エクストリーム・メタルシーンでは日々、新しいメタルサウンドが登場している。デスメタルはブルータルに、そしてテクニカルに、さらにメロディアスになり、ブラックメタルはファストに、デプレッシヴに、本来の悪魔主義を排除したアンブラックメタルなどが誕生している。このようにひとつのジャンルが枝分かれしながら発展していくのと同時に、まったく別の角度から新しいメタルが誕生することもある。最近で言えば、テクニカルデスメタルバンド、Behold The Arctopusが自身のサウンドを追求するあまり、”トム&ジェリーメタル”を生み出してしまった。 (これは彼らのファンがビデオに投稿したコメントの中にあったもの)
Hatebreak – Birdseeds of Vengeance
彼らはオウムがボーカルを務めるメタルバンド。通称”パロット・メタル”。曲のクオリティはB級、いやC級ですがアイデアとしては面白い。そう、クオリティはどうでもよく、そのアイデアだけが評価されるのがアニマル・メタルだ。
Caninus – No Dogs,No Masters
アニマル・メタルの中で最も有名なのが2匹のコワモテなピットブルがフロントマンを務めるCaninusだろう。こちらも楽曲はお世辞にも良いとは言えないが、人間を食いちぎる勢いで迫り来るボーカル?がよくマッチしている。ちなみにHatebreakとスプリット作品をリリースしています。
Boar Metal (イノシシ・メタル)
これは最近、amassの記事で読んで面白かったものを紹介。イスラエルに住むギタリストValentin The Madが自分の住む町で近年イノシシが急増していることを理由に (?) 、よなよな町に繰り出し、イノシシにハンディマイクを向けて録音したイノシシの鳴き声をエディットしてメタルにしたもの。先に紹介したHatebreakやCaninusは10年以上前のバンドなので打ち込みのクオリティなどは低いですが、Valentinは割と聴ける感じのデスメタルで、彼がメタルボーカルにイノシシを起用した理由もなんとなく分かります笑
Dolphin Metal (イルカ・メタル)
これはYouTubeチャンネル、Rifffiedが制作したビデオで、イルカの鳴き声をテクニカルデスメタルのリフと掛け合わせてコラージュしたもの。近年のニューメタルコアやプログレッシヴメタルコアで聴く事ができる多彩なアレンジがイルカの鳴き声を妙にマッチしていて、思わず何度も聴いてしまいました。これをコンセプトにアルバムを完成させるとなるとアイデアが枯渇しそうですが、YouTubeのひとつネタとして、世界中の動物の鳴き声と掛け合わせていくのも面白そう。
As I Lay DyingからギタリストNick Hipaが脱退したとMetal InjectionやLambgoatらメタルメディアが取り上げています。Nickのwikipediaなどもすでに元メンバー、と編集されており、すでに脱退しているものと思われます。彼がどんなキャリアがあるかなど、一度振り返ってみましょう。
Nickは1982年生まれの37歳。Evelynnというバンドでキャリアをスタートし、2003年にAs I Lay Dyingに加入。2014年に一度脱退したものの、2018年には復帰しました。As I Lay Dyingを最初に抜けたタイミングで、Oh SleeperのボーカリストShaneと共にWovenwarを結成しています。
今後はおそらく、Wovenwarでの活動に注力していくだろうと思いますので、As I Lay Dyingのファン、Nickのプレイが好きな人はこちらのバンドをフォローしておきましょう。
THE DISASTER AREA – Glasshearts
2015年に結成され、ドイツ/ミュンヘンを拠点に活動する5人組。2016年にDeafground Records/Noizgate Recordsから『Sell Your Soul』、2018年にRedfield Recordsから『Alpha // Omega』と2枚のアルバムをリリースしています。ボーカルワークや多彩なアレンジがBring Me The Horizonを感じさせてくれます。
Outloved – Hurt Me
2014年ごろからオーストラリア/ギップスランドを拠点に活動するポストハードコア/ポストロックバンドの最新シングルは、ソングライティングにおいてBring Me The Horizonに強い影響を受けており、ポストロックの静けさにフォーカスしながらも力強いボーカルを前面に押し出したサウンドスケープに熱くなります。
ASKING ALEXANDRIA – They Don’t Want What We Want (And They Don’t Care)
今やBring Me The Horizonに匹敵する人気を持つ彼らが今年発表したアルバム『Like A House On Fire』に収録されている本楽曲は、Bring Me The Horizonを彷彿させるメロディワークで話題になりました。彼らが影響を受けているかは公言していないので分かりませんが、メタルコア/ポストハードコアからロックシーンへ活動の場へ広げていくアーティストのアプローチとしてこのような形が成功例として、シーンの新たなスタンダードになりつつあるように感じています。
Aurora View – Death Spells
ミネアポリスを拠点に活動する4人組メタルコアバンド、Aurora Viewが2018年にリリースしたこのシングルは、Bring Me The Horizonの人気曲「Sleepwalking」を彷彿とさせる楽曲構成になっています。やりすぎ感もありますが、今年6月に発表した最新シングル「Wishbones」はさらに叙情的に進化させており、オリジナリティもしっかりあります。
私が執筆した『デスコアガイドブック』にも掲載しているFour FiveやHour of Pestilenceについてもしっかりと書かれていて、細かい情報を手に入れる事が出来ます。アメリカ/ヨーロッパ中心であることが当たり前なメタルというジャンルも、歴史を重ねるにつれて今では世界中様々なところで盛り上がっています。特に独自の発展を遂げている中国が今積み重ねている、どこにもない唯一無二の歴史がこれからどのように発展し、国際的に支持を得ていくかとても気になります。これはまだメタルが始まっていない国にも言える事だと思いますし、いちメタルファンとして未知のメタルを聴く事はいつだってワクワクしますよね。『デスメタルチャイナ』を読んで、まったく新しいメタルの歴史を堪能しましょう! 学生は朝読書にも最適!
イギリスのブラックメタルバンドTableau Mortが最新曲「Heresy: Upon the Altar」のリリックビデオを公開しました。この楽曲はParlour StudiosのNeil Haynesによってミックス/マスタリングされており、NeilはこれまでにDimmu BorgirやAmorphis、BrujeriaにNapalm Deathなどを手掛けています。デジタル配信限定の楽曲のようです。