アメリカ・シカゴを拠点に活動するBedroom Skramz、Your Arms Are My Cocoonと、USエモーショナル・サイバーグラインド、Blind Equationが2024年4月に来日することが発表されました。招聘はUNGULATES、国内からはEmo/Skramzを鳴らすsoccer.が帯同する (4月22日 中野MOONSTEP以外)。
▶︎YOUR ARMS ARE MY COCOON / BLIND EQUATION Japan Tour with SOCCER.
2023年の上半期は、The HIRS CollectiveやSee You Next Tuesdayなど、一般的なメタルの年間ベストにも入り込めそうな作品がリリースされ、グラインドコアが熱い一年だったように感じる。ただ、そこはやはりアンダーグラウンド。決していきなりバズってメジャーになったりするような音楽ジャンルではありません。ただ、例年よりも活気に満ち溢れていたのは間違いない。
スウェーデン・マルメのポリティカル・グラインドコア・バンド、The Aeson Project。2005年頃から活動を開始し、本作がセカンド・アルバムでHere And Now!、Lixiviat Records、De:Nihil Recordsによる共同リリースとなっている。2010年にNoisearとのスプリットがRelapse Recordsから出ていて、そこで名前を知ったという人もいるかもしれない。
2023年、ポリティカルな姿勢で活動する多くのハードコア/パンク・バンドが怒りをぶちまけた作品をリリースしたが、彼らもそんなエナジーをたっぷりと詰め込んだノンストップ・爆裂グラインドコア・アルバムを完成させた。ローが効きすぎてもはやノイズにまで接近したブルータルなベースラインが凄まじく、それに呼応するかのようなドラミング、ギター、ボーカルと、どれも研ぎ澄まされた怒りのエナジーが溢れている。時折D-BEATに接近しつつも基本はNasum、Wormrot、Trap Them、Dead in the Dirt、そしてNailsあたりのグラインドコアの音像を想像してもらえればと。グラインドコア好きなら、絶対チェックした方が良い作品。
▶︎Closet Witch 『Chiaroscuro』
10年近いキャリアを持つアメリカ・アイオワの女性ボーカル暗黒グラインドコア・バンド、Closet Witchのセカンド・アルバム。Zegema Beach Records、Moment of Collapse Records、Circus Of The Macabre Recordsからの共同リリース。
ボーカルのMollie Piatetsky。ライブ中に流血しても、お構いなし。
Full of HellのDyran Walkerやジャズ・グラインドThe CentralのFrankie Furilloなどがフィーチャリング・ゲストとして参加している楽曲もあり、この手のシーンの人たちからの信頼は厚い。女性ボーカルのグラインドコア、といえばFuck The Factsがパッと思い浮かぶが、彼/彼女らのような知的な雰囲気に加え、パワー・ヴァイオレンス、クラストのカオスや程良い程度のハーシュノイズのアトモスフィアがよりCloset Witchの芸術性を高めてくれる。Discordance AxisやFull of HellといったエクスペリメンタルでノイジーなグラインドコアからInsect Warfare、Phobia、Nasumといった正統派まで、シリアスなタッチのグラインドを好むリスナーにおすすめ。
▶︎Blind Equation 『Death Awaits』
イリノイ州シカゴのエモーショナル・サイバーグラインド・バンド、Blind Equationのセカンド・アルバム『Death Awaits』は、Prosthetic Recordsからリリースされたことにまず驚いたが、2023年にこれだけ高い情熱を持ってサイバー・グラインドの可能性を追求し、『Death Awaits』を完成させたことにまず賞賛を贈りたい。このマイクロ・ジャンルは局地的なシーンを持つわけでないが、グラインドコア・シーンの隅で、あるいはゴアグラインド・シーンの隅で、はたまたカオティック/マスコア・シーンの隅っこで、刺激的なエクストリーム・メタルを求めるミュージシャン、そしてリスナーによって定期的に面白いアーティストが出ては消えてきた。思い出せる印象的なサイバー・グラインド、と言えばゴア系のS.M.E.S.やKOTS、そしてLibido Airbag、いわゆるマス・グラインドと言われるようなところだとThe Captain Kirk on LSD Experience、Preschool Tea Party Massacre、Cutting Pink With Knivesとかだろうか。いずれも短命 (または長すぎるブランクが空いたり) 。
リード・シングル「never getting better」の脈打つ8ビット・エレクトロニクスとブラストビート、サビではタイトルにちなんだポジティヴなアンセミックへと爆発していく。「you betrayed the ones you love」ではエレクトロニックなストリングスが、”Real Emotional Cybergrind”を自称する彼らの真髄と言える世界観を表現し、先行シングル/ミュージックビデオとして話題となった。彼らと同世代のZOMBIESHARK!も併せてチェックしておけば、2020年代式のサイバーグラインドの最新形を網羅出来る。
▶︎Cognizant 『Inexorable Nature of Adversity』
テキサス・ダラスの5人組テクニカル・グラインドコア・バンド、Cognizant。Nerve Altar Records、Selfmadegod Records、Rescued From Life Recordsからの共同リリース。
オープニングを飾る「Paralysis」を再生して1秒もしない間にこのアルバムがどのような狂気にはらんだものであるか、耳の肥えたメタル・リスナーなら分かるだろう。いわゆる”Dissonant Death Metal”(不協和音デスメタル)のタッチを得意としながら、ノイズの塊みたいなリフの蠢きが、抜けの良いブラストビートに絡みついていく。本人達はデビュー時、Antigama的なSci-Fiスタイルを目指していたようだが、このアルバムで完全に本家を超えてしまっているように案じる。VOIVODからAntigamaまで、今年で言えばGridlinkなんかと一緒にチェックすべき名作だと思います。
1998年にチェコで結成されたグラインドコア/ファストコア・ベテラン、Lycanthrophy。結成25周年を記念し、まさかのセカンド・アルバムがHorror Pain Gore Death Productionsから登場! ファースト・アルバムの頃は女性ボーカルで、YouTubeにアップされている古いライブ映像では彼女の熱演を見ることが出来ます。残念ながら2019年に脱退、本作ではギター/ボーカル・スタイルの4人編成となっています (ベースには元Malignant Tumour,のOttoが参加してます)。
リード・シングル「never getting better」の脈打つ8ビット・エレクトロニクスとブラストビーツが、サビではタイトルにちなんだポジティヴなアンセミックへと爆発する。「you betrayed the ones you love」ではエレクトロニックなストリングスが、”Real Emotional Cybergrind”を自称する彼らの真髄と言える世界観を表現し、先行シングル/ミュージックビデオとして話題となっている。