The Dillinger Escape PlanのBilly所属のバンド、thoughtcrimesがニューアルバム『Altered Pasts』をリリース + バンドの経歴を振り返る

USカオティック・ハードコア・バンド、throughtcrimesがニューアルバム『Altered Pasts』をPure Noise Recordsからリリースしました。

 

 

このバンドについて、まだ知らない人も多いはずだ。そこで、彼らの誕生のきっかけなどを振り返りながらアルバムを聴いてほしい。

 

 

Thoughtcrimesの結成は、偶然とはいえ、とてもハッピーな出来事だったと言う。元The Dillinger Escape Planのドラマー、Billy Rymerの発案で、The Dillinger Escape Planのツアーの合間にアメリカ・ロングアイランドに帰っていた時のちょっとした楽しみとして結成されました。それは2008年のことで、Billyはしばらくこのバンドを動かすことはなかったが、メンバーであるBrian Sullivanから説得され、2019年ごろから二人でソングライティングをするようになった。

 

ヴォーカルのRick Pepa、ギターのRuss Savarese、ベースのCody Hoszaが加わり完成したthoughtcrimesは、わずか1週間で書き上げたデビューEP『Tap Night』をデジタル・リリースした。今回、Pure Noise Recordsからこの作品も新作に合わせて再発される。

 

 

このアルバムでギターとドラムを担当したBillyは、「正直、自分たち (The Dillinger Escape Plan)のサウンドを発展させただけなんだ。このアルバムでは、ギターとドラムの両方を演奏している。リズム・ギター、ベース、シンセ、プログラミングなど、複数の楽器を演奏したんだ。ビーチに行って携帯電話でアンビエンスを録音して、それを投げ入れたんだよ」と説明する。

 

その結果、荒々しい『Altered Pasts』が誕生した。Mike Wattsが2020年の初めにVuDuスタジオでレコーディングとエンジニアリングを行ったこのアルバムは、私たちが直面している準ディストピア的な時代にぴったりのサウンド・トラックである。時に激しく野蛮に、時に優美に、11曲の楽曲が一体となって流れ、文字通り、隠喩的に、精神的に、あなたを旅に連れて行ってくれる稀有なレコードの1つとなっている。

 

 

このアルバムは、独自の世界、別世界、絶望と人間の存在の重さで空気が重い現実のモノクロームのビジョンを作成するものです。「Panopticon」, 「Dare I Say」, 「Deathbed Confessions 」のような残酷で暴力的なノイズの爆発から、「New Infinities」 や 「Lunar Waves」のような優雅で催眠的なサウンドの渦を巻き上げる。また、詩人であるマイケル・クラリティが、パンデミック初期にベトナムで立ち往生していた時にバンドのために書いた詩を朗読する、スポークンワード・トラック「Hai Un Accendino」も収録されている。時には、モノリシックで荘厳な 「Deathbed Confessions」のように、まるで世界とすべての存在のスローモーションの終わりのような、パワフルでニュアンスのある、癒しと恐ろしさが混在するサウンドがアルバムで表現されている。

 

 

 

thoughtcrimes 『Altered Pasts』

1. Panopticon
2. Mirror Glue
3. Keyhole Romance
4. New Infinities
5. Altered Pasts
6. Dare I Say
7. Hai Un Accendino
8. Conscience on Tilt
9. The Drowning Man
10. Deathbed Confessions
11. Lunar Waves

 

 

UKブラッケンド・デスコア・バンド To Obey a Tyrantがニューアルバム『Omnimalevolent』をリリース!

 

イングランドを拠点に活動するブラッケンド・スラミング・デスコア・バンド、To Obey a Tyrantがニューアルバム『Omnimalevolent』をReality Fade Recordsからリリースしました。配信URLは下記から。

 

Spotify: https://spoti.fi/3mz8lvC
Apple Music: https://apple.co/3er00Wu

 

Lorna ShoreやShadow of Intentといったブラッケンド/シンフォニック・デスコア・バンドに代表される荘厳なオーケストレーションを組み込みつつも、基本はスラミング・スタイルで押していくのがTo Obey a Tyrant流。Crown MagnetarのDan Tuckerをフィーチャーし先行シングルとしてミュージックビデオにもなっている「Ov Fire And Sulphur」、The Stygian ComplexのKyler Cheekをフィーチャーした「Sanctus Infernum」などは彼らの魅力を凝縮した一曲としてアルバムのキートラックにもなっている。

 

 

To Obey a Tyrant 『Omnimalevolent』

ジャンル : ブラッケンド・スラミング・デスコア
出身国 : イギリス
Facebook: https://facebook.com/toobeyatyrant3
Instagram: https://instagram.com/toobeyatyrantuk

 

1. Sermon Ov Serpents
2. Sanctus Infernum (feat. Kyler Cheek)
3. Goetia
4. Death Incantation
5. Ov Fire And Sulphur (feat. Dan Tucker)
6. Omnimalevolent
7. He Who Shuns The Light
8. Notari Per Malum
9. Vermillion Moon
10. Immolation
11. Perpetual Abhorrence
12. Forlorn And The Hollow

 

USデスコア・バンド SPITEがブルータルなモッシュ・パート炸裂のニューアルバム『Dedication To Flesh』をリリース!

USデスコア/モッシュコア・バンド、SPITEがニューアルバム『Dedication To Flesh』を2022年8月19日にRise Recordsからリリースしました。Stay Sick Recordings (現Modern Empire Music) からリリースした前作『The Root of All Evil』から2年、大手Rise Recordsへと移籍してリリースした本作は、自身のデスコア/モッシュコアをダイナミックに表現したアルバムに仕上がっている。

 

 

彼らがどのように進化し、どこへ向かっていくのかは、アルバムの先行シングルとしてミュージックビデオにもなっているタイトル・トラック「Dedication To Flesh」を聴くことで感じ取ることが出来るはずだ。Slipknotを彷彿とさせるリフワークにアレンジを細部に盛り込み、よりブルータルでモッシャブルにアップデートされたSpiteサウンドはこれまで鳴らしてきたデスコア/モッシュコアをよりオーバーグラウンドなステージへと押し上げる力を持っている。

 

アルバムリリースの2日前に公開された「Proper One」はフロアが血まみれになっていくほど残忍なモッシュを巻き起こすことが目に浮かぶブルータル・チューン。「Made To Please」や「Caved In」といったリードトラックに加え、メタルコアな楽曲も差し込まれていたりとアルバムという作品としても従来のデスコア/モッシュコア・ライクなバンドの作品に比べるとよく考えられた作りになっているように感じる。とにかく死ぬほどモッシュしたい、そういう人に聴いてほしい一枚だ。

 

Spite 『Dedication To Flesh』

ジャンル: Deathcore/Moshcore
出身国: アメリカ
配信URL : https://riserecords.lnk.to/dedicationtoflesh

1. Lord Of The Upside Down
2. Caved In
3. Proper One
4. Made To Please
5. Some Things You Should Know…
6. Dedication To Flesh
7. The Most Ugly
8. Fear
9. The Son Of Dawn
10. Sounds For The Descent
11. Hangman
12. Crumble

 

2022年上半期ブルータル・デスメタル 名盤TOP5

 

2022年上半期にリリースされたブルータル・デスメタルの名盤を5枚ピックアップしレビューしました。ビッグ・リリースはなかったし、スラミング・ブルータル・デスメタルが主流になった今、直球ブラスティング・スタイルを鳴らすバンドは天然記念物並みに希少価値が高くなってしまった。今年に入ってブラスティング・スタイルのトップレーベルだったNew Standard Eliteが動かなくなってしまい、それらのバンドがゴアグラインド/ゴアノイズ系へ流れていってしまったように思う。ゴアノイズは音楽的な面白みはないけどブルータル・デスメタル・カルチャー的なジョークとして追いかけてて面白いものの、ブルータル・デスメタルはそのサウンドで喰らいたいものだ。今回ピックアップした5枚は順不同だが、ナンバーワンはSijjeel。シングルのみリリースしたバンドについては別の機会に振り返っていきたい。

 

 

Sijjeel 『Salvation Within Insanity』

出身地 : サウジアラビア
▶︎https://comatosemusic.bandcamp.com/album/salvation-within-insanity

 

グラインドコア・バンド、Creative Waste のギタリストとして知られるHussain Akbarを中心に始まったこのプロジェクトは、2020年にKorpseなどでの活躍で知られるボーカリストFloor van Kuijk、Stillbirth、Placenta PowerfistのベーシストLukas Kaminskiが加入したことで本格的に動き始めた。EP『Cyclopean Megaliths』を経てComatose Musicと契約しデビュー・アルバムとしてリリースされた本作は、暴虐性を全面に出しつつも、しっかりとデスメタルの美学を貫いた作品で、ブルータルなリフとメロディアスなベースラインが竜巻のようにして展開し続けていく。Defeated Sanityを彷彿とさせるそのサウンドはより深い漆黒の闇の中を駆け巡っていくかのようだ。

 

 

Scrumptious Putrescence 『CanniBaalistic Offerings』

出身地 : スペイン
▶︎https://amputatedveinrecords.bandcamp.com/album/cannibaalistic-offerings

 

2018年結成、Scrumptious Putrescenceのデビュー・アルバム。現代ブルータル・デスメタルの中でもマニアックな人気の高いCarnivorous VoracityのボーカリストSeyerotをはじめ、Arthropodal HumanicideのLörd NebirøsとOskar Noctambulantが参加している。サウンド・プロダクションはチープでお世辞にも良いとは言えないが、ブルータル・デスメタルにそれは重要ではない。本作は異なるフレーズを切り貼りして繋ぎ合わせたり、反復させたりしながら最終的にドラマティックにまとまっていくという、不思議な作品。ところどころで楽曲のキーとなってくるメロディックなエレメンツはThe FacelessやRings of Saturnといったプログレッシヴさがある。一見なんの変哲のないアルバムだが、実は細かい面白さがあったりする。

 

 

Filthed 『Loathsome』

出身地 : ロシア
▶︎https://lordofthesickrecordings.bandcamp.com/album/loathsome

 

2017年からロシア・モスクワで活動する2ピース・ブルータル・デスメタル・バンド、Filthed。
Lord of the Sick Recordingsと契約してリリースされたデビュー・アルバムは、古き良きアメリカン・ブルータル・デスメタルを独自に混ぜ合わせたかのような作品でなかなか聴きごたえがある。Internal Bleedingすぎるスラム・パート、さらにハードコアに寄ったモッシュ・パートで血管を膨張させながらも、ピュアすぎるブラストビートで疾走したりする。一周回ってこのくらい純度の高いブルータル・デスメタルが心地良く感じる。

 

 

Horde Casket 『Plague Supremacy』

出身地 : アメリカ・オクラホマ州
▶︎https://hordecasket.bandcamp.com/

 

2006年から活動を続けるブルータル・デスメタル・中堅、Horde Casketのキャリア初のEPは、中心人物Steve Giddensを軸に、ドラマーにBrain DrillやSleep Terror、Six Feet UnderからThe Facelessなどに在籍してきた凄腕Marco Pitruzzella、Formaldehydeで20年以上活動してきたボーカルGreg Dukeが加わりトリオ編成で制作された。これまで5枚のアルバムをリリースしてきたHorde Casket。その存在感は決してブルータル・デスメタル・シーンにおいても突出したものはないが、個人的には、ハズレのない安定感のあるバンドで好きなバンドの一つ。EPというコンパクトな仕上がりだが、Marcoのドラミング、そしてSteveのクラシックなリフワークに脱帽。Severed Recordsらしい粘着質なグルーヴもあり流石だ。

 

 

Embryonic Devourment – Heresy Of The Highest Order

出身地 : アメリカ・カリフォルニア州
▶︎https://uniqueleaderrecords.bandcamp.com/album/heresy-of-the-highest-order

 

2003年から活動するベテラン・ブルータル・デスメタル・バンド、Embryonic Devourmentが、
Deepsend RecordsからUnique Leader Recordsへと移籍してリリースした通算4枚目のフルアルバム。新たにギタリストDonnie SmallとBen Harrisが加入し、若返りを果たした彼らのサウンドは、ミニマルな質感とプログレッシヴな小技が効いた渋い仕上がり。近年スラミング・スタイルのバンドをはじめ、デスコア方面のアーティストと契約を続けてきたUnique Leader Recordsが伝統的なブルータル・デスメタル、その中でも派手さのないマニアックなスタイルを持つEmbyonic Devourmentと契約したことが何より嬉しい。スピード、というよりはデスメタルのえぐみに真面目に向き合った一枚で好感が持てる。ただアートワークが下品すぎるのがマイナス…。

 

Dance Gavin Danceのメンバー擁するRoyal Coda、ニューアルバム『To Only A Few At First』リリース!

Dance Gavin Danceの主要メンバーで、「Swancore」と呼ばれる独自のスタイルを築き上げたWill Swan、元Dance Gavin DanceのボーカリストであるKurt Travisが所属するプログレッシヴ・ポスト・ハードコア・バンド、Royal Codaがニューアルバム『To Only A Few At First』をBlue Swan Records/Rise Recordsからリリースしました。Blue Swan RecordsはWill Swanがヘッドを務め、Swancoreを鳴らすバンドを輩出するRise Recordsのサブレーベル的なもので、EidolaやKurt Travisのソロ、Secret Bandなどがこれまでに作品を発表してきたレーベル。

 

配信URL : https://blueswan.lnk.to/RoyalCoda

 

 

 

Will Swanが曲を書き演奏、そしてKurt Travisが歌うとなれば、Dance Gavin Danceの『Happiness』を彷彿とさせるサウンドになるかと言えばそうではなく、Royal Codaらしさがしっかりとある。Willのプレイはポストロック的なアプローチが多く、またジャキジャキとしたリフのカッティングの上を漂うようなアトモスフィリックなものが多い。ハイトーンではないKurtのボーカルもそういった意味でDance Gavin Danceとは違ったRoyal Codaの魅力を引き出すためにフィットしていると言える。

 

上記のようにRoyal CodaとDance Gavin Danceの違いを考えた時にRoyal Codaの魅力が溢れている楽曲として一番に挙げたいのが「We Slowly Lose Hope For Things To Come」だ。ダンサブルでドラマ性があり、WillがDance Gavin DanceとRoyal Codaでプレイスタイルを区別しているのがはっきり分かる。違いを味わいながら、Royal Codaにしかないスタイルは何かを考えながら聴くと面白い作品だ。

 

 

ドイツの新世代プログレッシヴ・メタルUnprocessed、極上のニューアルバム『Gold』リリース!

 

ドイツを拠点に活動するプログレッシヴ・メタル・バンド、Unprocessed がニューアルバム『Gold』をUniversal Musicからリリースしました。アルバムは全16曲入り、1時間近いボリュームたっぷりと内容。前作『Artificial Void』からおよそ3年振り、Long Branch RecordsからUniversal Music傘下へと移籍し正真正銘ネクストレベルの作品に仕上がっている。

 

 

 

アルバムリリース直後に発表されたミュージックビデオ「Berlin」では、これまでのUnprocessedとは違った魅力が詰め込まれている。Animals As Leadersを彷彿とさせる瑞々しいリフワークをエレクトロニックなアレンジに仕立て、R&Bやソウル、ポストハードコアへと接近する艶かしいクリーン・ヴォイスを絡ませていく。プログレッシヴ・メタルコア/Djentリスナーはもちろん、Dance Gavin Danceとはまた違った「プログレッシヴ・ポストハードコア」とも言うべきサウンドを見せてくれる。

 

そして、彼らがこれまで築き上げてきたスタイルもしっかりとネクストレベルへと昇華させている。「Fabulist」は、Polyphiaをルーツとしながら、しっかり歌もの楽曲らしくまとめられている。コアなメタル・リスナーからフュージョン、「プログレ」が好きな方にもUnprocessedの魅力をしっかりと伝えることが出来る楽曲と言えるだろう。

 

彼らが現在持っている魅力を120%引き出し詰め込んだ新作『Gold』。これから始まる彼らの躍進を見守るために何度もリピートして聴いておきたい一枚だ。

 

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2022年上半期のデスコア 名盤TOP10

 

アルバムを除けば、2022年上半期のデスコア・シーンは、Lorna Shoreの話題で持ちきりだった。リアクション・ビデオとして恰好の楽曲となった「To The Hellfire」(*2021年リリース)、「Sun//Eater」はデスコア・リスナーだけでなく、オーバーグラウンドのメタル・シーンにも衝撃を与えた。そこからデスコア、ブラッケンド・デスコア・シーンへどのくらい新しいリスナーが流入したかは分かりかねるが、アンダーグラウンド・デスコア・シーンは次のLorna Shoreになるべくブラッケンドなスタイルが本格的にトレンド化していった。半数くらいは正直ブラッケンド・デスコアを上手く表現しきれていないが、デスコアの中のマイクロ・ジャンルとして成立するくらいにはブラッケンド・デスコアを自称するバンドが増えてきたように思う。

 

個人的な思いとしてはメタル・ミームとしてデスコアは非常に扱いやすい「ネタ」であるので、Lorna Shoreをきっかけにもっとたくさんの新規デスコア・リスナーが増えるかなと思っていた。「ネタとは言うのはどうなのか」ってのもあると思うけど、アンダーグラウンドの新しい音楽にとって、カッコつけて聴かれないことよりネタとしてリアクションされることの方が数百倍価値があるはずだ。

 

色々思うことはこれくらいにしといて、2022年の上半期にリリースされた作品の中から、これからの数年重要な作品になって行くだろう作品をピックアップ、レビューしてみた。新しいお気に入りを見つけて欲しい。

 

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NOCTURNAL BLOODLUST 『ARGOS』

一言 : デスコアの未来に語り継がれていく名作
▶︎https://linktr.ee/nb_argos

 

NOCTURNAL BLOODLUST、通称ノクブラ。彼らのサウンドを「デスコア」というジャンルの枠だけに当てはめるのはもはや不可能だ。ただ、RIFF CULT的視点でこのアルバムをどこかにカテゴライズしなければならないとするならば、「デスコア」以外の何者でもないことから2022年上半期のデスコア・ナンバーワン・アルバムとして評したい。

 

このアルバムをオープニングからエンディングまで聴いた時、メンバーが現代メタルコアやデスコア、その他周辺ジャンルのトレンドをしっかりとキャッチしていることがよく分かる。NorthlaneやErraといったプログレッシヴ・メタルコアのリフ・ワーク、Lorna ShoreやShadow of Intentに代表されるシンフォニック/ブラッケンド・デスコアのオーケストレーション、加えて、日本のラウド・シーンで育まれてきたメインストリーム・ラウドの様式美、ニューメタルコアの尖ったサウンド・プロダクション。細部に至るまでこだわりを貫いたアレンジが組み込まれており、何度聴くたびに発見があり、時代の感覚をしっかりとキャッチしていることが感じられる。

 

デスコアとして評した時に、このアルバムのキートラックとなるのはもちろんPROMPTSのPKがゲストとしてフィーチャリングしている「Cremation」だ。本格的なオーケストレーションはMasahiro Aokiのアレンジによるもので、世界中見渡してもこれほど優れたオーケストレーションを持つデスコアの楽曲はない。「Red Soil」や「Bow Down」といった楽曲についてはメタルコアの2022年トップトラックとして語る必要もあるし、10年、20年後に2020年代のメタルを語るとき、このアルバムがどれほど重要なものであったか話題に登るに違いない。リアルタイムでこの作品を体感できている事に人類は感謝したほうがいいくらい。とにかく素晴らしかった。

 

 

 

Shadow of Intent 『Elegy』

一言 : シンフォニック・メタルとデスコアの最高級クロスオーバー
▶︎https://found.ee/9kCZ4

 

シンフォニック・デスコアと言えばShadow of Intentという人も多いだろう。結成以来レーベルに所属せず、D.I.Yのスタイルを取るバンドとして他のデスコア・バンドへ与えた影響は大きい。そんな彼らの鳴らすサウンドにデスコアのトレンドが追いつき始めた2022年、この『Elegy』がもたらした衝撃は凄まじいものがあった。デスコアにシンフォニックなエレメンツを加えたというよりは、シンフォニック・メタルとデスコアのクロスオーバーと表現するのが言い得て妙だろう。そのバランス感覚は頭ひとつ抜きん出た才能によって作られるものであり、決して簡単にフォロワーを生み出せるようなスタイルではない。アルバム収録曲で先行シングル/ミュージックビデオとして発表された「Intensified Genocide」に彼らの魅力がたっぷりと詰まっている。

 

 

 

Enterprise Earth 『The Chosen』

一言 : Dan Watsonのカリスマ性がたっぷり味わえる
▶︎https://enterpriseearth-thechosen.com/

 

デスコア・シーンのカリスマ・ボーカリストDan Watson在籍時のラスト・アルバム。Enterprise Earthの人気を考えた時、やはり彼の存在は大きいし、『The Chosen』もそんな彼のデスコア・ボーカリストとしての魅力がたっぷり詰まった作品だ。

 

ハイピッチ・スクリームからメロディックなシャウトまで、緊張感のあるサウンドをスリリングに表現する彼の歌声はやはり、高い人気があるだけあってクオリティは一級品。アートワークから楽曲のタイトル、プロモーションに至るまで一貫したコンセプトがあり、サウンド・デザインも時折オリエンタルな要素があったりとEnterprise Earthの世界観に忠実であったのも素晴らしいポイントだ。一つ一つの楽曲では伝わらない魅力が、アルバムという形になった初めて伝わってくる。新たなボーカリストが加入し、再び動き出した彼らの動向にも注目だ。

 

 

 

 

Bodysnatcher 『Bleed-Abide』

一言 : 殺傷能力MAX モッシュ・パートてんこ盛り
▶︎https://bodysnatcher.ffm.to/bleed-abide

 

アメリカン・アンダーグラウンド・デスコアの王者とでも言うべきBodysnatcher。ダウンテンポ・デスコアのポテンシャルを最大限に発揮したタフなサウンドは、これまでに幾多のフロアで殺人級のモッシュを巻き起こし、その殺傷能力に磨きをかけてきた。Lorna Shoreを筆頭に、シンフォニック/ブラッケンド・デスコア・ムーヴメントが巻き起こる今、全くメタルの影響を受けず、ハードコア・ルーツのモッシュパートを武器とするサウンド・デザインに振り切っているのが清々しい。「Absolved of the Strings and Stone」や「Flatline」といった楽曲はそんな彼らの持ち味が発揮されたキラーチューン。

 

 

 

 

Mire Lore 『Underworld』

一言 : 次のデスコア・トレンドはこれだ
▶︎https://www.youtube.com/watch?v=60-NmVx2Zqo

 

上記のEnterprise Earth、そしてBodysnatcherに在籍した経歴を持つDan Watson (ex-Enterprise Earth / ex-Infant Annihilator)と、Frankie Cilella (ex-Bodysnatcher / Existence Has Failed) によるプロジェクト、Mire LoreのEP。上半期滑り込みで食い込みTOP10にランクイン。コアなデスコア・リスナーの関心を集めるこのプロジェクト、BodysnatcherのモッシュコアのエレメンツとDan Watsonのハイ&ローを見事に操るスクリームの数々が味わえるハイブリットな仕上がりだ。言うならば、現代デスコアのシンフォニック的なトレンドと激化するヘヴィネスの両方を兼ね備えたサウンドと言えるだろう。独特の緊張感も漂わせつつ、アンダーグラウンド的な美的感覚をスケール豊かに表現した、実に今っぽい作品と言えるだろう。

 

 

 

Paleface 『Fear & Dagger』

一言 : スラミング・ビートダウン最高傑作
▶︎https://linktr.ee/palefaceswiss

 

スイスを拠点に活動するPalefaceは、Slam Worldwideを通じ発表してきた様々なミュージックビデオをきっかけに注目を集めてきた。メンバーが首を吊って集団自殺するかのようなビデオ・ディレクションは刺激的で、彼らのサウンドを上手く表現している。

 

怒りや日頃の鬱憤を歌詞やサウンドに投影するということは長い音楽の歴史を見てもよくあることだが、彼らはその怒りのレベルが桁違い。ビートダウンを軸に縦横無尽に展開する彼らのサウンドは、マックスに達した怒りによって発生する感情のうねりを表現しているし、ボーカル、コーラスのラフなスタイルもまとまらない感情そのままだ。例えば震えるほどの怒りを感じやり場のない怒りに感情を支配された時、『Fear & Dagger』を聴くことによって怒りの発散が出来るし、聴く鎮静剤として非常に有能。デスコアかと言われれば賛否両論あるかと思うが、スラミング・ビートダウンを鳴らすバンド自体少ないので、デスコアとして今回は評価したい。

 

 

 

Fit For An Autopsy 『Oh What the Future Holds』

一言 : メインストリーム・デスコアの最先端
▶︎https://bfan.link/FitForAnAutopsy-OWTFH

 

数々のデスコア歴史的名盤を手掛けてきたWill Putney率いるFit For An Autopsy。オーバーグラウンドのメタルシーンのメタル勢に引けを取らないサウンド・プロダクションで他のデスコア勢を圧倒する本作は、ミドルテンポ主体かつオルタナティヴ・メタルのエッセンスを取り入れた挑戦的な仕上がりとなっている。先行シングル/ミュージックビデオとして公開された「Far From Heaven」では、雄大なコーラスワークを携えたクリーンパートとミドルテンポからでしか作り出せないダイナミックなブレイクダウン/ビートダウン・パートが印象的。

 

 

 

 

And Hell Followed With 『Quietus』

一言 : クラシック・スタイルそのままで奇跡の復活
▶︎https://www.facebook.com/AndHellFollowedWith

 

2010年にアルバム『Proprioception』以来、12年振りとなる完全復活作『Quietus』に、古参デスコア・リスナーは大いに沸いたことだろう。音楽SNSとして一世風靡したmySpace世代のデスコアとして解散後もカルト的な存在として影響を与え続けてきた。

 

スタイルに大きな変化はなく、ファストなブラストビートを主体にデモニックなグロウルを炸裂させていく。トリプル・ギターなのも懐かしのデスコア・スタイルを感じさせてくれる。ベテランの復帰ともあり、参加したゲスト・ミュージシャンも豪華で、BodysnatcherのKyle Medina、Brand of SacrificeのKyle Anderson、The FacelessのJulian Kersey、VulvodyniaのDuncan Bentley、Spirit BreakerのTre Turnerらが楽曲に華を添える。

 

 

 

Worm Shepherd 『Ritual Hymns』

一言 : これが本物のブラッケンド・デスコア
▶︎https://orcd.co/wsritualhymns

 

いよいよブラッケンド・デスコアが本格的に主流になっていくという予感が確信に変わったのがちょうど1年前。Lorna Shoreの「To the Hellfire」がリリースされたことで、後続のバンドが2022年に入り続々と登場してきた。その中でもWorm Shepherdは、主流になっていくという予感が芽生えた頃、いち早くブラッケンド・スタイルを取り込み出したことを覚えている。それは2020年、シングル「ACCURSED」をリリースした時だったと思う。彼らはそれを深く追求し、整理、Worm Shepherdのサウンドとして作り上げ、Unique Leader Recordsと契約まで果たした。このアルバムが持つ重要性、後に2020年代のデスコアのムーヴメントを掘り下げた時、Lorna Shoreと同様に扱われるべき作品であることは間違いない。

 

 

 

The Last Ten Seconds of Life 『The Last Ten Seconds of Life』

一言 : 遂に完成させたニューメタルxモッシュコアの高次元融合
▶︎https://orcd.co/tltsol

 

Bodysnatcher同様、長きにわたりアメリカン・アンダーグラウンド・デスコアの番長的存在感を見せてきたThe Last Ten Seconds of Life。アルバムリリース後にWyatt McLaughlin以外のメンバーが脱退するという事件が起きてしまったものの、バンドの歴史を振り返った時、この作品は歴代トップに匹敵する作品だと感じる。

 

彼らがニューメタルへと傾倒したとき、シーンで賛否両論巻き起こったことは鮮明に覚えている。自分自身、それを受け入れるのに時間がかかったが、昨今のニューメタルコア・ムーヴメントを見れば早すぎた試みだったのかもしれない (今のニューメタルコアとはスタイルは違うが)。彼らが試みてきたニューメタルとデスコアのクロスオーバーはここへきてグッと洗練され、モッシュ・パート主体でありつつ、KornやSlipknotを彷彿とさせるアクセントを取り入れてる。RIFF CULT的に世界一かっこいいバンド名だと思ってるので、新たなメンバーが加入し、これからも活動を継続してくれることを願うばかりだ。

 

凄腕ギタリストJason RichardsonがLuke Hollandと共に創り上げたニューアルバム『II』リリース!

 

Chelsea GrinやBorn Of Osirisに在籍した経歴を持つギタリスト、Jason Richardson (ジェイソン・リチャードソン) が、ソロ・アルバム『II』をリリースしました。「Threnody」を除くすべての楽曲にドラマーLuke Hollandをフィーチャーし、エンディングを飾る「Upside Down」ではPolyphiaのTim Hensonをゲストに迎えています。

 

Jason Richardson 『II』

1. Tendinitis (feat. Luke Holland)
2. Ishimura (feat. Luke Holland)
3. Polyrhythmic Pug (feat. Luke Holland)
4. p00mbachu (feat. Luke Holland)
5. Sparrow (feat. Luke Holland)
6. Threnody
7. Byronius Of The 4th Order (feat. Luke Holland)
8. XIV 2.0 (feat. Luke Holland)
9. Behold 2.0 (feat. Luke Holland)
10. Goodbye… (feat. Luke Holland)
11. Upside Down (feat. Luke Holland & Tim Henson)

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど1年前の2021年7月からこのアルバムのレコーディングの様子がJason RichardsonのYouTubeチャンネルにアップされています。特に見応えがあるのが、上記に貼り付けた動画の最後にあるギターのトラッキングの様子。フレーズごとに使い分ける様々なギター、そして卓越されたプレイはギタリストの方は発見があったりするのではないでしょうか。

 

 

アルバムの中で突出した個性を放つのが、2022年5月に先行公開された楽曲「p00mbachu」だ。Jason、Lukeそれぞれの得意分野でもあるプログレッシヴ・メタルコアをベースにしながら、差し込まれるジャズ、フュージョン、ブルータルなフレーズ。それらをインストゥルメンタルなプロジェクトらしく自由に展開させつつも一貫したドラマ性を持たせているところにJasonのクリエイティヴな才能を感じます。

 

 

楽曲タイトルで日本でも話題となった「Ishimura」。別のニュース記事でも書きましたが、おそらく北米でエレクトロニック・アーツから2008年10月14日に発売されたサードパーソン・シューティングゲーム「DEAD SPACE」に登場する採掘艦USG Ishimuraから取ったと思われます。ゲームミュージックのスペーシーな雰囲気をプログレッシヴ・メタルコアで豊かに演出、Mick Gordonもそうですが、Jason Richardsonもそういった魅力を引き出し表現することに長けているように感じます。こちらもリードトラックとして素晴らしい一曲。

 

 

そして、PolyphiaのTimをフィーチャーした「Upside Down」もミュージックビデオとして先行リリースされています。ミュージックビデオの中でTimとJasonがゲームの中でギターバトルするようなシーンがありますが、実際に楽曲ではバトルのようなフレーズはなく、Jasonの描くサウンド・スケープにTimらしいフレーズを落とし込んだスタイリッシュな仕上がりになっています。

 

アルバムを通じてプログレッシヴ・メタルコア/Djentをベースに自由な発想でフレーズが組み込まれ、そして展開していく。アンプラグドな楽器のメロディがヘヴィなリフによって宙に浮かぶように鳴るフレーズの数々はアルバムのハイライトのように感じました。皆さんはどの楽曲が気に入りましたか?

 

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RIFF CULT : Spotifyプレイリスト「All New Progressive Metalcore/Djent」

 

RIFF CULT : YouTubeプレイリスト「All New Progressive Metalcore/Djent」

Slavesから改名したUSポストハードコア・バンドRain City Driveがニューアルバム『Rain City Drive』をリリース!

 

カリフォルニア州サクラメントを拠点とし、2021年にSlavesから改名したポストハードコア・バンド、Rain City Drive (レイン・シティ・ドライヴ) が、ニューアルバム『Rain City Drive』をThriller Recordsからリリースしました。Slaves時代の印象的なボーカリストJonny Craigに変わって加入したMatt Andrewは、NBCのリアリティTV歌コンテスト「The Voice」のシーズン7に出演し、チーム・アダムの一員として準優勝したことで知られている腕利きのシンガー。Jonny Craigの幻影を脱ぎ捨て、Rain City Driveとして動き出した彼らがバンド名を冠した本作は、メロウなR&B、Soulの影響に加え、オルタナティヴ・ラップのエッセンスも加えた快作だ。

 

RIFF CULTとしてオススメしたいのは、「Waiting On You」と「Cutting In Close」。ぜひ聴いてみて下さい。

 

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=6j-iSoe6op0″ /]

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=XEHNl1xNEeY” /]

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=WZFX0v2c8CA” /]

 

 

Rain City Drive 『Rain City Drive』

1. Waiting on You
2. Gardens of Misery
3. Dreams
4. Dying For
5. Nothing Left
6. Psycho
7. Cutting It Close
8. Blood Runs Cold
9. Eternity
10. Ophelia

 

SOCIALS:
→ Text Rain City Drive to 561-566-6985
→ Instagram – http://instagram.com/raincitydrive
→ TikTok – https://www.tiktok.com/@raincitydrive
→ Facebook – http://facebook.com/raincitydrive
→ Twitter – http://twitter.com/raincitydrive

 

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト 「All New Post-Hardcore」

 

RIFF CULT : YouTubeプレイリスト「All New Post-Hardcore」

The Machinist、ハードコア魂溢れるメロディック・デスメタル響かせる新作『All is Not Well』リリース!

▶︎The Machinist 『All is Not Well』(Prosthetic Records)

1. PIG
2. Mother Earth
3. All is Not Well
4. Hourglass
5. The Final Encounter
6. Death’s Embrace
7. Lysergic Lullaby
8. Monsters
9. Letter in Red

ニューヨーク州クイーンズを拠点に活動するメタルコア/ハードコア・バンド、The Machinist がニューアルバム『All is Not Well』をProsthetic Recordsからリリースしました。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=slVy62a6DRs” /]

 

独特なメタルコアとハードコアのブレンド感は、女性ボーカリストAmanda Gjelajの内なる狂気によって独特のオリジナリティを見せてくれる。この作品は、現在Bad Wolvesに在籍し、The Acacia Strainのメンバーとして長きに渡りシーンで活躍するDaniel “DL” Laskiewicz によってプロデュース/ミックス/マスタリングが行われている。

 

孤立して過ごす時間などといったパーソナルな部分をはじめ、警察による残虐行為や扇動的な政治、マイノリティのコミュニティの様子などといったポリティカルな歌詞世界もしっかりと落とし込み、ハードコア・リスナーからメロディック・デスメタル/メタルコア・ファンにまでおすすめしたい一枚に仕上がっている。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=Ed5AEos89nM” /]

 

 

 

スラミング・ブルータル・デスメタル 名盤TOP5 (2022年上半期)

 

すっかりブルータル・デスメタルの主流スタイルとなったスラミング・ブルータル・デスメタル。もはやブラストビートで突進し続けテクニカルなリフを詰め込んだサウンドは希少種となっている。ただ、スラミング・スタイルが主流となったことで、デスコアやビートダウン・ハードコアとの結びつきが深まったことは、ブルータル・デスメタル全体の活性化にとって良いことだと思う。クラシックなブルータル・デスメタルが好きな方には少し寂しい状況かと思うが、この流れに乗って世界各地でブルータルなサウンドが盛り上がるのが一番大切だ。

 

自著『ブルータルデスメタルガイドブック』の中でスラミングとはどのようなものなのかについて書いているが、ありがたいことになかなか手に入りづらい状況で購入できない方も多いと聞く。またの機会にスラミングについて解説するが、今回紹介する5枚を聴けば、自ずとそれがなんなのか、そしてその魅力や特徴はなんなのかが掴めるはずだ。

 

そして、このサイトの読者の皆さんで「こんなのも良かったよ」というオススメがあれば、ぜひコメントで紹介してみて下さい。

 

 

Gutrectomy 『Manifestation Of Human Suffering』

出身地 : ドイツ
▶︎https://gutrectomy.bandcamp.com/album/manifestation-of-human-suffering

衝撃的だったデビュー・アルバム『Slampocalypse』から5年。その間、EP『Slaughter the Innocent』のリリースや、SLAM WORLDWIDEを通じシングルを発表し続けており、シーンにおいての存在感はずっとあった。新たにベーシストLouis Weber、ドラマーSimon Wernertが加入してからのGutrectomyは、Simonの高いドラミング・スキルによってスラムパートへの導入部分のリズム・パターンがバラエティ豊かになったように感じる。ビートダウンしてからも重量感のあるリフの上を転がるようにハイピッチ・スネアを差し込んだり、アクセントとなるシンバルワークによって、各楽曲に新たな個性を与えてくれる。天性のリフ・センスでモッシーに展開し続ける本作、一押しは「Scorched Earth (ft. Dustin Mitchell of Filth)」、「Cranial Excavation」、「Apocalyptic Squirt Tsunami」の3曲。

 

 

Analepsy 『Quiescence』

出身地 : ポルトガル
▶︎https://analepsy.bandcamp.com/album/quiescence

Gutrectomyと並んで、ワールドワイドな人気を誇るAnalepsyのセカンド・アルバム。前作『Atrocities from Beyond』発表後、私が運営するRNR TOURSで来日ツアーも果たし、数少ない現代スラム・リスナーが各地公演に訪れていたのは嬉しかった。当時のメンバー全員がナイスガイで、ツアーも素晴らしい思い出になっている。残念ながらAnalepsyのリーダーでありMiasma RecordsのオーナーMarco Martins以外のメンバーが本作前に脱退。新体制で制作された本作は、デスメタリックな魅力を改めて追求し、自身が鳴らしてきたスラミング・ブルータル・デスメタルに注入したような仕上がりで、個人的にはAnalepsy史上最高傑作。引き締まったサウンド・プロダクションによって殺傷能力を増したスラムリフは、しっかりデスメタリック。ビートダウン・ハードコア・リスナーには受けないかもしれないが、メタル・リスナーのスラム入門アルバムとして今後その重要度が高まってくる可能性がある。

 

 

 

Kraanium & Existential Dissipation – Polymorphic Chamber of Human Consumption

出身地 : ノルウェー/カナダ
▶︎https://www.youtube.com/watch?v=iL_k6V5Vndc

北欧スラム・キング Kraaniumとカナディアン・スラム・カルト、Existential Dissipationのスプリットは、Existential DissipationのボーカルだったBob Shawの遺作。BobはCuffなどマニアックなスラムバンドで活躍し、シーンの人気者だった。両者共に血生臭いブルータル・デスメタルをベースにダイナミックなスラムリフを刻み続けていくスタイルで、現代スラムの礎とも言えるクラシック感がある。GutrectomyやAnalepsyといった正統派とは違うデスメタルの荒々しさを味わうには最適な作品と言えるだろう。それにしてもこの作品で聴けるBobのボーカル、すでに人間味がなく良い意味で不気味だ。

 

 

 

Peeling Flesh 『Human Pudding』

出身地 : アメリカ・オクラホマ州
▶︎https://viletapesrecords.bandcamp.com/album/human-pudding

2021年結成、スラム・シーンの超新星Peeling Fleshのデビュー・アルバム。昨年発表したEP『Slamaholics Mixtape』でシーンの話題をかっさらった彼ら、ドラマーはVile Impregnationでも活躍する23歳のJoe Pelleter、そしてAberrant Constructのメンバーもいるというから聴く前からどんなに凶悪なスラムか想像出来る。ヴィジュアルを見る限り、ノリはビートダウン・ハードコアやデスコアっぽく、ボーカルのDamonteal Harrisに関してはヒップホップ的なヴァイブスもある。しかしアートワークやリフから滲み出てくる強烈なブルータルさは本物で、かなりディープなブルータルデスメタルの世界観を理解していないと表現できないツボを押さえている。RIFF CULT的には上半期スラムはPeeling Fleshがダントツでナンバーワン。

 

 

Vile Impregnation 『SLAVE』

出身地 : アメリカ・テキサス州/オクラホマ州/アリゾナ州
▶︎https://realityfade.bandcamp.com/album/slave

2009年からスタートしたVile Impregnationであるが、すでにオリジナルメンバーは脱退済み。現体制で動き出したのは2016年ごろからになる。それぞれにいくつものサイドプロジェクトを持つ若きミュージシャンらが集結、Devour the Unbornなどで知られるJosh、InfantectomyのTriston、そしてPeeling FleshをはじめStranguledにも在籍したJosephのトリオ体制で、かなりマニアックなことをやっている。いわゆる溺死系と言われるガテラルで、ゴアグラインド/ゴアノイズ的な面白さもありつつ、基本はスラムリフを刻み続けていく無慈悲なスタイル。個人的なツボとしてライブメインでなく、音源制作に重きを置いたバンドが好きで、このバンドはロゴから楽曲スタイルからツボにハマる要素がたっぷり。若干のシンフォニックなアレンジも全然良くないが良い。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?すでに聴いたものもあったと思いますが、最後の2枚はまだチェックしていないという人もいるかと思います。マニアックなバンドをたくさん知っているとか、いち早く新譜をチェックしていることは関係なく、自分のお気に入りのスラミング・スタイルのバンドがどんな影響があるのか、どんなシーンに属しているのか、どんなメンバーがいるのか、そういうところをもっと知っていくことを極めていけば、さらにディグが楽しくなると思います。この記事はコメントが出来るので、みなさんのおすすめがあればぜひ書き込んでみてください。

 

スラミング・ブルータル・デスメタル 名盤TOP15 (2022年下半期)

メタルコア名盤 TOP10 (2022年上半期)

 

2022年にリリースされたメタルコアのアルバム、EPの中から、RIFF CULTがピックアップするオススメの名盤を10枚選び、アルバムレビューしてみました (プログレッシヴ・メタルコアは別枠で投稿予定) 。もし皆さんのおすすめがあれば、是非コメント欄に書き込んでみて下さい!

 

 

Secrets 『The Collapse』

ポイント : Secrets史上最重量級のリフとRichardのクリーンとのコンビネーション
▶︎https://velocity.lnk.to/collapse

何度も来日公演を行っていることから、ここ日本でも抜群の人気を誇るSecrets。Velocity Recordsへと移籍し、前作『Secrets』から4年振りのリリースとなった通算5枚目のフル・アルバムは、Secrets史上最もヘヴィなリフとRichardのクリーン・ヴォイスのコンビネーションが心地良い一枚となっている。

Secrets最大の魅力とも言える「WadeのスクリームとRichardのクリーン・ヴォイスのコンビネーション」は、2010年代初頭のメタルコア/ポストハードコア黄金期を象徴するものであり、Rise Recordsからリリースされたデビュー・アルバムからサード・アルバムまでの人気の高さがそれを象徴している。2018年に正式加入したギタリストConnor Braniganの存在は、Secretsを現代的なメタルコアのヘヴィネスへアップデートさせ、本作で華開いたと言えるだろう。

先行シングルとして発表された「Parasite」は、デスコアへも接近するかのような重厚なリフが組み込まれており衝撃を受けたファンも多いだろう。ミュージックビデオにもなっている「The Collapse」や「Get Outta My Head」は過去と今を繋ぐ楽曲としてアルバムのキーになっている。再びシーンのトップに躍り出た彼ら、新作を引っ提げたジャパンツアーの開催が待たれる。

 

 

 

Motionless In White – Scoring the End of the World

ポイント : 多彩なゲストによって浮かび上がる新たなMotionless In Whiteの魅力
▶︎https://motionlessinwhite.lnk.to/STEOTW

 

独特の存在感を放つペンシルバニアのMotionless In White (モーションレス・イン・ホワイト) の通算6枚目となるフル・アルバムは、2019年にリリースした前作『Disguise』よりもコンセプチュアルであり、まるで映画のような世界観で聴くものを引き込む超大作だ。Bullet For My ValentineやIce Nine Kills、A Day To Rememberを手掛けたDrew Fulkによるプロデュースで、新たにバンドへ加入したVinny MauroとJustin Morrowにとってはデビュー作となる。

この作品には多くのゲストが参加しており、Knocked LooseのBryan Garris、Cradle of FilthのLindsay Schoolcraft、BeartoothのCaleb Shomo、そしてMick GordonがMotionless In Whiteのフィルターを通じ個性を発揮している。バンドの元々の持ち味といえば、そのヴィジュアルからもわかるようにゴシック・メタルやインダストリアル・メタルを通過したメタルコア・サウンド。多彩なゲストによってそれらは異なる輝きを放っている。

RIFF CULTとしてピックアップしたいのはもちろんBryan参加の「Slaughterhouse」。デスコア、ビートダウン・ハードコアをルーツとした強烈なブレイクダウンが搭載された楽曲によって、クリスのクリーン・パートが鮮明に浮かび上がり耳に残る。そのほかにも「Meltdown」といったヘヴィでインダストリアルな楽曲も面白い。シーンのトップに君臨するバンドとして、確実に爪痕を残した傑作と言えるだろう。

 

 

 

Memphis May Fire 『Remade In Misery』

ポイント : メタルコア・キングに相応しいエレガントなサウンド・デザイン
▶︎https://riserecords.lnk.to/MMF

 

約1年をかけ、丁寧にプロモーションされたきたテキサスのメタルコア・レジェンド、Memphis May Fire (メンフィス・メイ・ファイヤー) 4年振り通算7枚目のニューアルバムは、2012年にリリースされた彼らの代表作『Challenger』に肩を並べる堂々たる快作となった。

「Blood & Water」からは変わらぬRise Records系メタルコア/ポスト・ハードコアの香りが漂い、どこか懐かしい気持ちにもなる。バンドのギタリストKellen McGregorによってプロデュースされていることから、あらゆる楽曲にアルバムのキーとなるリフが組み込まれており存在感を見せる。彼らのサウンドから漂うアメリカン・ロックのルーツはやはり、このKellen McGregorにあると言えるだろう。Memphis May Fireが他のメタルコア/ポスト・ハードコアにない、言葉では言い表せない個性はここにあると感じる。Kellenのリフにフォーカスしてアルバムを聴いてみるのも新しい発見があるはずだ。

「Make Believe」のようなメタルコア・バラードは、後期Memphis May Fireが得意としてきたスタイルで、『Remade In Misery』においてもアルバムにハリを持たせてくれる。王者の貫禄、といえば簡単ではあるが、その貫禄が出る理由をたっぷりと詰め込んだ最新作、聴くたびに味わい深くなっていく。

 

 

 

Hollow Front 『The Price Of Dreaming』

ポイント : スタイリッシュに鳴る新世代メタルコア・サウンド
▶︎https://unfd.lnk.to/ThePriceOfDreaming

ミシガン州グランドラピッズを拠点とするメタルコア・バンド、Hollow Front (ホロー・フロント) が、UNFDと契約してリリースしたセカンド・アルバム『The Price Of Dreaming』は、Memphis May FireやSecretsが好きなら絶対にチェックしておきたい2022年上半期のメタルコア傑作だ。

2020年にアルバム『Loose Threads』をリリース、ポテンシャルの高さは耳の早いリスナーの間で話題になっていたが、ここまで化けるとは想像もしていなかった。一聴すると、Memphis May FireやSecretsといった2010年代メタルコア/ポスト・ハードコア・サウンドをベースにしたバンドとだけ感じる人もいるかもしれないが、至る所に現代的なエレメンツが散りばめられている。プログレッシヴ・メタルコアの浮遊感はバンド・グルーヴを豊かに、そしてバウンシーに仕上げHollow FrontにあってMemphis May Fireにない魅力と言える。そして全体的に漂うメロディック・ハードコア/ポスト・ハードコアの刹那はHollow Frontをスタイリッシュに魅せている。全ての楽曲が必聴級であるが、「Running Away」は非常にHollow Frontの魅力の根源とも言えるサウンドが分かりやすく伝わってくると思う。

 

 

 

Northlane 『Obsidian』

ポイント : プログレッシヴ・メタルコアを大きく発展させた挑戦作
▶︎https://northlane.bfan.link/obsidian

すでにキャリア13年を誇るNorthlaneの3年振り通算6枚目のスタジオ・アルバムは、UNFDを離れ独立してリリースされた。自身のレーベルBelieveを持ち、プロデュースに至るまで自分たちだけで作り上げたこの作品は、「プログレッシヴ・メタルコアのNorthlane」という既存認識を捨て去り、「Northlaneサウンド」を作り上げた重要作と言えるだろう。

近年、バンドのギタリストであるJon Deileyの存在感は強まっており、彼が作り出すエレクトロニックなアレンジが高く評価されてきた。アルバムのタイトルトラック「Obsidian」を聴いてみれば、エレクトロニックなアレンジが楽曲の肝となっていることが分かるだろう。それは時にMeshuggahやAnimals As Leaders、Vildhjartaにも接近するプログレッシヴ感に溢れており、アートワークのインダストリアルな雰囲気にもマッチしている。「Dark Solitaire」や「Nova」といった楽曲も新しいNorthlaneの魅力がたっぷりと感じられる良曲。これからどんなバンドになっていくのか、楽しみになってくる本作、2022年にリリースされたことは後々重要になってきそう。

 

 

 

Wolves At The Gate 『Eulogies』

ポイント : クリスチャン・メタルコアの典例とも言える美しいリード・パート
▶︎https://watg.ffm.to/eulogies

オハイオのクリスチャン・メタルコア・バンド、Wolves At The Gate の通算5枚目となるフル・アルバムは、変わらずSolid State Recordsからリリースされた。日本ではあまりクリスチャンであることで他のバンドと区別することはほとんどないが、クリスチャン・チャートなどが存在するアメリカではクリスチャンでああること、そうでないことは重要な要素だ。クリスチャンだから聴かないとか、クリスチャンだから聴くという文化がある中で、「彼らはまるでクリスチャンでなかったけど、彼らが好きだからクリスチャンになる」というきっかけにすらなりそうなほど、素晴らしいメタルコアを本作で鳴らしている。

今年1月にリリースされた先行シングル&ミュージックビデオ「Lights & Fire」は、シンガロングを促すコーラス・ワークを携えたキラーチューン、この時点で今年のアルバムは素晴らしいものになると確信した人も多いはず。オルタナティヴ・ロックの香り感じた「Lights & Fire」とは違い、ストレートなメタルコア鳴らす「Shadows」もアルバムにおいてリードトラック級の仕上がりと言える。

 

 

 

InVisions 『Deadlock』

ポイント : イングランドらしさ溢れるBenのボーカル
▶︎https://bfan.link/iV-Deadlock

2016年の結成からサード・アルバムとなる本作まで、彼らの存在は「ダークホース」的ポジションで、アンダーグラウンド・メタルコア・シーンで注目を集めてきた。イングランドで静かに育まれたInVisionsサウンドは、本作でグッと本格的なものになったように思う。「Annihilist」や「Half Life」あたりは、同郷のトップバンドWhile She SleepsやArchitectsを彷彿とさせる。サウンドもそうだが、かなりの影響を受けていると感じるのはボーカリストBenの歌い方がArchitectsのSam Carterを彷彿とさせるからだろう。

 

 

 

Sable Hills 『DUALITY』

ポイント : Sable Hillsの美的感覚を巧みに表現した快作
▶︎https://linktr.ee/sablehills

『Embers』から約3年。精力的なライブ活動で着実にステップアップを遂げた彼らのセカンド・アルバムは、活動当初から誇示してきたSable Hillsサウンドに磨きをかけストレートに表現した快作だ。

モダンなメロディック・デスメタル、メタルコアのエレメンツというのは、日本のメタルコアにおいてはSailing Before The Windを筆頭に、日本メタルコアの美学のひとつのようにして育まれてきた。特にSable Hillsはドメスティックなメタルシーンと幅広くクロスオーバーしながら、自身のスタイルに磨きを掛け、コロナ禍であってもその成長を止めなかった。

The Black Dahlia MurderやDevilDriver、Unearthなどを手掛けたMark Lewisがプロデュースを手掛けた本作は、稲妻のようなリードが楽曲を牽引するようにして展開、ライブ・パフォーマンスではお馴染みとなったヘッドバンギングを誘うようにグルーヴを司るKeitaとUedaの存在も大きい。この夏、この作品を引っ提げた「DUALITY」TOURをはじめとする国内外のライブで、ボーカルTakuyaが躍動する姿も目に浮かぶ、壮大なスケールを持つ一枚、必聴です。

 

 

 

Monument of A Memory 『Harmony In Absolution』

ポイント : 惜しいところはあるがポテンシャルは十分

▶︎https://www.monumentofamemory.com/

Lorna Shore加入前のWill Ramosが在籍したことで知られるニュージャージーのメタルコア・バンド、Monument of A Memoryのデビューアルバム。これまでのシングル、EPでこのバンドが持つポテンシャルというところは非常に評価されてきたと思う。新体制となってもそれは変わっていないし、オープニング・トラックの「Atrophy」を聴けば彼らに才能があることは確信に変わるだろう。

オリエンタルなアレンジも絶妙でMonument of A Memoryのスタイルに合っていると思う。ただ、欠点をあげるとすればサウンド・プロダクション。キックとベースが潰れてしまっているのが残念で、もちろんここはメタルコア・リスナーひとりひとりに好きなサウンドがあることは分かるが、リマスタリングすれば格段に良くなり、グッとバンドを取り巻く環境もよくなっていくはず。

 

 

 

A Sense of Purpose 『All the Grief Was Gone』

一言 : プログレッシヴ・メタルコア、ブレイク候補一番手

▶︎https://open.spotify.com/album/3gRhSHB8N8BOFykunKSZUr?si=Oe9fvzDdQ4CD0bsc11vHpw&nd=1

オハイオ州クリーヴランドのプログレッシヴ・メタルコア・バンド、A Sence of Purposeの7曲入りアルバム (EP?) 、これが非常に素晴らしかった。ポストハードコアとしても優秀だし、プログレッシヴ・メタルコアとしても非常に高いポテンシャルがあると感じられることが、実は広い目でみると「どっちつかず」のようになってしまい、いまいち存在感がアピールできないことってあると思うのですが (プラス、A Sence of Purposeというバンド名はIn Flamesのアルバムタイトルと同じでメロディック・デスメタルっぽさを感じる人もいると思う)、彼らはいい線いってると思います。

この作品のリードトラックは「WSTE AWAY」で、プログレッシヴ・メタルコアの中にBring Me The Horizonを思わせるオルタナティヴ・メタルコアの要素も交えているのが印象的。アルバム、良いレーベルから出せばブレイク間違いなし。

 

 

 

最新のメタルコアをチェックするなら、RIFF CULTのSpotifyプレイリスト、YouTubeプレイリストがおすすめ!

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト「All New Metalcore」

 

RIFF CULT : YouTubeプレイリスト「All New Metalcore」

Betraying The Martyrs 『Silver Lining』(2022年 – Out of Line Music)

 

Betraying the Martyrs 『Silver Lining』 アルバムレビュー

1. Black Hole
2. Pressure
3. Embers
4. Mirror
5. Swan Song

 

2008年からフランス・パリを拠点に活動する Betraying the Martyrs の3年振りとなる新作は、Sumerian Recordsからフランスの新鋭レーベルOut of Line Musicへと移籍してリリースされた。これまでバンドのフロントマンとしてバンドをメインストリーム・メタルコア・シーンへと導いてきたボーカリスト、Aaron Mattsが2021年に脱退。新たに加入したボーカリストRui Martinsのデビュー作として注目が集まっている。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=fV85Fz–rQw” /]

 

Aaron脱退後にリリースされた最初のシングル「Black Hole」は、雄大なメタルコア・ビートにシンフォニックなアプローチを交えながら、これまで培ってきたBetraying The Martyrsのスタイルを聴かせてくれる。新しいと感じるのはやはり、Ruiのボーカルで、クリーン・パートもそつなくこなしている。ややプログレッシヴなエレメンツが増えたかなと感じたものの、続く「Pressure」は燃えるようなメタルコア・チューンで作品のキラーチューンとして存在感を見せる。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=v90-Yu4bnPw” /]

 

エンディングを飾る「Swan Song」はミュージックビデオとして公開されており、彼らがどこに向かっていくのかを感じさせる仕上がりとなっている。メロディは深みを増し、メロディック・デスメタルやオルタナティヴ・メタルのスケール感を持つこの楽曲は、Betraying The Martyrsを次のステージへと押し上げてくれるはずだ。

 

https://twitter.com/MartyrsTweets/status/1540283493464276994

Future Palace、ポストハードコア史に残る名作アルバム『Run』リリース!

Future Palace – Run

▶︎https://futurepalace.lnk.to/run

 

1. Paradise
2. Dead Inside
3. Flames
4. Locked
5. Heads Up
6. Sleep Tight
7. Defeating Gravity
8. Roses
9. Wounds
10. A World in Tears
11. Loco Loco
12. Fever

 

ドイツを拠点に活動する女性ボーカル・ポストハードコア・バンド、Future Palace (フューチャー・パレス) が、ニューアルバム『Run』をArising Empireからリリースしました。2020年にリリースしたアルバム『Escape』以来、2年振りのセカンド・アルバムで、同時に収録曲「Dead Inside」のミュージックビデオが公開されている。

 

この記事では、Future Palaceのバイオグラフィを振り返りながら、アルバムについて考察していく。

 

 

Future Palaceは2018年の暮れにシンガーのMaria Lessing、ギタリストのManuel Kohlert、ドラマーのJohannes Frenzelによって結成された。 結成のきっかけは、元々ManuelとJohannesが所属していたバンドのフィーチャリング・パートのレコーディングにMariaを迎えたこと。元のバンドが解散、新しいボーカルを探していたManuelはMariaの歌声を思い出し、声をかけたことがFuture Palaceの始まりだという。3人はWatsAppグループを「Future Palace (未来の城)」と名付けて作成しディスカッション、最終的にこのグループ名をバンド名にし、2019年3月26日、ファーストシングル「Maybe」をリリース。同年8月にベルリンとハンブルクで初ライブも行っている。翌年3月にはArising Empireとの契約を発表し、2020年9月18日にデビュー・アルバム『Escape』をリリース。このアルバムは大きな話題となり、日本でも多くのリスナーがFuture Palaceに夢中になった。

 

Future Palace最大の魅力は、ボーカリストMaria Lessingの持つ歌声だ。滑らかで艶のあるクリーン・ヴォイスに、パワフルなスクリーム、シャウト。ミュージックビデオでは様々な衣装とメイクアップに身を包み、楽曲の世界観を巧みに表現する。

 

 

彼女/彼らが所属するArising Empireといえば、ヨーロッパのポストハードコアのトップに君臨するレーベルであり、IMMINENCE、AVIANA、THE OKLAHOMA KIDなどといった今の時代を代表するバンドらが所属。Future Palaceも既にArising Empireを代表するバンドと肩を並べるほどの人気を誇り、「Defeating Gravity」では、ポストハードコアの枠をこえ、オルタナティヴ・ロックへも通ずるポテンシャルを見せている。現に彼女/彼らはBring Me The HorizonやPVRISといったアーティストに影響を受けていると公言している。

 

アルバムのオープニング・トラックで、昨年11月にミュージックビデオとして発表された「Paradise」からは、中期Bring Me The Horizonの疾走感、ダークで煌びやかなサウンド・デザインを感じずにはいられない。Mariaのボーカルはもちろん、Manuel、Johannesのソング・ライティングもセンス抜群だ。2022年のポスト・ハードコアを代表する作品になるだろう『Run』の快進撃はこれから始まる。

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト 「All New Post-Hardcore」

 

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Inanimate Existence、独自の美的感覚光るニューアルバム『The Masquerade』リリース!

 

Inanimate Existence 『The Masquerade』

▶︎https://ffm.to/themasquerade

1. Endless Waves
2. Buried Beneath Scars
3. The Masquerade
4. Into the Underworld
5. Wandering White Halls
6. Return to the Dream
7. Heart of the Inferno
8. Ending the Ritual

 

カリフォルニア州ベイエリアのプログレッシヴ/テクニカル・デスメタル・バンド、Inanimate Existence が、前作『Clockwork』以来3年振り、通算6枚目のスタジオ・アルバム『The Masquerade』をThe Artisan Eraからリリースしました。

 

 

結成以来幾度かのメンバーチェンジはあるものの、ライブにレコーディングと精力的に活動を続ける彼ら。ContinuumやFlesh Consumed、Rings of Saturnに在籍し、ArkaikからDisgorge、Brain Drillのライブ・サポートを行ってきた実力派ドラマーRon Caseyを中心に、Flesh ConsumedやColonize the Rottingといったブルータル・デスメタルのアンダーグラウンドで存在感を見せるボーカルCameron Porras、Desecrionに在籍したベーシストScott Bradleyのトリオ編成で、メンバーラインナップだけ見てもシーンでの知名度は抜群の彼らであるが、そのサウンドもまた独特だ。

 

 

ミュージックビデオになっている「Into the Underworld」は、彼らがどんなサウンドを鳴らすのか、端的に表現したフックの効いたキラーチューン。緩急をみせながら、ブルータルな小技が光るブラストビートにガテラルが印象的、オーケストレーションをふんだんにまとい、First Fragmentなどを彷彿とさせるネオ・クラシカルなギターソロをたっぷりと組み込んでいく。どこか「テクニカル・プログレッシヴ組曲」のような上品さが彼らの最大の魅力と言えるだろう。

 

 

カラフルなアートワークもファースト・アルバムから一貫して彼らが守り続けているもの。本作も紫と黄色を基調とし、アルバム・コンセプトをアーティスティックに表現している。ベテランの域へと足を踏み入れた彼らの堂々たるニューアルバム、必聴です。

 

 

RIFF CULT : Spotifyプレイリスト「All New Technical/Brutal Death Metal」

 

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Soreption、貫禄溢れる4年振りのニューアルバム『Jord』リリース!

 

Soreption 『Jord』

▶︎https://linktr.ee/soreption

1. The Artificial North
2. The Forever Born
3. Prophet
4. Each Death More Hollow
5. A Story Never Told
6. The Chasm
7. The Nether Realm’s Machinery
8. Död jord

 

スウェーデン・スンツバルを拠点に活動するテクニカル・デスメタル・バンド、Soreption (ソレプション) が、前作『Monument of the End』から4年振り、通算4枚目のスタジオ・アルバム『Jord』をUnique Leader Recordsからリリースしました。本作はミックス/マスタリングを同郷のVildhjarta、Humanity’s Last BreathのBuster Odeholmが手掛け、SYN:DROMのRoger Bergstenがエンジニアリングを務めた。

 

また、多彩なゲスト・ミュージシャンが参加しており、「Död jord」にはArchspireのDean LambとTobi Morelliが参加。そのほかの楽曲にも、AbioticのJohnathan Matos、InferiのMalcolm Pugh、PsycropticのJoe Haley、AlbedoのIan Waye、InferiahのStefan Nordlanderといったギタリストが参加、The Dark AlamortéのキーボーディストJames CareyもSoreptionのサウンドに華を添えている。

 

と言うのも、2021年にMikael Almgrenが脱退してからSoreptionには現在ギタリストが在籍しておらず、本作はボーカルFredrik Söderberg、ベースRikard Persson、Tony Westermarkの3名を中心に制作された。

 

 

Soreptionのサウンドは、Acrchspireのメンバーが参加していることからも感じられるように、切れ味鋭いリフがタイトなグルーヴを生み出していくようなテクニカル・デスメタル・サウンド。ミュージックビデオにもなっている「The Artificial North」では時折、ショットガン・ガテラルのようなパートもあるので、テクニカル・デスコアが好きなリスナーにもアプローチ出来るだろう。全編通してテクニカルなフレーズがドライブ感をまとい展開されていくので、難解さはあまり感じられない。

 

スウェーデンといえばSpawn of PossessionやVisceral Bleedingといったタイプのテクニカル・デスメタルを思い浮かべると思うが、彼らはそんなバンドの現代版後継者と言えるだろう。前作ではSumerian Recordsと契約するなどオーバーグラウンドのメタルリスナーにもその名を知らしめ、コンスタントに音源リリース、ライブと精力的。「Each Death More Hollow」はプログレッシヴなエレメンツ、キーボードのオーケストレーションも交え、独自のサウンド・デザインで聴くものを魅了してくれる。

 

 

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