ノイズの帝王 Merzbow とインダストリアル・ブレイクビーツのパイオニア Meat Beat Manifesto がコラボ・アルバム『Extinct』を2024年4月にリリース!

インダストリアル・ブレイクビーツのパイオニアとして知られるMeat Beat Manifesto (ミート・ビート・マニフェスト) とノイズの帝王、Merzbowのコラボレーション作品『Extinct』がCold Springから2024年4月26日にリリースされることが発表され、Cold SpringのBandcampにて配信がスタートしました。このリリースの発表に合わせて、収録曲「¡FLAKKA!」のオフィシャル・ビデオが公開されている。

Meat Beat ManifestoのJack Dangersはこのコラボレーションに対し「私たちは同じ言語を話さないかもしれないが、音の渦の中には言葉を超えた生の原初的な理解がある。ノイズはアートになり得るし、視覚的な表現はJackson Pollockの「No 5」かもしれない (*「No.5」は、抽象表現主義運動への貢献で知られるアメリカの画家、Jackson Pollockが1948年に描いた作品)。Masami Akitaとの境界線への挑戦は、単なる音楽的冒険ではなく、音のアナーキーさへの上級者向けの挑戦のようなものだった」とコメントしている。

Cold Springによると、『Extinct』は、ビートと構造の解体に焦点を当て、それを美しく作られたノイズとフィードバック・ループの層を通して新しいリズムを誕生させ、リスナーを超越的な旅へと誘う作品であると言う。オープニングを飾る「FLAKKA」は、常に進化し続けるブレイクビーツが時間をかけて徐々に分解され、過酷なノイズのフィルターにかけられ、古いものを破壊して新しいものを生み出すような楽曲に仕上がっており、生々しく容赦のない。突然変異的なブレイクビーツとダブのヒントを融合させた巨大なもので、その過程で最高レベルのリズム・ノイズを生み出している。

「Burner」はこの作品を究極の結末へと導き、最初のドラム・ビートはほとんど認識できないほどに分解されている。脈打つディストーションとハイエンド・オーディオの断片が互いに滲み合いながら、トラックはゆっくりと解け、劣化し、バラバラになる前に、その行く手にあるすべてを破壊していく。過酷なインダストリアル・ノイズとオーディオの劣化の壁の中を旅するような『Extinct』は、ハラハラさせられつつも、どこかカタルシスを感じさせる作品と言えるだろう。

予約はこちら : https://diskunion.net/avant/ct/detail/1008818480

 

 

メタル・リスナーが聴くべきMerzbowの名盤 TOP5

 

Merzbow (メルツバウ) というアーティスト名を目にしたことがあるメタル・リスナーは多いはずだ。Relapse Recordsのカタログで『Pulse Demon』や『Venereology』のデラックス盤を見かけたり、BORISとのコラボレーションなど、コアなメタル・リスナーであれば Merzbowが世界を代表するノイズ・ミュージシャンであることも知っているだろう。今回は「Merzbowをどの作品から聴いていいのか分からない」、「興味があるけど、ノイズをどうやって聴いたら良いのか分からない」という メタル・リスナー に向けて Merzbowの名盤を5つピックアップしてみました。

 

まず初めに、簡単にMerzbowとはどんなミュージシャンなのかを説明したいと思います。

 

Photo by : Seth Tisue

 

Merzbowは、秋田昌美によるヴィーガン・ストレイト・エッジ・ノイズ・プロジェクト。80年代初頭のノイズ・インダストリアル・シーンに参加し海外のレーベルを中心にリリースを始める。90年代にはグラインドコアの影響を受けデスメタルのレーベルRelapseからアルバムをリリース。2000年代にはmegoの「punkなcomputer music」に共鳴、ラップトップによるライブ手法を採用した。2003年頃から「動物の権利」(アニマルライツ)の観点からヴィーガン(完全菜食主義)を実践している。「捕鯨反対」「イルカ漁反対」「毛皮反対」等をテーマに作品を制作している。近年はアナログ機材を主体にした音作りを行っている。(Merzbow Official Siteより)

 

メタル・リスナーにとってのMerzbowの魅力は、そのサウンドのヘヴィさ、そしてヴィーガン、アニマルライツを長年貫き続けるパンクな姿勢だ。年間数十枚とリリースされる多くのアルバムのアートワークの芸術性も高く、メタル・リスナーを惹きつける魅力のひとつ。また、日本だけでなく海外のミュージシャンらからの人気も高く、コラボレーション・アルバムも多数リリースされている。その中にはFull of HellやIgorrrといったメタルの第1線で活躍するミュージシャンもいる。

 

日本が誇るミュージシャンとして名が挙がることも多いMerzbow。その多作っぷりからどのアルバムから聴けばいいか分からない音楽好きにおすすめの作品をまとめていきたいと思います。気に入ったら、様々なアルバムを入手してみて下さい。

 

https://merzbow.net/

 

StereoAkuma (2020, ROOM 40)

2020年にLawrence Englishが運営するオーストラリアのレーベルRoom40からリリースされたこのアルバムは、2019年7月5日オーストラリア/ニューポートのThe SUBSTATIONで行われたRoom40主催イベント「Open Frame」でのライブ・パフォーマンスが収録された作品で、売上収益をオーストラリアの森林火災で被害を受けた野生動物の回復を支援する野生動物保護団体WIRESに寄付している。こうして作品を購入することでアニマルライツ活動に参加することが出来るというのは、Merzbowを聴く理由の一つとしても大きい。

 

金属的な冷ややかさが朧げなビートを硬くし、そこに覆い被さるようにボリュームがアップしていくハーシュ・ノイズ・ウォールが没入感を加速させ、やがてその重低音はビートを飲み込んでいく。水面に浮かび上がる水泡が弾けるような微かなアクセントや、ヘヴィ・サウンドの中で浮かび上がる金切ノイズは動物たちの叫び声のようにも錯覚する。他のMerzbowのアルバムの中でもローが効いているので、現代的なニューメタルコアやインダストリアル・メタルの重みと感覚的に似ているものがある。

 

 

 

Venereplogy (1994, Relapse Records)

MerzbowをSpotifyやApple Musicといったプラットフォームで検索すると、大体TOP3で表示されるのが、『Venereplogy』だ。このアルバムがトップ・アルバムとして紹介される理由は紛れもなくこの強烈なノイズ・アルバムがメタルの名門Relapse Recordsからリリースされたことに由来する。Relapse Records以外にメタル・レーベルがノイズ・アーティストのリリースを手掛ける事例はほとんどなく、このアルバムの後に発表された『Pulse Demon』はMerzbowの最も有名な作品となり、アートワークはMerzbowの難解さを表したネットミームにもなっている。

 

このアルバムは楽曲によって様々な表情があるが、あらゆる生き物の悲鳴のようなものが継ぎ接ぎされたようなコラージュが興味深く、スピード感のあるうねりが、次々と繰り出されるノイズの塊に躍動感を与えている。その忙しなさはどこか手数の多いドラムがキーのテクニカル・デスメタルを聴いているよう。

 

 

Pulse Nostril (2017, Not On Label)

Igorrrとのコラボ・アルバムで、互いの代表的な作品である『Nostril』と 『Pulse Demon』をマッシュ・アップしたもの。オリジナル・アルバムではない為、それぞれのディスコグラフィーにおいて重要作品として名前が挙がることは少ないが、Merzbowのハーシュ・ノイズがビートの上でどんな役割を果たすことができ、またどんな効果をもたらしてくれるかをじっくりと味わうことが出来る作品のため、メタルのような音楽ファンがMerzbowの入門作品として聴くのは面白いかもしれない。

 

Igorrrの近年の作品の中でメタル・リスナーが最も親しみを感じる楽曲は、Cannibal CorpseのGeorge Fisherをフィーチャーした「PARPAING」だろう。プログレッシヴ・デスメタルがアナログのモジュラーシンセから繰り出される奇怪なビートとオーガニックにクロスオーバーしていた。この作品は『Nostril』が醸し出すビートの旨みの中で異質な輝きを放つ『Pulse Demon』のエネルギーが不気味に混ざり合う。

 

 

Arijigoku (2008, Vivo)

 

『Arijigoku』は元々サイケデリック、プログレッシヴ・ロック・ドラマーというルーツを持つ秋田昌美が、そのサウンドをMerzbow単独名義に持ち込んだ最初の作品と言われている。自分自身、Merzbowに心酔し始めたきっかけになった作品が2007年にCold Springからリリースされた『Anicca』だったこともあり、ドラムを組み込んだMerzbowの作品が好きだ。近年『Arijigoku』はスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズの第12弾として『Arijigoku (Test Mix)』として新しくリリースされており、久しぶりにその魅力に引き込まれていた。bandcampページの説明によると、この”ドラムとノイズ”というスタイルが生まれたきっかけは、2008年4月、ロンドン公演の翌日、MerzbowがイギリスのCold Springからリリースするニュー・アルバムのレコーディングを行っていたTin Pan Alley Studiosでの出来事だそうで、この時、生ドラムをスタジオで録音し、コンピューターノイズと合成したのが、彼らの本格的なドラム使用の始まりとなったとのこと。このスタイルは、メタルやグラインドコアだけでなく、サン・ラーやフリージャズなど、音楽的背景において共通点の多いドラムのサウンドが、Merzbowの「デュオとしてドラムを取り入れたスタイルを追求したい」という思いにつながっていった。

 

グラインドコア、その中でもノイズ・グラインドはその名の通りノイジーなグラインドであり、メタル・リスナーよりハードコア・パンクのシーンで人気があるかもしれないが、そんなノイズ・グラインド・リスナーにも引っ掛かるのがこの『Arijigoku』だと思う。アートワークをそのまま音像としたようなハーシュ・ノイズの中でハイピッチ・スネアをキーリング・アクセントとして熱気たっぷりに叩き込まれるドラムのビートが入り乱れる様は、まるで暗闇より暗い漆黒に吸い込まれていくような錯覚に陥るパンキッシュさに溢れている。例えばLast Days of Humanityなど近いものがある。

 

 

 

Full of Hell & Merzbow (Profound Lore Records / Daymare Recordings)

ハーシュノイズとボーカルを兼任するDylan Walkerが在籍するグラインドコア/パワーヴァイオレンス・バンド、Full of Hellが熱望したというMerzbowとの共演は、ダブル・アルバムという形で実現した。ディスク1はFull of Hellを主体とした楽曲で、ディスク2はMerzbowを主体とした楽曲が収録されており、多角的にコラボレーションが味わうことができ、ノイズ側からもグラインドコア側からも面白さが感じられる作品と言えるだろう。Dylanはノイズ・ミュージックの熱狂的なファンでもあり、プレイヤー。Merzbowとの共演が多いBalázs Pándiと共にRamuhというプロジェクトもやっているので、メタル・シーンとノイズ・シーンを繋ぐ存在として重要人物かもしれない。

 

「ノイズ」はメタルをはじめとしたエクストリームな音楽において、簡単に言葉では言い表せない魅力を与えてくれる。怒りや苦しみ、悲しみといった感情を音で表現する時、やはり大きな音であることが多いし、言葉にならない感情は複雑に交差しているから言葉にならないのであって、混沌としている。ノイズのある音楽というのは、そんな混沌とした感情を表現するのに相応しい。ノイズのある音楽が美しく、心を開放する理由はそこにあり、グラインドコアやメタルといった音楽との親和性は高い。決してポピュラーになることはないだろうが、時代と共に進化を続けるメタルという音楽にはMerzbowという存在は大きな刺激であり、いつだって未来的だ。Full of Hellをはじめとする若きヘヴィ・ミュージシャン達がMerzbowを通じてノイズの手法を最新のメタルに持ち込むことは、Merzbowが存在する限り起こり続けるはずだ。

 

 

 

ノイズ/エクスペリメンタル帝王BASTARD NOISEとMERZBOWがタッグを組み、コラボ・アルバム『RETRIBUTION BY ALL OTHER CREATURES』をリリース!

 

USノイズ・レジェンドBASTARD NOISEと日本が誇るノイズ・プロジェクトMERZBOWのコラボレーション・アルバム『RETRIBUTION BY ALL OTHER CREATURES』がRelapse Recordsからリリースされました。

 

「RETRIBUTION BY ALL OTHER CREATURES (=因果応報)」と題されたこのアルバムは、BASTARD NOISE、MERZBOWの長年の活動における一貫したテーマである動物愛護/反人間中心主義といったものをよりアグレッシヴに表現している。動物虐待を永続させる人工的な組織に対しての怒りをノイズとして炸裂されている。

 

このレコードの意図は、行動への呼びかけであり、終末の時代の不吉なシグナルでもある。BASTARD NOISEを率いるEric Woodは、ライナーノーツで「あなたが目撃するあらゆる形の動物虐待に、何としても立ち向かえ。ポジティブで思いやりのある変化の一部となり、現状維持の墓に唾を吐きかけるのだ」と語る。MERZBOWのメッセージはシンプルだが、強く心に響くものだ。 「歳月人を待たず (年月は人の都合にかかわりなく、刻々と過ぎていき、少しもとどまらない) 、NOISE IS MUSIC」。