リード・ギタリストKevin Hanson以外のメンバーが脱退したWoe, Is Meが残したファイナル・アルバム。タレント揃いのIssuesが鳴らしたR&Bとメタルコアのクロスオーバー・サウンドとは違い、多彩なコラージュを組み込んだヘヴィなメタルコアを鳴らし、大きな話題となった。翌年に発表したEP『American Dream』で解散。一つの時代が生まれ、消えていく間に生まれた名作。
Miss May I – At Heart
Rise Recordsがシーンにおける存在感を強めていく中で、欠かせない存在となっていたMiss May Iの通算3枚目フルレングス。Memphis May FireやAttack Attack!とはまた違い、メロディアスなメタルコアで独自のファンベースを堅持した一枚。
Palisades – I’m Not Dying Today
Marilyn Is Deadから改名し、再出発となった彼らのデビューEP。2013年にデビューアルバム『Outcasts』をリリースするが、この作品の存在感はそれを超えているように思う。エレクトロニックなアレンジと流麗なクリーン・パートに才能を感じた一枚。
Thick As Blood – Living Proof
Attack Attack!やMemphis May Fireという存在がこの頃のRise Recordsを象徴していると言えるが、The Acacia StrainとThick As Bloodがハードコアとメタルコアの文化をミックスさせ、モッシュコアなどを盛り上げた功績は絶対に忘れてはいけないし、しっかり評価すべきだ。この頃来日も果たし、LOYAL TO THE GRAVEとのスプリット作品も発表したThick As Bloodの快作。
Abandon All Ships – Infamous
エレクトロニック・ポストハードコアとして2000年代後半にデビューし、Rise Records黄金期の第2世代としてブレイクしたAbandon All ShipsのRise Records移籍後初となるセカンド・アルバム。Issuesの影に隠れながらも間違いなく2010年代初頭を象徴するバンドである。
In Fear And Faith – In Fear And Faith
2006年に結成し、2000年代後半のスクリーモ・ムーヴメントを盛り上げた存在として知られるIn Fear And Faithの通算3枚目フルレングスであり、ラスト・アルバム。時代がメタルコア・ポストハードコアへと移行していき、彼らの活動が止まったことは一つ象徴的な出来事だった。
Hands Like Houses – Ground Dweller
オーストラリアのバンドとしてRise RecordsからデビューしたHands Like Housesのファースト・アルバム。前述のIn Fear And Faithらが築いたスクリーモ/ポストハードコアの礎が全世界的に飛び火し、新たなシーンを生み出していく予兆がHands Like Housesの登場によって確信に変わったと言っても過言ではない。
American Me – Ⅲ
Thick As Blood、The Acacia Strainの陰に隠れがちではあるが、モッシュコアとしてハードコアとメタルコアを接続する存在として多大な功績をシーンにもたらしたAmerican Meの通算3枚目となるフルレングス。バンドは本作以降リリースなど目立った活動はないものの、近年復活の兆しがある。間違いなく伝説的な存在になっているバンド。
Attack Attack! : メタルコア/ポストハードコア・レジェンド、Attack Attack!が9年振りとなる新作EP『Long Time, No Sea』をリリースしました。復帰作「All My Life」や本作までにリリースしてきたシングルに加え、未公開曲「Dear Wendy」を含む全6曲が収録されています。
ちょうど1年前、RIFF CULTでも彼らの復活について記事を書いている (https://riffcult.online/2020/10/25/attackattack2020/)。この時はまだ懐疑的な部分が多かったが、徐々に明らかになっていく新しいAttack Attack!の全容、そして公開された復帰シングル「All My Life」を聴いた感動は今もまだ思い出せる。多くのメタルコア/ポストハードコア・ファンにとって、それほど彼らは特別なバンドであるし、こうして動き出した事実だけでも素晴らしいことであると思う。
正直なところ、全盛期に感じたAttack Attack!の素晴らしさを超えるものがあるかと言えば、難しい部分もある。ただ、「Press F」や「Fade With Me」といった楽曲は、今のメタルコア/ポストハードコアシーンにおいても光るものがあるし、戦うに十分必要なポテンシャル、センスはある。今後はツアーも控えており、少しずつシーンに戻ってくる感じになっていると思う。日本からオンラインを介して彼らの活動は注視して行きたい。