アルバム・レビュー : Chelsea Grin 『Suffer In Heaven』

 

USデスコア・バンド、Chelsea Grin がニュー・アルバム『Suffer in Heaven』をリリースしました。2022年にリリースされた『Suffer in Hell』に次ぐダブル・アルバムの第2弾。

 

 

アルバムレビュー : Chelsea Grin『Suffer In Hell』

 

Chelsea Grinは、2010年にアルバム『Desolation of Eden』でシーンに登場すると、それまでのデスコアをさらにヘヴィなものへとアップデート。2010年代中期にかけて盛り上がったダウンテンポ・スタイルのデスコアの礎として現代でもその存在は特別なものだ。

 

 

そんなChelsea Grinにとって2022年の『Suffer in Hell』、2023年の『Suffer in Heaven』のダブル・アルバムは、キーだったメンバーが抜け、新たな布陣で制作されている。2010年代のデスコア・シーンのキーとして活躍したバンドのフロントマンであったAlex Koehlerが、2018年にアルコール依存症を含むメンタルヘルスの問題によってバンドを脱退、Alexと同様、ドラム/ボーカルとしてバンドの中心メンバーとして存在感を見せつけていたPablo Viverosが一時的にバンドを離脱している。Chelsea Grinサウンドの2つの重要な個性を失ったものの、この『Suffer in Hell』、『Suffer in Heaven』は様々なメディアで高い評価を受けている。

 

 

高い評価を受けている理由のひとつに新たに加入したTom Barberが現代メタル、特にデスコア、メタルコア・シーンにおいて高いカリスマ性を持っていることが挙げられる。TomはChelsea Grinの他にニューメタルコア・プロジェクトDarko USのメンバーであり、過去にはLorna Shoreにも在籍していたシンガー。Alexとはそのキャラクターは異なるが、Tom参加後初のアルバム『Eternal Nightmare』でChelsea Grinサウンドとの親和性の高さを見せつけた。特にブラストビート・パートなどを取り入れ、ブラッケンド・デスコアにも近いサウンドにおけるTomのボーカルのフィット感は素晴らしい。Pablo Viverosの穴を埋めるセッション・ドラマーには、Glass HandsのNathan Pearsonが参加しており、こちらも文句なしと言えるだろう。

 

 

『Suffer in Heaven』は『Suffer in Hell』よりも、これまでのChelsea Grinが鳴らし続けてきた独自性を随所に散りばめつつ、Tomを新しいChelsea Grinのフロントマンとして迎え、新時代のChelsea Grinを作っていくという気概を感じさせてくれる。ミュージックビデオにもなっている「Fathomless Maw」はどこか「Playing with Fire」を彷彿とさせるキャッチーさを持ちながら、Tomのスクリームを生かしたファストなフレーズをエンディングに差し込んでいる。「Yhorm The Giant」から「Sing To The Grave」の流れは、『Suffer in Hell』から『Suffer in Heaven』の流れの中で最もエキサイティングな高揚感に溢れている。

 

 

 

 

2023年のChelsea Grinに溢れている空気感が明るくて良い。Tom Barberのカリスマ性がこのバンドとして発揮されるのはとても楽しみだし、Darko USとの棲み分けをどうしていくかをファンに注視させることは、デスコアとニューメタルコアの未来にとっても明るい。

 

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メタルコア 2022年下半期のベスト・アルバム (後編)

2022年にリリースされたメタルコアの作品の中からRIFF CULTが気に入ったものを年間ベスト・アルバムとしてアルバムレビューしました。素晴らしい作品が多く、前編、後編に分けて記事を書いていますので、上半期のレビューと合わせてチェックしてください (リンクは記事の最後に掲載しています)。今回は後編!

 

RIFF CULT Spotify プレイリスト : https://open.spotify.com/playlist/280unJx37YbHbRvPDlZxPi?si=3d0db24716c648cb

RIFF CULT YouTube プレイリスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLLijetcgxQ4PZZMlhlpExxiNrr5wSYBjj

 

 

The Devil Wears Prada – Color Decay

メタルコアとスクリーモが混ざり合い、新しいスタイルを形成し始めた2000年代中期から後期にかけて、The Devil Wears Pradaはシーンの代表的な存在であった。通算8枚目のアルバムとなる『Color Decay』まで次第にダークな世界観を推し進め、それはメタルコア・シーンの発展、トレンドとは全く別の路線として独自性を失うことなくそのサウンドに磨きをかけてきた。『Color Decay』は緊張感こそピンと張り詰めているものの、「Salt」や「Sacrifice」といった初期The Devil Wears Pradaの面影が見え隠れするキャッチーなキラー・チューンを中心に、メロディックな楽曲で構成されている。この手のサウンドのオリジネイターでありながら、簡単にフォロワーを生み出さない創造力は神々しいMike Hranicaの存在感が放つ圧倒的なパワー故。

 

 

 

Parkway Drive – Darker Still

過去6作品全てゴールド・アルバムを獲得し、最大級のメタルの祭典「WACKEN」でヘッドライナーを務めるなど、シーンの頂点へと昇り詰めたParkway Drive。そんな彼らが7作目にして「これがバンドが20年間目指してきたパークウェイ・ドライヴだ」と言い切る本作は2022年を象徴するメタル・アルバムとなった。

 

アルバム発売前にリリースされたアルバムのタイトルトラック「Darker Still」は、これまでのパークウェイ・ドライヴとは一線を画すもので、キャリアを象徴するようなパフォーマンスが随所に見られる、壮大なスケール感のある曲に仕上がっている。口笛とアコースティック・ギターで始ま李、ギターソロ、幽玄なコーラスとストリングス、そしてマッコールの驚異的なヴォーカルを通して、リスナーを圧倒的な旅へと誘う。マッコールはこの曲について次のようにコメントしている。

 

「愛。時間。死。我々の存在を構成する偉大な決定的要素。この曲は最もシンプルな人間の音から始まり、これらの要素を表現しながら音楽の旅が成長し、クレッシェンドに達した後、避けられない旅の結末に直面する。夜は暗くなる…さらに暗くなる。」ウィンストン・マッコールの家のキッチンには冷蔵庫があり、その片面にはトム・ウェイツの言葉が飾られている。「美しい旋律が恐怖を語る。」マッコールはこの言葉は自分自身をよく表していると言う…… 続きはこちら (https://riffcult.net/2022/09/09/parkway_drive-darker_still/)

 

 

 

Boundaries – Burying Brightness

Peripheryが運営する3DOT Recordingsへ移籍しリリースされたセカンド・アルバム。鬱屈したメンタルヘルスをテーマに混沌とした頭の中のモヤモヤを描くようにして、予測不可能なグルーヴを鋭いハードコア・リフで切り開いていく。モダン・メタルコアの輝きを放つ「This Is What It’s Like」、デスコアに接近する「My Body Is A Cage」、エンディングを飾る「The Tower」ではDeftonesばりの瞑想ポストメタルを奏で、メタルコア/ハードコアに留まらない魅力を醸し出している。

 

 

 

Orthodox – Learning To Dissolve

テネシー州ナッシュビルを拠点に活動するメタルコア・バンド、OrthodoxのCentury Media Recordsとの契約後、初となるアルバム。本作『Learning To Dissolve』は、2017年のファースト・アルバム『Sounds of Loss」から始まった流れに句読点を打つような作品。結成当初からORTHODOXは、ボーカリストAdam Easterlingの鈍重でKornのジョナサン・デイビス風のシャウトSlipknotを彷彿とさせるリフを混ぜ合わせ存在感を見せつけてきた。しかし、Knocked LooseやVein.FMのサウンド同胞のように、90年代/00年代の影響がある一方で、ORTHODOXは単に影響を受けたものに敬意を表しているのではなく、それを超えてくる。

 

「俺たちはハードコアを聴いて育ったわけじゃない。俺たちはLinkin ParkSystem of a Downのようなバンドを聴いて育ったんだ」。とAdamは話す。『Learning to Dissolve』では、それらの影響が、アルバムのオープニング・トラックである「Feel It Linger」から、クローズの「Voice in The Choir」のパーソナルでオーラルなメルトダウンまでたっぷりと練り込まれてある。

 

 

 

Architects – the classic symptoms of a broken spirit

格式高いRoyal Albert HallでのライブやAbbey Road Studiosでの録音音源のリリースなど多忙を極めていたArchitectsであったが、同年、通算10枚目となる本作をリリースした。前作『For Those That Wish To Exist』を足掛かりとし、メタルコアからヘヴィロックへと変貌を遂げたことには賛否両論あるものの、バンドのトレードマークとも言えるメロディックなシャウトは健在。大舞台での熱演が目に浮かぶ「deep fake」や「when we were young」といった新時代のアンセムは少し先のロックの未来を見るようだ。

 

 

 

 

Electric Callboy – TEKKNO

本作は2019年にリリースしたアルバム『Rehab』以来の新作で、Eskimo Callboyから改名後、初のアルバムとなる。「Hypa Hypa」「Pump It」が大ヒット、Eskimo Callboyは瞬く間にメタル・シーンを飛び出しグローバルなバンドへと成長した。2021年12月、彼らの名が広く知れ渡るようになったことをきっかけに、バンドは不快な歌詞を持つ過去曲をプラットフォームから削除、さらに「Eskimo」という単語がアラスカのイヌイットやユピックの人々に対する蔑称と捉えられるため、「Electric Callboy」へと改名することを発表した。ここに至るまで、バンドはイヌイットやユピックに関する歴史をファンと共に学ぶようYouTubeで動画を発信するなどした……。 続きはこちら (https://riffcult.net/2022/09/09/electric_callboy-tekkno/)

 

 

 

Fire From The Gods – Soul Revolution

Better Noiseへと移籍。ニューメタルコアの盛り上がりとは別にFire from the Godsは古き良きニューメタル/ラップメタルの攻撃性を現代的にアップデートさせた。自由で無駄がなく、それでいて豊かに洗練されたクリーン・ヴォイス、Rage Against the Machineを彷彿とさせるひりついた緊張感のあるフロウが醸し出す伸縮性のあるAJのボーカルラインは唯一無二。「Soul Revolution」といったアグレッシヴなキラーチューンから「Be Free」、「Love is Dangerous」といったニューメタル・バラードまでバンドの持てる全てを注ぎ込んだ一枚。

 

 

 

HOSTAGE – MEMENTO MORI

2018年ドイツ・アーヘンで結成。ボーカリストNoah、ギター/ボーカルDavid、ギタリストNico、ドラマーMarvinの4人編成で本作がデビュー・アルバムとなる。ALAZKAを筆頭にメロディック・ハードコアやポストハードコアの風合いがさりげない存在感を放ち、しなやかに弾むメロディックなリフと伸びやかなクリーン・ヴォイスが印象的。ソリッドなヘヴィチューン「Fantasy」やANNISOKAYのChristophをフィーチャーした「Game Over」といったコラボトラックもモダンさと素朴さのバランス感覚に優れており、アルバムに充実した印象を与える。

 

 

 

 

Love Is Noise – Euphoria, Where Were You?

FEVER333Nova Twinsが所属する333 Wreckordsのニューカマーとして表せたLove Is Noise。Loathe以降、イングランドのメタルコアの新潮流となったシューゲイズ・メタルコアの新鋭としてこの作品の芸術性は後続のバンドに幾つものヒントを与えている。まるで目に見えない電波に触れたかのようにしびれ、めまいを起こすほどのうねりを見せるリフがノイズに飲み込まれていくかのような「Movement」はシューゲイズの幻惑的な光も落とし込んでいく。

 

 

 

2022年の年間ベスト・アルバム記事

メタルコア (全期 前編)

メタルコア (全期 後編)

デスコア (上半期)

デスコア (下半期)

スラミング・ブルータル・デスメタル (上半期)

スラミング・ブルータル・デスメタル (下半期)

ゴアグラインド

ブルータル・デスメタル (上半期)

ブルータル・デスメタル (下半期 前編)

ブルータル・デスメタル (下半期 後編)

テクニカル・デスメタル (全期 前編)

テクニカル・デスメタル (全期 後編)

 

メタルコア 2022年下半期のベスト・アルバム (前編)

2022年にリリースされたメタルコアの作品の中からRIFF CULTが気に入ったものを年間ベスト・アルバムとしてアルバムレビューしました。素晴らしい作品が多く、前編、後編に分けて記事を書いていますので、上半期のレビューと合わせてチェックしてください (リンクは記事の最後に掲載しています)

 

RIFF CULT Spotify プレイリスト : https://open.spotify.com/playlist/280unJx37YbHbRvPDlZxPi?si=3d0db24716c648cb

RIFF CULT YouTube プレイリスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLLijetcgxQ4PZZMlhlpExxiNrr5wSYBjj

 

 

We Came As Romans – Darkbloom

5年振り通算6枚目フル。2018年にWe Came As Romansのクリーンボーカルを務めたKyle Pavoneが急逝。新たなシンガーを迎えることはなく、これまでスクリームを担当してきたDaveがクリーンパートを兼任する形で制作が行われた。Kyleへのトリビュート・アルバムであるものの、そのサウンドに悲壮感はなく、むしろ現代的なエディットを施し、攻撃的なリフのうねるようなグルーヴが明暗表現を加速させている。Caleb Shomoをフィーチャーした「Black Hole」ほか暗い色彩の中に輝きを映し出す楽曲がひしめき、歩みを止めないバンドの真摯な気持ちを表している。

 

 

 

Miss May I – Curse Of Existence

Miss May Iは名作『Monument』以降、メタルコア史に自ら打ち立てた金字塔を越えられていないというコアなファンからの声もちらほらあった (といってもセールス的にはずっと成功してきた)。個人的にはそうは思わないが、『Monument』が今後数十年に渡り語り継がれていくアルバムであること、そして彼らがシーンに与えたインパクトが強烈だったことは間違いない。そんな『Monument』に匹敵する凄まじいサウンドで、2022年にMiss May Iは再びシーンに戻り、そして今バンド史上最高傑作と言える『Curse Of Existence』を発表した。

 

Miss May I にファンが求めるのは、ソリッド&メロディックなリフアンセム的なコーラス、そして強烈なブレイクダウンといったところだろうか。オープニングを飾る「A Smile That Does Not Exist」を聴けば、すぐにこのアルバムの力強さに圧倒されるはずだ。ブラストビートにシュレッダーリフ、Leviのスクリームが炸裂していく。続く先行シングルとしてリリースされた「Earth Shaker」や「Bleed Together」とファストなキラーチューンが立て続けに繰り広げられていく。特にこの2曲のブレイクダウンがアルバムのハイライトとも言えるパワーがある。シュレッドなギターと印象的なコーラスのハーモニー、クラシックなメタルコア・ブレイクダウンを搭載した「Into Oblivion」は、個人的にアルバムのベスト・トラックで、Bring Me The HorizonArchitectsなどに匹敵するスタジアム・ロック的なスケールがたまらない。思わず「INTOOO OBLIVIOOON!!!」と叫ばずにはいられないはず。

 

 

正直言って、全曲キラーチューン過ぎる。ミュージックビデオとして先に公開されている「Free Fall」、「Unconquered」は余裕があれば歌詞にも注目して欲しい。「Free Fall」はインポスター症候群について歌った曲であり、恐怖心を押し殺し飛躍を遂げた人たちのアンセムだ。インポスター症候群とは、自分の能力や実績を認められない状態を指し、仕事やプライベートを問わず成功していても、「これは自分の能力や実力ではなく、運が良かっただけ」「周囲のサポートがあったからにすぎない」と思い込んでしまい、自分の力を信じられない状態に陥っている心理傾向のこと。フレーズがまるで会話のように掛け合いながら展開していく。完璧なエンディングを聴き終えた後、『Curse of Existence』がMiss May Iの過去最高傑作だ!と思うリスナーは多いはずだ。久々にモダンなメタルコア・アルバムでガツンとくる作品だったと思う。彼らは「あの頃のバンド」ではなく、永遠のメタルコア・ヒーローだ。

 

 

Varials – Scars For You To Remember

3年振りとなるサード・アルバム。これまでアルバム毎に異なるスタイルを提示してきたVarials、本作はニューメタル/インダストリアル・メタルのエレメンツをスタイリッシュにメタルコア/ハードコアに注入している。ミュージックビデオになっている「.50」はSlipknotから細胞分裂したかのような強靭なグルーヴを見せ、ほとんどマシンガンとも言える鋭利なドラミングが「Phantom Power」ではドラムンベースに置き換わる瞬間も。鋭さを追求しメタルコアの造形表現を極めつつも、これまでの実験的なアイデアもVarialsらしさの強いアクセントとなっている。

 

 

 

I Prevail – TRUE POWER

3年振りとなるサード・アルバム。前作『Trauma』はグラミー賞2部門にノミネートされ、シーンを牽引するアリーナ・バンドへと成長を遂げた。I Prevailの基本的スタイルとも言えるエレガントに装飾されたシンセサイザー/オーケストレーションとハードロックに接近しながらソリッドに刻み込まれるリフ、そしてBrianとEricによるツインボーカルの圧倒的な存在感は本作でも聴くことが出来、Beartoothに代表されるようなロックンロールのフックが何より素晴らしい。「Body Bag」といったヘヴィに振り切った楽曲からスタジアム級のスケールを誇る「Bad Things」ほか、彼らの現在地が分かる一枚。

 

 

 

Oceans Ate Alaska – Disparity

前作『Hikari』から5年、2016年に脱退したオリジナル・ボーカリストJames Harrisonが2020年に復帰し制作された通算3枚目フルレングス。シングル「Metamorph」、「New Dawn」、「Nova」はもちろん、I, PrevailのEric Vanlerbergheをフィーチャーした楽曲「Dead Behind The Eyes」など、期待を裏切らない楽曲がたっぷりと収録されている。正直、Oceans Ate Alaskaにとっても、我々リスナーにとっても、『Hikari』から5年という時間はとても長かった。それは単純な長さに加えて、パンデミックなどによるダメージも大きい。センセーショナルなFearless Recordsからデビューであったからこそ、「次、いったいどんな作品を仕上げてくるのか」という高まった期待が一度落ち着いてしまうと、なかなかそれを超えてくる作品は出てこない。

 

しかしどうだろう、今このレビューを読みながら『Disparity』を聴いている方は、オープニング・トラックの「Paradigm」を再生した瞬間、Oceans Ate Alaskaに期待するものを得られた喜びを噛み締めていることだろう。5年をかけて作り上げたと言われれば納得 (おそらくそれよりももっと短期間で完成させられている) の作品で、個人的には楽曲「Sol」の完成度の高さには驚いた。アルバム収録曲の総時間は30分。そこに詰め込まれたOceans Ate Alaskaらしいアイデア、ドラマーChrisの卓越されたドラムプレイ。たとえ次のアルバムがさらに5年後だとしても、5年間聴き続けても飽きないような作品になっているように思う。じっくりじっくりと聴き返したい作品。

 

 

 

He Is Legend – Endless Hallway

通算7枚目となるフル・アルバム、先行シングルとして発表された「THE PROWLER」や「LIFELESS LEMONADE」といった楽曲は現代的なメタルコアのエッジ、ヘヴィネスと言う部分に溢れており、これまでのHe is Legendファンは驚いたことだろう。そして「He is Legendってこんなに凄いのか」と名前だけ知っていたようなリスナーの興味も引いたはずだ。彼らは日本において、そして世界的においてもその実力が高く評価されてこなかった。いわゆる過小評価バンドだった。ポテンシャルは十分で芸術的な存在感が「キャッチー」と言うキーとはやや離れていたからではないかと考える。このアルバムは彼らが長いキャリアの中で培ってきた芸術的なカオスも見せる快作、コアなファンにこそ聴いてほしい一枚。

 

 

 

Fit For A King – The Hell We Create

通算7枚目フル。ドラムにTrey Celayaが加入してから初となる作品は、プロデューサーにDrew Fulkを起用してレコーディングされた。コロナウイルスによるパンデミックにより生じた精神的な葛藤を描いた「Falling Through the Sky」など、アーティスティックな歌詞世界も魅力だ。オープニングを飾るタイトルトラック「The Hell We Create」に代表されるように、バウンシーなグルーヴはそのままにメロディックメタルコアへとそのスタイルを微細に変化。更なる高みを目指すFit For A Kingの野心溢れる仕上がり。

 

 

 

Stray From The Path – Euthanasia

2019年にリリースした前作『Internal Atomics』から3年振りとなる本作は、話題となった先行シングル「Guillotine」を含む強烈な全10曲入りだ。Stray From The Pathのメンバーは、「バンドは常に、抑圧に対して発言する場として自分たちの歌を使ってきた」と言う。アメリカの公安にまつわる多くの問題、特に警察活動への疑問や怒りをメッセージに長年ソングライティングを続けてきたバンドは、こうした問題が解決される兆しの見えない混沌とした現世への怒りの高まりに呼応するように、その勢いを加速させている。

 

ギロチンをバックにプレイするStray From The Pathが印象的な「Guillotine」のミュージックビデオ。結成から20年以上が経過し、積み上げてきたバンド・アンサンブルはまるで生き物のようにグルーヴィだ。ニューメタルとハードコア、そしてラップが巧みにクロスオーバー、音楽的にも現代のメタルコア・シーンにおいて彼らの存在は重要だ。同じくミュージックビデオになっている「III」では警察に扮したメンバーが皮肉めいたアクションでアメリカ警察を口撃する。まるでマシンガンのようにして放たれるラップのフロウがノイズに塗れたニューメタル/メタルコアによって何十にも攻撃力を増していく。

 

アメリカでの彼らの絶大な人気を見れば、市民の代弁者とでもいうべきスタイルを取るバンドであると言える。もちろん、音楽的にもニューメタルコアに非直接的ではあるが影響を与えており無視できないレジェンドだ。アルバムに込められたメッセージを紐解くことは、アメリカに生きるということの現実的な困難や不安を感じることだ。それは日本に住む僕らも共感できるものなのかもしれない。

 

 

 

The Callous Daoboys – Celebrity Therapist

The Callous Daoboysは、キーボーディスト、ヴァイオリニストを含む7人組、ライブによってはDJやサックスもいたりとそのメンバー・ラインナップはこれまで流動的だったが、現在は7人組とのこと。そのアーティスト写真からは一体どんなサウンドを鳴らすのか想像も出来ないが、2000年代中期から大きなムーヴメントとなったカオティック・ハードコア/マスコアのリバイバル的なサウンドを鳴らす。The Callous Daoboysは、The Dillinger Escape Plan、Norma Jean以降のiwrestledabearonceやArsonists Get All The Girls辺りのリバイバルを加速させる存在と言えるだろう。最も彼らに近いのがiwrestledabearonceで、特にベースラインのうねり、コーラスワークからは強い影響を感じる。

 

「What Is Delicious? Who Swarms?」はぜひミュージックビデオを見て欲しい。アルバムのキートラックでバンドの代表曲でありライブでもフロアの着火剤的な役割を担う楽曲。このビデオのディレクション、どこかで見たことがあるなと思ったのですが、Arshonists Get All The Girlsの「Shoeshine For Neptune」を若干意識しているのかもしれない。この「Shoeshine For Neptune」も15年前の名曲。マスコアも一周回ってリバイバルしてもおかしくないし、彼らがSeeYouSpaceCowboyやIf I Die First辺りと共にブレイクすれば十分盛り上がるだろう。彼らのブレイク次第では2023年のシーンの状況は大きく変わってくるかもしれない。

 

 

 

Crooked Royals – Quarter Life Daydream

ツイン・ボーカル有するニュージーランド・オークランド出身のプログレッシヴ・メタルコア、Crooked Royalsのデビュー作はPeripheryが運営する3DOT Recordingsからのリリース。「Glass Hands」や「Ill Manor」といった楽曲に代表されるAfter The BurialとPeripheryをクロスオーバーさせつつ、NorthlaneやErraの持つアトモスフィリックなエレメンツを燻らせたサウンドは、シャウトとクリーン・ヴォイスが鮮やかに交差、ハリと透明感に満ち溢れたサウンドに思わず聴き惚れてしまう。

 

 

メタルコア名盤 TOP10 (2022年上半期)

メタル・リスナーが聴くべきMerzbowの名盤 TOP5

 

Merzbow (メルツバウ) というアーティスト名を目にしたことがあるメタル・リスナーは多いはずだ。Relapse Recordsのカタログで『Pulse Demon』や『Venereology』のデラックス盤を見かけたり、BORISとのコラボレーションなど、コアなメタル・リスナーであれば Merzbowが世界を代表するノイズ・ミュージシャンであることも知っているだろう。今回は「Merzbowをどの作品から聴いていいのか分からない」、「興味があるけど、ノイズをどうやって聴いたら良いのか分からない」という メタル・リスナー に向けて Merzbowの名盤を5つピックアップしてみました。

 

まず初めに、簡単にMerzbowとはどんなミュージシャンなのかを説明したいと思います。

 

Photo by : Seth Tisue

 

Merzbowは、秋田昌美によるヴィーガン・ストレイト・エッジ・ノイズ・プロジェクト。80年代初頭のノイズ・インダストリアル・シーンに参加し海外のレーベルを中心にリリースを始める。90年代にはグラインドコアの影響を受けデスメタルのレーベルRelapseからアルバムをリリース。2000年代にはmegoの「punkなcomputer music」に共鳴、ラップトップによるライブ手法を採用した。2003年頃から「動物の権利」(アニマルライツ)の観点からヴィーガン(完全菜食主義)を実践している。「捕鯨反対」「イルカ漁反対」「毛皮反対」等をテーマに作品を制作している。近年はアナログ機材を主体にした音作りを行っている。(Merzbow Official Siteより)

 

メタル・リスナーにとってのMerzbowの魅力は、そのサウンドのヘヴィさ、そしてヴィーガン、アニマルライツを長年貫き続けるパンクな姿勢だ。年間数十枚とリリースされる多くのアルバムのアートワークの芸術性も高く、メタル・リスナーを惹きつける魅力のひとつ。また、日本だけでなく海外のミュージシャンらからの人気も高く、コラボレーション・アルバムも多数リリースされている。その中にはFull of HellやIgorrrといったメタルの第1線で活躍するミュージシャンもいる。

 

日本が誇るミュージシャンとして名が挙がることも多いMerzbow。その多作っぷりからどのアルバムから聴けばいいか分からない音楽好きにおすすめの作品をまとめていきたいと思います。気に入ったら、様々なアルバムを入手してみて下さい。

 

https://merzbow.net/

 

StereoAkuma (2020, ROOM 40)

2020年にLawrence Englishが運営するオーストラリアのレーベルRoom40からリリースされたこのアルバムは、2019年7月5日オーストラリア/ニューポートのThe SUBSTATIONで行われたRoom40主催イベント「Open Frame」でのライブ・パフォーマンスが収録された作品で、売上収益をオーストラリアの森林火災で被害を受けた野生動物の回復を支援する野生動物保護団体WIRESに寄付している。こうして作品を購入することでアニマルライツ活動に参加することが出来るというのは、Merzbowを聴く理由の一つとしても大きい。

 

金属的な冷ややかさが朧げなビートを硬くし、そこに覆い被さるようにボリュームがアップしていくハーシュ・ノイズ・ウォールが没入感を加速させ、やがてその重低音はビートを飲み込んでいく。水面に浮かび上がる水泡が弾けるような微かなアクセントや、ヘヴィ・サウンドの中で浮かび上がる金切ノイズは動物たちの叫び声のようにも錯覚する。他のMerzbowのアルバムの中でもローが効いているので、現代的なニューメタルコアやインダストリアル・メタルの重みと感覚的に似ているものがある。

 

 

 

Venereplogy (1994, Relapse Records)

MerzbowをSpotifyやApple Musicといったプラットフォームで検索すると、大体TOP3で表示されるのが、『Venereplogy』だ。このアルバムがトップ・アルバムとして紹介される理由は紛れもなくこの強烈なノイズ・アルバムがメタルの名門Relapse Recordsからリリースされたことに由来する。Relapse Records以外にメタル・レーベルがノイズ・アーティストのリリースを手掛ける事例はほとんどなく、このアルバムの後に発表された『Pulse Demon』はMerzbowの最も有名な作品となり、アートワークはMerzbowの難解さを表したネットミームにもなっている。

 

このアルバムは楽曲によって様々な表情があるが、あらゆる生き物の悲鳴のようなものが継ぎ接ぎされたようなコラージュが興味深く、スピード感のあるうねりが、次々と繰り出されるノイズの塊に躍動感を与えている。その忙しなさはどこか手数の多いドラムがキーのテクニカル・デスメタルを聴いているよう。

 

 

Pulse Nostril (2017, Not On Label)

Igorrrとのコラボ・アルバムで、互いの代表的な作品である『Nostril』と 『Pulse Demon』をマッシュ・アップしたもの。オリジナル・アルバムではない為、それぞれのディスコグラフィーにおいて重要作品として名前が挙がることは少ないが、Merzbowのハーシュ・ノイズがビートの上でどんな役割を果たすことができ、またどんな効果をもたらしてくれるかをじっくりと味わうことが出来る作品のため、メタルのような音楽ファンがMerzbowの入門作品として聴くのは面白いかもしれない。

 

Igorrrの近年の作品の中でメタル・リスナーが最も親しみを感じる楽曲は、Cannibal CorpseのGeorge Fisherをフィーチャーした「PARPAING」だろう。プログレッシヴ・デスメタルがアナログのモジュラーシンセから繰り出される奇怪なビートとオーガニックにクロスオーバーしていた。この作品は『Nostril』が醸し出すビートの旨みの中で異質な輝きを放つ『Pulse Demon』のエネルギーが不気味に混ざり合う。

 

 

Arijigoku (2008, Vivo)

 

『Arijigoku』は元々サイケデリック、プログレッシヴ・ロック・ドラマーというルーツを持つ秋田昌美が、そのサウンドをMerzbow単独名義に持ち込んだ最初の作品と言われている。自分自身、Merzbowに心酔し始めたきっかけになった作品が2007年にCold Springからリリースされた『Anicca』だったこともあり、ドラムを組み込んだMerzbowの作品が好きだ。近年『Arijigoku』はスローダウン・レコーズによるメルツバウ・アーカイブ・シリーズの第12弾として『Arijigoku (Test Mix)』として新しくリリースされており、久しぶりにその魅力に引き込まれていた。bandcampページの説明によると、この”ドラムとノイズ”というスタイルが生まれたきっかけは、2008年4月、ロンドン公演の翌日、MerzbowがイギリスのCold Springからリリースするニュー・アルバムのレコーディングを行っていたTin Pan Alley Studiosでの出来事だそうで、この時、生ドラムをスタジオで録音し、コンピューターノイズと合成したのが、彼らの本格的なドラム使用の始まりとなったとのこと。このスタイルは、メタルやグラインドコアだけでなく、サン・ラーやフリージャズなど、音楽的背景において共通点の多いドラムのサウンドが、Merzbowの「デュオとしてドラムを取り入れたスタイルを追求したい」という思いにつながっていった。

 

グラインドコア、その中でもノイズ・グラインドはその名の通りノイジーなグラインドであり、メタル・リスナーよりハードコア・パンクのシーンで人気があるかもしれないが、そんなノイズ・グラインド・リスナーにも引っ掛かるのがこの『Arijigoku』だと思う。アートワークをそのまま音像としたようなハーシュ・ノイズの中でハイピッチ・スネアをキーリング・アクセントとして熱気たっぷりに叩き込まれるドラムのビートが入り乱れる様は、まるで暗闇より暗い漆黒に吸い込まれていくような錯覚に陥るパンキッシュさに溢れている。例えばLast Days of Humanityなど近いものがある。

 

 

 

Full of Hell & Merzbow (Profound Lore Records / Daymare Recordings)

ハーシュノイズとボーカルを兼任するDylan Walkerが在籍するグラインドコア/パワーヴァイオレンス・バンド、Full of Hellが熱望したというMerzbowとの共演は、ダブル・アルバムという形で実現した。ディスク1はFull of Hellを主体とした楽曲で、ディスク2はMerzbowを主体とした楽曲が収録されており、多角的にコラボレーションが味わうことができ、ノイズ側からもグラインドコア側からも面白さが感じられる作品と言えるだろう。Dylanはノイズ・ミュージックの熱狂的なファンでもあり、プレイヤー。Merzbowとの共演が多いBalázs Pándiと共にRamuhというプロジェクトもやっているので、メタル・シーンとノイズ・シーンを繋ぐ存在として重要人物かもしれない。

 

「ノイズ」はメタルをはじめとしたエクストリームな音楽において、簡単に言葉では言い表せない魅力を与えてくれる。怒りや苦しみ、悲しみといった感情を音で表現する時、やはり大きな音であることが多いし、言葉にならない感情は複雑に交差しているから言葉にならないのであって、混沌としている。ノイズのある音楽というのは、そんな混沌とした感情を表現するのに相応しい。ノイズのある音楽が美しく、心を開放する理由はそこにあり、グラインドコアやメタルといった音楽との親和性は高い。決してポピュラーになることはないだろうが、時代と共に進化を続けるメタルという音楽にはMerzbowという存在は大きな刺激であり、いつだって未来的だ。Full of Hellをはじめとする若きヘヴィ・ミュージシャン達がMerzbowを通じてノイズの手法を最新のメタルに持ち込むことは、Merzbowが存在する限り起こり続けるはずだ。

 

 

 

アルバムレビュー : Knosis 『The Shattering』

 

▶︎Knosis 『The Shattering』アルバムレビュー

 

 

 

個人的にRyo Kinoshitaと言えば、Crystal Lake在籍時のライブでGODFLESHのシャツをよく着ているのが印象的だった。メタルコア・シーンでは珍しくディープなデスメタルに理解があり、インダストリアル・メタルの芸術性をボーカリストとして表現出来ていた稀有な人物だと思っていた。実際に会って話した時も、誰も知らないようなバンドについて話して驚いた記憶がうっすらと残っている。リスナーとしても尊敬出来るRyo Kinoshitaがバンドという体制にとらわれず、Survive Said The ProphetのYoshが率いる音楽プロダクション・チーム The Hideout Studios と共に始めたKnosis のデビューEP『The Shattering』は、自由奔放なアイデアとカリスマ性によって完成させられた作品と言えるだろう。

 

 

SATANICで公開されたKnosisのインタビューで、RyoはDeftonesのサイド・プロジェクトとして知られる†††(Crosses)にKnosisの体制をなぞらえて説明し、DARKO USやKing Josefといったプロジェクトの名前を挙げながら、自身の現在地についてファンに説明している。全世界同時進行で数多くのメタルのジャンルがクロスオーバーし、枝分かれ的にサブジャンルが誕生し変化、進化し続けている2020年代のヘヴィ・ミュージック・シーンにおいて、バンドという体制がまとう”〜というジャンルのバンド”というようなレッテルの呪縛から解き放たれることは、シーン全体の更なる進化のスピードを加速させ、メタル以外の音楽と交わるために重要だ。そしてその中心にいるべきなのがRyo KinoshitaでありKnosisだと思う。この作品はまさにその創造性に限界を持たせずに作り上げられている。

 

 

今でこそニューメタルコアという言葉で一括りにされているようなスタイルは、Emmureの『Look At Yourself』からAlpha Wolf、Dealerの誕生によって本格的にメタルコアのサブジャンルの一つとして盛り上がり世界的に認知され始めたが、同時にトラップとの交わりを形容するサブジャンルが存在せず、King Yosefのようなタイプがどっちつかずのままトラップからもメタルコアからも浮いてしまっていた。Knosisはそんな曖昧さをプロジェクト自体の旨みにしつつ、明確なコンセプトでメタルという音楽、そしてメタルという音楽の持つヴィジュアルイメージから他のエンターテイメントとのコラボレーションのきっかけを生み出していくはずだ。正直、それを表現する言葉なんて、この先も見つからないだろう。でも、Ryo、Yoshのカリスマ性によってKnosisは聴衆の興味を惹きつけ、決して無視させない。『The Shattering』は、メタルコアを驚くべきスピードで進化する音楽シーンの中で最も興味深い存在にするためにも存在価値を発揮するだろう。2023年にこんなアーティストが観られる日本のメタル・リスナーは恵まれていると思う。間違いなく世界最先端のメタル。2027年くらいに存在するメタルをいち早く目の当たりにしている感じだ。ここから始まる何かにもっとワクワクしたい。

 

 

 

Suicide Silence、OGスタイルへと完全回帰した渾身の新作『Remember… You Must Die』リリース!

 

USデスコア・ベテラン、Suicide Silence が通算7枚目のスタジオ・アルバム『Remember… You Must Die』をCentury Media Recordsからリリースしました。

 

 

近年のSuicide Silenceと言えば、OGスタイルへとじわじわ回帰してきたにも関わらず、黄金期のカリスマMitch亡き後は正当に評価されてこなかった。Mitchの死後、Eddieへとボーカルが代わりリリースされた『You Can’t Stop Me』はファンがMitchの幻影を追いかけ、Suicide Silenceの新たなスタートを祝福する余裕がなかったし、その後リリースされたセルフ・タイトル『Suicide Silence』はデスコアから脱却しニューメタルへと舵をきったことで批判を食らった。もう6年も前のことなんだけど、やっぱりSuicide Silence、特にMitchのファンは失望してしまい以降のリリースをちゃんと聴いてないというリスナーも多いはず。これは海外のレビューをみてても感じたことだ。

 

 

Eddieが加入して、今年で10年になる。Suicide Silenceが始まってMitchがなくなるまで10年なので、在籍年数が並んだ。それでもまだ、EddieがSuicide Silenceのフロントにいることに違和感を感じてしまう人も多いかもしれない。前作『Become the Hunter』からSuicide SilenceはOGスタイルのデスコアへと戻り始め、本作『Remember… You Must Die』では完全に『No Time to Bleed』期のスタイルへと回帰した。「Mitchの幻影ばかり追いかけていないで、現在進行形のSuicide Silenceを追いかけろ」と、心から言えなかったのは今日まで。これからは今のSuicide Silenceを心から応援したいと思うし、好きだと言いたい。言うべきだ。

 

 

アルバム・タイトルからして、本作はオープニングから異常な殺気が漂う。2022年9月に先行シングルとしてアルバムのタイトル・トラック「You Must Die」はこれぞSuicide Silenceと言うべき完璧な楽曲で、墓場で演奏するメンバーが「You Must Die」、「Fuck Your Life」と叫びながら老化して最後に全員死ぬというディレクションがシンプルで良い。アメリカ人っぽいし、こういう無茶苦茶な思想とか投げやりなところがデスコアのコアなエナジーだと思う。もし誰かがSuicide Silenceはもう過去のバンドだと言っていたら、このアルバムを聴いていないと言えるだろう、話を聞かなくていい。このミュージックビデオのコメントに書き込まれている「Mitchがこれを聴いたら喜ぶだろう」と言うのが、このアルバムの全てだ。

 

 

ブルータル・デスメタル 2022年の名盤 (後編)

2022年にリリースされたブルータル・デスメタルの作品の中から素晴らしかったアルバムを年間ベスト・アルバムとしてピックアップしディスクレビューしました。前編も合わせて読んでみて下さい。

 

2022年にリリースされたブルータル・デスメタルの良曲をまとめたYouTubeプレイリスト

 

RIFF CULTのSpotifyプレイリスト「All New Brutal & Tech Death Metal」をぜひフォローして下さい。

 

ブルータル・デスメタル 2022年の名盤 (前編)

 

Syphilic – …And Justice For None

デトロイト在住のBrian Forgueによる孤高のワンマン・ブルータル・デスメタル・プロジェクト、Syphilic の通算9枚目・フルアルバム。長きに渡りSyphilicのおどろおどろしいサウンドをアートワークに落とし込むTony Cosgrove のえぐいアートは本作も素晴らしいですね。

 

Syphilic がFacebookに投稿しているレコーディングの様子がヤバいです

 

一聴すると打ち込みドラムが乱雑に、そして単調に叩き込まれる2010年代前後のワンマン・ブルータル・デスメタルに聴こえるかもしれませんが、その単調さが生み出す不気味さや無機質さがSyphilicの良さで、打ち込みのつぎはぎっぽさは、うねり続けるリフが上手くグルーヴに昇華しています。それを面白いと思えたら、Syphilic ハマると思います。この感じはバンドには出せない。

 

 

Organectomy – Nail Below Nail

ニュージーランド出身の5人組、Organectomy の通算3枚目・フルアルバムは前作に続きUnique Leader Records からのリリース。スラミング・スタイルのバンドですが、そこまで大胆にスラムに特化しているわけではなかったので、スラミング・ブルータル・デスメタルの年間ベスト・アルバムではなく、ブルータル・デスメタルの年間ベストとして、こちらにレビュー書きたいと思います。

 

ボーカルのTylerのソロプロジェクトとして始動

 

Secularityというテクニカル系バンドにも在籍するギタリスト Matthew Bolch と Sam McRobert のコンビが良く、単なるスラム・バンドでないセンスの良さからUnique Leader Records も食い付いたんではないかと思います。重量感のあるスラム・リフの隙間に差し込まれるメロディックなエレメンツはデスコアっぽさもあり、特に「Breeding Chaos」はDespised Iconを彷彿とさせるリフが面白いです。2010年代前後、The FacelessやDespised Icon辺りハマってた人、Organectomy オススメです。

 

 

Anal Stabwound – Reality Drips Into The Mouth Of Indifference

アメリカ・コネチカット在住のミュージシャン Nikhil Talwalkar によるワンマン・プロジェクト Anal Stabwound のセカンド・アルバム。Nikhil はなんと2005年生まれ、弱冠17歳の若きブルータル・デスメタラーで、2018年にこのプロジェクトを始動させたそう。となると13歳で始めたということですね。凄すぎる…

 

Nikhil Talwalkar

 

自身のYouTubeチャンネルでDefeated Sanity の完璧なドラム・カバーをアップしていることからも分かるように、Anal Stabwound のサウンドもDefeated Sanity を彷彿とさせるプログレッシヴなビートがカオスに渦巻くブルータル・デスメタル。全ての楽器を自身でこなし、複雑怪奇な楽曲を鮮やかにプレイ。様々なプロジェクトにフィーチャリング・ゲストとしても参加しており、今後シーンのキーマンになりそうな人物。

 

 

Phalloplasty – 27 Club

 

ラスベガス在住の Zack “Plasty” Shaw によるワンマン・プロジェクト、Phalloplasty の5年振り4枚目となるフル・アルバムはCDN Recordsがリリースを手がけた。最近、ブルータル・デスメタルって、ソロ・プロジェクト向きな音楽なのかなと思ったりしてます。前述のSyphilic やAnal Stabwound も楽曲構成から「一人で作ってるからこそ作り上げられるサウンド」であるというのが伝わってくる。

 

Zackは打ち込みバックにライブも一人で行う

 

Phalloplasty は人力では不可能なウルトラ・マシーン・ドラムの音速ブラストビートを中心に、非常にグルーヴィなリフを織り交ぜていく。ところどころ適当なのが味になっているのも10年以上、毎年のようにリリースを続けてきたからだろう。

 

 

 

Inhuman Depravity – The Experimendead

 

トルコ・イスタンブールの女性ボーカル・ブルータル・デスメタル・バンド、Inhuman Depravity のセカンド・アルバム。毎週まとめてチェックすることを日課にしているSlam WorldwideのYouTubeチャンネルで見つけてからこのアルバムの存在を知りましたが、かなり良くて結構リピートしてました。

 

ボーカルのLucy Ferra、美しい

 

特に良さを感じたのはドラム。ファストな楽曲が多い中で細部に至るまでセンス良く小技を差し込みます。ミュージックビデオにもなっているアルバムのタイトル・トラック「Obsessed with the Mummified」はInhuman Depravityの魅力が炸裂してます。ドラムについでベースもテクニカルで、ギターのリフのグルーヴィ。ボーカル Lucy Ferra も華があってフロントマンにぴったり。Abnormality が解散し、女性ボーカル・ブルデスはStabbingとInhuman Depravityが頭角を表してきた感じですかね。他にも良さげなバンドあれば紹介したいです。

 

 

Impure Violation – Knee Deep In The Dead

オーストラリア出身、Ungodly Ruins Productionsから7年振りとなるセカンド・アルバム。OmnioidのボーカルEwza Lambertがギター/ボーカルを兼任し、Egregious、Impulsive GluttonyのAlexey Mamontovがドラムを務めるユニット。

アートワークからも分かるように、マシンガンをぶっ放すかのようなブラストビート (そして実際に炸裂する銃撃音)の野蛮さ、それを凌駕するかのようにダイナミックなリフとガテラルがグルーヴィに刻み込まれていく。まとまりもありつつ、カオティックな雪崩展開もあり聴きごたえ十分。

 

 

 

Psychophagia – Arousal Euphoric Debauchery

 

Apoptosis GutrectomyのDeni、Julianusからなるブルータル・デスメタル・ユニット。元々はトリオ編成でアメリカ在住のメンバーがいたようだが、Deniが全てのパートを担当しJulianusがボーカルを担うといったスタイルへと落ち着いた。本作はEPであるが、充実した内容で聴きごたえたっぷり。いわゆる「インドネシアン・ブルータル・デスメタル」の直球を鳴らすバンドで、突進し続けるブラストビートが微細に揺れつつ、ゴリゴリとかきむしるようなリフが蠢く。重さではなくスピードを楽しむブルータル・デスメタルの好盤と言えるだろう。

 

 

 

Deformatory – Harbinger

 

カナダ・オンタリオ出身の中堅、Deformatoryが昨年リリースしたアルバム『Inversion of the Unseen Horizon』から間髪入れずにリリースしたEP。Metal Archivesではテクニカル・デスメタルとジャンル分けされているが、じっくりと聴き込んでみると彼らのサウンドは「テクニカル・ブルータル・デスメタル」とした方がしっくりくる。

 

テクニカル・デスメタルの名産地カナダらしいドラミングは驚異的なスピードで叩き込まれ、時に光をも追い越すようにしてペダルが踏み込まれていく。個性的なリフはメロディックであるが、超高速なチェーンソーリフにも聴こえてくる。コンパクトなサイズながら詰め込まれた音の数はダブル・アルバムくらいかるかもしれない。ドラマ性を排除しつつもメロディアスな面白い一枚。

 

 

Desecrate The Faith – III

 

テキサス出身の5ピース Desecrate The Faith の通算3枚目フル・アルバム。アルバムタイトルはシンプルに「Ⅲ」なのはちょっと簡素すぎかなとは思うが不気味なアートワークから漂う名作の香りに釣られ腰を据えて聴きたくなる。まず把握しておきたいのが豪華なメンバーラインナップ。ボーカルはGorgasmのJohn Hull、Brand of SacrificeやEnterprise Earthといったデスコアの第一線で活躍するバンドで活躍し、過去にはRings of SaturnやInternal Bleedingでそのブルータル魂を炸裂させてきたドラマーMike Caputoが中心となっている。

 

 

純粋にデスメタルをブルータルにプレイしたキャッチーなサウンドは、Johnのディープなガテラルが圧倒的な存在感を放ち、じっとりとグルーヴを巻き上げていく。デスメタリックなギターソロも流石の一言。

 

 

Vaginal Addiction – Indulging In Barbarism

カナダ・ケベックのアンダーグラウンド・ブルータルデスメタル、Vaginal Addictionのセカンド・アルバム。バンド名、アートワークから漂う血生臭い下劣さが好きなのであれば、サウンドも間違いなく気にいるだろう。派手なスピード感、ヘヴィさはないものの、腐臭漂うガテラルとスプラッター/ポルノビデオのサンプリングを雑多に盛り込み、ドロドロしたリフをキャッチーに展開させていく。その展開の要となる転調で差し込まれるリフやドラミングに才能を感じる。何度も聴いているうちに癖になる、玄人向けの作品。

 

 

テクニカル・デスメタル 2022年の名盤TOP10 (前編)

2022年にリリースされたテクニカル・デスメタル (Technical Death Metal) の中から優れた作品をピックアップし、年間ベスト・アルバムとしてレビューしました。中にはプログレッシヴ・デスメタル、テクニカルだけどスラッシュ・メタルと呼ばれる作品も含まれていますが、それぞれのジャンルにおいてテクニカルさが際立つバンドはテクニカル・デスメタルとしてレビューしています。レビュー数が多いので、前編と後編に分けてお送りいたします。過去の年間ベスト記事と合わせてお楽しみ下さい!

 

テクニカル・デスメタル 2022年の名盤TOP11 (後編)

テクニカル・デスメタル 2021年の名盤15選

テクニカル・デスメタル 2020年の名盤 10選

 

シングルリリースのみのアーティストなどは、YouTube、Spotifyプレイリストにまとめていますので、そちらを聴き流しながら記事を読むのもオススメです!

 

 

 

Revocation — Netherheaven

4年振りのリリースとなった通算8枚目フルレングス。ギタリストDanの脱退、そしてコロナウイルスによるパンデミックの影響はRevocationのソングライティング、レコーディングに大きな変化をもたらした。Davidはパンデミック期にエンジニアリングを研究、アルバム通じて初めて自身でプロデュースを行った。アートワークからも分かるようにサタニックなデスメタルを全面に押し出し、クラシックな「Diabolical Majesty」からミッドテンポの「Godforsaken」など、幅広いデスメタル・スピリットを聴かせてくれる。エンディングを飾る「Re-Crucified」はアルバムのキーとも言えるキラーチューン。

 

Revocation、バンド史上最もデスメタリックなニュー・アルバム『Netherheaven』をリリース!

 

Rings Of Saturn — Rings Of Saturn

カリフォルニア州ベイエリアを拠点に活動するテクニカル/プログレッシヴ・デスメタル/デスコア・バンド、Rings of Saturn (リングス・オブ・サターン) 。オリジナル・アルバムとしては通算6枚目で、初期のアヴァンギャルドな超絶テクニカル・デスメタルからプログレッシヴ・スタイルへと大幅にスタイルチェンジ。どこかPolyphiaを彷彿とさせる流麗なサウンドをベースに、随所でソリッドなデスコア・エレメンツを散りばめる、Rings of Saturnの新たなチャプターを予感させる仕上がりとなっている。

 

 

Rings of Saturn、バンド名を冠した新作『Rings of Saturn』リリース!

Spire Of Lazarus — Soaked In The Sands

2016年前身バンドDayumを結成。2020年にSpire Of Lazarusへと改名している。Dayumから3枚目となる本作はDayumからのコンビであるギタリストJuliusとベーシストThomasに加え、Psalm of AbhorrenceのボーカリストJonが加入し、Juliusがドラムを兼任している。オリエンタルなオーケストレーションが嵐のように吹き荒ぶ中、目の覚めるようなブラストビートで駆け抜けていく。スウィープ、タッピングと満天の星空のようなメロディの煌めきも異次元だ。女性ボーカリストPipiをフィーチャーした「Farah」の豊麗多彩な世界観に圧倒される。

 

 

Fallujah — Empyrean

カリフォルニア・ベイエリアのテクニカル・プログレッシヴ・デスメタル・バンド、Fallujahの通算5枚目のスタジオ・アルバム。すっかり中堅となり、唯一無二の存在感を見せるFallujahであるが、Rob、Antonioが脱退するなどなかなかメンバーが固定出来ない時期が続く。本作では新たにArchaelogistのボーカリストKyle、そしてThe Faceless、Animosity、Entheos、Refluxと名だたるバンドに在籍してきた経歴を持つベーシストEvan Brewerが加入。暗雲を払拭するかのように力強く、そして正確に叩き込まれるドラミングとFallujahをFallujahたらしめるScottのしなやかなメロディックリフのコンビネーションに百戦錬磨のEvanのベースラインがどっしりと屋台骨を支える。

 

Aronious — Irkalla

2011年グリーンベイで結成したAroniousのセカンド・アルバム。2020年にデビュー・アルバム『Perspicacity』発表後、ボーカルBrandon、ギタリストのNickとRyan、ベーシストJason、そしてBenightedやGods of Hateなどでドラムを担当してきたKevin Paradisという5人体制となり、本作の制作を開始。不気味に渦巻く奇怪なバンドロゴが、彼らが一体どんなバンドなのかを的確に表現していると言っていい。ほとんど鬼気と呼んでよいほどの不気味な迫力溢れるアヴァンギャルドなドラミングとリフが得体の知れぬ異世界へと聴くものを誘う。

 

 

Godless Truth — Godless Truth

オリジナル・ギタリストPetrを中心に18年振りにシーンにカムバックした彼らのアルバムはバンド名を冠した堂々たる一枚だ。2017年に開催した同郷のデスメタル・バンドDissolution周りのミュージシャンが集い、ツインギターの5人体制となったことで、Petrのギターワークは浮き立つように存在感を放つ。「Scissors」や「Breathe Fire」のリフはこのアルバムのハイライトだ。Death以降の90年代テクニカル・デスメタルを上品さを持ってしてモダンにアップデートすることに成功、セルフタイトルとしてリリースした自信も感じ取れる。

 

Arkaik — Labyrinth Of Hungry Ghosts

The Artisan Eraへと移籍、Gregが脱退し、新たにドラマーとしてSingularityやAlterbeastで活躍したNathan Bigelow、過去にArkaikでライブ・ギタリストを担当した経歴のあるAlex Haddadが加入。ゲスト・ベーシストにInferiのMalcolm Pughを招き、レコーディングが行われた。前作『Nemethia』の延長線上にあるサウンドは迫力に磨きがかかり、プログレッシヴでありながらブルータルな仕上がりとなっている。「To Summon Amoria」ではヴァイオリン、フルート奏者をフィーチャー、NileやNecrophagistを彷彿とさせるサウンド・デザインにも挑戦している。

 

Eciton — The Autocatalytic Process

2004年、前身バンドIndespairが改名する形でコペンハーゲンを拠点にスタート。本作はボーカリストJesper von Holckを中心にギタリストのKristianとThomas、ベーシストGustav、そしてIniquityで活躍したドラマーJesper Frostの5人体制でレコーディングが行われた通算4枚目のスタジオ・アルバム。クラシックなデスメタルに精彩に添えられたテクニカル・デスメタルのエレメンツは自由で無駄がなく、それでいて豊かで洗練されている。強度のテクニカルでなく、高潔な芸術作品とでも言うべき一枚。謎めいたアートワークにもどこか惹かれる。

 

 

The Last Of Lucy — Moksha

2007年ハンティントン・ビーチでギタリストGad Gidonによって立ち上げられたThe Last Of Lucy。本作までにボーカルJosh、ギタリストChristian、ベーシストDerek、Ominous RuinのライブドラマーやTo Violently Vomitでもドラムを務めるJosef Hossain-Kayの5人体制になっている。摩訶不思議な地球外生命体のアートワークもそそられるが、そのサウンドもどこか不気味。ハードコア譲りのボーカルにきめ細やかなリフをメロディアスに展開。The Zenith Passageのようなジャリジャリとした質感の刻みに妙な心地良さを覚える。

 

 

Gutsaw — All Lives Splatter

2003年コロナで結成されたベテランであるが、2004年にリリースしたデビュー・アルバム『Progression of Decay』以来アルバムのリリースはなく、本作は18年振りに発表されたセカンド・アルバム。オリジナル・メンバーであるベース/ボーカルDavidとギター/ボーカルNecroに加え、Vampire SquidのドラマーMark Rivasが加わり制作された。ツインボーカルで絶え間なくガテラルを掛け合いながら、テクニカル・デスグラインドとも言うべきサウンドを爆速で繰り広げていく。時折挟み込まれるバウンシーなフレーズもフックが効いている。

 

 

 

スラミング・ブルータル・デスメタル 名盤TOP15 (2022年下半期)

毎年12月はニュースの更新をストップして、その年にリリースされたアルバムをジャンルごとに改めて向き合い、年間ベスト・アルバムとしてピックアップしアルバムレビューをしています。毎年時間オーバーになってしまいレビューの執筆を諦めてしまうアルバムが数枚あったりしたので、デイリーチェックしているジャンルに関しては上半期と下半期に分けて執筆することにしました。

 

スラミング・ブルータル・デスメタル 名盤TOP5 (2022年上半期)

 

ジャンルに関しては、スラム・リフが主要になっている楽曲構成であれば「スラミング・ブルータル・デスメタル」にカテゴライズしていますが、中にはデスコアであったりスラミング・ビートダウンと呼ばれるビートダウン・ハードコアの一派としてカテゴライズされることが多いジャンルも含めてまとめています。ですので「これはブルデスじゃないだろ!」ってバンドも入ってたりしますがそこはご了承下さい。

 

シングルリリースのみなどで良かったバンドはYouTubeプレイリストにまとめています。下記をチェック!

 

 

 

Agonal Breathing – Bloodthirsty Mutilation

ベネズエラを拠点とし、Interdimensional Hypernovaなどで活動する若きマルチ・ミュージシャンLuis Floresとアメリカ在住でExtended PutrefactionIncestuous Impregnationでボーカルを務めるBrandon Smithによるプロジェクト。二人は別にSchizophrenic Tortureというユニットも行っているがそちらは休止状態。セカンド・アルバムとなる本作は、過剰なダウンチューンを施しノイズの塊となったリフが地底の最深部に響くような金属スネアのエコーと混ざり合う限界スラムに仕上がっている。それでいて、何重にもスラミング・パートを折り重ねていく徹底振り。

 

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Kanine – Karnage

2020年フランス・ストラスブールで結成。ボーカリストJason Gerhard、ギタリストAlecandre Lorentz、ベーシストLucas Eckert、ドラマーGabriel Labeauvieの4人体制で活動をスタート。デスコア・バンドを自称する彼らであるが、そのサウンドは「スラミング・ブルータル・デスコア」と形容するのが正しいだろう。アートワークを彷彿とさせるハイ&ロー、そしてさらにディープなガテラル・ヴォイスがケルベロスのようにして交互に咆哮、その展開はNo Face No Caseにも似たスタイルと言える。

 

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Frog Mallet – Frog Mallet EP

カエルをテーマにしたデスメタルを鳴らすFrog Mallet、昨年リリースしたデビュー作『Dissection by Amphibian』から短いスパンで発表されたセルフタイトルEP。本作からボーカリストCaden Frankovich、ギター/ボーカルSean McCormack、ベーシストAnton Picchioni、ドラマーCody Cahillというラインナップとなっており、それぞれに本業のバンドを持っている。ウシガエルがハンマーを持ったロゴが強烈で、バンド名だけ聴くとチープな打ち込みスラムゴアのように感じるが、そのサウンドはSanguisugaboggにも似たオールドスクール・デスメタルを下地としたもので、殺傷能力の高いリフを無慈悲に刻み込んでいく正統派スタイル。

 

 

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Perversity Denied – The Arrival Of The Majestic End

2007年コロンビアの首都ボゴタで結成。Sistematic CoprophagiaのAlexander Clamotが中心のバンドで、本作はボーカルにCristianとGorepotのLarry Wang、ギタリストのWilsonとJohan、Virus InjectionのベースStevenが参加し国際的なラインナップとなっている。どっしりと血の気の多いリフがスペクタルに炸裂、リードシングル「Scavangers of the Cosmos」はチープさが言いようのない不気味さを醸し出している。

 

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Human Barbecue – Red Sun Rising

2015年ベルギーのリエージュで結成。Putrified JImpure Violationで知られるJason Lambertのソロプロジェクトとして2015年に始動。2018年からFermented MasturbationHuman Vivisectionで知られるRoy Feyenが加入しユニット体制となった。互いにドラムプログラミングやボーカルを担当、Jasonがギター、Royがベースを弾くスタイルで制作された本作は、 非人力のドラミングのかっちりとしたキャッチーなビートに突き刺さる鋭利なスラムリフはビートダウンしながらデスコアをヒントに加速していく。

 

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Parasitic Infestation – Intergalactic Harvest

2018年ニュージーランド・オークランドで結成。ボーカリストLiam Handが在籍している二つのバンドのメンバーがそれぞれ集まり、Silent TortureからギタリストのAidenとGrady、ObsidiousからドラマーBlake、ベーシストJacobが参加。シングル・リリースを経て発表されたデビュー作は、ミディアムテンポを基調とした粘着質なスラムリフが急減速していくビートに粘液を滴らせながら刻み込まれていく。Knocked Loose的なアプローチも交えつつ、無慈悲なParasitic Infestationワールドを展開。

 

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Goat Ripper – Goat Ripper

2018年にアゼルバイジャンの首都バクーで結成。地元のスラッジ/ストーナー・メタル・バンドPyraweedのメンバーであるベーシストZakir GasimovとドラマーでSerumhatredなどに在籍したNijat Hesenzadeが中心となり、ギター/ボーカルのKhagan Mammadovを加えたトリオ編成で本作を完成させた。製鉄工場のエコーのかかった金属音を想起させるスネアがじわじわとグルーヴをうねり出しながら、メロディアスなリフを地獄の淵へと誘っていく。装飾をそぎ落とし、可能な限りトリオ編成の旨味を引き出すことに注力したことが言いようのないGoat Ripperらしさを醸し出している。

 

アゼルバイジャンの位置。首都バクーは城塞都市として有名

 

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Gates To Hell – Gates To Hell

2019年アメリカ・ルイビルで結成。ニューヨークのアンダーグラウンド・ハードコア、そしてデスメタル・シーンで実直なライブ活動をこなしながらEPのリリースを立て続けに行い、Barbaric Brutalityからコンピレーション作『Dismembered On Display』を発表。映像メディアhate5sixによってライブ映像が撮影、公開されたこともありヘヴィなハードコア/デスコア・リスナーを中心に人気を博した。モッシュを誘う暴力的な展開、ミュージックビデオにもなっている「Blood Lust」は隠し味として組み込まれたスラミング・スピリットがフロアを血の海にしてしまう。

 

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Grieve – Pit Of Despair

Biohazardous Human MetamorphosisやPutrified Dab Rig等、新世代インターネット・スラムを現実空間でプレイするJacob Bargasのプロジェクトとして始動。2021年にCondemnedのボーカルで元PathologyのClayton Meadeが加わり、ユニット体制で動き出した。果てのない暗闇に無限に広がっていくかのようなサウンド・デザインで鳴らされるGrieveの音はJon Zigの描いたブルータルなアートワークの非現実感を巧みに表現している。一切のメロディを排除した残忍極まりないスラム快作。

 

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Guttural Engorgement – 33 In The Crawl Space

前作『The Slow Decay of Infested Flesh』は世界中のブルータル・デスメタル・リスナーから高い評価を得たものの、同年活動休止。2度のストップを経て15年振りに動き出した彼らのセカンド・アルバムはBrutal Mindからリリースとなった。オリジナル・メンバーのボーカル/ギターMark Rawlsと、本作から加入したIntracranial PutrefactionのドラマーJosé Osuna、Human DecompositionのDaniel Españaがギターとベースを兼任している。クラシックなスラム・グルーヴがじわりじわりと砂塵を巻き起こすかのように繰り広げられ、2000年代初頭にタイムスリップしたかのよう。そして何と言ってもMarkのエグすぎるガテラルのインパクトは絶大。現代スラムのヘヴィネスとは別に評価すべき作品。

 

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Iniquitous Monolith – Sledgehammered

2015年パースで結成。活動休止中のEntrails Eradicatedのメンバーとして知られるボーカリストTarren Whitfield、ギタリストLynton Cessford、そしてNails of ImpositionのドラマーBrendan Nock、DeathFuckingCuntのベーシストBrad Trevaskisが加わり活動をスタート。自身のサウンドを「Guttural Horror Slam」と自称、ホラー映画のサンプリングをふんだんに盛り込み、各パートの技量の高さが各所に垣間見える。最も威力を発揮するスラミング・リフもソリッドで切れ味抜群。

 

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Invirulant – Indomitable Worldwide Slamdemic

2022年にNecrambulantから改名する形でスタート。EnfuckmentのBrandon ShobeとMark Little、Vile Impregnationに在籍した経歴を持ち、ギタリストのDerek Ryanと共にJotunsblodで活動していたTriston Cheshireの4人体制で本作をレコーディング。ピッキングハーモニクスを有効に組み込みながら流れるようにスラムリフを刻み込んでいく。2020年代の典例とも言うべきヘヴィとフックにフォーカスしたスラミング・サウンドはもはやダンス・ミュージックだ。

 

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スラミング・ブルータル・デスメタル 名盤TOP5 (2022年上半期)

その他のジャンルの年間ベスト一覧

ゴアグラインド 2022年の名盤10選

2022年にリリースされたゴアグラインド (Goregrind) の作品の中からRIFF CULTが名盤をピックアップし、アルバムレビューしました。ExhumedやGronibardといった90年代から活動するベテラン・バンドから、デビュー・アルバムをリリースしたばかりのバンド、日本国内から世界中あらゆる場所で活動するアーティストをピックアップしています。お気に入りを見つけて下さい!

 

シングルのみのリリースやレビューしていないバンドの中から選んだものは「All New Goregrind」というYouTubeプレイリストにまとめていますので下記からチェックしてみて下さい。そしてパブリブから田上智之さん著『ゴアグラインド・ガイドブック』が来年1月に発売されますのでこちらもポチッと予約しておきましょう。

 

 

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2021年のゴアグラインド 年間ベストアルバム

 

 

Exhumed 『To The Dead』

3年振り通算9枚目のスタジオ・アルバム。本作はボーカル/ギターMatt Harvery、ボーカル/ベースRoss Sewage、Deeds of Fleshにも在籍するドラマーMike Hamilton、GruesomeのギタリストSebastian Phillipsというラインナップでレコーディングされ、プロデューサーはコロンビア出身のAlejandro Corredorが手掛けている。先行シングルとして公開され、ミュージックビデオにもなっている「Drained of Color」では血濡れたデスグラインドを緩急豊かに疾走させ、隠すことの出来ないゴアメタルの腐臭が立ち込める。変わらぬ魅力詰まった一枚。

 

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Gut Explosion 『Gut to the Future』

東京を拠点に活動するパーティ・ゴアグラインド・バンド、Gut Explosionのデビュー作。お揃いのジャージとフェイスマスクを被ったヴィジュアルからも気合の入ったファニー・メタル志向が伝わってくる。SpasmGutalaxといったグルーヴィ・ゴアグラインドを彷彿とさせ、「Hard Gore」といった楽曲からも分かるようにニューヨーク・ハードコアを思わせるタフなリフも垣間見える。日本のメタルフェスに出たら会場がブチあがっちゃう可能性もあるので、刺激を欲しているプロモーターはブッキングして下さい。

 

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GRONIBARD 『Regarde les hommes sucer』

1998年から活動を続けるフレンチ・ゴアカルト、Gronibardの14年振りとなるサード・アルバム。Season of Mistからのリリースというのが驚きであるが、ゴアグラインドも彼らのようなスタイルはアートっぽさもあって、オーバーグラウンド・メタルシーンにおいては重宝されるのかもしれない。聴く人によっては全く受け付けられない気抜けたボーカル・スタイルが良くも悪くも絶大なインパクトを誇るが、ドゥーミーなゴアグラインドの演奏スキルは高い。

 

▶︎Metal Archives

 

 

Putrefaction Sets In 『Repugnant Inception Of Decomposing Paroxysm』

2018年、ゴアグラインド・スーパースター達によって結成された。Lymphatic PhiegmのボーカリストAndré Luiz、General SurgeryのギタリストUrban SkyttとベーシストGlemm Sykes、Expurgoのギター/ボーカルPhilipe BelisárioとドラマーAnderson Oliveiraの5人体制で活動をスタート。デビュー・アルバムとなる本作は、何から何まで初期Carcassからの絶大な影響を感じさせるオールドスクール・ゴアグラインドに仕上がっており、時折差し込まれるドゥーミー/スラッジなリフはリバイバルするデスメタル・シーンでも受けそう。特にGeneral Surgeryファンにオススメ。Carcass以降のパソロジカル・ゴアグラインドを現代に繋いできた巨匠らによるパンチの効いた一枚。

 

 

▶︎Metal Archives

 

 

Pharmacist 『Flourishing Extremities On Unspoiled Mental Grounds』

Crash Syndromのギター/ボーカルとして知られるKyrylo Stefanskyiによるオールドスクール・パソロジカル・ゴアグラインド/デスメタル・プロジェクト、Pharmacistのセカンド・アルバム。2020年に始まってからEP、スプリット作品を連発、国際的な注目度を集める中リリースされた本作は、Carcass直系のゴアグラインドの中に、ヘヴィメタルやハードロックのエレメンツを捩じ込んだ快作で、「Corpus Sonica」は最も評価されるべきアルバムからのキラーチューン。

 

▶︎Metal Archives

 

 

Morgue Tar 『Immersed In Mortiferous Enmities』

テキサス州オースティンを拠点に活動するMorgue Tarのデビュー・アルバム。何もない部屋に蛆虫だけが蠢くミニマルなアートワークと遠目で見ると蜘蛛の巣にしか見えないロゴが得体の知れない不気味さを醸し出している。Last Days of HumanityがD-BEATとクロスオーバーしたかのようなドライヴ感たっぷりのゴアグラインドは、人間が溺れてから溺死するまでのドキュメントかのようなボーカルと混ざり合いながら駆け抜けていく。この手のバンドは曲名勝負みたいなところがありますが、曲名がないのもMorgue Tarなら一周回ってアリだなと思わせてくれる。

 

▶︎Bandcamp

 

 

Guineapig 『Parasite』

イタリア・ローマを拠点に活動する正統派ゴアグラインド/デスメタル・トリオのセカンド・アルバム。過去にDisgorge (Italy) にも在籍し現在はUltimo Mondo Cannibaleを兼任するギター/ボーカルFra、元Bestial Devastationのベース/ボーカルAlessioとドラマーGiancarloのトリオ編成で、本作はSpikerot Recordsからリリースされた。死体やエログロといったゴアグラインドの象徴的なヴィジュアルは排除。サウンド直球勝負の清々しさは評価すべきだ。ヘヴィにチューニングされたリフはメロディアスであるが、溺死ボーカルを随所で発動しおどろおどろしい雰囲気が漂う。

 

▶︎Metal Archives

 

 

Phyllomedusa 『Wretching At The Sight Of The Pregnant』

メリーランド在住、孤高のゴアグラインド職人Big Frogによるソロ・プロジェクト。名前の「Phyllomedusa」はネコメガエルを意味する。カエルだけをテーマに年間40、50枚の音源をリリースし続ける多作っぷりで、彼の名前をインターネット・コミュニティで見ない日はない。2010年代からインターネット・ミーム的に登場したゴアノイズ的サウンドで、正直聴いて感動するとか盛り上がるとか、そういう音楽ではない。自称Frognoiseと呼ばれるサウンドにカエル要素があるとすれば、ボーカルのゴボゴボとした質感だけでこれはVomitnoiseと呼ばれるゴアノイズのサブジャンルの一つとしてすでに存在している。ただそういう細かい指摘とか、音楽的に優れているとかは全く重要でなく、ゴアグラインドというエンターテイメントの中で新しい文化としてたった一人でFrognoiseをやってることが重要で、このアルバムをレビューしている今現在も彼は何か作っているはずだ。ゴアグラインドを楽しんでいる人はPhyllomedusaの存在意義を理解出来るだろう。

 

▶︎Discogs

 

 

First Days Of Humanity 『Bone Hut』

2019年にスタートしたLast Days of Humanityのパロディ・プロジェクト、First Days of Humanityの何十枚目か不明であるが2022年にリリースされた一枚。そのプロジェクト名から人類が誕生した最初の日にちなみ、原始人やその時代をテーマにしたアートワークや楽曲名がずらりと並ぶ。だからなのか、ゴアグラインドのじめっとしたサウンドスケープではなく、どこか乾いたパソロジカルな雰囲気もあり、意外とサウンド面で評価出来る部分が多い。「Regurgitating Chunks of Mammoth (マンモスの塊の再利用)」という楽曲も無理やりゴアテーマに落とし込んだマンモスの肉塊が最新技術でプルプルと蠢き、再び生命が宿るような躍動感あるグルーヴが感じられる (気がする)。

 

▶︎Discogs

 

 

Last Cheeseburgers of Humanity 『Last Cheeseburgers of Humanity』

アリゾナ在住のTapoとJacksによるゴアノイズ・ユニット、Last Cheeseburgers of Humanityのデビュー作。First Days of Humanityが打ち出した「〜Days of Humanity」というパロディ。Middle Days of Humanityが登場したことで終わったかと思いきや、全く意味不明な形でパロディの勢いを加速させてきた。ありとあらゆるチーズバーガーを並べたアートワークは何だかゴアっぽさがあるが、「これをみてお腹が空くが、実際は動物の死体を焼いた塊なんだ」というメッセージを感じるような感じないような……。サウンドはLast Days of Humanity伝説のアルバム『Putrefaction In Progress』とか『The Xtc Of Swallowing L.D.O.H. Feaces』のようなライオンがボーカルをやっているようなゴアグラインド〜ゴアノイズ。来年はいったいどんな「Last 〜 of Humanity」が誕生するのか楽しみだ。

 

▶︎Bandcamp

 

 

 

ゴアグラインド 2021年の名盤 TOP9

テクニカル・デスメタル 2022年の名盤TOP11 (後編)

2022年にリリースされたテクニカル・デスメタル (Technical Death Metal) の中から年間ベスト・アルバムをピックアップしアルバムレビュー。前編に続き後編です。どうしても合計20枚に絞ることが出来ず、21枚という中途半端な数字ですが、全部チェックして欲しいくらい、今年は名作が多かったです! 過去に執筆したテクニカル・デスメタルの年間ベストもお時間ありましたら読んでみて下さい。

 

テクニカル・デスメタル 2022年の名盤TOP10 (前編)

テクニカル・デスメタル 2021年の名盤15選

テクニカル・デスメタル 2020年の名盤 10選

 

シングルリリースのみなど、気になるバンドをメモしたYouTube、Spotifyプレイリストもぜひフォローして下さい!

 

 

 

Psycroptic — Divine Council

4年振りのリリースとなった8枚目フルレングス。近年のPsycropticはダイナミズムを追求しようとせず、ミニマルなスタイルへと静かにアップデートを続けてきた。派手な装飾をそぎ落とし、スラッシュメタルやオールドスクール・デスメタルの持つ純然たるグルーヴを老練のテクニックでスタイリッシュに生み出してきた。アルバムのオープニングを飾る「Rend Asunder」に代表されるようなスラッシーな刻みを主体とした楽曲が大半を占めており、聴き心地を徹底的に追求したテクスチャーの良さは格別。エンディングの「Exitus」までPsycropticの持てる才能を発揮したベテランならではの仕上がり。

 

 

 

Deathbringer — It

2001年ベラルーシ・グロドノで結成。AmentiaやDisloyalなどにも在籍するギタリストArtem Serdyukによって立ち上げられ、セカンド・アルバムとなる本作までにボーカリストMario、Posthumous Blasphemerに在籍した経歴を持ち、AmentiaでArtemとバンドメイトだったAlexander、Disloyalなどで活躍したドラマーKrzysztofというラインナップになり、Unique Leader Recordsと契約。一般的なデスメタルの展開の概念をぶち壊し、ドラマ性を徹底的に排除。アヴァンギャルドでテクニカルな不協和音をふんだんに散りばめ、暴力的に駆け抜けていく。

 

 

 

Origin – Chaosmos

1997年からカンサス州を拠点に活動するテクニカル・デスメタル・バンド、Origin が通算8枚目のスタジオ・アルバム。Nuclear Blast Blast/Agonia Records からリリースされ、Robert Rebeckがミックス、Colin Marstenがマスタリングを務めている。アルバムのタイトルトラックはミュージックビデオにもなっており、これぞOriginとも言うべきサウンドに圧倒されるだろう。やはりなんと言ってもドラマーJohn Longstrethのプレイは独特。絶妙に揺れるリズムの妙も取り入れ、細やかなシンバルワークとスネア、ソフトなタッチで叩き込まれるJohnの高等技術は素晴らしい。

そしてPaul Ryanのリフは粘着質で現行のブルータルデスメタルやデスコアといったヘヴィ系ジャンルとは逆をいくクラシックな仕上がり。それでこそ際立つメロディの粒立ちの良さはJohnの細やかなシンバルワーク、そしてMikeのフィンガースタイルのベースプレイとうまく絡む。やはり彼らがテクニカル・デスメタルを極めてきた中で、このプロダクションが最良だと感じているのだろう。「Ecophagy」は『Antithesis』以降のOriginらしい一曲。デスメタリックなメロディにエモーショナルな香りは一切感じない、ただどこかクラシカルに響く瞬間があり面白い。圧倒的なブラストビートの上にスウィープを炸裂させるスタイルはOrigin節と言える。

全体的に派手さはなく、目新しいこともしていないが、聴けば誰しもがOriginであると一発でわかる確かなオリジナリティは健在。なかなか個性を発揮するのが難しいジャンルの中でクローンと呼ばれるようなスタイルを持つバンドは思い浮かばない。

 

 

 

Artificial Brain — Artificial Brain

2011年ニューヨーク・ロングアイランドで結成。この作品が3枚目のアルバムで、RevocationのギタリストDan Gargiulo、ベーシストSamuel Smith、ドラマーKeith Abrami、ギタリストのJon LocastroとOleg Zalmanの5人で制作された。それぞれにFawn Limbs、Pyrexia、Pyrrhon、Severed Saviorなどで活躍した腕利きのミュージシャンであり、それぞれの驚くべき造詣意欲が生み出すサウンドは、デスゲイズ的な開放感にテクニカルなプログレッシヴ・フレーバーがふわりと覆い被さる、アーティスティックな仕上がり。

 

 

 

Soreption — Jord

4年のスパンでコンスタントにアルバムリリースを続ける彼らの4枚目フルレングスは、再びUnique Leader Recordsと契約して発表された。Mikaelが脱退し、ギタリスト不在の3ピースとなっているが、Ian Wayeを中心に多彩なゲストが参加し、メロディックなSoreptionサウンドに華を添えている。Archspireを彷彿とさせるショットガン・ボーカルは、リードトラック「The Artificial North」を筆頭にアルバムの中でもキーと言える存在感を放っている。心地良いグルーヴは確かなテクニックによって生み出され、後続のバンドにも大きな影響を与えている。

 

 

 

Exocrine — The Hybrid Suns

3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。プロデュースはギタリストのSylvainが担当、前作までに築き上げた「Exocrineサウンド」を一つ上のレベルへと押し上げる内容で、トータル34分とスッキリとした収録時間も上手く作用している。ミュージックビデオにもなっている「Dying Light」ではMatrassの女性ボーカルClémentineをフィーチャーし、ブラッケンド・デスコアにも接近。知的な神秘性を持ちつつ、バウンシーでフックの効いたリフやドラミングがファストに繰り広げられていく、自信に満ちた作品だ。

 

 

 

Inanimate Existence — The Masquerade

3年振りのリリースとなった通算6枚目フルレングス。メンバーチェンジもなく、アートワーカー、エンジニア共に前作から同じ布陣で量産体制に入ったInanimate Existence。インスピレーションの泉がこんこんと湧き出す彼らのアイデアは、ブルータルな小技が光るブラストビートとガテラルが印象的。First Fragmentを彷彿とさせるネオ・クラシカルなギターソロをたっぷりと組み込み、どこか「テクニカル&プログレッシヴ組曲」のような上品さが感じられる。「Into the Underworld」は彼らの魅力を端的に表現したフックの効いたキラーチューン。

 

 

 

Deadsquad — Catharsis

2006年からジャカルタを拠点に活動する中堅、DeadSquadの通算4枚目フルレングス。本作から新体制となり、元BurgerkillのボーカルViky、ギタリストのStevieとKaris、ベースShadu、元GerogotのドラマーRoyの5人で、オリジナルメンバーはStevieのみ。DeadSquadにとって大きな変革期を迎え放たれるサウンドは、うねるように奔放で波打つリフが華麗にテンポチェンジを繰り返し、スラムからテクニカルと目まぐるしく横断していく。親しみやすいフックの効いたブルータル・デスメタルの基本形を確かなテクニックで表現。

 

 

Darkside Of Humanity — Brace For Tragedy

Sleep Terror、Six Feet Underなど20を超えるバンドでドラムを務めるMarco Pitruzzellaと、同じくSix Feet Underに在籍し、Brain DrillやRings of Saturnでも活躍したギタリストJeff Hughell、元Severed SaviorのボーカリストDusty Boisjolieというアンダーグラウンド・スーパースターらのデビュー作。火炎放射器のように放たれるギターのタッピングの嵐、ベース、ピアノを兼任するJeffがグルーヴィなデスメタルの上で発狂するかのように繰り広げていく。ユニークで飽きない展開は流石だ。

 

 

Sonivinos — Sonicated Intravaginal Insemination In Numbers

フランス/ベルギーを拠点に活動するデスメタル・バンドHenkerに在籍していたギター/ボーカルStefとRyanのコンビが、テクニカル/ブルータル・デスメタル・シーンきっての多忙ミュージシャンであるベーシストJeff HughellとドラマーMarco Pitruzzellaの4人による多国籍バンドSonivinosのデビュー作。世界最高峰の技術を詰め込んだ音速ブラストビートとピッタリと寄り添いながらメロディアスに炸裂するベースの音色に驚愕。StefとRyanもそれを追い越すようにして咆哮しリフを刻み続けていく。これが人力とは俄かに信じ難い作品。

 

 

Brute — Essence Of Tyranny

1998年からプレショフを拠点に活動するベテラン、Bruteの通算4枚目フルレングス。唯一のオリジナル・メンバーであるŠtefan Tokárがギターを務め、本作から新たに加入したDominikがボーカル、Jaroがベースを担当し、ゲストドラマーにBatushkaやBelphegorのライブドラマーであるKrzysztof Klingbeinを迎えレコーディングされた。血濡れたブルータルなチェーンソーリフがデスメタリックに刻み込まれ、雪崩のように叩き込まれるドラミングとディープなガテラルが奥深いデスメタルの世界を演出。まるでアートワークをそのままサウンドキャンパスに描いたような仕上がり。

 

ブルータル・デスメタル 2022年の名盤 (前編)

2022年にリリースされたブルータル・デスメタルの中から、下半期にリリースされた名盤を年間ベストとしてレビューしました。上半期はあまり良い作品に出会えませんでしたが、下半期はリリースラッシュで毎週のように素晴らしい作品を聴くことが出来ました。前編、後編と合わせて読んでみて下さい。

 

2022年にリリースされたブルータル・デスメタルの良曲をまとめたYouTubeプレイリスト

 

RIFF CULTのSpotifyにて「All New Brutal & Tech Death Metal」のプレイリストを公開中。ぜひお気に入りに追加して下さい。

 

 

Crypt Rot – An Ancient Summoning

イングランド・ウェールズを拠点に活動するCrypt Rotのデビュー・アルバム。同郷のDry Cough Recordsからリリースされ、フィジカルはBrutal Mindから発表されている。ここ数年でメキメキと実力を付けてきたドラマーJustin Wallischは、Between the KillingsやMaimed、Necessary Death、Severed Headshopなどを兼任しておりUKブルータル・シーンで今後キーマンになりそうな人物。ギターとベースを兼任するTom HughesはMaimedでもJustinとタッグを組んでいる。

 

ロゴが良い

 

ボーカルKyleを加えたトリオ編成で制作された本作は、キャッチーなスラムリフが豊かなグルーヴを生み出し、タイトなドラミングがドライヴする。これだけ聞くとスラミングなのかと思うだろうが、楽曲群はどれもピュアなブルータル・デスメタルに近い美的感覚を持ってして仕上がっていると言えるだろう。「UKのPathology」とでも言うべき純なブルデスの魅力が感じられる。タイトルトラック「An Ancient Summoning」はガテラル唱法において優秀な楽曲でもある。

 

 

Guttural Disease – The Foreseen Deadline

インドネシア・西ジャワ州の州都バンドンを拠点に活動するGuttural Diseaseのファースト・アルバム。結成は2011年と中堅の域にあるバンドであるが、2020年にギタリスト、ベーシストが加わり5人体制となったことで活動が本格化。Brutal Mindの猛プッシュもあり、リリース前から何かとよくその名を目にしてきた。

 

Guttural Disease

 

ドラムのサウンド・プロダクションから察するに、Disgorgeの影響が強くドライなスネアのいぶし銀の響きがなんとも心地良い。オールドスクールなリフも時折スラムしつつ、初期Deeds of Flesh的なギターワークもあり面白い。クラシックなブルデスを現代に鳴らす貴重な存在。

 

 

Sermon of Mockery – Crippler Crossface Murder Suicide

 

Mortal Decayのボーカリスト John Paoline とウクライナ在住のミュージシャンらからなるニュー・バンド、Sermon Of MockeryのデビューEP。2022年はウクライナにとって非常に辛い年であったが、意外にもジャンル問わずメタル・シーンが完全にストップしてしまうことはなかった (作品自体は戦争が始まる前に作られていたのかも)。

 

ロゴが素晴らしい

 

キーウ在住のドラマー Lev Kurgansky はPosthumous Blasphemer、Disarticulating Extinguishment、Ezophagothomia、Fleshgoreなどにも在籍した経歴があり、その腕はお墨付き。意外にもJohnはMortal Decay一筋だったこともあり、テイストの違うサウンド上でのガテラルは新鮮。リミッターの外れたドラミングは素晴らしく、このドラムが聴きたくて何度も聴いた一枚。アートワークは最高のJohn Zig。

 

 

Gargling – Depraved Ingestion Of Cranial Discharge

とにかくこの強烈なアートワークに衝撃を受けた。ここまでエネルギッシュな嘔吐にフォーカスした作品は見たことがない。このジャケだけで今年のベスト・アルバムは間違いないと確信したが、内容も素晴らしかった。2019年にCarbonized InnocentsやCryptophthalmosなどに在籍するMax RiveraとBrutal Scat、Fetid Bowel Infestation、NecrogasmのHarry Morganによって立ち上げられ、Maxは全ての楽器をこなし、Harryがボーカルを務めている。タイのEccymosisをはじめ、New Standard Elite直系とも言える雪崩系のドラミングが時折スラムパートを交えながら突進、猛獣のようなガテラルが何重にも重なっていく爽快感がたまらない。

 

 

Congenital Anomalies – Systematic Violence

チェコ・プラハを拠点に活動するCongenital Anomaliesの通算3枚目・フルアルバム。Lord of the Sick Recordingsのリリースでスラミング・ブルータル・デスメタル・バンドとして知られるが、どちらかと言うとDying Fetus直系のグルーヴィー・ブルータル・デスメタルと言ったスタイル。突出した個性はないものの、単純明快な楽曲構成、ブラスト一辺倒ではなくしっかりとグルーヴ重視のリフとドラミングが良い塩梅で組み込まれている。もちろんスラムパートもガッツリあるが、Congenital Anomaliesの魅力はどちらかと言うとスラムへ接続するまでの展開にあるように聴こえる。

 

 

Antropofagus – Origin

イタリア・ジェノヴァの重鎮、Antropofagus の5年振り通算4枚目のフル・アルバム。”Meatgrinder”を名乗るギタリストFrancesco Montesanti以外にオリジナル・メンバーはおらず、皆それぞれにいくつものバンドを掛け持ちしており、実質Meatgrinderのバンドと言えるだろう。本作からボーカリストにDevangelicの Paolo Chiti が加入。ブルータル・デスメタル・シーンを代表するドラマー Brutal Dave のマシーンのように正確なドラミングの上でしっかりとデスメタリックなボーカルが際立っている。繊細なメロディの輝きを微細に捉えながらも力強いリフで牽引していくMeatgrinderの確かな技術に圧倒される。グルーヴや転調など、そういったことが一旦置いておいて、芸術作品としてじっくりと聴き込むべき一枚。

 

 

Insect Inside – Into Impending Apotheosis

ロシアン・ブルータル・デスメタルの有名人達によって2017年に結成されたInsect Inside。昨年、デビュー・アルバム『The First Shining of New Genus』をリリースしているので、名前を聴いたことがあるというブルータル・デスメタル・リスナーは多いかもしれない。

 

Disfigurement of Flesh、Morphogenetic Malformation、Traumatomyと錚々たるバンドでドラムを務めるDaniil Sementsovの叩き出す個性的なグルーヴは輪郭をどんどんぼかしながら時にテクニカルに疾走。もう一つ彼らの特筆すべき点はEmbodiment Elimination、Equivokeなどに在籍するギタリストMikhail Lukoyanovのギターワーク。微細にエディットしたことで生まれるグルーヴを爆発させながらInsect Insideの世界観を演出する。アートワークもDisgorgeの『Parallels of Infinite Torture』を彷彿とさせる色味、構図で狙いが感じられる。

 

 

Vomit Forth – Seething Malevolence

アメリカ・コネチカットの新鋭、Vomit Forthのデビュー・アルバムはCentury Media Recordsからと言うことで、ブルータル・デスメタルというより、さらに広域のデスメタル・シーンに向けてアプローチされている。2018年結成、メンバーそれぞれに輝かしいキャリアがあるわけでなく、このタイプのバンドがCentury Media Recordsからデビューというのだから、やはりどこか引っ掛かる個性がある。

Sanguisugaboggのようなオールドスクール・デスメタルとスラミング・ブルータル・デスメタルがクロスオーバーして発生したデスメタル・ヘッズの為のビートダウン・メタルを鳴らし、その魅力はライブ映像のフロアの盛り上がり方を見るとよく分かる。Internal Bleedingのスラム成分が現代版にアップデートされたかのようなサウンドは希少価値が高い。

 

 

Excrescence – Inescapable Anatomical Deterioration

2020年にワシントン州タコマで結成されたニュー・バンド。New Standard Elite からのリリースということで、そのサウンドはなんとなく想像することが出来るだろう。もはやグルーヴを成さない強烈なブラストビートが音速で駆け抜けていき、ノイズの壁となって押し寄せてくるリフも完全にリミッターが振り切れてしまっている。彼らが面白いのは、他のNew Standard Eliteのバンドがノンストップで駆け抜けていくのに対し、しっかりとブレイクダウンやスラムパートを挿入しているところだ。ここまでやっていいのかと他を圧倒する、エクストリームな一枚。

 

 

Between The Killings – Reflection Of Murder

ベテラン揃いの新鋭バンド、Between The Killings のデビュー・アルバムはComatose Musicから。LividityやDeadenで活躍したギタリストVon Young を筆頭に、Necessary DeathやMaimedのベースIanとドラムJustinのコンビらが安定感のあるブルータル・ビートを生み出していく。スラムベースでありつつも幾度も急加速し、砂塵の如くグルーヴを巻き上げていく。不気味なメロディからは血が滴り落ちるかのような殺気が立っており、Between The Killingsサウンドを不気味に仕立てる。現代スラムはちょっとコッテリ過ぎる、というブルータル・デスメタル・リスナーには耳馴染みの良い一枚だろう。

 

 

 

ブルータル・デスメタル 2022年の名盤 (後編)

Polyphia、多様なジャンルを横断していくニュー・アルバム『Remember That You Will Die』をリリース!

 

プログレッシヴ・メタル/ロック・バンド、Polyphia (ポリフィア) が、通算4枚目のスタジオ・アルバム『Remember That You Will Die』をリリースしました。

 

 

既にいくつものトラックが先行シングルとして公開されているが、中でもSteve Vaiとのコラボ曲「Ego Death」は高い注目を集め、公開から3週間で540万回以上されている。エレクトリック・ギターの巨匠とも言うべきSteve Vaiは、PolyphiaのTim Hensonをネクスト・レベルに到達している現代のギタリスト5人のうちの1人に選んだこともあり、その後今回のコラボレーションが実現した。

 

 

Steve Vaiのほかには、DeftonesのChino Moreno、ラッパーのLil Westと$notやBrasstracksとKillstationが参加している。また、キーボーディストのAnomalie、トリリンガルのシンガーソングライターSophia Blackもゲストとして参加、Sophiaとのコラボ曲「ABC」はキュートな日本語、日本文化が盛り込まれており、Twitterなどでも話題になった。

 

 

多くのギタリストにとってこのアルバムは数えきれないほどの発見があり、創作意欲を掻き立てるアイデアや手法が詰まっている。Ibanezのナイロン・ゲージのギターは興味深く、サウンドも面白い。アンプラグドで爪弾かれるメロディは微細なタッチで描かれ、プログレッシヴ・メタルからロック、ポップス、さらにはヒップホップへと接続されていくのを巧みに牽引していく。彼らの向かう先はどこなのか、このアルバムを聴くとどんな可能性も実現してしまいそうな彼らのポテンシャルの高さを感じる。

 

Polyphia 『Remember That You Will Die』

Genesis feat. Brasstracks
Playing God
The Audacity feat. Anomalie
Reverie
ABC feat. Sophia Black
Memento Mori feat. Killstation
Fuck Around and Find Out feat. $not
All Falls Apart
Neurotica
Chimera feat. Lil West
Bloodbath feat. Chino Moreno
Ego Death feat. Steve Vai

 

Parkway Drive、20年間目指してきた姿へと辿り着いた傑作『Darker Still』リリース!

 

オーストラリアを拠点に活動するメタル・バンド、Parkway Drive (パークウェイ・ドライヴ) がニュー・アルバム『Darker Still』をEpitaph Recordsからリリースしました。

 

 

配信URL : https://parkwaydrive.ffm.to/darkerstill

 

過去6作品全てゴールド・アルバムを獲得し、最大級のメタルの祭典「WACKEN」でヘッドライナーを務めるなど、シーンの頂点へと昇り詰めたParkway Drive。そんな彼らが7作目にして「これがバンドが20年間目指してきたパークウェイ・ドライヴだ」と言い切る本作は2022年を象徴するメタル・アルバムになるだろう。

 

 

 

オーストラリアのメタル巨星、Parkway Drive (パークウェイ・ドライヴ) の最新アルバム『Darker Still』はEpitaph Recordsから2022年9月9日に発売された。ボーナストラック、解説、歌詞対訳などを収めた国内盤CDも同時発売されており、より深く『Darker Still』を味わいたいというファンは必聴だ。

 

アルバム発売前にリリースされたアルバムのタイトルトラック「Darker Still」は、これまでのパークウェイ・ドライヴとは一線を画すもので、キャリアを象徴するようなパフォーマンスが随所に見られる、壮大なスケール感のある曲に仕上がっている。口笛とアコースティック・ギターで始ま李、ギターソロ、幽玄なコーラスとストリングス、そしてマッコールの驚異的なヴォーカルを通して、リスナーを圧倒的な旅へと誘う。マッコールはこの曲について次のようにコメントしている。

 

「愛。時間。死。我々の存在を構成する偉大な決定的要素。この曲は最もシンプルな人間の音から始まり、これらの要素を表現しながら音楽の旅が成長し、クレッシェンドに達した後、避けられない旅の結末に直面する。夜は暗くなる…さらに暗くなる。」ウィンストン・マッコールの家のキッチンには冷蔵庫があり、その片面にはトム・ウェイツの言葉が飾られている。「美しい旋律が恐怖を語る。」マッコールはこの言葉は自分自身をよく表していると言う。

 

 

このアルバムは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州北東部の絵のように美しい静かな一角から生まれた7枚目のフルアルバムであり、モダンメタルの最も尊敬されるバンドのひとつがこれまでに発表した決定的な音楽表現でもある。『Darker Still』は、2003年に両親の家の地下室や裏庭に集まった不似合いな友人たち以来、彼とバンドメンバーが心に抱いてきたビジョンであるとマッコールは言う。

 

この瞬間に至るまで、バンドは20年近い年月をかけ、6枚の批評的・商業的評価の高いスタジオ・アルバム(そのすべてが本国ではゴールド・ステータスを獲得)、3枚のドキュメンタリー、1枚のライブ・アルバム、何千回ものショーを経て、メタルのアンダードッグスからフェスティバルでヘッドライナーを務める大物へと進化してきたのである。「パークウェイがスタートしたとき、俺たちは皆、自分たちができること以上のことをしようと努力していた」と、マッコールは説明する。「”Darker Still”で聴けるのは、俺らが常に持っていた想像力に追いつくために学び、成長する能力の最終的な成就なんだ。」その成長を理解することは、音楽的にもテーマ的にも『Darker Still』を理解することに繋がる。

 

 

Parkway Driveを理解したと思っていた人たちは、彼らについて知っていることすべてを考え直す必要があるだろう。この新作アルバムは、Parkway Driveが創造性と成功の新たな高みに到達するために、ジャンルの制限や安全な慣習を避け、大胆な新しい地平を広い目で評価するために、彼ら自身が課したルールを放棄した、変革期の集大成となっている。

 

「正確には、過去に試みたことがあっても、それをやり遂げる勇気、時間、理解がなかったものだ」とマッコールは明かす。本作はParkway Driveが、このアルバムでロックやメタルの偉大なアーティストたち(メタリカ、パンテラ、マシーン・ヘッド、ガンズ・アンド・ローゼズ)同様にシーンの垣根を越えると同時に、現在進行形のメタルコアとしての真髄を極めていることがわかる。このアルバムは「魂の闇夜」というコンセプトを探求しており、それは「人生の中で、信念の構造、自己意識、世界における自分の居場所と、人としてのあり方が、精算しなければならないほど折り合いがつかない時点に達するという事実があるということ」だとマッコールは説明している。『Darker Still』は、ピンク・フロイドからナイン・インチ・ネイルズの『The Downward Spiral』まで、偉大なロックのコンセプト・アルバムのように展開し、その11曲は、社会の死の恐怖、孤立、人間性の喪失を反芻しながら、救いのある啓発への旅をするものである。

 

“これがバンドが20年間目指してきたParkway Driveなのだ”。ギタリストのジェフ・リンは、それを次のように語っている。「遂にミュージシャンとして新たな境地に到達したと感じているんだ。」過去数年の闇から抜け出したParkway Driveの真の姿は、再定義された毅然とした態度、集中力、反骨精神を宿し、新たな地平へと到達した。

 

 

【商品情報】
ダーカー・スティル| Darker Still
パークウェイ・ドライヴ| Parkway Drive
STCD-0006 (4571524910060)
税込定価2750円(2500円+税)
日本盤ボーナス・トラック3曲収録解説・歌詞対訳付
https://silentlink.co.jp/darkerstill

TRACK LISTING:
01, グラウンド・ゼロ/GroundZero
02, ライク・ナパーム/Like Napalm
03, グリッチ/Glitch
04, ザ・グレイテスト・フィアー/The Greatest Fear
05, ダーカー・スティル/Darker Still
06, インペリアル・ヘレティック/Imperial Heretic
07, イフ・ア・ゴッド・キャン・ブリード/If A God Can Bleed
08, ソウル・ブリーチ/Soul Bleach
09, ストレンジャー/Stranger
10, ランド・オブ・ザ・ロスト/Land OfThe Lost
11, フロム・ザ・ハート・オブ・ザ・ダークネス/From the Heart of the Darkness

日本盤ボーナス・トラック3曲追加収録
12, ウィッシング・ウェルズ/Wishing Wells (Live Bonus)
*13, ライティング・オン・ザ・ウォール/Writing On The Wall (Live Bonus)
*14, ヴァイス・グリップ/Vice Grip(Live Bonus)*

 

Stray From The Path、怒り渦巻くヘヴィなニュー・アルバム『Euthanasia』をリリース!

 

ニューヨーク州ロングアイランドを拠点に活動するハードコア・バンド、Stray From The Path がニューアルバム『Euthanasia』をUNFDからリリースしました。2019年にリリースした前作『Internal Atomics』から3年振りとなる新作、先行シングル「Guillotine」を含む強烈な全10曲入りだ。

 

 

Stray From The Pathのメンバーは、「バンドは常に、抑圧に対して発言する場として自分たちの歌を使ってきた」と言う。アメリカの公安にまつわる多くの問題、特に警察活動への疑問や怒りをメッセージに長年ソングライティングを続けてきたバンドは、こうした問題が解決される兆しの見えない混沌とした現世への怒りの高まりに呼応するように、その勢いを加速させている。

 

 

 

ギロチンをバックにプレイするStray From The Pathが印象的な「Guillotine」のミュージックビデオ。結成から20年以上が経過し、積み上げてきたバンド・アンサンブルはまるで生き物のようにグルーヴィだ。ニューメタルとハードコア、そしてラップが巧みにクロスオーバー、音楽的にも現代のメタルコア・シーンにおいて彼らの存在は重要だ。同じくミュージックビデオになっている「III」では警察に扮したメンバーが皮肉めいたアクションでアメリカ警察を口撃する。まるでマシンガンのようにして放たれるラップパートがノイズに塗れたニューメタル/メタルコアによって何十にも攻撃力を増していく。

 

アメリカでの彼らの絶大な人気を見れば、市民の代弁者とでもいうべきスタイルを取るバンドであると言える。もちろん、音楽的にもニューメタルコアに非直接的ではあるが影響を与えており無視できないレジェンドだ。アルバムに込められたメッセージを紐解くことは、アメリカに生きるということの現実的な困難や不安を感じることだ。それは日本に住む僕らも共感できるものなのかもしれない。

 

Stray From The Path 『Euthanasia』

 

1. Needful Things
2. May You Live Forever
3. III
4. Guillotine
5. Chest Candy
6. Bread & Roses feat. Jesse Barnett
7. Law Abiding Citizen
8. The Salt In Your Spit
9. Neighborhood Watch
10. Ladder Work

 

USメタルコア、Miss May I が5年振りのニューアルバム『Curse Of Existence』をリリース!

 

オハイオ州を拠点に活動するメタルコア・バンド、Miss May I が、前作『Shadows Inside』から5年振りとなるニューアルバム『Curse Of Existence』を2022年9月2日にSharpTone Recordsからリリースしました。

 

 

Miss May Iは名作『Monument』以降、メタルコア史に自ら打ち立てた金字塔を越えられていないというコアなファンからの声もちらほらあった (といってもセールス的にはずっと成功してきた)。個人的にはそうは思わないが、『Monument』が今後数十年に渡り語り継がれていくアルバムであること、そして彼らがシーンに与えたインパクトが強烈だったことは間違いない。そんな『Monument』に匹敵する凄まじいサウンドで、2022年にMiss May Iは再びシーンに戻り、そして今バンド史上最高傑作と言える『Curse Of Existence』を発表した。

 

 

Miss May I にファンが求めるのは、ソリッド&メロディックなリフ、アンセム的なコーラス、そして強烈なブレイクダウンといったところだろうか。オープニングを飾る「A Smile That Does Not Exist」を聴けば、すぐにこのアルバムの力強さに圧倒されるはずだ。ブラストビートにシュレッダーリフ、Leviのスクリームが炸裂していく。続く先行シングルとしてリリースされた「Earth Shaker」や「Bleed Together」とファストなキラーチューンが立て続けに繰り広げられていく。特にこの2曲のブレイクダウンがアルバムのハイライトとも言えるパワーがある。

 

 

シュレッドなギターと印象的なコーラスのハーモニー、クラシックなメタルコア・ブレイクダウンを搭載した「Into Oblivion」は、個人的にアルバムのベスト・トラックで、Bring Me The Horizon、Architectsなどに匹敵するスタジアム・ロック的なスケールがたまらない。思わず「INTOOO OBLIVIOOON!!!」と叫ばずにはいられないはず。

 

正直言って、全曲キラーチューン過ぎる。ミュージックビデオとして先に公開されている「Free Fall」、「Unconquered」は余裕があれば歌詞にも注目して欲しい。「Free Fall」はインポスター症候群について歌った曲であり、恐怖心を押し殺し飛躍を遂げた人たちのアンセムだ。インポスター症候群とは、自分の能力や実績を認められない状態を指し、仕事やプライベートを問わず成功していても、「これは自分の能力や実力ではなく、運が良かっただけ」「周囲のサポートがあったからにすぎない」と思い込んでしまい、自分の力を信じられない状態に陥っている心理傾向のこと。フレーズがまるで会話のように掛け合いながら展開していく。

 

完璧なエンディングを聴き終えた後、『Curse of Existence』がMiss May Iの過去最高傑作だ!と思うリスナーは多いはずだ。久々にモダンなメタルコア・アルバムでガツンとくる作品だったと思う。彼らは「あの頃のバンド」ではなく、永遠のメタルコア・ヒーローだ。

 

 

 

Miss May I 『Curse Of Existence』
配信URL : https://bfan.link/curse-of-existence

 

1. A Smile That Does Not Exist
2. Earth Shaker
3. Bleed Together
4. Into Oblivion
5. Hollow Vessel
6. Free Fall
7. Born Destroyers
8. Unconquered
9. Savior Of Self
10. Bloodshed