デスコア 2023年下半期の名盤TOP10

2023年上半期のデスコア・ベストアルバムはこちら

この記事では、RIFF CULTが2023年7月から12月までにリリースされたデスコアのアルバム/EPの中から素晴らしい作品をピックアップし、順位付けしてアルバムレビューしています。上半期と下半期に分けてアルバムレビューを行なっていますので、また上半期のリストをチェックしていない場合は、上記のリンクから読んでみて下さい。

2023年下半期は、順位をつけるのが非常に悩ましいほど、たくさんの素晴らしい作品がリリースされました。そして、それらはデスコアを出発点に個性的な発展を遂げた個性が光っていました。それぞれにデスコアではありますが、「ブラッケンド」や「テクニカル」、「ブルータル」といったデスコアから発展したサブ・ジャンルとして成立しており、同列にデスコアとして考えるには難しいほど、シーン全体に様々なスタイルを持つバンドがいます。結果的に有名無名問わず、強く印象に残り、繰り返し聴いた作品を参考に順位付けに取り組んでみました。皆さんはどう思いますか?それではアルバム・レビューを読んでみてください!

 


 

▶︎第10位 : Crown Magnetar 『Everything Bleeds』

Stream & Download : https://orcd.co/everythingbleeds
Social : https://linktr.ee/Crownmagnetar

コロラド州コロラドスプリングスのデスコア・バンド、Crown MagnetarによるUnique Leader Records からのデビュー・アルバム。2021年に発表した『The Codex Of Flesh』は壮絶なテクニカル・デスメタル/デスコアを鳴らしシーンに大きな衝撃を与えた。今でもあの衝撃を覚えているくらいだ。そんな彼らが2023年、ブラッケンド/ブルータル・デスコアの登竜門レーベルになってきているUnique Leader Records と契約。彼らをこのレーベルが放っておくわけがない。

前作はかなりテクニカルな印象があったので、最新アルバムを通して聴いてみると、意外とスラミング・パートが豊富にあったり、アンダーグラウンドなスラミング・ブルータル・デスメタル/デスコアも追い求めている感じがひしひしと伝わってきて痺れた。確固たるテクニックがあるからこそ出せるブラストビートのスピードがあるからこそ、そこから急ブレーキをかけた時のブレイクダウンの威力というものは凄まじいものがある。「The Level Beneath」は刺激が欲しいメタル・リスナー全員聴くべき名曲。

SLAM WORLDWIDEという異次元のワンマン・プロモーティング・マシーン・チャンネルが育んできたブルータル・デスメタルとデスコアのクロスオーバー・メディアという、誰もやったことがなかったふたつの異なるリスナーが集まる場所として機能して、Crown Magnetarのような化け物が正しく評価される地場を作った。この功績の偉大さまでも感じさせてくれる彼らのニュー・アルバム、未聴の方は食らって欲しい。

 

▶︎第9位 : Orphan 『Manifesto 1.0: Stages of Grief』

Stream & Download : https://tr.ee/fs6zGIJOT_
Social : https://linktr.ee/Orphanband

STRANGLEDという狂気に満ちたスラミング・デスコア・バンドが出てきたときは彼らが天下を取るのではと思ったが、残念ながら解散してしまった。理由については色々言われているが、STRANGLEDが分裂して、Orphanを結成した兄弟が、ストリームやマーチの分配金を正当に分け与えなかったことが理由だとかなんとか……。それで結果OrphanとPeelingFleshという、二つの異なるヘヴィ・バンドが誕生した。もしこれが真実なのであれば、このリストにOrphanを掲載することはなかったが、流石に、この完成度の高さだと評価せざるを得ない。

STRANGLEDでもあの狂ったツイン・ボーカルが完全にバンドを支配し、ライブ中に殴り合い怒りをぶちまけ合うリアルな様には慄いたが、Orphanのフランティックなエナジーのリアルさはしっかり楽曲に内包されていて、聞き続けていると精神的にくるものがある。リアルにやばい人間の音楽なのか、芸術性と理性を持って、作品としてこれをやってるか、そのギリギリにあるという意味では、上記の噂が真実なのかはっきりする前に一度聴いておいて損はないだろう。

 

▶︎第8位 : Within Destruction 『Rebirth』

Stream & Download : https://fanlink.to/wdrebirth
Social : https://sadboikroo.com/

そろそろ年間ベストをまとめないとといけないと下半期にリリースを振り返っていたところにサプライズ・リリースされた、スロベニアのデスコア・バンド、Within Destructionのミニ・アルバム『Rebirth』は、オープンワールドのアクションRPG「ELDEN RING (エルデンリング) 」の世界観に魅了されたメンバーが、歌詞、ヴィジュアルにそれを落とし込んで制作した作品に仕上がっている。

わずか6曲のEPであるが、内容は非常に濃い。彼らは自身のデスコアを「Nu Deathcore」を表現したり、ニュー・メタルコアとの繋がりを意識しながら、クリエイティヴに新しいデスコアを追い求めている。スラミング・ブルータル・デスメタルのエレメンツも彼らのサウンドの暴虐性、ブレイクダウンの強度をグッと上げているのも個人的には熱いポイントだし、ピッグ・スクイールしまくりながらビートダウンするのには思わず笑ってしまった。ただ、いわゆるNo Face No Caseのようなスラミング・ビートダウンとは言い切れない、デスコア的構築美がある。Signs of the SwarmやDistantのメンバーがゲスト参加しており、それぞれのファンであれば明確なWithin Destructionのサウンドの特徴も感じられるはずだ。結構作り込まれてて驚いた作品。

 

▶︎第7位 : Thy Art Is Murder 『Godlike』

Stream & Download : https://TAIM.lnk.to/GodlikeYT
Social : https://www.thyartismurder.net

4年振りとなった通算6枚目のアルバムは、2023年ナンバーワン・デスコア・アルバムになるべき作品であった。Nuclear Blast を離れ、Human Warfareからのリリースとなった本作でバンドを象徴するフロントマンだったCJ McMahonは歌っていない。彼はアルバム・リリースの直前にトランスジェンダー嫌悪の投稿を発端にバンドを解雇させられており、アルバムには後任ボーカリストとしてAversions CrownのTyler Millerが急遽ボーカル・パートを録り直し配信された (フィジカルはCJがボーカルを務めたものが収録されているそうだ)。

バンドの声明には今回の件だけが解雇の原因でないこと、彼の抱える様々な問題とバンドとの方向性の違いについて様々述べられていた (現在オフィシャルからは削除されている)。その怖いくらいの冷静な声明文からはバンドがカリスマと呼ばれ、神格化されたThy Art is Murderのフロントマンを抱えて活動してきたあらゆる苦悩から解放された清々しさすら感じた。単なるCJのバックバンドでないことを証明しなければいけないプレッシャー、それは残酷だが新曲のミュージックビデオに書き込まれるリスナーからのコメントを見れば相当なものである。

Tylerは素晴らしいボーカリストであり、Thy Art is Murderにフィットする最良の後任ボーカルであることは間違いないし、バンドの決断は間違っていないと思う。アルバム・リリース前のミュージックビデオに関してはCJをフロントに据えたディレクションが施されているが、「Destroyer Of Dreams」には登場せず、音源も差し替えたもので作り直されている。キーとなるブレイクダウンもThy Art is Murderらしいダイナミズムがあり、ヒロイックなギターワークは一時期のWhitechapelを彷彿とさせるようでもある。Thy Art is Murderのこれからに期待したいと思う。『Godlike』はいいアルバムだが、彼らはすぐに次作に取り掛かる必要があるかも知れない。

 

▶︎第6位 : The Voynich Code 『Insomnia』

Stream & Download : http://orcd.co/tvcinsomnia
Social : https://bit.ly/m/thevoynichcode

2023年11月に再来日を果たしたポルトガルのシンフォニック/ブラッケンド・デスコア・バンド、The Voynich CodeのUnique Leader Records契約後のグローバル・デビュー作。ツアーの準備中、それは確かリリースの1年以上前であったが、契約が決まったと連絡があった。そこで色々とUnique Leader Records 周辺のデスコア・シーンの状況やつながりについて詳細な話を聞けたのは非常に興味深かった (ここでは書けないが…) 。ポルトガルという、メタル・バンドにとってはまだまだ未知の国ではあるが、彼らはヨーロッパを中心にツアーを行い、実績十分だ。このアルバムでは、彼らはアルバムのソングライティングを行なっている際にメンバー全員でハマっていたというHumanity’s Last Breathの影響も感じることが出来る。本作のミックス/マスタリングを手掛けたのはChristian Donaldsonなので、クオリティはお墨付きだ。こぼれ話だが、RIFF CULTのチームが運営するRNR TOURSで今年6月に来日したメロディックパンク・バンド、MUTEのギタリストがツアー中使っていたのはChristianから直接購入したギターだった。不思議なつながりを感じた瞬間であった。

さて内容であるが、彼らのライブ・パフォーマンスを観た人なら分かるだろうが、現代デスコアのトレンドとも言える、Lorna Shoreを彷彿とさせるブラッケンド・スタイルを、これまでThe Voynich Codeが育んできたBorn of Osirisからヒントを得たオリエンタルな音色を”染み込ませた”サウンドへとアップデートしている。新加入のドラマーDaniel Torgal (彼もRNR TOURSで過去に来日を手がけたAnalepsyの元メンバーである!) によるマシンガン・ブラストビートを下地に敷いたメロディアスなデスコアは、一見そのプログレッシヴさにとっつきにくい印象を受けるかもしれないが、フックの効いたテクニカル・リフの波がベストなタイミングで展開してくるのでご安心を。「The Art of War」で魅せるThe Voynich Codeの新スタイルは、デスコア・リスナーはもちろん、プログ/Djent、そしてThallといったニッチなジャンルのリスナーまでを虜にする要素がたっぷりと詰まっている。聴き込みが重要な作品。

 

▶︎第5位 : Carnifex 『Necromanteum』

Stream & Download : https://carnifex.bfan.link/necromanteum.yde
Social : http://www.carnifexmetal.com

トレンドの移り変わりが激しいデスコアという音楽シーンにおいて、長年大きくスタイル・チェンジをしていないのがCharnifexだ。Jason Suecofがプロデュースというのも、良いチョイスだと思う。サウンド・プロダクションが”デスメタル”であることが、彼らの良さを引き出している。

アルバムを9枚作ってきて、さほど大胆なスタイルチェンジやチャレンジングなパートを導入したりしないということは、彼らがブラッケンド・デスコアの元祖として自身のソングライティングにかなりの自信を持っている証拠だと思うし、実際に、細部にまで血が通った人力のグルーヴとホラー映画さながらのシンフォニックなオーケストレーションが彼らのサタニックな魅力を不気味に引き出しており、完全に格が違うということが数曲聴いただけでも確信出来る。

中でもやはり、タイトル曲「Necromanteum」のオーケストレーションは神がかっている。ここまでオーケストレーションをキーにした楽曲は、思い返してみたら無かったかも知れない。長年ライブのエンディングを飾る「Hell Chose Me」が「Necromanteum」に置き換わったら、だいぶ印象も変わりそうだ。

 

▶︎第4位 : Impending Doom 『LAST DAYS』

Stream & Download : https://linktr.ee/impendingdoom
Social : https://www.instagram.com/impendingdoom/

2000年代初頭から活動を続けるベテラン・デスコア・バンド、Impending Doomが、10年以上所属していたeOneを離れ、18年振りにインディペンデントに戻り本作をリリース。いやはや驚きました。ロゴも一新、ここからまたImpending Doomの伝説が続いていくのかと思い、リリース時はかなり精神を集中させてEPを聴きました。

デスコアのアルバム・コンセプトや歌詞は近年メンタルヘルスが中心で、人間としてのダークサイドや怒り、悲しみというものが多く、リアルに追求すること自体に危険性をはらんでいる音楽であることは間違いなく、人を壊してしまう危険性を常にはらんでいる。ツアーともなればそれを毎日演奏するミュージシャンが被る精神的な影響は計り知れないものがあるだろうと感じますね。

Impending Doomは、クリスチャンであり、クリスチャンであることを通じて生ずる社会的な怒りや批判をテーマに取り上げることがこれまでも多くありました。芸術的に、そして詩的にそれらを表現し、大炎上するような偏った思想でなく、共感を呼ぶものにするというのは教養なしには出来ないでしょうし、実際の感情に基づいているからこそ数10年に渡り歌い続けられているのかもしれません。長く歌い続ける楽曲の歌詞が一瞬の怒りや悲しみを切り取ったものであった場合、通常のメンタルとは異なる負の感情、怒りの感情を歌い続けることにはかなり重たい精神的負荷がかかってくるでしょうし、大型ツアーともなれば、それをほぼ毎日1ヶ月続けるので普通はおかしくなってしまうでしょう。これはデスコアという音楽がこれまでに何度も直面してきた問題で、デスコアという音楽が長く続いていく上でも、その時の精神状態などを大きく反映させた歌詞などを歌うこと、絶望感、希死観念をテーマにし続けることには、やや注意が必要かもしれません。Impending Doomが精神的な混乱、狂気や怒りのような音の塊をサウンド・パレットの上に落とし込んでいるのは紛れもない事実だが、それが精神的な崩壊からくるものでないことは明らかで、フレーズの所々に見られるクリスチャン・メタルらしい言葉のチョイスはダークであるが、デプレッシヴでないと感じます。クリスチャンであることの一貫性は、現代の困難な社会を歩む上で重要なことなのかも知れない。

サウンドもFacedown Recordsのクラシック・デスコアを見事に現代的なサウンド・プロダクションにアップデートしているのが節々で感じられる。ミュージックビデオにもなっている「ETERNAL」のエンディングでモッシュしないデスコア・リスナーはいないだろう。

 

▶︎第3位 : Face Yourself 『Tales of Death』

Stream & Download : https://linktr.ee/faceyourself
Social : https://fyourselfband.com/

オレゴン出身女性ボーカル・デスコア・バンド、Face Yourselfの5曲入りEPが登場。本作前にシングルとしてリリースされた「Death Reflection」では、「女性版Will Ramos」と言われるほど、人間離れしたガテラルを炸裂させ、一気に人気急上昇バンドとなりました。高まる期待とは裏腹に、本作のアートワークはギロチン落下寸前のおどろおどろしいブルータルなものでB級感をぷんぷん漂わせているのには驚きました。個人的には、ブルータル路線を追求していくことの強い表れのように感じ、簡単にメジャー・レーベルには引っこ抜かれないぞというアンダーグラウンド・デスコア・スピリットを勝手に感じました。

EPの先行シングルとしてミュージックビデオとしても公開された「Guillotine」はこの作品のキラーチューンで、女性ボーカリストJasmineのガテラルが圧倒的な存在感を放っています。ファストなブラストビートの上で炸裂するシュレッダーなテクニカル・リフ、ソロも導入されていて、全体的なバランス感覚もヘヴィに偏るでもなく、メロディックに傾倒するでもなくドラマティックで全く飽きません。そして、Lorna Shore直系のエンディング・パートは本家を超えてしまっているとのコメントもMVに書き込まれるほど。それ以上に素晴らしいのはChelsea Grinの初代ボーカリストAlex Koehlerに影響を受けたようなスタイルでスクリームする中盤のボーカル・パートかも。いや本当に聴くたびに衝撃を受けます。

 

第2位 : Signs of the Swarm 『Amongst The Low & Empty』

Stream & Download : https://signsoftheswarm.com/ATLAE-preorders
Social : https://signsoftheswarm.com/bio

Signs of the Swarmが名門Century Media Recordsへと移籍して発表した通算5枚目のフル・アルバム。Lorna Shoreの成功によって、メタルのメインストリームに向かって更にデスコア・シーンを拡大するための門戸が開かれたと言えるだろう。Lorna Shoreの衝撃についてSigns of the Swarmというチョイスは完全に間違っていない。そしてバンドもその期待を超えるものを『Amongst The Low & Empty』で作り上げている。その自信は、アルバムのオープニングを飾るタイトル・トラックでミュージックビデオにもなっている「Amongst the Low & Empty」に現れている。この楽曲は前半こそ、これまでSigns of the Swarmが築き上げてきたブルータル・デスコアに微細なプログレッシヴ/マス・エレメンツを散りばめ、ブレイクダウン・パートへ向かってその熱を加熱させていく。驚くべきは更に底から、2段、3段、4段とビートダウンしていくパートであり、正直言葉を失ってしまうほど、驚いた。もうこの曲の衝撃が凄すぎて、他の曲の感想はありません。

と、言いたいところだがすごい曲が多すぎる。「Tower of Torsos」はニューメタルコアのワーミー、Djentな細かいリフの刻み、エレクトロニックなノイズを見事に散りばめた。無論、この楽曲もエンディングのビートダウンは言葉にならないほどヘヴィだ。次いで「Dreamkiller」はSigns of the Swarmが更に上のステージへと階段を上がっていくために作られたような曲で、これまでキーになることはなかったプログレッシヴなスタイルを全面に押し出し、クリーンパートも少しだか組み込まれた興味深い仕上がりとなっている。この曲が彼らを、これまでリーチ出来なかったところへ導いてくれるものになるかどうか、それはやはりCentury Media Recordsが仕事をするはずだ。これだけ高いポテンシャルを兼ね備え、それを見事に、ブルータル・デスコアとして最高の形に仕上げた彼らの更なる成長が楽しみである。

 

▶︎第1位 : Humanity’s Last Breath 『Ashen』

Stream & Download : https://ffm.to/hlbashen
Social : https://humanitys-last-breath.com

2009年、Vildhjartaのメンバーによる新バンドという触れ込みでスウェーデンから世界へ向けて衝撃的なデビューを果たしたHumanity’s Last Breathも気付けば本作が4枚目のフル・アルバムだ。このアルバムについてバンドは、このようなコメントを発表している。

「10年以上にわたり、Humanity’s Last Breathは、迫り来る黙示録を警告するかのような不吉なメッセージを音楽で伝えてきた。表現を必要とする場所から音楽を作りたいという果てしない衝動で、常にモダン・メタルの可能性の限界を押し広げてきた。4枚目のアルバム「Ashen」のリリースとともに、このサウンドを体験してほしい。世界は絶望の中で歌おう」

直訳なので絶妙なニュアンスはやや異なるかもしれないが、気になるのはHumanity’s Last Breathがモダン・メタルを自称しその可能性の限界を追求していることをバンド活動の大きなテーマとしているところである。実際にバンドの主要メンバーであるBuster Odeholmはプレイヤーとしてだけでなく、多くのデスコア・バンドのプロデュース、ミックス、マスタリングなどを手がけており、シーンきってのプロデューサーとしての側面も持ち合わせている。彼が自身がヘッドを務めるバンドにおいてどのようなスタイルを作り上げるのか、それはこれまでプロデュースしてきたバンドへ「自分とはなんたるか」を提示することにもなり、『Ashens』で想像も出来ないほどの創意工夫と挑戦、限界の追求を果たしている。そしてそれは、プログレッシヴ、Djent、Thallという概念すらも自ら打ち壊してしまうような、衝撃的なものになっている。

オリエンタルな女性コーラスが永遠とバックトラックとして流れる「Instill」のDual Guitar Playthroughのビデオがアップされているので観てみよう。ギタリストにとって、これほど参考にならないプレイスルー・ビデオはあるだろうか! Busterはレフティであるが、弦は逆張りしていて、「E B E A Ab A」という奇妙なチューニングを施しプレイしている。このプレイスタイルについては自著『Djentガイドブック』で直接Busterについてインタビューをしているので是非手に取って読んでみてほしい。この楽曲からも分かるように (インスト・バージョンであるが)、聴くものを飲み込んでいくようなリフの恐るべきパワーに圧倒されるし、ヘヴィ、以上に”ダークネス”という部分の追求をしているようなところもあり、闇より深い黒を探し続けているような、常人では考えもつかないアイデアでHumanity’s Last Breathをアップデートしてくれている。

また、メンバーにはラインナップされていないが1曲を除き、本作はBusterとVildhjartaのCalle Thomérがソングライティングを手掛けている。元々彼は参加しないつもりであったし、メンバーでもないが、BusterがColleの才能を認めていて、いくつかのHumanity’s Last Breathの楽曲アイデアを彼に送り、アレンジしてもらったと言う。このコラボレーションはHumanity’s Last Breathというバンドにとってこのアルバムで未知のサウンドを生み出すのに大きな力になっているようにも感じる。また、このアルバムで初めて(!) プログラミングしたドラムではなく、ドラマーが実際に録音している。このドラム録音はリハーサル・スペースで録音してツアー中にラップトップで編集したとのこと……。さらにボーカルはAudiomoversというソフトを使い、ボーカルのFilip Danielssonが自宅スタジオで録音、それがBusterのDawにそのまま録音されるようにセットアップして時間の節約をしたそうだ。クリエイターの環境も日々アップデートしているが、さすがBusterといった具合だ。

アルバムからの先行シングル「Labyrinthian」は非常に高い評価を得た。先ほども彼らのサウンドを説明するとき、「闇よりも黒い黒」といったが、この楽曲でそれを完全に表現している。もちろん、中盤にはモッシュでも起こそうかというようなキャッチーなフレーズもあるが、そこからまたずるずると、リスナーを闇深くへ引き摺り込んでいく。バンドはこんな完成度の高いアルバムを作って、次一体、何を作ってしまうのだろうか。Lorna Shoreが「To The Hellfire」を出したとき、もうデスコアがこれ以上ヘヴィになることはないかもしれないと思ったが、彼らはまだ、さらにヘヴィになっていくだろう。

 

次点TOP 10

Osiah – Kairos
As Beings – Slave to the Sickness
VØID – Everything is Nothing
Nylist – The Room
Lonewolf – The Rhythm of Existence
Teralit – The Trinitarian
Acranius – Amoral
Monasteries – Ominous
Worm Shepherd – The Sleeping Sun
DJINN-GHÜL – Opulence

CJ McMahon (Thy Art is Murder)、Instagramアカウントが削除される

Thy Art Is Murderのヴォーカリスト、CJ McMahon (シー・ジェー・マクマホン) がInstagramを辞めました。トランス・アイデンティティに関して物議を醸す発言があり、Instagramのガイドラインに抵触していることが明らかになったためと報じられている。

自身も父親であるCJは、右派の政治コメンテーターであるMatt Walshが共有した動画をシェアしたと言われている。その動画では、女性が幼い子供に男の子か女の子かを尋ねており、子供は “両方 “と答え、母親は “オーケー、両方ね “と答えている。CJはこれに対し、Instagramのガイドラインに抵触する不適切な発言を添えて投稿した (その内容についてはここでは触れないがMetalSucksメディアが報道している)。

CJの投稿は、別のユーザーによって報告されたため削除されたものの、スクリーンショットが出回り、問題となっている。CJは他のさらにクローズドなSNSへと移行する予定で、Instagramなどはやらないとしている。

Thy Art is Murder、9月リリースのニュー・アルバムから先行シングル「Blood Throne」をリリース

オーストラリアのデスコア・バンド、Thy Art Is Murder (ザイ・アート・イズ・マーダー) が、2023年9月15日にHuman Warfareからリリースされるアルバム『Godlike』から、ニュー・シングル「Blood Throne」をリリース、ミュージックビデオを公開しました。

「AND SO THEY ROT!!!」というフレーズがリフレインする「Blood Throne」は、ヴォーカリストであるCJ McMahon (シー・ジェイ・マクマホン) のカリスマ性たっぷりのボーカルを全面にフィーチャーしたダンサブルなトラックで、彼ららしいリフ、バウンシーなドラミングなどを味わえる、アルバムの先行トラックとして完璧な一曲だ。

ギタリストのAndy Marsh (アンディ・マーシュ)はこの曲についてこう語る。

「”Blood Throne”の制作を始めるにあたり、“Death Squad Anthem”と同じ直感的なエネルギーを生かしつつ、自分たちの限界を押し広げ、ブレイク・ビートのグルーヴから始まるようなユニークなものを作り上げることを目指したんだ。”Blood Throne”は、Thy Art is Murderらしいパワーとグルーヴを表現したもので、疎外された人々の苦しみや痛みで利益を得て繁栄する、抑圧的な組織や体制を反映した内容になっている。私たちはキャリアを通して、リスナー、ひとりひとりの心に火をつけ、これらのテーマに正面から立ち向かってきたんだ」。

Thy Art Is Murderは、すでにエクストリーム・メタルのトップ・クラスのバンドに登りつめたオーストラリアの重鎮だ。バンドにとって6枚目となるアルバム『Godlike』は、Thy Art Is Murderをデスメタルの現代の聖火ランナーとして確固たるものにしている。彼らの長年のプロデューサーでありミキサーでもあるWill Patney (ウィル・パトニー)と共にレコーディングされたこのアルバムは、ニヒリスティックな10曲で構成されている。Thy Art is MurderはARIA賞に2度ノミネートされ、母国オーストラリアのチャート記録を塗り替え、2017年の『Dear Desolation』でトップ5デビューを果たした初の国産エクストリーム・メタル・アクト。本作がどのようにして、オーストラリア、そして世界で評価されるかは見ものだ。

『GODLIKE』 TRACKLISTING:

“Destroyer of Dreams”
“Blood Throne”
“Join Me In Armageddon”
“Keres”
“Everything Unwanted”
“Lesson in Pain”
“Godlike”
“Corrosion”
“Anathema”
“Bermuda”

 

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Thy Art is Murder、9月リリースのニュー・アルバムから新曲「Keres」のミュージックビデオを公開!

オーストラリアのデスコア・バンド、Thy Art Is Murder (ザイ・アート・イズ・マーダー) が新曲「Keres」のミュージック・ビデオを公開しました。バンドのヴォーカリスト、CJ McMahonはこの曲について「今まで作った中で最大のビデオクリップだ!」と語っている。このミュージックビデオは、Third Eye Visualsと共同で制作されたもの。

ギタリストのAndy Marshはこうコメントしている:

「ニュー・シングルを世に送り出すのに、これほど興奮することは滅多にない。”Keres”は、メタル・アンセムであり、削ぎ落とされた詩と踏みつけるようなコーラスで満たされている。楽曲タイトルである”Keres”は古代ギリシャ神話に登場する邪悪な精霊で、死者を喰らうが暴力行為には関与できない。私たちは、この振る舞いが、古代の戦場でそうであったように、ニュースや政治の場でも関連性があると考えています」。

「Keres」は、9月15日にリリースされるバンドの6枚目のスタジオ・アルバム『Godlike』の収録。

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Thy Art is Murder、新曲「Join Me In Armageddon」のミュージックビデオを公開!

 

オーストラリアのデスコア・バンド、Thy Art is Murder (ザイ・アート・イズ・マーダー) が新曲「Join Me In Armageddon」のミュージックビデオを公開しました。この楽曲は、今年9月にリリースを予定している6枚目のニュー・アルバム『Godlike』からの先行シングル。Spotify等の音楽プラットフォームでも視聴することが可能です。

【RIFF CULT Spotifyプレイリスト】

RIFF CULTのSpotifyプレイリストでは、日々世界中でリリースされるメタルコア、デスコア、デスメタル、プログレッシヴ・メタルなどを更新するプレイリストを公開しています。ぜひお気に入りに登録して日々のディグに役立てて下さい。

▶︎All New Metalcore
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▶︎All New Brutal / Technical Death Metal
▶︎All New Nu-Metal / Rap Metal /Nu Metalcore

 

Thy Art is Murder、メルボルンで行われたライブのフルセットライブ映像を公開!

オーストラリアを代表するデスコア・バンド、Thy Art is Murder (ザイ・アート・イズ・マーダー) が、2012年にリリースした彼らのアイコニックなアルバム『Hate』のリリース10周年を記念したツアー「Decade of Hate Australian Tour」から1月14日にメルボルンの会場The Forumで行ったライブの映像を公開しました。

「Decade of Hate Tour」はオーストラリアをはじめ、3大陸で43公演を行い、彼らの母国オーストラリアでの熱狂は凄まじいものがありました。Fit For An Autopsyのメンバーで、Thy Art is Murderとも親交の厚いWill Putneyがこのビデオのオーディオ・ミックスを担当、マルチカメラによる臨場感のあるこの映像は、彼らがオーストラリアでどのような存在であるかを体感できるものだ。

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オージー・デスコア・ベテラン、Thy Art is Murderが新曲「Until There Is No Longer」をリリース!

オーストラリアのデスコア・バンド Thy Art Is Murder が、Fit For An AutopsyとMalevolenceとのスプリットEP『The Aggression Sessions』を4月7日にリリースする準備をしており、アルバムの最初のトラックでThy Art is Murderの新曲である「Until There Is No Longer」をリリースしました。

 

 

数週間前、Fit For An Autopsyはオープニングトラック「Hellions」を発表しています。

 

Thy Art Is Murder、Fit For An Autopsy、Malevolenceによる豪華3wayスプリット4月発売決定

 

Thy Art Is MurderのギタリストであるAndrew Marshが最近Vanflip podcastに出演し、バンドとのツアーやレコーディング、そしてオーストラリアとコロラドの間で自分の時間を分け、多くの時間を人々を観察し、ドッペルゲンガーについて考えることに費やしている彼自身の生活について話しました。彼はバンドとのツアーやレコーディング、そしてアルバム「Hate」の制作プロセスについても話し、バンドの特徴的なサウンドを形作ったプロデューサーであるWill Putneyとの仕事についても洞察を共有しました。

 

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Thy Art Is Murder、Fit For An Autopsy、Malevolenceによる豪華3wayスプリット4月発売決定

 

現代デスコアを象徴する存在と言えるThy Art Is Murder、Fit For An Autopsy、Malevolenceによる3wayスプリット作品、『The Aggression Sessions』が4月7日にNuclear Blastからリリースされることが発表されました。この発表に合わせてFit For An Autopsyがシングル「Hellions」をリリースしています。

 

 

トラックリストは以下の通り。Cannibal CorpseやAt The Gatesのカバーをどのように仕上げてくるのか、非常に楽しみですね。

 

1. Fit For An Autopsy “Hellions”
2. Thy Art Is Murder “Until There Is No Longer”
3. Malevolence “Waste Of Myself”
4. Fit For An Autopsy “Under A Serpent Sun” (At The Gates cover)
5. Thy Art Is Murder “Hammer Smashed Face” (Cannibal Corpse cover)
6. Malevolence – “Left Outside Alone”