Ingested、『Live at the Arch Recording Studio 2024』ライヴセッション映像を公開

Ingestedは、『Live at the Arch Recording Studio 2024』と題したスタジオ・ライヴセッション映像を公開した。この映像は、イギリスのサウスポートにあるThe Arch Recording Studiosで2024年12月に行われたパフォーマンスを収めたもので、バンドの過去楽曲をスタジオで演奏する様子が映されている。

公開された映像には、「Impending Dominance」(2020年リリースの『Where Only Gods May Tread』収録)と「Invidious」(2018年リリースの『The Level Above Human』収録)の2曲が含まれている。音声の録音・ミックス・マスタリングはNico Beninatoが担当し、映像の撮影と編集はLoki Filmsが行っている。

Filmed in December 2024 at The Arch Recording Studios in Southport, UK, this exclusive live session features two crushing tracks from the Ingested back catalogue — Impending Dominance (from Where Only Gods May Tread, 2020) and Invidious (from The Level Above Human, 2018), both originally released on Unique Leader Records.

 

【2024年上半期】スラミング・ブルータル・デスメタルの名盤10選 アルバムレビュー

ブルータル・デスメタルとスラミング・ブルータル・デスメタルを意識的に分けて聴くようにしている。それは、ブルータル・デスメタルというジャンルが元来の魅力として持っているスピード、重さ、それらを掛け合わせて放たれるブルータルさを忘れないようにしたいという思いからだ。Internal BleedingやDevourment、Kraaniumといったバンドはこれらの間にあるようなバンドであるが、よりビートダウン・ハードコアやデスコアというものとの結びつきが強かったり、スラムパートに特化したソングライティングにフォーカスしているバンドをスラミング・ブルータル・デスメタルとして聴いている。そうするとやはりビートダウンの破壊力であったり、速くなくても重さであったりというところで、良さがくっきりと立ち上がって聴こえてくる。どちらも好きな音楽であり、同じジャンルの音楽であるが、その微妙な違いを意識しながら聴くことで、このジャンルがこれからどのようにして進化していくのか、どのようなバンドやそのバンドの作品、楽曲、ミュージックビデオがこれらのジャンルに影響をもたらすかがより微細に感じられると信じている。下記にアルバムレビューした作品は、どれもブルータル・デスメタルであり、中にはビートダウン・ハードコア、またはスラミング・デスコアというさらに細かくタグ付けできるものもあるが、ここではスラミング・ブルータル・デスメタルとしてまとめていく。スラミングという言葉が、ブルータル・デスメタルやデスコア、ビートダウン・ハードコアに与えている影響を感じながら、さらにはブルータル・デスメタルとの違いを感じながら、レビューを元にいろんな音楽を聴いてみて欲しい。

 


 

Ingested 『The Tide Of Death And Fractured Dreams』

イングランド・マンチェスター出身の結成18年目”Ingested”。Metal Blade Recordsと契約してリリースされた2022年のアルバムから2年振りとなる通算7枚目フルレングス。Unique Leader Records と契約したのも衝撃的だった記憶はまだ新しいが、彼らはさらに上を目指し、精力的なツアー活動、スラミング・ブルータル・デスメタルでありながらマイクロ・ジャンルを超え、メインストリームでも通用するダイナミックなサウンドを完成させ、着実にファンベースを拡大してきた。デスコア・シーンでも彼らの名は広く浸透していて、デスメタル・リスナーだけがファンベースの核を担っていないのも強みの一つなのだろう。

本作はパンデミック期からIngestedのプロデュースを担当しているNico Beninatoが再びレコーディングに参加し、エンジニアリングまでを担当。ゲスト参加しているミュージシャンも豪華で、「Expect to Fail」にはSylosisのJosh Middleton、「In Nothingness」にはChimairaのMark Hunterがフィーチャーされている。スラミング畑とはほとんど無縁な彼らを選んだのも、今のIngested人気無くしては実現しなかった興味深い選択なのでは無いだろうか。正直、彼らのポテンシャルを考えれば、「スラミング・ブルータル・デスメタル」などといったマイクロ・ジャンルで括ること自体、あまり歓迎されないことかもしれないが、このスタイルがメインストリームでも受け入れられる可能性があることを体現していること、複雑なフックは無いにしても、純度の高いスラミング・スタイルが根っこにある上で完成させられているアルバムであることはイメージしながら聴くべき作品であるだろう。シュルレアリズム画家David Seidmanの手がけたアートワークも印象的。

 

Enemy 906 『Through The Hell』

「西部の真珠」と呼ばれるメキシコ第二の都市グアダラハラ出身のEnemy 906によるデビュー・アルバム (Vile Tapes Recordsからのリリース)。2020年からボーカリストRodrigo Martinez、ギタリストのDaniel FreyとEdgar Gomez、ドラマーGerardo Lopez、ベーシストSalvador Coronaの5人で活動しており、アーティスト写真を見るに”いかにもメキシコ”というような危険な香りが漂っており、それはサウンドからも放たれている。暴力的なサンプリングから急激にビートダウンする「Deathwish」や、ダウンテンポ・デスコア最高峰Bodysnatcherをフィーチャーした「Agony」、Kraaniumが参加している「Finish You」まで血みどろのモッシュピットを展開するスラミング・ビートダウンが炸裂。危なげなストリートで撮影されたアルバムのリードトラック「Mercilessly」のミュージックビデオは必見。リアルなギャングなしでここまで危ない雰囲気なのは、さすがメキシコ。

 

Axiomatic Dematerialization 『Absolute Elimination Of Existence』

ロシア・モスクワにて2020年に結成されたトリオ”Axiomatic Dematerialization”待望のデビュー・アルバム。彼らのシングルはずっとチェックしていて、明らかに他のスラミング・バンドを圧倒するエネルギーに圧倒されてきた。そのエネルギーの源と言えるドラムを担うのは、 Humaniacに在籍し、これまでAbnormityやEnemy Crucifixionで叩いてきたKirill Chumachek。ボーカルはSergey Kulikov、ギタリストはRoman Yakushevとこれまでにキャリアのないフレッシュなメンバーであるが、彼らのテクニックはかなり高い。Romanは時折ニューメタルコアにあるようなワーミーも効かせたプレイで、卓越されたスラムリフを切り刻んでいく。それを盛り立てるようなボーカルとドラミングはパワフルで、我々がスラミング・ブルータル・デスメタルに求めるものを形にしてくれる。スタジオ・ミュージシャンが彼らの他に3人おり、音源の破壊力という意味ではしっかり作り込まれているが、ライブはどうだろうか。ライブ動画はなさそうなので、今は音源制作メインなのだろう。ぜひフォローしておきたい現代スラム注目のバンドの一つ。

 

Atoll 『Inhuman Implants』

アリゾナ州フェニックスのデスメタル・バンド、AtollがUnique Leader Records からリリースした通算5枚目のフルアルバム。Avarice、Eyes of Perdition、Grofbólに在籍するボーカリストWade Taylor、元IconocaustのMatt MarkleとSpencer Fergusonがギター、ベースはCameron Broomfieldで、Rising Pain、Searching for Reasonにも在籍するAndy Luffeyがドラマー、という一見そこまで有名とは思えない経歴からなるバンドであるが、何故かUnique Leader Records と前作から引き続き契約してアルバムをリリースしている。

一聴しても、Atollのサウンドのどこにデスメタル・リスナーを惹き続ける魅力があるのか分かりにくい。スラミング/ブルータル・デスメタルというにはやや中途半端であるし、ストレートなデスメタルとも言えない。彼らのソーシャルメディアを見てみると、かなりのライブをこなし、いくつか聞き覚えのあるフェスにもラインナップされていることから、この手のジャンルでは決して多くない貴重なライブバンドであるということが分かる。全員長髪で大きな髭を蓄え、熊のようにデカいという全体のビジュアルもインパクトがあり、ライブ映像をみるとかなりスラムリフでモッシュを煽りまくっているので、ライブに定評があるのだと思う。

それを意識して聴くとやはり、ステージ向けのスラムリフが目立つ。エクスペリメンタルな小技も随所にあり、フィンガーピッキングのベースラインも時折テクニカルに唸る。スラム主体でありながら、各パートが奇妙なことをやっている、そういうポリフォニーがAtollの魅力なのかもしれない。決して目立つ存在ではないが、”アメリカのデスメタルでライブバンド”って感じは最近のバンドには珍しいところなのかもしれない。

 

Cranial Bifurcation 『Junkie Of Necrosadism』

ロシアとウクライナに在住するデスメタル・ミュージシャンによるユニット、Cranial Bifurcation。2024年にそんなユニットは、他のジャンルには無いと思う。ギター、ベース、そしてドラム・プログラミングを担当するウクライナ出身のNazar Pashkevichは、最近Regurgitation Excrementというユニットも立ち上げて、東欧アンダーグラウンドデスメタルを盛り上げている。ロシア在住のArtem Nefedovはこの他に何かバンドをやっているわけでは無いようだ。一聴するとそこまで優れたスラミング・ブルータル・デスメタルでは無いように感じるが、ライブなんかで聴くとモッシュが起こりそうなシンプルなスラムリフがかなり強烈だ。戦争状態にある国のミュージシャンが「Limb Removal」といった楽曲をプレイしていることにデスメタル・リスナーとしては不思議な感動がある。感動というか違和感というか。アートワークもよくみると、ウクライナの国旗のカラーリングをモチーフにしているようである。レーベルのBandcampからNYPでダウンロードも可。

 

Embodiment Elimination 『Metamorphosis Incarnate Through Genetic Devastation』

ロシアのブルータル・デスメタル・シーンの実力者達によるサイド・プロジェクト”Embodiment Elimination”のデビュー・アルバムは、同郷の人気レーベルInherited Suffering Recordsからのリリース。

ドラマーのRoman Tyutinは世界最高峰のアヴァンギャルド・ブルータル・デスメタル・バンドByoNoiseGeneratorの中心人物で、ボーカルのArtem ShirmanはCovidectomyやDeprecationといったソロプロジェクトを持ち、Manifesting Obscenityというテクニカル・デスメタル・ユニットではギタリストとしても活躍する実力派。個人的にはByoNoiseGeneratorはデスメタル・シーンの幅広いマイクロ・ジャンルで評価されるべきバンドだと思っていて、このバンドのメンバーのプロジェクトは必ずチェックするようにしている。テクニック、フレーズのアイデアなどにおいて何か必ず印象に残るチャームポイントがあるのだ。

Embodiment EliminationもほとんどRomanのドラミングだけで聴く価値があるが、多くのプロジェクトを掛け持ち、日夜リリースに明け暮れるような創作意欲とテクニックを持ち合わせているArtemのボーカルとしての才能もここでは一つ聴きどころになっている。

 

Mass Killings 『The Coed Murders』

イングランド出身でBlood Rage、Clinician、Flaxといった誰も知らないデスメタル・ユニット (またはFlaxではすべての楽器を担当)で日夜創作に励むTom HughesのプロジェクトとしてスタートしたMass Killings。本作からは新たに相棒としてアメリカ出身で、1Diazidocarbamoyl5Azidotetrazole、Abducted and Brutalized、Beidl、Penectomy、Radiologist、Sodomizing Amputation、Syndactyly、Teratology、Trazodon、Vaultなどなど多数のプロジェクトに参加するLouis Simmerをボーカリストに迎え、ユニット体制で制作されたデビュー・アルバム。

殺人鬼をテーマに実際に起こった事件の写真をコラージュした物々しさ漂う作品で、決して打ち込みプロジェクトとして乱雑にリリースされ忘れ去られていくようなB級感はない。ブルータル・デスメタルといっても良いが、ブラストビートの疾走から華麗にブレイクする様は、スラミングの才能があるように思う。スラミングパート自体は少ないし、楽曲の単調さがあるものの、その中で光るスラムリフの一つ一つが持つ残忍性の高さは素晴らしいと感じる。

 

Repulsive Humanity 『Purge The Grotesque Consequences Of Humanity』

2022年、チリの都市バルパライソを拠点に結成された3人組。ドラマーMiguel Ruiz、
ギターとベースを兼任するErnesto Córdova、ボーカリストNiko SolarからなるRepulsive Humanity、今年2月にちょうどチリから来日したパンクバンドのツアーを少し担当させてもらったのですが、一人がバルパライソ出身だった。「英語はほとんど通じない街だと思うよ」と話していたが、彼らはどうだろうか。

本作でまず目を引くのがFrancisco Fez Leivaというチリ出身のアーティストが担当したアートワークだ。巨大なミキサーに向かって人間が悲鳴をあげながら降り注いでいる様はなんとも残酷な描写だ。これはYouTubeにアップされているヴィジュアライザーでも多くのブルータル・デスメタル・リスナーを惹きつける。

さて彼らのサウンドであるが、ベースドロップを随所に施し、生臭い血液のミストの中で重々しいリフを刻み込んでいくというクラシックなスラミング・ブルータル・デスメタル・スタイル。時にメンバー全員でのコーラスパートもあったり、どこかビートダウン・ハードコア的な要素も感じられる。EPというすっきりとしたサイズも聴きやすく、作品として楽しみやすいと思う。

 

Maimed 『Propagate Onslaught』

Between the Killings、Necessary Death、Severed Headshopといったバンドで一緒に活動するベーシストのIan DygulskiとドラマーJustin Wallisch、Apophatic、Solar Flare & the Sperm Whales of Passionなど、幾つものアンダーグラウンド・バンドを兼任する、同じくアメリカ出身のボーカリストKyle Messick、そして前述のMass Killingsにも在籍するイギリス出身のTom Hughesがギタリストを務めるウェブベースの4人組”Maimed”によるデビュー・アルバム。コロナ禍でこうしたプロジェクトは一気に増えて、10を超えるバンドを兼任するような、創作意欲溢れるデスメタル・ミュージシャン達が一気に増えたように感じる。彼らに関連するバンドをいくつもリリースしているレーベルSewer Rot Recordsからリリースされた本作は、紫と青を基調としたけばけばしいアートワークが目を引く。こうしたアートワークはオールドスクールなデスメタル・バンドの近作に多く見られる。彼らもそうしたオールドスクールな流れの中にあるように感じるフレーズが随所に感じられる。

例えばKyleのボーカルの湿っぽさはドロドロしたデスメタルのそれだし、乾いたスネア、ゴツゴツとしたサウンドプロダクションも決して現代的なスラミングぽさではない。ただ、そうしたプロダクションから放たれる強烈なブレイクがMaimedの場合、非常に心地良く鳴らされている。また、ほとんどの楽曲でさまざまなギタリストがフィーチャリング・ゲストとしてギターソロを提供しているのも面白い。Tomが在籍していたCrypt Rotが好きなら、Maimedもチェックしておいた方が良さそうだ。

 

Osteonecrosis 『Necrotizing Marrows Vol. I』

フィンランド出身の男女ユニット、Osteonecrosisによるデビュー・アルバム。ボーカリストのJennikaはBashedやUnearthly Ritesにも在籍していて、それらのバンドではベースを担当しているので、ボーカルとしての才能を発揮しているのはこのOsteonecrosisだけだ。ギタリストのEerikがおそらく他の楽器をすべて担当しているものと思われる。イントロからも感じられるように、Hennikaが在籍しているデスメタル、グラインドコア・バンドにはない、ギャングスタ・スラムの雰囲気が全編に渡って漂っており、ヘヴィなスラムリフが刻み込まれ続ける本作をグッと危険なスタイルにしている。その要素はアートワークからも感じられるはずだ。基本的にテンポの遅いスラミング・スタイルなのだが、それでも曲の後半部分ではさらに深部へと落とし込む強烈なパートが待ち構えている。ボーカルのスタイルもLorna ShoreのWill Ramosを彷彿とさせるものや、Knockled Looseのようなバンドにも近いものが節々にある。ハードコア・リスナーも必聴の作品と言えるだろう。

Ingested、地元マンチェスターで撮影した「With Broken Wings」のミュージックビデオを公開!

 

イングランドのデスコア・バンド Ingested が、新曲「With Broken Wings」のミュージックビデオを公開しました。バンドのボーカリストである Jason Evans は、このミュージックビデオの撮影について以下のように語っています。

 

 

「このビデオが撮影された街 マンチェスター は、常に私たちのアイデンティティの大きな部分を占めています。だから、このビデオは私たちのルーツと子供の頃に聴いて育った音楽への敬意とオマージュを込めたものにしたいと思いました。マンチェスターの住宅街の路上で、連続した1テイクで撮影したんだ。ただマンチェスターの路上で、クソ重いリフを奏でながらね。これが俺たちの家さ」。

 

バンドは2023年5月から約1ヶ月間、DEVOURMENT、EXTERMINATION DISMEMBERMENT、ORGANECTOMYと共にツアーを行う。

 

 

Ingested、AbortedのSvenをフィーチャーした新曲「From Hollow Words」のミュージックビデオを公開!

 

UKブルータル・デスコア/デスメタル・バンド、Ingestedが2022年11月4日にMetal Blade Recordsからリリースするニュー・アルバム『Ashes Lie Still』から、AbortedのSven de Caluwéをフィーチャした新曲「From Hollow Words」のミュージックビデオを公開しました。視聴は下記から出来ます。

 

 

 

UKデスコア・バンド、Ingestedが新曲「Tides of Glass」をリリース!

UKデスコア・バンド、Ingestedが新曲「Tides of Glass」をリリースしました。この楽曲は、2022年11月4日にMetal Blade Recordsからリリースされるニューアルバム『Ashes Lie Still』の収録曲です。

 

年間100本以上のライブをこなし、鍛錬を重ねたそのサウンドは引き締まったピュア・グルーヴ溢れる仕上がり。かつてのブルータリティはやや落ち着いたものの、オーバーグラウンドでの反応が気になる、ゴージャスなデスコア、アルバムも楽しみです。Lorna Shoreのツアーに帯同することで、グッとファンが増えそう。

 

 

Ingested 『Ashes Lie Still』

 

1. Ashes Lie Still (feat. Julia Frau)
2. Shadows in Time
3. You’ll Never Learn
4. Tides of Glass
5. From Hollow Words (feat. Sven De Caluwé)
6. Sea of Stone
7. All I’ve Lost (feat. Matthew K. Heafy)
8. With Broken Wings
9. Echoes of Hate
10. Scratch the Vein
11. Rebirth (Remixed)

 

デスコア 2020年の名盤 10選

 

『デスコア・ガイドブック』を執筆してからも、デスコアシーンにおけるトレンドは日々変わり続けている。今年はここ数年の中では比較的シーンに大きな動きはなかったように感じたが、それもデスコアというシーンが一度確立され、安定期に入ったからだと思う。幅広いメタルシーンの中においても異端的な存在感は消え、ヘヴィでグルーヴィな新しいメタルとして受け入れられているのも事実だし、商業的に成功しているバンドも多い。

 

Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。

 

2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!

 

第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All

 

オーストラリア/ブリズベンを拠点に活動するデスコアバンド、Aversions Crownの前作『Zenocide』から3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。

 

リリースはNuclear Blast。リードトラック「The Soil」や「Paradigm」はこのアルバムのサウンドを象徴する楽曲で、ハイスピードなブラストビートを主体としながら、バウンシーなパートをここぞというところでのみ挟んでいく。シンプルにブラッケンド・デスコアの良さを味わう事が出来るし、Nuclear Blastからのリリースという事で、幅広いメタルリスナーにもリーチできるポテンシャルを持っているように感じる。

 

 

 

 

第9位 : Alukah – Descending

 

アメリカ/メリーランドを拠点に活動するAlukahのデビューアルバムはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からリリースされた。

 

一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。

 

 

第8位 : Lorna Shore – Immortal

 

前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。

リリース直前にボーカリストCJを取り巻く女性問題があった事からアルバムがリリースされるかも怪しい状況になっていたが、彼をクビにしてまで彼のボーカルが入った作品をリリースしたバンドの英断を尊重してリストに入れました。ボーカルを評価対象から外したとしても、この作品はデスコアの未来に強い影響をもたらす事は間違いないし、AdamとAndrewのギターワークはメタルコアシーンを見渡してもハイセンスである。現在はWill Ramosが新たなボーカリストとして加入しているので、このアルバムを引っさげたツアー活動も2021年には開始していいと思う。というか、するべきだ。Lorna Shoreは今止まってはいけない重要なバンドなのだから。

 

 

 

第7位 : Reflections – Willow

 

アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。

 

アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。

 

 

第6位 : Distant – Dawn of Corruption

 

オランダ/ロッテルダムを拠点に活動するDistantのセカンドアルバム (EPにカテゴライズされている場合もあり)。彼らがUnique Leader Recordsと契約したことにはかなり驚いたが、今ではレーベルの中でも高い人気を誇るバンドであるし、玄人向けっぽいサウンドプロダクションでありながらも、ツボはしっかりあって、バウンシー。

 

 

第5位 : Bodysnatcher – This Heavy Void

 

アメリカ/フロリダを拠点に活動するBodysnatcherの前作『Death Of Me』から3年振りとなるセカンドアルバム。リリースはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からで、これを執筆している2020年12月現在、eOneへと移籍している。

 

この大きな移籍からも分かるように本作以降、彼らの注目度は右肩上がりであり、ハードコアからデスコア、そしてメタルコアまで幅広く評価を得ている。メタルコアやハードコアに言える事だが、年々ヘヴィさが増し、デスコアとの境界線が曖昧になってきている。Bodysnatcherもそういう意味でデスコアとは言い切れないサウンドである事は間違いないが、デスコアがデスメタル+メタルコアをブレンドしたサウンド、という事からすでに脱却していて、メタル要素がなくてもデスコアになり得るという事を証明してくれているようにも思う。2021年はeOneからおそらく何かリリースがあるはずなので、どういうサウンドを鳴らすか楽しみだ。

 

 

第4位 : The Acacia Strain – Slow Decay

 

前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。

 

Rise Recordsとの契約からすでに8年が経過し、デスコア/ハードコアというジャンルのくくりからは外れ、The Acacia Strainでしかないというようなサウンドを作る事に注力してきたように思う。そんな中でも本作は、すでにベテランとして確固たる地位を確立しながらも、ハードコアのヘヴィネスを追求する姿勢には脱帽。もちろんデスコアとして聴いても素晴らしく、ソリッドなサウンドプロダクションが主流の現行シーンには感じるものがたくさん見つかる作品だ。

 

 

 

第3位 : Cabal – Drag Me Down

 

デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。

 

RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!

 

 

 

第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread

 

イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。

 

さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。

 

 

 

第1位 : Within The Ruins – Black Heart

 

2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。

 

発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。

 

新しいヘヴィネス (11月13日配信)


Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum – Utpāda
ベラルーシの長名デスメタルバンド、略してEximperitusはWillowtip Recordsと契約し、アルバム『Šahrartu』を来年1月にリリースします。すでにバンドのオフィシャルbandcampで先行公開されている楽曲もありますが、本日公開された「Utpāda」は、エモーショナルなメロディックエレメンツを雄大に散りばめたリードトラックで、Eximperitusのポテンシャルを存分に引き出す事に成功した作品と言えるでしょう。

Chelsea Grin – Blind Kings
昨今のダンサブルなデスコアが心地良いChelsea Grinの新曲は、David Marshall、Stephen Rutishauser、Pablo Viveros、Thomas Barberの4名がバンドメンバーとしてクレジットされている。

INGESTED – Butchered and Devoured
既にブルータルデスメタルシーン、特にスラミング系を好むリスナーから高い支持を集めるINGESTEDが2007年にリリースした作品のリミックス/リマスター盤をUnique Leader Recordsから発売する事をアナウンス。タイトルは『Stinking Cesspool of Liquified Human Remnants』で、来年1月15日に公開される。強烈なボーカルワークと整理されたドラミングからは、2007年当時に盛り上がりを見せていたカオティックハードコア、例えばSee You Next TuesdayやIwrestledabearonceを彷彿とさせるインパクトに溢れている。

Ambers – Empty Vessel
ドイツ/ミュンヘンを拠点に2017年から活動するプログレッシヴメタルコアバンド、Ambersの新曲。昨年8月にリリースしたEP『Covariance』以降初となる新曲は、デスコアにも接近するヘヴィネスを搭載した重量級のリフと多彩なメロディを紡ぎ出すギターワークが鮮やかな1曲。
https://ambersband.de/