アメリカ・ワシントン州オリンピア出身のアトモスフェリック・ブラックメタルバンドWolves In The Throne Roomが、ニューアルバム『Estuary』を2026年10月23日にリリースした。2021年の『Primordial Arcana』以来、約5年ぶりとなるフルアルバムで、全6曲、約48分を収録。北米ではRelapse Records、それ以外の地域ではCentury Media Recordsから発売されている。
『Estuary』は、文明が崩壊してから1000年後の未来を舞台にしたコンセプトアルバム。大災害を生き延びた人々が、荒廃した都市や廃墟を彷徨い、突然変異した生物や異世界へと通じる門が存在する世界で、新たな宗教や神話を形成していく物語が描かれる。
ボーカル/ギターのNathan Weaverは、文明が消滅し、自然が再び世界を取り戻すという考えに、以前から不思議な安らぎを感じていたと説明。そうした世界でひとり静かに過ごすことを想像してきたといい、バンドが長年扱ってきた自然と人間の関係を、今回の作品ではより中心的なテーマとして掘り下げたという。
音楽面では、これまでのアトモスフェリック・ブラックメタルを基盤に、インダストリアルなノイズやゴシック・ロックの影響を取り入れた作品。巨大な空間で録音されたドラムや機械音のサンプリング、低音を重視したベース、ゴシック的なギターサウンドなどを組み合わせ、従来とは異なる音響表現を追求した。
ギタリストのKody Keyworthは、Cocteau Twinsの『Garlands』やLyciaの『Wake』を思わせるギターサウンドを取り入れながら、ブラックメタルとしての激しさを維持することを目指したと説明。Aaron Weaverも、インダストリアルなサンプルと大きなホールで録音したドラム、アトモスフェリックなギターが作品の音響的な中心になっていると語った。
アルバムに収録された「Knights of Tiamat」は、Kody Keyworthが約2年前、ドイツツアー中に見た夢から着想を得た楽曲。夢の中では、文明崩壊後の未来を生きる少数の人類が小さな部族を形成し、かつて発電に使用されていた巨大な風力タービンを神聖な存在として崇拝していたという。
人々はその構造物が何のために作られたのかを知らず、失われた文明の遺物として宗教的な意味を与えていた。Kody Keyworthは、文明の崩壊後に人類がどのような神話や宗教を生み出すのかという発想に強く惹かれ、その夢がアルバム全体の世界観を形作る重要なきっかけになったと振り返っている。
また、先行シングルとして公開された「Ghosts Among the Obelisks」では、旧世界の低地を離れた戦士が、山奥に存在する伝説的な聖域を目指す物語を描写。崩れたコンクリートや錆びた金属が残る廃墟を通り抜け、善悪さまざまな精霊と遭遇する旅が展開される。ミュージックビデオはNathan Weaverが監督を務めた。
続いて公開されたタイトル曲「Estuary」のミュージックビデオも、バンド自身が制作を担当。廃墟となった都市や崩壊した鉄道、植物に覆われた産業施設などを舞台に、文明が失われた後の世界を表現した。作品のタイトルである「Estuary」は河口域を意味し、淡水と海水が交わる場所を、再生や変容を象徴する空間として描いている。
アルバムのプロデュースはWolves In The Throne Room自身が担当し、大部分のレコーディングはワシントン州オリンピアにあるバンド所有のOwl Lodge Studioで実施。ドラムは同州アナコルテスにある、かつて教会だった建物を改装したThe Unknownで、Nicholas Wilburが録音を担当した。
今回のレコーディングには、ライブベーシストとして活動してきたGalen Baudhuinも参加。Aaron Weaverは、ブラックメタルでは見過ごされがちな低音域を作品に取り入れるうえで、Galenの存在が大きな役割を果たしたと説明。バンドのルーツである伝統的なヘヴィーメタルやクラストパンクの要素を反映するためにも、ベースの低音を重視したという。
本作の制作にはNathan Weaver(Vo/Gt)、Aaron Weaver(Dr/Synth/Vo)、Kody Keyworth(Gt/Vo)、Galen Baudhuin(Ba/Vo)の4人が参加。ブラックメタルと自然、神話、テクノロジーを結びつけた全6曲が収められた。
Wolves In The Throne Roomは2003年に結成され、2006年のデビューアルバム『Diadem of 12 Stars』以降、アメリカ北西部の自然環境と結びついたカスケイディアン・ブラックメタルの代表的なバンドとして活動を続けてきた。2007年の『Two Hunters』、2011年の『Celestial Lineage』、2017年の『Thrice Woven』などを発表し、2023年にはEP『Crypt of Ancestral Knowledge』をリリースしている。
新作の発売に合わせて、ヨーロッパ/イギリスツアー『Knights of Tiamat Tour』も開幕。10月23日のドイツ・ライプツィヒ公演から11月14日のノルウェー・オスロ公演まで各地を巡り、WormとFinal Doseがサポートアクトとして参加する。11月13日のヨーテボリ公演にはRotting Christも出演予定だ。
ツアー日程は以下のとおり。
2026年
10月23日(金)ドイツ・ライプツィヒ / UT Connewitz
10月24日(土)オランダ・マーストリヒト / Samhain Festival
10月25日(日)ベルギー・ブルージュ / Bruges is Doomed
10月26日(月)ドイツ・ハンブルク / Übel & Gefährlich
10月27日(火)ドイツ・ベルリン / Hole 44
10月28日(水)ドイツ・エッセン / Turock
10月29日(木)ドイツ・ミュンヘン / Backstage – Halle
10月30日(金)ドイツ・シュトゥットガルト / Im Wizemann
10月31日(土)チェコ・プラハ / Futurum
11月1日(日)オーストリア・ウィーン / Simm City
11月3日(火)ポーランド・クラクフ / Hype Park
11月4日(水)クロアチア・ザグレブ / Močvara
11月5日(木)イタリア・ミラノ / Legend Club
11月6日(金)スイス・アーラウ / Kiff
11月7日(土)フランス・ヴォレアル / Le Forum
11月8日(日)イギリス・マンチェスター / Damnation Festival
11月9日(月)イギリス・ロンドン / O2 Academy Islington
11月11日(水)デンマーク・コペンハーゲン / Pumpehuset
11月12日(木)スウェーデン・ストックホルム / Slaktkyrkan
11月13日(金)スウェーデン・ヨーテボリ / Momentum
11月14日(土)ノルウェー・オスロ / John Dee
バンドは2027年初頭にアメリカでのツアーも予定しており、詳細は今後発表される見込みだ。
『Estuary』はCD、アナログ盤、カセット、デジタル配信などの形態で発売。Century Media Recordsからは限定メディアブックCDに加え、複数のカラーバリエーションを用意したアナログ盤も展開されている。
『Estuary』収録曲
1. Estuary
2. Knights of Tiamat
3. Foretold in Reflections
4. The Orca Cliffs
5. Ghosts Among the Obelisks
6. Wretched Spirits, Land of the Light
『Estuary』
2026年10月23日リリース
Century Media Records(北米以外)
Relapse Records(北米)
※6曲目は北米版では「Wretched Spirits, Land of Light」と表記。
Streaming / Listen
Bandcamp – International Edition
https://wolvesinthethroneroom.bandcamp.com/album/estuary-international-edition-24-bit-hd-audio
Official Music Video – Estuary
Official Music Video – Ghosts Among the Obelisks
Official Website / Tour Info
https://wittr.com/
