世界各地の大型フェスティバルやアリーナへ活動規模を広げてきたArchitects。フロントマンSam Carterが、Sonic Temple Festival 2026でThe Jesea Lee Showのインタビューに登場し、アメリカでのフェスティバル出演、MetallicaやLinkin Parkとのツアー経験、これから始まるKornとのツアー、ライブでスマートフォンを使用する観客についての考え、楽曲のリミックス、そして自身が愛するニューメタルについて語った。
インタビューが公開されたのは2026年5月26日。番組ではArchitectsが巨大なUSフェスティバルについて語るほか、MetallicaやLinkin Parkとのツアーから学んだこと、ライブにおける「雰囲気」の重要性、ファンとの関係などが主要なテーマとなっている。
現在のArchitectsは、自分たちが憧れてきたバンドと同じステージへ立つだけではなく、その先輩たちから「大きなバンドがどのように振る舞うべきか」まで学ぶ立場になっている。なかでもSamがMetallicaとのツアーを振り返る場面からは、世界最大級のバンドがサポート・アクトへ向ける姿勢がArchitects自身にも大きな影響を与えていることが分かる。
アメリカの巨大フェスティバルで感じたArchitectsの成長
インタビューの冒頭では、その前週に出演したWelcome to Rockvilleについて話している。Samは同公演を「アメリカでやった中でもお気に入りのショーの一つ」と振り返り、集まった観客の大きさについても驚きを語っている。
特に印象的だったのは、アメリカでありながらヨーロッパでライブをしているような感覚があったことだった。Architectsは長年ヨーロッパの大型フェスティバルへ出演してきたが、近年のアメリカで開催される大規模なロック/メタル・フェスティバルにも、それに匹敵する巨大な観客が集まるようになっている。
Samはアメリカのフェスティバルについて、ヨーロッパでは3日間に分散していそうなほど豪華なラインナップが、一日に集まっているような感覚だとも話している。アメリカ国内で活動するバンドにとっては、週末だけフェスティバルへ飛んで出演し、その後帰宅するような動きも可能であり、それが強力なラインナップを作りやすくしているのではないかと分析している。
Welcome to Rockvilleでは悪天候によってArchitectsの出演時間が数時間後ろ倒しになったものの、結果的には暗くなってから演奏できたことで、むしろバンドの雰囲気には合っていたという。SamはArchitectsの音楽について非常にムーディーな側面があると話し、Sleep Tokenを例に挙げながら、明るい昼間よりも暗い時間帯の方が似合うタイプの音楽ではないかと語っている。
Bring Me The Horizon、Parkway Drive、Bad Omens――巨大化するライブ演出
現代の大型ロック/メタル公演では、音楽だけではなくステージ演出も年々巨大になっている。
インタビューでは巨大ビデオウォールなどの演出についても話題になり、SamはBring Me The Horizon、Parkway Drive、Bad Omensなどのプロダクションを高く評価している。
Architects自身はその公演でパイロを使用せず、大型のビデオウォールを中心とした演出を行っていた。一方で、大型フェスティバルでは多くのバンドが炎を使用するため、一日中見ていると次第に珍しさがなくなってしまうという冗談も飛び出した。
その中でもParkway Driveについては、ドラムセットそのものを炎に包みながら回転させるほど徹底しており、やるのであればそのくらいまで突き抜けるべきだという話になる。
Samは長年Parkway Driveと同じフェスティバルへ出演してきたなかで印象的だった光景として、Winston McCallが巨大なサークルピットの中心に立ち、その周囲を何千人もの観客が回っていた場面も振り返っている。自分だったら絶対にやりたくないと笑いながら話すほど、強烈な光景だったという。
次はKornと5週間――「ずっと大好きだったバンド」
Sonic Templeを終えたArchitectsは、短い休暇を挟んでヨーロッパでの活動へ入り、その後Kornと約5週間にわたるツアーを行う予定だと話している。
SamにとってKornは特別な存在だ。フェスティバルで同じラインナップになった経験はあるものの、本格的なツアーを一緒に行うのは初めてであり、オファーが届いた際には即座に喜んだという。
Architectsの友人でもあるSpiritboxがすでにKornとのツアーを経験しており、素晴らしい時間を過ごしたと聞いていることも安心材料になっている。数週間にわたって同じバンドと行動する以上、音楽的な憧れだけではなく、実際にどのような環境でツアーをすることになるのかは重要な問題だからだ。
近年のArchitectsはLinkin Park、Metallicaといった巨大なバンドのサポートも経験しており、Samはそれらのツアーで非常によく扱ってもらったと振り返っている。
Metallicaから届いた花とJames Hetfieldのケーキ
このインタビューで特に印象的なのが、Metallicaとのツアーについてのエピソードだ。
Samによれば、Metallicaはサポート・バンドへの接し方を非常によく理解していた。ツアー初日にはArchitectsへ花が届き、さらにJames Hetfieldからケーキまで贈られたという。Lars Ulrichは多くの日にArchitectsのメンバーと過ごし、Hetfield自身も彼らのもとへ顔を出していた。
さらにライブ終了後にはMetallicaから毎晩のように夕食へ招待され、貸し切られたレストランなどで一緒に食事をしたという。重要なのは、こうした行動が撮影やプロモーション目的ではなかったことだとSamは強調している。周囲にカメラがいるわけでもなく、SNSへ投稿するための演出でもない。ただ純粋にツアーへ参加したバンドを歓迎していた。
このエピソードはインタビュー公開後にも取り上げられ、SamはMetallicaがArchitectsを「100万ドルの気分」にさせてくれたと語っている。
Architects自身も以前からサポート・バンドに対してきちんと接することを心掛けていたという。しかしMetallicaの姿を見たことで、単に問題がないか確認するだけではなく、「本当に歓迎されていると感じてもらうこと」の重要性を学んだ。
世界最大級のバンドでありながら、自分たちより下の出演順にいるアーティストへ時間と気遣いを使う。それがSamにとって、今後自分たちがさらに大きなバンドになっていくうえでの一つの手本になったようだ。
Linkin ParkもArchitectsをすぐに仲間として迎えた
Linkin Parkとのツアーでも似た経験があった。
Samによれば、初日からLinkin ParkはArchitectsを楽屋へ招き入れ、Mike Shinodaから直接メッセージが届き、一緒に歌おうと誘われるような関係になった。
MetallicaとLinkin Parkはどちらも世界最大級のバンドであり、Architectsに対して特別な気遣いをする義務があるわけではない。それでも自然にコミュニケーションを取り、サポート・アクトをツアーの仲間として受け入れていた。
だからこそSamは、これから始まるKornとのツアーにも大きな期待を寄せている。
もしKornのステージで一曲歌えるとしたら何を選ぶかという質問には、「Blind」や「Here to Stay」を候補として挙げている。「Freak on a Leash」ももちろん好きだが、観客としてJonathan Davis本人のパフォーマンスを見たいというファン心理も語っており、SamにとってKornが単なるツアー相手ではなく、長年聴き続けてきた憧れのバンドであることがうかがえる。
観客にマイクを向ける理由――「自分たちの曲を歌ってくれるのが嬉しい」
話題はライブにおける観客との関係へ移っていく。
Samは「Animals」などの大きなシンガロングが生まれる曲で、頻繁にマイクを観客へ向ける。しかし妻から、観客は自分たちだけで歌いたいのではなくSam本人の歌も聴きに来ているのだから、少なくとも何度かは自分で歌った方がいいと指摘されたという。
Sam自身もその意見を理解している。それでもマイクを観客へ向けたくなる理由は、自分たちが作った曲が大勢の人々へ届き、その人々が一斉に歌っている光景を聴くことが純粋に嬉しいからだ。
楽曲を制作していた時点では存在しなかった何千人もの声が、ライブ会場で突然自分たちへ返ってくる。そこにはアーティストにしか経験できない特別な喜びがある。
一方で、観客側からすれば、その曲を作った本人のボーカルを聴くためにチケットを購入している。Samは両方の気持ちを理解し、「Animals」ではどこを観客に任せ、どこを自分で歌うかを意識するようになったと話している。
ライブ中のスマートフォンを禁止するつもりはない
現在のライブでは避けることのできないテーマとなったスマートフォンについてもSamは率直に語っている。
ステージへ出た瞬間、客席に大量のスマートフォンが掲げられている光景には、今でも不思議な感覚があるという。また、もし自分がスクリームを失敗すれば、それがすぐInstagramやTikTokへ投稿される可能性もあり、演奏者側には以前とは違ったプレッシャーも存在する。
それでもSamは、ライブ中のスマートフォンを否定する立場ではない。
Toolなどが採用しているような、スマートフォンを専用ケースへ入れて使用できなくする公演を経験した際には、ライブそのものへ完全に集中できて素晴らしかったと認めている。しかしArchitectsの観客に対して同じことを強制する考えはないという。
チケットを購入してライブへ来た人が、映像を撮りたい、写真を残したい、後で見返したいと考えるのであれば、それもその人なりの楽しみ方だと受け入れている。
そしてスマートフォンを持っているからといって、現在のArchitectsの観客がライブへ参加していないとも感じていない。スマートフォンを掲げながら歌う人もおり、シンガロングの大きさも失われていない。
Samにとってライブで最も重要なのは、観客から返ってくるエネルギーだという。
Architectsは観客から少しでも大きな反応が返ってくれば、それ以上のエネルギーをステージから返そうとする。Samは観客をライブの「心臓」のような存在として捉えており、観客が興味を示さなければ、そのライブ自体が成立しないと話している。
リミックスでArchitectsの楽曲に新しい生命を与える
近年Architectsは楽曲のリミックスも発表している。
きっかけは、ライブ映像などSNS用コンテンツに毎回同じ楽曲を使用することへメンバー自身が飽きを感じ始めたことだった。Dan Searleが楽曲のリミックスを制作するようになり、ライブ終了後のBGMなどとして使用したところ、ファンからフルバージョンやEPを求める反応が寄せられた。
「Everything Ends」のリミックスが好評だったことから、「Broken Mirror」でも別バージョンを制作し、オリジナルとは違った側面を楽しめる形で公開することになったという。
Samはこうしたリミックスについて、既存の楽曲へ新しい生命を与え、ファンが再びその曲を好きになるきっかけにもなると考えている。
バンドが同じ楽曲を別の文脈へ置き直すことで、作品そのものを長く生かすことができる。Architectsが現在もヘヴィ・ミュージックの枠内だけで自分たちを固定せず、新しい表現を試していることが分かるエピソードでもある。
DeftonesかLinkin Parkか――Sam Carterのニューメタル愛
インタビューの最後には、複数のバンドから一組を選び続けるゲームが行われ、Samはニューメタルを選択する。
最初に強烈な支持を見せたのがDeftonesだった。
Limp Bizkit、Slipknot、Korn、Mudvayne、Drowning Pool、Disturbedなどが次々と候補に登場するものの、Samはほとんど迷うことなくDeftonesを選び続ける。「Deftonesは自分にとってエリート」と表現し、ツアーが終われば『White Pony』のタトゥーを入れる予定だと話すほど強い思い入れを明らかにしている。
しかし、最後にDeftonesとLinkin Parkの二択になると大きく迷う。
両方を非常に愛していると話しながら、最終的にはLinkin Parkを選択。その後はEvanescence、Papa Roach、P.O.D.、Staind、Sevendust、Kittie、System Of A Downなどを相手にしてもLinkin Parkを選び続け、最終勝者となった。
特にLinkin ParkはArchitectsが実際にツアーをともにし、Sam自身がステージで共演したバンドでもある。幼少期から愛してきた音楽が、現在では自分自身のキャリアと直接つながっていることも、このインタビューを象徴する部分の一つだろう。
巨大なバンドからArchitectsが受け継いでいるもの
今回のインタビューから見えてくるのは、単にArchitectsがMetallica、Linkin Park、Kornのような巨大なバンドとツアーできるまで成長したという事実だけではない。
Sam Carter自身は現在もKornやDeftones、Linkin Parkについて、一人のファンとして興奮しながら話している。一方でArchitectsもまた、次の世代から見ればすでに大きな影響力を持ったバンドになっている。
だからこそ、Metallicaから受けた扱いが強く心に残ったのだろう。
サポート・バンドへ花やケーキを送り、楽屋へ顔を出し、ライブ後には一緒に食事をする。それを誰かに見せるためではなく、ごく自然に行う。
Samはその経験から、自分たちもサポートするバンドへより意識的に気を配り、本当に歓迎されていると感じてもらうことの大切さを学んだ。
音楽そのものだけではなく、ツアーでの振る舞い方や、後輩のバンドとの接し方まで次の世代へ引き継がれていく。
Welcome to Rockvilleでヨーロッパと同じほど巨大な観客を前にし、MetallicaやLinkin Parkとのツアーを経験し、次は少年時代から愛してきたKornと長期ツアーへ向かうArchitects。その現在地は、長年メタルコアの中で歩んできた彼らが、新たな段階へ入っていることを感じさせる。
参照元動画
The Jesea Lee Show「Architects Interview – Touring With Korn, Linkin Park & Metallica (Sonic Temple Festival 2026)」
