ニュージーランド出身の5人組、Organectomy の通算3枚目・フルアルバムは前作に続きUnique Leader Records からのリリース。スラミング・スタイルのバンドですが、そこまで大胆にスラムに特化しているわけではなかったので、スラミング・ブルータル・デスメタルの年間ベスト・アルバムではなく、ブルータル・デスメタルの年間ベストとして、こちらにレビュー書きたいと思います。
ボーカルのTylerのソロプロジェクトとして始動
Secularityというテクニカル系バンドにも在籍するギタリスト Matthew Bolch と Sam McRobert のコンビが良く、単なるスラム・バンドでないセンスの良さからUnique Leader Records も食い付いたんではないかと思います。重量感のあるスラム・リフの隙間に差し込まれるメロディックなエレメンツはデスコアっぽさもあり、特に「Breeding Chaos」はDespised Iconを彷彿とさせるリフが面白いです。2010年代前後、The FacelessやDespised Icon辺りハマってた人、Organectomy オススメです。
Anal Stabwound – Reality Drips Into The Mouth Of Indifference
特に良さを感じたのはドラム。ファストな楽曲が多い中で細部に至るまでセンス良く小技を差し込みます。ミュージックビデオにもなっているアルバムのタイトル・トラック「Obsessed with the Mummified」はInhuman Depravityの魅力が炸裂してます。ドラムについでベースもテクニカルで、ギターのリフのグルーヴィ。ボーカル Lucy Ferra も華があってフロントマンにぴったり。Abnormality が解散し、女性ボーカル・ブルデスはStabbingとInhuman Depravityが頭角を表してきた感じですかね。他にも良さげなバンドあれば紹介したいです。
カナダ・オンタリオ出身の中堅、Deformatoryが昨年リリースしたアルバム『Inversion of the Unseen Horizon』から間髪入れずにリリースしたEP。Metal Archivesではテクニカル・デスメタルとジャンル分けされているが、じっくりと聴き込んでみると彼らのサウンドは「テクニカル・ブルータル・デスメタル」とした方がしっくりくる。
テキサス出身の5ピース Desecrate The Faith の通算3枚目フル・アルバム。アルバムタイトルはシンプルに「Ⅲ」なのはちょっと簡素すぎかなとは思うが不気味なアートワークから漂う名作の香りに釣られ腰を据えて聴きたくなる。まず把握しておきたいのが豪華なメンバーラインナップ。ボーカルはGorgasmのJohn Hull、Brand of SacrificeやEnterprise Earthといったデスコアの第一線で活躍するバンドで活躍し、過去にはRings of SaturnやInternal Bleedingでそのブルータル魂を炸裂させてきたドラマーMike Caputoが中心となっている。
ボーカルKyleを加えたトリオ編成で制作された本作は、キャッチーなスラムリフが豊かなグルーヴを生み出し、タイトなドラミングがドライヴする。これだけ聞くとスラミングなのかと思うだろうが、楽曲群はどれもピュアなブルータル・デスメタルに近い美的感覚を持ってして仕上がっていると言えるだろう。「UKのPathology」とでも言うべき純なブルデスの魅力が感じられる。タイトルトラック「An Ancient Summoning」はガテラル唱法において優秀な楽曲でもある。
ドラムのサウンド・プロダクションから察するに、Disgorgeの影響が強くドライなスネアのいぶし銀の響きがなんとも心地良い。オールドスクールなリフも時折スラムしつつ、初期Deeds of Flesh的なギターワークもあり面白い。クラシックなブルデスを現代に鳴らす貴重な存在。
Sermon of Mockery – Crippler Crossface Murder Suicide
Mortal Decayのボーカリスト John Paoline とウクライナ在住のミュージシャンらからなるニュー・バンド、Sermon Of MockeryのデビューEP。2022年はウクライナにとって非常に辛い年であったが、意外にもジャンル問わずメタル・シーンが完全にストップしてしまうことはなかった (作品自体は戦争が始まる前に作られていたのかも)。
ロゴが素晴らしい
キーウ在住のドラマー Lev Kurgansky はPosthumous Blasphemer、Disarticulating Extinguishment、Ezophagothomia、Fleshgoreなどにも在籍した経歴があり、その腕はお墨付き。意外にもJohnはMortal Decay一筋だったこともあり、テイストの違うサウンド上でのガテラルは新鮮。リミッターの外れたドラミングは素晴らしく、このドラムが聴きたくて何度も聴いた一枚。アートワークは最高のJohn Zig。
Gargling – Depraved Ingestion Of Cranial Discharge
とにかくこの強烈なアートワークに衝撃を受けた。ここまでエネルギッシュな嘔吐にフォーカスした作品は見たことがない。このジャケだけで今年のベスト・アルバムは間違いないと確信したが、内容も素晴らしかった。2019年にCarbonized InnocentsやCryptophthalmosなどに在籍するMax RiveraとBrutal Scat、Fetid Bowel Infestation、NecrogasmのHarry Morganによって立ち上げられ、Maxは全ての楽器をこなし、Harryがボーカルを務めている。タイのEccymosisをはじめ、New Standard Elite直系とも言える雪崩系のドラミングが時折スラムパートを交えながら突進、猛獣のようなガテラルが何重にも重なっていく爽快感がたまらない。
Congenital Anomalies – Systematic Violence
チェコ・プラハを拠点に活動するCongenital Anomaliesの通算3枚目・フルアルバム。Lord of the Sick Recordingsのリリースでスラミング・ブルータル・デスメタル・バンドとして知られるが、どちらかと言うとDying Fetus直系のグルーヴィー・ブルータル・デスメタルと言ったスタイル。突出した個性はないものの、単純明快な楽曲構成、ブラスト一辺倒ではなくしっかりとグルーヴ重視のリフとドラミングが良い塩梅で組み込まれている。もちろんスラムパートもガッツリあるが、Congenital Anomaliesの魅力はどちらかと言うとスラムへ接続するまでの展開にあるように聴こえる。
Antropofagus – Origin
イタリア・ジェノヴァの重鎮、Antropofagus の5年振り通算4枚目のフル・アルバム。”Meatgrinder”を名乗るギタリストFrancesco Montesanti以外にオリジナル・メンバーはおらず、皆それぞれにいくつものバンドを掛け持ちしており、実質Meatgrinderのバンドと言えるだろう。本作からボーカリストにDevangelicの Paolo Chiti が加入。ブルータル・デスメタル・シーンを代表するドラマー Brutal Dave のマシーンのように正確なドラミングの上でしっかりとデスメタリックなボーカルが際立っている。繊細なメロディの輝きを微細に捉えながらも力強いリフで牽引していくMeatgrinderの確かな技術に圧倒される。グルーヴや転調など、そういったことが一旦置いておいて、芸術作品としてじっくりと聴き込むべき一枚。
Insect Inside – Into Impending Apotheosis
ロシアン・ブルータル・デスメタルの有名人達によって2017年に結成されたInsect Inside。昨年、デビュー・アルバム『The First Shining of New Genus』をリリースしているので、名前を聴いたことがあるというブルータル・デスメタル・リスナーは多いかもしれない。
Disfigurement of Flesh、Morphogenetic Malformation、Traumatomyと錚々たるバンドでドラムを務めるDaniil Sementsovの叩き出す個性的なグルーヴは輪郭をどんどんぼかしながら時にテクニカルに疾走。もう一つ彼らの特筆すべき点はEmbodiment Elimination、Equivokeなどに在籍するギタリストMikhail Lukoyanovのギターワーク。微細にエディットしたことで生まれるグルーヴを爆発させながらInsect Insideの世界観を演出する。アートワークもDisgorgeの『Parallels of Infinite Torture』を彷彿とさせる色味、構図で狙いが感じられる。
Vomit Forth – Seething Malevolence
アメリカ・コネチカットの新鋭、Vomit Forthのデビュー・アルバムはCentury Media Recordsからと言うことで、ブルータル・デスメタルというより、さらに広域のデスメタル・シーンに向けてアプローチされている。2018年結成、メンバーそれぞれに輝かしいキャリアがあるわけでなく、このタイプのバンドがCentury Media Recordsからデビューというのだから、やはりどこか引っ掛かる個性がある。
2020年にワシントン州タコマで結成されたニュー・バンド。New Standard Elite からのリリースということで、そのサウンドはなんとなく想像することが出来るだろう。もはやグルーヴを成さない強烈なブラストビートが音速で駆け抜けていき、ノイズの壁となって押し寄せてくるリフも完全にリミッターが振り切れてしまっている。彼らが面白いのは、他のNew Standard Eliteのバンドがノンストップで駆け抜けていくのに対し、しっかりとブレイクダウンやスラムパートを挿入しているところだ。ここまでやっていいのかと他を圧倒する、エクストリームな一枚。
Between The Killings – Reflection Of Murder
ベテラン揃いの新鋭バンド、Between The Killings のデビュー・アルバムはComatose Musicから。LividityやDeadenで活躍したギタリストVon Young を筆頭に、Necessary DeathやMaimedのベースIanとドラムJustinのコンビらが安定感のあるブルータル・ビートを生み出していく。スラムベースでありつつも幾度も急加速し、砂塵の如くグルーヴを巻き上げていく。不気味なメロディからは血が滴り落ちるかのような殺気が立っており、Between The Killingsサウンドを不気味に仕立てる。現代スラムはちょっとコッテリ過ぎる、というブルータル・デスメタル・リスナーには耳馴染みの良い一枚だろう。
USオールドスクール・スラミング・ブルータル・デスメタル・バンド、Sanguisugabogg が新曲「Pissed」のミュージックビデオをCentury Media Recordsから公開しました。バンドは2023年2月にニュー・アルバム『Homicidal Ecstasy』を同レーベルからリリースすることを発表しています。
スペインを拠点に活動するブルータル・デスメタル/ブラッケンド・デスコア・バンド、Bonecarver がニュー・アルバム『Carnage Funeral』をUnique Leader Records からリリースしました。
Cannibal GrandpaからBonecarverへと改名したのはもう数年前。Unique Leader Records と契約を果たし、遂に放たれたアルバムは、トレンディなブラッケンド・スタイルはもちろん、Unique Leader Records の古き良きブルータル・スピリット溢れる楽曲がたっぷりと収録された快作となっている。
BrodequinはSeason of Mistファミリーの一員になったことを発表できてとても嬉しく、光栄に思っています! Season of Mistのアーティスト・リストには、1349、Abbath、Benighted、Wormed、Tsjuder、Severe Tortureなど、様々なジャンルの有名アーティストが名を連ねており、多くのメタル・リスナーが知っているバンドばかりです。
僕たちのSeason of Mistとのパートナーシップは、Brodequinのブルータリティをより多くの人々に広めることになると確信しています。Season of Mistのあらゆるレベルでの素晴らしいサポートに加え、我々はアメリカとヨーロッパの両方で、これまでで最高の流通を得ることになります。これは、米国からヨーロッパの友人たちへの高い輸送費を軽減するだけでなく、全体的にリーチを広げることができます。Season of Mistは僕らと同じようにニューアルバムのリリースに興奮しているし、バックカタログ、デジタル、フィジカル、そして関連グッズの供給元にもなってくれます。
2022年上半期にリリースされたブルータル・デスメタルの名盤を5枚ピックアップしレビューしました。ビッグ・リリースはなかったし、スラミング・ブルータル・デスメタルが主流になった今、直球ブラスティング・スタイルを鳴らすバンドは天然記念物並みに希少価値が高くなってしまった。今年に入ってブラスティング・スタイルのトップレーベルだったNew Standard Eliteが動かなくなってしまい、それらのバンドがゴアグラインド/ゴアノイズ系へ流れていってしまったように思う。ゴアノイズは音楽的な面白みはないけどブルータル・デスメタル・カルチャー的なジョークとして追いかけてて面白いものの、ブルータル・デスメタルはそのサウンドで喰らいたいものだ。今回ピックアップした5枚は順不同だが、ナンバーワンはSijjeel。シングルのみリリースしたバンドについては別の機会に振り返っていきたい。
2017年からロシア・モスクワで活動する2ピース・ブルータル・デスメタル・バンド、Filthed。
Lord of the Sick Recordingsと契約してリリースされたデビュー・アルバムは、古き良きアメリカン・ブルータル・デスメタルを独自に混ぜ合わせたかのような作品でなかなか聴きごたえがある。Internal Bleedingすぎるスラム・パート、さらにハードコアに寄ったモッシュ・パートで血管を膨張させながらも、ピュアすぎるブラストビートで疾走したりする。一周回ってこのくらい純度の高いブルータル・デスメタルが心地良く感じる。
1991年10月、記念すべきファーストアルバムとなる『Effigy of the Forgotten』を R/C Records から発表。本
作は、交通事故により、若干 22 歳で亡くなった彼らの盟友、Roger Patterson (Atheist、R.A.V.A.G.E.)に捧げたメモリアル作品であることを後に Frank が語っている。1991 年暮れから翌年末まで、アメリカ主要都市を中心に、精力的なライブ活動を敢行。毎日のようにライブに明け暮れ、そのテクニックに磨きをかけていった。当時まだ物珍しかったであろう Frank のガテラル・ヴォイスは、披露される度に歓声が起こっていた。
『Effigy of the Forgotten』
1993年5月、名門 Roadrunner Records よりセカンドアルバム『Breeding The Spawn』を発表。本作からベーシストに Pyrexia で活躍した Chris Richards が加入している。前作『Effigy of the Forgotten』リリース後の精力的なライブ活動で得たテクニックとグルーヴは、本作におけるブルータルデスメタル・グルーヴをより強化し、ライブパフォーマンスを大きくスキルアップさせた。翌年には Restless Records 企画のスプリットアルバム『Live Death』に、Malevolent Creation、Exhorder、Cancer と共に参加。この頃、ドラムの Mike Smith が脱退し、Doug Bohn が加入した。1995年5月、サード・アルバム『Pierced from Within』を Roadrunner Records から発表。当時のデスメタルシーンの盛り上がり、そして誰も止められない Suffocation の勢いを生々しく封じ込めた奇跡と 1 枚として、今も尚語り継がれている。
Suffocation は『Pierced from Within』リリース後、大規模なツアーを敢行。ツアー途中の 1996 年に Doug Bohn が脱退するも、Malevolent Creation に在籍していた Dave Culross が加入。ツアーやフェスティバル出演を経て、1998 年には EP『Despise The Sun』をリリース。同時に Suffocation は活動休止を発表した。当時の状況については謎に包まれたままで、ネガティヴな雰囲気がバンドに流れていたことが分かる。
メンバーチェンジを行い、2002 年に復活。オリジナルメンバーのベーシスト Josh がバンドに復帰、翌年にはギタリスト Guy の復帰と、黎明期を支えたドラマー Mike Smith も Suffocation に再加入を果たした。Roadrunner Records を離れ、Relapse Records へと戻った第 2 期 Suffocation はアルバム『Souls to Deny』を発表。彼らの復活を待ち望んだファン達の期待を上回る出来、初期ラインナップに戻った Suffocation の勢いは再び加速。当時の熱狂を詰め込んだライブアルバム『The Close of Chapter』は、『Souls to Deny』のワールドツアー中に収録された。
ワールドツアーでベースを担当した Derek Boyer が正式加入。バンド史上最高の状態で制作されたセルフタイトルアルバム『Suffocation』は 2006 年 9 月に Relapse Records からリリースされ、世界のデスメタルリスナーが湧き上がった。Roadrunnner Records からリリースされたアルバムからライブでも人気のある楽曲をまとめた『The Best of Suff ocation』のリリースや、数千人規模のフェスティバル出演を重ねていった。
Derek Boyer
2009 年、Nuclear Blast Records へと移籍しリリースとなった『Blood Oath』は第 2 期 Suffocation の集大成とも言える抜群の完成度を誇り、リリース後に出演した Summer Slaughter Tour でその格の違いを見せつけた。2012 年にドラマー Mike Smith が再び脱退。過去に Suffocation でドラムを叩いた Dave がその穴を埋めたが、アルバム『Pinnacle of Bedlam』をリリースした後、バンドは再びメンバーチェンジを繰り返しはじめた。現在は、ギタリストに Internal Bleeding のライブメンバーとして知られる Charlie Errigo、ドラマーには Slayer のドラムテックなどを担当した経験もあるブルータルデスメタル・シーンの名ドラマー Kevin Talley が加入している。
2017年にアルバム『…Of the Dark Light』をリリース。2017年後半から、それまでツアー・メンバーだったKevin Mullerが、Frank Mullen と共にフルタイムでバンドに参加し、2人がヴォーカルを担当することになった。これは決してSuffocationがツイン・ボーカルという編成になったわけではなく、Frankがその後、バンドを脱退 (卒業というようなイメージ)する前の引き継ぎのようなものであった。、2018年に復帰したRicky Myersが後任として再びSuffocationは動き出した。Frankは正式にバンドを引退する前に、ファイナルツアーを行った。
Sijjeel : サウジアラビア在住のHussain Akbarを中心に、KorpseのFloor Van Kuijk、StillbirthのLukas Kaminskiによるインターナショナル・ブルータル・デスメタル・バンド、Sijjeelが、2022年6月3日にComatose Musicからニューアルバム『Salvation Within Insanity』をリリースしました。
From the morbid purgatory that lies between the edge of sanity and the shores of madness comes the furious, brutal death metal of Sijjeel with their debut full length album ‘Salvation Within Insanity’. Featuring the combined powers of Hussain Akbar, Floor Van Kuijk (Korpse) and Lukas Kaminski (Stillbirth) this album is a hellbound tour de force of terror. On June 3rd ‘Salvation Within Insanity’ strikes with malicious domination that is both relentless and absolutely punishing. Quite simply one of the most violent death metal albums you will ever hear. Be ready for the coming of Sijjeel!
Credits:
Video by Yod Multimedia
Mixed & Mastered by Floor Van Kuijk (GLDCHN Studios)
Artwork by Rudi ‘Gorgingsuicide’ Yanto