August Burns Red are back with another independently released single, “Exhumed“. The team of Carson Slovak and Grant McFarland (The Ghost Inside, ERRA) once again oversaw the production and engineering duties for Lancaster, PA-based melodic metalcore band this time out.
コネチカット州フェアフィールドを拠点に2011年から活動するメタルコア・バンド、Currents (カレンツ)。『The Death We Seek』は、2020年のアルバム『The Way It Ends』に続く作品で、プロデューサーRyan LeitruとギタリストであるChris Wisemanによる共同プロデュースで制作され、Wage WarやIce Nine Kills、Make Them Sufferなどを手掛けてきたJeff Dunneがミックスを担当している。
特にChrisのギター、そしてそれを際立たせるようなベースラインやアトモスフィア。現代メタルコアにおいては珍しいものではなくなった、このようなプロダクションにおける創意工夫がCurrentsの思想を、そしてスタイルの規模を何倍にも拡大させている。前作から大きく進化を遂げた『The Death We Seek』、聴けば聴くほど味が出てくるだろう。「Remember Me」は本当に言葉にならない感情が込み上げてくる。楽曲に込めたバンドからのコメントはこちらから。
メロディック・ハードコアの美的感覚を取り入れた「THE WAY I AM」は頭の中でリフレインする「Carry on, nobody can change the way I am」というリリックが印象的な楽曲でアルバムをバラエティ豊かなものへとアップデートしてくれる。花冷え。、CrowsAlive、Good Grief、Matt Fourman、UNMASK aLIVEといった盟友らとのフィーチャーも彼らにしか出来ない人選であり、それぞれの旨みを正確に表現している。
オランダのメロディック・メタルコア・バンド、For I Am King の5年振りとなるサード・アルバムは、Prime Collectiveからのリリース。このPrime Colleciveはデンマークを拠点に置くレーベルで、SiameseのMirzaらが運営するレーベルだ。ここ数年、デンマークからは多くのバンドがグローバルな人気を獲得し、世界への門戸を遂に開けた解放感から動きが活発だ。For I Am KingはRNR TOURSで来日ツアーも手掛けたバンドで、レーベル、バンドからのプッシュもあり、2023年上半期によく聴いていた作品だ。
昨年ミュージックビデオとして公開された先行シングル「Liars」はメロディック・メタルコアという音楽の魅力を余すことなく詰め込んだ快作で、4万回しか再生されていないというのが信じられない。これは他のどんなメタルコアよりもメタルコアであり、個人的にはAugust Burns Redよりも聴いたしハマった曲だ。ボーカリストAlmaのメロディック・シャウトはイーヴィルな魅力もあり、来日時よりも格段に進化している。同じくリードシングルになっている「Trojans」もシンフォニックなエレメンツを取り入れ、スケールアップしたFor I Am Kingの世界観に聴くもの全てを引き込んでいく。
イングランドを拠点に活動するニューメタルコア・バンド、Graphic Natureのデビュー・アルバム『A Mind Waiting to Die』。メタルコア・リスナーにはあまり馴染みのないRude Recordsというところからリリースされたこのアルバム、RIFF CULTでも頻繁に彼らのことは取り上げ続けてきたが、毎日のように変化し成長続けるニュー・メタルコアというジャンルにおいて、Graphic Natureが”基本のスタイル”をこのアルバムで確立したことはシーンにとって大きいだろう。
Slipknotを思わせるスクラッチやスネア、複雑すぎない程度のキャッチーなバウンス、フックとして絶妙な役割を担うワーミーのブレンド感覚。ミュージックビデオになっている「Killing Floor」や「Into The Dark (+Bad Blood)」は気付けばスピンしているし、耳に残るフレーズがたっぷり詰め込まれている。このバランス感覚のまま、イングランドを代表する存在へと成長して行って欲しい。
彼らは結成からメタルコアとポストハードコアの間を行くスタイルでトップを走り続けてきたバンドで、新体制となってもそのスタイルは変わらない。SpiritboxのCourtney LaPlanteをフィーチャーした「In Another Life」は彼らのクラシック・アルバム『The Fallout』にも通ずる懐かしさがあると感じるのは私だけだろうか。
ミュージックビデオにもなっている「Red Fur」はメタルコアの伝統に沿ったクリーン・パートとエレクトロニックなアレンジを施したリード・トラックで、2015年のVeil of Mayaをほんの少しアップデートしたような楽曲だ。同じく先行シングルとしてミュージックビデオになっている「Synthwave Vegan」はプログレッシヴな彼らの魅力を引き出しながら、ニューメタルコアの影響も感じられるヘヴィなキーリングに溢れた一曲で、決してファンを失望させることはない。
「Disco Kill Party」は一聴するとVeil of Mayaには聴こえないような楽曲だが、アルバムにおいて強烈な個性を放ち、他と違ったバンガー・チューンとして再生回数も高い。「Mother Pt.4」でも大胆なエレクトロニックなイントロからしっとりと幕開けていき、ヘヴィなパートとのコントラストを描いていくさまなどを聴いていると、もしかしたらこうしたスタイリッシュなプログレッシヴ/Djentに舵を切ろうとしていたのかもしれない。ただこの『[m]other』は紛れもないVeil of Mayaのアルバムで傑作だ。最終的にどういったサウンドへ辿り着くのか興味深いが、まだまだ続く彼らの長旅の中で様々な挑戦を聴かせて欲しいと願う。
基本は現代メタルコアの中でも盛り上がりを見せるニューメタルコアに分類されるようなスタイルがベースになっているが、Loatheの元ギタリストConnorが「morbidly perfect」でフィーチャーされているように、オルタナティヴな方面への挑戦も多く見受けられる。「morbidly perfect」のサビへの導入部分はまさにLoatheの影響が感じられるし、「of the shapes of hearts and humans」もシューゲイズっぽい。
TriviumのMatthew K Heafyをフィーチャーした「Internal Cannon」や、PeripheryのMisha Mansoorをゲスト・ギタリストに迎えた「Pangaea」、他にもFit For A KingのRyan Kirbyが参加した「Poor Millionaire」など、オリジナルを超えるプロダクションで再構築されたAugust Burns Redの名曲の数々を改めて味わえるGOOD盤。
毎日のように世界中から新しいバンドが登場し、まるで戦場のように新しいサウンドが誕生していながら、August Burns Redは長年安定したメンバーラインナップで、コンスタントにアルバムを作り続けている。それは2020年世界を襲ったパンデミックでも変わらなかった。変わり続けていく中で、ジャンルでは形容できないサウンドを作り上げていくことは、例えばBring Me The Horizonが顕著であると思うが、シーンのトップを行くバンドの典例だ。しかしAugust Burns Redはメタルコアというサウンドのスタンダードを鳴らし続け、大きくスタイルチェンジする事もなく、今もファンベースを拡大し続けている。長年のファンや彼らに憧れるミュージシャンの多くがAugust Burns Redの変わらない魅力に魅了されている事は間違いない。