【年間ベスト】2020年を代表するメロディックパンク作品 TOP10 (ディスクレビュー有!)

アルバムタイトルをクリックすると、ディスクレビューを読むことが出来ます!

第10位 : Utopia Now – Jefferson’s Baby

 

第9位 : Scott Sellers – Beneath The Surface

 

第8位 : Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

 

第7位 : Shades Apart – Eternal Echo

 

第6位 : The Lawrence Arms – Skeleton Coast

 

第5位 : Anti-Flag – 20/20 Vision

 

第4位 : F.O.D. – Sleepville

 

第3位 : PMX – Ctrl Art Del

 

第2位 : Bad Cop/Bad Cop – The Ride

 

第1位 : Get Dead – Dance with the Curse

 

シングル曲をまとめたベスト記事はこちら!

【年間ベスト】Get Dead – Dance with the Curse (Punk Rock / Acoustic Punk)

Get Dead – Dance with the Curse

拠点 : カリフォルニア/サンフランシスコ
レーベル : Fat Wreck Chords

初来日前にリリースされた前作『Honestly Lives Elsewhere』から4年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。Fat Wreck Chordsの新たなカリスマ、Sam Kingのボーカルと彼の生活にリンクした歌詞世界が魅力で、古き良きアメリカン・パンク的アティトュートを持ってして、現代を巧みな言葉遣いで描いていく。

オープニングトラック「Distuption」や続く「Nickel Plated」とレゲエやヒップホップをパンクに注入したサウンドで、物悲しいアグレッシヴ・サウンドはGet Deadならではだ。胸が詰まるようなやり場のないエモーションは、貧困とアルコール、グラフィティを通じて表現されており、地元のアート・コレクティヴ、Indeclineとコラボしたミュージックビデオ「Pepperspray」は2020年を代表するアメリカン・パンクの名曲。「Living too fast too die last and I’m too old to die young, Too strong to let go and I’m too cold now I’m unable to ignore the world. And drop it all and join the frenzy, Violence doesn’t change a goddamn thing, But it feels nice to bleed」というサビのフレーズは強烈だ。

1 Disruption
2 Nickel Plated
3 Fire Sale
4 Stickup
5 Glitch
6 Confrontation
7 Hard Times
8 8 Track
9 Green’s Girl
10 Pepperspray
11 Confidence Game
12 Take It

【年間ベスト】Bad Cop/Bad Cop – The Ride (Melodic Pop Punk)

Bad Cop/Bad Cop – The Ride

拠点 : カリフォルニア/ロサンゼルス
レーベル : Fat Wreck Chords

3年振りのリリースとなったFat Wreck Chords所属のオール・フィーメール・メロディック・ポップパンクバンド、Bad Cop/Bad Copの3枚目フルレングス。Dave WarsopFat Mikeがプロデュースを務め、ミックス/マスタリングはChris Hesseが担当している。

サウンドや楽曲スタイルに大きな変化はなく、シンプルでキャッチーなメロディック・ポップパンクナンバーが並ぶ。印象的なのは歌詞や楽曲タイトルから見られるポリティカルな姿勢や、女性目線のLGBTQをテーマにした楽曲だ。リリックビデオにもなっている「Pursuit Of Liberty」では口ずさみたくなるメロディとイラン出身アメリカ在住の作家Dina Nayeriにインスパイアされた歌詞が力強く鳴り響き、リードトラック「Simple Girl」は2020年を生きるすべての女性の力になるライオット・ガール的パンクナンバーだ。

自分を強く持つことで社会を変えていく、自分の人生を生きていくという事が2020年からの社会において大切なことだというメッセージは性別年齢問わず勇気を貰える。落ち着いて自分の人生を生きようとするすべてのパンクリスナーのサウンドトラック。

Originators
Certain Kind Of Monster
Take My Call
Simple Girl
Breastless
Perpetual Motion Machine
Community
Pursuit Of Liberty
The Mirage
I Choose
Chisme
Sing With Me

【年間ベスト】PMX – Ctrl Art Del (Progressive Melodic Punk)

PMX – Ctrl Art Del

拠点 : スコットランド
レーベル : Independent

EP『Dark Days』から2018年のライブ盤『Clochridgestone』を挟んでおよそ5年振りの新作となる『Ctrl Art Del』は、ソングライティングからレコーディング、ミックス/マスタリング、そして流通まですべてをメンバー自らが行った完全D.I.Y.作。 ソリッドなリフワークや目まぐるしいタッピングフレーズなど、ギター・テクニックはおそらく現行メロディックパンクシーンでトップレベルだ。IntervalsやPliniといったプログレッシヴ・メタルコアも通過したそのサウンドは唯一無二のオリジナリティを持っていると断言出来る。ミュージックビデオになっている「Television」や先行公開された「Passengers」は言わずもがな、「Words」は2020年を代表するメロディックパンクの名曲。

PMXはRNR TOURSで2度来日を果たしている。今年の3月、コロナウイルスで国外への渡航が制限させるギリギリにツアーファイナルを終え、フライトチケットを変更してなんとか出国できたのは今思えば間一髪だったが、コロナウイルスの影響がここまでひどくなるとは予想もしてなかったことが懐かしいとすら感じる。厳しい状況下でも決して笑顔を絶やさなかった彼ら、きっとこの先もこのアルバムを聴くとこのツアーを思い出すだろう。

1.Falling Apart 02:55
2.Scrape The Tray 01:47
3.Pictures 03:21
4.The Fear 02:14
5.Who Are We To Pray 02:48
6.Words 03:21
7.Television 03:13
8.Tongue Tied 02:46
9.One Act 00:53
10.Passengers 04:45
11.Leave Me Be 03:12
12.Curtain Call 03:22

【年間ベスト】F.O.D. – Sleepville (Melodic Punk)

F.O.D. – Sleepville

拠点 : ベルギー
レーベル : Bearded Punk Records / Wiretap Records / Thousand Island Records

今年3月に『Sleepville』としてリリースされ、11月に『Sleepville Ⅱ』がEPとして追加発表、遂に完結された全21曲入りの超大作。ヴァイナルを購入した方は分かると思うが、全ての楽曲が連なるストーリーになっており、公開されているミュージックビデオもこの物語の重要なピースになっている。

物語の始まりを予感させるイントロ「Sleepville guaranteed」で幕を開けると、F.O.D.ワールド全開のメロディック・チューンが駆け抜けていく。こうしたコンセプチュアルな構成はメタル好きのボーカル/ギターHansのアイデアで、メロディワークからは古き良きプログレッシヴロックの香りも漂う。

単なるメロディックパンクの作品ではなく、映画のサウンドトラックのような奥床しさがある。一聴しただけでは得られない良さがあり、ひとつひとつのメロディやフレーズから感じられる感情はこれを聴く時代によって変わってくるはずだ。今年のベストアルバムであり、来年も10年後も聴き続けたいと思わせる1枚。

1.Sleepville guaranteed 02:48
2.Days Of Future Passed 02:53
3.Fall In Line 02:31
4.Riverview 01:42
5.Feeling Gay 02:22
6.Wrong 01:48
7.Food For Thought 02:06
8.On An Island 02:28
9.Annie 04:56
10.Stranger In Town 01:38
11.Changes Rise 03:18
12.Thirtysomething And Counting 02:24
13.Coda 01:21
14.Main Street 07:04
15.Letter To Laura 03:06
16.Coming Out 00:38
17.Out Of Hand 01:11
18.Only Stories 01:41
19.Liberty or Death 01:06
20.Fall In Line (acoustic version) 02:43
21.Disobedience And Consequence 02:26
22.Salt Of The Earth 02:43
23.Small Town Resident 03:54
24.Letter To Laura (reprise) 00:56

【年間ベスト】The Lawrence Arms Skeleton Coast (Chicago Punk)

The Lawrence Arms – Skeleton Coast

拠点 : イリノイ州シカゴ
レーベル : Epitaph Records

1999年から活動を続けるベテラン・パンクバンド、The Lawrence Armsの7枚目となるフルアルバムは、前作『Metropole』から6年振りで、同じくEpitaph Recordsからリリースされました。プロデューサーは長くThe Lawrence Armsと共に制作を行ってきたMatt Allison。これまでThe Lawrence Armsはシカゴでレコーディングを続けてきましたが、今回はシカゴを離れ、Mattと共にテキサスのSonic Ranch Studiosで2週間に渡って録音が行われています。これについてChrisは、シカゴという故郷にとらわれる事なく制作がしてみたかったと話しています。

オープニングトラックの「Quiet Storm」から続く「PTA」と、アップテンポでハイエナジーな楽曲で幕を空けていきますが、The Lawrence Armsの独特の暗さがかすかに内包されておれ、シカゴ・パンク的なエモーショナルに溢れています。「Last, Last Words」「Ghostwriter」といった楽曲は、さらにビターで聴きごたえ十分です。

コロナウイルス流行前に制作されたアルバムではありますが、どこか2020年の世界を表現しているかのような雰囲気があるのも面白いところだと思います。

1 Quiet Storm
2 PTA
3 Belly Of The Whale
4 Dead Man’s Coat
5 Pigeons And Spies
6 Last, Last Words
7 (The) Demon
8 Ghostwriter
9 How To Rot
10 Under Paris
11 Goblin Foxhunt
12 Lose Control
13 Don’t Look At Me
14 Coyote Crown

【年間ベスト】Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

拠点 : イギリス
レーベル : Lockjaw Records

2020年3月に来日を予定していたLaughing In The Face Of。もちろんこのツアーもアルバム『Here Lies The Ordinary』を提げて行われる予定であったが、コロナウイルスの影響により泣く泣くキャンセルとなってしまった。2021年にスケジュールを変更して開催する為、メンバーとは日常的にやり取りを行っている。なんとか実現させたい。

個人的な思い入れはこれくらいにして、やはりRNR TOURSとして日本でツアーを企画したいと思うキッカケは最新作がかっこいいことが何よりも大切だ。Laughing In The Face Ofはキャリアも10年以上あるが、長らくヨーロッパのアンダーグラウンドで活動を続けてきた。Lockjaw Recordsのディストロによって世界中に広まった事から、世界中のファスト/テック・メロディックリスナーに届けられるようになり、日本でもDarko来日時にLockjaw RecordsオーナーRobによってアルバムの流通が行われたことも彼らの名を国際的なものへとフックアップしたひとつの要因だろう。

今ではテック・メロディックと言っても様々で、A Wilhelm Screamを筆頭にスラッシーでメタリックな要素が強い。彼らもそれらに影響を受けたFair Do’sやDarkoと同系統に語られる事が多いが、よりメタル要素の薄いピュアなテック・メロディックフォロワーに感じる。ミュージックビデオにもなっている「Bullshit With A Smile」や「Running With Coffee」を筆頭に、「The Insane Continue」や「Looks Can Be This Evening」といったエモーショナルなメロディが光る楽曲も多い。

再びスケジュールを調整して来日を実現させるまでに再び長い道のりがあるが、2021年この素晴らしいアルバムを生で体験する機会を作る為に尽力したいと思う。

1.The Regression Session 02:02
2.Projectile Dysfunction 02:22
3.Bullshit With A Smile 02:00
4.Running With Coffee 02:22
5.Modus Operandi 03:00
6.The Insane Continue 02:11
7.Rationalisation Of Stupidity 02:16
8.Looks Can Be This Evening 03:05
9.Helldweller 02:06
10.Penguins 02:29
11.Reasons & Reminders 04:24
12.From The Ground Up 03:33

【年間ベスト】Anti-Flag – 20/20 Vision

Anti-Flag – 20/20 Vision

拠点 :ペンシルバニア州ピッツバーグ
レーベル : Spinefarm Records

https://antiflag.lnk.to/2020Vision

2017年にリリースした『American Fall』から3年振りのリリースとなった12枚目のフルレングス。レコーディングは2019年の7月から8月にかけて、Dog House StudiosとMDDN Studioで行われ、プロデューサーにはポストハードコアバンドFrom First To Lastのギタリスト/ボーカリストとして知られるMatt Goodが起用されている。

これまで通り反ファシズムを訴え、パンクシーンから人々の未来が明るくなるような歌詞世界を持っている。ひとりのアメリカ人としての視点から、ポリティカルなメッセージを投げかけ続ける彼らが本作のテーマにしたのはもちろん、トランプがアメリカ合衆国の大統領選挙に勝利してからの地獄についてだ。実際にトランプを名指しで批判する事はないが、このアルバムで歌われる人種の問題や環境問題のすべてが彼の存在に関連付けられている。実際にトランプのスピーチを引用しながら、「あなたはどちら側にいるのか」と問いかけるようなフレーズが多く散見される。アルバムタイトルトラック「20/20 Vision」のサビでは「Tell me witch side are you on, Carry on~」と続く。

日本のAnti-Flagリスナーにとって印象的な楽曲は「20/20 Vision」に加え、「Christian Nationalist」や「The Disease」などが挙げられる。彼らのメッセージに目が行きがちであるが、これらのメッセージを広く訴えるために彼らの音楽的なセンスの高さもしっかりと感じるべきだろう。例えばGreen Dayの『American Idiot』が若いアメリカ人を虜にし、社会現象を巻き起こしたのも、メッセージ性だけでなく音楽性も大いに重要であったはずだ。本作のAnti-Flagの楽曲は例えば大規模フェスティバルでもスケールの大きさを表現することができるようなポップでフックの効いた明るくキャッチーなパンクロックだ。アンダーグラウンドシーンで玄人向けのファストでダーティなパンクロックを鳴らすだけでは、そのメッセージも届くべきところに届かない。Anti-Flagが不変である事は、アンダーグラウンドでパンクが鳴り続ける事もサポートしていると思う。

アメリカでAnti-Flagが30年近く人気であり続けている事を考えると、パンクで社会を変えるということは非常に難しい事であるなと痛感してしまうのは事実だが、彼らの存在がなければもしかしたら世界はもっとひどいものになっていたかもしれない。LGBT差別の問題や環境問題、弱い立場にある人に寄り添う事ができる社会を作る為に、音楽が力にならなければいけない場面は多い。少なくてもこのアルバムによって知らなかった何かについて考える瞬間が生まれている事は確かだ。

1. “Hate Conquers All” 2:46
2. “It Went Off Like a Bomb” 2:23
3. “20/20 Vision” 2:26
4. “Christian Nationalist” 2:44
5. “Don’t Let the Bastards Get You Down” 2:49
6. “Unbreakable” 3:08
7. “The Disease” 2:55
8. “A Nation Sleeps” 2:17
9. “You Make Me Sick” 3:01
10. “Un-American” 3:10
11. “Resistance Frequencies” 2:55

【年間ベスト】Shades Apart – Eternal Echo (Punk Rock / Melodic Punk)

Shades Apart – Eternal Echo

拠点 : ニュージャージー
レーベル : Hellminded Records

前作『Sonic Boom』から19年振りに活動を再開したニュージャージー出身のトリオ、Shades Apartの8枚目フルレングス。90年代後半にRevelation Recordsから発表した『Save It.』、『Seeing Things』をキッカケに日本でもパンク/ハードコアシーンを中心に人気を集めてきた。一言にパンク、ハードコアと言っても彼らのサウンドは作品毎に変化を続けてきました。共通して言える事は独特の暗さでしょうか。本作はミックス/マスタリング・エンジニアにThe Blasting RoomもJason Livermoreを起用、もちろんメンバーはギター/ボーカルのMark、ベース/コーラスのKevin、ドラマーEdの3人。

90年代後半にはすでに10年以上のキャリアがあったとはいえ、20年近いブランクが空いていた事を感じさせないトリオ・バンド独特のグルーヴはそのまま。Jason Livermoreのエンジニアリングは、しっかりと今のShades Apartの魅力を引き出しているように感じる。Lagwagonや7Yearsを彷彿とさせるアメリカン・ロックの香り漂うミッド・テンポのパンクロックは、間違いなく今のShades Apartにしか鳴らせない大人のサウンド。

So What Now
Only Light
Dark Valley Lake
Teach Me How To Live
Thread
95
Counting Down
Aurora
Souls And Soldiers
Dark Side Of Life

【年間ベスト】Scott Sellers – Beneath The Surface (Melodic Punk)

Scott Sellers – Beneath The Surface

拠点 : カリフォルニア/フォンタナ
レーベル : Independent

RufioのソングライターであるScott Sellersのソロアルバム。ここ数年活発に制作活動を行っており、今年に入ってからRufioのカバーを含むアコースティックアルバム『unplugged, i suppose​.​.​.』PMXのJohnがミックス/マスタリングを行ったEP『The View From The Moon』Strung Outの「Exhumation of Virginia Madison」やNOFXの「The Longest Line」のカバーを収録した作品『Influence』と3枚の作品をリリース。おそらく今年最後の作品となる『Beneath The Surface』は、正真正銘のScott Sellersオリジナル・ソロアルバムだ。

作詞作曲から演奏、レコーディングにミックス/マスタリングまですべてをScott自身が行った本作は、Rufioを彷彿とさせる疾走感溢れる「Faded Pictures」を始め、エモーショナルなミディアム・テンポ曲「Be A Man」などバラエティに富んだメロディック作品で、Scottらしいメロディワークや透き通るような歌声に胸が高鳴る事間違い無し。ソロでも来日してほしいし、盛り上がるポテンシャルを持ってます。

1.The Only One 02:30
2.Beneath The Surface 02:48
3.A Broken Man 03:12
4.Late Night Show 02:59
5.Be A Man 03:01
6.Faded Pictures 02:55
7.Hello World! 03:24
8.Just A Word 02:34
9.Try and Try 03:17
10.Misdirect 02:47