【アルバムレビュー】Kill the Lights 『The Sinner』

 

Kill the Lights – The Sinner

2019年1月、シングル「The Faceless」でデビュー。ハイクオリティなオールドスクール・メタルコアサウンドに加え、豪華なメンバーラインナップも話題となり、一躍2020年のメタルコアシーン台風の目となった。活動始動時のラインナップはこうだ。

Michael Thomas (ex.Bullet For My Valentine – Drums)
James Clark (ex.Throw The Fight – Vocal)
Jordan Whelan (Still Remains – Guitarist)
Travis Montgomery (Threat Signal – Guitar)
Davey (Glamour of the Kill – Bass)

Still RemainsにThreat Signalと言えば、メロディックデスメタルとメタルコアの架け橋としてその名は知られているが、コアなメタルリスナーに限られるだろう。やはり、Bullet For My Valentineから抜けたMichaelが立ち上げた、というところに注目が集まったと言える。

Fearless Recordsと契約、デビューアルバムとなる本作の制作に入るが、Daveyが脱退し、Travisがベーシストへとパートチェンジしている。プロデューサーにはSlipknotやMachine Head、Triviumなどを手掛けてきた敏腕Colin Richardsonだ。

「Plagues」や「Shed My Skin」といったリードトラックからは、Bullet For My ValentineやAs I Lay Dying、そしてBlack Veil Bridesといったタイプのメタルサウンドを彷彿をさせるエナジーを感じるし、Stone Sourらオーバーグラウンドのメタルサウンドが心地良い「Through The Night」など、今後のKill The Lightsの展望がうかがえるような楽曲も多数収録されており、聴きごたえは十分だ。Fearless Recordsをバックにつけて、2021年もKill The Lightsの快進撃は続く。

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テクニカル・デスメタル 2020年の名盤 10選

2020年にリリースされたテクニカル・デスメタルの様々な作品の中から、RIFF CULTがチョイスしたアルバムをレビューしました。気になった作品が見つけて下さい!

 

 

Deeds of Flesh – Nucleus

およそ7年振りのリリースとなった9枚目フルレングス。2018年、バンドのファウンダーであり、ブルータル・デスメタルシーンの一時代を築いてきたErik Lindmarkが死去。制作途中であった本作は、Erikと共にDeeds of Flesh黄金期に在籍したJacoby Kingston、Mike Hamiltonが復帰、リリックやボーカルのアレンジなど制作面を中心にレコーディングに携わり、現メンバーであるドラマーDarren Cesca、ギタリストCraig Peters、ベーシストIvan Munguiaの5人でErikが構想した本作を形にしていった。豪華なゲスト陣に加え、ミックス/マスタリングにZack Ohren、アートワークはRaymond Swanlandを起用し、2020年遂にリリースされた。「Odyssey」、「Alyen Scourge」そして「Onward」を除くすべての楽曲に生前Erikと親交のあったミュージシャン達がフィーチャーしている。

 

1. Odyssey
2. Alyen Scourge
3. Ascension Vortex
Feat:
Bill Robinson (Decrepit Birth)
Obie Flett (Inherit Disease, Iniquitous Deeds, Pathology)
Anthony Trapani (Odious Mortem, Severed Savior, Carnivorous)

4. Catacombs of the Monolith
Feat:
Luc Lemay (Gorguts)

5. Ethereal Ancestors
Feat:
George “Corpsegrinder” Fisher (Cannibal Corpse)

6. Nucleus
Feat:
John Gallagher (Dying Fetus)
Matt Sotelo (Decrepit Birth)

7. Races Conjoined
Feat:
Matti Way (Disgorge, Abominable Putridity, Pathology)
Frank Mullen (Suffocation)
Jon Zig (初期Deeds of Fleshのアートワーカー)

8. Terror
Feat:
Dusty Boisjolie (Severed Savior)
Robbe Kok (Arsebreed, Disavowed)

9. Onward

 

トラックリストを見るだけでも凄いが、これだけ個性的なミュージシャンが参加しているにも関わらず、すべての楽曲が間違い無くDeeds of Fleshの楽曲なのも凄い。前作『Portals to Canaan』の延長線上にあるサウンドをベースにしながら、『Path of the Weaking』、『Mark of the Legion』をリリースした90年代後期のDeeds of Fleshを彷彿とさせるクラシカルな良さもある。2000年代後半からのDeeds of Fleshサウンドの要になってきたCraigのプログレッシヴなギターフレーズはやや控えめであるが、彼らしいプレイも散見される。特に「Ethereal Ancestors」後半のギターソロはテクニカルデスメタル史上最も美しいギターソロだと思う。全曲味わい深く、間違い無く2020年を代表するテクニカルデスメタルの傑作。これからDeeds of Fleshがどのように活動していくのか、もしくはこれが事実上最後の作品なのかは分からないが、Deeds of Fleshの歴史において今後永遠に語り継がれていく作品になることは間違いない。この作品を完成させたDeeds of Fleshに関わる全てのミュージシャン、クリエイター達に感謝。

 

 

 

Beneath the Massacre – Fearmonger

前作『Incongruous』からおよそ8年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。しばらく沈黙が続いており、復活作として大きな話題になった。Prosthetic Recordsからの移籍という事で、テクニカルデスメタル/デスコアシーンからさらに広いメタルシーンへアプローチする作風になるかと思いきや、振り切ったスピードで突進し続けるアグレッシヴなスタイルをさらに加速してきたので驚いた。

2017年に加入したドラマーAnthony BaroneはThe FacelessやWhitechapelのライブドラマーとして活躍し、近年ではAegaeonやShadow of Intentといったテクニカルデスコアシーンで活躍してきた人物。高いレベルが要求されるBeneath the Massacreのサウンドを牽引するようにしてハイスピードなブラストビートを繰り広げ続けていく。それに食らいつく、というと語弊はあるが切れ味鋭いカミソリリフと攻撃的なギターソロをプレイするChrisも凄まじい技術を持っている。

ミュージックビデオになっているリードトラック「Treacherous」はメタルコアを40倍速再生させたようなスピード感とメロディ感を兼ね備えた楽曲で、2020年2月に公開から16万回再生されている。他にも開いた口がふさがらないような超絶技巧まみれのキラートラックが多数収録されており、アルバムを聴きおえたあとの満足感は強烈。デスコアリスナーもブルデスリスナーも是非チェックしてほしい1枚。

For Fans of : Despised Icon、Thy Art is Murder、Infant Annihilator

 

 

 

Imperial Triumphant – Alphaville

前作『Vile Luxury』からおよそ2年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。Gilead MediaからCentury Media Recordsへ移籍、いわばメタル・オーバーグラウンドでのデビュー作とも言える本作は、テクニカルともアヴァンギャルドともブラックとも言えないImperial Triumphantの世界観を確立した作品だ。そして何よりこれほど難解な作品はCentury Media Recordsからリリースされ、2020年のトップ・メタルアルバムのリストに選出されまくっているのだから凄い。

この作品のプロデューサーにはMr.BungleのTrey Spruanceが器用されており、エンジニアリング/マスタリングは同郷のColin Marstonが担当している。ゲストミュージシャンも面白く、MeshuggahのドラマーTomas Haakeが太鼓で参加、また日本人ボーカリストYoshiko OharaやWormedのボーカルPhlegetonもコーラスとして参加している。

彼らのアルバム制作風景がYouTubeで公開されているが、セッションを通じながらピアノやキーボードを導入、実験的なオーケストレーションも閃きを大事に組み込んでいる。非常に芸術的な楽曲構成であるし、そうしたアイデアも彼らが親しんできたクラシックな音楽からの影響が強いのかもしれない。

ノイズを散りばめながら不気味な緊張感を漂わせるリードトラック「Atomic Age」やどこかオリエンタルな香りが漂う「Rotted Futures」など、ひとつひとつの楽曲が独立して映画のようなスケールを持ち、『Alphaville』が構成されている。何度も聴きながら各ミュージシャンの多彩なアイデアを楽しむ事が出来る作品。強烈なヴィジュアルも高ポイントだ。

 

For Fans of : Gorguts, Ulcerate

 

 

 

Unmerciful – Wrath Encompassed

前作『Ravenous Impulse』から4年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Originで活躍したギタリストClint Appelhanzが中心となり、同じく元メンバーでCannibal Corpseのライブサポートも務めた経歴を持つベーシストJeremy TurnerとJustin Payne、そして本作から加入したドラマーTrynt KellyとボーカルJoshua Rileyの5人体制で制作された本作は、Originの名作アルバム『Antithesis』を彷彿とさせるOriginメンバーによるOriginクローン・サウンドだ。

ミュージックビデオにもなっているアルバムのタイトルトラック「Wrath Encompassed」はノンストップで疾走するブラストビートに絡み合うチェンソーリフと無慈悲なギターソロがボルテージを加速させていく。アルバム全体を通してダレる事なく、ひたすらに漆黒のテクニカルデスメタルの闇を切り裂きながら疾走するピュア・テクニカルデスメタルアルバム。

For Fans of : Origin

 

 

 

Behold the Arctopus – Hapeleptic Overtrove

前作『Skullgrid』から13年振りとなるセカンドアルバム。『Skullgrid』はBlack Market Activitiesからリリースされた事もあり、当時のデスコアやカオティックカードコア/グラインドコアシーンからも高く評価され、特にColin Marstonが奏でる12弦ギターのアヴァンギャルドなタッピングフレーズが話題になった。

本作からドラマーにPsyopusのJason Bauers、ギタリストにnader SadekのライブメンバーだったMike Lernerを加えたトリオ体制で制作されている。従来のテクニカルデスメタルや、Colinが得意としてきたエクスペリメンタル/アヴァンギャルドなスタイルは常軌を逸し、このアルバムはここ数年リリースされたテクニカルデスメタル作品の中でも異端なものだ。Jasonのドラミングは通常のドラムセットとは違い、ドラムパーカッションが主体。そしてColinもリフは刻まず、ひたすらにタッピングでグルーヴを生み出していく。そのサウンドはアルバムから先行公開されたシングル「Blessing In Disgust」へのファンのコメント”Tom and Jerry Metal”と形容されていたが、まさにその通り。非常に挑戦的な作品であるが、テクニカルデスメタルが日々、そのテクニックを持ってして発展していく中でも、後続を圧倒する個性を見せつけた迷作、いや名作。

For Fans of : トムとジェリー、スポンジボブ

 

 

 

Ulcerate – Stare into Death and Be Still

前作『Shrines of Paralysis』から4年振りのリリースとなる6枚目フルレングス。これまでアルバムリリースを手掛けてきたRelapse Recordsを離れ、フランスのブラックメタルレーベルから発表された本作は、ヘヴィな轟音が鳴り響くミッドテンポなブラッケンド・デスメタルであるが、それを鳴らすメンバー達の超絶技巧こそこのアルバムの一番の聴きどころだ。このアルバムをテクニカルデスメタルとして聴くとき、やはりドラマーJamieのプレイが印象的だ。彼はソングライティングからレコーディング時のエンジニアリング、ミックス/マスタリングまでを務めるスタジオミュージシャンでもあり、幻惑的なUlcerateのヴィジュアルイメージを担ってきたアートワークも手掛けている多彩な人物だ。ミッドテンポであることは、この手のドラマーにとってはいかに音数を詰め込むかというところがそのドラマーのテクニックを知るひとつになると思うが、Jamieはストップ&ゴー、というか緩急のあるテクニカル・スタイルがハイセンスだ。プログレッシヴなギタープレイと高貴にすら聴こえるベースラインすべてが折り重なり表現されるUlcerateの世界観は唯一無二だ。

 

For Fans of : Portal、Imperial Triumphant、Gigan

 

 

 

Defeated Sanity – The Sanguinary Impetus

前作『Disposal of the Dead // Dharmata』から4年振りのリリースとなった6枚目フルレングス。現在のDefeated Sanityはトリオ体制で、ObscuraのライブメンバーでもあったベーシストJacob、2016年に加入したJash、そして唯一のオリジナルメンバーでありドラムとギターを兼任するLilleの3人。アルバムリリース後のインタビューで、Lillieは94年の結成時、当時12歳だった自身が想像したテクニカルデスメタル/ブルータルデスメタルとジャズ/フュージョングルーヴの融合が本作で実現する事が出来たと話していて、これまでにリリースしたDefeated Sanityの作品の中でも一番気に入っているという。

このインタビューを聞いてから、改めてLillieのドラミングに着目して作品を聴いてみると、結成から20年以上のキャリアから繰り広げられる老練のドラミングに凄まじさを改めて感じる事が出来た。Jacobのベースラインと絶妙に絡み合いながら、グルーヴの拍を切り刻むように叩き込まれるシンバルワークは他ではあまり聴いた事がない。ジャズっぽさやフュージョンっぽさというのはあくまでグルーヴの根幹にあり、そのサウンドはアグレッシヴなテクニカルデスメタル/ブルータルデスメタルそのものだ。ぜひ彼らの超絶技巧をまたステージで味わいたい。

 

For Fans of : 初期Cryptopsy、7 H. Target、Deeds of Flesh

 

 

 

Xenobiotic – Mordrake

2018年にリリースしたデビューアルバム『Prometheus』から約2年振りに発表したセカンドアルバム。前作はUnique Leader Recordsから再発された事もあり、テクニカルデスメタル/ブルータルデスメタル・リスナーにもその名を広めたが、デスコアシーンでの人気が高い印象がある。

本作からI Shall DevourのベーシストDavid Finlay、ドラマーMikey Godwinが加入。大迫力のドラミングによってドラマ性に磨きがかかり、ブレイクダウンの破壊力は倍増。アトモスフェリックなアレンジはプログレッシヴ・メタルやブラックメタルリスナーにもリーチできるXenobioticの魅力のひとつと言えるだろう。やはりテクニカルデスメタルとして聴くと若干の物足りなさはあるものの、ブラッケンド・デスコアとテクニカルデスメタルの架け橋としての存在感という意味では重要なポジションを担うバンドになるだろうと思う。

 

For Fans of : Fallujah、Fit For An Autopsy、Lorna Shore

 

 

 

 

Edenic Past – Red Amarcord

Behold The ArctopusやGorgutsでの活動で知られるColin Marstonがギターを務めるトリオ。ベース/ドラム・プログラミングはAstomatousのNicholas McMaster、ボーカルはColin、Nicholasそれぞれをサイドプロジェクトを持つPaulo Henri Paguntalanだ。

今年、Colinの多作っぷりは凄かった。Behold The Arctopusもそうだし、Encenathrakh、Indricothereも新作を出していて、ノイズ系のプロジェクトも合わせれば、優に10枚以上はアルバムを出している。

このプロジェクトは今年Colinが携わった中でも最もピュアなテクニカルデスメタル作品で、打ち込みとはいえ、変拍子グルーヴがしっかりしていて、アヴァンギャルドな転調パートも個性的。デプレッシヴなメロディもガテラルと親和性が高く、Edenic Pastとしてのオリジナリティも確か。

 

For Fans of : Defeated Sanity, Encenathrakh

 

 

 

 

Fawn Limbs – Sleeper Vessels

Geometric Noise / Mathematical Chaosを自称するトリオ、Fawn Limbsのセカンドアルバム。ボーカル/ギターを担当するEeli Helinにはノイズもクレジットされているのがポイント。Fawn LimbsのサウンドはCar BombやFrontiererを彷彿とさせる爆速爆テク系マスコアですが、そこにThe Dillinger Escape Plan的な狂気やMeshuggah的Djentグルーヴもある。かなりヘヴィでアルバム再生してすぐに開いた口がふさがらない状態になってしまうレベル。Car Bombほどやりすぎ感もなく、しっかりとグルーヴもあり聴きやすい。テクニカルデスメタルというとしっくりこないかもしれないが、普段マスコアを聴かないリスナーもハマってしまう要素がある。

 

For Fans of : Car Bomb、Frontierer、Meshuggah

 

【年間ベスト】2020年を代表するメロディックパンク作品 TOP10 (ディスクレビュー有!)

アルバムタイトルをクリックすると、ディスクレビューを読むことが出来ます!

第10位 : Utopia Now – Jefferson’s Baby

 

第9位 : Scott Sellers – Beneath The Surface

 

第8位 : Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

 

第7位 : Shades Apart – Eternal Echo

 

第6位 : The Lawrence Arms – Skeleton Coast

 

第5位 : Anti-Flag – 20/20 Vision

 

第4位 : F.O.D. – Sleepville

 

第3位 : PMX – Ctrl Art Del

 

第2位 : Bad Cop/Bad Cop – The Ride

 

第1位 : Get Dead – Dance with the Curse

 

シングル曲をまとめたベスト記事はこちら!

RIFF CULTインタビュー : PRAISE 「GOSTRAIGHT 2020」に込めた想い (前編)

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「GOSTRAIGHT 2020」は、2017年に発表した「GOSTRAIGHT」の2020年バージョンとして新しくアレンジされた楽曲だと思いますが、新しいバージョンを作ろうと思ったきっかけは何でしたか?

Yuta : 今年に入って、コロナウイルスの影響で予定していたツアーを全公演する事が出来なくなってしまったり、僕ら自身、生活が大きく変わったんですよね。ファンもバンドと接する機会が減って、強いて言えばSNSだけがコミュニケーションの場所になりました。SNSも良くないニュースばかりで、誰かが不倫しただの、逮捕されただの、金配りだの…。こういう言葉にインスパイアされて、曲を作ってSNSを通じて公開する事に意味を感じて、「GOSTRAIGHT 2020」として発表した、って感じです。

YU : 歌詞のアイデアから楽曲制作に入って、それが以前作った「GOSTRAIGHT」とリンクする瞬間が多かったから、これの今のバージョンを作ろうというのがきっかけですね。

エレクトロニックなフレーズのアイデアからは様々な影響を感じます。どんな音楽に影響を受けましたか?

jorge : エレクトロの要素に関しては、誰かの音楽から影響を受けたというよりは別の要因がありますね。Aoriがギターを弾く事が出来なくなってしまい、彼が力を発揮出来る事として、エレクトロニックなアイデアを組み込んだという感じですね。

Aori : そう、SNSをテーマにしたフレーズから制作を進めていくというところからスタートしているので、それをFXやシンセのパートで表現しようと思ってみました。ミュージックビデオでもそういう描写がありますが、SNSでのやり取りをエレクトロニックなフレーズで表現しています。ちなみに、前バージョンの「GOSTRAIGHT」はアウトロに向けて希望が見えてくる流れで終盤に向かって展開していきますが、今回はリフから何からダークでシリアスな雰囲気を持たせています。

SNSでのやり取りをエレクトロニックなアレンジで表現する上で影響を受けたものはありますか?

Aori : 最近だと海外の作曲家のMick Gordonに影響を受けていますね。エレクトロでラウドなテイストのゲームミュージックを多く生み出していて、最近だとBring Me The Horizonとコラボして作品を出したりしてるんですが、彼の手掛けた楽曲をよく聴いていた事もあり、自然と自分が楽曲制作を進めていく中で、このリフにはこうしたアレンジが合うんじゃないかと閃きを形にしていきました。FXを重ねていくうちに、なんだかSNSでの会話を描写するような形になりましたね。

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なるほど。もう少しメンバーのルーツ・ミュージックについてお聞きしたいのですが、それぞれに影響を受けてきた音楽などを教えてください。

jorge : ドラムを始めたきっかけまで遡るとMetallicaですね。それとKORNを筆頭にニューメタルはけっこう聴きました。バンドを始めるまでは海外の音楽が中心でしたが、Pay money To my Painやcoldrainに出会って衝撃を受けましたね、ものスゴく。今でも強く影響を受けています。

jorge

YU : 父親が音楽好きで、その影響から最初はLed Zeppelinなどを聴いていました。楽器を始めてからはRed Hot Chili Peppersや311、Nirvanaなど、どんどん昔に掘り下げていきましたね、Jimi Hendrixとかも。高校生になってSlipknotやLimp Bizkit、Linkin Park、Primusみたいに聴く音楽が広がっていきました。特にPrimusはPRAISEのベースラインをプレイする上で影響を受けてますね。あの不気味な音が凄いんですよね!

YU

Aori : 音楽を聴き始めたきっかけはたまですね。ひとつのバンドなのにメンバーがそれぞれに作曲をして、いろんなタイプの曲がある。そこに面白味を感じていました。そこからKORNなどのニューメタルやジャズなんかを聴くようになりました。とにかくいろんな音楽を幅広く。ジャズを聴き進めていく中でDjentに出会い、今のPRAISEのような楽曲制作をするようになりました。たまからの影響で豊富なバリエーションでPRAISEの楽曲を作るようになったし、その人が歌えば、そのバンドの曲になる、というような強さに憧れていましたね。

Aori

Yuta : 父親がバンドをやっていて、車ではいつもロックが流れているような環境でした。初めて行ったライブも父親に訳も分からず連れて行ってもらったThe Rolling Stonesの東京ドーム公演。とにかくロックばかりだったけど、自分が反抗期になると、そうでないものを聴きたいという気持ちが湧いてきて、ヒップホップに夢中になっていきましたね。最初はDA PUMPとかでしたけど、RIP SLYMEやKICK THE CAN CREWを聴き、もっといかついのがあるぞ! とキングギドラを聴いてみたり、アンダーグラウンドなものもチェックするようになりました。同じ頃、友達と一緒に観たGOING STEADYのライブビデオも衝撃で、青春パンクも聴くようになりましたね。海外のパンクも聴いたけど、やっぱり日本のバンドの方が好きだった。言葉の力強さが自分の中では重要だなって。青春パンクもヒップホップもそういう意味で自分のルーツになっています。

Yuta

海外のヒップホップはどうですか?

Yuta : 映画『8 Mile』を観て興味を持ったくらいで、そこまで聴いてはないですかね。みんなで移動している時にいろいろ聴いたりもしてるけど、BGMとして、かな。

ツアー中とか、みんなでいろいろ聴いたりしますか?

YU : そういうのは多いかも。最近これ聴いてるんだみたいな。

Yuta : 俺はあんまりメタルを聴かないから、メンバーに聴かせてもらって知る事が多いな。

やっぱりみんな聴いてるものが違うんですね。

YU : ほんとうにそう。なんか、ボーカル以外はメタルを聴いているから、PRAISEもバンド+ラッパーみたいな感じ。ミクスチャーから生まれたミクスチャーみたいな。

Yuta : これがヒップホップだとか、ヒップホップじゃないとか、そういう話題を見る度に、「あれ、俺ラッパーじゃないな」って思うよ。バンドマンだなと。個人的には。

jorge : だからこそミクスチャーという言葉がしっくりくるのかも。

ソングライティングにおいて”TOKYO MIXTURE”を掲げながら、新しいスタイルを作っていったり、様々なジャンルの音楽を取り入れたりしていく事に可能性や、やりがいを感じますか?

jorge : そうですね、自分達が”TOKYO MIXTURE”を掲げて活動を続けていった先に、新しい世代から”TOKYO MIXTURE”を掲げて活動を始めるバンドが出てきたら面白いなと思いますね。「俺らもTOKYO MIXTUREだぞ」って。ジャンルじゃなく、スタイルとして貫きたい。それが誰かに影響を与える事が出来れば嬉しいですね。

TOKYO MIXTUREと掲げる事で、自分達の可能性を狭めてしまっていると感じたことはない?

YU : いや、むしろ掲げてて良かったなと思います。例えば、メタルコアバンドがいきなりポップパンクな曲をプレイしたら、ファンは戸惑うだろうし、バンドも面白そうだと思っても踏み込みにくい気がする。でもミクスチャーだったら、出来るんじゃないかと。

Yuta : ミクスチャーロック、とは違って、TOKYO MIXTURE。それが一番しっくりくる。

 

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Attack Attack!の新曲「All My Life」を聴いて思ったこと。

12月7日に復活を果たしたAttack Attack!のニューシングル「All My Life」がリリースされました! 多くのポストハードコア/メタルコアファンが楽しみにしていた彼らの復帰作。みなさんはどんな感想を持ちましたか?

Attack Attack!の復活について、今わかっているすべてをまとめてみた (10/25)
https://riffcult.online/2020/10/25/attackattack2020/

復活のアナウンスがあったタイミングでメンバーラインナップも大きな話題になりました。Attack Attack!の顔とも言えるCalebは復活に携わっておらず、オリジナルメンバーのAndrew WetzelとギタリストのAndrew Whitingを中心に復活している。彼らももちろんAttack Attack!の伝説的なメンバーであるが、この復活にかかる期待を超えるには、今回の楽曲はなかなか厳しいところもあったと思う。YouTubeのビデオに書き込まれたコメントを読む限り多い意見はこうだ。「これがAttack Attack!だと知らずに聴いたらかなりイケてるが、Attack Attack!の復帰作としては最高だとは言えない」、「Crabcoreを待っている」…。これらのコメントには同様に多くのLIKEも付いている。

問題はこれからだ。彼らはこの1曲だけを残してまた沈黙するわけがない。これからリリースされるであろう楽曲にはAttack Attack!として復活する必要のあった新曲があるはずだ。Crabcoreもそうだが、2000年代後半のポストハードコアサウンド。それを楽しみに待っている。

【年間ベスト】Get Dead – Dance with the Curse (Punk Rock / Acoustic Punk)

Get Dead – Dance with the Curse

拠点 : カリフォルニア/サンフランシスコ
レーベル : Fat Wreck Chords

初来日前にリリースされた前作『Honestly Lives Elsewhere』から4年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。Fat Wreck Chordsの新たなカリスマ、Sam Kingのボーカルと彼の生活にリンクした歌詞世界が魅力で、古き良きアメリカン・パンク的アティトュートを持ってして、現代を巧みな言葉遣いで描いていく。

オープニングトラック「Distuption」や続く「Nickel Plated」とレゲエやヒップホップをパンクに注入したサウンドで、物悲しいアグレッシヴ・サウンドはGet Deadならではだ。胸が詰まるようなやり場のないエモーションは、貧困とアルコール、グラフィティを通じて表現されており、地元のアート・コレクティヴ、Indeclineとコラボしたミュージックビデオ「Pepperspray」は2020年を代表するアメリカン・パンクの名曲。「Living too fast too die last and I’m too old to die young, Too strong to let go and I’m too cold now I’m unable to ignore the world. And drop it all and join the frenzy, Violence doesn’t change a goddamn thing, But it feels nice to bleed」というサビのフレーズは強烈だ。

1 Disruption
2 Nickel Plated
3 Fire Sale
4 Stickup
5 Glitch
6 Confrontation
7 Hard Times
8 8 Track
9 Green’s Girl
10 Pepperspray
11 Confidence Game
12 Take It

【年間ベスト】Bad Cop/Bad Cop – The Ride (Melodic Pop Punk)

Bad Cop/Bad Cop – The Ride

拠点 : カリフォルニア/ロサンゼルス
レーベル : Fat Wreck Chords

3年振りのリリースとなったFat Wreck Chords所属のオール・フィーメール・メロディック・ポップパンクバンド、Bad Cop/Bad Copの3枚目フルレングス。Dave WarsopFat Mikeがプロデュースを務め、ミックス/マスタリングはChris Hesseが担当している。

サウンドや楽曲スタイルに大きな変化はなく、シンプルでキャッチーなメロディック・ポップパンクナンバーが並ぶ。印象的なのは歌詞や楽曲タイトルから見られるポリティカルな姿勢や、女性目線のLGBTQをテーマにした楽曲だ。リリックビデオにもなっている「Pursuit Of Liberty」では口ずさみたくなるメロディとイラン出身アメリカ在住の作家Dina Nayeriにインスパイアされた歌詞が力強く鳴り響き、リードトラック「Simple Girl」は2020年を生きるすべての女性の力になるライオット・ガール的パンクナンバーだ。

自分を強く持つことで社会を変えていく、自分の人生を生きていくという事が2020年からの社会において大切なことだというメッセージは性別年齢問わず勇気を貰える。落ち着いて自分の人生を生きようとするすべてのパンクリスナーのサウンドトラック。

Originators
Certain Kind Of Monster
Take My Call
Simple Girl
Breastless
Perpetual Motion Machine
Community
Pursuit Of Liberty
The Mirage
I Choose
Chisme
Sing With Me

【年間ベスト】PMX – Ctrl Art Del (Progressive Melodic Punk)

PMX – Ctrl Art Del

拠点 : スコットランド
レーベル : Independent

EP『Dark Days』から2018年のライブ盤『Clochridgestone』を挟んでおよそ5年振りの新作となる『Ctrl Art Del』は、ソングライティングからレコーディング、ミックス/マスタリング、そして流通まですべてをメンバー自らが行った完全D.I.Y.作。 ソリッドなリフワークや目まぐるしいタッピングフレーズなど、ギター・テクニックはおそらく現行メロディックパンクシーンでトップレベルだ。IntervalsやPliniといったプログレッシヴ・メタルコアも通過したそのサウンドは唯一無二のオリジナリティを持っていると断言出来る。ミュージックビデオになっている「Television」や先行公開された「Passengers」は言わずもがな、「Words」は2020年を代表するメロディックパンクの名曲。

PMXはRNR TOURSで2度来日を果たしている。今年の3月、コロナウイルスで国外への渡航が制限させるギリギリにツアーファイナルを終え、フライトチケットを変更してなんとか出国できたのは今思えば間一髪だったが、コロナウイルスの影響がここまでひどくなるとは予想もしてなかったことが懐かしいとすら感じる。厳しい状況下でも決して笑顔を絶やさなかった彼ら、きっとこの先もこのアルバムを聴くとこのツアーを思い出すだろう。

1.Falling Apart 02:55
2.Scrape The Tray 01:47
3.Pictures 03:21
4.The Fear 02:14
5.Who Are We To Pray 02:48
6.Words 03:21
7.Television 03:13
8.Tongue Tied 02:46
9.One Act 00:53
10.Passengers 04:45
11.Leave Me Be 03:12
12.Curtain Call 03:22

【年間ベスト】F.O.D. – Sleepville (Melodic Punk)

F.O.D. – Sleepville

拠点 : ベルギー
レーベル : Bearded Punk Records / Wiretap Records / Thousand Island Records

今年3月に『Sleepville』としてリリースされ、11月に『Sleepville Ⅱ』がEPとして追加発表、遂に完結された全21曲入りの超大作。ヴァイナルを購入した方は分かると思うが、全ての楽曲が連なるストーリーになっており、公開されているミュージックビデオもこの物語の重要なピースになっている。

物語の始まりを予感させるイントロ「Sleepville guaranteed」で幕を開けると、F.O.D.ワールド全開のメロディック・チューンが駆け抜けていく。こうしたコンセプチュアルな構成はメタル好きのボーカル/ギターHansのアイデアで、メロディワークからは古き良きプログレッシヴロックの香りも漂う。

単なるメロディックパンクの作品ではなく、映画のサウンドトラックのような奥床しさがある。一聴しただけでは得られない良さがあり、ひとつひとつのメロディやフレーズから感じられる感情はこれを聴く時代によって変わってくるはずだ。今年のベストアルバムであり、来年も10年後も聴き続けたいと思わせる1枚。

1.Sleepville guaranteed 02:48
2.Days Of Future Passed 02:53
3.Fall In Line 02:31
4.Riverview 01:42
5.Feeling Gay 02:22
6.Wrong 01:48
7.Food For Thought 02:06
8.On An Island 02:28
9.Annie 04:56
10.Stranger In Town 01:38
11.Changes Rise 03:18
12.Thirtysomething And Counting 02:24
13.Coda 01:21
14.Main Street 07:04
15.Letter To Laura 03:06
16.Coming Out 00:38
17.Out Of Hand 01:11
18.Only Stories 01:41
19.Liberty or Death 01:06
20.Fall In Line (acoustic version) 02:43
21.Disobedience And Consequence 02:26
22.Salt Of The Earth 02:43
23.Small Town Resident 03:54
24.Letter To Laura (reprise) 00:56

【年間ベスト】The Lawrence Arms Skeleton Coast (Chicago Punk)

The Lawrence Arms – Skeleton Coast

拠点 : イリノイ州シカゴ
レーベル : Epitaph Records

1999年から活動を続けるベテラン・パンクバンド、The Lawrence Armsの7枚目となるフルアルバムは、前作『Metropole』から6年振りで、同じくEpitaph Recordsからリリースされました。プロデューサーは長くThe Lawrence Armsと共に制作を行ってきたMatt Allison。これまでThe Lawrence Armsはシカゴでレコーディングを続けてきましたが、今回はシカゴを離れ、Mattと共にテキサスのSonic Ranch Studiosで2週間に渡って録音が行われています。これについてChrisは、シカゴという故郷にとらわれる事なく制作がしてみたかったと話しています。

オープニングトラックの「Quiet Storm」から続く「PTA」と、アップテンポでハイエナジーな楽曲で幕を空けていきますが、The Lawrence Armsの独特の暗さがかすかに内包されておれ、シカゴ・パンク的なエモーショナルに溢れています。「Last, Last Words」「Ghostwriter」といった楽曲は、さらにビターで聴きごたえ十分です。

コロナウイルス流行前に制作されたアルバムではありますが、どこか2020年の世界を表現しているかのような雰囲気があるのも面白いところだと思います。

1 Quiet Storm
2 PTA
3 Belly Of The Whale
4 Dead Man’s Coat
5 Pigeons And Spies
6 Last, Last Words
7 (The) Demon
8 Ghostwriter
9 How To Rot
10 Under Paris
11 Goblin Foxhunt
12 Lose Control
13 Don’t Look At Me
14 Coyote Crown

【年間ベスト】Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

Laughing In The Face Of – Here Lies The Ordinary

拠点 : イギリス
レーベル : Lockjaw Records

2020年3月に来日を予定していたLaughing In The Face Of。もちろんこのツアーもアルバム『Here Lies The Ordinary』を提げて行われる予定であったが、コロナウイルスの影響により泣く泣くキャンセルとなってしまった。2021年にスケジュールを変更して開催する為、メンバーとは日常的にやり取りを行っている。なんとか実現させたい。

個人的な思い入れはこれくらいにして、やはりRNR TOURSとして日本でツアーを企画したいと思うキッカケは最新作がかっこいいことが何よりも大切だ。Laughing In The Face Ofはキャリアも10年以上あるが、長らくヨーロッパのアンダーグラウンドで活動を続けてきた。Lockjaw Recordsのディストロによって世界中に広まった事から、世界中のファスト/テック・メロディックリスナーに届けられるようになり、日本でもDarko来日時にLockjaw RecordsオーナーRobによってアルバムの流通が行われたことも彼らの名を国際的なものへとフックアップしたひとつの要因だろう。

今ではテック・メロディックと言っても様々で、A Wilhelm Screamを筆頭にスラッシーでメタリックな要素が強い。彼らもそれらに影響を受けたFair Do’sやDarkoと同系統に語られる事が多いが、よりメタル要素の薄いピュアなテック・メロディックフォロワーに感じる。ミュージックビデオにもなっている「Bullshit With A Smile」や「Running With Coffee」を筆頭に、「The Insane Continue」や「Looks Can Be This Evening」といったエモーショナルなメロディが光る楽曲も多い。

再びスケジュールを調整して来日を実現させるまでに再び長い道のりがあるが、2021年この素晴らしいアルバムを生で体験する機会を作る為に尽力したいと思う。

1.The Regression Session 02:02
2.Projectile Dysfunction 02:22
3.Bullshit With A Smile 02:00
4.Running With Coffee 02:22
5.Modus Operandi 03:00
6.The Insane Continue 02:11
7.Rationalisation Of Stupidity 02:16
8.Looks Can Be This Evening 03:05
9.Helldweller 02:06
10.Penguins 02:29
11.Reasons & Reminders 04:24
12.From The Ground Up 03:33

【年間ベスト】Anti-Flag – 20/20 Vision

Anti-Flag – 20/20 Vision

拠点 :ペンシルバニア州ピッツバーグ
レーベル : Spinefarm Records

https://antiflag.lnk.to/2020Vision

2017年にリリースした『American Fall』から3年振りのリリースとなった12枚目のフルレングス。レコーディングは2019年の7月から8月にかけて、Dog House StudiosとMDDN Studioで行われ、プロデューサーにはポストハードコアバンドFrom First To Lastのギタリスト/ボーカリストとして知られるMatt Goodが起用されている。

これまで通り反ファシズムを訴え、パンクシーンから人々の未来が明るくなるような歌詞世界を持っている。ひとりのアメリカ人としての視点から、ポリティカルなメッセージを投げかけ続ける彼らが本作のテーマにしたのはもちろん、トランプがアメリカ合衆国の大統領選挙に勝利してからの地獄についてだ。実際にトランプを名指しで批判する事はないが、このアルバムで歌われる人種の問題や環境問題のすべてが彼の存在に関連付けられている。実際にトランプのスピーチを引用しながら、「あなたはどちら側にいるのか」と問いかけるようなフレーズが多く散見される。アルバムタイトルトラック「20/20 Vision」のサビでは「Tell me witch side are you on, Carry on~」と続く。

日本のAnti-Flagリスナーにとって印象的な楽曲は「20/20 Vision」に加え、「Christian Nationalist」や「The Disease」などが挙げられる。彼らのメッセージに目が行きがちであるが、これらのメッセージを広く訴えるために彼らの音楽的なセンスの高さもしっかりと感じるべきだろう。例えばGreen Dayの『American Idiot』が若いアメリカ人を虜にし、社会現象を巻き起こしたのも、メッセージ性だけでなく音楽性も大いに重要であったはずだ。本作のAnti-Flagの楽曲は例えば大規模フェスティバルでもスケールの大きさを表現することができるようなポップでフックの効いた明るくキャッチーなパンクロックだ。アンダーグラウンドシーンで玄人向けのファストでダーティなパンクロックを鳴らすだけでは、そのメッセージも届くべきところに届かない。Anti-Flagが不変である事は、アンダーグラウンドでパンクが鳴り続ける事もサポートしていると思う。

アメリカでAnti-Flagが30年近く人気であり続けている事を考えると、パンクで社会を変えるということは非常に難しい事であるなと痛感してしまうのは事実だが、彼らの存在がなければもしかしたら世界はもっとひどいものになっていたかもしれない。LGBT差別の問題や環境問題、弱い立場にある人に寄り添う事ができる社会を作る為に、音楽が力にならなければいけない場面は多い。少なくてもこのアルバムによって知らなかった何かについて考える瞬間が生まれている事は確かだ。

1. “Hate Conquers All” 2:46
2. “It Went Off Like a Bomb” 2:23
3. “20/20 Vision” 2:26
4. “Christian Nationalist” 2:44
5. “Don’t Let the Bastards Get You Down” 2:49
6. “Unbreakable” 3:08
7. “The Disease” 2:55
8. “A Nation Sleeps” 2:17
9. “You Make Me Sick” 3:01
10. “Un-American” 3:10
11. “Resistance Frequencies” 2:55

【年間ベスト】Shades Apart – Eternal Echo (Punk Rock / Melodic Punk)

Shades Apart – Eternal Echo

拠点 : ニュージャージー
レーベル : Hellminded Records

前作『Sonic Boom』から19年振りに活動を再開したニュージャージー出身のトリオ、Shades Apartの8枚目フルレングス。90年代後半にRevelation Recordsから発表した『Save It.』、『Seeing Things』をキッカケに日本でもパンク/ハードコアシーンを中心に人気を集めてきた。一言にパンク、ハードコアと言っても彼らのサウンドは作品毎に変化を続けてきました。共通して言える事は独特の暗さでしょうか。本作はミックス/マスタリング・エンジニアにThe Blasting RoomもJason Livermoreを起用、もちろんメンバーはギター/ボーカルのMark、ベース/コーラスのKevin、ドラマーEdの3人。

90年代後半にはすでに10年以上のキャリアがあったとはいえ、20年近いブランクが空いていた事を感じさせないトリオ・バンド独特のグルーヴはそのまま。Jason Livermoreのエンジニアリングは、しっかりと今のShades Apartの魅力を引き出しているように感じる。Lagwagonや7Yearsを彷彿とさせるアメリカン・ロックの香り漂うミッド・テンポのパンクロックは、間違いなく今のShades Apartにしか鳴らせない大人のサウンド。

So What Now
Only Light
Dark Valley Lake
Teach Me How To Live
Thread
95
Counting Down
Aurora
Souls And Soldiers
Dark Side Of Life

【年間ベスト】Scott Sellers – Beneath The Surface (Melodic Punk)

Scott Sellers – Beneath The Surface

拠点 : カリフォルニア/フォンタナ
レーベル : Independent

RufioのソングライターであるScott Sellersのソロアルバム。ここ数年活発に制作活動を行っており、今年に入ってからRufioのカバーを含むアコースティックアルバム『unplugged, i suppose​.​.​.』PMXのJohnがミックス/マスタリングを行ったEP『The View From The Moon』Strung Outの「Exhumation of Virginia Madison」やNOFXの「The Longest Line」のカバーを収録した作品『Influence』と3枚の作品をリリース。おそらく今年最後の作品となる『Beneath The Surface』は、正真正銘のScott Sellersオリジナル・ソロアルバムだ。

作詞作曲から演奏、レコーディングにミックス/マスタリングまですべてをScott自身が行った本作は、Rufioを彷彿とさせる疾走感溢れる「Faded Pictures」を始め、エモーショナルなミディアム・テンポ曲「Be A Man」などバラエティに富んだメロディック作品で、Scottらしいメロディワークや透き通るような歌声に胸が高鳴る事間違い無し。ソロでも来日してほしいし、盛り上がるポテンシャルを持ってます。

1.The Only One 02:30
2.Beneath The Surface 02:48
3.A Broken Man 03:12
4.Late Night Show 02:59
5.Be A Man 03:01
6.Faded Pictures 02:55
7.Hello World! 03:24
8.Just A Word 02:34
9.Try and Try 03:17
10.Misdirect 02:47

【年間ベスト】2020年を代表するパワーメタル名盤 TOP10 (ディスクレビュー有!)

 

タイトルをクリックすると、ディスクレビューが読めます!

下のプレイリストを再生しながら読んでください!

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10. Cristiano Filippini’s Flames Of Heaven – The Force Within

09.Mentalist – Freedom of Speech

08.Ad Infinitum – Chapter I: Monarchy

07.Reasons Behind – Project: M.I.S.T.

06.Memories of Old – The Zeramin Game

05.Nightwish – Human.:II:Nature.

04.Fairyland – Osyrhianta

03.Majestica – A Christmas Carol

02.Aquaria – Alethea

01.Unleash the Archers – Abyss

記憶を辿れば、パワーメタルに熱中していたのは高校生の頃。Dragon Forceの「Through the Fire and Flames」が友人の間で流行り、そこからメロスピと呼ばれるものをとにかく聴き漁った。ただ、Dragon Forceに匹敵するスピードとテクニックを超えるバンドには出会えず、ひたすらにDragon Forceを聴いた。今でも聴くと熱くなれるし、冗談でなく墓場まで持っていきたい作品のひとつに『Inhuman Rampage』を挙げるし、なんならDragon Forceのロゴをタトゥーしておきたいくらいだ。もちろん見えないところに…笑

確かDragon ForceはExtreme Power Metalを自称していたのをうっすらと覚えている。学校帰りに書店で立ち読みしたBURRN!で見たのかな。雑誌やパワーメタルの特集サイトで良いと言われているものを聴いて、友人とCDを貸し借りしたり。そこで出会ったバンドはBlind GuardianやSonata Arctica、そしてDark MoorとAngra。アートワークも含めて高校生だった自分にはツボだったし、いろんなメタルを聴くきっかけにもなったジャンル。

当時はメロディックパンクを一番聴いていたし、メタルコアやデスコア・ムーヴメントが始まった事もあり、パワーメタルに心酔するところまではいかず、Dragon Forceのアルバム『Ultra Beatdown』のジャケがどうにも受け入れられずに離れてしまった。そこからたまにパワーメタルの状況は追ってみてはいたものの、どうにも新しいパワーメタル・サウンドに出会えずにいた。

今年、なにげにチャンネル登録していたNapalm RecordsのYouTubeチャンネルにアップされたUnleash The Archersの「Faster Than Light」を聴いて久々にパワーメタルで興奮した。Dragon Forceヴァイブスを感じるスピード感、そしてポップでキャッチーなミュージックビデオ、なにより度肝を抜かれたのがファストなギターソロからブレイクダウン・パートが導入されていた事だ。これは、新しい発見だった。

パワーメタルはもっと、メタルコアのようなグルーヴィなサウンドともクロスオーバーする必要があると思ったし、彼女達の人気をみると何かパワーメタルシーンに一石を投じるような存在になっていくのではないかという期待が湧き上がってくる。見た目もまだ若いそうだし、女性ボーカリストもクールだがおてんばな感じがあって馴染みやすい。

彼女達の存在をきっかけに、今年の夏以降はパワーメタルの現状を追いつつ、そのサウンドが数十年でヴァラエティに富んだものへと進化している事に気がついた。特に女性ボーカルを有するバンドの活躍はめざましく、Nightwishはもちろんだが、Ad InfinitumやLeaves’ Eyes、Reasons Behindは過去作やメンバーが在籍してきた様々なバンドもチェックしてみたりした。今年は特にパンクシーンが非常にポリティカルな雰囲気にあり、リリースされる作品もアングリー・パワーが強すぎた。もちろんそれはそれでパンクの魅力として、感じながらコミュニティにいたが、パワーメタルの世界観に癒される瞬間も多かった。

2020年にパワーメタルを再び聴き返すとは思っていなかったが、引き続きアンテナを貼っていこうと思う。文末にTOP10からは漏れたもののよかった作品についてランクはつけずに掲載しておく。

Grand Finale – Quantum Moment

DGM – Tragic Separation

Leaves’ Eyes – The Last Viking

Eternal Idol – Renaissance

シングルのみをまとめた記事はこちら!

【年間ベスト】もっと聴きたい! 2020年のパワーメタル

Firewind – Firewind

Trick Or Treat – Legend Of The Xii Saints

Allen Olzon  – Worlds Apart

Sinner’s Blood – The Mirror Star

Blind Desire – Lies Beyond Tomorrow

Winters Verge – The Ballad of James Tig

Visions of Atlantis – A Symphonic Journey to Remember (Live)

Iron Savior – Skycrest

Legendire – Sunchasers

Alogia – Semendria

Pyramaze – Epitaph