら、その表現だけでは足りないように思う。Ryanのギターも、Ryanがバンドの中で持っていた感覚も、メンバーとの関係も、そのまま誰かが埋めることはできないし、完璧に代わりというものが登場することはない。だから、これからのPolarisに求められているのは、「Ryanがいた頃とまったく同じ音」を再現することではないはずだ。

一方で、RyanのいたPolarisが作ってきたPolarisを捨てる必要もない。

「Without You」を聴いて感じるのは、その二つを同時に成立させようとするバンドの創造性だ。鋭いギター、複雑なグルーヴ、激しさと大きなメロディの共存というPolarisの核を保ちながら、今の4人にしか書けない感情を入れている。過去をコピーするのではなく、過去を自分たちの一部として次の音へ変える。新しいPolarisにとって、その最初の答えが「Without You」なのだろう。前へ進むことは、決して忘れることではない。

Polarisの場合、Ryanとの時間を持ったまま前へ進むからこそ、次の音楽にもRyanの存在が残り続けるのではないだろうか。Without You」は、Ryanがいないことをこれほど痛烈に歌いながら、同時にRyanがPolarisから完全に消えることはないと感じさせる。その矛盾のような感覚こそ、この曲がこれほど胸を打つ理由なのかもしれない。

これほど大きな喪失を無理に美しい物語へ変えることなく、痛みも怒りも混乱もそのまま音楽へ変換したPolarisの創造性に、最大限の敬意を送りたい。

Ryan Siewへ心よりご冥福をお祈りします。

 

Polaris、新曲「Without You」リリース 2023年に亡くなったメンバーRyan Siewへの愛、痛み、喪失を描く

オーストラリア・シドニーのメタルコア・バンド Polarisが、ニューシングル「Without You」をリリースし、オフィシャル・ミュージックビデオを公開した。2023年にギタリスト Ryan Siewを亡くして以降、バンドにとって初めて発表される新曲であり、約3年ぶりの新音源となる。

「Without You」は、Ryan Siewの死によって残された悲しみ、衝撃、喪失感、心の痛みを真正面から扱った楽曲。激しいボーカル、重量感のあるビート、鋭いギターリフを軸にしながら、大きく広がるメロディックなコーラス、感情的なギターソロ、終盤の強烈なブレイクダウンへと展開する。

Polarisは今回の楽曲について、自分たちがいつかこのような曲を書く理由を持つことになるとは想像していなかったとコメント。3年が経過した現在も、計り知れない悲劇を理解しようとし続けており、その後に残された自分たちにとって何を意味するのか整理している途中だと明かした。

また、「Without You」を“圧倒的な喪失、ショック、悲しみ、心痛の音”と表現している。Ryan Siewを失ったことで抱えてきた感情を、初めて音楽として外の世界へ共有していく始まりに位置付けた。

ミュージックビデオでは、現在のメンバーが無人の大聖堂で演奏する姿を中心に構成。バンドの過去から引用された映像やイメージも随所に挿入され、Ryan Siewとともに築いてきた歴史を振り返りながら、残されたメンバーがその先へ進んでいく姿を描いている。

Polarisは2012年に結成。2017年の1stアルバム『The Mortal Coil』、2020年の『The Death Of Me』はいずれもオーストラリアのチャートでトップ10入りし、ARIA Music AwardsのBest Hard Rock/Heavy Metal Albumにもノミネートされた。

2023年には3rdアルバム『Fatalism』を発表したが、その発売を数カ月後に控えた同年6月、Ryan Siewが急逝。『Fatalism』は結果的に彼が残した演奏と創作の記録を含む作品となり、オーストラリアのARIA Albums Chartで1位を獲得した。

同作は2024年のAIR AwardsでBest Independent Heavy Albumを受賞したほか、ARIA Music Awards、J Awards、Australian Music Prizeなどでもノミネート。Ryan Siewの死後もバンドは活動を続け、彼が残した音楽をステージで演奏してきた。

2025年にはKnotfest Australiaへ出演し、Download Festival、Rock Am Ring、Rock Im Park、Jera On Air、Rock For Peopleなど世界各地のフェスティバルへ参加。2026年には自身がキュレーションするフェスティバル「Life’s A Beach」を開催したほか、Linkin Parkのオーストラリア・アリーナツアーをサポートし、Electric Callboyの北米ツアーにも参加した。

今後は9月からI PrevailのUK/ヨーロッパツアーに同行。リーズ、グラスゴー、マンチェスター、ロンドン、ブリュッセル、ティルブルフ、デュッセルドルフ、パリ、ミラノ、ウィーン、ワルシャワ、ベルリンなどを巡る予定となっている。12月にはオーストラリアのGood Things Festivalへの出演も控えている。

 

CREDITS

Produced By Polaris, Mark Williamson & Lance Prenc
Vocals Engineered By Mark Williamson
Guitars & Drums Engineered By Lance Prenc
Mixed & Mastered By Lance Prenc

VIDEO CREDITS

Director / DOP / Editor / VFX Artist – Third Eye Visuals
Co-DOP / 2nd Camera Operator – Miki Simankevicius
Producer – Todd Farley
Production Company – Radical Films
Gaffer – Corey Clement (Nice Electrics)
LX Assistants – Liam Harrington, Riley Lewis, Sophy Jin, Anaya Sandon-Gould
MUA – Steph Rose
Production Assistant / Runner – Ella Bourne

 

「Without You」
2026年9月3日リリース
ADA / SharpTone Records

Streaming

https://bfan.link/polaris-without-you

Official Website

https://polarisaus.com/

メタルコア 2023年下半期の名盤TOP10

2023年上半期のメタルコア名盤TOP10を読む

2023年の下半期にリリースされたメタルコアのアルバム、EPの中から優れた作品をピックアップし、アルバムレビューしました。下半期は、2024年以降のメタルコアがどのように進化していくかを少し読み取れるような作品がたくさんリリースされましたので、それを意識しながら有名無名問わず印象に残った作品が中心になっています。

上半期はAugust Burns RedやFor I Am Kingといったメロディック・メタルコアに加え、その流れにありながらもハードコア/デスコアともリンクしてくるCurrentsやC-GATE、そしてGraphic NatureやSoul Keeper、from joyといったモダン・メタルの可能性を拡大してくれるクリエイティヴなバンドをリストアップしました。下半期も基本的にはそういった全体のバランスを見つつ、「エレクトロニック」をキーワードに重要な作品を意識的にリストに組み込みました。順位はそこまで重要ではないですので、第1位から第10位まで (余裕があれば、文末の次点の10枚まで) チェックしてみてください。

 


▶︎第10位 : Dying Wish 『Symptoms of Survival』

Stream & Download : https://bfan.link/symptoms-of-survival
Official Site : https://dyingwishhc.com/

アメリカ・オレゴンの女性ボーカル・メタリック・ハードコア・バンド、Dying Wish (ダイイング・ウィッシュ)。2021年にSharpTone Recordsと契約し『Fragments of a Bitter Memory』をリリースしてから、本作までに彼/彼女らの状況は劇的に変化した。グローバルな人気を獲得、ライブは毎度カオスな盛り上がりを見せ、急激な人気の高まりを遠く離れた日本からも見てとれた。

あえてDying Wishに関してはメタルコアではなく、メタリック・ハードコアと言いたい。ハードコア成分が非常に高く、Knocked Looseといった2020年代最高峰のフックを効かせたキーリング・スタイルを取り込んでいるのも面白いし、ScowlやGelといった女性フロントマン擁するハードコアの系譜として見ても、最近のミュージックビデオに見られる、ファッショナブルなフロントマンをメインに据えたヴィジュアルに通ずるものを感じる。メタルコアから見れば、こうしたバンドはハードコアのモッシュやマイクジャック、ステージダイブといった盛り上がりをライブで見られることから、”急激にブレイク中”であるというイメージをシーンに植え付けることが出来ている。

彼/彼女らがハードコア成分について前作以上に精密な構築を施していることからもその狙いは明らかだ。もちろん、これは悪いことではなく、SharpTone Recordsという現代メタルコア中心の所属アーティスト・ラインナップの中で目立ち、自分たちに目を向けさせる為に最大の努力している証拠であり、現代をサバイヴするアーティストとして間違っていない。Knockled Looseも、そのサウンドはもちろん、日々アップされるカオスなライブ・パフォーマンスビデオの影響で、とんでもないところまで行ってしまったのだから、フロアの熱気、活気というのも実力以上に大事というのが2023年だったと思う。この手のサウンドを復興させ、日本でもView from the Soyuzに見られるライブの盛り上がりを見れば、このスタイルのバンドが今、どこでどう勝負すべきかは自ずと導かれていくだろう。ミュージックビデオにもなっている「Watch My Promise Die」は新しいDying Wishが2024年以降に作っていく道筋を感じられる1曲に仕上がっていると言えるだろう。

 

▶︎第9位 : Avalanche Effect 『Of Wired Hearts And Artificial Prophecies』

Stream & Download : https://open.spotify.com/intl-ja/artist/1lhzMZn54qAGcj8hdoMCCb
Official Site : https://www.instagram.com/avalancheeffect

ドイツ・ミュンスターの7人組プログレッシヴ・メタルコア・バンド、待望のEPは、2023年上半期の個人的大ヒット・メタルコア曲「Manipulating Sky」で幕を開ける。メンバーに不幸があったものの、新体制として動き出した彼らのAvalanche Effectというバンドにかける強い覚悟は随所に伝わってくる。シーンにおけるバンドのポジションはまだまだこれからという具合であるが、じわりと盛り上がってきたエレクトロニック・メタルコアのカテゴリーに分類出来るようなアレンジも随所にある。ただ、このバンドの最も優れたところはツイン・ボーカルの巧みな掛け合いによって楽曲を通して貫かれる光と影のコントラスト、それを美しく色彩豊かに表現するプログレッシヴなクリーントーンのメロディだ。プログレッシヴ・メタルコアとしては、特筆して個性的なところはないものの、この個性を伸ばしていけるような楽曲構成を固め、ドラマ性を高め続けていけば、間違いなくその名はドイツだけでなく、グローバルなものへと成長していくに違いない。そして意外とヘヴィなのも良い。大半の楽曲の後半にはデスコアにも接近していくようなヘヴィ・パートがあり、クリーン・パートの力強さを浮き彫りにしてくれる。2024年、更なる活躍を期待したい、隠れた逸材と言えるだろう。今からチェックしておいてほしい。

 

▶︎第8位 : Resolve 『Human』

Stream & Download : https://arisingempire.com/humanalbum

Official Site : https://resolveofficial.co

フランス・リヨン出身のメタルコア・バンド、Resolveのセカンド・アルバム。世界がパンデミックに見舞われた2020年は、Resolveにとって勝負の年になるはずであった。しかし彼らはあえて派手な動きはせず、静かに『Human』に繋がる世界観をイメージし、デビュー・アルバム、そして本作を完成させるまでストイックに創造を続けてきた。そのメンタリティは非常に評価出来るし、コロナ禍で立ち止まったまま動けなくなった多くのメタルコア・バンドがいたからこそ、Resolveの劇的な進化には驚き感激した。

「New Colors」はシンプルにResolveとして打ち出し続けてきたスタイルの結晶であり、アルバムの中でもキーと言える楽曲だ。そして印象的な収録曲「Older Days」には、同郷のten56.からAaron Matts、そしてPaleface SwissのZelliがゲスト・ボーカリストとして参加しており、ユーロ・メタルコア/ポスト・ハードコア全体が育んできたドラマ性の高いメロディとスタイリッシュなメタルコア、そしてヒップホップのエレメンツも交え、また少し違ったResolveの魅力が垣間見えるもの面白い。この曲はミュージックビデオのディレクションも素晴らしく、モダンでミニマルなヴィジュアルが非常にスタイリッシュだ。これはアメリカのバンドには無い。Holding Absence、LANDMVRKSに次いでグローバル・ブレイクするのは、Resolveだろう。

 

▶︎第7位 : Beartooth 『The Surface』

Stream & Download : https://beartooth.ffm.to/surface
Official Site : http://beartoothband.com

Beartoothも気付けば結成から10年を超え、ベテランの域に差し掛かってきました。メタルコア・バンドには珍しくRed Bull Recordsからアルバムをリリースし続け、本作が通算5枚目のフル・アルバム。Caleb Shomoのカリスマ性をサウンド面、そしてヴィジュアル面でもこれでもかと味わえる作品に仕上がっており、プロデュースもCalebが担当しています。

Calebの雰囲気がだいぶ変わってきたというか、明らかにキャラクターが変わってきている。鍛え抜かれた肉体美を誇示するかのようなパフォーマンスはライブでもミュージックビデオでも貫かれていて、ソーシャル・メディアの投稿もCaleb単体のライブ・フォト、セッション・フォトが散見されます。フロントマンの強烈な個性はバンドにとって非常に重要で、特にBeartoothのようなCalebのカリスマ性を際立たせることにフォーカスしたバンドは、これくらいド派手にやってしっくりくるなと思います。

もちろんOshie BicharやConnor Denisというバッキング・ボーカルを務める存在が随所に輝きを放っており、HARDYをフィーチャーした「The Better Me」や「Sunshine!」といった楽曲はBeartoothというバンドの良さが全て詰め込まれた新しいライブ・アンセムになっています。Issuesがバンドとして終わりを迎え、Woe, is Meが復活したものの全盛期のような輝きまでは届かず、無論Attack Attack!はトップ・シーンにいない今、Beartoothは2010年代、メタルコアがヘヴィにそしてダークに変わりつつあったトレンドを個性として残しながら、ここまでキャッチーなスタイルへと成長。この『The Surface』の構想から完成まで、本当に多くの苦労、挑戦があっただろうし、Calebも今が一番ノリにノってるぞと言わんばかりのエネルギーを発奮しているのを見るともう一つ上のステージへと階段を登るきっかけになる作品ではないかと思う。これから続くBeartoothの歴史においても、この作品は一つ分岐点になるものとして印象に残り続けるに違いない。

 

▶︎第6位 : Artemis Rising 『Vibe Sampler』

Stream & Download : http://fanlink.to/VIBE-SAMPLER-EP
Official Site : http://artemisrising.de/

元Death of an EraのDanielがフロントマンを務めている事で話題となったArtemis Risingですが、革新的なエレクトロニック・メタルコアは時代の先を行き過ぎていたのが、デビュー・シングルで大きなブレイクとまでは行きませんでした。しかし2022年代から次第に増え始めた”エレクトロニック・メタルコア”は、例えばAttack Attack!やElectric Callboy、とは違い、本格的なクロスオーバーを始めています。これは、Attack Attack!の登場以降、メタルコア+キーボディストというバンド編成によってシーンに植え付けられたエレクトロニック・メタルコアとは根底が違い、マシーン・ドラム/エレクトロニック・ビートとドラマーの鳴らすビートが交互に展開されたり、時に交わっていくなど、メロディだけでないことが印象的だと思います。

例えば、本作収録の「Scales of Justice」では、ハードコア・テクノ、ガバといったタイプのエレクトロニック・ビートが楽曲の大黒柱となり、プログレッシヴなギターのリフやタイトなドラミングというものが交わるように展開されていくというスタイルへエレクトロニック・メタルコアを進化させています。この作品のヴィジュアライザーがマーブル模様の色彩と電子基盤のレイヤーで構成されているのも、視覚的にArtemis Risingを表現するのに重要な役割を担っていると言えるでしょう。2020年代以降のエレクトロニック・メタルコアについては、独立した音楽ジャンルとして意識しておくと、ダンス・ミュージック・シーンとの関わりなどへもその魅力を波及させられるきっかけに繋がるかもしれません。Sullivan Kingのようなアーティストがとんでもないブレイクを果たして、Artemis Risingなどといったバンドをビッグ・ステージへ引っ張り出して欲しいですね。

 

▶︎第5位 : Spiritbox 『The Fear of Fear』

Stream & Download : https://spiritbox.lnk.to/TFOF
Official Site : https://spiritbox.com/

カナダの女性ボーカル・メタルコア・バンド、SpiritboxのEP『The Fear of Fear』は、昨年のEP『Rotoscope』でエレクトロニックなビートを踏んだんに盛り込みつつ、革新的なデビュー・アルバム『Perfect Blue』を見事にアップデート。現代メタルコアのキーパーソンと言えるプロデューサーDaniel BraunsteinとSpiritboxの世界観を司るコンポーザーであるMike Stringerによる共同プロデュースとなった本作は、『Perfect Blue』と『Rotoscope』の間に位置する。

特筆すべき楽曲は「Angel Eyes」であろう。デスコアへも接近しようかというヘヴィネスへの探究心、Courtney LaPlanteのカリスマ性溢れるボーカル、そして不気味に漂う『Rotoscope』で見せた深いエレクトロニック・ダーク・アンビエントのアトモスフィア。次曲「The Void」のメロディアスさも相まって、EP中盤に絶頂を迎える『The Fear of Fear』の作品としての驚くべきコンパクトなクリエイティヴィティには感心させられる。この二つのEPを経てドロップされるセカンド・アルバムでどのようなチャレンジを見せてくれるのか、高く期待している。

 

▶︎第4位 : Silent Planet 『SUPERBLOOM』

Stream & Download : https://silentplanet.ffm.to/superbloom
Official Site : https://www.solidstaterecords.com/silent-planet

カリフォルニアを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Silent Planetの通算5枚目となるフル・アルバム。プロデューサーには前作に引き続きSpiritboxやDayseeker、Invent Animateといったアーティストを手がけるDaniel Braunsteinを起用し、ミックス/マスタリングはBuster Odeholmが担当している。アルバム・タイトルの『SUPERBLOOM』は、アメリカの乾燥地帯で野草がいっせいに開花する伝説的な現象のことを指し、その言葉の持つ神秘性は、Silent Planetがこれまで、そして本作で打ち出すサウンド、そしてアートワークからも感じ取ることが出来るだろう。

アルバムの中でキーとなっている楽曲は「Anunnaki」と「Antimatter」だろうか。「Anunnaki (アヌンナキ)」という不思議なタイトル、これは古代シュメール神話の中に登場するパンテオン (ある人々によって信じられている神々をひとまとめにして呼ぶための言葉) の中で最も強力な神々の名前で、人間の運命を司ったとされる。この古代シュメール神話の物語をコンセプトとしたリリック、そしてミュージックビデオのヴィジュアル・イメージは、『SUPERBLOOM』におけるSilent Planetの最もヘヴィで、抑えることのできない狂気性を見事に現している。カリスマ・ボーカリストGarrett Russellが上裸で赤く燃える森の中を歩くミュージックビデオのワンシーンはいささか映画のようである。何度も注意深くこの楽曲を聴きながらふと頭をよぎったのは、先日Grayscale Recordsとのグローバル契約を発表した日本のメタルコア・バンド、Promptsの存在だ。彼らの楽曲のうねりにはどこかプログレッシヴという言葉だけでは形容の出来ないものがあるが、「Anunnaki」におけるSilent Planetのヘヴィネスもこれと似たものが渦巻いているように感じる。

そして「Antimatter」では、今年多くのバンドが挑戦したエレクトロニックなビートに乗せて幕を開けていく。こうしたスタイルはヨーロッパ、個人的にはデンマークのSiameseが先駆者であると思うが、楽曲がエンディングに向かうにつれ、彼ららしく昇華していく。一聴しただけではこのアルバムの全体像は掴めないかもしれない。上記に挙げたキー曲の前後にも、神秘性の高い雰囲気が漂い続けている。掴もうとすればそれは霞となって消えていく。Silent Planetの元来大切にしてきた魅力は、音楽的な野心に消し去られることなく、現在も漂い続けリスナーを虜にしていく。

 

▶︎第3位 : Ice Sealed Eyes 『Vol.2: Fragments』

Stream & Download : https://open.spotify.com/intl-ja/artist/0eVDo1w1SoyNP0xswwFYi7?si=gasq05qAQ7u5vMGFH2kNWQ
Official Site : https://www.instagram.com/icesealedeyes/

2023年上半期に書いた「超個性派! メタルコア 2023年上半期のベスト・シングル」という記事の中でも彼らをピックアップしていますが、EPという形で新しい作品が出ました。LoatheやThornhillが起こしたオルタナティヴ・メタルコアという概念を捉えアップデートさせるベルギー出身の彼らは、本作でシューゲイズやオルタナ、アンビエントのアトモスフィアをまとったオルタナティヴ・メタルコアの奥深い世界観をまた一つ先に進めたと言えるでしょう。

5曲入りの作品ですが、作品のおける間奏として挿入される「Forlorn」ではサッド・ラップ/サッド・ローファイとも捉えられるIce Sealed Eyesの新たな一面を垣間見ることが出来ます。この楽曲を分岐点とし、後半の冒頭を飾る「Deadweight」では、Humanity’s Last Breathを彷彿とさせるThallなリフが限りなくノイズに近い形状へと変形しビートダウンを続けていきます。打ちつけるリフ、キックの波動が波打ちながら、霧のようなシンセと溶け合っていくこのスタイルは、Invent Animate、Silent Planetといったこの手のサウンドの先駆者よりも刺激的なダイナミズムに溢れています。Deftones影響下のメタルコアが好きなら彼らはフォローしておくべきでしょう。

 

▶︎第2位 : Hollow Front 『The Fear Of Letting Go』

Stream & Download : https://hollowfront.lnk.to/TFOLG
Official Site : https://unfdcentral.com/artists/hollow-front/

アメリカ・ミシガンのメタルコア・バンド、Hollow Frontのサード・アルバム。2021年にUNFDと契約後、毎年アルバムをリリースするという多作っぷりでありながら、作品毎に確実にレベルアップし、アメリカを中心にグローバルな人気を誇る彼ら。RIFF CULTで行った国内メタルコア・バンドらへの年間ベスト・インタビューにも『The Fear Of Letting Go』は数多くリストインされていたのが印象的だった。

彼らと比較されるバンドといえば、ErraやPolaris、Northlaneといったところであろうが、Hollow Frontが本作で打ち出した”Hollow Frontらしさ”は、ミュージックビデオにもなっておりアルバムのキー曲である「Over The Cradle」にある。リリックやビデオのコンセプトになっているのは、Hollow Frontのソングライター自身が経験したネグレクトであり、育児放棄、感情の混乱を鮮明に表現している。この歌は、母親への赦し (*ゆるし)の歌であるが、現在も続く痛みが入り混じった言葉がリリックの中で巨大なインパクトを放っている。母親は自分たちに命を与えてくれたが、生き方を教えることができなかった……。母親を許したとはいえ、過去の経験の傷跡がまだ残っていることを表現している。自身が経験した辛い思い出を非常に分かりやすく、そしてメタルコアという音楽の怒りの塊のようなエネルギーを巧みにストーリーに落とし込んだ本楽曲は、Hollow Frontの知的な芸術性が爆発したキラーチューンと言えるだろう。細かなパートについても、エレクトロニックなビートをさらりと組み込んだり、ブレイクダウン・パートの切れ味と歌詞の鋭さがリンクしながら展開していくところも、意図的に作られているのであれば、これはもう、非常に優れた高等芸術であり、メタルコア文化遺産にしたいくらいだ。

優れているのは先行シングルとして発表されたものだけでなく、「Stay With Me」というバラードもHollow Frontの魅力を解き放つ印象的な楽曲だ。メロディック・ハードコアをルーツに感じさせながらも、彼らの直接的な影響源であるだろうErraやNorthlaneといったバンドの楽曲構築の典例を参考に、力強いスクリームと張り裂けるようなクリーン・ボーカルを交互に展開させていく。実はこの曲がアルバムの中で一番凄いかもしれない。確実にトップ・シーンへと躍り出たHollow Front。このアルバムをライブ・パフォーマンスでどこまで繊細にドラマティックに表現できるかが2024年代ブレイクの鍵になってくるだろう。持ってるセンスは一級品。

 

▶︎第1位 : Polaris 『Fatalism』

Stream & Download : https://bfan.link/fatalism
Official Site : https://www.polarisaus.com/

2023年はPolarisにとって、激動の年となった。すでに『Fatalism』を完成させ、キャリア最大のヘッドライン・ツアーとリリースを控えていた彼らであったが、バンド創設期から中心メンバーの一人であったギタリストのRyan Siewが26歳と若さでこの世を去った。この訃報は世界のメタルコア・シーンを深い悲しみに包み、奇しくもアルバムの全体的なコンセプトとしてテーマになっている数年間に世界を巻き込んだ絶望とディストピアの感覚、そしてそれに付随する圧倒的な「自分たちは道を変えることができない」という感覚が、このアルバムのメッセージをより現実的なものにしている。

いくつもアルバムを象徴する楽曲はあるが、”In loving memory of Ryan Siew”という追悼の意を込め、生前のRyanも撮影に参加している楽曲「Overflow」は、ドラマーDanielによって書かれたものだ。Danielはこの楽曲の歌詞について、自身のパニック発作と闘うことの葛藤と、その葛藤が他人に与えることの影響について歌っていると説明している。悲しみと絶望に満ちた歌詞、「The earth is spinning much too fast for me」という詩的なフレーズのインパクトが強烈であったし、その中からもわずかながら、希望の光を感じさせてくれるところも、世界に多くのファンを持つ彼らの優しさであり、トップ・シーンを走るバンドが歌うことの責任であると感じる。

とても暗いアルバムだと思う。サウンドだけで言えば、オーストラリアン・メタルコアらしさもしっかりと根底にありつつ、Jamie HailsとJake Steinhauserのシャウト、クリーンのコンビネーションの織りなすドラマ性豊かでプロダクションも一級品。加えて、やはり、詩的な魅力というのも、しっかりと捉えていく必要がありそうだ。歌詞の一つ一つ、言葉の選び方も壮絶な時代を生きる若者の代弁者として優れた才能を見せてくれている。

 

上半期&下半期それぞれのTOP 10には入れなかったものの、本当に毎年メタルコアの素晴らしい作品がリリースされている。もし下記のリストに聴いていない作品があれば、ぜひチェックしてみてください。

Atreyu – The Beautiful Dark of Life
Texas In July – Without Reason
Prospective – Reasons to Leave
Of Virtue – Omen
The Callous Daoboys – God Smiles Upon The Callous Daoboys
Of Mice & Men – Tether
Wolves At The Gate – Lost In Translation
Heart Of A Coward – This place only brings death
Johnny Booth – Moments Elsewhere
Soul Despair – Crimson

Polaris、今後の活動についてコメントを発表

オーストラリアのメタルコア・バンド、Plarisは、ギタリストのRyan Siewが先月他界したことを受け、今後も活動を継続することを発表しました。7月14日にバンドが発表した声明によると、グループはニュー・アルバムのリリースほか、今後予定されているスケジュールをこなすつもりであることを発表している。以下メッセージ。

親愛なる友人たちへ、

Ryanの死を受け、ここ数週間たくさんの愛とサポートをいただきありがとうございました。私たちバンドの人生、あるいは私たち自身の人生の中で最も困難な時期でしたが、皆さんからいただいた優しい言葉は、私たち、私たちのチーム、そしてRyanの家族&友人にとってすべてを意味するものでした。この喪失は私たちの存在を根底から揺さぶりましたが、私たちの兄弟がどれほど愛されていたかを知り、そして彼が多くの人に与えた影響について聞くことができたことは、とても素晴らしいことでした。素晴らしい友人や家族に囲まれて、私たちはこの事態を乗り越えようとしています。

私たち4人が今後どのように進んでいくかを考え始めるにあたり、皆さんの忍耐と理解に心から感謝しています。現在、多くの疑問があることは承知していますが、すべて時間をかけて解決していくつもりです。現段階では、私たちは今後予定されているすべての約束を果たすつもりであり、Ryanの人生と私たちが共に創り上げた芸術を最も尊重できる方法で前進するつもりであることをお知らせしたいと思います。

愛と感謝を込めて、Plaris

 

プログレッシヴ・メタルコア最前線 (2023年上半期のベスト・シングルス)

モダン・プログレッシヴ・メタルコア (Modern Progressive Metalcore) は、メタルコアの中でもプログレッシヴ・メタル/ロックの影響を持つアーティストの中で、モダンなスタイルを追求するバンドを指す。メタルコアにおけるプログレッシヴ・スタイルの導入で最も印象的なのは Djent で、Peripheryなどがトップ・バンドとして挙げられる。彼らの登場から10年以上が経ち、プログレッシヴ・メタルコアと呼ばれる音楽も日々進化し、周辺ジャンルと関わり合いながら成長し続けている。私が執筆した『Djentガイドブック』は2020年までのプログレッシヴ・メタルコアの歴史についてまとめたもので、2020年以降のフレッシュなサウンドを鳴らすバンド、または楽曲などについて「モダン・プログレッシヴ・メタルコア」として個人的にタグ付けして出版以降もウォッチし続けてきた。

この記事では、2023年1月から6月までにリリースされた多くのモダン・プログレッシヴ・メタルコアのシングル/アルバムから気になるものをピックアップして紹介する。RIFF CULTのSpotifyアカウントで「Best of Modern Progressive Metalcore 2023」というプレイリストを通じて日々ディグの結果を反映させているのでぜひチェックしてもらいたい。

2023年6月現在、40曲近い楽曲がリストインされているこのプレイリストを元に、紹介しておきたい楽曲を下記にまとめておく。さらに知りたい、聴きたいという方はぜひプレイリストをフォローし聴いていただければと思う。

 

Sailing Before The Wind 「Vanishing Figure (feat. Sean Hester of Life Itself)」

この記事で最初に紹介したいのはやはり日本が誇るプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Sailing Before The WindがLife ItselfのSeanをフィーチャーした楽曲「Vanishing Figure」だ。彼らのトレードマークと言えるメロディック・ハードロック/プログレッシヴ・ロックを通過した流麗なギターのメロディがふんだんに盛り込まれており、近年のSailing Before The Windが新たなキーリングとして楽曲のメインに据えたボーカルのクリーン映えるサビパートも過去最高の輝きを放つ。モダンだと思うのは、メタルコアのクラシカルな魅力溢れるスタイルに挿入されるフックの効いたブレイクダウンだ。Seanがフィーチャリングしているこの強力なパートは、多くのリアクションYouTuberによって切り抜かれ拡散していったことも印象的だった。これに次ぐ楽曲でSailing Before The Windが何をするのか、非常に興味深い。

 

そして、この2023年上半期には「Sailing Before The Wind系」と呼びたくなるモダン・プログレッシヴ・メタルコアな楽曲がいくつもリリースされた。それらはSailing Before The Windから直接的な影響を受けたかどうかは分からないが、もし似ているバンドを探しているという方がいたら、下記のバンドをチェックしてみて欲しい。

最もSBTWに近いスタイルを鳴らしていたのは、カナダ・トロントを拠点に活動するFeyn Entityだ。プロデューサー/コンポーザーとして活動するK.L.によるプロジェクトとしても活動していて、これはFeyn Entity名義でのデビューEP。テーマはデジタル化されたサイバー世界における分断された社会、人間同士の距離感に対し、コロナウイルスによるロックダウン中のバンドメンバーの考えや気持ちを表現したもの。この楽曲はインストであるが、Clintn Watsをフィーチャーした「Dissolve (The Dream Is A Lie)」も素晴らしいのでぜひチェックして欲しい。

Sailing Before The Windの「Futurist」を彷彿とさせるメロディックなスタイルを得意とするアメリカ出身のIn Search of SightのEPも素晴らしく、リードトラックである「Left Behind」は特におすすめ。Spotifyの月間リスナーはまだまだ少ないが、アメリカのローカル・メタルコアの雰囲気たっぷりなので、コア・リスナーはチェックしておいても損はないと思う。

 

 

Avalanche Effect 「Manipulating Sky」

ドイツ出身のAvalanche Effectは大幅なメンバーラインナップの変更を経て、この「Manipulating Sky」を発表している。ドラマーのJannick Pohlmannを亡くし、新メンバーを迎え7人体制として動き出したAvalanche Effectの「Manipulating Sky」は、2023年上半期最も優れたモダン・プログレッシヴ・メタルコアだった。現代デスコアの影響も見え隠れするブレイクダウンはすっきりとプログレッシヴの美的感覚になぞらえて表現し、Invent AnimateやA Scent Like Wolvesを彷彿とさせる浮遊感のあるメロディをふわりと燻らせている。再び動き出した彼らの動向は逐一チェックしていくべきだろう。

 

Traveller 「Homesick」

2017年から活動を続けるドイツのプログレッシヴ・メタルコア Traveller がリリースしたEP『Imprint』はプログレッシヴ・メタルコアの何がシーンで評価されているのかを正しく理解し、自身のスタイルとして昇華することに成功したTravellerの画期的な作品だ。ここに辿り着くまでのTravellerも非常にスタイリッシュで魅力的なバンドであったが、この作品で一気に隠れていた魅力が花開いた。ミュージックビデオにもなっている「Homesick」では、Invent Animateを彷彿とさせる浮遊感溢れるメロディとピアノの音色が醸し出すドラマ性の高さに驚くだろう。エンディングは特に凄まじい。

 

 

Breakdown of Sanity 「Collapse」

 

スイスを拠点に活動しているメタルコア・バンド、Breakdown of Sanityは、ほぼ休止状態でありながら「バンドが恋しい」という理由で2020年から毎年シングルをリリースしている。本格的な復活が切望されるが、2016年のアルバム『Coexistence』以来、本格的な再開には至っていない。ただ、これらのシングルはアルバム1枚に匹敵するほどの濃密さがあり、どれもリスナーに深く印象付けるものとなっている。ずっしりと詰まった至高の刻みは全盛期の輝きのまま、全てのメタル・ヘッズをヘッドバンギングさせるバウンシーな仕上がり。流石の貫禄。

 

Everghost 「Instinct」

デトロイトからとんでもないバンド Everghost が登場。「Instinct」は彼らのデビュー・シングルで、ミュージックビデオがDreamboundから公開されている。全編に渡って流れるアンビエントなアトモスフィアと細部にまで詰め込まれたリフは新人とは思えないクオリティ。特に最後のブレイクダウンは強烈で、Invent Animate〜I Prevail辺り、さらにResolveなどまで感じられる雰囲気があり、最初聴いた時はかなり驚きました。Spotifyの月間リスナーも5000未満とまだまだこれからと言えるEverghost、今からチェックしてください。

 

 

After the Burial 「Nothing Gold」

USプログレッシヴ・メタルコアの代表的な存在であるAfter The Burialが、2019年のアルバム『Evergreen』以来となる新曲「Nothing God」と「Death Keeps Us From Living」の2曲を発表。ちょうどAfter The Burialくらいのレベルにあるメタルコア・バンドにとって、新型コロナウイルスによるパンデミックは経済的な打撃が大きかったに違いない。ライブが出来ない中オンラインで制作を続けたバンドも多いが、それは簡単なことではなかっただろう。今回の新曲についてボーカルのAnthonyは、この2曲がCOVIDのロックダウンの経験から書かれたもので、Anthony自身にとって人生で最も辛い時期に書いたものであるとコメントしている。ルーツに立ち返り、好きなものを作るとして書かれたこの楽曲はまさにAfter The Burialらしさが凝縮されており、2010年代初頭から中期にかけてプログレッシヴ・メタルコアが大きく盛り上がり始めた頃のヴァイブスを感じることが出来る。

 

As Within So Without 「Burn With The Sun」

2016年からニューヨークを拠点に活動する As Within So Without の最新シングル。このシーンを何年も追いかけているリスナーであれば、このバンド名を見ただけでそのサウンドが想像出来るかもしれない。今回公開された「Burn With The Sun」は、彼らの出世作であるアルバム『Salvation』から1年振りのニュー・シングルで、大きな期待を背負って発表された。その期待を大きく超えるこの「Burn With The Sun」は、昔のThe Word Aliveをプログレッシヴに仕立てたような耳馴染みの良いキャッチーさがあり、多くのメタルコア・リスナーが知っておくべきバンドであると思う。このシングルから次のアルバムが間違いなく素晴らしいものになることが分かるだろう。

 

 

Straight Shot Home 「Developer」

近年のメタルコア/デスコアのプロモーションに欠かせないものと言えば「リアクション動画」だ。それで爆発的なヒットになったバンドと言えば、Lorna Shoreが最も記憶に新しいだろう。私もいくつかのリアクションYouTuberをフォローして、主に彼らのショートから優れたブレイクダウンを持つバンドの最新曲に巡りあうことが出来た。個人的に最も気に入っているOhrion Reactsはチャンネル登録者数11万人を誇る、アンダーグラウンド・メタル・シーンの中ではフォロワーの多いYouTuberで彼が紹介するバンドは”当たり”が多い。そんな彼が「Architects と Dayseeker が一緒にバンド組んだらこんなサウンドになるのでは」とキャッチを付けて紹介したバンド Straight Shot Home はこの上半期何度も聴いていたバンドのひとつだ。ポスト・ハードコアのとろけるようなクリーンと相性の良いメロディアスな楽曲は、Erraにも通ずる美しさがある。バンドは自身のサウンドを「80年代のシンセポップとモダン・メタルコアの融合」と形容していて、その表現にピンときたリスナーは迷わず彼らをチェックしてほしい。

 

Soul Despair 「Crimson」

ポルトガルとアメリカを拠点に持つSoul DespairをRIFF CULTでは何度も取り上げてきた。ただ反応はイマイチで、記事へのアクセスは平均以下……。複雑な魅力を持つバンドの魅力を発信するのは非常に難しいが、彼らに関しては今季よくRIFF CULTでも取り上げていきたいと思う。彼らのサウンドにはSentinelsやOceans Ate Alaskaといったマスコアのエレメンツがスパイス程度にふんわりと漂っており、それが魅力的なクセになっている。「Crimson」はクセとなるアクセントは少ないものの、Soul Despairというバンドが目指すサウンドとして完成されており、比較的キャッチーに魅力が伝わる楽曲であると思う。この記事を読み込んでいただけている方なら間違いなくヒットすると思う。

 

 

Polaris 「INHUMANE」

2023年6月19日、PolarisのギタリストであるRyan Siewが急逝したというニュースにメタル・シーンは深い悲しみに暮れた。彼はまだ26歳で、Polarisで過ごした10年もの間、メタルコアのゲームチェンジャーとしてそのアーティスティックな才能を発揮してきた。2023年9月1日にリリースされることが決まっているアルバム『FATALISM』からの先行シングル第1弾として公開された「INHUMANE」のミュージックビデオではRyanの姿もあり、観ていると複雑な感情が込み上げてくる。モダン・メタルコアのトップを走る彼らの現在地が垣間見える「INHUMANE」ではRyanを筆頭に綿密に作り込まれたリフが織り成すグルーヴに圧倒され、その世界観が今後メタルコア・シーンに与える影響を考えると計り知れないものがあるだろう。このアルバムのリリースを待つ気持ちはどのように表現すべきか分からないが、Ryanにとって遺作となってしまった『FATALISM』がモダン・メタルコアの頂点にある作品になっていることが紛れもない事実であることを「INHUMANE」で証明した。

 

The Artificials 「Warrior Of Light」

プログレッシヴ・メタルコア/メタルのディープなディガーであれば、彼/彼女らの魅力は古くから知っているだろう。Tragic Hero Recordsから2017年にリリースしたアルバム『Heart』に収録されていた「Warrior Of Light」のリマスター・バージョンは、上半期良く聴いた楽曲の一つで『Heart』を聴きかえすきっかけにもなった。完全に独立した手法でバンド活動を続ける彼/彼女らの自由な創作にはいつも驚かされる。

 

Vanitas 「Eventum」

The Artificialsと共にチェックしてほしいのが、2022年にイングランドで結成されたばかりの女性ボーカル・プログレッシヴ・メタル/メタルコア・バンド、Vanitasだ。ミュージックビデオとして公開された「Eventum」は、シンフォニック・メタル/プログレッシヴ・メタルをベースにしながら、メタルコアのバウンシーなリフを取り入れ、広範囲のメタル・リスナーへアプローチしたキラーチューンだ。中盤から後半にかけてのドラマティックな展開は魅力的。大手、例えばNapalm Recordsなんかと契約して売り出されたらビッグ・ステージも時間の問題だと感じる。

 

 

最後に

「モダン・プログレッシヴ・メタルコア」というキーワードを持ってシーンを追いかけてみると、いくつもこのキーワードの持つ特徴に気付く。全体的なヴィジュアルイメージの統一性、楽曲タイトルやバンド名に使われる単語……。グローバルに点在する彼らを一つのジャンルやシーンにまとめて考えることは出来ないが、具体的になっていない共通する要素は他のメタルコアやデスコアに比べると分かりやすいものがあると思う。

Spotifyの月間リスナーが1万を超えるアーティストは珍しいが、決してマイナーなカテゴリーではないと思うし、広く親しまれる要素があるので、誰が筆頭になって「プログレッシヴ・メタルコア」を分かりやすく打ち出し牽引していくかが重要だと思う。また、リアクションYouTuberによって注目を集める要素もこのジャンルにはあるので、「プログレッシヴ・メタルコア系リアクションYouTuber」がかつてのレーベルやYouTubeチャンネルのような役割を果たしていくのかなとは思う。そこの力がどのくらいまで巨大なものになっていくのかは想像出来ない。何となしに、シーンとしてのまとまりはないにしても、これらを「モダン・プログレッシヴ・メタルコア」としてまとまった場所で紹介されるべきではあると思う。

今回この記事で紹介したバンドの3倍近い楽曲をRIFF CULTのSpotifyプレイリスト「Best of Modern Progressive Metalcore 2023」では紹介している (他の特集記事で別途紹介したモダン・プログレッシヴ・メタルコアもあります)。 ぜひフォローしてランダム再生したりしながら、新しいお気に入りを見つけたり、プログレッシヴ・メタルコアの現在地を感じてみてください。

 

Polaris、恐怖と真摯に向き合ったニュー・アルバム『Fatalism』2023年9月リリース決定! 先行シングル「Inhumane」のミュージックビデオを公開

 

オーストラリア・シドニーを拠点に活動するメタルコア・バンド、Polaris が、3枚目のフル・アルバム『Fatalism』をSharpTone Records / Resist Records から2023年9月1日にリリースすることを発表しました。このアルバムからの先行シングル第1弾「Inhumane」のミュージックビデオが公開されています。

 

 

Pre-order FATALISM now: https://bfan.link/fatalism

 

「恐怖:人類を分断する偉大な存在であると同時に、最も強力な統合者でもある」というフレーズは、新しいアルバムの核となる概念と言えるでしょう。この数年間、世界を巻き込んだ絶望とディストピアの感覚、そしてそれに伴う圧倒的な「自分たちは道を変えることができない」という感覚によって、このアルバムは形作られました。

 

「”Inhumane “は、過剰な露出によって死や暴力、悲劇に対して鈍感になっていく感覚を反映したものだ」と、ドラマーでメインソングライターのひとりであるDaniel Furnariは説明する。「ここ数年、多くの人が、文字通り毎日、あらゆる場所からやってくる恐ろしいニュースの嵐に直面していると思うんだ。これは無意識の防衛機制のようなもので、気にしすぎることが負担になりすぎると、気にしなくなるのです。その空虚な感覚、あるいは感覚の欠如は、多くの罪悪感を伴い、自分の共感性や人間性が消されてしまったのではないかと疑わしくなり、奇妙なことに、あの恐怖や悲しみの痛みをもう一度感じたいと思うようになるのです」。ディレクターのEd Reissがディレクションを担当した「Inhumane」のミュージックビデオは、そのコンセプトを極限までファンタジックに高め、崩壊するアパートの床を落ちながら、それぞれの階で新しい恐怖が待っているという内容になっています。

 

しかし、曲作りの過程に困難がなかったわけではありません。アルバム『The Death Of Me』を引っ提げたヘッドラインツアーの後、新型コロナウイルスによってバンドはツアーをストップせざるを得なかったが、メンバー5人はZoomでミーティングをしながら、さらに曲を書くという、出来る限りの唯一の方法でこの難局を打開しました。

 

2022年に閉鎖が緩和され、シドニー郊外の観光地であるブルーマウンテンズにこもって、1週間執筆活動を行うと、アルバムに向けての制作が加速。作業は進み、バンドのライブサウンドエンジニアであるLance Prenc(バンドとアルバムを共同制作し、Fatalismのミックスとマスタリングも担当)と5ヶ月間にわたってメルボルンでレコーディング作業を開始し、ボーカル録音はAlpha Wolfのギタリスト、Scottie Simpsonが担当した。

 

「僕らにとってのFatalismは、ある物事をコントロールできない、ある物事はほとんど事前に決まっていて避けられないという考えに対する諦めです。というのは、ネガティブでほとんど恐怖に満ちた考え方のように思えます。しかし、私がコンセプトとして、またアルバム・タイトルとしてこの言葉に惹かれた理由のひとつは、この考えにはほとんど自由があるということです。自分がコントロールできないことがあることを受け入れることができれば、それは実際にとても自由なことなのです。そして、このアルバムを聴いて、自分以外の何かとつながっている感覚を味わってほしい。自分より大きなものがあることを受け入れ、その恐れを方向転換することで得られるある種の平和があるのです。」とDaniel Furnariは語る。

 

FATALISM TRACK LISTING:
“Harbinger”
“Nightmare”
“Parasites”
“Overflow”
“With Regards”
“Inhumane”
“The Crossfire”
“Dissipate”
“Aftertouch”
“Fault Line”
“All In Vein”

 

【RIFF CULT Spotifyプレイリスト】

RIFF CULTのSpotifyプレイリストでは、日々世界中でリリースされるメタルコア、デスコア、デスメタル、プログレッシヴ・メタルなどを更新するプレイリストを公開しています。ぜひお気に入りに登録して日々のディグに役立てて下さい。

▶︎All New Metalcore
▶︎All New Deathcore
▶︎All New Progressive Metal / Djent
▶︎All New Brutal / Technical Death Metal
▶︎All New Nu-Metal / Rap Metal /Nu Metalcore

 

Polaris、自国オーストラリアのプロデューサーPHASEONEとのコラボ・シングル「Icarus」をリリース!

オーストラリアのメタルコア・バンド、Polarisが自国のプロデューサーであるPhaseOneとのコラボ・シングル「Icarus」をUNFDからリリースしました。「Icarus」は、PhaseOneのダンサブルなダブステップを、Polarisが持つ至極のメタルコア・ヴァイブスに注入。美しい化学反応に開いた口が塞がらない。

 

PhaseOneはこの楽曲について、「最初は遊び心でストレートなメタル・トラックを書いただけだったんだけど、形になってくるとエレクトロニックの要素を加えずにはいられなかったんだ」と話す。続けて、「ジャンルの垣根を越えてシームレスに流れるような、素晴らしい仕上がりになったと思います。Polarisはこのトラックを気に入ってくれて、一緒に仕事をすることを楽しみにしてくれたんだよ。それに、Polarisが初めて手がけたコラボ曲ということもあって、その一部になれてとても興奮しているよ」と語る。

 

PhaseOneはこれまでにもNorthlane、Excision、Silverstein、Modestep、Crystal Lake、Thy Art Is Murderなど数多くのアーティストとタッグを組んでおり、独特のサウンドで世界的に人気を博している。2013年にシーンにセンセーショナルに登場した彼は、そのユニークなベースミュージック・プロダクションで観客を熱狂させました。Polarisと組んだ「Icarus」は、UNFDとの新しいパートナーシップにより、コラボレーション・シリーズの第1弾となるもの。今後のコラボレーションにも期待だ。

 

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト「All New Metalcore」

 

RIFF CULT : YouTubeプレイリスト「All New Metalcore」

Joshua Travis (Emmure)、至極のグルーヴ輝くニューメタルコア傑作『NO REST』リリース!

 

Joshua Travis : EmmureやGlass Cloud、The Tony Danza Tapdance Extravaganzaなどで活躍するギタリストJoshua Travisが、ソロでの新作EP『NO REST』をSharpTone Recordsからリリースしました。

 

1. Web of Lies (feat. Andy Cizek & Stephen Taranto)
2. Leviathan (feat. Ryo Kinoshita & Chad Kapper)
3. Disdain (feat. Jamie Hails & Jake Steinhauser)
4. Parallel (feat. Jake Wolf & Daniella Bolin)
5. All Out War (feat. Ryan Kirby)

 

このトラックリストを眺めるだけでもその豪華なゲスト陣に驚くはず。Monuments/MakariのAndy Cizek、ギタリストStephen Taranto、Crystal LakeのRyo Kinoshita、FrontiererのChad Kapper、PolarisのJamie HailsとJake Steinhauser、ReflectionsのJake Wolf、コンポーザーDaniella Bolin、Fit For A KingのRyan Kirbyがそれぞれの楽曲を盛り立てています。

 

 

オープニングを飾る「Web of Lies」は、先行シングルとしても公開され、大きな衝撃をもたらしました。ニューメタルコア/デスコア・グルーヴの最先端とも言えるヘヴィネスは圧巻の一言。

 

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト「Best of NU-METALCORE」

 

RIFF CULT : YouTubeプレイリスト「All New Nu-Metalcore」