7th Nemesis 『Deterministic Nonperiodic Flow』 (2010年 – Great Dane Records)

7th Nemesis 『Deterministic Nonperiodic Flow』 (2010年 – Great Dane Records)

  1. Distorted Mass (Of Unformed Matter) 10:25
  2. Seeding Devolution 05:02
  3. Legacy of Supremacy 06:04
  4. Reverse Engineering 06:45
  5. The Sarcastic Maze 06:17
  6. Random Ascension 05:08
  7. Ashes of a New Era 05:25

2001年ル・ペルー=シュル=マルヌにて結成。メロディック・デスメタル・バンドInward Mindの解散をきっかけに生まれ、活動をスタート。”エクストリーム・プログレッシヴ・メタル”を自称し、本作までに2枚のフルアルバムをリリースした。同郷のGreat Dane Recordsと契約、Pitbulls in the NurseryのFrancescoをプロデューサーに迎えた本作は、デスメタルを基調に、テクニカルでプログレッシヴなフレーズが嵐の如く炸裂。時折ニューメタルにも近いフレーズを差し込むなど、独創的なスタイルを見せてくれる。

視聴URL : https://greatdanerecords.bandcamp.com/album/deterministic-nonperiodic-flow

Kronos 『Arisen New Era』 (2015年 – Unique Leader Records)

Kronos 『Arisen New Era』 (2015年 – Unique Leader Records)

 

Infernal Abyss Sovereignty
Zeus Dethroned
Soul-Voracious Vultures
Rapture In Misery
Klymenos Underwrath
Aeons Titan Crown
Brotherlords
Purity Slaughtered
Hellysium

 

Michaël、Christopheが脱退、オリジナルメンバーがJérômeだけとなった彼らの8年振り4枚目フルレングス。本作からAtaraxis,、Diluvian、Antropofago、Mehtnakrissなどで活躍したボーカルTrivetteが加入、4人体制で制作された。Kronos最大の魅力であるJérômeとRichardコンビの美しいギターワークは健在で、荘厳なメロディを巧みに奏でている。タイトなドラムワークも迫力満点で、怒涛のリフワークに食らい付くパワフルさに溢れている。ブルータルでありながら美しく、どこか『Colossal Titan Strife』を彷彿とさせる雰囲気がある。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=wXO6ckyyvrI” /]

 

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2001 – Titan’s Awakening
2003 – Colossal Titan Strife
2007 – The Hellenic Terror
2015 – Arisen New Era

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Kronos 『The Hellenic Terror』 (2007年 – Xtreem Music)

Kronos 『The Hellenic Terror』 (2007年 – Xtreem Music)

The Road Of Salvation… 4:00
Bringers Of Disorder 4:04
…Until The End Of Time 4:53
Suffocate The Ignorant 3:29
A Huge Cataclysm 4:36
Tricephallic Hellkeeper 3:40
Petrifying Beauty Part 1. Divine Vengeance 3:19
Petrifying Beauty Part 2. The Murderous Reflection 3:52
Ouranian Cyclops 5:06
Maze Of Oblivion 4:16

4年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。これまで驚異的な迫力を見せてきたドラミングはやや落ち着き、整合感を重視。本作はスタンダードなテクニカル・デスメタル・スタイルによって浮き彫りになったモダンな才能が開花したように感じる。ボーカルChristopheは初期のブラックメタルな歌唱スタイルから、力強いローガテラルを操るパワースタイルもそつなくこなす。「The Road Of Salvation…」や「Ouranian Cyclops」など新たなKrosisらしさ感じる楽曲が目白押し。2009年にはデモやデビュー作をコンパイルした『Prelude to Awakening』を発表。

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2015 – Arisen New Era

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Kronos 『Colossal Titan Strife』 (2003年 – Extreem Music)

Kronos 『Colossal Titan Strife』 (2003年 – Extreem Music)

Mythological Bloodbath 0:40
Colossal Titan Strife 3:36
Submission 2:18
Opplomak 4:17
With Eaque Sword 4:47
Aeternum Pharaos Curse 4:09
Haterealm 2:55
Monumental Carnage 4:43
Phaeton 6:06
Kronos 3:30
Infernal Worms Fields 5:49

前作に続きギリシャ神話の巨神族Titanをテーマに制作されたセカンド・アルバム。本作からギタリストがRichardにスウィッチ。バンドの中心メンバーであるギタリストJérômeとドラマーMichaëlのコンビネーションが素晴らしく、メロディック・デスメタルの影響を強く感じるリズムセクションが強化され、キャッチーな仕上がりとなっている。新加入Richardのギターワークも素晴らしく、狂気を孕んだデスメタリックなソロパートが随所に盛り込まれ、洗練されたKronosの世界観の重要部分を担う役割を果たしている。印象的なアートワークはMichael Briotによるもの。

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Kronos 『Titan’s Awakening』 (2001年 – Second Side)

Kronos 『Titan’s Awakening』 (2001年 – Second Side)

Mashkhith (Descent Into Evil Wrath) 3:52
Sysiphe (Renewal Eternal) 2:47
Enslaved By The Madness (Spiritual Dedale) 4:10
Bloodtower (Architect Of Our Grave) 3:53
Eternal Mindtrap (Labyrinth Of Time) 5:03
Outrance 0:05
Sadistik Retribution (Under My Domination) 4:49
Warmaggedawn (Ancestral War Supremacy) 3:19
Dismember 2:56
Disease Of God (Ode To The Mighty Battlelord) 4:08
Demence Of The Gnomish Warriors 0:42
Supreme Nordik Reign (Conquerors Of The Dark Age) 3:13

1994年ロレーヌで結成。本作はボーカルChristophe Gérardin、ギタリストの
Jérôme GrammaireとNicolas、ベーシストThomas、ドラマーMichaël Saccomanの5人体制で制作された。結成当初からギリシャ神話をテーマに楽曲制作を行い、オールドスクールなサウンド・プロダクションを基調にドラマティックな世界観を演出。リバーブの効いたドラム・サウンドが印象的で自由自在にテンポを操りながら楽曲を牽引、ハーモニー豊かなギターのリードもまたセンスを感じる。アートワークはJaromír Bezručによるもの。

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Deivos 『Emanation From Below』 (2006年 – Empire Records)

Deivos 『Emanation From Below』 (2006年 – Empire Records)

1997年ポーランド東部に位置しウクライナ、ベラルーシと接するルブリンを拠点に結成。ギタリストのTomasz Kołconを中心に、ドラマーKrzysztof “Wizun” Sapan、ベース/ボーカルJaroslaw Pieńkoś、AbusivenessのギタリストMścisławの4人体制で本作の制作をスタート。タイトなドラミングが変幻自在にグルーヴを演出。「Battle for Dominance」や「Divine Defilement」などカウベルが効果的に挿入された楽曲が多く、面白いアクセントになっている。リフの一つ一つにコクがあり、聴けば聴くほど味わい深くなっていく。

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2006 – Emanation From Below
2010 – Gospel of Maggots
2011 – Demiurge of the Void
2015 – Theodicy
2017 – Endemic Divine
2019 – Casus Belli

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Deivos 『Gospel of Maggots』 (2010年 – Unique Leader Records)

Deivos 『Gospel of Maggots』 (2010年 – Unique Leader Records)

4年振りのリリースとなったセカンドアルバム。前作『Emanation From Below』はワールドワイドな人気を獲得し、バンドはUnique Leader Recordsとの契約を果たした。プロダクションは同郷にあるHertz StudioのWiesławski兄弟が手掛けている。前作でDeivosサウンドの最も個性的な要素であったカウベルをたっぷりと盛り込み、よりブルータルな気概溢れるエナジーを感じる。「Wretched Idolatry」や「Kept in the Dark」はアルバムの中でもキーとなる楽曲で、彼らのテクニックを十二分に堪能することが出来る。

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2006 – Emanation From Below
2010 – Gospel of Maggots
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2015 – Theodicy
2017 – Endemic Divine
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Deivos 『Demiurge of the Void』 (2011年 – Unique Leader Records)

Deivos 『Demiurge of the Void』 (2011年 – Unique Leader Records)

“僅か1年足らずで発表されたサード・アルバム。ベース/ボーカルを担当していたJaroslawが脱退。新たにUlcerのボーカリストHubert Banachとベーシスト
Kamil Stadnickiが加入し5人体制となっているアートワークからも分かるように前作『Gospel of Maggots』の延長線上にある本作は、暴虐的なスピードを見せるドラミングが素晴らしく、緻密なシンバルワークとカウベルのアクセントが絶妙なグルーヴィーな仕上がりとなっている。そのスピードとグルーヴが同居するサウンドに必要なテクニックがしっかりと備わっており、前作以上にカオスに暴れ回るDeivosサウンドが炸裂する。”

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2006 – Emanation From Below
2010 – Gospel of Maggots
2011 – Demiurge of the Void
2015 – Theodicy
2017 – Endemic Divine
2019 – Casus Belli

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Deivos 『Theodicy』 (2015年 – Selfmadegod Records)

Deivos 『Theodicy』 (2015年 – Selfmadegod Records)

4年振りのリリースとなった本作は、同郷のエクストリーム・メタル/ハードコア・パンク・レーベルSelfmadegod Recordsと契約して発表された。これまでと打って変わり灰色のダークなアートワークを持つこの作品は、前作『Demiurge of the Void』で絶頂に達したDeivosのエナジーを一度整理するような作品になっているように感じる。これまで通りパワフルでスピーディではあるものの、プログレッシヴな趣を僅かに取り入れたことで、グルーヴを生み出すテクニックの妙を聴き取りやすくリスナーに提示する。パワーでなくセンスで勝負した作品。

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2006 – Emanation From Below
2010 – Gospel of Maggots
2011 – Demiurge of the Void
2015 – Theodicy
2017 – Endemic Divine
2019 – Casus Belli

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Deivos 『Endemic Divine』(2017年 – Selfmadegod Records)

Deivos 『Endemic Divine』(2017年 – Selfmadegod Records)

2年振りのリリースとなる本作は、デビュー作からギタリストを務めてきたMścisławが一時的にバンドを離れた為、SphereのJakub Tokajが参加している。本作では初めてエンジニアが変更されており、ポーランドの様々なメタルバンドを手掛けるTomasz Zalewskiがミックスからマスタリングまでを担当した。オープニングを飾る「Daimonion」からKrzysztofの個性的なドラミングを軸に展開されるDeivosらしい究極のグルーヴがスピーディに駆け抜けていく。後半の3曲を除く楽曲は2〜3分前後で聴きやすいのもポイントだ。

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2011 – Demiurge of the Void
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2019 – Casus Belli

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Deivos 『Casus Belli』(2019年 – Selfmadegod Records)

Deivos 『Casus Belli』(2019年 – Selfmadegod Records)

コンスタントにリリース続けるDeivosの通算6枚目フルレングス。Ulcerから加入したHubertとKamilもすっかりDeivosスタイルに溶け込み、不動のポリッシュ・テクニカル・デスメタルを鳴らし続けてきた。これほどまでにスタイルチェンジしないバンドも珍しいが、彼らの場合ファンがそれに飽きることはないだろう。アルバムのタイトルトラックである「Casus Belli」から、ソリッドで残忍なリフが織りなす整合感のあるブルータル・デスメタルが駆け抜けていく。キャリア史上最高に美しいアートワークは同郷のMaciej Kamudaによるもの。

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ゴアグラインド 2021年の名盤 TOP9

 

数十年、ゴアグラインドをウォッチしていますがやはりベテラン勢が元気だ。今年はLast Days of Humanity、Spasm、Gutalax、Intestinal Disgorgeと名の知れたゴアグラインド・バンド達がアルバムをリリースし、個人的にも一時期過去の作品を引っ張り出して聴いたりリバイバルしていました。ゴアノイズ系もGORENOISE SUCKSなどオンライン上に点在するゴアノイズを統括する存在がいたり、YouTubeチャンネルGore Grinderが最新作をピックアップしバンドもシェアするなど一つの拠点になっている。ベテランから新しいプロジェクトまで、サウンドのクオリティとかは無視して”刺激的だったもの”を中心にピックアップしてみました。若干汚い、グロいアートワークもあるので、苦手な方は目を細めて呼んで下さい笑

 

 

第9位 : Intestinal Disgorge – Scat Blast
Link : https://intestinaldisgorge.bandcamp.com/album/scat-blast

 

1996年から活動するテキサス州サンアントニオのゴアグラインド・レジェンド、Intestinal Disgorgeの新作。でっかいうんこに勇ましさを感じるアートワークはもちろんYouTubeではモザイク必須。どうやらいくつか別にジャケットが存在するようですが、見ない方がいいと思います……。さて肝心の内容ですが、このアルバムからギタリスト不在、ベーシストが3人いるという意味不明なメンバーラインナップで録音されており、嘘かと思いきや本当にギターレスで様々なベースラインが交差しています。ドラムは結構かっこいいんですが、ボーカルは20年間「キャー」しか言ってないですね。たまにはメロディアスに歌いたいとか思わないんでしょうか…..。ゴアグラインドも20年続けると誰かに尊敬されたりするので、何事も継続が大事です。色々言いましたが、普通にかっこいいアルバムです。

 

 

第8位 : Columbine Carcass – Columbine Carcass
Link : https://columbinecarcass666.bandcamp.com/album/columbine-carcass

 

ジョージア州アトランタを拠点に活動するゴアグラインド・ユニット、Columbine Carcassのセルフ・タイトル作。バンド名はもちろんコロンバイン高校銃乱射事件に由来しており、アートワークは射殺されたエリック・ハリスとディラン・クレボルドの有名な写真。ゴアグラインドは刺激的な死体の写真のコラージュなどが多いが、あまり殺人事件をコンセプトに楽曲制作からアートワークに至るまで一貫性のあるものは少ない。集中力のない音楽なので、そうした作品をゴアグラインドで作り込むという文化がない。彼らも楽曲までは事件に関するものではないにしろ、数ある凶悪事件などをテーマにしたアルバムやプロジェクトがもっとあってもいいと感じられた一枚。サウンドも個人的には良いと思える雰囲気があって、雑にプログラミングされたドラムの上をゴミみたいなディストーションが適当にかかったリフを錯乱状態の人間が弾いてるのが最高。

 

 

第7位 : Putrid Stu – Amidst an Anal​-​Analgesic Assembly
Link : https://putridstu.bandcamp.com/album/amidst-an-anal-analgesic-assembly

 

オハイオ州デイトンを拠点に活動するワンマン・ハイスピードブラスティング・ゴアグラインド・プロジェクト、Purtid Stuの新作。本作はドラマーにタイのブラスティング・ブルータルデスメタルバンドEcchymosisのPolwachが参加している。とにかくスネアのハイピッチ具合が強烈で、スネアじゃなくて空き缶を叩いているのではないか疑惑があります。1曲あたり10秒程度が平均で最後の「Crohn’s Last Breath」のみ1分というショートカット具合も良いですね。アートワークはモザイク入ってますがアルバムを買うと無修正版が見られます。

 

 

第6位 : Retching Pus – Smears of Red Stool
Link : https://retchingpusgore.bandcamp.com/album/smears-of-red-stool

 

ニューヨークを拠点に活動するワンマン・ゴアグラインド・プロジェクトの2021年2作目。割とゴーリー・グルーヴもあり、ギリギリObscene Extreme出れる感じのサウンドではありますが、基本的に雪崩の如く崩壊し続けるノイジー・ブラストビート炸裂系ゴアグラインドを展開。IllustlatorとかPhotoshopというソフトに頼らず切り貼りしてスキャンしたアートワークが最高です。ゴアグラインドはやっぱりショートカットで演奏技術を習得する根気がない人間にぴったりの音楽。ゴアグラインドの人間性の特徴が滲み出た一枚。

 

 

第5位 : Labia Meat Mud Flap – Labia Meat Salad
Link : https://gorenoisesucks.bandcamp.com/album/labia-meat-salad

 

出身国不明、ですがおそらくアメリカ拠点のぽんこつサイバー/ゴアグラインド・ユニット、Labia meat Mud FlapのGORENOISE SUCKSから出た本作。Windows XP直系フリー打ち込みソフトで作られたかのようなトラックは2000年代後期、ゴアグラインドを夢中でディグっていた時に多発していたKOTS周辺のゴア〜ニンテンドーコアの趣が感じられて懐かしい気持ちになります。どこで見つけてきたのか不思議になってしまう意味不明なサンプリングSEを長々と冒頭に持ってくるのも最高です。全く次作に期待とかしてませんが、こういう作品を年間10枚位出し続けて欲しいですね。

 

 

第4位 : First Days of Humanity – Mineralized
Link : https://firstdaysofhumanity.bandcamp.com/

2019年結成、アリゾナ州フェニックスを拠点に活動するワンマン・ゴアグラインド・プロジェクト、First Days of Humanityの最新作。活動スタートからハイペースでリリースを続けていて、一体これが何作目なのかは本人にしか分からないでしょう……。バンド名はもちろんLast Days of Humanityからきていて、そのサウンドもハイスピード・ブラストに雪崩の如く襲いかかるノイジーなリフ、そして下水道ボーカルが乗ってくる溺死系ゴアグラインド。目新しいことは何一つしていないが、ハイペースなリリース、一貫したアートワーク、Last Days of Humanityへのリスペクト、それらがただただ素晴らしい。来年は何作出るだろうか。

 

 

第3位 : Spasm – Mystery of Obsession
Link : https://rottenrollrex.bandcamp.com/album/mystery-of-obsession

 

2000年代初頭から活動するチェコのゴアグラインド・トリオの4年振り6枚目のフルアルバム。Gutalaxの先輩にあたる彼ら、アートワークが楽曲にファニーな要素は少なく、どちらかというとSMネタが多いポルノ・ゴアグラインドの系譜にあります。本作も歪んだ性癖をテーマに2分に満たないゴアグラインド曲をノンストップで繰り広げていく。曲名がかなり最悪で、「Masturbation Never Breaks Your Heart」、「Garlic Sperman」、「Harvest of Cocks」、「Pussy is The Most Effective Tool of Love」などなど常人には考えられないタイトルばかり。

 

 

第2位 : Last Days of Humanity – Horrific Compositions of Decomposition
Link : https://rottenrollrex.bandcamp.com/album/horrific-compositions-of-decomposition

 

1989年から活動するオランダ出身のゴアグラインド・レジェンド、Last Days of Humanityの再結成後初となるフルアルバム。2006年にリリースしたアルバム『Putrefaction In Progress』は、後のゴアグラインド・シーンの典例とも言えるサウンドで大きな影響をもたらしたものの、バンドは解散してしまった。2010年に復帰後はスプリット作品などのリリースをマイペースに続け、なんと本作が15年振りのフルアルバムとなる。もう少し話題になるべきだったが、大々的なプロモーションを全く行わなかったのと、ファンが期待していた生臭いアートワークではなく、インターネットで使い古されたホラー画像のアートワークが不評だったのが原因でアルバムが出たことに気づいていない人も多いかもしれない。これがれっきとしたニューアルバムなのかどうか、そのサウンドだけでは区別がつかないという人が多いのも原因でしょうね…。解散直前のハイピッチ・スネアが音速で駆け抜けていくスタイルではなく、初期のバンド・サウンドへと回帰。『Putrefaction in Progress』のイメージが強すぎて若干の違和感があると思いますが、総じてピュアなオールドスクール・ゴアグラインド。最高のアルバムだと思います。

 

 

第1位 : Gutalax – The Shitpendables
Link : https://rottenrollrex.bandcamp.com/album/the-shitpendables

 

チェコを代表するゴアグラインドバンド、Gutalaxの6年振りとなるアルバムは、お馴染みのRotten Roll Rexからリリースされた。Obscene Extremeの目玉バンドとして知られる彼ら、コンセプトは結成当時からブレることなく”うんこ”です。10年以上うんこへの情熱を絶やすことなく続け、ミュージックビデオやアートワークに至るまでうんこがべっとり、さらにはステージに簡易トイレまで設置してしまうからその徹底っぷりは凄まじい。彼らはゴアグラインドのファニーな要素の完璧さに加え、曲もかなり良くて、おそらくソングライティングを担当しているメンバーはハードコア/メタルコア/デスコアを通過していると思われます。ソリッドでキャッチーなリフワークにピッグ・スクイールがバウンシーにのせてきます。

 

 

ゴアグラインド 2022年の名盤10選

テクニカル・デスメタル 2021年の名盤15選

 

なんだかんだ数十年と追いかけ続けているプログレッシヴ/テクニカル・デスメタル。近年は全体的な演奏技術、サウンド・プロダクションが向上し過ぎてて、テクニカルとそうでないものの線引きが非常に難しい。そもそもテクニカル・デスメタルという言葉がかなり曖昧で、誕生からそれなりに時代を経過していることもあって、一度整理して考えないといけないタイミングだと思う。

 

今回リストアップした作品はプログレッシヴ・デスメタル、ブルータルデスメタルの中から特にテクニカルなスタイルにフォーカスしている作品を中心にピックアップしている。そしてそのテクニカルとは、ブラストがスピードとかリフのスピードとかだけでなく、演奏技術が優れていればテクニカルとして考えている。〜デスメタルというサブジャンルがそれぞれにあり、その中でテクニカルなものを選出しているので、総合的に見てブルータルデスメタルであったりプログレッシヴデスメタル、はたまたメロディックデスメタルであるものもある。現代におけるテクニカル・デスメタルを考えたときに大元のジャンルがなんであれ、テクニカルとタグ付けすることが出来ればそれはテクニカル・デスメタルになる、と思う。そういう視点で今回15枚の作品を選び、レビューしてみた。

 

 

第15位 : Cathexis 『Untethered Abyss』

Release : Willowtip Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Cathexis/3540360378

 

今年結成10周年を迎えたテキサス州オースティンのテクニカル・デスメタル中堅、Cathexisの8年振り通算3枚目のフルレングス。Scattered RemainsのIan Bishopがボーカルを務め、Sam KangとChris Hillamがギタリスト、Tony Montana’s Last Standなどで活躍したベーシストOscar Martinez、BallgagのドラマーFelix Garzaの5人体制で活動しており、Willowtip Recordsとの契約を勝ち取ってのリリースとなった。

 

プログレッシヴとアヴァンギャルドの中間をいくミドルテンポの楽曲が中心で、ガリガリとリフを刻みつつもメロディアスであるのがCathexisの魅力だ。Willowtip Recordsらしいサウンドであるので、レーベルのフォロワーでまだチェックできていない方がいたら年末に向けて聴き込んでいただきたい。おすすめの曲は「Mortuus in Perpetuum」。

 

 

 

 

第14位 : Path to Kalinin 『Lineage』

Release : Independent
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Path_to_Kalinin/3540491761

2021年テネシー州ナッシュビルを拠点に結成されたテクニカル/メロディック・デスメタルバンド。While You Were Asleepで活躍するベーシストTommy FireovidとドラマーRikky Hernandez、Kryptik EmbraceのギタリストだったRikk Hernandez、そして伝説のサタニック・デスメタルバンドNunslaughterのギタリストとして2014年から活躍するNoah Nuchananがリード・ボーカルを務める。

基本的にはメロディアスなギターを携えブラストしまくるファストなテクニカルサウンドが売りであるが、雄大なクリーン・パートも組み込むあたりはなかなかオルタナティヴな感覚があるのだなと感心。楽曲も聴き込むにつれ味わい深さを増し、EPというサイズでありながらその世界観は一級品。

 

 

 

 

第13位 : Alustrium 『A Monument to Silence』

Release : Unique Leader Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Alustrium/3540314183

ペンシルバニア州フィラデルフィアを拠点に活動するプログレッシヴ/テクニカル・デスメタルバンド、Alustriumの6年振り通算3枚目のフルレングス。非常に地味な存在であるが演奏技術は確かで、覆面バンドGalactic Empireの”中の人”も在籍している。ギタリストのMike DeMariaとChris Kellyがプロダクションを担当、ミックスまでを行い、Ermin Hamidovicがマスタリングを務めた。

 

雄大なリフ、そしてデスメタリックでありながらエレガントなメロディも巧みに弾きこなすMikeとChrisのギターだけでも抜群の聴きごたえ。Prosthetic Recordsが得意なメロディック・デスメタル/デスコア感をややテクニカルに寄せたスタイル、と言えば分かりやすいかも知れないが、現在の人気以上に凄いことをやっているバンド。じっくりと聴き込めば聴き込むほどに味わい深いアルバムだ。

 

 

 

 

第12位 : Unfathomable Ruination 『Decennium Ruinae』

Release : Willowtip Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Unfathomable_Ruination/3540315635

2010年からイングランド/ロンドンを拠点に活動するテクニカル・ブルータルデスメタルバンド、Unfathomable RuinationのEP。2019年のフルアルバム『Enraged & Unbound』は良い意味で無機質なテクニカル・マシーンっぷりを見せつけ、特にブルータルデスメタルシーンで高く評価された。

 

本作は限りなくブルータルデスメタルと言える残虐なフレーズが次々と繰り出されるがテクニカルな美的感覚が見事で、アヴァンギャルド、プログレッシヴとは明らかに違う「テクニカル・ブルータルデスメタル」のピュアなパッションが感じられるだろう。誰にも止められない暴走列車の如く叩きまくるドラミング、アクセルとブレーキを自由自在に操るリフ、これほどまでに見事な転調を繰り返すデスメタルバンドは他にない。

 

 

 

 

第11位 : Ominous Ruin 『Amidst Voices that Echo in Stone』

Release : Willowtip Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Ominous_Ruin/3540397429

 

2010年からカリフォルニア州サンフランシスコで活躍するテクニカル・ブルータルデスメタル中堅、Omnious Ruin待望のファースト・アルバム。これまでEPのリリースはあったものの2015年以降は新曲が出ていなくて、ややマイペースな活動スタイルがネックではあったが、本作はゲスト・ミュージシャンとしてFallujahのドラマーAndrew BairdやゲストボーカルにSymbioticのKris、Arcane ExistenceのJadeなどが参加。

 

プログレッシヴに刻まれるリフ、そしてメロディのバランス感覚も鮮やかで、疾走するマシーンのようなドラミングに食らいついていく様は見事だ。NileやDeeds of Flesh、Spawn of Possessionといった知的かつ感情の起伏が少ないテクニカル・サウンドが好きな方におすすめ。

 

 

 

 

第10位 : Hannes Grossmann 『To Where the Light Retreats』

Release : Independent
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Hannes_Grossmann/3540374264

 

ObscuraやHate Eternalで活躍し、Alkaloidのドラマーとして活躍する有名ドラマーHannes Grossmannの2年振り4枚目フルレングス。本作はゲストにDark FortressのVictor Bullok、Alkaloid、Dark FortressのFlorian Magnus Maier、Alkaloid、ObscuraのChristian Münzner、Alkaloid、AbhorrentのDanny Tunker、Alkaloid、Eternity’s EndのLinus Klausenitzerが参加しており、Alkaloidの新譜と言ってもおかしくない。明確に違うのは、Hannesは全てのソングライティングを担当しているという点とやはりドラマー視点で作られたプログレッシヴ・デスメタルであるというところだろう。

 

リードトラック「The Sun Eaters」はChristianのギターソロが炸裂、Victorのボーカルもインパクトが強く聴きどころと言えるが、やはりHannesのドラミングが最も輝いて聴こえる。このドラミングが他を牽引しながら楽曲が展開しているように感じるのは、ソロの楽曲だという先入観を抜きにしても感じられるはずだ。Hannesの叩きっぷりを感じながらアルバムに酔いしれて欲しい。

 

 

 

 

第9位 : Aeon 『God Ends Here』

Release : Metal Blade Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Aeon/327

 

スウェーデン/エステルスンドを拠点に活動するプログレッシヴ・デスメタル・ベテラン、Aeonの9年振りとなる通算5枚目のスタジオ・アルバム。名作『Aeons Black』以降に脱退したギタリストDaniel Dlimiがバンドに復帰したことをきっかけに息を吹き返し、Dark FuneralやDespite、ImperiumやBloodshot Dawnで活躍したドラマーJanne Jalomaが2020年に正式加入し制作活動がスタート。

 

Ronnie Björnströmをプロデューサーに迎えた本作は、漆黒のオーケストレーションをまとったデスメタル・サウンドをベースに、プログレッシヴなエレメントを要所要所に散りばめたベテランらしい小技が光る仕上がりになっており、タイトルトラックでありミュージックビデオにもなっている「God Ends Here」では、Behemothなんかにも匹敵する悪魔的な狂気に満ちていて思わず世界観に引き込まれていく。20年以上のキャリアを持つメタル・ミュージシャンらしい引き出しの多さが聴くものを圧倒する堂々の一枚。

 

 

 

 

第8位 : Interloper 『Search Party』

Release : Nuclear Blast
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Interloper/3540480465

 

2014年カリフォルニアを拠点に結成、いよいよ本格始動となったInterloperのデビュー・アルバムはその期待の高さを感じさせるNuclear Blastからのリリースだ。2018年にRings of Saturnを脱退したギタリストMiles BakerとドラマーAaron Stechauner、Vampire SquidのメンバーでAaronと共にThe FacelessのライブメンバーであるAndrew Virruetaによるトリオ体制を取り、他のプロジェクトが落ち着いたこともあってInterloperとして本格的に動く時間がとれたのだろう。

 

本作はAndrewの兄弟であるJoeyがプロデュースを担当、ミックス/マスタリングまでを務めている。古き良きOpethを彷彿とさせるプログレッシヴ感をベースにしながらも、ダイナミックなドラミングやメロディアスなギターパートを交えながら叙情的に楽曲を展開。特にタイトルトラックである「Search Party」は、彼らのキャリアを考えるとこれまでにないバラード調の楽曲であるものの、しっかりとものにしている。

 

ミュージックビデオになっている「Drift」では、メタルコア/デスコアのアイデアも組み込みながら、新世代のプログレッシヴ・グルーヴのうねりを生み出している。バンドのヴィジュアル・コンセプトになっている大海原のように、底知れぬポテンシャルを見せたデビュー・アルバム。

 

 

 

 

第7位 : Crown Magnetar 『The Codex of Flesh』

レーベル : Independent
Link : https://www.facebook.com/crownmagnetar

 

本作は、2016年コロラド・スプリングスを拠点に活動をスタートさせたCrown Magnetarのデビュー・アルバム。2018年にEP『The Prophet of Disgust』リリース後、コアなデスコア・リスナーから支持を集め、カルト的な人気を博していた。本作もレーベル未契約で発表されたものの、クオリティは世界トップクラス。

 

卓越されたテクニックから繰り出される音速のドラミングには度肝を抜かれること間違いなし。Infant AnnihilatorやOphidian Iなど、様々なジャンルに人間離れしたドラマーがいるが、Crown MagnetarのByron Londonのプレイには久々に衝撃受けた。

 

 

 

 

第6位 : Inferi 『Vile Genesis』

Release : The Artisan Era
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Inferi/93823

 

テネシー州ナッシュビルを拠点に活動するテクニカル・デスメタルバンド、Inferiの2年振り通算6枚目フルレングス。この手のジャンルのバンドにしてはかなり多作で、近年の存在感の強さはオンラインにおいても強く感じる。本作はプロデューサーにDave Oteroを起用、ミックス/マスタリングまでを務め、アートワークはHelge Balzerが担当しているが、一部Pär Olofssonが手掛けているようだ。

 

Stevieのハイテンションなボーカルは、シンフォニックなオーケストレーションを携え疾走するメロディアスなデスメタル・サウンドにハリをもたらし、優雅に転調するサウンドの肝になっている。まるでクラシックのコンサートを観ているようなエレガントさも感じられ、グッとテクニカル・デスメタルにおける地位を高めることに成功したように感じる。

 

 

 

 

第5位 : Rivers of Nihil 『The Work』

Release : Metal Blade Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Rivers_of_Nihil/3540301156

 

ペンシルバニア州リーディングを拠点に活動するプログレッシヴ/テクニカル・デスメタルバンド、Rivers of Nihilの3年振り通算4枚目となるスタジオ・アルバム。ギタリストであり、オーケストレーションのプログラミングやキーボードを兼任するBrody Uttleyがプロデュースを担当、Galaxtic EmpireのGrantとCarsonがそれをサポートする形で制作が行われた。シーンにおける有名アートワーカーDan Seagraveが描いた幻想的な世界観はプログレッシヴ・デスメタルシーンでも特異な存在感を放つRivers of Nihilにぴったりだ。

 

本作もBurial In The Skyのサックスフォン奏者Zach Strouseをフィーチャー、アルバム収録曲の半分に彼のサックスが挿入されている。様々サブジャンルが存在するメタルの中でもサックスとの親和性があるのは、プログレッシヴなものが多い。もちろんアヴァンギャルドなシーンではNaked Cityを彷彿とさせるようなエクスペリメンタル・ジャズ、フリージャズ的なサックスは導入されてきた事例があるが、とろけるようなサックスの音色とヘヴィ・ミュージックのブレンドはセンスが必要だ。

 

アルバムのリードトラック「Clean」はミュージックビデオになっていて、公開から半年足らずで20万回再生目前だ。ずっしりと重くヘヴィなビートに力強く刻み込まれるプログレッシヴなリフ、暗く知的な歌詞世界に引き込まれそうになる。大規模なステージで彼らが演奏している光景が目に浮かぶ、ステップアップを遂げた一枚。

 

 

 

 

第4位 : Obscura 『A Valediction』

Rlease : Nuclear Blast
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Obscura/63100

 

2002年からドイツ/ミュンヘンを拠点に活動するプログレッシヴ・デスメタルバンド、Obscuraの3年振り通算6枚目のフルレングス。ベーシストJeroen Paul Thesseling、そしてギタリストChristian Münznerが復帰し制作されたアルバムだ。詳しいレビューは別記事を参照下さい! (https://riffcult.online/2021/11/19/obscura-a-valediction-2/)

 

 

 

 

第3位 : First Fragment 『Gloire Éternelle』

Release : Unique Leader Records
Link : https://www.metal-archives.com/bands/First_Fragment/3540325573

 

テクニカル・デスメタル大国カナダの本場ケベックを拠点に2007年から活動するベテラン、First Fragmentの5年振りとなるセカンド・アルバム。大幅なラインナップ・チェンジがあり、ギタリストにUnleash the ArchersのNick Miller、ベーシストにAugury、ex.Neyond CreationのDominic “Forest” Lapointe、ドラマーにex.Sollum FatailsのNicholas Wellsが加入。最強とも言える布陣で彼らが挑んだのは、”ネオ・クラシカル・テクニカル・デスメタル”と言うサウンドの確立だ。

 

彼らの持ち味とも言えるフレッドレス・ベースのうねり狂うベースラインはDominicに変わっても健在、いや鋭さをましまるで生き物のように躍動しながら、ソロを弾きまくるギターに引けを取らない存在感を見せつけていく。クラシカルに転調しながらもテクニカル・デスメタルのヘヴィネスはしっかりとキープ、美しすぎる一枚。

 

 

 

第2位 : Ophidian I 『Desolate』

Release : Season of Mist
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Ophidian_I/3540347460

 

アイスランド/レイキャビクを拠点に活動するテクニカル・デスメタルバンドOphidian Iの9年振りとなるセカンドアルバム。大幅なラインナップチェンジはないものの、2019年にLord of Warで活躍したボーカリストJohn Olgeirssonが加入。サウンドも格段にレベルアップしSeason of Mistと契約を果たした。本作はギタリストのDaníel Máni Konráðssonがプロデュースを担当、ドラムのみStephen Lockhartがエンジニアリンクを行い、CryptopsyのギタリストChristian Donaldsonがミックス/マスタリングを手掛けた。

 

まるでDragon Forceがテクニカル・デスメタルをプレイしたかのようなスタイルとなったOphidian Iサウンドは他に類を見ないオリジナリティでシーンでの存在感を確固たるものとした。銀河を音速で移動するのにぴったりなサウンドトラック、と形容したくなるほど、煌びやかなメロディワークや滑らかに疾走するドラミングが印象的。これらを高次元融合させたChristian Donaldsonのミックス/マスタリングも素晴らしい。メロディック・デスメタル/スピードメタルの美的感覚を持ちながらも、プログレッシヴ/テクニカル・デスメタルのエクストリームな魅力も兼ね備えた作品はこれまでに存在しなかった。Ophidian Iがテクニカル・デスメタルに新たな流れを作ったことは間違いない。

 

 

 

第1位 : Archspire 『Bleed the Future』

Release : Season of Mist
Link : https://www.metal-archives.com/bands/Archspire/3540326229

 

2009年からカナダ/バンクーバーを拠点に活動するテクニカル・デスメタルバンド、Archspireの4年振り通算4枚目のフルアルバム。本作はプロデューサーにSerberus、Dethronedで活躍するDavid Oteroを起用し、彼のスタジオであるFlatline Audioで録音され、Davidがミックス/マスタリングまでを手掛けている。Archspireらしい「スピード」、「エクストリーム」、そして「ショットガン・ボーカル」を存分に味わうことが出来る作品となっており、過去最高傑作と言えるだろう。アルバムの聴きどころについてはリリースのタイミングで書いたこちらの記事を参照下さい (https://riffcult.online/2021/10/29/archspire-bleed-the-future-2/)

 

ブラッケンド・デスコア 2021年の名盤5選

 

デスコアのサブジャンルでありながら、近年枝分かれ的に注目されてきた「ブラッケンド・デスコア (Blackend Deathcore)」。今年は特に、来年以降の盛り上がりを確信するような仕上がりの作品が多数リリースされた。筆頭に挙げられるのはやはりLorna Shoreで、「To The Hellfire」のミュージックビデオ公開以降、デスコア以外のメタルリスナーからも支持を集め、Bring Me The Horizon、A Day To Rememberのツアーに帯同することも決まっている。彼らが自身の音楽をブラッケンド・デスコアだと自称しているわけではないが、ヘヴィでバウンシーなデスコアと轟音で疾走するブラッケンド・パートをブレンドしたサウンドでシーンから評価を得たことは、後続のバンドに多大な影響を与えたことだろう。

 

また、長らくブルータルデスメタルの老舗レーベルとしてメタルシーンに認知されていたUnique Leader Recordsも近年はデスコア・バンドとの契約に力を入れており、ブルータル・デスコアの他にブラッケンド系の獲得にも力を入れている。根強いファンベースを持つブラックメタルシーンとメタルコア、オルタナティヴといった若いファンベースから支持を得られれば、ブラッケンド・デスコアの未来は明るいと思う。2022年は間違いなくブラッケンド・デスコアの年になるので、その土台となった今年リリースの注目作を紹介したいと思う。

 

 

第5位 : Ov Sulfur – Oblivion

レーベル : Independent
Facebook : https://www.facebook.com/ovsulfur
Instagram : https://www.instagram.com/ovsulfur
Twitter : https://twitter.com/ovsulfur

 

一言コメント : ex.SuffokateのRicky在籍、タレント揃いのニューカマー

 

 

2021年から本格始動したex.SuffokateのRicky Hoover率いるネバダ州ラスベガス拠点の新星、Ov SulfurのデビューEP。Suffokateも2000年代後半からデスコアを聴いていない人にとっては、特段思い入れもないと思いますが、Mediaskare Recordsから2枚のアルバムをリリースし、Job For A CowboyやVolumesらと共にSuicide Silenceに次ぐデスコアのニューカマーとして人気を博したバンドで、Rickyのカリスマ性はSuffokateの活動が止まった2010年代中頃以降、伝説になっていた。そんな彼が再びバンド活動を再開するとあって、Ov Sulfurは今年、熱心なデスコア・リスナーから熱視線を集めた。中期Whitechapelを彷彿とさせるデスコア・サウンドに、重厚なオーケストレーションをブレンド、Rickyの存在感もさすがだが、クリーンパートも聴きどころの一つ。コテコテのブラッケンド感はないが、ブラッケンド・デスコアの入門作として非常に聴きやすい作品では無いかと思います。来年はフルアルバムを出してくれることを楽しみにしています!

 

 

第4位 : Arbitrator – Forsaken

レーベル : Independent
Link : https://linktr.ee/ArbitratorUS

 

一言コメント : 荘厳なオーケストレーション、エレガントでシンフォニー

 

 

アメリカとオーストラリア、それぞれに在住のボーカリストRyan Dennisとマルチ・ミュージシャンSean Sparacoによるシンフォニック・ブラッケンド・デスコアユニット、ArbitratorのデビューEP。サウンド・プロダクションはまだまだ荒削りな部分も多いが、シンフォニック・ブラッケンド・デスコアというサブ・サブジャンル的な音楽を上手く具現化していて、2021年出会ったアーティストの中でも非常に興味深い存在でした。デスコア要素は30%程度というのも他のブラッケンド・デスコア勢に比べると少なく、どちらかというとシンフォニック/ブラックメタル寄り。とは言え、しっかりとヘヴィなブレイクダウンを搭載しています。プロダクションの向上がブレイクの鍵になると思いますが、本作も十分高く評価出来ます。

 

 

 

第3位 : Mental Cruelty ‎– A Hill To Die Upon

レーベル : Unique Leader Records
Link : https://www.mentalcrueltyofficial.com/

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一言コメント : ブラッケンド・デスコアの完成形

 

 

2015年ドイツ/カールスルーエにて結成されたMental Crueltyの4枚目フルレングス。2019年からUnique Leader Recordsと契約し、本作が同レーベルからの2作目となる。ブラックメタルの雄大さ、壮大さをシンフォニック・メタルの手法を交えながらデスコアに落とし込んだスタイルで他を圧倒するクオリティのブラッケンド・デスコア・サウンドを確立。そのブレンド具合も絶妙で、「ブラッケンド・デスコア」として想像するサウンドの完成形がMental Crueltyと言っていいだろう。ボーカリストLuccaのインパクトは血塗れのビジュアルと合間って強烈。

ポイントとしてはLorna Shore同様、ドラムのサウンド・プロダクション。リフを調和した瞬間の瞬発力が凄まじく、地鳴りのようなブラストビートがたまらないという人が多いと思う。このタイプのヘヴィ感は2022年あちこちで聴かれるようになるだろうし、スラム系にも良い影響を与えるはず。

 

 

 

第2位 : Carnifex – Graveside Confessions

レーベル : Nuclear Blast
Website: http://www.carnifexmetal.com/
Facebook: https://www.facebook.com/CarnifexMetal
Instagram: http://www.instagram.com/carnifex
Twitter: https://www.twitter.com/carnifex
YouTube: http://bit.ly/subs-crnfx-yt

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一言コメント : 元祖ブラッケンド・デスコア、変化しない強さ

 

 

カリフォルニア州サンディエゴを拠点に活動するベテランCarnifexの、通算8枚目となるスタジオ・アルバム『Graveside Confessions』は、前作『World War X』からおよそ2年振り。メンバーチェンジもなく安定期を継続する彼らの新作は、アルバムタイトル・トラックで幕を開ける。自身はブラッケンド・デスコアの元祖である自覚があるかどうかと言われれば、はっきり断定はできないがブラッケンドな疾走感と残忍なリフワークを組み合わせたデスコア・サウンドが後続にもたらした影響は計り知れない。

 

アルバムには初期曲の再録も収録されており、2007年のデビューアルバム『Dead in My Arms』収録曲「Slit Wrist Savior」ほか、「Collaborating Like Killers」など渋い人気曲も現代的にアップデートされていて古くから彼らを追いかけているファンにはたまらないものがあるでしょう。今も昔のほとんどブレることなく、Carnifexサウンドを追求する姿勢は見習うものがあり、ブラッケンド・デスコアのオリジネイターとして心強い。

 

 

第1位 : Lorna Shore ‎– …And I Return To Nothingness

レーベル : Century Media Records

Facebook : https://www.facebook.com/LornaShore/
Instagram : https://www.instagram.com/lornashore
Twitter : https://twitter.com/LornaShore

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一言コメント : メタルの歴史を変えるヘヴィネス

 

やはり今年、ブラッケンド・デスコアを象徴する一枚として挙げたいのが新ボーカリストWill Ramosを迎え再出発となったLorna ShoreのEP『…And I Return To Nothingness』。3曲入り、EPというかシングルというか、とりあえずそんなこと関係なくこの作品が2021年デスコアシーンに与えた衝撃はデカ過ぎた。デスコアだけでなく、メタルコア、幅広いメタル・リスナーが彼らに注目したと思う。これまでの常識を覆す圧倒的なヘヴィネス、流麗なブラッケンド/シンフォニック・パート、テクニカルなドラミングにリフ、そしてなんといっても新たにLorna Shoreの顔となったWill Ramosの非人間的なボーカル・ワーク。どれをとってもネクスト・レベルであり、2022年にブラッケンド・デスコア・ムーヴメントを巻き起こすエネルギーに満ち溢れている。

 

 

ブルータル・デスメタル 2021年の名盤 9選

 

今年もこの時期がやってきました。RIFF CULTで1年間紹介してきたブルータルデスメタルのニュースを改めて自分で読み直し、良かった作品を聴き直し、ピックアップしてみました。

 

ジャンルの特性というか、ブルータルデスメタルを通過して誕生した様々なサブジャンルはあれど、基本的に大きな進化や変化のあるジャンルではないので、かなり個人的な好みが強いリストに毎年なってしまいます。なるべく客観的に2021年のブルータルデスメタルとして素晴らしいと感じたものを選んでいます。アルバムに絞らず、作品としてピックアップしているのでEPやライブアルバムも混じっていますがコンピレーションやボックスセットなどは省いています。知らない作品があれば、ぜひチェックしてみてください。冒頭には普段、ディグのメモとして活用しているYouTubeプレイリストも貼り付けて置くので、聴きながらリストを見ると面白いと思います。今年も素晴らしいブルータルデスメタルの作品にたくさん出会えて良かったです!

 

上記のYouTubeプレイリストで 2021年のブルータル・デスメタルをまとめてチェック。

 

 

第9位 : Perverted Dexterity 『Alacrity for Contemptuous Dissonance』

 

レーベル : Brutal Mind
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Perverted_Dexterity/3540346286

 

一言コメント : 「一人でもここまで作れるんだ」ということを世界に知らしめた一枚

 

インドネシアのワンマン・ブルデス、Perverted Dexterityの最新作。アルバムとしては2017年の『Spiritual Awakening』以来4年振り。これまでボーカル、ギター、ベース、ドラム・プログラミングと全てをJanuaryoひとりでやってきたが、本作はゲストにGorguts、Behold The ArctopusのギタリストColin Marston、ByoNoiseGeneratorのドラマーRoman Tyutinがゲスト参加している。

前作に比べダイナミズムを増したサウンド・プロダクションによって引き締まった印象を持つが、ハイスピードな前作にあった”インドネシア感”はやや薄れたように感じる。それでも垢抜けたといえるし、ワンランクレベルアップしたサウンドへと進化したと考えられる。先行シングルとしてリリースされた「The Arcane Profanity」は、バンド・アンサンブルの妙をワンマンながら上手く表現しているし、ワンマンでありながら、ここまでの作品を作ることが出来るということを世界に知らしめた意味で重要な作品だ。

 

 

第8位 : Omnioid – Regurgitated Inexistential Pestilence

レーベル : Amputed Vein Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Omnioid/3540376519

 

一言コメント : 轟音の中でキラリと光るクリエイティヴなフレーズ

 

西オーストラリアのマンジュラを拠点とするブルータルデスメタル・ユニット、Omnioidの4年振り3枚目フルレングス。前作『Hex Dimensional Paralysis』からチェックしていますが非常にポテンシャルの高いユニットで、Amputed Vein Recordsと契約したのも頷ける。

ギター、ベース、そしてドラム・プログラミングを兼任するSamboは、ボーカルのEwzaと共にCorpsefleshのメンバーとして活躍し、Anthropos VirosisというユニットからOmnioidへと転身。ユニットだからこその自由な作風がOmnioidらしさとして形になっている。クラシックなスタイルでありながら、現代的な感覚で鮮やかに転調しながら加速、時折みせるヘヴィなスラムリフも豪快かつ残忍でまさにブルータルなデスメタル。

 

 

第7位 : Cenotaph – Precognition to Eradicate

レーベル : Tentacles Industries / Coyote Records
info : https://www.metal-archives.com/bands/Cenotaph/1255

 

一言コメント : 程良いプログレッシヴ・フレーバー、ベテランの貫禄

 

1993年からトルコ/アンカラを拠点に活動するブルータルデスメタル・ベテラン、Cenotaphの4年振り7枚目のスタジオ・アルバムは、Tentacles Industries / Coyote Recordsからの共同リリース。もっと老舗と契約してるのかと思いきや、アングラ中のアングラ・レーベルから。やはりスラムが台頭して、クラシックなブルータルデスメタルの人気はやや落ちてきてるのかもしれません……。

 

だとしても、それでスタイルを変えるということは結成20年超えの大ベテランの選択肢にはないでしょう。オリジナルメンバーでありボーカルのBatu以外は2019年に加入していて、弱冠21歳のベーシストErenに、スイス出身のドラマーFlorent、フランス出身のMattisというラインナップ。程良いプログレッシヴ・フレーバーを交えながら基本疾走、適度に速度チェンジしながら暗黒のブルデス・サウンドを淡々とプレイ。ドラムのもたつき具合も味があるというか、おどろおどろしくさせている要因になっているかもしれません。Batuのボーカルも素晴らしい。

 

余談ですが、Metal ArchivesでCenotaphというバンドは14組登録されてました。なんか、また時間あるときにまとめて紹介しても面白そう。

 

 

第6位 : Post Mortal Possession – Valley of the Starving

レーベル : Lord of Sick Recordings
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Post_Mortal_Possession/3540388505

 

一言コメント : 確かなテクニックと表現力 一皮向けた出世作

 

ピッツバーグを拠点に活動するブルータルデスメタルバンド、Post Mortal Possessionの1年振り3枚目フルレングス。コンスタントにリリースを重ね、近年ブルータルデスメタルシーンにおける存在感を増している彼ら。ピュアなブラストビート一直線ではなく、Deeds of FleshやSevered Saviorあたりを彷彿とさせるテクニカルさと知的さ、現行スラム勢に劣らぬヘヴィネスを兼ね備え、ドラマティックな展開美をみせてくれる。

 

特に評価すべきはギターソロ。Post Mortal Possessionらしさとして一番輝きを放っているように感じる。ところどころかなりディープなアンダーグラウンドのエッセンスが散りばめられているのもポイントだ。これまで「あと少し」と感じていたB級感から脱却し、重鎮デスメタル勢のツアーサポートなども出来そうなポテンシャルをみせてくれた一枚。

 

 

 

第5位 : Vomit The Soul – Cold

レーベル : Unique Leader Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Vomit_the_Soul/13688

 

一言コメント : 見事なカムバック! Dying Fetusインスパイアの痺れるヘヴィネス

 

イタリアが誇るブルータルデスメタル・レジェンド、Vomit The Soulによる12年振りのニューアルバム。オリジナルメンバーであるドラマーYcio、ギター/ボーカルMaxが再び手を組み、同郷のレーベルメイトであるBloodtruthのギタリストがベーシストとして加入し、トリオ編成で本作をレコーディング。

アルバム収録曲「The Lost Aurea」のミュージックビデオを観ればより感じられると思うが、Dying Fetusへのリスペクトは強いものがあり、演奏スタイルも影響を受けているように感じる。といってもハードコアやスラッシュメタル的なノリは皆無だが、かなりヴィンテージスタイルのスラム・ヴァイブスに溢れている。彼らのカムバックに痺れたリスナーも多いだろう。文句なしの良盤!

 

 

 

第4位 : Pyrexia – Gravitas Maximus

レーベル : Unique Leader Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Pyrexia/363

 

一言コメント : ニューヨーク・デスメタル・プライドが感じられる一枚

 

ニューヨークを拠点に1990年から活動する老舗ブルータルデスメタルバンド、Pyrexiaの通算6枚目フルレングス。近年はコンスタントにリリースを続けていて、直近のリリースも2018年の『Unholy Requiem』と記憶に深く残る作品を発表している。現在進行形バンドとして、過去のレガシーを考えないにしても、この作品が現代に与える影響は割と強いかもしれない。

 

再生ボタンを押した瞬間に彼らがニューヨーク出身であることが分かるほどで、『Sermon of Mockery』からバンドサウンドの根底にあるスラム要素が現代的にアップデートされていて心地良さがある。Internal Bleedingと共にクラシック・スラムの代表的バンドとしてPyrexiaを捉えているリスナーも今は多いと思うし、そんな彼らが派手な装飾抜きにこうした作品を作ったことは高評価されるべきだ。

 

 

第3位 : Stabbing – Ravenous Psychotic Onslaught

レーベル : Comatose Music
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Stabbing/3540490072

 

一言コメント : 衝撃のニューカマー、テキサスから登場!

 

今年結成されたばかりのニューカマーで、Scattered RemainsのベーシストMerylとドラマーRene (二人は夫婦)が中心となり、女性ボーカリストBridget、ギタリストMarvinの4人体制で動き出している。本作は4曲入りのEPでコンパクトな内容ではあるが、ブルータルデスメタルとして完璧な仕上がりといえる。粒の細かいシンバルワークに抜けの良いスネアが疾走、粘着質なヘヴィリフ、獰猛なガテラル、サウンド・プロダクションは100点満点。Jon Zig先生のアートワークもStabbingサウンドを上手く表現しています。これは聴き逃していたら今すぐチェックして欲しい。

 

 

第2位 : Twitch of the Death Nerve – Beset By False Prophets

レーベル : Comatose Music
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Twitch_of_the_Death_Nerve/46813

 

一言コメント : これがブルータルデスメタルの完成形

 

イングランド/ロンドンを拠点に2004年から活動するブルータルデスメタルバンド。「そんなにベテランだったのか」と驚く人も多いと思うが、ちゃんと動き出したのは2014年ごろ。昨年にはセカンドアルバム『A Resting Place for the Wrathful』をリリースしていて、本作は新曲4曲とライブ音源が収録されたEPとして発表されている。この4曲が本当に素晴らしくて、あまりこういう形態の作品をベストリストには入れないんですが、必聴ということでランクイン。

スピード重視というわけでなく、緩急のあるグルーヴィなスタイルは持ち味で、その転調具合が絶妙。そしてそれを可能にするアイデア、テクニック、どれにおいても素晴らしくのめり込んで聴き入ってしまう。正直言って近年の中ではトップ3レベルでハマった作品。これまであまりチェックしてこなかったバンドだけに驚きも加味してこの順位に。ライブ音源も良い。

 

 

第1位 : Brodequin – Perpetuation of Suffering

レーベル : Unmatched Brutality Records
Metal Archives : https://www.metal-archives.com/bands/Brodequin/241

 

一言コメント : 復活の狼煙、伝説のBrodequin17年振りの新曲!

 

1998年に結成されたテネシー州ノックスビルを拠点とするブルータルデスメタル・ベテラン、Brodequinの久々の新作。2曲入り、デジタルリリースではあるものの、今年はやっぱりBrodequinの新曲を聴けた事だけで2021年はブルータルデスメタルにとって良い年だったと言い切れる。彼らの旧譜については自著『ブルータルデスメタルガイドブック』を参照していただくとして、簡単に最近のBrodequinを振り返りつつ、この作品の良さを書いてみたいと思う。

 

2004年にUnmatched Brutality Recordsからリリースしたアルバム『Methods of Execution』以降アルバムリリースはなく、2008年に活動休止。2015年に復活したものの、オリジナルメンバーであるギタリストのMikeが正式に復帰したのは最近になってのことだ。2020年にはCesspool of CorruptionやMortifying Deformityに在籍する若干24歳のドラマーBrennanが加入し、制作活動が動き出す。レーベルの公式YouTubeチャンネルには「VII Nails」のスタジオ・レコーディング・セッションがアップされていて、動くBrodequinに結構感動した。ギブソンのレスポールでブルデスやってるのは見たことないけど、意外とクラシックなスピード重視のブルデスには合うかもしれないと思ったり。奇跡の2曲だけでも聴けて幸せだが、来年2022年には何かアルバムが出たりしないのかなと気になっています。

デスコア 2020年の名盤 10選

 

『デスコア・ガイドブック』を執筆してからも、デスコアシーンにおけるトレンドは日々変わり続けている。今年はここ数年の中では比較的シーンに大きな動きはなかったように感じたが、それもデスコアというシーンが一度確立され、安定期に入ったからだと思う。幅広いメタルシーンの中においても異端的な存在感は消え、ヘヴィでグルーヴィな新しいメタルとして受け入れられているのも事実だし、商業的に成功しているバンドも多い。

 

Suicide Silenceが再びデスコアサウンドに戻ったこと、Thy Art is MurderやChelsea Grinもシングルリリースがあったし、水面下でWhitechapelも動いていたし、むこう数十年はデスコアというジャンルに終わりはこないだろうと思う。言葉を選ばずに言うならば地味な作品が多かったが、高い技術とポテンシャルは他のどのジャンルよりもあるように思う。今回ピックアップした作品の中には一概にデスコアにカテゴライズするには難しいものもあるが、2021年以降のデスコアの流れを作っていく作品であるということからピックアップしている。まだ聴いていないものがあれば、ぜひ年末年始に聴き込んで欲しい。

 

2020年のデスコアをまとめたYouTubeプレイリストは上記からチェック!

 

第10位 : Aversions Crown – Hell Will Come for Us All

 

オーストラリア/ブリズベンを拠点に活動するデスコアバンド、Aversions Crownの前作『Zenocide』から3年振りのリリースとなった4枚目フルレングス。

 

リリースはNuclear Blast。リードトラック「The Soil」や「Paradigm」はこのアルバムのサウンドを象徴する楽曲で、ハイスピードなブラストビートを主体としながら、バウンシーなパートをここぞというところでのみ挟んでいく。シンプルにブラッケンド・デスコアの良さを味わう事が出来るし、Nuclear Blastからのリリースという事で、幅広いメタルリスナーにもリーチできるポテンシャルを持っているように感じる。

 

 

 

 

第9位 : Alukah – Descending

 

アメリカ/メリーランドを拠点に活動するAlukahのデビューアルバムはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からリリースされた。

 

一聴するとデスコアというよりはプログレッシヴなデスメタルに聴こえるかもしれないが、AlukahサウンドのベースになっているのはThy Art is MurderやDespised Iconといったスケールの大きなデスコアグルーヴを持つバンドらであるように感じる。プログレッシヴなエレメンツが非常に存在感があり、他のバンドにはない魅力である。いきなりNuclear Blastみたいなメタルのメジャーレーベルと契約しそうな雰囲気がある。

 

 

第8位 : Lorna Shore – Immortal

 

前作『Flesh Coffin』から3年振りのリリースとなった3枚目フルレングス。Outerloop RecordsからCentury Media Recordsへと移籍、ボーカルにSigns Of The SwarmのCJが加入して制作された事もあり、大きな注目を集めた。

リリース直前にボーカリストCJを取り巻く女性問題があった事からアルバムがリリースされるかも怪しい状況になっていたが、彼をクビにしてまで彼のボーカルが入った作品をリリースしたバンドの英断を尊重してリストに入れました。ボーカルを評価対象から外したとしても、この作品はデスコアの未来に強い影響をもたらす事は間違いないし、AdamとAndrewのギターワークはメタルコアシーンを見渡してもハイセンスである。現在はWill Ramosが新たなボーカリストとして加入しているので、このアルバムを引っさげたツアー活動も2021年には開始していいと思う。というか、するべきだ。Lorna Shoreは今止まってはいけない重要なバンドなのだから。

 

 

 

第7位 : Reflections – Willow

 

アメリカ/ミネソタを拠点に活動するReflectionsの復活作。前作『The Color Clear』をeOne/Good Fight Musicから2015年にリリースしてから活動は止まってしまっていたものの、2019年末から再び動き出し、アンダーグラウンドのデスコアリスナー達が大興奮していたのは印象的だった。

 

アートワークやトラックのタイトルからひしひしと感じるReflectionsのダークな世界観は健在で、スウェーデンのHumanity’s Last Breathといったダークさとは違う、”アメリカン・ダークデスコア”と形容したくなるサウンドをアルバムでは淡々を繰り広げていく。The Last Ten Seconds of LifeやOceano辺りの系譜にありながら、更にENDのようなヘヴィネスを兼ね備えたこの作品は、メジャーのメタルシーンにはリーチしないものの、アンダーグラウンドではむこう数年は強い影響を与えるものになる事は間違いない。

 

 

第6位 : Distant – Dawn of Corruption

 

オランダ/ロッテルダムを拠点に活動するDistantのセカンドアルバム (EPにカテゴライズされている場合もあり)。彼らがUnique Leader Recordsと契約したことにはかなり驚いたが、今ではレーベルの中でも高い人気を誇るバンドであるし、玄人向けっぽいサウンドプロダクションでありながらも、ツボはしっかりあって、バウンシー。

 

 

第5位 : Bodysnatcher – This Heavy Void

 

アメリカ/フロリダを拠点に活動するBodysnatcherの前作『Death Of Me』から3年振りとなるセカンドアルバム。リリースはStay Sick Recordings (現Modern Empire Music)からで、これを執筆している2020年12月現在、eOneへと移籍している。

 

この大きな移籍からも分かるように本作以降、彼らの注目度は右肩上がりであり、ハードコアからデスコア、そしてメタルコアまで幅広く評価を得ている。メタルコアやハードコアに言える事だが、年々ヘヴィさが増し、デスコアとの境界線が曖昧になってきている。Bodysnatcherもそういう意味でデスコアとは言い切れないサウンドである事は間違いないが、デスコアがデスメタル+メタルコアをブレンドしたサウンド、という事からすでに脱却していて、メタル要素がなくてもデスコアになり得るという事を証明してくれているようにも思う。2021年はeOneからおそらく何かリリースがあるはずなので、どういうサウンドを鳴らすか楽しみだ。

 

 

第4位 : The Acacia Strain – Slow Decay

 

前作『Gravebloom』から3年振りのリリースとなったアメリカ/マサチューセッツ出身のベテランによる9枚目フルレングス。本作の前にリリースされたEP『It Comes In Waves』は、ブラックメタル/ドゥームメタルに振り切った作風でThe Acacia Strainファンからは賛否両論ありましたが、本作からの先行シングル群はしっかりとThe Acacia Strainらしさ溢れるヴァイオレントなデスメタリック・ハードコアを鳴らし、シーンの期待を膨らませた。

 

Rise Recordsとの契約からすでに8年が経過し、デスコア/ハードコアというジャンルのくくりからは外れ、The Acacia Strainでしかないというようなサウンドを作る事に注力してきたように思う。そんな中でも本作は、すでにベテランとして確固たる地位を確立しながらも、ハードコアのヘヴィネスを追求する姿勢には脱帽。もちろんデスコアとして聴いても素晴らしく、ソリッドなサウンドプロダクションが主流の現行シーンには感じるものがたくさん見つかる作品だ。

 

 

 

第3位 : Cabal – Drag Me Down

 

デンマーク/コペンハーゲンを拠点に活動するデスコアバンドCabalの前作『Mark of Rot』から2年振りとなるセカンドアルバム。引き続きLong Branch Recordsがリリースを手掛けている。

 

RNR TOURSで来日も手掛け、そのライブパフォーマンスはデスコア・メインストリームのレジェンド達と比べてもひけをとらないポテンシャルを感じた。ダウンテンポ・デスコアというイメージを持っているリスナーも多いと思うが、Thy Art is MurderやFit For An Autopsy周辺に近いキャッチーなグルーヴがベースになっているのでかなり聴きやすいと思う。アルバムタイトルトラックでもある「Drag Me Down」はミュージックビデオも素晴らしいので一度観て欲しい。ゲームの「Dead By Daylight」的な世界観がバンドのヴィジュアルイメージにあってますね!

 

 

 

第2位 : Ingested – Where Only Gods May Tread

 

イギリス/マンチェスターを拠点に活動するバンドIngestedの新作は、前作『The Level Above Human』から2年振りのリリースとなった5枚目フルレングス。ブルータルデスメタルバンドとしてではなく、ブルータルデスコアとしてIngestedを聴くのは、Unique Leader Records契約以前にSiege of Amida Recordsから聴いてたのもあるし、今のUnique Leader RecordsにいるSigns of the SwarmやDistant辺りと聴き比べているというのがある。

 

さて本作は、「Impending Dominance」のようなブルータルなものもあれば、「Another Breath」のようにミッドテンポでスケール感のあるデスメタリックな楽曲もあり、これまでにはないアプローチもあり聴きごたえがある。『The Architect of Extinction』あたりのアルバムが好きならやや物足りなさもあるかもしれないが、聴くたびによくなるスルメ盤なので是非聴き込んでみてほしい。

 

 

 

第1位 : Within The Ruins – Black Heart

 

2017年にリリースされた『Halfway Human』以来、3年振りとなるWithin The Ruinsの6枚目フルレングス。アメリカ/マサチューセッツ拠点のベテランで、本作はボーカリストに新しくSilence The MessengerのSteve Tinnonが加入してからは初となるアルバムだ。

 

発表されてから間もないが、紛れもなく2020年のベスト・デスコアアルバムで文句なし。とにかくJoeのギターが凄まじく、微細にエディットしたDjentlyなリフワークに加えて、初期のカオティックなタッピングも若干回帰している感じがして懐かしい気持ちになった。アルバムタイトルトラック「Black Heart」はもちろん、「Deliverance」「Devil in Me」と強烈なリードトラックが目白押し。このアルバムを聴く前は、今年はデスコアの年間ベスト書かなくてもいいかなというくらいに思ってしまってたんですが、これをナンバーワンとして評価する為に気合を入れて1年を振り返ってみました。