メタルコア 2023年上半期の名盤TOP10

2023年の上半期にリリースされたメタルコアのアルバム、EPの中から優れた作品をピックアップし、アルバムレビューしました。年々、こうしてメタルコア全体の雰囲気も変わり、トータルで見てもプログレッシヴだったり、ニューメタルだったり、そうした影響を上手く捉えて表現した作品を入れ込まないと納得できない状況になってきていると思います。決してクラシックなメタルコアが廃れてきている、という訳ではなく、幅広い可能性を持っていたバンド、サブジャンルが花開いているという良い状況だと思います。プログレッシヴ・メタルコアやニューメタルコアとしてアルバムレビューすべき作品もありますが、全体の状況も把握できるように入れ込んでみました。ぜひ新しいお気に入りを見つけてください。

 

 

 

10位 : Currents 『The Death We Seek』

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コネチカット州フェアフィールドを拠点に2011年から活動するメタルコア・バンド、Currents (カレンツ)。『The Death We Seek』は、2020年のアルバム『The Way It Ends』に続く作品で、プロデューサーRyan LeitruとギタリストであるChris Wisemanによる共同プロデュースで制作され、Wage WarやIce Nine Kills、Make Them Sufferなどを手掛けてきたJeff Dunneがミックスを担当している。

本作で最も注意深く感じてもらいたいのは、彼らの表現の幅が大きく広がったことだ。「メタルコア・バンドのCurrents」として聴くのは前作まで。このアルバムから彼らのサウンドは深みを増すと共に、サウンド面においても挑戦的なフレーズやアイデアが散見されるようになった。

特にChrisのギター、そしてそれを際立たせるようなベースラインやアトモスフィア。現代メタルコアにおいては珍しいものではなくなった、このようなプロダクションにおける創意工夫がCurrentsの思想を、そしてスタイルの規模を何倍にも拡大させている。前作から大きく進化を遂げた『The Death We Seek』、聴けば聴くほど味が出てくるだろう。「Remember Me」は本当に言葉にならない感情が込み上げてくる。楽曲に込めたバンドからのコメントはこちらから。

 

 

9位 : Soulkeeper 『Holy Design』

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ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動するニュー・メタルコア・バンド、Soulkeeperのデビュー・アルバム。新型コロナウイルスが本格的に全世界で流行し始めた2020年4月にシングル「Heavy Glow」をリリース、そのミュージックビデオを観て、かなり衝撃を受けたのを覚えている。しかし3年もの間、彼らから何か作品がリリースされるというような情報もなく、ニューメタルコアの盛り上がりに取り残されてしまったかと思っていたが、遂にアルバムを発表。そしてこれが非常に素晴らしかった。

同じタイプのGraphic Nature同様、ニューメタルとメタルコアのブレンド具合が優れており、エクスペリメンタルな要素は残しつつも、切れ味鋭くエディットされたリフが織りなすイーヴィルなバウンスは一級品。ミュージックビデオになっているタイトル曲「Holy Design」で言えば、タイトなサウンドのバックになっているエレクトロニックなアレンジが素晴らしく、ワーミーだけが炸裂し続けるB級ニューメタルコアとは比べ物にならないほど、NUな世界観を作り出す才能を感じる。

まだまだ地味な存在ではあるものの、Mathcore Indexでのスタジオ・セッションで見せた演奏技術の高さからライブ・シーンでの活躍へ期待も高まる。決して無視できない存在へと成長するのも時間の問題だろう。

 

 

8位 : C-GATE 『NO FUTURE』

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東京を拠点に活動するハードコア/メタルコア・バンド、C-GATE の通算3枚目フルレングス。2019年に新ボーカリストとしてNaShunを迎えてから初のアルバムであり、この数年大きく成長を遂げたC-GATEの持てるポテンシャルを余すことなく詰め込んだ全13曲入りの大作だ。

ミュージックビデオとしても公開されている「Hypocrisy」は、USアンダーグラウンド・モッシュコアと比較しても大差ないダウンチューン・リフをキャッチーに刻みながら、変幻自在にアクセルとブレーキを踏みかえる展開の妙が実に素晴らしい。こうしたアイデアは現代ハードコアのトレンドをキャッチし、日夜日本全国のライブハウスで体現し続けてきた実力があって正しく作られるものであり、メタルコア、ハードコア、いずれのリスナーも勝手に頭に血が上るような高揚感が味わえるはずだ。

メロディック・ハードコアの美的感覚を取り入れた「THE WAY I AM」は頭の中でリフレインする「Carry on, nobody can change the way I am」というリリックが印象的な楽曲でアルバムをバラエティ豊かなものへとアップデートしてくれる。花冷え。、CrowsAlive、Good Grief、Matt Fourman、UNMASK aLIVEといった盟友らとのフィーチャーも彼らにしか出来ない人選であり、それぞれの旨みを正確に表現している。

ライブでカオスな盛り上がりを作り出す「NO FUTURE」、「KILL YOU」といったバンガーチューンは国内だけでなく、グローバルなメタルコア、ハードコア、そしてデスコア・シーンでも容易く受け入れられるクオリティ。彼らが主戦場を日本だけでなく、世界へ変えていくのも時間の問題だ。

 

 

7位 : For I Am King 『Crown』

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オランダのメロディック・メタルコア・バンド、For I Am King の5年振りとなるサード・アルバムは、Prime Collectiveからのリリース。このPrime Colleciveはデンマークを拠点に置くレーベルで、SiameseのMirzaらが運営するレーベルだ。ここ数年、デンマークからは多くのバンドがグローバルな人気を獲得し、世界への門戸を遂に開けた解放感から動きが活発だ。For I Am KingはRNR TOURSで来日ツアーも手掛けたバンドで、レーベル、バンドからのプッシュもあり、2023年上半期によく聴いていた作品だ。

昨年ミュージックビデオとして公開された先行シングル「Liars」はメロディック・メタルコアという音楽の魅力を余すことなく詰め込んだ快作で、4万回しか再生されていないというのが信じられない。これは他のどんなメタルコアよりもメタルコアであり、個人的にはAugust Burns Redよりも聴いたしハマった曲だ。ボーカリストAlmaのメロディック・シャウトはイーヴィルな魅力もあり、来日時よりも格段に進化している。同じくリードシングルになっている「Trojans」もシンフォニックなエレメンツを取り入れ、スケールアップしたFor I Am Kingの世界観に聴くもの全てを引き込んでいく。

このレベルのバンドが埋もれるヨーロッパのメタルコア・シーンも凄いのだが、ワールドワイド、特に日本での人気はもっと高まってもいいと思う。ぜひ彼らのSNSなどに応援コメントを書き込むなどしてもらいたい。

 

 

6位 : Graphic Nature 『A Mind Waiting to Die』

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イングランドを拠点に活動するニューメタルコア・バンド、Graphic Natureのデビュー・アルバム『A Mind Waiting to Die』。メタルコア・リスナーにはあまり馴染みのないRude Recordsというところからリリースされたこのアルバム、RIFF CULTでも頻繁に彼らのことは取り上げ続けてきたが、毎日のように変化し成長続けるニュー・メタルコアというジャンルにおいて、Graphic Natureが”基本のスタイル”をこのアルバムで確立したことはシーンにとって大きいだろう。

刺激を求め続けるのであれば、未だ交わったことのないジャンルからのエレメンツを組み込んだり、ヘヴィを極めたり、誰もやったことのない何かを探し昇華する必要がある。ただ、一瞬のBUZZを狙ったものであるなら、それは消費されて終わってしまう。デスコアがダウンテンポと結びつきトレンドになった時、ダウンテンポ・デスコアへとスタイルチェンジして注目を集められず死んでいったバンドがどれだけいたか。その時から生き残っているバンドに共通しているのは、デスコアとしての本来の魅力を残したまま微細なアップデートを繰り返しているバンドばかりだ。

ニューメタルコアはEmmureによって世界のメタルコア・シーンに浸透し、Alpha Wolfらによって形作られ、昨今のメタルコアのトレンドとも言える存在になった。飽和し始めている2023年に、純粋にニューメタルとメタルコアのクロスオーバーでピュアなバンガーを探し求めた時、Graphic Natureがやっている事が理想のスタイルだと思う。

Slipknotを思わせるスクラッチやスネア、複雑すぎない程度のキャッチーなバウンス、フックとして絶妙な役割を担うワーミーのブレンド感覚。ミュージックビデオになっている「Killing Floor」や「Into The Dark (+Bad Blood)」は気付けばスピンしているし、耳に残るフレーズがたっぷり詰め込まれている。このバランス感覚のまま、イングランドを代表する存在へと成長して行って欲しい。

 

 

5位 : Crown The Empire 『DOGMA』

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2010年テキサス州ダラスを拠点に結成されたCrown The Empireの4年振り通算5枚目のフルアルバム。10年間ドラマーを務めたBrent Taddieが脱退、新たに加入したJeeves Avalosと共に、Fever 333やPoorstacy、Nova Twinsらを手がけたZach JonesとJosh Strockがプロデュースを務めた本作は、長きに辺り彼らをサポートし続けるRise Recordsからのリリースとなった。

彼らがスタートした2010年ごろのメタルコアの主要レーベルと言えば、Rise Recordsだった。現代メタルコアに繋がる盛り上がりの最も最初の段階からRise Recordsはカリスマ・レーベルで、発掘するアーティストが皆ヒットしていた。Rise Recordsも時の流れと共に所属アーティストのテイストが変容して行ったが、現在もblessthefallやThe Acasia Strain、Dance Gavin Dance、Kublai Khan TX、Memphis May Fire、Polyphia、Spite、Spiritbox、Herperが籍を置き、メタルコアの主要レーベルであり続けている。

彼らは結成からメタルコアとポストハードコアの間を行くスタイルでトップを走り続けてきたバンドで、新体制となってもそのスタイルは変わらない。SpiritboxのCourtney LaPlanteをフィーチャーした「In Another Life」は彼らのクラシック・アルバム『The Fallout』にも通ずる懐かしさがあると感じるのは私だけだろうか。

タイトルトラック「DOGMA」は呪術的なミュージックビデオのディレクションとも相まって、神経を侵略するようなエレクトロニックなビートがヘヴィなブレイクダウンへと向かっていく様が異様な不気味さを放っている。Beartoothを彷彿とさせるヘヴィなメタルコア・ブレイクダウンは非常にヘヴィで驚く。気づけば彼らのキャリアも13年。大きなスタイルチェンジもなく、正統派であり続けるストイックさに感服。

 

 

4位 : Veil of Maya 『[m]other』

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2004年からイリノイ州シカゴを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Veil of Maya の通算7枚目フルレングス。前作『False Idol』のリリースが2017年、およそ6年振りのニュー・アルバムは長年のパートナーであるSumerian Recordsからリリースされた。

2019年にTaylor Larsonとスタジオ入りし、新作の制作をスタートさせたことをSNSで発表していたものの、それらの多くを破棄した事が6年というブランクが開いてしまった理由だ。2014年にボーカルLukas Magyarが加入し、2枚のアルバムをコンスタントにリリースしてきた彼らにとって、こういった経験は初めてだろうし、元々ブルータル・デスコアからスタートし、次第にプログレッシヴ・メタルコアへと移行してきた彼らがファンの期待に応えられるような作品を生み出すには、完全に納得できるものでないと発表しないというスタンスを取ったことは納得が出来る。かつてSuicide Silenceが大きくニューメタルへと舵を切った時、ファンの失望は凄まじいものがあった。あれからしばらく経ち、2枚の素晴らしいOGデスコアのアルバムを発表しても尚、引きずり続けているのを見ると、本当にシングル一曲でもファンを失望させるようなスタイルチェンジは許されない状況である。諦めて別のバンドを聴くことなんて、本当に簡単だからだ。

ミュージックビデオにもなっている「Red Fur」はメタルコアの伝統に沿ったクリーン・パートとエレクトロニックなアレンジを施したリード・トラックで、2015年のVeil of Mayaをほんの少しアップデートしたような楽曲だ。同じく先行シングルとしてミュージックビデオになっている「Synthwave Vegan」はプログレッシヴな彼らの魅力を引き出しながら、ニューメタルコアの影響も感じられるヘヴィなキーリングに溢れた一曲で、決してファンを失望させることはない。

「Disco Kill Party」は一聴するとVeil of Mayaには聴こえないような楽曲だが、アルバムにおいて強烈な個性を放ち、他と違ったバンガー・チューンとして再生回数も高い。「Mother Pt.4」でも大胆なエレクトロニックなイントロからしっとりと幕開けていき、ヘヴィなパートとのコントラストを描いていくさまなどを聴いていると、もしかしたらこうしたスタイリッシュなプログレッシヴ/Djentに舵を切ろうとしていたのかもしれない。ただこの『[m]other』は紛れもないVeil of Mayaのアルバムで傑作だ。最終的にどういったサウンドへ辿り着くのか興味深いが、まだまだ続く彼らの長旅の中で様々な挑戦を聴かせて欲しいと願う。

 

 

第3位 : Invent Animate 『Heavener』

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テキサス州ポート・ネチズを拠点に活動するプログレッシヴ・メタルコア・バンド、Invent Animate が、Tragic Hero Recordsを離れUNFDと契約してから初となるアルバム『Heavener』をリリース。元AvianaのMarcus Vikは加入してから2作目ということもあり、Invent Animate仕様に鍛え上げられたボーカルでアルバムにおいてキーとなる存在のひとつにまで成長している。ドラマーのTrey CelayaはFit For A Kingとの仕事により、Invent Animateのライブ活動には参加していないが、このアルバムにおいてはセッション・ドラマーとしてその実力を発揮している。Landon Tewersによるプロデュースは彼らのメロディが持つ悲哀を多角的に研ぎ澄まし、時に水面を漂うように、時に刺々しく突き刺さるようにエディットしている。

彼らがこのアルバムで鳴らす音楽性は、決してメタルコアのトレンドであるとは言えないが、Crystal Lakeからの直接的な影響を感じさせる先行シングル「Shade Astray」やHolding Absenceを筆頭に主にユーロ・ポストハードコアでひとつシーンとして確立されているオルタナティヴなメロディワークを驚きのクリーン・ボイスで表現した「Without A Whisper」などプログレッシヴ・メタルコア・バンドとしては挑戦的な楽曲がキーリングになっている。最も彼ららしい音楽的表現と言えば、”静と動”のコントラストだ。「Void Surfacing」は特にカオティックにメロディとリズムがグルーヴを生み出しつつ、それらを継ぎ接ぎしたような構成で電子音楽的な要素を見せる。後半に導入される彼らの伝統的なブレイクダウンの美しさはこうしたカオスなエナジーがピタッとシャットダウンされるようなブレイクダウンにある。そこはこれまでと全く変わっていない。

コアなメタルコア・リスナーと話をすれば、彼らの名前が頻出するほど、かなり現代メタルコアにおいて影響力が強いバンドだ。大きな変化はなくともこれだけ挑戦的と思わせる孤高の存在感はカリスマ的と言っていいだろう。

 

 

第2位 : fromjoy 『fromjoy』

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テキサス州ヒューストンを拠点に活動するメタルコア・バンド fromjoy の2021年作『It Lingers』に次ぐセカンド・アルバム。地元のレーベルdontstress//flowerpressからのリリースということもあり、まだまだ知名度としては低いバンドであるが、革新的なサウンド・プロダクションや青色で統一されたスタイリッシュなヴィジュアルからミュージシャンらの評価が高い。

以前彼らを紹介したとき、ニューメタルコアならぬニューハードコアなどと紹介したが、その時点で彼らのサウンドがどこへ向かっているのか分からなかった。昨今、バンドがどこを拠点としているのか、メンバー構成はどうなのかなどをあえて公開しない、ミステリアスな雰囲気を出しているバンドが多いが、彼らもそんなバンドの一つだった。結局、このアルバムだけでは彼らが目指すサウンドが何なのかを掴むことが出来なかった。繰り返し聴いても、計り知れない魅力が放射状に放たれ続けるアルバムを聴き終えるころには、メタルコアが何なのかさえ分からなくなってしまう。

基本は現代メタルコアの中でも盛り上がりを見せるニューメタルコアに分類されるようなスタイルがベースになっているが、Loatheの元ギタリストConnorが「morbidly perfect」でフィーチャーされているように、オルタナティヴな方面への挑戦も多く見受けられる。「morbidly perfect」のサビへの導入部分はまさにLoatheの影響が感じられるし、「of the shapes of hearts and humans」もシューゲイズっぽい。

ミュージックビデオになっているバンド名を冠した「fromjoy」が彼らが目指すサウンドであるとしたら、2024年、とてつもなく巨大なバンドに成長している姿しか想像出来ない。波打つリフがビートダウンしながらもロックなフックを差し込んだり、印象的なシンセのメロディと女性ボーカルのクリーン。後半はただのビートダウン・デスコア。「docility」でPeeling Fleshがゲスト参加しているのは、彼らがヘヴィ方面への挑戦を忘れていないことをリスナーに訴えているように感じる。

最後に、このアルバムで最も衝撃だった楽曲「Icarus」について話したい。アルバムのエンディングを飾るこの曲が、fromjoyの未来の鍵を握っている。Loatheらオルタナティヴ/シューゲイズ・メタルコアからの影響、メロディック・ハードコア的なシリアスなメロディの感覚、バランス感覚の優れたブレイクダウン。驚くべきことに、それらに加えてアウトロにヴェイパーウェーヴが組み込まれている。思い返せば、彼らの活動の至る所にヴェイパーウェーヴ的なヴィジュアルがあった。青で統一された世界観も、もしかしたらそうした影響なのだろうか。本当にこの楽曲でアルバムを聴き終えた時の感覚が、難解な長編映画の結末を完璧に理解できないまま噛み締めているかのような、混乱にも近いものがあった。

彼らのポテンシャルは計り知れない。これまで使ってきた「計り知れない」という言葉の中で最も計り知れない…。

 

 

1位 : August Burns Red 「Death Below」

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USメタルコア・レジェンド、August Burns Redの通算10枚目となるフル・アルバム『Death Below』。 Fearless Recordsを離れ、自身の周年を祝った企画盤を経て、SharpTone Recordsとの契約を果たしている。Carson SlovakとGrant McFarlandによってプロデュースされた本作には、Killswitch EngageのボーカリストJesse Leachをはじめ、All That RemainsのJason RichardsonやErraのJ.T. Cavey、UnderoathのSpencer Chamberlainがゲストとしてそれぞれ楽曲に参加している。

2003年の結成から20年。そして記念すべき10枚目のアルバムということもあり、これまでAugust Burns Redが一切ブレることなく貫いてきたメロディック・メタルコアのプライドが感じられる仕上がりとなっていて、ゲストが参加した楽曲やアルバム全体の中でブレイクと言える部分に多少の変化があれど、後続のメタルコア・バンドたちに与えてきた影響がどんなものであるかが浮き彫りとなった、「August Burns Redの真の魅力」がたっぷりと詰め込まれている。

Killswitch EngageのJesseをフィーチャーした「Ancestry」はミュージックビデオとしてアルバムの先行シングルにもなっているキートラックで、火花を散らしながら駆け抜けていくメロディックなフレーズ。ABRブレイクダウンと形容したくなる、トレードマークのグルーヴ、Jesseというトップ・メタルコア・バンドのフロントマンの個性さえも凌駕するAugust Burns Redサウンドのオリジナリティの偉大さを感じることが出来る楽曲として、2023年メタルコア・トップトラックのひとつと言えるだろう。

「Dark Divide」やJason Richardsonをフィーチャーした「Tightrope」など他にもアルバムのキーリングと言える楽曲がトラックリストの中にひしめき合っているが、ErraのJT Caveyが参加した「The Abyss」は若干Erra寄りでありながら紛れもないAugust Burns Redなのが興味深い。彼らをAugust Burns Redたらしめている要素はもちろん、全てのパートであるが、ドラムの凄まじさは改めて評価したい。

彼らの地元を拠点とするレーベルで、Texas in Julyなどを手がけたCI Recordsのオーナーが、RNR TOURSでCarousel Kingsが来日する度に帯同してくれてAugust Burns Redの話を聞かせてくれるのですが、そのミュージシャンとしての繋がり以上に友人同士であることのつながりの強さが長年続けられる秘訣なのかもしれない、と語ってくれた。ちょうど、RNR TOURSが3年振りに海外アーティストの招聘活動を再開して、オーストラリアからNo Quarterというバンドのツアーを終えたところだが、彼らも2003年結成、今年20周年を迎えたバンドだった。バンドの大きさに差はあれど、20年バンドを続けるということの凄み、そして続けられてこれた理由をツアーを通じて感じることが出来た。互いへのリスペクトはもちろん、メンバーそれぞれ、5人の大人の集合体であるバランス感覚など、本当に長くバンドを続けるということは奇跡であると思う。

August Burns Redのようにトップ・シーンで戦い続ける重圧が加われば更に困難なことであるだろう。キャリア通算10枚目の本作から感じられることは、単にメロディック・メタルコアの素晴らしさだけではない。

Crown The Empire、クラシックなスタイルを取り戻したニュー・アルバム『DOGMA』をリリース!

 

テキサス州ダラスを拠点に活動するメタルコア・バンド、Crown The Empire が、2019年にリリースしたアルバム『Sudden Sky』以来、およそ3年振りとなるニュー・アルバム『DOGMA』をRise Recordsからリリースしました。

 

Fever 333やPoorstacy、Nova Twinsらを手がけた Zach Jones がプロデュースとミックスを担当した『DOGMA』は、怒り、実存的アイデンティティ、孤立、そして並々ならぬ決意を燃料とし制作された、非常にバラエティに富んだアルバムに仕上がっている。この3年間、バンドは人生におけるプライベートやチームなどにおける優先順位を振り返ることに時間をかけてきました。この時間は、『DOGMA』の歌詞に大きく反映されている。

 

 

「歌詞は、言葉足らずで俗っぽくなく、程度の高いものではありません。超常現象との遭遇、躁うつ状態の夢などについて、正直で直接的な歌詞だ」とボーカルのAndy Leoは語る。また、長年のメンバーであるベーシスト/ボーカリストのHayden Treeは、「Crown The Empireのクラシックなスタイルを取り戻した」とこのアルバムの完成度に自信を持っている。「ハイエナジーでアップテンポなソリッドリフと、メロディックな側面がマッシュアップされて、これまで以上にアップデートされたサウンドになったよ」と続けている。

 

 

 

『DOGMA』には、SpiritboxのCourtney LaPlanteをフィーチャーした「Immortalize」や先行シングルとして公開されている「In Another Life」、「Dancing With The Dead」といったキラーチューンが収録され、アルバムリリースに合わせてPalaye RoyaleのRemington Leithをフィーチャーした「Superstar」のミュージックビデオも公開されている。

 

▶︎Crown The Empire 『DOGMA』

1.DOGMA
2.Black Sheep
3.Modified
4.Paranoid
5.In Another Life (feat. Courtney LaPlante)
6.Superstar (feat. Remington Leith)
7.Dancing with the Dead
8.Immortalize
9.Someone Else
10.Labyrinth

 

配信URL : https://riserecords.lnk.to/DOGMA

 

Crown The Empire、4月リリースのニュー・アルバムから新曲「Black Sheep」をリリース!

 

アメリカ・テキサスを拠点に活動するメタルコア・バンド、Crown The Empireが、4月28日にRise Recordsからリリースする通算5枚目のフルアルバム『DOGMA』から最新シングル「Black Sheep」を公開しました。これまでにリリースされた「DOGMA」「Immortalize」「In Another Life feat.Courtney LaPlante from Spiritbox)とのコラボ)、「Dancing With The Dead」に続く先行シングルとなる。バンドは、Nothing Moreをサポートするため、この春ツアーを開始します。また、Falling In ReverseとIce Nine Killsと共に、夏の数日間の日程も発表されています。

 

 

 

 

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Twitter: https://twitter.com/CrownTheEmpire
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Crown The Empire、多彩なゲスト迎え再録した「Johnny’s Revenge」リリース!

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=mQ6DDl7zQis” /]

 

テキサス州ダラスのメタルコア・バンド、Crown The Empireが、2022年にリリース10周年を迎えるアルバム『The Fallout』から、「Johnny’s Revenge」の新しいバージョンを公開しました。このバージョンには豪華なゲストが参加しており、Spencer Charnas (Ice Nine Kills)、Dave Stephens (We Came As Romans)、Craig Owens (Destroy Rebuild Until God Shows) が楽曲に華を添える。

 

 

 

 

Crown The Empire 、老練のグルーヴ光るメタルコア 新曲「Dancing with the Dead」リリース

 

Crown The Empire : テキサス州ダラスのメタルコア・バンド、Crown The Empire (クラウン・ジ・エンパイア) が、新曲「Dancing with the Dead」をRise Recordsからリリースしました。この楽曲は、ワンテイク・ライブパフォーマンス・ビデオとしてRise RecordsのYouTubeチャンネルで公開されています。

 

バンドは2022年5月30日から「The Fallout 10 Year Anniversary Tour 」を開催する。

 

 

【年始企画】今年リリース10周年を迎える作品たち (Rise Records編)

年始企画 : 10年前の2012年と言えば、メタルコアやポストハードコアが少しずつ洗練され、世界中から個性的でハイ・クオリティなアーティスト達が続々とデビューした年だ。現在のメタルコア・ポストハードコアの基盤とも言えるサウンドを作り上げ、フォロワーを生み出した多くのバンドがRise Recordsに所属しており、今では名作と呼ばれるような作品をリリースしている。10年という月日を感じながら、改めて現在のメタルコア・ポストハードコアがどのように進化してきたのか、また2032年にどんなバンドが誕生しているかを想像しながら、ぜひ振り返ってみてほしい。

 


 

Issues ‎– Black Diamonds

Woe, Is Meを脱退したTyler Carter、Michael Bohn、Cory Ferris、Ben Ferrisによって2012年夏に結成され、すぐにRise Recordsと契約。『Black Diamonds』は彼らのデビューEPで、名曲「Love Sex Riot」収録。

 

 

 


The Acacia Strain ‎– Death Is The Only Mortal

ハードコア・シーンとメタルコア・シーンを繋いた存在として、このころすでに神格化されていたThe Acacia Strainの6枚目となるスタジオ・アルバム。長くThe Acacia Strainのコンポーザーとして活躍したDaniel “DL” Laskiewicz在籍時最後の作品。

 

 

 


Memphis May Fire – Challenger

USメタルコア・シーンを牽引する存在となったMemphis May Fireの3枚目スタジオ・アルバム。Billboard 200で16位にランクイン、現在までのバンドキャリアの中でも最も勢いに乗っていた頃の作品と言えるだろう。「Prove Me Right」は名曲中の名曲。

 

 

 


Secrets – The Ascent

2010年に結成、デモ音源を経てRise Recordsと契約したSecretsのデビューアルバム。ボーカリストAaron Melzerは2020年に死去。現在も活動しており、2010年代のレガシーを後世へと受け継いでいる。

 

 

 


Crown the Empire – The Fallout

テキサス州ダラスを拠点に2010年に結成されたメタルコア・バンドのデビュー・アルバム。Joey Sturgisによってプロデュースされた作品で、この作品から現在まで堅実なキャリアを築いている。

 

 

 


My Ticket Home – To Create A Cure

後にオルタナティヴな方向へと進んでいくMy Ticket Homeのデビュー・アルバムは、アグレッシヴなメタルコア・サウンドを鳴らし、Secrets、Crown The Empireと共にこの年のメタルコアを語る上で重要な作品と言える。

 

 

 


Attack Attack! ‎– This Means War

Joey SturgisによってプロデュースされてきたAttack Attack!が、本作はCaleb Shomoのプロデュースでアルバムを制作。通算3枚目となるスタジオ・アルバムは、Billboard 200で初登場11位にランクイン。Memphis May Fireと共にRise Recordsの顔として存在感を見せつけた。

 

 

 


Bleeding Through – The Great Fire

1999年から活動し、Roadrunner Recordsを牽引してきたメロディック・デスメタル/メタルコア、Bleeding ThroughがRise Recordsへと移籍したことは大きなニュースになった。そんな彼らの6枚目となるフルレングスは、彼ららしい火花飛び散るメロディック・メタルコア。

 

 

 


Woe, Is Me ‎– Genesi[s]

リード・ギタリストKevin Hanson以外のメンバーが脱退したWoe, Is Meが残したファイナル・アルバム。タレント揃いのIssuesが鳴らしたR&Bとメタルコアのクロスオーバー・サウンドとは違い、多彩なコラージュを組み込んだヘヴィなメタルコアを鳴らし、大きな話題となった。翌年に発表したEP『American Dream』で解散。一つの時代が生まれ、消えていく間に生まれた名作。

 

 

 


Miss May I ‎– At Heart

Rise Recordsがシーンにおける存在感を強めていく中で、欠かせない存在となっていたMiss May Iの通算3枚目フルレングス。Memphis May FireやAttack Attack!とはまた違い、メロディアスなメタルコアで独自のファンベースを堅持した一枚。

 

 

 


Palisades – I’m Not Dying Today

Marilyn Is Deadから改名し、再出発となった彼らのデビューEP。2013年にデビューアルバム『Outcasts』をリリースするが、この作品の存在感はそれを超えているように思う。エレクトロニックなアレンジと流麗なクリーン・パートに才能を感じた一枚。

 

 

 


Thick As Blood – Living Proof

Attack Attack!やMemphis May Fireという存在がこの頃のRise Recordsを象徴していると言えるが、The Acacia StrainとThick As Bloodがハードコアとメタルコアの文化をミックスさせ、モッシュコアなどを盛り上げた功績は絶対に忘れてはいけないし、しっかり評価すべきだ。この頃来日も果たし、LOYAL TO THE GRAVEとのスプリット作品も発表したThick As Bloodの快作。

 

 

 

 


Abandon All Ships – Infamous

エレクトロニック・ポストハードコアとして2000年代後半にデビューし、Rise Records黄金期の第2世代としてブレイクしたAbandon All ShipsのRise Records移籍後初となるセカンド・アルバム。Issuesの影に隠れながらも間違いなく2010年代初頭を象徴するバンドである。

 

 

 

 


In Fear And Faith – In Fear And Faith

2006年に結成し、2000年代後半のスクリーモ・ムーヴメントを盛り上げた存在として知られるIn Fear And Faithの通算3枚目フルレングスであり、ラスト・アルバム。時代がメタルコア・ポストハードコアへと移行していき、彼らの活動が止まったことは一つ象徴的な出来事だった。

 

 

 

Hands Like Houses – Ground Dweller

オーストラリアのバンドとしてRise RecordsからデビューしたHands Like Housesのファースト・アルバム。前述のIn Fear And Faithらが築いたスクリーモ/ポストハードコアの礎が全世界的に飛び火し、新たなシーンを生み出していく予兆がHands Like Housesの登場によって確信に変わったと言っても過言ではない。

 

 

 

American Me – Ⅲ

Thick As Blood、The Acacia Strainの陰に隠れがちではあるが、モッシュコアとしてハードコアとメタルコアを接続する存在として多大な功績をシーンにもたらしたAmerican Meの通算3枚目となるフルレングス。バンドは本作以降リリースなど目立った活動はないものの、近年復活の兆しがある。間違いなく伝説的な存在になっているバンド。