Bodysnatcher、新作『Vile Conduct』2024年9月リリース決定! ニュー・シングル「Severed」のMV公開

アメリカ・フロリダのデスコア・バンド、Bodysnatcher が、2024年9月3日に新しいEP『Vile Conduct』をMNRK Heavyからデジタルリリースすることを発表しました。このEPのフィジカル・ヴァージョンは、レコード・ストア・デイの一環として先週末にリリースされている。また、バンドは新曲「Severed」のミュージックビデオを公開した。

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2022年上半期のデスコア 名盤TOP10

 

アルバムを除けば、2022年上半期のデスコア・シーンは、Lorna Shoreの話題で持ちきりだった。リアクション・ビデオとして恰好の楽曲となった「To The Hellfire」(*2021年リリース)、「Sun//Eater」はデスコア・リスナーだけでなく、オーバーグラウンドのメタル・シーンにも衝撃を与えた。そこからデスコア、ブラッケンド・デスコア・シーンへどのくらい新しいリスナーが流入したかは分かりかねるが、アンダーグラウンド・デスコア・シーンは次のLorna Shoreになるべくブラッケンドなスタイルが本格的にトレンド化していった。半数くらいは正直ブラッケンド・デスコアを上手く表現しきれていないが、デスコアの中のマイクロ・ジャンルとして成立するくらいにはブラッケンド・デスコアを自称するバンドが増えてきたように思う。

 

個人的な思いとしてはメタル・ミームとしてデスコアは非常に扱いやすい「ネタ」であるので、Lorna Shoreをきっかけにもっとたくさんの新規デスコア・リスナーが増えるかなと思っていた。「ネタとは言うのはどうなのか」ってのもあると思うけど、アンダーグラウンドの新しい音楽にとって、カッコつけて聴かれないことよりネタとしてリアクションされることの方が数百倍価値があるはずだ。

 

色々思うことはこれくらいにしといて、2022年の上半期にリリースされた作品の中から、これからの数年重要な作品になって行くだろう作品をピックアップ、レビューしてみた。新しいお気に入りを見つけて欲しい。

 

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NOCTURNAL BLOODLUST 『ARGOS』

一言 : デスコアの未来に語り継がれていく名作
▶︎https://linktr.ee/nb_argos

 

NOCTURNAL BLOODLUST、通称ノクブラ。彼らのサウンドを「デスコア」というジャンルの枠だけに当てはめるのはもはや不可能だ。ただ、RIFF CULT的視点でこのアルバムをどこかにカテゴライズしなければならないとするならば、「デスコア」以外の何者でもないことから2022年上半期のデスコア・ナンバーワン・アルバムとして評したい。

 

このアルバムをオープニングからエンディングまで聴いた時、メンバーが現代メタルコアやデスコア、その他周辺ジャンルのトレンドをしっかりとキャッチしていることがよく分かる。NorthlaneやErraといったプログレッシヴ・メタルコアのリフ・ワーク、Lorna ShoreやShadow of Intentに代表されるシンフォニック/ブラッケンド・デスコアのオーケストレーション、加えて、日本のラウド・シーンで育まれてきたメインストリーム・ラウドの様式美、ニューメタルコアの尖ったサウンド・プロダクション。細部に至るまでこだわりを貫いたアレンジが組み込まれており、何度聴くたびに発見があり、時代の感覚をしっかりとキャッチしていることが感じられる。

 

デスコアとして評した時に、このアルバムのキートラックとなるのはもちろんPROMPTSのPKがゲストとしてフィーチャリングしている「Cremation」だ。本格的なオーケストレーションはMasahiro Aokiのアレンジによるもので、世界中見渡してもこれほど優れたオーケストレーションを持つデスコアの楽曲はない。「Red Soil」や「Bow Down」といった楽曲についてはメタルコアの2022年トップトラックとして語る必要もあるし、10年、20年後に2020年代のメタルを語るとき、このアルバムがどれほど重要なものであったか話題に登るに違いない。リアルタイムでこの作品を体感できている事に人類は感謝したほうがいいくらい。とにかく素晴らしかった。

 

 

 

Shadow of Intent 『Elegy』

一言 : シンフォニック・メタルとデスコアの最高級クロスオーバー
▶︎https://found.ee/9kCZ4

 

シンフォニック・デスコアと言えばShadow of Intentという人も多いだろう。結成以来レーベルに所属せず、D.I.Yのスタイルを取るバンドとして他のデスコア・バンドへ与えた影響は大きい。そんな彼らの鳴らすサウンドにデスコアのトレンドが追いつき始めた2022年、この『Elegy』がもたらした衝撃は凄まじいものがあった。デスコアにシンフォニックなエレメンツを加えたというよりは、シンフォニック・メタルとデスコアのクロスオーバーと表現するのが言い得て妙だろう。そのバランス感覚は頭ひとつ抜きん出た才能によって作られるものであり、決して簡単にフォロワーを生み出せるようなスタイルではない。アルバム収録曲で先行シングル/ミュージックビデオとして発表された「Intensified Genocide」に彼らの魅力がたっぷりと詰まっている。

 

 

 

Enterprise Earth 『The Chosen』

一言 : Dan Watsonのカリスマ性がたっぷり味わえる
▶︎https://enterpriseearth-thechosen.com/

 

デスコア・シーンのカリスマ・ボーカリストDan Watson在籍時のラスト・アルバム。Enterprise Earthの人気を考えた時、やはり彼の存在は大きいし、『The Chosen』もそんな彼のデスコア・ボーカリストとしての魅力がたっぷり詰まった作品だ。

 

ハイピッチ・スクリームからメロディックなシャウトまで、緊張感のあるサウンドをスリリングに表現する彼の歌声はやはり、高い人気があるだけあってクオリティは一級品。アートワークから楽曲のタイトル、プロモーションに至るまで一貫したコンセプトがあり、サウンド・デザインも時折オリエンタルな要素があったりとEnterprise Earthの世界観に忠実であったのも素晴らしいポイントだ。一つ一つの楽曲では伝わらない魅力が、アルバムという形になった初めて伝わってくる。新たなボーカリストが加入し、再び動き出した彼らの動向にも注目だ。

 

 

 

 

Bodysnatcher 『Bleed-Abide』

一言 : 殺傷能力MAX モッシュ・パートてんこ盛り
▶︎https://bodysnatcher.ffm.to/bleed-abide

 

アメリカン・アンダーグラウンド・デスコアの王者とでも言うべきBodysnatcher。ダウンテンポ・デスコアのポテンシャルを最大限に発揮したタフなサウンドは、これまでに幾多のフロアで殺人級のモッシュを巻き起こし、その殺傷能力に磨きをかけてきた。Lorna Shoreを筆頭に、シンフォニック/ブラッケンド・デスコア・ムーヴメントが巻き起こる今、全くメタルの影響を受けず、ハードコア・ルーツのモッシュパートを武器とするサウンド・デザインに振り切っているのが清々しい。「Absolved of the Strings and Stone」や「Flatline」といった楽曲はそんな彼らの持ち味が発揮されたキラーチューン。

 

 

 

 

Mire Lore 『Underworld』

一言 : 次のデスコア・トレンドはこれだ
▶︎https://www.youtube.com/watch?v=60-NmVx2Zqo

 

上記のEnterprise Earth、そしてBodysnatcherに在籍した経歴を持つDan Watson (ex-Enterprise Earth / ex-Infant Annihilator)と、Frankie Cilella (ex-Bodysnatcher / Existence Has Failed) によるプロジェクト、Mire LoreのEP。上半期滑り込みで食い込みTOP10にランクイン。コアなデスコア・リスナーの関心を集めるこのプロジェクト、BodysnatcherのモッシュコアのエレメンツとDan Watsonのハイ&ローを見事に操るスクリームの数々が味わえるハイブリットな仕上がりだ。言うならば、現代デスコアのシンフォニック的なトレンドと激化するヘヴィネスの両方を兼ね備えたサウンドと言えるだろう。独特の緊張感も漂わせつつ、アンダーグラウンド的な美的感覚をスケール豊かに表現した、実に今っぽい作品と言えるだろう。

 

 

 

Paleface 『Fear & Dagger』

一言 : スラミング・ビートダウン最高傑作
▶︎https://linktr.ee/palefaceswiss

 

スイスを拠点に活動するPalefaceは、Slam Worldwideを通じ発表してきた様々なミュージックビデオをきっかけに注目を集めてきた。メンバーが首を吊って集団自殺するかのようなビデオ・ディレクションは刺激的で、彼らのサウンドを上手く表現している。

 

怒りや日頃の鬱憤を歌詞やサウンドに投影するということは長い音楽の歴史を見てもよくあることだが、彼らはその怒りのレベルが桁違い。ビートダウンを軸に縦横無尽に展開する彼らのサウンドは、マックスに達した怒りによって発生する感情のうねりを表現しているし、ボーカル、コーラスのラフなスタイルもまとまらない感情そのままだ。例えば震えるほどの怒りを感じやり場のない怒りに感情を支配された時、『Fear & Dagger』を聴くことによって怒りの発散が出来るし、聴く鎮静剤として非常に有能。デスコアかと言われれば賛否両論あるかと思うが、スラミング・ビートダウンを鳴らすバンド自体少ないので、デスコアとして今回は評価したい。

 

 

 

Fit For An Autopsy 『Oh What the Future Holds』

一言 : メインストリーム・デスコアの最先端
▶︎https://bfan.link/FitForAnAutopsy-OWTFH

 

数々のデスコア歴史的名盤を手掛けてきたWill Putney率いるFit For An Autopsy。オーバーグラウンドのメタルシーンのメタル勢に引けを取らないサウンド・プロダクションで他のデスコア勢を圧倒する本作は、ミドルテンポ主体かつオルタナティヴ・メタルのエッセンスを取り入れた挑戦的な仕上がりとなっている。先行シングル/ミュージックビデオとして公開された「Far From Heaven」では、雄大なコーラスワークを携えたクリーンパートとミドルテンポからでしか作り出せないダイナミックなブレイクダウン/ビートダウン・パートが印象的。

 

 

 

 

And Hell Followed With 『Quietus』

一言 : クラシック・スタイルそのままで奇跡の復活
▶︎https://www.facebook.com/AndHellFollowedWith

 

2010年にアルバム『Proprioception』以来、12年振りとなる完全復活作『Quietus』に、古参デスコア・リスナーは大いに沸いたことだろう。音楽SNSとして一世風靡したmySpace世代のデスコアとして解散後もカルト的な存在として影響を与え続けてきた。

 

スタイルに大きな変化はなく、ファストなブラストビートを主体にデモニックなグロウルを炸裂させていく。トリプル・ギターなのも懐かしのデスコア・スタイルを感じさせてくれる。ベテランの復帰ともあり、参加したゲスト・ミュージシャンも豪華で、BodysnatcherのKyle Medina、Brand of SacrificeのKyle Anderson、The FacelessのJulian Kersey、VulvodyniaのDuncan Bentley、Spirit BreakerのTre Turnerらが楽曲に華を添える。

 

 

 

Worm Shepherd 『Ritual Hymns』

一言 : これが本物のブラッケンド・デスコア
▶︎https://orcd.co/wsritualhymns

 

いよいよブラッケンド・デスコアが本格的に主流になっていくという予感が確信に変わったのがちょうど1年前。Lorna Shoreの「To the Hellfire」がリリースされたことで、後続のバンドが2022年に入り続々と登場してきた。その中でもWorm Shepherdは、主流になっていくという予感が芽生えた頃、いち早くブラッケンド・スタイルを取り込み出したことを覚えている。それは2020年、シングル「ACCURSED」をリリースした時だったと思う。彼らはそれを深く追求し、整理、Worm Shepherdのサウンドとして作り上げ、Unique Leader Recordsと契約まで果たした。このアルバムが持つ重要性、後に2020年代のデスコアのムーヴメントを掘り下げた時、Lorna Shoreと同様に扱われるべき作品であることは間違いない。

 

 

 

The Last Ten Seconds of Life 『The Last Ten Seconds of Life』

一言 : 遂に完成させたニューメタルxモッシュコアの高次元融合
▶︎https://orcd.co/tltsol

 

Bodysnatcher同様、長きにわたりアメリカン・アンダーグラウンド・デスコアの番長的存在感を見せてきたThe Last Ten Seconds of Life。アルバムリリース後にWyatt McLaughlin以外のメンバーが脱退するという事件が起きてしまったものの、バンドの歴史を振り返った時、この作品は歴代トップに匹敵する作品だと感じる。

 

彼らがニューメタルへと傾倒したとき、シーンで賛否両論巻き起こったことは鮮明に覚えている。自分自身、それを受け入れるのに時間がかかったが、昨今のニューメタルコア・ムーヴメントを見れば早すぎた試みだったのかもしれない (今のニューメタルコアとはスタイルは違うが)。彼らが試みてきたニューメタルとデスコアのクロスオーバーはここへきてグッと洗練され、モッシュ・パート主体でありつつ、KornやSlipknotを彷彿とさせるアクセントを取り入れてる。RIFF CULT的に世界一かっこいいバンド名だと思ってるので、新たなメンバーが加入し、これからも活動を継続してくれることを願うばかりだ。

 

Prompts、BodysnatcherのKyleをフィーチャーした新曲「Of Nothing」リリース!

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=FAxTfMFhLX0″ /]

 

2022年7月8日にニューアルバム『Fracture』をリリースするメタルコア・バンド、Promptsが、BodysnatcherのKyle Medinaをフィーチャーした新曲「Of Nothing」のヴィジュアライザー・ビデオを公開しました。このアルバムをリリースする日から、新たなツアーをスタートさせる。

 

▶︎ツアーの詳細はこちら : https://riffcult.net/2022/07/05/prompts-japan-tour-2022/

 

デスコア 2020年の名盤 10選

 

『デスコア・ガイドブック』を執筆してからも、デスコアシーンにおけるトレンドは日々変わり続けている。今年はここ数年の中では比較的シーンに大きな動きはなかったように感じたが、それもデスコアというシーンが一度確立され、安定期に入ったからだと思う。幅広いメタルシーンの中においても異端的な存在感は消え、ヘヴィでグルーヴィな新しいメタルとして受け入れられているのも事実だし、商業的に成功しているバンドも多い。

 

Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。

 

2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!

 

第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All

 

オーストラリア/ブリズベンを拠点に活動するデスコアバンド、Aversions Crownの前作『Zenocide』から3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。

 

リリースはNuclear Blast。リードトラック「The Soil」や「Paradigm」はこのアルバムのサウンドを象徴する楽曲で、ハイスピードなブラストビートを主体としながら、バウンシーなパートをここぞというところでのみ挟んでいく。シンプルにブラッケンド・デスコアの良さを味わう事が出来るし、Nuclear Blastからのリリースという事で、幅広いメタルリスナーにもリーチできるポテンシャルを持っているように感じる。

 

 

 

 

第9位 : Alukah – Descending

 

アメリカ/メリーランドを拠点に活動するAlukahのデビューアルバムはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からリリースされた。

 

一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。

 

 

第8位 : Lorna Shore – Immortal

 

前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。

リリース直前にボーカリストCJを取り巻く女性問題があった事からアルバムがリリースされるかも怪しい状況になっていたが、彼をクビにしてまで彼のボーカルが入った作品をリリースしたバンドの英断を尊重してリストに入れました。ボーカルを評価対象から外したとしても、この作品はデスコアの未来に強い影響をもたらす事は間違いないし、AdamとAndrewのギターワークはメタルコアシーンを見渡してもハイセンスである。現在はWill Ramosが新たなボーカリストとして加入しているので、このアルバムを引っさげたツアー活動も2021年には開始していいと思う。というか、するべきだ。Lorna Shoreは今止まってはいけない重要なバンドなのだから。

 

 

 

第7位 : Reflections – Willow

 

アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。

 

アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。

 

 

第6位 : Distant – Dawn of Corruption

 

オランダ/ロッテルダムを拠点に活動するDistantのセカンドアルバム (EPにカテゴライズされている場合もあり)。彼らがUnique Leader Recordsと契約したことにはかなり驚いたが、今ではレーベルの中でも高い人気を誇るバンドであるし、玄人向けっぽいサウンドプロダクションでありながらも、ツボはしっかりあって、バウンシー。

 

 

第5位 : Bodysnatcher – This Heavy Void

 

アメリカ/フロリダを拠点に活動するBodysnatcherの前作『Death Of Me』から3年振りとなるセカンドアルバム。リリースはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からで、これを執筆している2020年12月現在、eOneへと移籍している。

 

この大きな移籍からも分かるように本作以降、彼らの注目度は右肩上がりであり、ハードコアからデスコア、そしてメタルコアまで幅広く評価を得ている。メタルコアやハードコアに言える事だが、年々ヘヴィさが増し、デスコアとの境界線が曖昧になってきている。Bodysnatcherもそういう意味でデスコアとは言い切れないサウンドである事は間違いないが、デスコアがデスメタル+メタルコアをブレンドしたサウンド、という事からすでに脱却していて、メタル要素がなくてもデスコアになり得るという事を証明してくれているようにも思う。2021年はeOneからおそらく何かリリースがあるはずなので、どういうサウンドを鳴らすか楽しみだ。

 

 

第4位 : The Acacia Strain – Slow Decay

 

前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。

 

Rise Recordsとの契約からすでに8年が経過し、デスコア/ハードコアというジャンルのくくりからは外れ、The Acacia Strainでしかないというようなサウンドを作る事に注力してきたように思う。そんな中でも本作は、すでにベテランとして確固たる地位を確立しながらも、ハードコアのヘヴィネスを追求する姿勢には脱帽。もちろんデスコアとして聴いても素晴らしく、ソリッドなサウンドプロダクションが主流の現行シーンには感じるものがたくさん見つかる作品だ。

 

 

 

第3位 : Cabal – Drag Me Down

 

デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。

 

RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!

 

 

 

第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread

 

イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。

 

さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。

 

 

 

第1位 : Within The Ruins – Black Heart

 

2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。

 

発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。