台湾の残忍スラム王、Fatuous Rumpが新作アルバム『I Am At Your Disposal』をリリース

スラム・シーンの重要人物 Larry Wang 率いる台湾のスラミング・ブルータル・デスメタル・バンド、Fatuous Rumpが5枚目のフルアルバム『I Am At Your Disposal』をBrutal Mind / Fat Tub of Lard Records からリリースしました。YouTubeをはじめ、音楽プラットフォームにて視聴することが可能。

 

 

2017年にスタートし、早くも5枚目のフルアルバム。シンプルなスラムリフを淡々と刻みつつも、サンプリングを交えたブルータルなサンプリングが彼ら、いやLarry所属プロジェクトの持ち味。そして今回もアートワークがえげつないですね。

 

 

インドネシアン・ブルータル・デスメタル、Guttural Disease がデビューアルバム『The Foreseen Deadline』をリリース!

 

2011年からインドネシア・バンドンを拠点に活動するブルータル・デスメタル・バンド、Guttural Disease がデビュー・アルバムとなる『The Foreseen Deadline』をBrutal Mindからリリースしました。Brutal MindのYouTubeチャンネル他、bandcampなどでフル視聴することが出来ます。

 

ブルータル・デスメタル 2021年の名盤 9選

 

今年もこの時期がやってきました。RIFF CULTで1年間紹介してきたブルータルデスメタルのニュースを改めて自分で読み直し、良かった作品を聴き直し、ピックアップしてみました。

 

ジャンルの特性というか、ブルータルデスメタルを通過して誕生した様々なサブジャンルはあれど、基本的に大きな進化や変化のあるジャンルではないので、かなり個人的な好みが強いリストに毎年なってしまいます。なるべく客観的に2021年のブルータルデスメタルとして素晴らしいと感じたものを選んでいます。アルバムに絞らず、作品としてピックアップしているのでEPやライブアルバムも混じっていますがコンピレーションやボックスセットなどは省いています。知らない作品があれば、ぜひチェックしてみてください。冒頭には普段、ディグのメモとして活用しているYouTubeプレイリストも貼り付けて置くので、聴きながらリストを見ると面白いと思います。今年も素晴らしいブルータルデスメタルの作品にたくさん出会えて良かったです!

 

上記のYouTubeプレイリストで 2021年のブルータル・デスメタルをまとめてチェック。

 

 

第9位 : Perverted Dexterity 『Alacrity for Contemptuous Dissonance』

 

レーベル : Brutal Mind
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Perverted_Dexterity/3540346286

 

一言コメント : 「一人でもここまで作れるんだ」ということを世界に知らしめた一枚

 

インドネシアのワンマン・ブルデス、Perverted Dexterityの最新作。アルバムとしては2017年の『Spiritual Awakening』以来4年振り。これまでボーカル、ギター、ベース、ドラム・プログラミングと全てをJanuaryoひとりでやってきたが、本作はゲストにGorguts、Behold The ArctopusのギタリストColin Marston、ByoNoiseGeneratorのドラマーRoman Tyutinがゲスト参加している。

前作に比べダイナミズムを増したサウンド・プロダクションによって引き締まった印象を持つが、ハイスピードな前作にあった”インドネシア感”はやや薄れたように感じる。それでも垢抜けたといえるし、ワンランクレベルアップしたサウンドへと進化したと考えられる。先行シングルとしてリリースされた「The Arcane Profanity」は、バンド・アンサンブルの妙をワンマンながら上手く表現しているし、ワンマンでありながら、ここまでの作品を作ることが出来るということを世界に知らしめた意味で重要な作品だ。

 

 

第8位 : Omnioid – Regurgitated Inexistential Pestilence

レーベル : Amputed Vein Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Omnioid/3540376519

 

一言コメント : 轟音の中でキラリと光るクリエイティヴなフレーズ

 

西オーストラリアのマンジュラを拠点とするブルータルデスメタル・ユニット、Omnioidの4年振り3枚目フルレングス。前作『Hex Dimensional Paralysis』からチェックしていますが非常にポテンシャルの高いユニットで、Amputed Vein Recordsと契約したのも頷ける。

ギター、ベース、そしてドラム・プログラミングを兼任するSamboは、ボーカルのEwzaと共にCorpsefleshのメンバーとして活躍し、Anthropos VirosisというユニットからOmnioidへと転身。ユニットだからこその自由な作風がOmnioidらしさとして形になっている。クラシックなスタイルでありながら、現代的な感覚で鮮やかに転調しながら加速、時折みせるヘヴィなスラムリフも豪快かつ残忍でまさにブルータルなデスメタル。

 

 

第7位 : Cenotaph – Precognition to Eradicate

レーベル : Tentacles Industries / Coyote Records
info : https://www.metal-archives.com/bands/Cenotaph/1255

 

一言コメント : 程良いプログレッシヴ・フレーバー、ベテランの貫禄

 

1993年からトルコ/アンカラを拠点に活動するブルータルデスメタル・ベテラン、Cenotaphの4年振り7枚目のスタジオ・アルバムは、Tentacles Industries / Coyote Recordsからの共同リリース。もっと老舗と契約してるのかと思いきや、アングラ中のアングラ・レーベルから。やはりスラムが台頭して、クラシックなブルータルデスメタルの人気はやや落ちてきてるのかもしれません……。

 

だとしても、それでスタイルを変えるということは結成20年超えの大ベテランの選択肢にはないでしょう。オリジナルメンバーでありボーカルのBatu以外は2019年に加入していて、弱冠21歳のベーシストErenに、スイス出身のドラマーFlorent、フランス出身のMattisというラインナップ。程良いプログレッシヴ・フレーバーを交えながら基本疾走、適度に速度チェンジしながら暗黒のブルデス・サウンドを淡々とプレイ。ドラムのもたつき具合も味があるというか、おどろおどろしくさせている要因になっているかもしれません。Batuのボーカルも素晴らしい。

 

余談ですが、Metal ArchivesでCenotaphというバンドは14組登録されてました。なんか、また時間あるときにまとめて紹介しても面白そう。

 

 

第6位 : Post Mortal Possession – Valley of the Starving

レーベル : Lord of Sick Recordings
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Post_Mortal_Possession/3540388505

 

一言コメント : 確かなテクニックと表現力 一皮向けた出世作

 

ピッツバーグを拠点に活動するブルータルデスメタルバンド、Post Mortal Possessionの1年振り3枚目フルレングス。コンスタントにリリースを重ね、近年ブルータルデスメタルシーンにおける存在感を増している彼ら。ピュアなブラストビート一直線ではなく、Deeds of FleshやSevered Saviorあたりを彷彿とさせるテクニカルさと知的さ、現行スラム勢に劣らぬヘヴィネスを兼ね備え、ドラマティックな展開美をみせてくれる。

 

特に評価すべきはギターソロ。Post Mortal Possessionらしさとして一番輝きを放っているように感じる。ところどころかなりディープなアンダーグラウンドのエッセンスが散りばめられているのもポイントだ。これまで「あと少し」と感じていたB級感から脱却し、重鎮デスメタル勢のツアーサポートなども出来そうなポテンシャルをみせてくれた一枚。

 

 

 

第5位 : Vomit The Soul – Cold

レーベル : Unique Leader Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Vomit_the_Soul/13688

 

一言コメント : 見事なカムバック! Dying Fetusインスパイアの痺れるヘヴィネス

 

イタリアが誇るブルータルデスメタル・レジェンド、Vomit The Soulによる12年振りのニューアルバム。オリジナルメンバーであるドラマーYcio、ギター/ボーカルMaxが再び手を組み、同郷のレーベルメイトであるBloodtruthのギタリストがベーシストとして加入し、トリオ編成で本作をレコーディング。

アルバム収録曲「The Lost Aurea」のミュージックビデオを観ればより感じられると思うが、Dying Fetusへのリスペクトは強いものがあり、演奏スタイルも影響を受けているように感じる。といってもハードコアやスラッシュメタル的なノリは皆無だが、かなりヴィンテージスタイルのスラム・ヴァイブスに溢れている。彼らのカムバックに痺れたリスナーも多いだろう。文句なしの良盤!

 

 

 

第4位 : Pyrexia – Gravitas Maximus

レーベル : Unique Leader Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Pyrexia/363

 

一言コメント : ニューヨーク・デスメタル・プライドが感じられる一枚

 

ニューヨークを拠点に1990年から活動する老舗ブルータルデスメタルバンド、Pyrexiaの通算6枚目フルレングス。近年はコンスタントにリリースを続けていて、直近のリリースも2018年の『Unholy Requiem』と記憶に深く残る作品を発表している。現在進行形バンドとして、過去のレガシーを考えないにしても、この作品が現代に与える影響は割と強いかもしれない。

 

再生ボタンを押した瞬間に彼らがニューヨーク出身であることが分かるほどで、『Sermon of Mockery』からバンドサウンドの根底にあるスラム要素が現代的にアップデートされていて心地良さがある。Internal Bleedingと共にクラシック・スラムの代表的バンドとしてPyrexiaを捉えているリスナーも今は多いと思うし、そんな彼らが派手な装飾抜きにこうした作品を作ったことは高評価されるべきだ。

 

 

第3位 : Stabbing – Ravenous Psychotic Onslaught

レーベル : Comatose Music
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Stabbing/3540490072

 

一言コメント : 衝撃のニューカマー、テキサスから登場!

 

今年結成されたばかりのニューカマーで、Scattered RemainsのベーシストMerylとドラマーRene (二人は夫婦)が中心となり、女性ボーカリストBridget、ギタリストMarvinの4人体制で動き出している。本作は4曲入りのEPでコンパクトな内容ではあるが、ブルータルデスメタルとして完璧な仕上がりといえる。粒の細かいシンバルワークに抜けの良いスネアが疾走、粘着質なヘヴィリフ、獰猛なガテラル、サウンド・プロダクションは100点満点。Jon Zig先生のアートワークもStabbingサウンドを上手く表現しています。これは聴き逃していたら今すぐチェックして欲しい。

 

 

第2位 : Twitch of the Death Nerve – Beset By False Prophets

レーベル : Comatose Music
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Twitch_of_the_Death_Nerve/46813

 

一言コメント : これがブルータルデスメタルの完成形

 

イングランド/ロンドンを拠点に2004年から活動するブルータルデスメタルバンド。「そんなにベテランだったのか」と驚く人も多いと思うが、ちゃんと動き出したのは2014年ごろ。昨年にはセカンドアルバム『A Resting Place for the Wrathful』をリリースしていて、本作は新曲4曲とライブ音源が収録されたEPとして発表されている。この4曲が本当に素晴らしくて、あまりこういう形態の作品をベストリストには入れないんですが、必聴ということでランクイン。

スピード重視というわけでなく、緩急のあるグルーヴィなスタイルは持ち味で、その転調具合が絶妙。そしてそれを可能にするアイデア、テクニック、どれにおいても素晴らしくのめり込んで聴き入ってしまう。正直言って近年の中ではトップ3レベルでハマった作品。これまであまりチェックしてこなかったバンドだけに驚きも加味してこの順位に。ライブ音源も良い。

 

 

第1位 : Brodequin – Perpetuation of Suffering

レーベル : Unmatched Brutality Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Brodequin/241

 

一言コメント : 復活の狼煙、伝説のBrodequin17年振りの新曲!

 

1998年に結成されたテネシー州ノックスビルを拠点とするブルータルデスメタル・ベテラン、Brodequinの久々の新作。2曲入り、デジタルリリースではあるものの、今年はやっぱりBrodequinの新曲を聴けた事だけで2021年はブルータルデスメタルにとって良い年だったと言い切れる。彼らの旧譜については自著『ブルータルデスメタルガイドブック』を参照していただくとして、簡単に最近のBrodequinを振り返りつつ、この作品の良さを書いてみたいと思う。

 

2004年にUnmatched Brutality Recordsからリリースしたアルバム『Methods of Execution』以降アルバムリリースはなく、2008年に活動休止。2015年に復活したものの、オリジナルメンバーであるギタリストのMikeが正式に復帰したのは最近になってのことだ。2020年にはCesspool of CorruptionやMortifying Deformityに在籍する若干24歳のドラマーBrennanが加入し、制作活動が動き出す。レーベルの公式YouTubeチャンネルには「VII Nails」のスタジオ・レコーディング・セッションがアップされていて、動くBrodequinに結構感動した。ギブソンのレスポールでブルデスやってるのは見たことないけど、意外とクラシックなスピード重視のブルデスには合うかもしれないと思ったり。奇跡の2曲だけでも聴けて幸せだが、来年2022年には何かアルバムが出たりしないのかなと気になっています。

ブルータル・デスメタル 2020年の名盤 10選

 

『ブルータルデスメタルガイドブック』を出版したのが2016年の10月だっただろうか、そこからも日課としてブルータルデスメタルを追いかけ続けてなんと4年が経過した。RIFF CULTを立ち上げたのも本を出版したのがキッカケだったし、今もこうして発信を続けられているのは嬉しい。

 

一時期はほぼRIFF CULTを動かしてなかった (RNR TOURSでのツアー活動に忙殺されていた)時期もあったが、コロナウイルスでツアーがストップしたことをキッカケにもう一度本腰を入れて動かしてみることにした。やっぱり新しい音楽を聴くのは面白いし、RNR TOURSが再開出来た時にもRIFF CULTを動かし続けられるように自分の中でしっかりルーティーンを作らなければいけないね。

 

さて、前置きが長くなったが、今年も世界中からブルータルデスメタル・アルバムがリリースされ、新しいバンドも入れば意外な復活もありで面白かった。良い意味でも悪い意味でもスラム系がぐっと盛り上がりをみせ、デスコアやメタルコアにまで影響を与え始めているのは面白いなと思う。それに対して昔ながらもハイスピード・ブラスト系は地味な存在になったが、もともとブルデスってそういうのが面白いし好きだったから特に気持ち的に変わらずいろんなものを聴いた。

 

ある程度新しいバンドもベテランもチェックしたつもりだが、もしかしたらチェックしきれてないものもあったかもしれない。EPも多く、リストに入れようとおもったがアルバムに絞ってランク付けしてみた。(Drippedとか入れたかったなあ) まだ聴いてない作品などあれば、ストリーミングでチェックしてみて欲しい。それでは、ランキングをご覧ください! (第10位〜第1位まで)

 

 

第10位 : Putrid Pile – Revel In Lunacy

アメリカ/ウィスコンシン州を拠点に活動するワンマン・ブルータルデスメタルプロジェクトPutrid Pileの新作は、前作『Paraphiliac Perversions』から4年振りとなった6枚目フルレングスで、Sevared Recordsからのリリース。

 

Sevared Recordsも数量限定リリースが増え、他のブルータルデスメタル・レーベルに比べ勢力は落ちてきたもののまだまだ元気。Putrid PileはSevared Recordsからリリースを続けている数少ないアーティストで、地味に2020年がプロジェクトスタートから20周年であった。前作から大きくスタイルチェンジする事もなく、淡々と自身のブルータリティを表現し続けている点だけでも評価に値するし、オープニングトラックの「Death Waits for No One」では、唐突なテンポチェンジを繰り返しながらもバウンシーなグルーヴはキープ、リフワークもメロディアスで面白いしガテラルもハイセンス。「Bonedigger」みたいな打ち込み感丸出しのB級さも個人的には好きだったりする。

 

 

 

 

第9位 : Goratory – Sour Grapes

2009年に活動休止、2016年に復帰したマサチューセッツ/ボストンのブルデス・レジェンドGoratoryの新作は、前作『Rice on Suede』からなんと16年振りとなる4枚目フルレングスで、リリースはイタリアのEverlasting Spew Recordsから発売された。

 

有名ミュージシャンのテクニカルすぎるアイデアのはけ口みたいなバンドで、Job For a CowboyやDespised Iconで活躍するギタリストAlanやDeeds of Flesh、Pillory、Cytolysisなどで大忙しのドラマーDarrenが在籍している。彼ら以外の2人はSexcrementというバンドのメンバーで腕前はもちろん凄まじい。特徴的なのは強烈なスラップベースで、テクニカルなブルータルフレーズに絡み付いていく。ヴィジュアルイメージからは想像もつかないテクニックがたまらない1枚。

 

 

 

第8位 : Post Mortal Possession – Catacombs Of Bedlam

ペンシルバニア州ピッツバーグを拠点に活動する5人組Post Mortal Possessionのセカンドアルバムは、Lord of the Sick Recordingsからのリリース。

 

2018年リリースの前作『Perpetual Descent』から大きな路線変更はないが、ぐっとサウンドプロダクションが向上し、楽曲もソリッドな仕上がりになっている。全体的にもっさりとしたスラムっぽい雰囲気ではあるが、Jakeのボーカルワークが強烈でディープなガテラルでサウンドを血生臭いものにしてくれている。Jakeのボーカルに加え、Nickのドラムもよく、デスメタリック。地味な存在だが、若くしてこの手のサウンドをプレイ出来るのは凄い。

 

 

 

第7位 : Disavowed – Revocation Of The Fallen

オランダ/アムステルダムを拠点に、前身バンドNocturnal Silenceから数えて26年のキャリアを誇る大ベテランDisavowedの13年振りとなる3枚目フルレングス。

 

オリジナルメンバーである元ドラマーRobbert (Pyaemia、Nocturnal Silenceでプレイ)の怪我を理由に2005年に脱退。以降はサポートメンバーを入れながらも活動は継続していたが、アルバム制作には至らなかった。長年のブランクを感じさせないパワフルなブルータリティは、アグレッシヴに転調しながらも粘着質なグルーヴィ・リフを携えて疾走し続ける。

 

 

 

第6位 : Afterbirth – Four Dimensional Flesh

1993年ニューヨークで結成されたブルータルデスメタルバンドAfterbirthのセカンドフルアルバムは、Unique Leader Recordsから前作『The Time Traveler’s Dilemma』から3年振りのリリース。

 

95年の休止後、2016年にボーカリストWill Smithが加入するまで20年以上のブランクというのはなかなか珍しい。架空の古代文明をテーマにソングライティングを行うようになってからはアイデアが湧き上がってくるのか、セカンドアルバムも3年という短い期間で完成させており、そのサウンドもアンシエントなメロディワークをメイン・エレメンツに独自の世界観を生み出すことに成功している。アートワークも含め、Afterbirthらしさを持っているし、今後も継続的に制作活動を続けて欲しい。

 

 

 

第5位 : Vituperate – Dies Mali

ノースキャロライナ州ヴァージニアを拠点に活動するハイスピード・ブルータルデスメタルバンドVituperateのデビューアルバム。

 

もともとデモ音源がアンダーグラウンドシーンで話題となり、New Standard Eliteと契約している。メンバーはそれぞれにプロジェクトを抱えており、Scatology Secretionなど今年アルバムを出したプロジェクトもある。メンバーらが抱えるプロジェクトの中でもVituperateは特にスピード感重視で、まさに工事現場のような轟音が鳴り響き、リフの輪郭も曖昧。いわばハーシュノイズのようなエナジーに溢れる1枚。

 

 

 

第4位 : Incinerate – Sacrilegivm

アメリカ/ミネソタを拠点に結成され、現在はアメリカ/カナダのメンバーが在籍するベテランIncinerateの新作は、前作『Eradicating Terrestrial Species』から5年振りとなる4枚目フルレングス。

 

リリースは前作同様Comatose Musicが手掛けている。2018年にDeeds of FleshやSevered Saviorで活躍したギタリストJared Deaverが加入。JaredとTedのツインギター体制になってからは初の作品で、2020年12月現在では脱退しているがDisfiguring the GoddessやMalevolent Creation、Insidious Decrepancyでドラムを担当したPhil Cancillaが本作でその腕前を披露している。スラムとまではいかないが、ピュアなリフグルーヴを要に非常にシンプルでノリやすいブルータルデスメタルをプレイ。Internal Bleedingファンは気に入るとおもいます。

 

 

 

 

第3位 : Devangelic – Ersetu

イタリアを拠点に活動するブルータルデスメタルバンドDevangelicの新作は、前作『Phlegethon』から3年振りのリリースとなる3枚目フルレングス。

 

Comatose MusicからWillowtip Recordsへと移籍してリリースされ、プロデューサーにはDecrepit BirthやFleshgod Apocalypseを手掛けたStefano Morabitoを起用。サウンドプロダクションもソリッドかつダイナミックな仕上がりとなっている。同郷のSeptycal Gorgeを彷彿とさせるダークなテクニカルフレーズも多く、誤解を恐れずに言えばDisgorge的な雰囲気があるようにも感じる。ここ数年、Devangelicは大/中規模フェスティバルへの出演やツアーなど、ヨーロッパを中心にファンベースを拡大しており、ブルータルデスメタルシーンにおける重要度は高くなっている。

 

 

 

第2位 : Arsebreed – Butoh

前作『Munching the Rotten』から15年振りとなるArsebreedの新作は、Brutal Mindからのリリース。

 

ツイン・ボーカル体制を取り、2人共Disavowedのメンバーだ (RobbeとJoel)。この2人のボーカルワークはハイピッチ/ローピッチを使い分けるような従来のツイン・ボーカルスタイルではなく、共にローをベースとしたボーカルスタイルなのが面白い。緊張感のあるオールドスクールなブルータルデスメタルは、ウジムシのようにうねるチェーンソーリフとソリッドなベースライン、そしてデスメタリックなギターソロが残忍なグルーヴを生み出している。Disavowedと一緒で、特に何か目新しいことをしているわけではないが、クラシックなブルータルデスメタルとして素晴らしい作品。

 

 

 

第1位 : Molested Divinity – Unearthing The Void

トルコを拠点とするブルータルデスメタルバンドMolested Divinityのセカンドアルバム。

 

前作『Desolated Realms Through Iniquity』から2年振りのリリースとなる本作は、アンダーグラウンド・ブルータルデスメタルの巣窟New Standard Eliteが発売元。レコーディングエンジニアリンク/マスタリングは同郷のOzan Yildirimが担当。彼はDrain of ImpurityやMolested Divinityのメンバーが在籍するRaven Woodsも手掛けており、バンドとも親交の厚い人物。前作とジャケットが酷似していて、最初再発かと思ったが、しっかり新作でした。New Standard Eliteらしさといえばそのスピードでしょうか。

 

ブレイクダウン皆無のノンストップ・ブラストビートを叩き込むドラマーBerkの腕前は確か。特にスネアの鳴り、随所で拍をずらしながらブラスティング・グルーヴをうねり出す感じとかは、かなりマニアックなブルータル・ドラミングの手法。Emreのギターワークも残忍としか言いようもない無慈悲さに溢れていてたまらない。昨今はスラム勢の勢い、そして人気が凄まじくこうしたブラスティング・ブルータルデスメタルはすっかり地味な存在になってしまったが、彼らをはじめ、同郷のCenotaph辺りは変わらずスピード重視で安心。堂々の2020年ブルータルデスメタル・ナンバーワンアルバム。