ブルータル・デスメタル 2020年の名盤 10選

 

『ブルータルデスメタルガイドブック』を出版したのが2016年の10月だっただろうか、そこからも日課としてブルータルデスメタルを追いかけ続けてなんと4年が経過した。RIFF CULTを立ち上げたのも本を出版したのがキッカケだったし、今もこうして発信を続けられているのは嬉しい。

 

一時期はほぼRIFF CULTを動かしてなかった (RNR TOURSでのツアー活動に忙殺されていた)時期もあったが、コロナウイルスでツアーがストップしたことをキッカケにもう一度本腰を入れて動かしてみることにした。やっぱり新しい音楽を聴くのは面白いし、RNR TOURSが再開出来た時にもRIFF CULTを動かし続けられるように自分の中でしっかりルーティーンを作らなければいけないね。

 

さて、前置きが長くなったが、今年も世界中からブルータルデスメタル・アルバムがリリースされ、新しいバンドも入れば意外な復活もありで面白かった。良い意味でも悪い意味でもスラム系がぐっと盛り上がりをみせ、デスコアやメタルコアにまで影響を与え始めているのは面白いなと思う。それに対して昔ながらもハイスピード・ブラスト系は地味な存在になったが、もともとブルデスってそういうのが面白いし好きだったから特に気持ち的に変わらずいろんなものを聴いた。

 

ある程度新しいバンドもベテランもチェックしたつもりだが、もしかしたらチェックしきれてないものもあったかもしれない。EPも多く、リストに入れようとおもったがアルバムに絞ってランク付けしてみた。(Drippedとか入れたかったなあ) まだ聴いてない作品などあれば、ストリーミングでチェックしてみて欲しい。それでは、ランキングをご覧ください! (第10位〜第1位まで)

 

 

第10位 : Putrid Pile – Revel In Lunacy

アメリカ/ウィスコンシン州を拠点に活動するワンマン・ブルータルデスメタルプロジェクトPutrid Pileの新作は、前作『Paraphiliac Perversions』から4年振りとなった6枚目フルレングスで、Sevared Recordsからのリリース。

 

Sevared Recordsも数量限定リリースが増え、他のブルータルデスメタル・レーベルに比べ勢力は落ちてきたもののまだまだ元気。Putrid PileはSevared Recordsからリリースを続けている数少ないアーティストで、地味に2020年がプロジェクトスタートから20周年であった。前作から大きくスタイルチェンジする事もなく、淡々と自身のブルータリティを表現し続けている点だけでも評価に値するし、オープニングトラックの「Death Waits for No One」では、唐突なテンポチェンジを繰り返しながらもバウンシーなグルーヴはキープ、リフワークもメロディアスで面白いしガテラルもハイセンス。「Bonedigger」みたいな打ち込み感丸出しのB級さも個人的には好きだったりする。

 

 

 

 

第9位 : Goratory – Sour Grapes

2009年に活動休止、2016年に復帰したマサチューセッツ/ボストンのブルデス・レジェンドGoratoryの新作は、前作『Rice on Suede』からなんと16年振りとなる4枚目フルレングスで、リリースはイタリアのEverlasting Spew Recordsから発売された。

 

有名ミュージシャンのテクニカルすぎるアイデアのはけ口みたいなバンドで、Job For a CowboyやDespised Iconで活躍するギタリストAlanやDeeds of Flesh、Pillory、Cytolysisなどで大忙しのドラマーDarrenが在籍している。彼ら以外の2人はSexcrementというバンドのメンバーで腕前はもちろん凄まじい。特徴的なのは強烈なスラップベースで、テクニカルなブルータルフレーズに絡み付いていく。ヴィジュアルイメージからは想像もつかないテクニックがたまらない1枚。

 

 

 

第8位 : Post Mortal Possession – Catacombs Of Bedlam

ペンシルバニア州ピッツバーグを拠点に活動する5人組Post Mortal Possessionのセカンドアルバムは、Lord of the Sick Recordingsからのリリース。

 

2018年リリースの前作『Perpetual Descent』から大きな路線変更はないが、ぐっとサウンドプロダクションが向上し、楽曲もソリッドな仕上がりになっている。全体的にもっさりとしたスラムっぽい雰囲気ではあるが、Jakeのボーカルワークが強烈でディープなガテラルでサウンドを血生臭いものにしてくれている。Jakeのボーカルに加え、Nickのドラムもよく、デスメタリック。地味な存在だが、若くしてこの手のサウンドをプレイ出来るのは凄い。

 

 

 

第7位 : Disavowed – Revocation Of The Fallen

オランダ/アムステルダムを拠点に、前身バンドNocturnal Silenceから数えて26年のキャリアを誇る大ベテランDisavowedの13年振りとなる3枚目フルレングス。

 

オリジナルメンバーである元ドラマーRobbert (Pyaemia、Nocturnal Silenceでプレイ)の怪我を理由に2005年に脱退。以降はサポートメンバーを入れながらも活動は継続していたが、アルバム制作には至らなかった。長年のブランクを感じさせないパワフルなブルータリティは、アグレッシヴに転調しながらも粘着質なグルーヴィ・リフを携えて疾走し続ける。

 

 

 

第6位 : Afterbirth – Four Dimensional Flesh

1993年ニューヨークで結成されたブルータルデスメタルバンドAfterbirthのセカンドフルアルバムは、Unique Leader Recordsから前作『The Time Traveler’s Dilemma』から3年振りのリリース。

 

95年の休止後、2016年にボーカリストWill Smithが加入するまで20年以上のブランクというのはなかなか珍しい。架空の古代文明をテーマにソングライティングを行うようになってからはアイデアが湧き上がってくるのか、セカンドアルバムも3年という短い期間で完成させており、そのサウンドもアンシエントなメロディワークをメイン・エレメンツに独自の世界観を生み出すことに成功している。アートワークも含め、Afterbirthらしさを持っているし、今後も継続的に制作活動を続けて欲しい。

 

 

 

第5位 : Vituperate – Dies Mali

ノースキャロライナ州ヴァージニアを拠点に活動するハイスピード・ブルータルデスメタルバンドVituperateのデビューアルバム。

 

もともとデモ音源がアンダーグラウンドシーンで話題となり、New Standard Eliteと契約している。メンバーはそれぞれにプロジェクトを抱えており、Scatology Secretionなど今年アルバムを出したプロジェクトもある。メンバーらが抱えるプロジェクトの中でもVituperateは特にスピード感重視で、まさに工事現場のような轟音が鳴り響き、リフの輪郭も曖昧。いわばハーシュノイズのようなエナジーに溢れる1枚。

 

 

 

第4位 : Incinerate – Sacrilegivm

アメリカ/ミネソタを拠点に結成され、現在はアメリカ/カナダのメンバーが在籍するベテランIncinerateの新作は、前作『Eradicating Terrestrial Species』から5年振りとなる4枚目フルレングス。

 

リリースは前作同様Comatose Musicが手掛けている。2018年にDeeds of FleshやSevered Saviorで活躍したギタリストJared Deaverが加入。JaredとTedのツインギター体制になってからは初の作品で、2020年12月現在では脱退しているがDisfiguring the GoddessやMalevolent Creation、Insidious Decrepancyでドラムを担当したPhil Cancillaが本作でその腕前を披露している。スラムとまではいかないが、ピュアなリフグルーヴを要に非常にシンプルでノリやすいブルータルデスメタルをプレイ。Internal Bleedingファンは気に入るとおもいます。

 

 

 

 

第3位 : Devangelic – Ersetu

イタリアを拠点に活動するブルータルデスメタルバンドDevangelicの新作は、前作『Phlegethon』から3年振りのリリースとなる3枚目フルレングス。

 

Comatose MusicからWillowtip Recordsへと移籍してリリースされ、プロデューサーにはDecrepit BirthやFleshgod Apocalypseを手掛けたStefano Morabitoを起用。サウンドプロダクションもソリッドかつダイナミックな仕上がりとなっている。同郷のSeptycal Gorgeを彷彿とさせるダークなテクニカルフレーズも多く、誤解を恐れずに言えばDisgorge的な雰囲気があるようにも感じる。ここ数年、Devangelicは大/中規模フェスティバルへの出演やツアーなど、ヨーロッパを中心にファンベースを拡大しており、ブルータルデスメタルシーンにおける重要度は高くなっている。

 

 

 

第2位 : Arsebreed – Butoh

前作『Munching the Rotten』から15年振りとなるArsebreedの新作は、Brutal Mindからのリリース。

 

ツイン・ボーカル体制を取り、2人共Disavowedのメンバーだ (RobbeとJoel)。この2人のボーカルワークはハイピッチ/ローピッチを使い分けるような従来のツイン・ボーカルスタイルではなく、共にローをベースとしたボーカルスタイルなのが面白い。緊張感のあるオールドスクールなブルータルデスメタルは、ウジムシのようにうねるチェーンソーリフとソリッドなベースライン、そしてデスメタリックなギターソロが残忍なグルーヴを生み出している。Disavowedと一緒で、特に何か目新しいことをしているわけではないが、クラシックなブルータルデスメタルとして素晴らしい作品。

 

 

 

第1位 : Molested Divinity – Unearthing The Void

トルコを拠点とするブルータルデスメタルバンドMolested Divinityのセカンドアルバム。

 

前作『Desolated Realms Through Iniquity』から2年振りのリリースとなる本作は、アンダーグラウンド・ブルータルデスメタルの巣窟New Standard Eliteが発売元。レコーディングエンジニアリンク/マスタリングは同郷のOzan Yildirimが担当。彼はDrain of ImpurityやMolested Divinityのメンバーが在籍するRaven Woodsも手掛けており、バンドとも親交の厚い人物。前作とジャケットが酷似していて、最初再発かと思ったが、しっかり新作でした。New Standard Eliteらしさといえばそのスピードでしょうか。

 

ブレイクダウン皆無のノンストップ・ブラストビートを叩き込むドラマーBerkの腕前は確か。特にスネアの鳴り、随所で拍をずらしながらブラスティング・グルーヴをうねり出す感じとかは、かなりマニアックなブルータル・ドラミングの手法。Emreのギターワークも残忍としか言いようもない無慈悲さに溢れていてたまらない。昨今はスラム勢の勢い、そして人気が凄まじくこうしたブラスティング・ブルータルデスメタルはすっかり地味な存在になってしまったが、彼らをはじめ、同郷のCenotaph辺りは変わらずスピード重視で安心。堂々の2020年ブルータルデスメタル・ナンバーワンアルバム。

 

【インタビュー】Mirza Radonjica (Siamese)

12月11日にニューシングル「Can’t Force The Love」をリリースデンマーク/コペンハーゲン出身のポストハードコアバンド、Siamese (サイアミーズ) にインタビューを行いました!ポストハードコアファンは是非彼らのニューシングルをチェックしながら、インタビューを読んでみて下さい!

Interviewer & Translater : Waki & Shin
Answer : Mirza Radonjica (Singer from Siamese)
Instagram : https://www.instagram.com/siamese_band/
Facebook : https://www.facebook.com/siamesedk
New Single ‘’Can’t Force The Love’’ : https://www.youtube.com/watch?v=qb1nwhkGNWU
Spotify : https://open.spotify.com/artist/0Hx4gv3eoiodtu6XYHF1X0?si=MI43Twy2TNCtj8kmQkKfmA


2020年はコロナウイルスの流行で、世界中の音楽シーンが大きく変わってしまいました。あなたのバンド、そしてあなた自身にとって2020年はどのような年でしたか?

日本のファンの皆さんこんにちは!コロナウイルスの感染拡大はまだ良くならないし、Siameseではツアーを始め多くのスケジュールがキャンセルされてしまったけど、その時間を使って2021年や2022年にプレイする新しい曲を作ったりする事が出来たよ。

コロナウイルスの流行で、多くの国では自粛などが行われました。ライブ活動が出来ない間、あなたのバンドが行った活動について教えてください。

コペンハーゲンでソールドアウトのライブをして、シングルを2曲リリースしたよ。これは来年リリースを予定しているアルバムにも収録される予定なんだ。

 

今年一番聴いたアルバムを5つ挙げて下さい!

Slaves – To Better Days
Bring Me The Horizon – Post Human: Survival Error
Sleep Token – Sundowning (Deluxe)
Intervals – Circadian
Pvris – Use Me

 

映画やドキュメンタリー、Youtube、ポッドキャスト、本などで今年何か気になったものはありますか?

Industry on HBO – very cool show
Podcast “Philosophize This” on spotify
The Mandalorian – Disney+
Danish movie “Druk”which probably will win an Oscar this year.

 

最後に、2021年はあなたのバンド、そしてあなた自身にとってどのような年になる事を願いますか?

また世界ツアーを出来ることを祈るよ。現状、3つのツアーがすでに決まっていて、無事に開催される事を願っている。また日本にも戻って、ファンのみんなに会えたらいいな。いつも日本に行く時はとても楽しい時間を過ごしているよ!そして私の家族と愛犬が健康であることを願っているよ。

【インタビュー】Michael Skaggs (Outline in Color)

RNR TOURSで来日経験のあるポストハードコアバンド、Outline in ColorのギタリストMichael Skaggsにインタビューを行いました! 2020年は様々なアーティストとコラボし、ソロアーティストとしても活躍。来年の展望はいかに…

Answer : Michael Skaggs(Outline In Color)
Facebook : www.Facebook.com/OutlineInColor
Instagram : www.Instagram.com/OutlineInColor
YouTube : www.Youtube.com/OutlineInColor
Spotify : https://open.spotify.com/artist/6drAKOLWO1vzBrdmJmg5SE?si=vm8ZlsU0ScyQYjKQRQPfmg


2020年はコロナウイルスの流行で、世界中の音楽シーンが大きく変わってしまいました。あなたのバンド、そしてあなた自身にとって2020年はどのような年でしたか?

2020年はみんなにとってもクレイジーな年だったね。偶然だけど、このパンデミックの前の2月にレコーディングをしてたんだ。初めのロックダウンの時には『Imposter Syndrome』のパート1と2のレコーディングが終わっていて、その後はすぐツアーをする予定だったんだけど、ほとんどが出来なくなってしまったね。

 

 

コロナウイルスの流行で、多くの国では自粛などが行われました。ライブ活動が出来ない間、あなたのバンドが行った活動について教えてください。

クリエイティブな場所で2、3ヶ月を過ごしたおかげで1年を通して音楽に打ち込むことができたよ。コラボをしたりやカバーをしたり……。あとは、3枚目のEPのアイデアを出すことに専念してたね!ツアーを再開する前に出来るだけ多くのコンテンツを制作することに時間をかけていて、コロナウイルスが終息に迎えばツアーを続けたいと思うよ!それからオンラインのライブも企画中なんだ。是非バンドのページをフォローして詳細が出したいチェックしてね!

今年一番聴いたアルバムを5つ挙げて下さい!

VRSTY – Cloud City EP
Kingdom Of Giants – Passengers
Slaves – To Better Days
Picturesque – Do you Feel O.K.
Bring Me The Horizon – Post Human: Survival Horror

 

映画やドキュメンタリー、YouTube、ポッドキャスト、本などで今年ハマったものは何ですか?

個人的には自分の歌唱力を高めることに専念したよ。YouTubeのJacob’s Academy(ボーカルのトレーニングチャンネル)を使って練習をしたり、ランダムにプレイリストをかけて自分が歌える限り歌ってるね笑 他には旅行の動画なども好きで、特にNas Daily(有名なYoutuber)や、ドキュメンタリー系で有名なViceなどを観てるよ。心が休まるような旅行の動画から暗いテーマのドキュメンタリーまで色んなジャンルを見るかな。

 

最後に、2021年はあなたのバンド、そしてあなた自身にとってどのような年になる事を願いますか?

まず、2021年は皆さんにとっていい年になる事を願っているよ。今年は例外だとは思うけど、俺は強く思うことで現実になると信じているんだ。だからしっかりと考えて行動することでポジティブの考えが現実になって来年、再来年と続けるよう頑張っていくよ!

このバンドとしては沢山の音楽が2021年に出来ると思うよ!
『Imposter Syndrome Part 2』ではAndrew Baylis、Joey Bradford (The Used)、Jack Fowler (Sleeping With Sirens)が何曲か作曲に携わっているんだけど、早めにシェア出来るように頑張るよ!コロナウイルスが収束してツアーがまた出来るぐらい安全になったらするよ。慎重でかつ楽観的に考えていくかな!

 

 

デスコア 2020年の名盤 10選

 

『デスコア・ガイドブック』を執筆してからも、デスコアシーンにおけるトレンドは日々変わり続けている。今年はここ数年の中では比較的シーンに大きな動きはなかったように感じたが、それもデスコアというシーンが一度確立され、安定期に入ったからだと思う。幅広いメタルシーンの中においても異端的な存在感は消え、ヘヴィでグルーヴィな新しいメタルとして受け入れられているのも事実だし、商業的に成功しているバンドも多い。

 

Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。

 

2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!

 

第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All

 

オーストラリア/ブリズベンを拠点に活動するデスコアバンド、Aversions Crownの前作『Zenocide』から3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。

 

リリースはNuclear Blast。リードトラック「The Soil」や「Paradigm」はこのアルバムのサウンドを象徴する楽曲で、ハイスピードなブラストビートを主体としながら、バウンシーなパートをここぞというところでのみ挟んでいく。シンプルにブラッケンド・デスコアの良さを味わう事が出来るし、Nuclear Blastからのリリースという事で、幅広いメタルリスナーにもリーチできるポテンシャルを持っているように感じる。

 

 

 

 

第9位 : Alukah – Descending

 

アメリカ/メリーランドを拠点に活動するAlukahのデビューアルバムはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からリリースされた。

 

一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。

 

 

第8位 : Lorna Shore – Immortal

 

前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。

リリース直前にボーカリストCJを取り巻く女性問題があった事からアルバムがリリースされるかも怪しい状況になっていたが、彼をクビにしてまで彼のボーカルが入った作品をリリースしたバンドの英断を尊重してリストに入れました。ボーカルを評価対象から外したとしても、この作品はデスコアの未来に強い影響をもたらす事は間違いないし、AdamとAndrewのギターワークはメタルコアシーンを見渡してもハイセンスである。現在はWill Ramosが新たなボーカリストとして加入しているので、このアルバムを引っさげたツアー活動も2021年には開始していいと思う。というか、するべきだ。Lorna Shoreは今止まってはいけない重要なバンドなのだから。

 

 

 

第7位 : Reflections – Willow

 

アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。

 

アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。

 

 

第6位 : Distant – Dawn of Corruption

 

オランダ/ロッテルダムを拠点に活動するDistantのセカンドアルバム (EPにカテゴライズされている場合もあり)。彼らがUnique Leader Recordsと契約したことにはかなり驚いたが、今ではレーベルの中でも高い人気を誇るバンドであるし、玄人向けっぽいサウンドプロダクションでありながらも、ツボはしっかりあって、バウンシー。

 

 

第5位 : Bodysnatcher – This Heavy Void

 

アメリカ/フロリダを拠点に活動するBodysnatcherの前作『Death Of Me』から3年振りとなるセカンドアルバム。リリースはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からで、これを執筆している2020年12月現在、eOneへと移籍している。

 

この大きな移籍からも分かるように本作以降、彼らの注目度は右肩上がりであり、ハードコアからデスコア、そしてメタルコアまで幅広く評価を得ている。メタルコアやハードコアに言える事だが、年々ヘヴィさが増し、デスコアとの境界線が曖昧になってきている。Bodysnatcherもそういう意味でデスコアとは言い切れないサウンドである事は間違いないが、デスコアがデスメタル+メタルコアをブレンドしたサウンド、という事からすでに脱却していて、メタル要素がなくてもデスコアになり得るという事を証明してくれているようにも思う。2021年はeOneからおそらく何かリリースがあるはずなので、どういうサウンドを鳴らすか楽しみだ。

 

 

第4位 : The Acacia Strain – Slow Decay

 

前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。

 

Rise Recordsとの契約からすでに8年が経過し、デスコア/ハードコアというジャンルのくくりからは外れ、The Acacia Strainでしかないというようなサウンドを作る事に注力してきたように思う。そんな中でも本作は、すでにベテランとして確固たる地位を確立しながらも、ハードコアのヘヴィネスを追求する姿勢には脱帽。もちろんデスコアとして聴いても素晴らしく、ソリッドなサウンドプロダクションが主流の現行シーンには感じるものがたくさん見つかる作品だ。

 

 

 

第3位 : Cabal – Drag Me Down

 

デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。

 

RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!

 

 

 

第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread

 

イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。

 

さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。

 

 

 

第1位 : Within The Ruins – Black Heart

 

2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。

 

発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。

 

【年間ベスト】2020年を代表するパワーメタル名盤 TOP10 (ディスクレビュー有!)

 

タイトルをクリックすると、ディスクレビューが読めます!

下のプレイリストを再生しながら読んでください!

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10. Cristiano Filippini’s Flames Of Heaven – The Force Within

09.Mentalist – Freedom of Speech

08.Ad Infinitum – Chapter I: Monarchy

07.Reasons Behind – Project: M.I.S.T.

06.Memories of Old – The Zeramin Game

05.Nightwish – Human.:II:Nature.

04.Fairyland – Osyrhianta

03.Majestica – A Christmas Carol

02.Aquaria – Alethea

01.Unleash the Archers – Abyss

記憶を辿れば、パワーメタルに熱中していたのは高校生の頃。Dragon Forceの「Through the Fire and Flames」が友人の間で流行り、そこからメロスピと呼ばれるものをとにかく聴き漁った。ただ、Dragon Forceに匹敵するスピードとテクニックを超えるバンドには出会えず、ひたすらにDragon Forceを聴いた。今でも聴くと熱くなれるし、冗談でなく墓場まで持っていきたい作品のひとつに『Inhuman Rampage』を挙げるし、なんならDragon Forceのロゴをタトゥーしておきたいくらいだ。もちろん見えないところに…笑

確かDragon ForceはExtreme Power Metalを自称していたのをうっすらと覚えている。学校帰りに書店で立ち読みしたBURRN!で見たのかな。雑誌やパワーメタルの特集サイトで良いと言われているものを聴いて、友人とCDを貸し借りしたり。そこで出会ったバンドはBlind GuardianやSonata Arctica、そしてDark MoorとAngra。アートワークも含めて高校生だった自分にはツボだったし、いろんなメタルを聴くきっかけにもなったジャンル。

当時はメロディックパンクを一番聴いていたし、メタルコアやデスコア・ムーヴメントが始まった事もあり、パワーメタルに心酔するところまではいかず、Dragon Forceのアルバム『Ultra Beatdown』のジャケがどうにも受け入れられずに離れてしまった。そこからたまにパワーメタルの状況は追ってみてはいたものの、どうにも新しいパワーメタル・サウンドに出会えずにいた。

今年、なにげにチャンネル登録していたNapalm RecordsのYouTubeチャンネルにアップされたUnleash The Archersの「Faster Than Light」を聴いて久々にパワーメタルで興奮した。Dragon Forceヴァイブスを感じるスピード感、そしてポップでキャッチーなミュージックビデオ、なにより度肝を抜かれたのがファストなギターソロからブレイクダウン・パートが導入されていた事だ。これは、新しい発見だった。

パワーメタルはもっと、メタルコアのようなグルーヴィなサウンドともクロスオーバーする必要があると思ったし、彼女達の人気をみると何かパワーメタルシーンに一石を投じるような存在になっていくのではないかという期待が湧き上がってくる。見た目もまだ若いそうだし、女性ボーカリストもクールだがおてんばな感じがあって馴染みやすい。

彼女達の存在をきっかけに、今年の夏以降はパワーメタルの現状を追いつつ、そのサウンドが数十年でヴァラエティに富んだものへと進化している事に気がついた。特に女性ボーカルを有するバンドの活躍はめざましく、Nightwishはもちろんだが、Ad InfinitumやLeaves’ Eyes、Reasons Behindは過去作やメンバーが在籍してきた様々なバンドもチェックしてみたりした。今年は特にパンクシーンが非常にポリティカルな雰囲気にあり、リリースされる作品もアングリー・パワーが強すぎた。もちろんそれはそれでパンクの魅力として、感じながらコミュニティにいたが、パワーメタルの世界観に癒される瞬間も多かった。

2020年にパワーメタルを再び聴き返すとは思っていなかったが、引き続きアンテナを貼っていこうと思う。文末にTOP10からは漏れたもののよかった作品についてランクはつけずに掲載しておく。

Grand Finale – Quantum Moment

DGM – Tragic Separation

Leaves’ Eyes – The Last Viking

Eternal Idol – Renaissance

シングルのみをまとめた記事はこちら!

子供向け恐竜メタルバンド、”Hevisaurus”とは

Hevisaurus : SlipknotやGWARなどの覆面バンドと言えば、子供が見たら泣き出してしまいそうな怖さがありますが、中には子供と一緒に楽しむ為に活動しているバンドもいる。一番有名なのは、フィンランドを拠点に活動する恐竜メタルバンドHevisaurusだ。

 

 

Hevisaurusは6500万年前から卵のまま眠り続けていた「ジュラヘヴィ期」の恐竜たちの卵がある気象条件で露出し、魔女の呪文により目覚めた!というコンセプトの恐竜着ぐるみメタルバンド。THUNDERSTONEのドラマーであるミルカ=ランタネンが2009年に立ち上げたプロジェクトでアルバムのサポート・ゲストミュージシャンとしてフィンランドメタル界の有名人が度々参加しており、Sony Musicとも契約している。

 

徹底して”子供向け”である彼らは対象年齢を3歳以上と設定しており、夕方4時以降にはライブをせず、ステージ前は子供しか入場できない。オフィシャルサイトでは塗り絵を配布したり、物販でぬいぐるみや豊富なキッズサイズTシャツなどを販売しているのも面白い。

子供と一緒にメタルのライブを観に行くなんて、ハードルが高すぎる。でも彼らのコンサートなら子供も楽しいし、耳の肥えた大人のメタルリスナーもハイクオリティなメタルサウンドを楽しめますね!

【まとめ】ハロウィーンに聴きたいパンクロック 名曲選 (Alkaline Trio, Sum41, blink-182 etc…)

Teenage Bottlerocket – Haunted House

blink-182 – Ghosts On The Dance Floor

Alkaline Trio – We’ve Had Enough

AFI – Halloween

The Aquabats – Fashion Zombies!

Sum 41- Screaming Bloody Murder

The Vandals – Curse Of The Unripe Pumpkin

The Maine – Forever Halloween

Fall Out Boy – Twin Skeleton’s

Alkaline Trio – Sweet Vampires

アフリカの黒人メタルを追いかけた動画「デスメタル・カーボーイ」が公開に

 

この動画では、黒人達のメタルにフォーカスして、そのサウンドやアティトゥート、ヴィジュアルを紹介しています。『デスメタル・アフリカ』という書籍が話題になってのは記憶に新しいですが、メタルはワールドワイドな音楽で、もちろんアフリカにもメタルバンドがいて、普段RIFF CULTをチェックしている方であれば、Within Destructionが南アフリカ出身である事は印象深いですよね。英語が苦手な方も、字幕モードにしてみるとなんとなくその雰囲気もつかめると思います。

【まとめ】2020年にリリース10周年を迎えるポストハードコアの名盤 vol.01

Attack Attack! – Attack Attack! (2010年6月8日リリース / Rise Records)

Woe, Is Me – Number[s] (2010年8月30日リリース – Rise Records)

For All Those Sleeping ‎– Cross Your Fingers (Fearless Records)

Underoath ‎– Ø (Disambiguation) (Tooth & Nail Records / Roadrunner Records)

The Devil Wears Prada – Zombie EP (Ferret Music / Triple Vision)

犬、オウム、イノシシ、イルカ…動物がボーカルを務めるメタル・バンドたち

エクストリーム・メタルシーンでは日々、新しいメタルサウンドが登場している。デスメタルはブルータルに、そしてテクニカルに、さらにメロディアスになり、ブラックメタルはファストに、デプレッシヴに、本来の悪魔主義を排除したアンブラックメタルなどが誕生している。このようにひとつのジャンルが枝分かれしながら発展していくのと同時に、まったく別の角度から新しいメタルが誕生することもある。最近で言えば、テクニカルデスメタルバンド、Behold The Arctopusが自身のサウンドを追求するあまり、”トム&ジェリーメタル”を生み出してしまった。 (これは彼らのファンがビデオに投稿したコメントの中にあったもの)

さて、メタルには他にどんな変わったメタルがあるだろうか。個人的に面白くて日々気にしているのは、動物とのコラボレーション、言うなれば”アニマル・メタル”だ。それは可愛い動物達の鳴き声を組み込んだサウンドで、時にゴアグラインドやブルデスにおいては豚やカエルがウルトラハイクオリティなボーカルを披露してくれる。今回はそんなアニマル・メタルなバンドを紹介してみようと思います。

Hatebreak – Birdseeds of Vengeance
彼らはオウムがボーカルを務めるメタルバンド。通称”パロット・メタル”。曲のクオリティはB級、いやC級ですがアイデアとしては面白い。そう、クオリティはどうでもよく、そのアイデアだけが評価されるのがアニマル・メタルだ。

Caninus – No Dogs,No Masters
アニマル・メタルの中で最も有名なのが2匹のコワモテなピットブルがフロントマンを務めるCaninusだろう。こちらも楽曲はお世辞にも良いとは言えないが、人間を食いちぎる勢いで迫り来るボーカル?がよくマッチしている。ちなみにHatebreakとスプリット作品をリリースしています。

Boar Metal (イノシシ・メタル)
これは最近、amassの記事で読んで面白かったものを紹介。イスラエルに住むギタリストValentin The Madが自分の住む町で近年イノシシが急増していることを理由に (?) 、よなよな町に繰り出し、イノシシにハンディマイクを向けて録音したイノシシの鳴き声をエディットしてメタルにしたもの。先に紹介したHatebreakやCaninusは10年以上前のバンドなので打ち込みのクオリティなどは低いですが、Valentinは割と聴ける感じのデスメタルで、彼がメタルボーカルにイノシシを起用した理由もなんとなく分かります笑

Dolphin Metal (イルカ・メタル)
これはYouTubeチャンネル、Rifffiedが制作したビデオで、イルカの鳴き声をテクニカルデスメタルのリフと掛け合わせてコラージュしたもの。近年のニューメタルコアやプログレッシヴメタルコアで聴く事ができる多彩なアレンジがイルカの鳴き声を妙にマッチしていて、思わず何度も聴いてしまいました。これをコンセプトにアルバムを完成させるとなるとアイデアが枯渇しそうですが、YouTubeのひとつネタとして、世界中の動物の鳴き声と掛け合わせていくのも面白そう。

その他にも動物の鳴き声をメタルと掛け合わせたビデオをいくつか発見したので紹介します。

Slamming Brutal Animal Metal

Angry Animal Metal

Husky Dog Black Metal

Camel Death Metal

Grindcatcore

また見つけたら更新します。いや、しないかも…笑 こういうので大切なのは動物が好きという気持ちとメタルが好きという気持ちが純粋にクロスオーバーしてることですね。たまに動物達を馬鹿にするようなパロディもあるのでそういうのは低評価つけていきましょう。

Bring Me The Horizonに影響を受けたサウンド vol.02

THE DISASTER AREA – Glasshearts
2015年に結成され、ドイツ/ミュンヘンを拠点に活動する5人組。2016年にDeafground Records/Noizgate Recordsから『Sell Your Soul』、2018年にRedfield Recordsから『Alpha // Omega』と2枚のアルバムをリリースしています。ボーカルワークや多彩なアレンジがBring Me The Horizonを感じさせてくれます。

https://www.facebook.com/thedisasterarea/about/?ref=page_internal

Outloved – Hurt Me
2014年ごろからオーストラリア/ギップスランドを拠点に活動するポストハードコア/ポストロックバンドの最新シングルは、ソングライティングにおいてBring Me The Horizonに強い影響を受けており、ポストロックの静けさにフォーカスしながらも力強いボーカルを前面に押し出したサウンドスケープに熱くなります。

https://www.facebook.com/outlovedau

ASKING ALEXANDRIA – They Don’t Want What We Want (And They Don’t Care)
今やBring Me The Horizonに匹敵する人気を持つ彼らが今年発表したアルバム『Like A House On Fire』に収録されている本楽曲は、Bring Me The Horizonを彷彿させるメロディワークで話題になりました。彼らが影響を受けているかは公言していないので分かりませんが、メタルコア/ポストハードコアからロックシーンへ活動の場へ広げていくアーティストのアプローチとしてこのような形が成功例として、シーンの新たなスタンダードになりつつあるように感じています。

Aurora View – Death Spells

ミネアポリスを拠点に活動する4人組メタルコアバンド、Aurora Viewが2018年にリリースしたこのシングルは、Bring Me The Horizonの人気曲「Sleepwalking」を彷彿とさせる楽曲構成になっています。やりすぎ感もありますが、今年6月に発表した最新シングル「Wishbones」はさらに叙情的に進化させており、オリジナリティもしっかりあります。

『デスメタルチャイナ』を読んでみた。

いつもお世話になっている出版社パブリブのハマザキさんから最新書籍『デスメタルチャイナ』を献本して頂きました。マニアックな内容にも関わらず多くのメタラー、そして中国カルチャー好きを筆頭に告知段階から猛烈な注目を集めていたこの本は、田辺寛さん (@nihaorocks – https://twitter.com/nihaorocks) が執筆しています。正直、圧倒的な情報量に目がくらみましたが、未知の中国メタルは想像以上にハイクオリティで、音源をチェックしながら読み進めると、たくさんの発見がありました。

 

私が執筆した『ブルータルデスメタルガイドブック』や『デスコアガイドブック』を持っている方にもこの本は十分オススメできる内容になっています。ジャンルレスに様々なタイプのメタルバンドの情報、主にディスクレビューを中心に執筆されているので、お気に入りのジャンルから食いつまんで読む事も可能。中国の地理に疎くても、ひとつひとつ丁寧に解説しながら説明してくれるので、地理の勉強にもなりますね。

 

 

メタル書籍を執筆していた時、中国のメタル情報というのはFacebookやTwitterからは手に入れづらかった覚えがあります。これほどまでの情報を手に入れるには中国独自のソーシャルネットワークに登録する必要がありますし、上記のように現地のCDショップなどに足を運ぶなどする事が必要みたいですね。田辺さんの旅行日記的な記事は読みやすく、中国に親しみを持ちながら楽しく読む事が出来ました。中国のSNS解説ページなんかもあり、そこから音源の聴き方も知る事が出来ますよ!

 

 

個人的にブルデス、メタルコア、デスコア、テクデスに注目しながら読み進めていくと、一度は目にしたことのあるベテランから、まったく知らなかったバンドまで様々取り上げられており、Suffocatedに関する濃密な記事は新鮮な驚きを感じながら、食い入るように読みました。デスメタル以外でも古典楽器を用いたメタルの情報も興味深く、特にDream Spiritは新しいお気に入りになりました。

 

 

私が執筆した『デスコアガイドブック』にも掲載しているFour FiveやHour of Pestilenceについてもしっかりと書かれていて、細かい情報を手に入れる事が出来ます。アメリカ/ヨーロッパ中心であることが当たり前なメタルというジャンルも、歴史を重ねるにつれて今では世界中様々なところで盛り上がっています。特に独自の発展を遂げている中国が今積み重ねている、どこにもない唯一無二の歴史がこれからどのように発展し、国際的に支持を得ていくかとても気になります。これはまだメタルが始まっていない国にも言える事だと思いますし、いちメタルファンとして未知のメタルを聴く事はいつだってワクワクしますよね。『デスメタルチャイナ』を読んで、まったく新しいメタルの歴史を堪能しましょう! 学生は朝読書にも最適!

 

2020年上半期のスラミング・ブルータル・デスメタル 名盤アルバム TOP5

 

 

Visions of Disfigurement – Aeons of Misery

 

2013年イギリス/マンチェスター出身の4人組。4年振りのリリースとなる本作はRealityfade Recordsからのリリースとなった。デスコアリスナーにも受けるだろう切れ味鋭いソリッドリフ満載のキャッチースラム。AnalepsyやKraaniumは好きなら是非チェックしてほしい大推薦盤。

 

https://www.facebook.com/visionsofdisfigurement/

 

 

Indricothere – Tedium Torpor Stasis

 

Behold the ArctopusやGorgutsを始め、数多くのプロジェクトでメタルシーンを牽引してきたColin Marstonによるソロプロジェクト。近年ではブルータルデスメタルのプロジェクトにも数多く参加しており、サウジアラビアのグラインドコアバンド、Creative Wasteのメンバーらと行っているSijjeelではハイクオリティなグラインディングブルータルデスで話題となった。Indricothereでは、Funeral DoomとSlamを組み合わせたFuneral Slamとも形容できる新しいサウンドを追求。そのサウンドは実験的ではあるものの、作品を聴けばこのジャンルのクロスオーバーに大きな可能性を感じるはずだ。

 

https://www.metal-archives.com/bands/Indricothere/109135

 

 

Esophagus – Defeated By Their Inferiority

 

チリを拠点に2008年から活動する彼らのデビューアルバム。これまではEP、デモ、スプリット作品のみのリリースで影の薄い存在だったが、本作ではハイクオリティなスラムサウンドを聴かせてくれる。Visions of Disfigurementらが所属するRealityfade Records所属らしさはありながらも南米らしい血生臭さもスラムリフをさらにブルータルなものにしてくれる。

 

https://www.facebook.com/esophagusslam/

 

 

Antipathic – Covered With Rust

 

昨年フルアルバム『Humanimals』をリリース。この作品はスラムシーンで大きな話題となったのは記憶に新しいだろう。本作はEPでありながら、ハイクオリティなスラムをプレイ。ベース/ボーカルTatoのラッピンガテラルは巧みにテンポチェンジするスラムサウンドの上をグルーヴィーに転がりまわり、ドラマティックな楽曲構成が終盤のスラムパートの破壊力を何倍にもパワーアップさせる。

 

https://www.facebook.com/antipathicband/

 

 

Bleeding Spawn – Pariah Attestant

 

南アフリカを拠点とするスラミングブルータルデス。2016年にリリースしたデビューアルバム『Pathogenic Mechanized Abomination』以来4年振りの本作はEPでありながらも聴きごたえ十分であるし、セカンドアルバムへの期待が高まる。土地柄、どんなバンドに影響を受けているのかなどわかりにくい部分も多いが、そんなミステリアスさが、まだ聴いたことのないスラムを聴かせてくれるのではないかという期待が膨らませてくれる。

 

https://www.facebook.com/bleedingspawnmp/

 

伝説のニンテンドーコアコンピレーション『POKEMON SPLIT』を今こそ聴くべき理由

ポケモン152匹をそれぞれテーマに制作された152曲入りオンラインコンピ『POKEMON SPLIT』。ニンテンドーコアバンドが大集結したこの作品はニンテンドーコアムーヴメントの終焉頃にリリースされたもので、あまり話題にならなかったが今聴き直してみるとかなり良い。チープな打ち込みで聴くDjent的なサウンドはメタルヘッズのイージーリスミングにもぴったりかも。

【まとめ】今聴くべきニューメタルコアバンド5選

日々進化し続け、新しいアプローチをみせるメタルコアバンドの中でも、特に面白いアップデートを遂げています。その中で、今聴くべきニューメタルコアバンドを5組ピックアップしてみました!

Prompts – Tunnel Effect
先月20日に発表された東京拠点メタルコアバンド、Promptsの新曲「Tunnel Effect」に衝撃を受けた方も多いでしょう。ビートダウンハードコアやデスコアの影響を感じさせるヘヴィなリフはもちろん、ボーカルワークもハイセンスで世界水準です。ニューメタルコアが好きで、国内バンドもどんどん観に行きたいと思っているリスナーはこのPromptsをチェックしてもらいたいです。

https://www.facebook.com/promptsofficial

Deathsquad – Disaster
ロシア出身のブルータル/ビートダウンハードコアバンド、Deathsquadの新作EP『Disaster』はニューメタルコアリスナーが聴いてもかなりアガる仕上がりになっています。グルーヴとか関係なしにビートダウンしまくる奇想天外な楽曲構成はとっつきにくいかもしれませんが、とにかくヘヴィでDealer的なカオス感じます。めちゃめちゃラップしてるし、あんまり聴いた事ないサウンド。

https://www.facebook.com/deathsquadbeatdown

Starve – Shiver
オーストラリア/メルボルンを拠点に結成された超新星。昨年12月に行われたDealerの『Saint』リリースツアーに出演し、Varialsらとも共演しています。かなりDealerに近いスタイルでオススメです。

https://www.facebook.com/starveaus/

VileGloom – Fame Seeker ft. Greg Gilbert
オレゴン出身ニューダウンテンポVileGlooがかなりキテますね。トラップメタルとの関わりはニューメタルコアシーンにおいては欠かせない要素ですが、彼らも若干トラップの影響はあるのかなと思います。基本的にはTraitorsやBodysnatcher的なダウンテンポがベースになってますが、Black Tongue的なドラマティックな魅力もあり、個性的な存在だと感じます。

https://www.facebook.com/NWGloomCrew

No Ghost – Eclipse
ニューメタルコア的アプローチをみせるアトランタ出身ポストハードコア/メタルコアバンド、No Ghostのミュージックビデオ「Eclipse」がBVTV Musicから発表され、1ヶ月で2万回再生を記録しています。ヘヴィである事が当たり前な現行ニューメタルコアシーンでありますが、彼らはポストハードコア/メタルコアにそのスタイルを注入している、といったイメージで面白いです。

http://www.Facebook.com/NoGhostATL

【まとめ】初めてデスコアを聴く人のためのプレイリスト(解説あり)

近年盛り上がりを見せるデスコア。

デスコアを初めて聴く人に向けたプレイリストを作成しました。

各バンドのちょっとした解説やコラムなども載せているので、是非再生しながら読んでみて下さい。

プレイリストをさっさと聴かせろ!という方は目次からジャンプ!

 

デスコアとは何か?

デスコアとは、一般的な解釈としてデスメタル+メタルコア

或いはデスメタル+ハードコアというように、ジャンルのクロスオーバーによってシーンに定着していった言葉である。

古くは90年代あたりからこの言葉を用いたり、自らのバンド名を“DEATHCORE”と名乗るバンド等は確かに存在したが、ムーブメントにまでは至らなかった。

現在主にデスコアとして認識されているジャンルが定着し始めたのは2000年代初頭あたりで、Animosityが打ち出したデスメタルとメタルコアの融合や、

デスメタル出身のメンバーが多いDespised Icon、ビートダウンハードコアスタイルでズンズンと打ち下ろすThe Acacia Strain、あるいはマスコア的な要素を多分に含んだThe Red Chordなども挙げられるだろう。

一口にデスコアといっても、各々のメンバーがルーツとするものの違いによって音楽性は様々に変化する。

そして何より、上に挙げたバンド達は当時は「デスコアやろうぜ」という感覚ではプレイしていなかったというのが個人的な見解だ。

2010年代以降のデスコアサウンドのが馴染みが深い人にとっては、Despised IconやThe Acacia Strainなどは逆に新鮮に聞こえてくるかもしれない。

UKのBring Me The Horizon, USAのSuicide Silence

上述したバンドによって築かれた礎をもとに、爆発的に知名度を伸ばしたバンドがいる。

イギリスではラウドロックシーンでお馴染みBring Me The Horizon、アメリカのカリフォルニアではSuicide Silenceが当時のキッズ達を大いに湧かせた。

Bring Me The Horizon

 

Suicide Silence

 

Bring Me The Horizonのファンなら周知の事実だが、彼らがデスコアを演っているのは本当に初期だけで、

作品毎に自身の音楽性をことごとく変化させていくが、この2バンドの登場によって“デスコア”というジャンルは急加速的にシーンに浸透していった。今思い返せば、ボーカルの姿には共通点がある。

細身の身体に全身タトゥーを刻み込み、大して自分達と年齢の変わらない若者がエクストリームな音楽をプレイしている。

そういう意味で、このボーカリスト2人は当時のリスナーにとって非常にアイコニックな存在として映っていた。

残念ながらSuicide SilenceのボーカリストMitch Luckerは不慮の事故によって2012年に他界してしまっている。

様々な形で進化を遂げるデスコア

ジャンルの隆盛に伴い、デスコアの中でも細分化してジャンル分け出来る程に今のシーンは複雑化している。

以下に代表的なデスコアのサブジャンルを挙げていく。

ブルータルデスコア

デスコアの中でもブルータルデスメタルに強く影響を受けたと考えられるバンド。

CryptopsySuffocationなどからの影響を受けたピュアなブルータルデスコアから、DevourmentDying Fetusなどのスラミングスタイルを実践するバンドもいる。

特に昨今ではスラミング要素を用いたデスコアバンドが急増しており、“スラミングデスコア”としてカテゴリー分けをしても良いぐらいバンドの数は多い。

テクニカルデスコア

テクニカルデスメタルからの影響を強く受けたデスコアバンド達もいる。ObscuraMeshuggahといったプログレッシブ〜グルーヴ要素を重視するバンドや、Brain Drillらの影響下にあるバンドも数多く存在する。

プログレッシブデスコア

上述したテクニカルデスコアと似ているが、主にメタルコアの手法における“プログレッシブ”要素にフォーカスしたバンドも数多く存在する。

Djent的なグルーヴを押し出した初期のVeil of Mayaや、シンセサイザーによる荘厳なアレンジを打ち出したBorn of Osiris、最近で言えばロシアのShokranなどはオリエンタルな世界観を独自のプログレッシブデスへと落とし込んでいる。

シンフォニックデスコア

シンフォニックメタルから影響を受けたデスコア。こちらも上述したプログレッシブデスコアと共通する部分があり、Born of Osirisなどはどちらで捉えても良いかもしれない。

Winds of PlagueやフランスのBetraying the MartyrsMake Them Sufferなどがよく挙げられる。

ブラッケンドデスコアとして捉えられる場合もあるが、

これは“何をブラックメタル要素とするか”という解釈によって受け取り方が大きく違うことに起因する。

ブラッケンドデスコア

ブラックメタルに影響を受けたデスコア。ビジュアルイメージとして取り入れる場合や、単にクワイアやオーケストレーションを取り入れたバンドもこのジャンルに分類される場合があるため、シンフォニックデスコアとの境界が非常に曖昧。

ブラックメタル特有のデプレッシブな空気や歌詞の世界観を提示するバンドも中には存在するが、その場合また違った形容のされ方をしている場合もあるので非常に線引きが難しい。

ダウンテンポデスコア

デスコアの中でも特にテンポが遅く、何重にも折り重ねて落とし込んでいくスタイルが特徴で、Chelsea GrinOceanoI Declare Warなどが代表的なバンド。

昨今ではこれを更に極限まで低音化と鈍重化を極めた“ドゥームコア”などと自称するBlack Tongueや、Bound in Fearなどのバンドも存在する。

メロディックデスコア

メロディックデスメタルからの影響を強く受けたデスコア。

メタルコア的な手法を取り入れるバンドもそう形容されることが多い。

刻みに特化したのがダウンテンポデスコアなら、メロディックデスコアはその対極にあると考えると良いかもしれない。

エクスペリメンタルデスコア

2000年代初頭あたりのマスコアと融合しながら成長を見せたジャンル。

iwrestledabearonceSee You Next TuesdayDysphoriaなど、カオティック要素の強いデスコアとマスコアを融合したようなバンドが形容されることが多い。

初めてデスコアを聴く人に向けた珠玉の10曲

本来であれば到底10曲では収まらないぐらいオススメの曲やバンドはいるが、その中でもシーンの歴史を語る上では外せないデスコアの名曲を10曲に凝縮。

デスコアの入り口として機能することを願っています。