「Dear Suffering」は、2025年にリリースされた Caliban のアルバム Back From Hell のデラックスエディションに収録されている楽曲で、スタジオバージョンでは Fit For An Autopsy の Joe Bad がフィーチャリング参加していた。デラックス版は、元の収録曲に加えてライブ音源やカバー曲などを含んでおり、今回のライブ映像もその一部として発表された。
公開されたライブ映像は 2025 年にドイツのケルンで行われた公演のもので、バンドがライブセット中に Andreas Bjulver と共に「Dear Suffering」を演奏する様子が撮影されている。視聴者は、ステージでの熱量と共演の瞬間をオンライン上で確認できる。
「私たちは、絶対的なトップである少数の人々の欲のために、人々が貧困と悲惨な生活を強いられ、飢え死にし、路上で死んでいる世界に住んでいます。”Like Vultures”はこのような人々に呼びかけ、私たちが彼らを見ていること、そして彼らが自業自得であることを知らせます。我々は数日後にNever Say Dieのツアーに出るが、このビデオは昨年のツアーの映像の束で構成されている。今年のツアーに戻るのが待ちきれないよ」。
Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。
2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!
第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All
一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。
第8位 : Lorna Shore – Immortal
前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。
アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。
アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。
前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。
デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。
RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!
第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread
イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。
さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。
第1位 : Within The Ruins – Black Heart
2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。
発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。