ニューヨークを拠点に活動するアヴァンギャルド・ブラック・メタル・バンド、Imperial Triumphant が、2022年7月22日にCentury Media Recordsからリリースするニューアルバム『Spirit of Ecstasy』から新曲「Tower of Glory, City of Shame」のミュージックビデオを公開しました。
トラックリストを見るだけでも凄いが、これだけ個性的なミュージシャンが参加しているにも関わらず、すべての楽曲が間違い無くDeeds of Fleshの楽曲なのも凄い。前作『Portals to Canaan』の延長線上にあるサウンドをベースにしながら、『Path of the Weaking』、『Mark of the Legion』をリリースした90年代後期のDeeds of Fleshを彷彿とさせるクラシカルな良さもある。2000年代後半からのDeeds of Fleshサウンドの要になってきたCraigのプログレッシヴなギターフレーズはやや控えめであるが、彼らしいプレイも散見される。特に「Ethereal Ancestors」後半のギターソロはテクニカルデスメタル史上最も美しいギターソロだと思う。全曲味わい深く、間違い無く2020年を代表するテクニカルデスメタルの傑作。これからDeeds of Fleshがどのように活動していくのか、もしくはこれが事実上最後の作品なのかは分からないが、Deeds of Fleshの歴史において今後永遠に語り継がれていく作品になることは間違いない。この作品を完成させたDeeds of Fleshに関わる全てのミュージシャン、クリエイター達に感謝。
2017年に加入したドラマーAnthony BaroneはThe FacelessやWhitechapelのライブドラマーとして活躍し、近年ではAegaeonやShadow of Intentといったテクニカルデスコアシーンで活躍してきた人物。高いレベルが要求されるBeneath the Massacreのサウンドを牽引するようにしてハイスピードなブラストビートを繰り広げ続けていく。それに食らいつく、というと語弊はあるが切れ味鋭いカミソリリフと攻撃的なギターソロをプレイするChrisも凄まじい技術を持っている。
For Fans of : Despised Icon、Thy Art is Murder、Infant Annihilator
Imperial Triumphant – Alphaville
前作『Vile Luxury』からおよそ2年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。Gilead MediaからCentury Media Recordsへ移籍、いわばメタル・オーバーグラウンドでのデビュー作とも言える本作は、テクニカルともアヴァンギャルドともブラックとも言えないImperial Triumphantの世界観を確立した作品だ。そして何よりこれほど難解な作品はCentury Media Recordsからリリースされ、2020年のトップ・メタルアルバムのリストに選出されまくっているのだから凄い。
本作からドラマーにPsyopusのJason Bauers、ギタリストにnader SadekのライブメンバーだったMike Lernerを加えたトリオ体制で制作されている。従来のテクニカルデスメタルや、Colinが得意としてきたエクスペリメンタル/アヴァンギャルドなスタイルは常軌を逸し、このアルバムはここ数年リリースされたテクニカルデスメタル作品の中でも異端なものだ。Jasonのドラミングは通常のドラムセットとは違い、ドラムパーカッションが主体。そしてColinもリフは刻まず、ひたすらにタッピングでグルーヴを生み出していく。そのサウンドはアルバムから先行公開されたシングル「Blessing In Disgust」へのファンのコメント”Tom and Jerry Metal”と形容されていたが、まさにその通り。非常に挑戦的な作品であるが、テクニカルデスメタルが日々、そのテクニックを持ってして発展していく中でも、後続を圧倒する個性を見せつけた迷作、いや名作。
For Fans of : トムとジェリー、スポンジボブ
Ulcerate – Stare into Death and Be Still
前作『Shrines of Paralysis』から4年振りのリリースとなる6枚目フルレングス。これまでアルバムリリースを手掛けてきたRelapse Recordsを離れ、フランスのブラックメタルレーベルから発表された本作は、ヘヴィな轟音が鳴り響くミッドテンポなブラッケンド・デスメタルであるが、それを鳴らすメンバー達の超絶技巧こそこのアルバムの一番の聴きどころだ。このアルバムをテクニカルデスメタルとして聴くとき、やはりドラマーJamieのプレイが印象的だ。彼はソングライティングからレコーディング時のエンジニアリング、ミックス/マスタリングまでを務めるスタジオミュージシャンでもあり、幻惑的なUlcerateのヴィジュアルイメージを担ってきたアートワークも手掛けている多彩な人物だ。ミッドテンポであることは、この手のドラマーにとってはいかに音数を詰め込むかというところがそのドラマーのテクニックを知るひとつになると思うが、Jamieはストップ&ゴー、というか緩急のあるテクニカル・スタイルがハイセンスだ。プログレッシヴなギタープレイと高貴にすら聴こえるベースラインすべてが折り重なり表現されるUlcerateの世界観は唯一無二だ。
For Fans of : Portal、Imperial Triumphant、Gigan
Defeated Sanity – The Sanguinary Impetus
前作『Disposal of the Dead // Dharmata』から4年振りのリリースとなった6枚目フルレングス。現在のDefeated Sanityはトリオ体制で、ObscuraのライブメンバーでもあったベーシストJacob、2016年に加入したJash、そして唯一のオリジナルメンバーでありドラムとギターを兼任するLilleの3人。アルバムリリース後のインタビューで、Lillieは94年の結成時、当時12歳だった自身が想像したテクニカルデスメタル/ブルータルデスメタルとジャズ/フュージョングルーヴの融合が本作で実現する事が出来たと話していて、これまでにリリースしたDefeated Sanityの作品の中でも一番気に入っているという。
For Fans of : Fallujah、Fit For An Autopsy、Lorna Shore
Edenic Past – Red Amarcord
Behold The ArctopusやGorgutsでの活動で知られるColin Marstonがギターを務めるトリオ。ベース/ドラム・プログラミングはAstomatousのNicholas McMaster、ボーカルはColin、Nicholasそれぞれをサイドプロジェクトを持つPaulo Henri Paguntalanだ。
今年、Colinの多作っぷりは凄かった。Behold The Arctopusもそうだし、Encenathrakh、Indricothereも新作を出していて、ノイズ系のプロジェクトも合わせれば、優に10枚以上はアルバムを出している。