2026年上半期ブルータルデスメタルの名盤13選

2026年の上半期にリリースされたブルータル・デスメタル (中にはテクニカル、プログレッシヴ・デスメタルも含まれます) の中から良かったものをアルバムレビューしました。ぜひ、新しいお気に入りを見つけてください。

RIFF CULTのSpotifyプレイリストでは、毎週新しいデスメタルの新曲、アルバムをピックアップしています。

こちらをフォローして新曲情報をGETしてください : https://lit.link/riffcult-death

 

 

▶︎Ingested 『Denigration』

活動拠点 : Manchester, Greater Manchester, England
結成年 : 2006
レーベル : Metal Blade Records
ジャンル : Slam/Brutal Death Metal/Deathcore
バンドのコンセプト/テーマ : Necrophilia, Gore (early); Murder, Vengeance, Domination (later)

ここ数年のIngestedの作品をレビューするとしたら、デスコアとしてレビューしてきたと記憶している。Metal Blade Recordsと契約してから3枚目のアルバムとなる本作は、近年の『Ashes Lie Still』や『The Tide of Death and Fractured Dreams』で見られたのスケールの大きなアンビエントなスタイルを取り込んだ方向性から離れている。初期、特にUnique Leader Records時代のIngestedが得意としてきた、ブルータル・デスコアへと回帰している。

メタルコア・バンドVarialsのボーカリストであるSkyler Conderをフィーチャーしたオープニングトラック「Dragged Apart」で幕を開けると、心地良く抜けていくスネアのブラストビートが炸裂。シネマティックなアレンジへの挑戦が控えてになったことで、生々しいブルータルでデスメタリックなIngestedの魅力が引き出されている。Varialsもメタルコアの中では非常にヘヴィでダークなスタイルを得意とするバンドであるので、ジャンルの垣根を超えて、共通するスタイルを持つ両者のフィーチャリングは素晴らしいものがある。ヒロイックなギターのソロパートも交えつつ、基本はブルータルだ。

ミュージックビデオになっている「Watch You Fold」はこの作品のスタイルを象徴するものだ。Dying Fetusを彷彿とさせるシンプルなバンガー。デスメタル・ルーツの細工が随所に見られるし、ブルータル・デスコアのノリもたっぷり詰め込まれている。この楽曲だけではないが、Josh Daviesが録音していたヴォーカルをすべて再録して、Sean Hynesと新加入のAndrew Virruetaがヴォーカルを分担したことで、低いガテラルと高音域の攻撃的なヴォーカルを重ねたメリハリのあるハーシュ・ボーカルのレイヤーが展開に迫力を持たせている。これは今後Ingestedの武器になっていくはずだろう。

これを読んでいる方は、どっちのIngestedが好きだろうか。オルタナティヴな感覚を用い、よりモダンでメインストリームへと挑戦するIngestedか、ブルータル・デスコアという言葉が徐々に出てきた頃のブルータルなIngested。どちらも魅力はあるが、ある程度キャリアを築いた彼らがここでブルータルに戻っていくというのが面白いと感じる。

Lineup :

Lyn Jeffs : Drums
*Lyn Jeffsの経歴 : ex-Dark Earth, ex-Nexus Inferis, ex-Vengeance, Mal, ex-Annotations of an Autopsy, ex-Crepitation, ex-Asphyxiated (live), ex-Decapity, ex-Trephined

Sean Hynes : Guitars, Lead Vocals
*Sean Hynesの経歴 : ex-Age of Suffering, ex-Annotations of an Autopsy, ex-Crepitation, ex-Decrepit Womb

Thomas O’Malley : Bass
*Thomas O’Malleyの経歴 : Worm Shepherd, ex-Steel Mage

Andrew Virrueta : Guitars, Lead Vocals
*Andrew Virruetaの経歴 : Interloper, Moon Twin, Pale Torch, Vampire Squid, Entheos (live), The Faceless (live), Brazen Tide, Cries ov Christ, ex-Sea of Skies

Guest / Session :
Skyler Conder : Vocals (track 1)
Damonteal Harris : Vocals (track 2)
John Gallagher : Vocals (track 3)
Kyle Medina : Vocals (track 6)

Other Staff :
Nico Beninato : Producer

Artwork :
Giannis Nakos : Artwork

 

▶︎Stabbing 『Eon of Obscenity』

活動拠点 : Houston, Texas, United States
結成年 : 2020
レーベル : Century Media Records
ジャンル : Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Gore, Torture, Murder, Sexual Violence

まさかStabbingがCentury Media Recordsとの契約を勝ち取るとは誰が想像しただろうか。記憶が正しければ、デビューした当時は女性ボーカルが二人いたが、デビュー前にBridget Lynchのみとなっている。

Disgorge/SuffocationのボーカリストRicky Myersがゲストで参加するなど、将来のブルータル・デスメタル・シーンを牽引していく存在としての期待を一身に背負って放たれたこの作品は、現代ブルータル・デスメタルに求められるヘヴィネスと伝統的な美的感覚が見事に融合した作品と言えるだろう。

これまでよりもディープに、そしてヴァラエティ豊かなガテラルを手に入れたLynchのハーシュ・ボーカルの存在感は圧倒的で、うねるリフ、それに絡みついていくベースリフ、そして荒っぽさを残しながらも隙間なく叩き込まれるドラミングのカオスの中であっても、ボーカルでStabbingのサウンドを引っ張っていく力がある。それはSuffocationのファンなら良く分かると思うが、ブルータル・デスメタルでスピードやブレイクダウンに埋没しないボーカルの存在感は非常に重要。

「Ruminations」や「Nauseating Composition」では、Skinlessなどを思わせるニューヨーク・デスメタル的なグルーヴもかなり完成度が高く、アルバムの聞きどころの一つだろう。ライブも意識したモッシャブルなパートも多いのも素晴らしい。前作の可能性を発展させた優れた成長作であり、Stabbingを現代ブルータル・デスメタルの有力バンドとして定着させる作品と評価していいだろう。

Lineup :

Matt Day : Bass
*Matt Dayの経歴 : Architectural Genocide

Aron Hetsko : Drums
*Aron Hetskoの経歴 : The Xebellian Triangle, Aethereus (live), ex-The Crypt Alive, Cuiviénen, Enterprise Earth, ex-Desecation (live), ex-Dessiderium (live), ex-Fallujah (live), ex-Dorzia

Marvin Ruiz : Guitars
*Marvin Ruizの経歴 : Devourment, Myiacyst, Nephilim Grinder, Dysmetria, ex-Nephilim Terror, ex-Desecrate the Faith, ex-Sculpting Atrocity, ex-Venomous Supremacy (live)

Bridget Lynch : Vocals
*Bridget Lynchの経歴 : Pyosisified, Dystopian Reality, ex-Nephilim Grinder, ex-Animals Killing People (live), ex-Suffocation (live)

Guest / Session :
Ricky Myers : Additional Vocals(track 7)

Other Staff :
Ben Gott : Recording
Chris Kritikos : Mixing, Mastering

Artwork :
Rudi Yanto : Artwork

 

▶︎Devourment 『Pious Impiety』 EP


活動拠点 : Dallas, Texas, United States
結成年 : 1995
レーベル : Relapse Records
ジャンル : Slam/Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Rape, Misogyny (early); Gore, Torture, Death, Insanity, Society

Devourmentが2019年作『Obscene Majesty』以来となる新作『Pious Impiety』を突如リリース。歓喜したリスナーも多いだろう。この作品の収録曲はわずか3曲だが、その短さを感じさせないほど内容は濃密だ。それを証明するように、Relapse RecordsのYouTubeチャンネルでは、Full EP Performance Videoが公開されており、本作を最初から最後までパフォーマンスするという映像が公開されている。「3曲12分」というサイズ感は、今のDevourmentを感じるのに、非常にピッタリなサイズかもしれない。

低く沈み込むリフ、スネアが転がるようにして叩き込まれるブラストビート、スラムグルーヴ、そしてRuben Rosasによるガテラル・ヴォーカル。彼らの基本的な武器は変わっていない。『Pious Impiety』では、これまでのDevourmentファンが期待する作品であることは間違いなく、現代スラムに向けて「スラミング・ブルータル・デスメタルとはこうである」というものをわかりやすく聴かせてくれる作品として、広く聴かれるべきであると感じる。Relapseからのリリースというのも頷ける。

 

本作で特に重要なのが、ファストなブラストビートと直角にビートダウンして打ち込まれるスラムパートの対比だ。この極端さがデスメタル的な美的感覚で展開される様々なパートと荒っぽさをそのまま残したサウンドプロダクションと相まって、スラミング・ブルータル・デスメタルらしいおどろおどろしさを醸し出している。

「Mortiferous Dependency」は、この特徴が最も分かりやすい楽曲だ。高速パートから粘着質なリフを中心としたミッドテンポへ移行し、さらに速度を落としていく。テンポが遅くなるほど一音ごとの圧力が増し、スラムそのものの破壊力が際立っている。

新たに加わったMarvin Ruizのギターも、本作の重要な要素だ。Stabbingでも活動するRuizは、Devourment本来のスタイルへ自然に溶け込みながら、粘りつくようなチャグと渦巻くチェーンソーリフを巧みにプレイしている。Dave Spencerのベースとの組み合わせも強力で、弦楽器全体が巨大な低音の塊となって楽曲を支えている。また、随所に挿入される鋭いピンチ・ハーモニクスも印象的だ。90年代のブルータル・デスメタルや初期Devourmentとのつながりも感じさせる。

最終曲「Advanced Stage Decomposition」では、スラム、ブラストビート、ハーモニクスを繰り返しながら速度を変化させ、最後まで強度を落とさない。特にスローパートではRosasのヴォーカルと低域のリフが重なり、本作でも屈指の圧迫感を生み出している。

現在のスラム・シーンにはDevourmentから影響を受けたバンドが無数に存在している。それでも『Pious Impiety』を聴けば、Devourmentが単なるパイオニアとして過去を振り返っているわけではないことが分かる。奇抜なギミックに頼らず、アクセルの踏み替え、聴けば分かるロー・ガテラル、ドラムの荒っぽさという、DevourmentがDevourmentたる基本的な要素を突き詰めることで、自分たちのスタイルをさらに深化させている。

Lineup :

Ruben Rosas : Vocals
*Ruben Rosasの経歴 : ex-Detrimental

Marvin Ruiz : Guitars
*Marvin Ruizの経歴 : Nephilim Grinder, Stabbing, ex-Nephilim Terror, ex-Myiacyst, ex-Desecrate the Faith, ex-Dysmetria, ex-Sculpting Atrocity, ex-Venomous Supremacy (live)

Dave Spencer : Bass
*Dave Spencerの経歴 : ex-Meshiha, ex-With Immortality, ex-Antikythera, ex-Her Virgin Womb, ex-Inhumanity, ex-Insatanity, ex-Psychiatric Regurgitation, ex-Rottenness, ex-Knife Cult, ex-Nightfire, ex-Trephination, ex-Protogenoi

Brad Fincher : Drums
*Brad Fincherの経歴 : Murderous, ex-Meshiha, ex-Necrocide

Other Staff :
Daniel Schmuck : Producer, Mixing, Engineering, Mastering

Artwork :
Khaos Diktator : Artwork

 

▶︎Death Vomit 『Thou Shalt Behold』

活動拠点 : Yogyakarta, Indonesia
結成年 : 1995
レーベル : Brutal Mind
ジャンル : Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Brutality, Death, Hatred

結成から30年以上が経ち、今ではインドネシアのブルータル・デスメタルの王座に君臨するのがDeath Vomitだ。オリジナルメンバーは¥ドラマーのRoy Agusのみであるが、2003年から20年に渡ってDeath Vomitのソングライティングも手掛けてきたOki Haribowoが2023年からギター/ボーカルへとパートチェンジ。同時に加入した若きベーシストAri Kristionoとのコンビネーションも良く、Death Vomit新章幕開けとなるに相応しいラインナップで制作されている。

Death Vomitは、完全にクラシックなブルータルデスメタルと呼べるほど残虐なわけでもなければ、テクニカル・デスメタルと呼べるほどの技巧派ではないが、そのバランスを上手く取っているのが素晴らしい。派手さはなく、地味と言っていいかもしれないが、そこにはメロディックな面白いリフが隠れていたり、完璧なトーンで表現されていたり、熟練技と言えるグルーヴがある。Roy Agusによるドラムは、ほかの多くのインドネシアのブルータル・デスメタルバンドとは異なり、楽曲全体を支配しすぎることがないのも逆に印象的だ。こういう玄人好みと言える作品に出会い、1曲1曲味わいながら聴くことは、デスメタル・リスナーとして本当に幸せな瞬間だ。このリフが凄いとか、ここのドラミングとガテラルはDeath Vomitしかない、とか。

Lineup :

Oki Haribowo : Guitars, Vocals, Songwriting, Lyrics
*Oki Haribowoの経歴 : ex-Brutal Corpse, ex-Delusive Purity, ex-Venomed, ex-Mortal Scream

Roy Agus : Drums
*Roy Agusの経歴 : Venomed, ex-Devoured, ex-Cranial Incisored

Ari Kristiono : Bass
*Ari Kristionoの経歴 : Delusive Purity, Detritivor

Other Staff :
Devid : Engineering
Indra : Mixing, Mastering
Corna : Photography

Artwork :
Andik : Artwork

 

▶︎Vile Desolation 『Annihilating the Consciousness』

活動拠点 : East Java, Indonesia
結成年 : no data
レーベル : Comatose Music
ジャンル : Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : no data

デビュー・アルバム。ラインナップを見れば分かるように、それぞれに数多くのプロジェクトを持ち、特にドラマーのRamaはAnthropophagus DepravityやGerogot、Perverationなどでプレイする実力派。先に書いたDeath Vomitのドラミングを彷彿とさせる、派手すぎないがしっかり重くタイトでありつつ、ミニマルなスネアが特徴的だ。

インドネシアン・ブルータル・デスメタルの典例とも言うべきサウンドで、気持ちの良い、転がるようなスネアのブラストビート、メランコリックなメロディをひっそりと組み込みつつ、スラムリフも刻んでいく。

今インドネシアの中で一番良いバンドなのではないだろうか。注目しておきたい。

Lineup :

Hendika Dwi Prasetyo : Bass, Guitars
*Hendika Dwi Prasetyoの経歴 : Death Artery, Devouring Carnage, Disvile, Gorested, Hephaestus, Nematocyst, Putrescent, Reveals, Rhizotomy, Rotten Blood, Spastic, Vertiginous

Rama Maulana : Drums
*Rama Maulanaの経歴 : Abhorrently, Anthropophagus Depravity, Discarnage, Gerogot, Invigorate, Multiwomb, Perveration, Restlessly, Scattered Disease, Vitrectomy, ex-Depraved Murder, ex-Criminal Impact (live)

Yudha Dwi Setyawan : Vocals
*Yudha Dwi Setyawanの経歴 : Gory, Maggoth, Necrotic Catastrophism, Restlessly

Artwork :
Bvllmetalart : Artwork

 

▶︎Ecchymosis 『Thanatocorporeal Sculptures of Cryogenic Excruciation』

活動拠点 : Bangkok, Thailand
結成年 : 2014
レーベル : New Standard Elite
ジャンル : Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Gore, Sickness, Pathology

タイ・バンコクを拠点とするEcchymosisによる3作目のフルアルバム。アルバムのコンセプトは、遠隔地の凍てついた荒野で行われる非人道的な凍結拷問。この拷問によって肉体と意識が徐々に崩壊していく過程を通じた絶対的な支配、理性を超えた苦痛への耐久、人間的価値の完全な剥奪を表現している。Guang Yangによるカバー・アートは秀逸だ。

Ecchumosisは最初の来日をRIFF CULTで行ったこともあり、バンドスタートからメンバーの持つ数多くのプロジェクトも含めてずっと追いかけてきた。ブラスティング・スタイルをエクストリームに追求し、スピード超過のあまりもはやハーシュノイズウォールに接近していく様は本当に素晴らしい。メンバーもノイズは好きだったと話していた記憶がある。

全体的に非常に暗く、ほとんどメロディがない。また、スラミング・ブルータル・デスメタルにほとんど接近しない (もちろんスラムに近いリフはあるものの、全体感からは感じられない) 。2026年にそれを意図しないことは難しいだろう。Ecchymosisのプライドが感じられる。

Lineup :

Polwach Beokhaimook : Drums
*Polwach Beokhaimookの経歴 : ๛, A Good Day for Killing, Biomorphic Engulfment, Cadavoracity, Genocidal Sodomy, Sewage, Smallpox Aroma, Urged, Arboreal, Audduekhon Ausswad, Chamber of Tapeworms, Corporal Stains, Cystgurgle, Epiploenterocele Pusliquid Wormchunk, Fermenting Gastroduodenoblennorrhagous Waste, Gonococcus, Polwach Beokhaimook, Red Tiles, Unsignified Death, ex-Theurgy, ex-Fecal Sac, ex-Parasitic Infestation, ex-Shark Pussy Shock, ex-Vomitoma

Twish Kulsu : Guitars
*Twish Kulsuの経歴 : Atheism, Masochist, Pathological Sadism, Savage Deity, Skewer, Torturation, Chainfight, Cystgurgle, Inequality, ST89, ex-Nocturnal Damnation (live), ex-Lack of Insight

Weerasak Kitthammapirak : Vocals
*Weerasak Kitthammapirakの経歴 : Bodysnatch, Skewer, Splattered Orgasm, ex-Masochist, ex-Villainous

Wasumit Wongwai : Bass
*Wasumit Wongwaiの経歴 : Deviated, Intricated, ex-Dismal Dissonancy, ex-Splattered Orgasm

Jeeraset Paemongkol : Guitars
*Jeeraset Paemongkolの経歴 : Intricated, Skewer, Splattered Orgasm, Chainfight, ST89, ex-Shark Pussy Shock, ex-Failure Trace of Human Race (live)

 

▶︎Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum 『Meritoriousness of Equanimity』

活動拠点 : Minsk, Belarus
結成年 : 2009
レーベル : Willowtip Records
ジャンル : Brutal/Technical Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Sumerian/Babylonian mysticism, Occultism, Anti-Cosmic, Annihilation, Death

ベラルーシのバンド、通称Eximperitusの3枚目となるフルアルバム。デビュー当時は長すぎるバンド名だけが注目を集めたが、アルバムを1枚、また1枚と発表し続け、Eximperitusらしさとその挑戦について、リスナーも向き合うことが出来ているように感じる。Willowtip Recordsからのリリースというところからも分かるように、いわゆるブラストビートやチェーンソーリフのスピード・コンペティションではなく、テクニカル/プログレッシヴ・デスメタル寄りの作品である。

前作『Šahrartu』で進めた洗練と実験性はそのままに、中東音楽のようなオリエンタルなメロディさらに芳醇に燻らせている本作は、ダブル・ハーモニック・スケールやアラビア音階的なフレーズが全編に渡って繰り広げられており、古代文明、砂漠、神秘主義を連想させる異世界的な雰囲気を作り出している。これはだんだん明確になってきたEximperitusの魅力で、彼らがベラルーシという国を拠点としていること、Nileに比べ、そのオリエンタルなアトモスフィアは暗く、神秘的で、暗い。

「Golden Chains for the Construction of Individual Greatness」はここでレビューするべき、アルバムの中でもファストでブルータル・デスメタルなリード曲だ。よれながら、なんとか爪弾かれるかのようなエクスペリメンタルなギターのメロディの脆さ、儚さは、砂漠の砂が風に舞い、時折小さな竜巻を起こしながら、消え去っていくかのようである。

Eximperitusにはその名前の特異さによって、すでにリスナーの中では特筆すべき点のない、一発屋バンドのような固定概念を持つ人がたくさんいるはずだが、アルバムの完成度と独自性で言えば、これほど面白いバンドはなかなかいないのではないだろうか。頭から最後までぜひ向き合って聴いてみてほしい。

Lineup :

Sergey Liakh : Guitars, Songwriting
*Sergey Liakhの経歴 : Dispersed, Relics of Humanity, ex-Ominous Scriptures

Paweł Nałęcki : Vocals, Lyrics
*Paweł Nałęckiの経歴 : ex-Ominous Scriptures, ex-Relics of Humanity (live)

Guest / Session :
Davide Billia : Drums

 

▶︎Party Cannon 『Subjected to a Partying』 [EP]


活動拠点 : Dunfermline, Fife, Scotland
結成年 : 2010
レーベル : Unique Leader Records
ジャンル : Slam/Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Sociopolitical, Gore, Movies, Humour, Partying

Party Cannonの新作EP『Subjected to a Partying』は、彼らがこれまで築いてきたスラミング・デス/ブルータル・デスメタル/ゴアグラインドのスタイルを軸にしながら、より実験的な方向へ踏み込んだ一作だ。作品は4曲の新曲、3曲のリミックス、2025年にグラスゴーで録音されたライブ音源2曲という、かなり変則的な構成になっている。

まず前半の新曲4曲では、Party Cannonらしいライブの盛り上がりを意識した、ブルータル・デスメタル+ゴアグラインド、そして悪趣味なユーモアがたっぷりと込められている。

本作から加入したDaryl Boyceのヴォーカルは、ローガテラルやグロウルだけでなく、ピッグスクイールや発狂した奇声のようなものまでを次々と使い分け、Party Cannonの面白さの一つとして存在感を示している。Party Cannonの音楽には以前からコミカルな要素が多いが、演奏そのものは決してふざけているわけではない。そのギャップが、このバンド特有の個性につながっていると言えるだろう。

「Thirst Trap」は、さらに混沌とした方向へ進む。スラムを中心としながら、グラインド/デス的な荒々しさも感じられ、ヴォーカルのピッグスクイールも含めて、4曲の中でも特に攻撃性の強い楽曲となっている。

「Improper Use of a Speculum」は、新曲の中では比較的長め。鋭いハーモニクスや一度演奏を止めるような間、そこから再びスラムへ突入する展開など、ライブで観客の反応を引き出すことを意識していて、ライブで見てみたいと思える仕上がりだ。

そして本作最大の面白さが、後半に収録された3曲のリミックスだ。

Kmac2021による「Thirst Trap」のリミックスでは、原曲のブルータル・デスメタル的な姿はほとんど消え、テクノやドラムンベース、エレクトロ・インダストリアルに近いトラックへと変貌している。さらにFrontierによるリミックスではトラップ的なアプローチが取られ、「High Tariff Overture」ではRitualによってオーケストラ/クラシック的な方向へ大胆に再構築されている。Kmac2021もFrontierも、メタル、特にヘヴィでエクスペリメンタルなものが好きなリスナーであれば、一度は耳にしたことがあるミュージシャンだ。Party Cannonが彼らと共に、このようなリミックスを作成していることが重要であって、正直その出来は、今年の1曲というようなものに選ばれるものではないと思う。ただ、Party Cannonがブルータル・デスメタルという、デスメタルの中でも特殊なジャンルの中にいて、これまでどれだけバズってきたか、目立ってきたか、ブルータル・デスメタルというジャンルにおいて、それをメタルシーンのメジャーどころに見せつけてきた力というのは、こういう人選にもある。本当にそこには、この音楽に対する愛があると感じる。

Party Cannonは以前から、音楽だけでなくロゴ、アートワーク、楽曲タイトル、サンプルなどを含めてスラムというジャンルを独自のユーモアで扱ってきた。本作のリミックスも、その姿勢をさらに極端な形で押し進めたものと考えることができる。

最後に収録された「High Tariff Behaviour」と「Human Slime」のライブ音源では、再び本来のParty Cannonへ戻る。

特に「High Tariff Behaviour」はスタジオ音源以上にライブとの相性が良く、スラムに入った瞬間の観客の反応からも、このバンドの音楽がモッシュピットを前提として作られていることが伝わってくる。Daryl Boyceの観客を煽る能力も含め、バンドのライブ・パフォーマンスの強さがよく分かる2曲だ。

Devourment『Molesting the Decapitated』を意識したカバー・アートを含め、スラムというジャンルの歴史への愛情を見せながら、それをそのまま模倣するのではなく、自分たちなりのユーモアと過剰さで作り替えている点もParty Cannonらしい。一つの作品としての構成はめちゃくちゃだけど、Party Cannonだから特におかしいとも思わない。

Lineup :

Chris Ryan : Bass
*Chris Ryanの経歴 : Gastroschisis, Iniquitous Savagery, Laceration, Liquefied Remains, ex-Psychoanalysis, Order of Extinction, Uxoricide, ex-Gendo Ikari, ex-Hard Stare (live), ex-Freedom Fist (live)

Craig Robinson : Guitars (lead)
*Craig Robinsonの経歴 : ex-Disfigure the Insane, ex-Lycanthoropy

Martin Gazur : Drums
*Martin Gazurの経歴 : ex-Stabwound, ex-Burning the Dream, ex-Deminishion

Mike McLaughlin : Guitars (rhythm)
*Mike McLaughlinの経歴 : ex-Agonised Deformity

Daryl Boyce : Vocals
*Daryl Boyceの経歴 : Scordatura, ex-Repulsive Vision, ex-Cancerous Womb (live)

Other Staff :
Kmac2021 : Remix (track 5)

Artwork :
Guzik Art : Artwork

▶︎Gibbeting 『Execution Rampage』

活動拠点 : Argentina / Switzerland / Estonia / Netherlands
結成年 : 2025
レーベル : Pathologically Explicit Recordings
ジャンル : Brutal Death Metal/Goregrind
バンドのコンセプト/テーマ : Medieval torture, Gore, History

アルゼンチン、スイス、エストニア、オランダ在住のメンバーからなる多国籍ブルータル・デスメタル・バンド、Gibbetingの新作は、古代から中世に行われた処刑や拷問を題材したアルバムで、まさしくBrodequinファンにおすすめの作品である。Brodequinをブラスティング・ブルータル・デスメタルとカテゴライズするならば、Gibbetingはブラスティング・スラミング/ゴアグルーヴ・ブルータル・デスメタルとでも言おうか。これまでありそうでなかった、ブラスティングの上でスラムリフ/ゴアグルーヴを走らせるバンドだ。

一斗缶と聴き間違えるほどのハイピッチなピンスネアの強烈なブラストビート (ドラムプログラミングではあるがクオリティは非常に高い) は全編に渡って貫かれているが、そのバックで繰り広げられているブルータル・サウンドは、スラムリフ、ゴアグルーヴと多彩で面白い。ギタリストが曲を書いて、狂ったドラマーがその上で限りなく限界に近いレベルでブラストビートをぶち込んだサウンドは、全14曲、約27分と短いアルバムでありながら、満足感がある。

Lineup :

Aivar Keermann : Bass
*Aivar Keermannの経歴 : Hebephrenia, Hymenotomy, Molecular Fragmentation, Swag Fight, Vomitrocious, ex-Mortophilia, ex-Baalsebub

Livio Wellinger : Drum programming
*Livio Wellingerの経歴 : Bodysnatch, Corpseification, Debilitated, Delirious Compulsion, Deprecatory, Folterknecht, Secret Mutilation, Septizin, Slamentation, Swag Fight, Vomitrocious, ex-Corpus Domini, Mephitic Torso, ex-Awaken the Misogynist

Floor van Kuijk : Guitars
*Floor van Kuijkの経歴 : Acidwound, Carnifloor, Engulfed in Repugnance, Focal Dystonia, FxOxExS, Korpse, Malicious Combat, Scorbutus, Sijjeel, ex-Dark Reign, ex-RÁN, ex-Ungraceful, ex-Fermented Masturbation, ex-Cannibal Camel, ex-Odiado

Aníbal Rodríguez : Vocals
*Aníbal Rodríguezの経歴 : Infectious Algorithm, Into the Ashes, Sentencia de Odio, ex-Municion, ex-Spiritual Kaos

Artwork :
José Antonio Vives : Artwork

 

▶︎Despoilment 『Vindicated Retaliation』

活動拠点 : Tokyo, Japan
結成年 : 2019
レーベル : New Standard Elite
ジャンル : Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : no data

Hostile Eyes、StrangulationのメンバーらによるDespoilmentのデビュー作。Despoilmentは、2016年、StraingulationのTomonoriと同じ大学に通っていたTomohisaが立ち上げたバンドで、1st Demoののち、Hostile EyesのKonashiが参加し、トリオ体制となった。

ニューヨーク・ブルータル・デスメタルにあるアグレッシヴでバンガーなリフと、マシーンのように正確にそして力強いドラミング、加えて血液が沸騰しているようなガテラルの凄まじいコンビネーションがDespoilmentの聴きどころだ。一目でGuang Yangと分かるアートワークも秀逸だ。

Lineup :
Tomohisa : Vocals

Konashi : Drums
*Konashiの経歴 : Hostile Eyes, ex-Urobilinemia

Tomonori : Guitars, Bass, Vocals
*Tomonoriの経歴 : Deviated, Dismal Dissonancy, Strangulation

Artwork :
Guang Yang : Artwork

 

▶︎Torsofuck 『Erotic Diarrhea Fantasy + As Semen Blends To Rot』

活動拠点 : Harjavalta, Satakunta, Finland(初期); Espoo, Uusimaa, Finland(後期)
結成年 : 1995
レーベル : New Standard Elite
ジャンル : Slam/Brutal Death Metal/Goregrind
バンドのコンセプト/テーマ : Gore, Perversion, Misogyny, Necrophilia, Zoophilia, Sick humour

2009年に活動休止してから2022年に復活したゴアグラインド・マスターTorsofuck。この復活はシーンに大きな衝撃をもたらしたはずだ。強烈なジャケでお馴染みの代表作『Erotic Diarrhea Fantasy』は当時プログラミングドラムで制作されたゴアグラインドの名作のひとつで、「内容は覚えていないがジャケットは忘れることが出来ない」という人は多いかもしれない。本作はその再録で、オリジナルはプログラミングされたドラムであったが、生ドラムで再びレコーディングされている。しかもドラマーとしてラインナップに追加されたのは、このバンドの首謀者であるMikko Fribergの息子であるMiroだ。

中心メンバーであり続けてきたMikko Fribergがギター/ボーカルを担当し、Miroがドラム。そしてMiroとともにいくつかバンドをやっているベーシストTarmo Ahoが加入しトリオ体制で再び動き出している。親子でゴアグラインド/ブルータル・デスメタルとは驚きだ。

昨今のNew Standard Eliteサウンドとも言えるブラスティング・ブルータル・デスメタルとしての迫力があるこの作品は、ゴアグラインド・リスナーはもちろん、ダークでカオスなブルータル・デスメタルが好きならおすすめだ。ここ数年はライブ活動も精力的で、幾つもライブビデオがアップされているのでチェックしてみてほしい。

Lineup :

Mikko Friberg : Vocals, Guitars
*Mikko Fribergの経歴 : Limbless, Torso, ex-Eruption, ex-Putrefaction

Miro Friberg : Drums
*Miro Fribergの経歴 : Limbless

Tarmo Aho : Bass
*Tarmo Ahoの経歴 : Limbless, Vasari

Other Staff :
RD Audio : Mixing, Mastering
Kimmo Tyni : Recording

Artwork :
Jon Zig : Artwork

 

▶︎Mastication of Brutality Uncontrolled 『The Epoch of Anthropogenic Deities』

活動拠点 : Aschaffenburg, Bavaria, Germany
結成年 : 2007
レーベル : Show No Mercy Records
ジャンル : Technical Slam/Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : Apocalypse, Misanthropy, Science fiction, Humanity, War

下に書いてあるメンバーラインナップを見ると分かるように、メンバーは皆Despondencyに在籍しており、DespondencyではRemo Hoffmanがドラムをやっていて、Mastication Of Brutality UncontrolledではFlorianがドラム/ギターを担当している。Florian以外のメンバーが総入れ替えとなり現体制となっているが、まさか全員Despondencyからとは驚き。

前作『Preemptive Space Warfare』と聴き比べると、Sci-fiコンセプトはそれほど強くないが、テクニカルなフレーズからスラムパートへと直角に転調するスタイルは誇示している。おどろおどろしさや荒っぽさはそのままに、Florianのドラミングも良い意味で譜面通りではない強弱やよれが味わい深い。最も強烈なのは、Kieren Allanのベースで、随所に差し込まれるハーモニクスや弦を千切るほどの不協和音のタッピングなど、とても面白い。これを聴くためだけにアルバムを聴いても良いと思えるほどだ。

前振りなしで突如やってくるスラムパートの嵐は、聴き込むたびに味わい深くなるはず。

Lineup :

Florian Mayer : Drums, Guitars
*Florian Mayerの経歴 : Despondency, Omegavortex, Contra Omnes, Exterminate Mankind, ex-Blood Vengeance, ex-Incesticide, ex-Honey, I Kill You (live), ex-Cervet, ex-Provocation

Kieren Allan : Bass
*Kieren Allanの経歴 : Despondency, Imperial Execration, ex-Amputated, ex-Anoxide, ex-Basement Torture Killings, ex-Bloodshot Dawn, ex-Carnivore Diprosopus, ex-Goreinhaled, ex-Crepitation (live)

Eduardo Camargo : Guitars
*Eduardo Camargoの経歴 : Decarabion, Despondency, Imperial Execration, Molested Divinity, ex-Ataud, ex-Carnivore Diprosopus, ex-Goreinhaled, ex-Relics of Humanity

Konstantin Lühring : Vocals
*Konstantin Lühringの経歴 : Despondency, Resection, ex-Defeated Sanity, ex-Funeral Procession, ex-Gallery of Darkness, ex-Precognitive Holocaust Annotations, ex-Revulsed

Artwork :
Sheila Franco : Cover Art

 

▶︎Delirious Compulsion 『Erratum of Dysphoria』

活動拠点 : United Kingdom / United States / Czechia / Switzerland
結成年 : 2024
レーベル : Pathologically Explicit Recordings
ジャンル : Technical/Brutal Death Metal
バンドのコンセプト/テーマ : no data

ブルータル・デスメタル・プログラミング・ドラマーの中でも多くのプロジェクトを持つLivio Wellingerやチェコ在住の弱冠19歳で数々のブルータル・デスメタル・プロジェクトを立ち上げているFilip Rybaなど、それぞれに本当に多くのプロジェクト、バンドを持っている彼らのデビューアルバム。

世界中どこにいても、年齢、国籍関係なくブルータル・デスメタルはバンドが出来るし、クオリティも年々高まってきている。彼らが音楽で生計を立てているかは分からないが、趣味としてバンドを20個やって、毎年3枚も4枚もアルバムを出しているとなると、かなり充実した音楽人生ではないかと思う。もはや、たくさんバンドに在籍している、してきたことがこのシーンにおいてステータスみたいなものはある。立ち上がっては止まり、数十年後にもう一度集まってアルバムを作る…。これもまた最高のミュージシャン・ライフだと思う。

Livioのプログラミングするドラムは、時々完全にプログラミングの音がするのが良い。硬めな音質もテクニカルなプレイによく合っているし、Dakota Riveraの深いガテラル、グロウルが、作品の残虐性を支える大きな要素となっている。Joe Mortimerのベースもミックスの中で比較的聴き取りやすく、ギターやドラムとは異なるローの効いたもので、奇怪な動きを加えている。最後まで楽しく聴ける一枚。

Lineup :

Joe Mortimer : Bass
*Joe Mortimerの経歴 : Awaken the Misogynist, Bodysnatch, Chronicynic, Corpseification, Crepitation, Deprecatory, Fisted, Gorpulent, Pithy, Septizin, Colpocleisis, Eye-Gouge, ex-Cancerous Womb, ex-Neuroma, ex-Sadistic Undertorture, ex-Ogun, ex-Corrupt Moral Altar (live), ex-Exhumation (live), ex-Impurist (live), ex-Turin (live), ex-Splattered (live), ex-Kastrated (live), ex-Intravenous Contamination (live), ex-The Gribble Report

Livio Wellinger : Drum programming
*Livio Wellingerの経歴 : Deprecatory, Folterknecht, Gibbeting, Mephitic Torso, Secret Mutilation

Filip Ryba : Guitars
*Filip Rybaの経歴 : Arcanat, Blood Nature, Carcass Rapist, Debilitated, Foul Deformation

Dakota Rivera : Vocals
*Dakota Riveraの経歴 : Abducted and Brutalized, Bitchsectomy, Blood Nature, Carcass Rapist, Crypt Ripper, Debilitated, Goremaculate, Hellthorne, Intracranial Bludgeoning, Putrified Degradation, Sadistic Butchering, Suntold, Inherit Obscurity, Spectral Phlegmesis, Torturous, ex-A Scarlet Gospel, ex-Forged in Gore, ex-Inanimate Prognosis, ex-Vomitrocious

Guest / Session :
Corey Athos : Vocals (track 3)
Aníbal Rodríguez : Vocals (track 6)
A.V. : Vocals (track 8)

Other Staff :
Filip Ryba : Mixing, Mastering
Tom Dring : Re-amping

Artwork :
Tony Koehl : Artwork

 

 

▶︎そのほか2026年上半期にリリースされたアルバム/EP

Vomit Forth – In the Name of the Father [EP]
活動拠点 : Pittsfield, Massachusetts, United States
結成年 : 2018
レーベル : Pure Noise Records

 

Bayonet Dismemberment – Skull Crushed by a Tank [EP]
活動拠点 : Vancouver, British Columbia, Canada
結成年 : no data
レーベル : Unsigned/independent

 

Dysmorfectomy – Black Hole of Intertwined Corpses
活動拠点 : Carhaix-Plouguer, Brittany, France
結成年 : 2015
レーベル : Amputated Vein Records

 

Acranius – Whiteout
活動拠点 : Rostock, Mecklenburg-Vorpommern, Germany
結成年 : 2009
レーベル : Rising Nemesis Records

 

Corpse Maggot Crew – Family Neighbourhood [EP]
活動拠点 : Perth, Western Australia, Australia
結成年 : 2021
レーベル : Unsigned/independent

 

Subjugated – Inherent Belligerence
活動拠点 : Bilbao, Basque Country, Spain
結成年 : no data
レーベル : Amputated Vein Records

 

Desecation – Despoiled Ethereal Purity
活動拠点 : San Diego, California, United States
結成年 : 2020
レーベル : New Standard Elite

 

Acid Ingestion – Hallucinatory Homicidal Compulsions
活動拠点 : Rockford, Illinois, United States
結成年 : 2025
レーベル : Unsigned/independent

 

Necrobutcher – Establishment and Inauguration Ceremony
活動拠点 : Kediri, Java, Indonesia
結成年 : 2010
レーベル : Pathologically Explicit Recordings

 

Priapism – Ascending to the Vortex of the Dead
活動拠点 : Lanzarote-Córdoba, Spain
結成年 : 2003
レーベル : Pathologically Explicit Recordings

 

Visceral Explosion – Altar of Asphyxiated Existence [EP]
活動拠点 : South Korea
結成年 : 2020
レーベル : Brutal Mind

 

Purulence – Resurrected in Agony [EP]
活動拠点 : Wigan, Greater Manchester, England
結成年 : 2010
レーベル : Reality Fade Records

 

Open Flesh Wound – Through the Septic Cavity [EP]
活動拠点 : York, Pennsylvania, United States
結成年 : 2022
レーベル : Inherited Suffering Records

 

Fear the Dark – Inherited Suffering [EP]
活動拠点 : Saint Paul, Minnesota, United States
結成年 : 2024
レーベル : Maggot Stomp

 

Gaffed – Thinning the Herd [EP]
活動拠点 : Brick, New Jersey, United States
結成年 : 1994
レーベル : CDN Records

 

Regurgitation Excrement – One Percent Bloody Awareness [EP]
活動拠点 : Ukraine
結成年 : 2023
レーベル : SBDC Records

 

Submerged – Resurfacing Nautical Ruin [EP]
活動拠点 : San Diego, California, United States
結成年 : 2023
レーベル : New Standard Elite

Ingested、『Live at the Arch Recording Studio 2024』ライヴセッション映像を公開

Ingestedは、『Live at the Arch Recording Studio 2024』と題したスタジオ・ライヴセッション映像を公開した。この映像は、イギリスのサウスポートにあるThe Arch Recording Studiosで2024年12月に行われたパフォーマンスを収めたもので、バンドの過去楽曲をスタジオで演奏する様子が映されている。

公開された映像には、「Impending Dominance」(2020年リリースの『Where Only Gods May Tread』収録)と「Invidious」(2018年リリースの『The Level Above Human』収録)の2曲が含まれている。音声の録音・ミックス・マスタリングはNico Beninatoが担当し、映像の撮影と編集はLoki Filmsが行っている。

Filmed in December 2024 at The Arch Recording Studios in Southport, UK, this exclusive live session features two crushing tracks from the Ingested back catalogue — Impending Dominance (from Where Only Gods May Tread, 2020) and Invidious (from The Level Above Human, 2018), both originally released on Unique Leader Records.

 

【2024年上半期】スラミング・ブルータル・デスメタルの名盤10選 アルバムレビュー

ブルータル・デスメタルとスラミング・ブルータル・デスメタルを意識的に分けて聴くようにしている。それは、ブルータル・デスメタルというジャンルが元来の魅力として持っているスピード、重さ、それらを掛け合わせて放たれるブルータルさを忘れないようにしたいという思いからだ。Internal BleedingやDevourment、Kraaniumといったバンドはこれらの間にあるようなバンドであるが、よりビートダウン・ハードコアやデスコアというものとの結びつきが強かったり、スラムパートに特化したソングライティングにフォーカスしているバンドをスラミング・ブルータル・デスメタルとして聴いている。そうするとやはりビートダウンの破壊力であったり、速くなくても重さであったりというところで、良さがくっきりと立ち上がって聴こえてくる。どちらも好きな音楽であり、同じジャンルの音楽であるが、その微妙な違いを意識しながら聴くことで、このジャンルがこれからどのようにして進化していくのか、どのようなバンドやそのバンドの作品、楽曲、ミュージックビデオがこれらのジャンルに影響をもたらすかがより微細に感じられると信じている。下記にアルバムレビューした作品は、どれもブルータル・デスメタルであり、中にはビートダウン・ハードコア、またはスラミング・デスコアというさらに細かくタグ付けできるものもあるが、ここではスラミング・ブルータル・デスメタルとしてまとめていく。スラミングという言葉が、ブルータル・デスメタルやデスコア、ビートダウン・ハードコアに与えている影響を感じながら、さらにはブルータル・デスメタルとの違いを感じながら、レビューを元にいろんな音楽を聴いてみて欲しい。

 


 

Ingested 『The Tide Of Death And Fractured Dreams』

イングランド・マンチェスター出身の結成18年目”Ingested”。Metal Blade Recordsと契約してリリースされた2022年のアルバムから2年振りとなる通算7枚目フルレングス。Unique Leader Records と契約したのも衝撃的だった記憶はまだ新しいが、彼らはさらに上を目指し、精力的なツアー活動、スラミング・ブルータル・デスメタルでありながらマイクロ・ジャンルを超え、メインストリームでも通用するダイナミックなサウンドを完成させ、着実にファンベースを拡大してきた。デスコア・シーンでも彼らの名は広く浸透していて、デスメタル・リスナーだけがファンベースの核を担っていないのも強みの一つなのだろう。

本作はパンデミック期からIngestedのプロデュースを担当しているNico Beninatoが再びレコーディングに参加し、エンジニアリングまでを担当。ゲスト参加しているミュージシャンも豪華で、「Expect to Fail」にはSylosisのJosh Middleton、「In Nothingness」にはChimairaのMark Hunterがフィーチャーされている。スラミング畑とはほとんど無縁な彼らを選んだのも、今のIngested人気無くしては実現しなかった興味深い選択なのでは無いだろうか。正直、彼らのポテンシャルを考えれば、「スラミング・ブルータル・デスメタル」などといったマイクロ・ジャンルで括ること自体、あまり歓迎されないことかもしれないが、このスタイルがメインストリームでも受け入れられる可能性があることを体現していること、複雑なフックは無いにしても、純度の高いスラミング・スタイルが根っこにある上で完成させられているアルバムであることはイメージしながら聴くべき作品であるだろう。シュルレアリズム画家David Seidmanの手がけたアートワークも印象的。

 

Enemy 906 『Through The Hell』

「西部の真珠」と呼ばれるメキシコ第二の都市グアダラハラ出身のEnemy 906によるデビュー・アルバム (Vile Tapes Recordsからのリリース)。2020年からボーカリストRodrigo Martinez、ギタリストのDaniel FreyとEdgar Gomez、ドラマーGerardo Lopez、ベーシストSalvador Coronaの5人で活動しており、アーティスト写真を見るに”いかにもメキシコ”というような危険な香りが漂っており、それはサウンドからも放たれている。暴力的なサンプリングから急激にビートダウンする「Deathwish」や、ダウンテンポ・デスコア最高峰Bodysnatcherをフィーチャーした「Agony」、Kraaniumが参加している「Finish You」まで血みどろのモッシュピットを展開するスラミング・ビートダウンが炸裂。危なげなストリートで撮影されたアルバムのリードトラック「Mercilessly」のミュージックビデオは必見。リアルなギャングなしでここまで危ない雰囲気なのは、さすがメキシコ。

 

Axiomatic Dematerialization 『Absolute Elimination Of Existence』

ロシア・モスクワにて2020年に結成されたトリオ”Axiomatic Dematerialization”待望のデビュー・アルバム。彼らのシングルはずっとチェックしていて、明らかに他のスラミング・バンドを圧倒するエネルギーに圧倒されてきた。そのエネルギーの源と言えるドラムを担うのは、 Humaniacに在籍し、これまでAbnormityやEnemy Crucifixionで叩いてきたKirill Chumachek。ボーカルはSergey Kulikov、ギタリストはRoman Yakushevとこれまでにキャリアのないフレッシュなメンバーであるが、彼らのテクニックはかなり高い。Romanは時折ニューメタルコアにあるようなワーミーも効かせたプレイで、卓越されたスラムリフを切り刻んでいく。それを盛り立てるようなボーカルとドラミングはパワフルで、我々がスラミング・ブルータル・デスメタルに求めるものを形にしてくれる。スタジオ・ミュージシャンが彼らの他に3人おり、音源の破壊力という意味ではしっかり作り込まれているが、ライブはどうだろうか。ライブ動画はなさそうなので、今は音源制作メインなのだろう。ぜひフォローしておきたい現代スラム注目のバンドの一つ。

 

Atoll 『Inhuman Implants』

アリゾナ州フェニックスのデスメタル・バンド、AtollがUnique Leader Records からリリースした通算5枚目のフルアルバム。Avarice、Eyes of Perdition、Grofbólに在籍するボーカリストWade Taylor、元IconocaustのMatt MarkleとSpencer Fergusonがギター、ベースはCameron Broomfieldで、Rising Pain、Searching for Reasonにも在籍するAndy Luffeyがドラマー、という一見そこまで有名とは思えない経歴からなるバンドであるが、何故かUnique Leader Records と前作から引き続き契約してアルバムをリリースしている。

一聴しても、Atollのサウンドのどこにデスメタル・リスナーを惹き続ける魅力があるのか分かりにくい。スラミング/ブルータル・デスメタルというにはやや中途半端であるし、ストレートなデスメタルとも言えない。彼らのソーシャルメディアを見てみると、かなりのライブをこなし、いくつか聞き覚えのあるフェスにもラインナップされていることから、この手のジャンルでは決して多くない貴重なライブバンドであるということが分かる。全員長髪で大きな髭を蓄え、熊のようにデカいという全体のビジュアルもインパクトがあり、ライブ映像をみるとかなりスラムリフでモッシュを煽りまくっているので、ライブに定評があるのだと思う。

それを意識して聴くとやはり、ステージ向けのスラムリフが目立つ。エクスペリメンタルな小技も随所にあり、フィンガーピッキングのベースラインも時折テクニカルに唸る。スラム主体でありながら、各パートが奇妙なことをやっている、そういうポリフォニーがAtollの魅力なのかもしれない。決して目立つ存在ではないが、”アメリカのデスメタルでライブバンド”って感じは最近のバンドには珍しいところなのかもしれない。

 

Cranial Bifurcation 『Junkie Of Necrosadism』

ロシアとウクライナに在住するデスメタル・ミュージシャンによるユニット、Cranial Bifurcation。2024年にそんなユニットは、他のジャンルには無いと思う。ギター、ベース、そしてドラム・プログラミングを担当するウクライナ出身のNazar Pashkevichは、最近Regurgitation Excrementというユニットも立ち上げて、東欧アンダーグラウンドデスメタルを盛り上げている。ロシア在住のArtem Nefedovはこの他に何かバンドをやっているわけでは無いようだ。一聴するとそこまで優れたスラミング・ブルータル・デスメタルでは無いように感じるが、ライブなんかで聴くとモッシュが起こりそうなシンプルなスラムリフがかなり強烈だ。戦争状態にある国のミュージシャンが「Limb Removal」といった楽曲をプレイしていることにデスメタル・リスナーとしては不思議な感動がある。感動というか違和感というか。アートワークもよくみると、ウクライナの国旗のカラーリングをモチーフにしているようである。レーベルのBandcampからNYPでダウンロードも可。

 

Embodiment Elimination 『Metamorphosis Incarnate Through Genetic Devastation』

ロシアのブルータル・デスメタル・シーンの実力者達によるサイド・プロジェクト”Embodiment Elimination”のデビュー・アルバムは、同郷の人気レーベルInherited Suffering Recordsからのリリース。

ドラマーのRoman Tyutinは世界最高峰のアヴァンギャルド・ブルータル・デスメタル・バンドByoNoiseGeneratorの中心人物で、ボーカルのArtem ShirmanはCovidectomyやDeprecationといったソロプロジェクトを持ち、Manifesting Obscenityというテクニカル・デスメタル・ユニットではギタリストとしても活躍する実力派。個人的にはByoNoiseGeneratorはデスメタル・シーンの幅広いマイクロ・ジャンルで評価されるべきバンドだと思っていて、このバンドのメンバーのプロジェクトは必ずチェックするようにしている。テクニック、フレーズのアイデアなどにおいて何か必ず印象に残るチャームポイントがあるのだ。

Embodiment EliminationもほとんどRomanのドラミングだけで聴く価値があるが、多くのプロジェクトを掛け持ち、日夜リリースに明け暮れるような創作意欲とテクニックを持ち合わせているArtemのボーカルとしての才能もここでは一つ聴きどころになっている。

 

Mass Killings 『The Coed Murders』

イングランド出身でBlood Rage、Clinician、Flaxといった誰も知らないデスメタル・ユニット (またはFlaxではすべての楽器を担当)で日夜創作に励むTom HughesのプロジェクトとしてスタートしたMass Killings。本作からは新たに相棒としてアメリカ出身で、1Diazidocarbamoyl5Azidotetrazole、Abducted and Brutalized、Beidl、Penectomy、Radiologist、Sodomizing Amputation、Syndactyly、Teratology、Trazodon、Vaultなどなど多数のプロジェクトに参加するLouis Simmerをボーカリストに迎え、ユニット体制で制作されたデビュー・アルバム。

殺人鬼をテーマに実際に起こった事件の写真をコラージュした物々しさ漂う作品で、決して打ち込みプロジェクトとして乱雑にリリースされ忘れ去られていくようなB級感はない。ブルータル・デスメタルといっても良いが、ブラストビートの疾走から華麗にブレイクする様は、スラミングの才能があるように思う。スラミングパート自体は少ないし、楽曲の単調さがあるものの、その中で光るスラムリフの一つ一つが持つ残忍性の高さは素晴らしいと感じる。

 

Repulsive Humanity 『Purge The Grotesque Consequences Of Humanity』

2022年、チリの都市バルパライソを拠点に結成された3人組。ドラマーMiguel Ruiz、
ギターとベースを兼任するErnesto Córdova、ボーカリストNiko SolarからなるRepulsive Humanity、今年2月にちょうどチリから来日したパンクバンドのツアーを少し担当させてもらったのですが、一人がバルパライソ出身だった。「英語はほとんど通じない街だと思うよ」と話していたが、彼らはどうだろうか。

本作でまず目を引くのがFrancisco Fez Leivaというチリ出身のアーティストが担当したアートワークだ。巨大なミキサーに向かって人間が悲鳴をあげながら降り注いでいる様はなんとも残酷な描写だ。これはYouTubeにアップされているヴィジュアライザーでも多くのブルータル・デスメタル・リスナーを惹きつける。

さて彼らのサウンドであるが、ベースドロップを随所に施し、生臭い血液のミストの中で重々しいリフを刻み込んでいくというクラシックなスラミング・ブルータル・デスメタル・スタイル。時にメンバー全員でのコーラスパートもあったり、どこかビートダウン・ハードコア的な要素も感じられる。EPというすっきりとしたサイズも聴きやすく、作品として楽しみやすいと思う。

 

Maimed 『Propagate Onslaught』

Between the Killings、Necessary Death、Severed Headshopといったバンドで一緒に活動するベーシストのIan DygulskiとドラマーJustin Wallisch、Apophatic、Solar Flare & the Sperm Whales of Passionなど、幾つものアンダーグラウンド・バンドを兼任する、同じくアメリカ出身のボーカリストKyle Messick、そして前述のMass Killingsにも在籍するイギリス出身のTom Hughesがギタリストを務めるウェブベースの4人組”Maimed”によるデビュー・アルバム。コロナ禍でこうしたプロジェクトは一気に増えて、10を超えるバンドを兼任するような、創作意欲溢れるデスメタル・ミュージシャン達が一気に増えたように感じる。彼らに関連するバンドをいくつもリリースしているレーベルSewer Rot Recordsからリリースされた本作は、紫と青を基調としたけばけばしいアートワークが目を引く。こうしたアートワークはオールドスクールなデスメタル・バンドの近作に多く見られる。彼らもそうしたオールドスクールな流れの中にあるように感じるフレーズが随所に感じられる。

例えばKyleのボーカルの湿っぽさはドロドロしたデスメタルのそれだし、乾いたスネア、ゴツゴツとしたサウンドプロダクションも決して現代的なスラミングぽさではない。ただ、そうしたプロダクションから放たれる強烈なブレイクがMaimedの場合、非常に心地良く鳴らされている。また、ほとんどの楽曲でさまざまなギタリストがフィーチャリング・ゲストとしてギターソロを提供しているのも面白い。Tomが在籍していたCrypt Rotが好きなら、Maimedもチェックしておいた方が良さそうだ。

 

Osteonecrosis 『Necrotizing Marrows Vol. I』

フィンランド出身の男女ユニット、Osteonecrosisによるデビュー・アルバム。ボーカリストのJennikaはBashedやUnearthly Ritesにも在籍していて、それらのバンドではベースを担当しているので、ボーカルとしての才能を発揮しているのはこのOsteonecrosisだけだ。ギタリストのEerikがおそらく他の楽器をすべて担当しているものと思われる。イントロからも感じられるように、Hennikaが在籍しているデスメタル、グラインドコア・バンドにはない、ギャングスタ・スラムの雰囲気が全編に渡って漂っており、ヘヴィなスラムリフが刻み込まれ続ける本作をグッと危険なスタイルにしている。その要素はアートワークからも感じられるはずだ。基本的にテンポの遅いスラミング・スタイルなのだが、それでも曲の後半部分ではさらに深部へと落とし込む強烈なパートが待ち構えている。ボーカルのスタイルもLorna ShoreのWill Ramosを彷彿とさせるものや、Knockled Looseのようなバンドにも近いものが節々にある。ハードコア・リスナーも必聴の作品と言えるだろう。

Ingested、地元マンチェスターで撮影した「With Broken Wings」のミュージックビデオを公開!

 

イングランドのデスコア・バンド Ingested が、新曲「With Broken Wings」のミュージックビデオを公開しました。バンドのボーカリストである Jason Evans は、このミュージックビデオの撮影について以下のように語っています。

 

 

「このビデオが撮影された街 マンチェスター は、常に私たちのアイデンティティの大きな部分を占めています。だから、このビデオは私たちのルーツと子供の頃に聴いて育った音楽への敬意とオマージュを込めたものにしたいと思いました。マンチェスターの住宅街の路上で、連続した1テイクで撮影したんだ。ただマンチェスターの路上で、クソ重いリフを奏でながらね。これが俺たちの家さ」。

 

バンドは2023年5月から約1ヶ月間、DEVOURMENT、EXTERMINATION DISMEMBERMENT、ORGANECTOMYと共にツアーを行う。

 

 

Ingested、AbortedのSvenをフィーチャーした新曲「From Hollow Words」のミュージックビデオを公開!

 

UKブルータル・デスコア/デスメタル・バンド、Ingestedが2022年11月4日にMetal Blade Recordsからリリースするニュー・アルバム『Ashes Lie Still』から、AbortedのSven de Caluwéをフィーチャした新曲「From Hollow Words」のミュージックビデオを公開しました。視聴は下記から出来ます。

 

 

 

UKデスコア・バンド、Ingestedが新曲「Tides of Glass」をリリース!

UKデスコア・バンド、Ingestedが新曲「Tides of Glass」をリリースしました。この楽曲は、2022年11月4日にMetal Blade Recordsからリリースされるニューアルバム『Ashes Lie Still』の収録曲です。

 

年間100本以上のライブをこなし、鍛錬を重ねたそのサウンドは引き締まったピュア・グルーヴ溢れる仕上がり。かつてのブルータリティはやや落ち着いたものの、オーバーグラウンドでの反応が気になる、ゴージャスなデスコア、アルバムも楽しみです。Lorna Shoreのツアーに帯同することで、グッとファンが増えそう。

 

 

Ingested 『Ashes Lie Still』

 

1. Ashes Lie Still (feat. Julia Frau)
2. Shadows in Time
3. You’ll Never Learn
4. Tides of Glass
5. From Hollow Words (feat. Sven De Caluwé)
6. Sea of Stone
7. All I’ve Lost (feat. Matthew K. Heafy)
8. With Broken Wings
9. Echoes of Hate
10. Scratch the Vein
11. Rebirth (Remixed)

 

デスコア 2020年の名盤 10選

 

『デスコア・ガイドブック』を執筆してからも、デスコアシーンにおけるトレンドは日々変わり続けている。今年はここ数年の中では比較的シーンに大きな動きはなかったように感じたが、それもデスコアというシーンが一度確立され、安定期に入ったからだと思う。幅広いメタルシーンの中においても異端的な存在感は消え、ヘヴィでグルーヴィな新しいメタルとして受け入れられているのも事実だし、商業的に成功しているバンドも多い。

 

Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。

 

2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!

 

第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All

 

オーストラリア/ブリズベンを拠点に活動するデスコアバンド、Aversions Crownの前作『Zenocide』から3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。

 

リリースはNuclear Blast。リードトラック「The Soil」や「Paradigm」はこのアルバムのサウンドを象徴する楽曲で、ハイスピードなブラストビートを主体としながら、バウンシーなパートをここぞというところでのみ挟んでいく。シンプルにブラッケンド・デスコアの良さを味わう事が出来るし、Nuclear Blastからのリリースという事で、幅広いメタルリスナーにもリーチできるポテンシャルを持っているように感じる。

 

 

 

 

第9位 : Alukah – Descending

 

アメリカ/メリーランドを拠点に活動するAlukahのデビューアルバムはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からリリースされた。

 

一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。

 

 

第8位 : Lorna Shore – Immortal

 

前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。

リリース直前にボーカリストCJを取り巻く女性問題があった事からアルバムがリリースされるかも怪しい状況になっていたが、彼をクビにしてまで彼のボーカルが入った作品をリリースしたバンドの英断を尊重してリストに入れました。ボーカルを評価対象から外したとしても、この作品はデスコアの未来に強い影響をもたらす事は間違いないし、AdamとAndrewのギターワークはメタルコアシーンを見渡してもハイセンスである。現在はWill Ramosが新たなボーカリストとして加入しているので、このアルバムを引っさげたツアー活動も2021年には開始していいと思う。というか、するべきだ。Lorna Shoreは今止まってはいけない重要なバンドなのだから。

 

 

 

第7位 : Reflections – Willow

 

アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。

 

アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。

 

 

第6位 : Distant – Dawn of Corruption

 

オランダ/ロッテルダムを拠点に活動するDistantのセカンドアルバム (EPにカテゴライズされている場合もあり)。彼らがUnique Leader Recordsと契約したことにはかなり驚いたが、今ではレーベルの中でも高い人気を誇るバンドであるし、玄人向けっぽいサウンドプロダクションでありながらも、ツボはしっかりあって、バウンシー。

 

 

第5位 : Bodysnatcher – This Heavy Void

 

アメリカ/フロリダを拠点に活動するBodysnatcherの前作『Death Of Me』から3年振りとなるセカンドアルバム。リリースはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からで、これを執筆している2020年12月現在、eOneへと移籍している。

 

この大きな移籍からも分かるように本作以降、彼らの注目度は右肩上がりであり、ハードコアからデスコア、そしてメタルコアまで幅広く評価を得ている。メタルコアやハードコアに言える事だが、年々ヘヴィさが増し、デスコアとの境界線が曖昧になってきている。Bodysnatcherもそういう意味でデスコアとは言い切れないサウンドである事は間違いないが、デスコアがデスメタル+メタルコアをブレンドしたサウンド、という事からすでに脱却していて、メタル要素がなくてもデスコアになり得るという事を証明してくれているようにも思う。2021年はeOneからおそらく何かリリースがあるはずなので、どういうサウンドを鳴らすか楽しみだ。

 

 

第4位 : The Acacia Strain – Slow Decay

 

前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。

 

Rise Recordsとの契約からすでに8年が経過し、デスコア/ハードコアというジャンルのくくりからは外れ、The Acacia Strainでしかないというようなサウンドを作る事に注力してきたように思う。そんな中でも本作は、すでにベテランとして確固たる地位を確立しながらも、ハードコアのヘヴィネスを追求する姿勢には脱帽。もちろんデスコアとして聴いても素晴らしく、ソリッドなサウンドプロダクションが主流の現行シーンには感じるものがたくさん見つかる作品だ。

 

 

 

第3位 : Cabal – Drag Me Down

 

デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。

 

RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!

 

 

 

第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread

 

イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。

 

さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。

 

 

 

第1位 : Within The Ruins – Black Heart

 

2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。

 

発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。

 

新しいヘヴィネス (11月13日配信)


Eximperituserqethhzebibšiptugakkathšulweliarzaxułum – Utpāda
ベラルーシの長名デスメタルバンド、略してEximperitusはWillowtip Recordsと契約し、アルバム『Šahrartu』を来年1月にリリースします。すでにバンドのオフィシャルbandcampで先行公開されている楽曲もありますが、本日公開された「Utpāda」は、エモーショナルなメロディックエレメンツを雄大に散りばめたリードトラックで、Eximperitusのポテンシャルを存分に引き出す事に成功した作品と言えるでしょう。

Chelsea Grin – Blind Kings
昨今のダンサブルなデスコアが心地良いChelsea Grinの新曲は、David Marshall、Stephen Rutishauser、Pablo Viveros、Thomas Barberの4名がバンドメンバーとしてクレジットされている。

INGESTED – Butchered and Devoured
既にブルータルデスメタルシーン、特にスラミング系を好むリスナーから高い支持を集めるINGESTEDが2007年にリリースした作品のリミックス/リマスター盤をUnique Leader Recordsから発売する事をアナウンス。タイトルは『Stinking Cesspool of Liquified Human Remnants』で、来年1月15日に公開される。強烈なボーカルワークと整理されたドラミングからは、2007年当時に盛り上がりを見せていたカオティックハードコア、例えばSee You Next TuesdayやIwrestledabearonceを彷彿とさせるインパクトに溢れている。

Ambers – Empty Vessel
ドイツ/ミュンヘンを拠点に2017年から活動するプログレッシヴメタルコアバンド、Ambersの新曲。昨年8月にリリースしたEP『Covariance』以降初となる新曲は、デスコアにも接近するヘヴィネスを搭載した重量級のリフと多彩なメロディを紡ぎ出すギターワークが鮮やかな1曲。
https://ambersband.de/