YouTubeに公開された「How FOR TODAY changed metalcore forever (Myspace to Mainstream)」では、For TodayがどのようにMySpace時代から人気を拡大し、メタルコア・シーンを代表する存在の一つへ成長していったのか、その歴史を振り返っている。
For Todayの始まりは2005年まで遡る。後に広く知られることになる姿とはまだ異なっていたものの、初期EP『Your Moment, Your Life, Your Time』を発表し、この作品をきっかけにFacedown Recordsとの契約へとつながった。当時のクリスチャン・メタルコアで広がっていたパニックコード、メロディックなリフ、荒々しいプロダクションなどを備えた作品であり、動画では当時のシーンを象徴するようなサウンドだったと振り返っている。
For Todayの初期を象徴する作品の一つとして動画で取り上げられるのが『Ekklesia』だ。強烈なブレイクダウン、メロディックなリフ、ブルータルなボーカル、そして感情的なパートを組み合わせたサウンドは、当時のメタルコアの空気と強く結び付いていた。動画では、彼らのブレイクダウンだけを集めたコンピレーション動画がYouTube上で作られるほど、その強烈さがファンに支持されていたことにも触れている。
For Todayのキャリアにおいて大きな成功を収めた作品として、動画で重要視されているのが『Immortal』だ。
同作はBillboard 200で15位を記録し、初週で約15,000枚を売り上げ、Hard Rock AlbumsとTop Christian Albumsでは1位を記録したと紹介されている。動画では、これまでのFor Todayが築いてきた音楽性に、より現代的で聴きやすいアプローチを加えたことが成功につながったと分析している。
その後、Reynoldsはバンドを離れ、新たなメンバーが加入。Sam PennerとDavid Puckettを迎えた新体制へ移行し、レーベルもRazor & Tie Recordsへと移った。2013年には新曲や「Fearless」のアコースティック版などを収めたEP『Prevailer』を発表し、大きな騒動を経験しながらもバンドは活動の勢いを維持していった。
「Break the Cycle」と『Fight the Silence』で再び頂点へ
その後のFor Todayを代表する楽曲となったのが「Break the Cycle」だった。動画では現在まで続く彼ら最大級の楽曲として取り上げられ、印象的なビデオ、コールアウト、ブレイクダウン、ゲストボーカルなど、For Todayの魅力が凝縮された曲として評価されている。
同曲を収録した『Fight the Silence』も、バンドのソングライティングがさらに進化した作品として紹介されている。チャートやセールスでも結果を残し、レビューでも高い評価を受けたと動画では振り返る。Yan自身が2014年にFor Todayのライブを観た経験も語っており、当時は「世界の頂点にいるように感じた」と表現するほど、バンドに大きな勢いがあったという。
『Fight the Silence』に続いて発表された『Wake』について、Yanは決して悪いアルバムではないと評価している。一方で、『Immortal』や『Fight the Silence』ほど強いインパクトを持った作品ではなく、多くのファンも以前と同じようには反応しなかったと振り返っている。動画では、過去2作で確立されたサウンドと比べると少し抑えられた印象があり、「For Todayが『Immortal』や『Fight the Silence』の音楽性を見つける前に作っていそうなアルバム」という個人的な感想も語られている。
アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグのデスコア・バンド Signs Of The Swarmが、「To Rid Myself Of Truth」のライブ映像を公開した。映像は、オハイオ州コロンバスで開催されたSonic Temple Art & Music Festival 2026で収録されたものとなる。
「To Rid Myself Of Truth」は同公演のオープニング曲として披露され、その後「Tower of Torsos」「HELLMUSTFEARME」へと続くセットが組まれていた。今回公開された映像では、最新作品の楽曲を現在のライブ編成で演奏するSigns Of The Swarmのステージを確認できる。
同曲は、2025年8月22日にCentury Media Recordsからリリースされた6thアルバム『To Rid Myself Of Truth』のタイトル曲。アルバムの1曲目に配置され、同年7月には公式ミュージックビデオも公開されている。
『To Rid Myself Of Truth』はJosh SchroederとSigns Of The Swarmがプロデュースを担当した全11曲入り作品で、Will Ramos(Lorna Shore)、Phil Bozeman(Whitechapel)、Jack Murray(156/Silence)、Johnny Crowder(Prison)がゲスト参加している。
Signs Of The Swarmは2014年にピッツバーグで結成。現在はDavid Simonich、Carl Schulz、Michael Cassese、Bobby Crowの4人で活動しており、『Amongst the Low & Empty』(2023年)に続く『To Rid Myself Of Truth』で通算6作目のスタジオアルバムを発表した。
現在のエクストリーム・メタルを代表する存在の一つへと成長したSlaughter To Prevail。そのフロントマンAlex Terribleが、イギリスのBloodstock Open Air 2026でBloodstock TVのインタビューに登場し、バンドの急速な成長、現代のデスコア・シーン、自身に対して世間が抱いているイメージ、そして人生そのものについて語った。
Slaughter To Prevailは8月8日、Bloodstock Open Airの25周年を記念する2026年大会でRonnie James Dio Stageのヘッドライナーを担当。Lamb Of God、Judas Priest、Saxonとともに同フェスティバルのヘッドライナーに名を連ねた。
インタビューでは、14歳頃からエクストリーム・ボーカルに取り組み、Oliver Sykes(Bring Me The Horizon)や故Mitch Lucker(Suicide Silence)に憧れていた少年時代から、巨大なフェスティバルのヘッドライナーを務める現在までを振り返る一方、「Demolisher」とLorna Shoreの「To the Hellfire」が現代のヘヴィ・ミュージックに変化をもたらしたという自負も明かしている。そして後半では、Alex Terribleという強烈なパブリックイメージの裏側にある、自身のアイデンティティや死生観についても踏み込んでいる。
「ロックスターになる」と信じていた14歳の少年
Bloodstockへの出演は今回が初めてであり、さらにイギリスのフェスティバルでヘッドライナーを務めることについてAlex Terribleは緊張していると話した。Slaughter To Prevailは以前Download Festivalにも出演しており、その際にも大きな観客から激しい反応を受けたが、今回はさらに上の立場でステージへ立つことになる。現在の状況についてAlexは、時折「マトリックスの中に生きているような感覚になる」と語っている。
彼がエクストリーム・ボーカルを始めたのは14歳頃。当時はBring Me The HorizonのOliver SykesやSuicide SilenceのMitch Luckerを見て、彼らのスタイルや生き方そのものに憧れていた。14~15歳頃には手首や指など目立つ場所にもタトゥーを入れ始め、母親から「普通の仕事に就けなくなる」と怒られたという。
インタビュアーは、現在のヘヴィ/エクストリーム・ミュージックでは世代交代が進み、新しいバンドがより大きな観客を獲得するようになっていると指摘。その中でもSlaughter To Prevailは、新世代を象徴する重要なバンドの一つではないかと質問している。
これに対するAlexの答えは明確だった。
彼は、Slaughter To Prevailが「Demolisher」を発表し、Lorna Shoreが「To the Hellfire」を発表したことで「ゲームを変えた」と考えている。そして自分自身やLorna ShoreのWill Ramosをはじめ、現在エクストリーム・ボーカルを追求している新世代のボーカリストたちが、ジャンルへ新たなリスナーを呼び込んでいるという。
AlexはSuicide Silence、Whitechapel、Carnifexといった先人への敬意も強調している。自身も彼らを聴いて育った一人であり、伝説的なバンドだと認識している。そのうえで、現在のSlaughter To Prevailが販売できるチケット数や集めている観客の規模を考えれば、新世代がエクストリーム・ミュージックの市場そのものを広げることに貢献していると考えている。
2020年に公開された「Demolisher」は、Slaughter To Prevailの人気を大きく押し上げた重要曲として知られ、その後バンドは世界的な規模へと成長していった。さまざまな雑誌、メディアも2025年のアルバム『Grizzly』発売時、Slaughter To Prevailが100万を大きく超えるSpotify月間リスナーを獲得し、大型会場やフェスティバルで大規模な観客を集める存在になったことを紹介している。
もちろん、結果的に自分自身がデスコア・カルチャーの一員であることは認めている。しかし「このジャンルだから、こうしなければならない」という発想ではなく、音楽的にやりたいことが変われば、それに合わせてSlaughter To Prevailも変化していく。
実際、最新アルバム『Grizzly』では従来の圧倒的なヘヴィネスを軸としながら、楽曲によって異なるアプローチも取り入れている。多くのメディアは同作について、Slaughter To Prevailが現代のヘヴィ・ミュージックを代表する存在へ成長した作品として紹介している。ジャンルの伝統を引き継ぎながら、その境界線には縛られない。この考え方も、Slaughter To Prevailが従来のデスコアより広いリスナー層へ届き始めている理由の一つなのかもしれない。
この考え方は、Slaughter To Prevailの近年の作品にも通じる部分がある。2026年に公開された「Koschei」のミュージックビデオについてAlexは、肉体が消滅したあとにも残る魂や精神、本質とは何なのかというテーマを説明していた。物質的なものに執着しても、それを死後へ持っていくことはできないという考えも語っている。ステージ上では圧倒的な力を誇示するAlex Terribleだが、今回のインタビューでは、その裏側で死や自己の存在について考え続けている一面が強く表れている。
Bloodstockのヘッドラインも「まだ始まりにすぎない」
25周年を迎えたBloodstockでヘッドライナーを務めることは、Slaughter To Prevailにとってキャリア上の大きな到達点である。Bloodstock公式でも、2026年8月8日にSlaughter To PrevailがRonnie James Dio Stageへ出演することが発表され、同年の主要ヘッドライナーの一組として位置付けられている。しかし、この巨大な舞台を「マイルストーンだと感じるか」と聞かれたAlexは、「これはただの始まりだと思っている」と答えた。
アメリカ・ロサンゼルスのハードコア・バンド God’s Hateが、3曲入りEP『Won’t Be Disgraced』をClosed Casket Activitiesからリリースした。2021年のセルフタイトル・アルバム『God’s Hate』以来、約5年ぶりとなる新作である。本作にはタイトル曲「Won’t Be Disgraced」と「I Am The Cure」に加え、Harm’s Wayの「Warriors Will Reign」カバーを収録。全3曲で構成され、デジタル配信と12インチ・アナログ盤で展開されている。
「Won’t Be Disgraced」では、苦痛や挫折を抱えながらも孤立せず、仲間とともに乗り越えていくことを歌っている。一方の「I Am The Cure」は、依存や自己破壊から距離を置き、自らの意思で生き方を選択する姿勢を描いたストレートエッジ色の強い楽曲となった。
EPを締めくくる「Warriors Will Reign」は、Harm’s Wayの楽曲をカバーしたもの。Earth CrisisのKarl Buechner、Youth Of Today/ShelterのRay Cappo、Harm’s WayのJames Pliggeらがゲストボーカルとして参加しており、亡くなったHarm’s WayのギタリストBo Luedersへのトリビュートとして制作された。
God’s Hateは2025年7月、ロサンゼルスで開催されたSound And Fury Festivalへの出演後に活動休止を発表していた。しかし2026年8月16日、同フェスティバルの最終日にサプライズ出演し、約1年ぶりにステージへ復帰。その直後となる8月18日に『Won’t Be Disgraced』をリリースしている。
God’s HateはAEWのプロレスラーとしても活動するBrody Kingをフロントマンに擁するロサンゼルスのハードコア・バンド。2014年の『Divine Injustice』、2015年の『Under The Knife』、2016年の『Mass Murder』を経て、2021年にはセルフタイトル・アルバム『God’s Hate』を発表している。
『Won’t Be Disgraced』収録曲
1. Won’t Be Disgraced
2. I Am The Cure
3. Warriors Will Reign
最初に登場するのがBleeding Verseだ。プロフィールには「心からの歌詞、AI-assisted instrumentation and vocals」と記載されており、AIによって楽器やボーカルを制作していることを明らかにしている。動画収録時点で代表曲「If You Loved Me Then」はSpotifyで310万回以上再生されており、さらに短期間のうちにアルバム、EP、アコースティック版など複数の作品を公開していた。
さらにBeyond Disdainの「Everything We Gave」では、Selene Calderという人物をフィーチャリングした作品が紹介される。しかし、その人物について独立したInstagramアカウントなどを確認できず、METALBIRBはアーティストそのものの実在性を疑問視している。
The Velvet Sundownについては、AIによって制作された音楽プロジェクトとして広く認識されるようになった一方、動画では当初AIであることを否定していた時期もあったとして紹介される。
METALBIRBは「Dust on the Wind」を実際に再生し、他の作品と同様に非常に厳しい評価を下している。動画全体を通して評価基準そのものが「AIで制作された音楽を支持しない」という立場に立っているため、通常の音楽レビューというより、AIアーティストの急増に対する批判的なリアクション動画として見る方が近い。
カナダのEDMプロデューサー deadmau5が、同国のマスロック・デュオ Angine de Poitrineによる「Fabienk」の公式リミックス「Fabienk (deadmau5 Remake)」をリリースした。deadmau5はここ数か月、自身のライブセットで同リミックスを披露しており、今回スタジオ版が正式に公開された。
原曲「Fabienk」は、Angine de Poitrineが2026年4月に発表したアルバム『Vol. II』のオープニング曲。deadmau5によるリミックスでは、原曲のマイクロトーナルなマスロック要素を残しながら、4つ打ちのビートとキーボードを加え、ダンス・ミュージックとして再構築している。
deadmau5は以前からAngine de Poitrineへの支持を公言しており、4月にはInstagramでリミックスの一部を初公開。その後、トロントのVELD Festivalをはじめ、FIFA Fan Festival、モントリオールのÎlesoniqなど複数の大型イベントで同バージョンをプレイしてきた。
Angine de Poitrineは、ケベック州サグネを拠点とするKhn de PoitrineとKlek de Poitrineによる匿名の2人組。マイクロトーナルな楽曲構成とライブ・ルーピング、大型マスクを用いたパフォーマンスで知られ、2026年にライブ映像がSNS上で拡散したことをきっかけに注目を集めた。
その後はモントリオール・ジャズ・フェスティバルで大規模な観客を集めたほか、Osheagaにも出演。Shania Twainがゲスト出演した『Later… with Jools Holland』での共演など、活動の場を広げている。
アメリカのニューメタル・バンド Limp Bizkitが、再びスタジオで新曲制作を進めている可能性が浮上した。ファンによる目撃情報やスタジオ内で撮影されたとみられる写真が相次いで公開されており、新たな音源制作に入っているとの報告が広がっている。
Limp Bizkitは以前から、2021年発表の『STILL SUCKS』に続く7thスタジオアルバムの制作を計画していた。しかし、近年はライブ活動が活発化しており、新作制作よりもツアーを優先する状況が続いていたという。
スタジオでの動き自体は今回が初めてではない。2024年10月にはFred DurstがドラマーのJohn Ottoとスタジオ入りしたことを明かし、新曲のドラム録音を進めている様子を公開していた。さらに2025年には未発表曲の一部がSNS上で披露され、その後「Making Love to Morgan Wallen」が正式リリースされている。
Limp Bizkitは1994年にフロリダ州ジャクソンビルで結成。『Three Dollar Bill, Y’all』(1997年)、『Significant Other』(1999年)、『Chocolate Starfish and the Hot Dog Flavored Water』(2000年)などを発表し、ニューメタル/ラップロックを代表するバンドとして活動してきた。前作『STILL SUCKS』は2021年にリリースされている。
YouTubeチャンネルHeavy Metal Philosophyが公開した「Do We Still Need Journalists In Metal?」では、近年相次いでいるメタル/ロック系メディアの人員削減を出発点に、音楽ジャーナリズムを取り巻く現在の状況について考察している。動画で語られているのは単なるメタルメディアの衰退ではない。ゲーム、スポーツ、格闘技、政治などを含め、従来型メディアそのものが縮小しているという、より大きな変化だ。
メタルメディアで相次ぐ大量解雇
動画では、BrooklynVegan、Alternative Press、Revolverなど、ロック、メタル、パンクを扱ってきたメディアで大規模な人員削減が起きたことから話が始まる。さらに、それ以前にもMetal Injection、MetalSucks、Blast Beat Networkなどで大量解雇が行われていた。こうした状況からHeavy Metal PhilosophyのJohn Barbisは、今回の出来事を一つの企業の経営判断や一時的な問題ではなく、メディア業界全体で起きている構造的な変化として捉えている。
John Barbis自身も、この違いを明確にしている。過去にMetal Digestで働いていた時期には自分をジャーナリストだと考えていたが、現在は「メディアの人間ではあるが、ジャーナリストではない」と位置付けている。現在の活動はニュースについてコメントしたり、PR会社から届いた情報を紹介したりすることが中心であり、本格的な調査報道を行っているわけではないからだ。
John Barbisは自分自身の番組で行ったブランド案件を例として取り上げている。実際に使用して良いと思った商品だけを紹介しているとしても、その企業から金銭的な利益を得ている以上、発信内容に何らかの影響が生まれる可能性は完全には否定できない。規模は異なっても、大手メディアと広告主の関係にも同じ問題が存在するのではないかと問いかけている。
2026年5月に来日したアメリカ・ボストンのハードコア・バンド Haywireが、Roadrunner Recordsとの契約を発表した。あわせて、ニューアルバム『I Don’t Wanna Say Goodbye』を制作中であることも明らかにしている。
会場では、新作からのニューシングルを収録した無料カセットが配布される予定だ。ThePRPによると、収録曲は「With You, Without You」とみられており、8月19日に正式なデジタルリリースを予定している。バンドは発表にあわせて、「Roadrunner Recordsと契約した。明日はロサンゼルスのSound And FuryでGuac Stageのヘッドライナーを務める。水曜日に公開するニューシングルを収録した無料カセットも配布する。いくつかサプライズも用意している」と告知している。
『I Don’t Wanna Say Goodbye』の発売日や収録曲など、アルバムの詳細は現時点では発表されていない。Sound And Furyの来場者は、新作の予約と新曲の試聴をいち早く行える機会が用意されているとのこと。
Haywireはボストンを拠点とするハードコア・バンドで、2024年にはアルバム『CONDITIONED FOR DEMOLITION』を発表。2026年にはDropkick Murphysとのスプリット作品『New England Forever』をリリースするなど、活動を広げてきた。
その後も『Iowa』(2001年)、『Vol. 3: (The Subliminal Verses)』(2004年)、『All Hope Is Gone』(2008年)、『.5: The Gray Chapter』(2014年)、『We Are Not Your Kind』(2019年)、『The End, So Far』(2022年)など、バンドの主要作品に参加。マスクを着用した9人編成で知られるクラシック期のラインナップを構成したメンバーの一人でもある。
THE DECLINE(ザ・ディクライン)は、オーストラリア西部の都市パースを拠点に活動するスケートパンク/メロディック・パンク・バンド。高速で疾走感のあるビート、キャッチーなメロディ、複数のメンバーによるボーカルとコーラス、ユーモアを交えながら社会や日常生活を描く歌詞を特徴としている。
Frenzal Rhomb、Bodyjar、NOFX、Lagwagon、Descendents、Less Than Jake、Propagandhiといった、1990年代を中心に活躍したパンク/スケートパンク・バンドから強い影響を受けており、オーストラリアのパンクシーンに根差しながら、アメリカ、ヨーロッパ、イギリス、日本、メキシコ、中南米など、世界各地でツアーを行ってきた。
結成と初期の活動
THE DECLINEは2005年、西オーストラリア州パースで結成された。中心となったのは、学生時代からの友人だったPat Dolin(のちのPat Decline)、Dan Cribb、James “Doody” Daviesの3人である。
完成したファースト・アルバム『I’m Not Gonna Lie To You』は、2010年3月19日に自主リリースされた。同作の発表をきっかけに、バンドはパース以外の都市にも活動を広げ、本格的なオーストラリア国内ツアーを開始する。
アルバム発売直前の2010年3月、オリジナル・ドラマーのJames Daviesが脱退。彼にとって最後の公演は、パースのAmplifier Barで行われたNo Fun At AllとThe Flatlinersのサポート公演だった。その後、Harryが新ドラマーとして加入し、2010年4月に行われた『I’m Not Gonna Lie To You』のリリースツアーからバンドに参加した。
『Are You Gonna Eat That?』の発表後、バンドは大規模なオーストラリア国内ツアーを展開。2013年には初の本格的な海外ツアーを行い、ヨーロッパに進出したほか、Useless IDやImplantsとともに日本でもツアーを行った。同年11月には、地元西オーストラリア州の音楽賞West Australian Music Awardsで「Punk Act of the Year」にノミネートされ、パースを代表するパンク・バンドのひとつとして評価を高めていった。
Soundwave Festival出演と『Can I Borrow A Feeling?』
2014年3月3日、THE DECLINEはパースで開催された大型フェスティバルSoundwave Festivalに出演。Less Than JakeやAlkaline Trioらと同じステージに立った。
この公演でバンドは、クラウドファンディングによって制作する新作EP『Can I Borrow A Feeling?』を発表し、「Yahweh or the Highway」「Cool Kids Can’t Die」といった新曲を披露した。『Can I Borrow A Feeling?』は2014年4月18日にリリースされ、バンドは同作を携えたオーストラリア全国ツアーを行った。
新体制による最初のシングルとして「Giving Up Is A Gateway Drug」を発表し、続いてBodyjarのCameron Bainesをゲスト・ボーカルに迎えた「I Don’t Believe」をリリース。Local Resident Failure、Guttermouth、Frenzal Rhombらとの公演を含むオーストラリア国内ツアーを行った。
2015年6月12日、サード・アルバム『Resister』をPee Recordsから発表。同作はアメリカではBird Attack Records、ヨーロッパではFinetunes、日本ではBells On Recordsを通じて流通し、THE DECLINEの存在を国際的に広める作品となった。
アメリカではフロリダ州ゲインズビルの大型パンクイベントThe Festを含むツアーを行い、日本ではUseless ID、Versus The Worldらと共演。メキシコではA Wilhelm Screamのツアーをサポートし、その後、オーストラリアでも同バンドのサポートを務めた。
2015年にはWest Australian Music Awardsの「Best Punk/Hardcore Act」にノミネート。翌2016年には「I Don’t Believe」がWAM Song of the Yearの「Punk Song of the Year」に選出候補としてノミネートされた。また、2016年3月にはPat Declineが、Strung Outとのオーストラリアツアー中のPEARSにサポート・ベーシストとして参加している。
2017年にはシングル「Can’t Have Both」がWAM Song of the Yearのパンク、メタル、ポップの3部門にノミネートされた。同年6月にはオランダのJera On Airに出演し、ドイツとオランダでCJ Ramoneをサポート。8月にはDirect Hitとのオーストラリア共同ツアーを行い、その後はアメリカ西海岸を巡った。さらに同年10月には「We Are One Tour」に参加し、Face To Face、Ignite、The Fullblast、Much The Sameらとともに、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビア、コスタリカを巡回。活動範囲を南米にまで広げた。
『Flash Gordon Ramsay Street』
2019年、THE DECLINEは次のアルバムに向けた活動を本格化させた。同年に発表されたシングル「Verge Collection」には、Bad Cop/Bad CopのStacey Deeがゲスト・ボーカルとして参加。この時期、ドラマーのHarryがマウンテンバイクの事故で腕の骨折と肩の脱臼を負ったため、オーストラリア国内ツアーではThe Bob GordonsのJosh Barkerが代役を務めた。
2019年8月30日、4枚目のスタジオ・アルバム『Flash Gordon Ramsay Street』をPee Recordsからリリース。アルバム・タイトルは、アメリカン・コミックのキャラクター「Flash Gordon」、イギリスの料理人Gordon Ramsay、オーストラリアの長寿テレビドラマ『Neighbours』の舞台「Ramsay Street」を組み合わせた、THE DECLINEらしい言葉遊びとなっている。収録曲「War」には、A Wilhelm ScreamのNuno Pereiraがゲスト・ボーカルとして参加した。
同作はヨーロッパでBearded Punk Records、イギリスでDisconnect Disconnect Records、北米でThousand Islands Recordsから流通。これに伴い、それまでアメリカで作品を扱っていたBird Attack Recordsとの契約は終了している。アルバム発表後、Nerdlingerをサポートに迎えたオーストラリアツアーを開催。翌2020年にはヨーロッパのフェスティバル出演やLagwagonのサポートが予定されていたが、新型コロナウイルスの世界的流行により延期を余儀なくされた。
パンデミック期の活動
2020年、THE DECLINEはデビュー・アルバム『I’m Not Gonna Lie To You』を初めてアナログレコードとして再発。また、アメリカのSic Waitingとのスプリット7インチ『Year Of The Crow / Stay Awake』を発表し、両バンドがそれぞれ2曲ずつ提供した。2021年には『Are You Gonna Eat That?』の発売10周年を記念し、12インチのピクチャー・ディスクとして再発している。
延期されていたヨーロッパツアーは2022年8月に実現。Lagwagon、Mad Caddies、Get Dead、Useless ID、Belvedere、Anti-Flag、The Flatlinersらの公演に出演し、THE DECLINEにとって初めてとなるスカンジナビア公演も行われた。このツアーでは、No Use For A Nameの中心人物Tony Slyの死去から10年を迎えたことを受け、毎晩「The Answer Is Still No」をカバー。後にスタジオ録音版もデジタル配信された。
2023年11月には「The Most Expensive Chips I’ve Ever Had」のミュージックビデオを公開。世界各地のスケートパンク・バンドがカメオ出演する、国際的なパンクコミュニティとのつながりを象徴する作品となった。
近年の活動
2024年5月、THE DECLINEはカナダのスケートパンク・バンドBelvedereのオーストラリアツアーをサポートした。2025年には、Holden Sheppardの小説を原作とするオーストラリアのテレビドラマ『Invisible Boys』に、THE DECLINEの「A Crash Course In Emotional English」と「The More You Know」が使用された。これにより、バンドの楽曲はライブハウスやパンクシーンの枠を越え、映像作品を通じても紹介されることになった。
THE DECLINEの音楽的な基盤となっているのは、1990年代型のスケートパンクとメロディック・パンクである。
テンポの速いドラム、細かく刻まれるギター、短い時間の中で次々と展開する楽曲構成、耳に残るメロディ、複数のボーカルが交差するコーラスワークを特徴としている。Frenzal RhombやBodyjarといったオーストラリアの先輩バンドに加え、NOFX、Lagwagon、Descendents、Less Than Jake、Propagandhiなど、北米のパンク・バンドからの影響も公言している。
THE DECLINEは、オーストラリア国内で長年活動を続けるだけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、イギリス、日本、メキシコ、コスタリカ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビアなどを巡り、国際的なスケートパンク・シーンとの関係を築いてきた。
これまでにFace To Face、Ignite、CJ Ramone、A Wilhelm Scream、Lagwagon、The Flatliners、Teenage Bottlerocket、Useless ID、Belvedere、Direct Hit、Much The Same、Versus The World、Local Resident Failure、MakeWarなど、世界各国のパンク・バンドとツアーや共演を重ねている。
* 『I’m Not Gonna Lie To You』(2010年)
* 『Are You Gonna Eat That?』(2011年)
* 『Resister』(2015年)
* 『Flash Gordon Ramsay Street』(2019年)
コンピレーション/コレクション・アルバム
* 『Magical Misery Tour』(2023年)
EP
* 『The Same Kind』(2008年)
* 『Can I Borrow A Feeling?』(2014年)
主なスプリット作品
* 『4 Way WA Punk Split 7″』(2013年)
* 『Great Thieves Escape 3』(2016年)
* 『Local Resident Failure Vs The Decline』(2017年)
* 『Year Of The Crow / Stay Awake』(Sic Waitingとのスプリット、2020年)